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参考人(
榊原富士子君)
意識的に憲法
裁判をする方たちというようなことだけではなくて、ふだん家事事件を専門として行っておりますので、ありふれた
相続事件を多数扱ってきました。その中でいろんな事情を聞いておりますと、やはり今の時代であっても、まず
子供時代に非常にからかわれてつらかった、いろんな言葉がありますが、つらかったという思い出があり、そして、次に就職になりますと、例えば今私が受けている事案の方ですけれども、あるよい
会社に就職が、採用が決まった、決まったのだけれども、その後に
戸籍謄本の提出を求められた。私は、客観的にはその
会社は
婚外子であるということが分かったからといって採用をやめるような
会社ではないと思ったのですが、その方はともかく
戸籍を見られたくないというので、そのことをもって就職を辞退した、そして別の
会社に行ったというふうにおっしゃっております。そんなに年配の方じゃなくて若い方です。また、露骨にやはり就職できなかったという経験の方もいらっしゃいます。
それから、恋愛結婚をするということになった、その後で
戸籍を見て相手の御両親から反対をされて、結局、そのことがきっかけで婚約者ともうまくいかなくなって破談になったというような経験もやはり今でもあるように事例としてはお聞きします。
何より多くの人が
子供ができたら結婚しなくちゃと思っていると思うんですけれども、それは結婚しないと
子供がかわいそうだからと思っていますよね。というぐらい
婚外子はやはり不利な境遇にあって、何らか差別を受けるというのは、むしろ公知の事実なのではないかと思います。
それをなくしていくというのは、とても九百条が
改正されたら一気になくなるというようなものではないし、
嫡出という言葉がなくなったら急になくなるというようなものでもないかとは思いますけれども、できることをやっていっていただきたいと。
で、この今回問題になっている出生届の件というのは、
戸籍法の中の
嫡出、非
嫡出という言葉の箇所の七か所のうちのたった一か所なんですね。
民法にはまだ十二か所も残っておりますし、この出生届だけでどうなるというものではないと思いますが、しかし、いろんなつらい事情があって中絶しないで産むことになったお母さんが出生届を出しに行く場面を考えていただくと、
子供を授かってよかったという思いと、これから一人で育てていく、どんな困難があるだろうかと思いながら出生届を出し、そのときに
チェックをするという非常に厳しい、世間的にも非難も受けながらというような場面の方のことをちょっと思い起こしていただくと、この出生のときの
意味というのが分かっていただけるかなと思います。
先ほど
家族の
きずなという話があって、私はそれには全く賛成で、むしろその
家族の
きずなを大事にするというのにはもっとリアルな問題がいっぱいありまして、本当に崩壊しかかっている
家族、それから別居をしたばかりの
家族、
子供のことをそっちのけで争っている父母というのがたくさんいらっしゃるわけで、そこに手を差し伸べて、しっかりした専門家の迅速なサポート、相談という、そういうようなものを差し伸べていただくと
家族はかなり崩壊しないんじゃないかというようなことを実感しておりますので、むしろそこで
国会議員の皆様に是非尽力をお願いしたいというふうに思っております。