○小川勝也君 これ以上、想像で
質問してもしようがないのでまとめますけれども。
一つは、国際
交渉、いろんな形態がありますけれども、ここまで国民に情報を提供しない
交渉はいまだかつてなかったわけであります。独裁国家ならばいざ知らず、
政府の権限は無限ではありません。国民に情報をできるだけ開示しながら、国民に判断を求めつつ
交渉をしていくというのが
一つ大事な事柄であるとすれば、この
TPP交渉は極めて異例です。そのことを御承知の
林大臣は、最後、批准までの間に何らかの情報提供があるのではないかということをお含みいただきました。最終的に国会、ここが関与するわけでありますので、最後、批准までの間の情報提供についても
農林水産省としても格別の役割を果たしていただければというふうに思っているところであります。
それから、あえて蛇足でありますけれども、六番のところで、「自然的・地理的条件に制約される」という部分があります。たまたま十一月三日、四日、民主党の海江田代表が北海道の北見
地域、十勝
地域を訪問いたしました。徳永
委員と私、同行させていただきましたけれども、これは北海道の地理的条件をしっかり把握していただきたいという思いで実施されたものであります。
例えば、私どもが一番心配しているのは、この五項目の中にあります甘味資源
作物と乳製品です。甘味資源
作物は、今申し上げた両
地域の畑作・輪作体系に欠くことのできない
作物であります。吉川副
大臣と
横山政
務官は北海道
農業にも大変精通しておられますので釈迦に説法ですけれども、寒冷地で畑作
農業をやるときに連作障害を避けるために長年の英知で組み合わせたその
畑作物がてん菜を含むバレイショ、豆、麦なわけであります。一たび甘味資源
作物のビートが崩れると、歴史的に積み上げてきた当該
地域の畑作・輪作体系全てが崩れ去るという大きな影響を及ぼすものであります。
加えて、乳製品で申し上げると、いわゆる生乳、これは、いわゆるところの外国から運んでくる間に大変なコストと劣化等のリスクがありますので、生乳の、すなわち飲む牛乳の自給率は激減される心配は非常に少ないと
考えます。しかし、北海道は加工原料乳を作る酪農地帯であります。すなわち、バター、チーズ、脱脂粉乳、生クリーム、この辺はまさに、大型化してもニュージーランドやオーストラリアや
アメリカ合衆国やカナダと比較できない
農業経営規模でありますので、価格競争力を持ち合わせません。特に、道東
地域を始め北海道には酪農しかできない
地域がありますので、この乳製品の
関税が、すなわちその
地域を人の住めない場所にするということにつながっていく、そのおそれも議事録に載せていただければというふうに思っているところであります。
今、
TPPの問題が黒船だとすれば、午前中の
質疑にもありました、様々ないわゆる変革のときを今迎えているのが
我が国の
農業政策であります。私たちは、自画自賛するわけではありませんけれども、猫の目農政の中で
農業者の方々も大変苦しんでこられました。そして、
農業者の人口をどんどん減らす中で、特に北海道では
規模が大きくなり、そして優秀な
農業者だけが残り、冷害が少なくなり、
政府の施策が次々と充実をし、最後は民主党の戸別所得補償政策によって、何とか安心の
農業になった矢先であります。それまでは、筆舌に尽くし難い苦労の連続でありました。私自身は、父親が村の鍛冶屋だったわけでありますので、農家の方々が毎日うちに訪れておりました。借金の話、冷害の話、
地域の離農の話、議事録に載せるのは適切かどうか分かりませんけれども、首つりと夜逃げの話、そういった話を聞いて育ったのが私であります。
今、やっとこの北海道
農業は良くなりました。なぜ良くなったかということを一言で言うならば、今
農業分野に対して
農業関係者以外からいろんな提言が寄せられているようでありますけれども、そのキーワードの
一つ、
規模拡大です。
規模拡大が
農業経営の安定をもたらしたことを私は否定をいたしません。しかし、
農業から他分野に追われた人、そして、どんどん
地域コミュニティーが困難になった
地域、学校がどんどんなくなり、役場がなくなり、出張所がなくなり、商店がなくなる、そんな
地域をずっと見てきたのが、北海道選挙区から出ている参議院議員の私であります。今、様々な審議会やあるいは他分野からの提言で、
農業分野にいろんな提言がなされています。
経営効率が悪いのではないか、それは全くないとは言えません。しかし、彼らが
考えるような
農業政策を取れば、北海道と同じように、府県の
全国の
農業地域に限りなく少ない人口とどんどんなくなる集落ができるだろうということを、私は北海道で事前に見させていただいたから提言できる分野もあるのではないかと思っているところであります。
まず、
大臣にお伺いをしたいわけでありますけれども、今成長戦略という言葉があります。後でお尋ねしたいと思いますが、攻めの農政というのがあります。それもいいんですけれども、まずは、国を統べるのは会社を
経営されておられる方ではなく、議院
内閣制の
我が国であれば、やはり国民の負託を受けた国
会議員であり、そして多数党を構成した中から
内閣総理大臣と閣僚が選ばれるわけでありますので、私は
農業政策でも農村
地域政策でも、まずは政治家が
議論してしかるべきだと思っています。
ですので、例えば農村
地域が国土保全のために果たしてきた役割はこうなんだと、
農業経営の効率を優先するよりも国民に食料を供給することが大事なんだということをまず言ってから
農業政策やあるいは成長戦略を
議論するのが私は筋だと思います。
林大臣、いかがでしょうか。