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前川清成君 例えばですが、これは逆に、非
嫡出子がお父さんの仕事を手伝ってお父さんの財産を殖やした、あるいは、副
大臣おっしゃる
ように、
嫡出子がお父さんの仕事を手伝って財産を殖やした、この場合には、
相続人間の公平を図るために
民法に寄与分という仕組みがあります。ですから、今おっしゃっている
ような
心配は、それは
法定相続分でする話じゃなくて、寄与分という仕組みの中で、例えば、お父さんの仕事を
一緒にやってきました、その結果、実はお父さんの名前で財産は蓄積したけれども、
本人はもう
生活費だけもらって家のためにただただ尽くしてきました、そうでない
子供はもう東京へ行って遊び暮らして
生活費だけ送ってもらっていました、
家庭の、お父さんの財産形成に何ら寄与していませんと。その不公平を是正するためには寄与分という仕組みがあるわけで、そこに
法定相続分を持ってきたら、私はむちゃむちゃだと思います。
それと、逆に、こんなことはおっしゃっていませんが、仮に
嫡出子と非
嫡出子といらっしゃって、
嫡出子は一生懸命働いたけれども余りかわいがってもらっていなかった、非
嫡出子はお父さんからかわいがってもらっていっぱい財産もらっていたと。こういうケースが仮にあったとしたら、それもやっぱり
相続の際に、特別受益という
制度があって、それによって
法定相続分を超えた配慮がなされるわけです。
今のお話を、私、もうちょっと何か、
自民党内の
議論は、何というんですか、失礼な言い方ですけれども、会長、もうちょっと思想に基づいた、それこそフィロソフィーの話があるのかなと思っていたんですが、ちょっと無知に基づく
ような
議論をされているのであれば、今回の
改正が、この
国会、何とか間に合いましたけれども、ぎりぎりになったことは反省していただけたらと、そんなふうに思います。
その上で、時間が残り少なくなってきましたので
最後に申し上げたいと思うんですが、憲法が、憲法十四条ですが、十四条の二項で、華族その他貴族の
制度は、これを認めないというふうに明記しています。三項で、栄典の授与は、これを受ける者一代に限り、その
効力を有すると、こういうふうに書いた上で、一項で、全て国民は法の下に平等であって云々かんぬんで
差別されないと。この二項、三項も併せて憲法十四条一項を理解すれば、憲法十四条が最も禁止しているのは生まれによる
差別ではないのかと。とりわけ、封建
制度を否定して、近代市民革命が封建
制度を否定して民主主義国家をつくりました。そんな中にあって、生まれによる
差別、私は、この非
嫡出子の
法定相続分というのはまさにそのものであったのではないかなと、こういうふうに思っています。
あと、本当に時間が僅かになったんですが、実は、私がまだ勤務弁護士のころ、二十代のころに、同じ
ような非
嫡出子の
法定相続分に関する
事件を担当させていただきました。
Aさんという方がいらっしゃって、戦争に行って帰ってこられました。戦争から帰ってきて、仕事がない。当時、奈良市内で、今は高級住宅街地になっているところなんですが、県が開拓団を募集していますと。そのAさんは、仕事がないので開拓団に応じて開拓に入られました。奥さん、B子さんがいたんですが、農作業が嫌で付いていきませんでした。AさんとBさんとの間にはCという
子供がいました。しかし、当然、Bさんが行かないのでCも付いていきませんでした。単身で掘っ建て小屋を建てて開拓をしている間に、AさんはD子さんという
女性と仲良くなられた。その間にEさん、非
嫡出子が生まれました。その開拓した土地は、周りが高級住宅地になって、バブルのときに何億円で売れました。何億円という預金がありました。
ところが、Aさんがその後脳梗塞で倒れました。いわゆる愛人のD子さんは、介護をするのはもちろん、何億円の預金をある銀行にしていますので、
自分の畑で取れた野菜をその銀行の駐車場で売って、それによって生計を支えました。そのAさんが亡くなって、私は
嫡出子といわゆる正妻の側の代理を受けたわけですが、この場合に、いわゆる愛人であるDさん、これ五十年
間一緒に暮らしてきて、しかも開拓も
一緒にやってきて、その亡くなったAさんの財産形成のほとんどはAさんとDさんでやっているわけです。
ところが、先ほど副
大臣にも申し上げましたけれども、Aさんが亡くなったときに、Dさんの
相続はゼロです。五十年間それこそ顔も見たことのない正妻のB子さん、これが二分の一を
相続されました。非
嫡出子の
法定相続分は二分の一という規定がありますので、残された二分の一については
嫡出子のCさんが三分の一で、非
嫡出子のEさんというのは六分の一。
先ほど副
大臣は正妻の側が考慮されないのではないかとおっしゃったけれども、今の事例、実際に財産形成を
一緒にやってきたいわゆる愛人の側には、その
子供も含めて全体の六分の一しか行かなかった。残りの六分の五は妻と
嫡出子に行った。私も当時まだ二十代で世の中のことも余り分かっていませんでしたので、こんなもんだというふうに思っていましたけれども、今から
考えると、やはり
社会のバランスがどうなのかなと。もちろん、それもAさんの側がもう少し配慮をしたら、例えば遺言書を作っておくとかというふうにもできたわけで、それもすべきだったと。ちなみに、今のケースですと、副
大臣が
心配されている
ように、B子さんをAの側から離婚できるかというと、できない。なぜならば有責配偶者だから。
ですから、ちょっと余りにも私は、よく分かりませんよ、
自民党保守派内の
議論というのは感情的に過ぎたのではないのかな、もう少し地に足の付いた
科学的な政策の
議論をしていただいたらよかったかなと、こういうふうに思っております。
時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。