○三木
参考人 情報公開クリアリングハウスの三木と申します。きょうは、よろしく
お願いいたします。
本日は、このような機会をいただいて、大変光栄に感じております。本日は、
国会法等の一部
改正に関する
法案等について、
意見を述べさせていただこうと思います。
私は、
情報公開の問題にかれこれ二十年ほどかかわってまいりまして、団体としても、公的
機関の拡充について三十四年間
活動をしている団体でございます。そういう視点から、今回の
法案については、
監視機関の
機能という面について特に
意見を述べさせていただこうと思います。
初めに、
特定秘密保護法というものが存在をする以上は、
監視機能を設けるということは決定的に重要であるというふうに考えております。それが、
行政機関の中でだけではなく、
国会においてもそのような
機能を設けるということは、非常に重要だと思っております。
ただ、
監視機関は、設ければいいというよりは、その目的と
役割を明確にして、
効果的に、かつ
機能的にあるということが非常に重要ではないかというふうに考えています。
監視というと、とかく不正とか違法とか問題の追及という側面が強調される傾向は確かにございますけれども、
監視は、もともとは、よりよく
政府が
活動する、より正しく
政府が
活動するということを行うために必要なものであるという位置づけもあると私は思っています。なので、
監視は、マイナスの
意味ではなく、むしろ積極的に、よりよいものを目指すということを、それぞれが協力をし、かつ
独立をしてやるということがとても大事ではないかというふうに感じています。
この
監視機能というのは、
非公開とか、
秘密が強いですとか、それから一般からのチェックが難しいというような、むしろ、信頼を一般的にかち得るのが難しい分野について特に
求められているというものであると考えています。ですので、
監視機関そのものが
効果的かつ
機能的でないと、そもそも、
制度に対する信頼全体を損なっていくということになるのではないかというふうに思いますので、その
信頼性にかかわる問題であるということを十分に御
検討いただきたいというふうに考えています。
それから、
国会だけではなく
行政機関においても
監視機能が設けられるという方向で
検討されていると承知をしていますけれども、
国会が、より
独立した
立場で
監視を行い得る、そういう存在であるということを、十分に御
検討の際に考慮していただきたいというふうに考えております。
情報監視審査会の
活動についてなんですが、
特定秘密の
運用について、指定や解除についてどのような実態かということは、恐らく数字の
報告を受けてもわからないだろうというふうに思います。
何を
監視するのかということが決定的に重要であるというふうに考えておりますが、この点で少し
懸念を持っております。
それは何かというと、何を端緒に具体的な
特定秘密についての
監視を行うのかということがよく見えないということであります。それは、公益通報のようなものを受け付ける、それを合法的かつ安全に受け付ける仕組みというものが、現在の仕組みの中では、ないというふうに考えるからです。
特定秘密保護法に定める
情報漏えいというものは、外部に対する
情報漏えいという
意味合いでよく理解をされがちであるとは思うんですが、これは、
情報漏えいということをアンオーソライズドディスクロージャーというふうによく言いまして、権限のない開示ということになります。権限を持って
秘密にアクセスしている人間が、その
秘密を見る
立場、権限のない人に対してその
情報を
提供すること自体が
情報漏えいに当たるということであります。
お配りいただいた
資料の二ページ目を見ていただくと、イージスシステムに係る
情報漏えい事件というものについてまとめたものがございます。これは、
内閣官房がおつくりになったものを、わかりやすいのでそのまま引用いたしました。
これを見ていただくと、イージスシステムの
情報は、これは海上自衛隊の中にとどまっていて外に出ておりません。しかし、これは
情報漏えい事件として、
罰則、刑事罰の
対象になりました。
こういうことがございますので、誰が
特定秘密に関して通報を受ける合法的かつ権限を持つのかということが、実は非常に重要なのであります。
公益通報のようなものは、具体的な
監視の調査の端緒として非常に重要なのではないかというふうに考えております。ですので、こうした公益通報について、合法的に受け付けられるような仕組みというものをぜひ御
検討いただけないかというふうに考えています。
ちなみに、アメリカの仕組みを少し調べたところによりますと、
インテリジェンスコミュニティーに関しては、
議会に対して公益通報ができるという法的な仕組みがあるというふうに認識しております。ぜひ御
検討いただければと思っております。
それから、
審査会に対して、
特定秘密の
提出、提示の要求についてなんですが、これはとても重要な仕組みであるというふうには認識をしております。ただ、この仕組みは、
審査会が
提出、提示を
求めるということになっており、全体での意思決定というか、そういうものが必要な仕組みになっております。
審査会の構成については、八人の構成で、所属
議員の数に応じて会派で割り振られるというふうに承知をしております。そうしますと、多数で提示、
提出の要求がなければ、実は
特定秘密が
国会に来ないという
構造もあり得るというふうに思うわけであります。
そういうことを考えますと、実は、どういう
条件であれば
提出、提示を
求めるのかということについて、例えば三分の一程度が要求をすれば
