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参考人(
小野泰輔君) おはようございます。
熊本県副
知事の
小野と申します。
私の方からは、
熊本県が進めております
農地集積の取組につきまして
参考となりますような御
意見を申し上げたいというふうに
思います。
お
手元の
くまモンの資料を御覧いただけますでしょうか。
まず、県の
問題意識として、なぜ
農地集積をやる必要があるかということですが、二ページ目御覧いただきますと、
農家戸数、これは全国的にも同じ傾向ですが、どんどん減少していると。そして、右側のグラフのように
高齢化が著しいということがあります。そして、今後十年の間に、
平成三十二年度に一万三千戸余り減ってしまうと。これを平均の
耕作面積でいいますと、二万一千ヘクタールあるんですけれ
ども、この分を
集積しなければ
担い手がいなくなってしまうというような
問題意識の下で、
蒲島知事が、
農業の出身でもありますが、
集積を県が先頭に立ってやっていこうというようなことで進めてまいりました。
そのときの
進め方でございますが、三ページに書いてありますが、県と
市町村とそして
JA等農業関係機関、一体となって進めていくことが大事だという姿勢で進めてまいりました。
四ページにその
状況というものが書いてありますけれ
ども、千七百八十ヘクタール、今までは割と横ばいで
集積の方が来ていたんですが、私
ども県の方で独自の
政策というものも考えまして、それを実施していった結果、二十四年度には千七百八十ヘクタールというような
面積の大幅な
集積増を積むことができたというふうに思っています。
四ページの
右下の表に
JAによる
利用権設定というところがありますけれ
ども、二十四年度、非常に増えておりまして、
JAなど
農業関係機関の方でも
集積に関して非常に御尽力いただいたという
状況でございます。
五ページになりますけれ
ども、そのときの体制ですね、これはもちろん県も一生懸命やるんですけれ
ども、一体的に
県民運動として取り組んでいこうというようなコンセプトを掲げまして、
熊本県ふるさと・
農地未来づくり運動というように銘打ちまして、
関係者全員で認識を一にして
推進をしていこうと。そして、キーになったのが、今回、
農地中間管理機構の
受皿になると思っていますけれ
ども、
農業公社の方の
評議員の
会長に
知事が就任したということで、
知事自らが
集積をしっかりやっていきますよというメッセージを
県民に対して発していったということが非常に大きかったかなというふうに
思います。
六ページになりますけれ
ども、その
知事が、じゃ、どういうふうにリーダーシップを発揮したかということですけれ
ども、
知事自らが、
農地を借りますよ、そして意欲ある
担い手の方に
集積していきますよということをやったわけでございますが、七ページのようなパンフレット、こういったものを作りまして、それを配布をしていきました。そして、粘り強く
関係者に説得をしていったと。
具体的な施策としては、
県単独でやったこととしては、七ページの右半分の県の
支援策というところがありますけれ
ども、合意を得た
集積地には
担い手に
交付金を出しますよとか、それからあと、
話合いがやはり重要なんですけれ
ども、
話合いの
支援のための
活動費を
県単独で設けるというようなことを進めてまいりました。
八ページは、これは
JAの
中央会の
会長との対話を
新聞紙上で出して、そして啓蒙を図る、周知を図ると。
九ページな
ども、
ビジネス雑誌の方にも今我々が取り組んでいることを広く知っていただくような
活動も積極的に行っております。
十ページの方で、それではどういう具体的な
農地集積の方を進めたかというお話をさせていただきますけれ
ども、十一ページ、こちらの方で我々は
重点地区というものを設けました。
平成二十四年度において二十
地区、そして二十五年度において二十二
地区を指定をしまして、今四十二
地区で
集積の方を進めています。そして、この半分ぐらいが中山間
地域ということで、私
ども、平たい平野部、
条件がいいところだけ
集積するということではなくて、やはり中山間
地域でもどうやって永続的に営農を進めていくのかという
問題意識の下で、中山間
地域においても積極的に
推進しようということを考えております。
そして、十二ページから具体例でございますけれ
ども、南関町という
熊本県の北部の方の中山間
地域です。こちらの方で
農家が今八十二戸ありますけれ
ども、将来的にどういうふうに
集積を図っていくかということをこの集落の中で話し合っていただいて、六戸の
農家さんに
集積を図ろうということで、一番下の行にございますが、
