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石原慎太郎君 この
議論の中で、
秘密の領域を余り広げずに、
国家の安危にかかわる防衛問題に限るという
意見もあるようでありますが、それを妥当とするなら、
国家の安危にかかわる
情報こそ、私はむしろ公開すべき場合があると思います。
例えば先ほ
どもおっしゃいましたけれ
ども、かつての、尖閣地域における中国の公船と称する怪しげな船の保安庁の監視船への衝突事件に関する嫌がらせと衝突の十数時間に及ぶビデオの映像、これは一色保安官の決断によって初めて開示されました。
国民はその実態に触れました。これについては、腰抜けの
民主党内閣が中国におもねって、これを
秘密として隠蔽を命じましたね。そして一色保安官は、これを開示したことで
国家公務員法違反として書類送検されて、辞職をしました。一色君の決断が
国民の防衛に関する意識を呼び起こして、これを高めましたね。
私は、この事例を見ますと、愚かな大将は敵よりむしろ恐ろしいというパラドックス、これはもう実証されたと思います。これによって、行われるべき
国家的な討論や
審議が著しく阻害されたと思います。これは後に述べますけれ
ども、私
たちが保持している防衛力を有効に駆使する、守るための交戦規定の設立がこれによって阻害されたと思います。
これは、実は以前にもこれに似た事情が
自民党内閣にもありました。
かつて、昭和五十一年の三木
内閣というどうしようもない
内閣のときに、ロシアのミグ25戦闘機が函館に亡命、不時着しまして、これに対してソビエトのコマンドが襲来するかもしらぬという通報がありました。これは
政府はろうばいしましたけれ
ども、当時の三好陸幕長の初
判断で、敵の襲来に備えて、戦車が飛行場に入り、高射砲も配備して臨戦態勢をとりました。
そして
政府は、この事件の処理の書類の焼却というのを後々命令をしました。そして、これについて行うべき討論なり
情報というのは隠蔽されたわけですけれ
ども、これに対して、三好陸幕長は辞任をして抗議をしましたね。その後、統幕の議長であった栗栖さんは、現行法では緊急事態に対する自衛隊は作戦行動ができないと
政府を批判しました。当時の金丸防衛庁
長官によって罷免をされました。
その後の平成十一年、能登半島沖での不審船事件で、海上警備行動の発令ができずに、恐らく拉致した被害者を乗せたままであろうその不審船を取り逃がしてしまったわけです。
その後も、ソマリア沖での海賊退治に海上自衛隊が派遣されました。当時、
国会議員をしていたある人物が主唱して、ピースボートなるものがこれに
反対して現地へ赴きましたが、海賊が怖くて、どうかとにかく海上自衛隊に
保護してくれと依頼をしてきた。しかも、自分
たちが
反対した自衛隊に
保護を求めるのは恥ずかしいものだから、本国に打電して、海上保安庁に出てきて守ってくれというばかなことを頼んだ。
この場合の海上自衛隊の要するに行動というものは非常に制約されていまして、わざわざ外地に赴いた海上自衛隊が海賊に対していかに対処するかというその行動は、警察官の職務執行法の準用によって、拘束する相手が禁錮三年以上の罪を犯している場合にのみ攻撃をかましてよろしい、そういうばかな拘束を受けたわけです。これは本当に荒唐無稽な話ですけれ
ども、こんな規約の中で行動する海軍が世界じゅうどこにあるでしょうか。
私は、平時における個別自衛権の確立とそれを支える交戦規定は、これは本当に必要だと思いますが、現場で危険を冒している、防衛活動する自衛官をいたずらにむざむざと犠牲にさらしてはならないと思いますね。
現在、仮に尖閣で、要するに、遊よくして警備をしている海上自衛隊の艦船が、目の前で保安庁の船にシナの公船なるものが体当たりをしてきてこれを沈めてしまった場合に、中国の軍艦に対して海上自衛隊の艦船は反撃できるんですか。できないでしょう。これは保安庁を見殺しにせざるを得ない。
平時がいつ突発有事に変化するかわからぬこの現況の中で、集団自衛権の発動以前に、
日本個人の自衛権というものを行使するための、これを担保する交戦規定、ROEを、これは創設される
NSCなどにおいて早急に作成されるべきと思います。そうしませんと、これは自衛隊が浮かばれませんよ。これについて
総理の自覚を伺いたいと思います。