提出を
求められるようにするとか、そういうような仕組みがあった方が、
独立性という
意味でもとてもよいのではないかというふうに考えております。
それから、
特定秘密の提示、
提出要求について、どういう場合については
政府が拒否できるかというその問題は、とても重要なポイントだと思っております。
特に、
審査会については、十分な
保護措置を講ずるということで、かなり厳格に、施設も含めた要件を定めておられるということでございますので、そこを通じた
情報漏えいリスクとかそういう
支障というのは、基本的には、ないのではないかというふうに考えております。したがいまして、極めて
限定的な場合にのみ
政府が拒否できるような厳格性の要件というものを設けるということは、非常に重要なのではないかというふうに考えております。
それから、
審査会の
議事録に関してですが、
会議が
非公開で行われるということは、事の性質上ある程度やむを得ないのではないかというふうには思うのでありますが、
国会に関しては、
非公開で行った
議事録がこのまま
非公開とされ続けますと、
特定秘密については解除の仕組みを設けるということになっておりますが、
国会で
非公開、
秘密にしたものについては、その解除なり公開の仕組みというものが、今の状況では、ないというふうに考えております。
ですので、
議事録の
非公開というものについても、すぐに公開できないものに関してもいつかは公開するというような
行政機関レベルの
情報公開の仕組みというものは、ぜひ御
検討いただきたいというふうに考えています。
これはなぜ申し上げるかと申しますと、公文書
管理法というものがございまして、歴史文書としての公開というものが
行政機関についてはございます。
しかし、立法府については、公文書
管理法そのものの
適用を直接受けておりません。したがいまして、
国会におきましてこういうような取り扱いをどうするのかということを御
検討いただかない限りはここの
情報公開が進まないということになりますので、十分に御
検討いただきたいというふうに思っております。
最後に、
情報公開という観点から、別の視点で
意見を述べたいと思います。
それは、先日、私、アメリカに行きまして、いろいろと現地で
秘密指定の仕組み等について調査をしてまいりました。そのときに、非常に印象に残ったことがございます。それは、
秘密は過剰になりやすいということについて、
立場を超えて、アメリカの
関係者、
政府機関それから元
政府機関の人、それからNGOも含めて、多くの人がその問題を共有していたということであります。
過剰機密がなぜ問題になっているのかということをよくお聞きしますと、それは何よりも機密指定を最小限に絞ることに失敗した結果であるというふうな説明の仕方をされています。つまり、機密はいつかは解除されるという仕組みはございますが、ふえ過ぎると実は解除の仕組みもうまく
機能しないという問題が出てくるというわけであります。
ですので、解除の問題にエネルギーやコストを投入するよりも、
秘密指定を最小限に抑えるということにエネルギーとコストを費やすのが最もよいということを聞いております。
そういうことを考えますと、
監視機関としても、やはり機密をふやさない、最小限に絞る、必要なものに限るということに最大限の
機能と
役割を果たしていただくということがとても重要だというふうに思います。
さらに、
秘密や
非公開の問題については、
情報公開をずっと
求めてきた
立場から申し上げられることが一点ございます。
それは、
秘密や
非公開という
判断には主観が入りやすいということであります。それから、理屈に当てはめられれば
非公開が維持できてしまうということもあります。それから、公開によるリスクは過剰に見積もられやすいという問題もございます。
資料を見ていただいて、五ページ目に、
参考としてお持ちしましたけれども、これは、新聞記事が
部分公開になったという
判断でございます。
これは警察庁の
判断でございますが、
情報公開法に基づいて
情報公開請求をした結果、新聞記事が
部分公開となりました。これは不服申し立てをして
審査会というところで争いましたけれども、
判断が変わりませんでした。これは
法律の解釈論として成り立つという
判断でありまして、こういう
非公開も成り立つ、要は理屈の問題でなってしまうということでもあります。
それから、もう一枚めくっていただくと、非常に見にくくて恐縮なんですが、これはレーガン
政権下のホワイトハウスのEメールであります。
これはアメリカのNGOからいただいてきた
情報なんですが、これは実は、見えにくいと思いますが、全く同じEメールです。十日ぐらい異なって同じ人が公開、
非公開の
審査をした結果、最初に
非公開にしたところと二回目の
審査で
非公開にしたところが別のところであるというところがございます。
つまり、これだけ主観的であったり、
判断基準というのは、実は、
非公開、
秘密の領域は非常に難しいという問題がございます。ですので、そこをどうやって合理的に、かつ客観的に行っていくのかということはそんなに簡単な問題ではないということが、こうした問題を通じて私たちは日々実感をしているところであります。
ですので、こういうことも御認識いただきながら、ぜひ
効果的かつ
機能的な
監視機関というものをつくっていただきたいというふうに思っているわけでございます。
以上でございます。ありがとうございました。(
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