地区指定時の
集積率は九%しかなかったんですが、そういった六軒のところに六割ぐらいの
農地を今後
集積していくということになっております。そして、そのプロセスでは、
農業公社によって一括で
農地を借り上げた後で再
配分を行うというようなことをしております。
十三ページの方ですけれ
ども、これは
知事の生まれ故郷の方ですけれ
ども、こちらの方では
地域営農
組織を
立ち上げて
農業法人にする、そしてその法人の方に集約していくというようなことをやっております。先ほどの方は
農家の方に
集積するということですが、こちらはそういった団体の
立ち上げとセットにして進めているということです。
十四ページの方が、これが私
ども平成二十五年度、本年度の目玉として進めてきたものでございますけれ
ども、カントリーエレベーターが既に
整備されているところで、それを
中心として効率的な営農ができるように
組織それから換地、そういったものを全部セットで進めていきましょうというような取組を進めております。下の図を見ていただきますと、それまでも十六ぐらいですか、営農
組織があったんですけれ
ども、それぞれがばらばらに作業しているということでございましたが、これを
一つの
地域を大きくまとめて計画的に作付けができるようにする、作業も大型の
機械を使ってまとめて合理化できるようにするというようなことでやりました結果、大変大きな
面積の集約ができたというふうに思っています。
このモデル
事業の結果が次の十五ページに新聞記事として出ているんですけれ
ども、対象の七百ヘクタールのうち、今年度は二百七十三ヘクタールにおきまして
一つの
農業生産法人が立ち上がって、そこが一体的に効率的な
経営をしていくというようなことになりました。この
農業生産法人は、十二の集落営農
組織がまとまってこれから
経営をしていこうというものでございまして、単なる
耕作ではなく、これから法人としていろんな加工ですとか新たな
事業もやっていこうというような今機運に包まれております。
十六ページでございますけれ
ども、キーとなるのはやはり人なんですね。
農地集積専門員というものを
農業公社の方に配置をいたしまして、そして集約を積極的に働きかけていくというようなことをやっております。
そして、十七ページにこの十四名、
農地集積専門員を配置したというふうにありますけれ
ども、これはただ人を置けばいいというものではなくて、やはり人選も非常に大事だというふうに思っております。
地域農業に精通した
市町村ですとか
JAのOBの方々を積極的に採用して、
地域が分かる方々、そして
地域の
信頼を得られる、あるいは合意形成をコーディネートできるというような人材を選んで配置をした結果、非常に
農地集積が進んでいるというふうにも思っております。
そして、十八ページになりますけれ
ども、そのためのツールの
整備というのが不可欠だというふうに考えております。GISシステムですけれ
ども、十九ページ、御覧いただきますと、合意形成の際に効率的な見える化ツールというものを利用して、十年後、二十年後の耕地のその
耕作状況、営農
状況がどうなってしまうのかということをメンバーの方々に認識をしていただくと。そして、今度、具体的な
集積の手段として、右側にありますけれ
ども、しっかりと色分けして、皆さんが分かりやすいような形で
集積の計画を立てていくと、こういったことをやっております。
そういう意味で、
農地中間管理機構という
組織そのものをつくることも重要ですが、先ほどの人の問題、そしてこういったツールの問題というものを
整備していくことが大事だろうというふうに考えております。
最後にまとめですけれ
ども、今まで私
どもも
集積をしようしようと思ってもなかなか進みませんでしたが、
一つは、
知事のリーダーシップの下に
集積を進めると、そして、
農業公社を
中心にしてそれを動かしていくんだというような決意がまずあったことが大事だというふうに
思います。そして、その旗印の下で、県、
市町村、
JAの連携で粘り強く一体的に進めていくというような
進め方が大事だというふうに考えております。
そして、これはこれからの制度改正にも非常に大事な点になってくると
思いますけれ
ども、出し手の税制対策ですとか、それから新たな
担い手、これは先ほど
奥村参考人もおっしゃっておりましたけれ
ども、やはり
担い手づくりというものもセットになっていかなければいけないと。そして、先ほど申し上げたような
農地台帳を始めとしたツールの
整備というものが総合的に考えられなければいけないというふうに思っております。
熊本県の方で独自にいろいろやってまいりましたけれ
ども、それが何か今後の
参考になれば幸いだなというふうに思っております。
以上でございます。