○徳永エリ君
大臣、ありがとうございました。
国民は今回のこの外食メニューの虚偽表示問題、国がどのように
対応していくのかということを大変に注目していると思います。
国民が納得いくような
対応をしっかりとしていただきたいと思いますので、重ねて
お願いをさせていただきたいと思います。
それでは、次の
質問に移らせていただきます。前回も伺いましたけれども、水田
農業政策の見直しについて伺いたいと思います。
実は週末、小川
委員とともに稲作農家の
方々と意見交換をしてまいりました。先ほど秋田の
方々が大変に不安に思っているという
お話がありましたけれども、何の説明も
議論もないままに次から次へと報道で知らされるというところがありまして、不安に思っているというよりはどうしたらいいのか分からないと、茫然自失という
言葉が一番当てはまるんじゃないかなと、
皆さんと
お話ししていてそんな印象を受けました。
TPP、それから
農地の中間管理機構、それから企業参入、
生産調整の廃止等々、また産業競争力
会議の
農業分科会で出されたペーパーを見ていたり、それから
日本再興戦略では、企業参入の加速化等による企業経営ノウハウの徹底した活用、あるいは若者も参入しやすいよう土日、給料のある
農業の
実現を追求する、大胆な構造改革に踏み込んでいく必要があるというような、こういったペーパーを見ていますと、一体目指している
農業は何なんだろうと、私たちが思っているような
農業、農村ではないものになっていってしまうんではないかということを大変に危惧をいたしております。
極端かもしれませんけれども、
経営所得安定対策のゼロベースでの見直し、それから
生産調整廃止で農家のモチベーションがどんどん下がっていきます。もしかすると離農を促すことになるかもしれない。そして、この中間管理機構で企業が大規模優良
農地を借り受け、
農業者を一労働者として雇い、もうかる作物だけを作る、そんなことが起きるんではないかと。そこには、美しい、温かい、そして笑顔のあふれる田園風景がどうしてもイメージできません。本当に心配であります。
今回の
生産調整の廃止にしても、産業競争力
会議の
議論の方向性は米を市場商品としか見ていない。米の生産装置である水田の自然の中で果たしている役割と機能に目を向けているのでしょうか。高い国境措置で守られているから販売価格と生産コストの差額を補填する必要はないと、もっと生産コストを下げる
努力をしろ、経営
努力が足りないのだから公的支援は要らないというのが産業競争力
会議の民間
委員の
皆さんの御意見のようでありますけれども、なぜ高関税で米が守られているのか、このことをしっかりともう一度理解した方がいいと思います。
水田が
日本の自然をコントロールする根幹を成しているから、高関税の防壁で守っていかなければいけないんです。治水、環境
整備、それから景観の
保全、生物多様性などの
多面的機能を備えているのだから水田を守る、維持していってもらうためにも農家の経営を安定させなければならない。だからこそ、恒常的な赤字は埋めて再生産可能な最低限の支援が必要なんだと、それがないと営農の継続ができないというのが岩盤
部分、十アール一万五千円に対する民主党の考え方でありました。
農業者戸別所得補償制度は、そのような
多面的機能維持、それから向上への対価でもあり、
農業農村社会の安心の土台になってきたと思っています。まさに今
政府がやろうとしていることはこの土台を壊そうとしていることなのではないかと思います。
衆議院の
農林水産委員会の中で玉木
委員が小規模農家の切捨てだということを申し上げていたと思いますが、私は、この
生産調整の廃止によって大規模農家も切り捨てられるのではないかということを大変に心配をしております。
お手元に資料を配らせていただきましたので、御覧をいただきたいと思います。ちょっと大胆な計算かもしれませんけれども、米の価格が大きく下がって何の補償もしなかったら、北海道の稲作農家にこれだけ影響があるという試算をしてみました。
今年の北海道の平均の米の価格は一万一千五百円です。これが、経済同友会の新浪座長、今の産業競争力
会議農業分科会の新浪主査の案から拾ったんですけれども、十年で米の価格を七千円まで下げるということを目指しているそうであります。
これ、七千円程度まで下落すると見込んで計算します。北海道の平均水田面積は二十二・一ヘクタールであります。そして、平均反収は十アール五百六十四キロですから九・四俵です。米価の下落幅、これをこの面積とそれから反収に掛け合わせますと、平均的な水田で九百三十四万八千三百円影響が出ます。そして、これ北海道の十勝の面積で言うならば、三十八・三ヘクタールが平均でありますから、こうなると、一千六百二十万九百円の影響が出るということになります。
そして、北海道の
農業経営収支の平均、下に書いてありますけれども、
農業粗収益一千二百八十万、そして
農業経営費八百三十七万三千円、そして米以外の
農業所得四百四十三万七千円となっておりますけれども、これで米の価格が下がると、減収幅が九百三十四万ですから、五百万円の大赤字という計算になるわけなんですね。
特に北海道の大規模農家は、これも下に数字がありますけれども、一経営体の平均で九〇・一%が
農業所得に頼っているということであります。もうほとんどが専業農家であります。都府県の場合は三九・六%というふうになっておりますけれども、生きがいのためにお米を作っているという方もいれば、あるいは縁故米を作っているという方もいますし、それから、秋田でも先ほど八割が兼業という
お話がありましたけれども、兼業農家が非常に多いわけですね。ですから、
農業からの所得が減ったとしてもそんなに大きな影響を受けることはないんですが、北海道は専業で大規模でほとんどこの
農業所得に頼っておりますから、この数字を御覧になっていただいたら分かるようにもうダメージが大変に大きいということで、先ほど申し上げました茫然自失というような
状況になっているんです。
これから分かりやすいパンフレットなども作って説明もするという
お話でしたけれども、もう早急にこれ説明に走らないと本当に現場は混乱すると思いますので、
対応していただきたいと思います。
今回、稲作農家の
方々と意見交換をしてきた中で、どうしても分からないのでこれを確認したいと言われたことが幾つかありますので、そこを御
質問させていただきたいと思います。
産業競争力
会議農業分科会のペーパーによりますと、生産数量
目標が自由な経営判断を妨げているということでありますけれども、
生産調整に加わった販売農家だけが戸別所得補償制度の
対象になるわけですから、
生産調整に加わらなければ、
経営所得安定対策に参加しなければ作りたいだけ自由にお米は作れるわけでありまして、既に農家の自主選択や自由裁量は十分に与えられていて、生産を大きく妨げる原因にはなっていないと私は思いますが、この点に関していかがでしょうか、お伺いいたします。