○村上(政)
委員 おはようございます。村上政俊です。
きょうは
租税条約の審議ということですので、
租税条約についてのみお伺いしたいと思います。
まず初めに、ちょっと簡単に御
紹介したいと思うんですけれども、
大臣におかれても、四月の二十九日から五月の八日までデンマーク、カメルーン、フランスを訪問されて、また三ッ矢副
大臣も、六月二日から六月六日にマレーシアとラオスを訪問されて、極めて活発に外国訪問を展開されて、
経済を中心にしながら、さまざまに
我が国の国益に資する外交活動を行っておられると承知いたしております。そういった
経済の外交を進めていくためにも、こういった
租税条約、本日審議するものが必要だと思います。
簡単に私から、
租税条約とはそもそもどういったものであったかということを振り返るために、
租税条約とはどういうことかということを、私なりに理解していることをお話しさせていただきたいと思います。
まず、
租税条約の主な
目的というものは、国際的な二重
課税を排除することによって、締約国間の
経済的な交流、貿易や
投資、それから人の移動などを促進すると同時に、
脱税や
租税回避行為を
防止するために、締約国間の協力、これは
租税関連
情報の交換やそれから
租税徴収の共助等の
枠組みを設定することにあるというふうに私は理解いたしております。
また、一般に
租税条約の
対象となるのは、
所得に対する
租税である。
我が国が過去に
締結してきた
租税条約の多くは、
所得税、法人税、それから住民税を
対象といたしております。また、消費税それから酒税、印紙税等は、
所得に対する
租税ではないため、
租税条約の
対象とはされない。
国際的な二重
課税というのは、
経済活動が
国境を越えて行われることにより生じることとなります。一般に
各国の税務当局は、自国の居住者に対しては全世界
所得、これは外国で得た
所得も含む全ての
所得に税を課す一方で、自
国内で発生した
所得にも税を課す。このため、ある国、A国に居住している人がB国で得た
所得は、もともと住んでいたA国、居住地国、及びB国、
所得の
源泉地国の双方から
課税されることになる。
こうした二重
課税というものを排除するためには、あらかじめ
租税条約において、一方の締約国の居住者、
個人や法人等が他方の締約国で
所得を得た場合の
課税方法等を
規定しておくことが大変重要である。すなわち、居住地国とそれから
源泉地国の
課税権を調整しておくことが極めて重要であるというふうに思います。こういうものが
租税条約である。
我が国を含む先進国の間の
租税条約の大半は、
経済協力開発機構、
OECD、これは先般
大臣も訪問されたと思いますが、
OECDが作成しているモデル
条約の
内容に準拠している。
OECDのモデル
条約というのは、第二次世界大戦後に国際的な
経済交流が急速に促進されることによって発生した二国間の二重
課税を防ぐために、
租税条約のモデルとして、昭和三十八年、一九六三年に
OECD理事会において採択されました。こういった、これまでに
我が国が
締結した
租税条約も、基本的に
OECDモデル
条約に沿って策定されてきたものだと思います。また、
OECDはモデル
条約の
改定を逐次行ってきています。
このような
租税条約の中では、配当それから利子、使用料に関しては、それらの
源泉地国における
課税の軽減や免除が
規定されていることも多いというふうに承知いたしております。こうした特典の付与は、締約国間の
投資促進を
目的としていて、加えて、多くの
租税条約には、締約国間での
租税関連
情報の交換や
租税徴収における共助等に関する
規定等、
脱税や
租税回避行為の
防止を主な
目的とする
規定も盛り込まれています。
また、一般的には、先進国は、労働力や資源が安価な開発途上国において、技術や人材を送ることによってそこで利益を得ていることが多く、開発途上国が
源泉地国となることが多いが、
OECDモデル
条約は
源泉地国の
課税権を大きく制限していることになっていますので、
OECDの加盟国そのものも先進国で構成されていることから、先進国に有利な
租税条約となっていると思います。
最初に、
大臣に総論的なことをお伺いしたいと思います。
私が今御
紹介したような、こういった
目的を持って
租税条約というものが
締結されていると思います。また、今御
紹介させていただいたように、国際的な二重
課税の
回避や、それから
脱税、
租税回避行為への対処等が進展してきて、これによって健全な
投資それから
経済交流が促進されていくというふうに理解いたしております。また、例えば、
外務省の、
大臣含めて政務で経団連とお話しされているように、
経済界からも強い要望がある。
租税条約の
新規の
締結、
改正を進めて、
租税条約ネットワークをさらに拡充すべきだと
考えますが、
政府としてはどのようにお
考えでしょうか。