○伊東(信)
委員 ありがとうございます。
私は知っているぞという、そういうことが言いたいわけじゃなくて、若干、本当に意地悪な御
質問で、
菱山審議官、
倉持統括官をいじめたいわけじゃないんですね。だけれ
ども、今お答えいただいた、あるかないかわからないというお答えというのは、すばらしいと思います。厚生労働
委員会で田村
大臣も、真実はわからないんですとおっしゃったんですね。
では、真実はどこにあるかというのは、真実はどこかにあるわけなんですね。ただ、現在わかっていることは、この論文がパブリッシュされたということですね。ネイチャーという雑誌にパブリッシュされたということです。
科学的に言いますと、
科学者の中というか我々の中で、もっと言うとiPS細胞
研究所の先端を行っている方のお話を聞くと、パブリッシュされている時点で存在しているんです。パブリッシュされたということは、
世界各国の再生医療にかかわるいわゆるレフェリーがいるんですね。レフェリーが何回も何回もやりとりして、あると認めたからパブリッシュされたんです。これは
一つの事実なんですね。この事実を否定しようと思ったら、これに関する否定論文を出さなければ、
STAP細胞は存在しないとならないんですね。
例えば、香港で最近、
STAP細胞の存在が疑わしいというような声明を出しました。だけれ
ども、これは、
日本じゃない海外の
研究機関が単にこの数カ月の間にその実験に成功しなかった、もしくはこの論文自体の
理解をしなかった、この論文自体を受け入れなかったというだけのことなんです。だから、単なるそこの
研究機関の方針なだけなんですね。
ただ、この
STAP細胞に関して皆さんにぜひともわかっていただきたいのは、iPS細胞との比較文書を出していますけれ
ども、iPS細胞は、この四つの遺伝子を我々の体の細胞の遺伝子の中に導入することによって、いわゆる受精卵と同じような細胞に戻す。つまり、どんな臓器にもなり得るような細胞をつくれるということなんですね。
それに比べて、
STAP細胞は、まだ動物実験の段階です。ネズミの体細胞に刺激を与えることによって、ここにコップを描いていますけれ
ども、これは、ビールみたいに見えますけれ
どもオレンジジュースなんですね、弱酸性なんです。弱酸性のところに長時間浸すことによって、同じように初期化が起こったということなんです。
さて、これが今みたいな説明になると、本当かいやというような疑念が生じるのは間違いないです。ただし、このネイチャーのレフェリーは、それを認めてパブリッシュされたんです。その時点で、それはあるとされるんですね。これが科学のいわゆるルールでございます。
さて、この背景にあるのは、生命の、つまり細胞の不思議さで、イモリやトカゲとかが再生機能を持っているように、
もともと生物には、そういうような、
もととなるような、卵になるような細胞があるんじゃないか、いろいろな臓器になる細胞があるんじゃないかということですね。実際、あるんですね、幹細胞というのが。
年末に出された再生医療の推進
法案、厚労省から出ました推進
法案というのは、それをiPS細胞と、今僕が申し上げた、
もともと人間にある幹細胞と、それと単なる体細胞をふやす、この三つに分類して、それぞれに危険度を分けよう、それぞれに認定にするのか届け出にするのか、そういったことでございます。
このiPS細胞、
STAP細胞というのは、
もととなる幹細胞を人工的につくる方法論なんですけれ
ども、この細胞というのは単なる
材料でしかないんですね。
人間の体を車に例えると、iPS細胞は臓器になる。我々、
科学技術特別
委員会で去年視察に行った高橋政代
先生、やっと網膜という、眼球の中のそのまた一部の上皮ができたところなんですね。まだまだ本当に、申しわけないですけれ
ども、ハンドルをつくったりとか、
エンジンは最後までできていないんです。
エンジンのギアができている状態なんです。だから、こんな状態で足の引っ張り合いをしている場合ではないんですね。
ここには本当にいろいろな問題があったと思います。
理化学研究所が、もしかして、推測ですよ、そのまま突っ走るのに何かしら、人間というのは、足を引っ張ったりとかジェラシーがあったりしたのかもしれないし、内部でリークがあったのかもしれません。しかし、なぜこの
STAP細胞がパブリッシュされた時点でこのようなバッシングを受けたか。それは、
一つは、やはり
マスコミが悪いと思います。
小保方先生のキャラクターで
STAP細胞が出たときに、非常にもてはやされました。しかし、何カ月かして、この論文のいろいろなミスが見つかったときに、今度は逆にバッシングが起こりました。もちろん、私自身も学位を持っていますし、大阪大学の招聘准教授でありますから、この論文の書き方に関して、これを擁護する気持ちはありませんけれ
ども、ただ、このSTAP論文について、オール・ジャパンで守っていかなければ、これも
日本が誇る財産なんですね。
この財産を、正しいのであるか間違っているのであるかというよりも、あるのかないのかは検証です。
先ほど野依先生が帰られるときに、私、一言お聞きしました。
STAP細胞の質疑をします、でも、これはサイエンスですよねと言ったら、そうなんです、これからは検証が大事なんですと。つまり、検証していくことが次への過程なんですね。この論文を取り下げるとかそういった問題ではないし、不正がどうのとかの問題じゃないです。検証していくことが大事なんです。
だから、
野依先生は、みずからの自浄機関にプラスアルファして、検証を科学的にやっていこう、プラス的にやっていこうということなんですけれ
ども、今の
現状では、とてもじゃないけれ
ども、
科学技術・
イノベーションを
日本の中での切り札とはできません。
先ほど大臣が、各省庁間でいろいろな壁を取り払わなければいけないし、司令塔となるには、まず安倍首相がバックアップをしてとおっしゃっていただきましたけれ
ども、今回、プロジェクトマネジャーとかプロジェクトディレクターというのは、いわゆる
研究の
方向性を決める、そういった機関です。
私のこの資料の中に、ラグビーとアメリカンフットボールの写真を載っけています。これは、山中
先生が衆議院の表彰のときに講演でおっしゃっていた話、もしくはラスカー賞をとられたときに引用されたお話なんですけれ
ども、
科学者はあくまでも
科学者なんです、それを製品化したりとか商品化したりすると、それは、CEOという、いわゆる経済的な部分がいるから、全く別
分野、ラグビーとアメリカンフットボールぐらいの違いがあるんだよと。だからこそ、誰か、オーガナイザー、マネジメントする人が出てほしいということなんです。
ただ、このプロジェクトマネジャーとかプロジェクトディレクターをつくるだけでは、いわゆる司令塔機能はないと言っても過言じゃないと思います。社会的、倫理的、広報的な、もう
一つ科学を支える機関というのが、
政府がやらなければいけないと思うんですけれ
ども、そのあたりはいかがでしょうか。