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2013-11-05 第185回国会 参議院 経済産業委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年十一月五日(火曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員異動  十月二十九日     辞任         補欠選任      礒崎 哲史君     直嶋 正行君  十一月五日     辞任         補欠選任      荒井 広幸君     浜田 和幸君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         大久保 勉君     理 事                 岩井 茂樹君                 松村 祥史君                 加藤 敏幸君                 倉林 明子君     委 員                 磯崎 仁彦君                 高野光二郎君                 滝波 宏文君                 宮本 周司君                 吉川ゆうみ君                 渡邉 美樹君                 小林 正夫君                 直嶋 正行君                 増子 輝彦君                 杉  久武君                 谷合 正明君                 行田 邦子君                 松田 公太君                 中野 正志君                 荒井 広幸君    国務大臣        経済産業大臣        国務大臣        (内閣府特命担        当大臣原子力        損害賠償支援機        構))      茂木 敏充君    副大臣        経済産業大臣  松島みどり君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       磯崎 仁彦君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      杉本 和行君        原子力規制委員        会委員長     田中 俊一君    事務局側        常任委員会専門        員        奥井 俊二君    政府参考人        総務大臣官房審        議官       南  俊行君        厚生労働大臣官        房審議官     鈴木 俊彦君        経済産業大臣官        房地域経済産業        審議官      加藤 洋一君        経済産業大臣官        房審議官     宗像 直子君        経済産業省経済        産業政策局長   菅原 郁郎君        経済産業省産業        技術環境局長   片瀬 裕文君        経済産業省製造        産業局長     宮川  正君        経済産業省商務        情報政策局長   富田 健介君        資源エネルギー        庁長官      上田 隆之君        資源エネルギー        庁汚染水特別対        策監       糟谷 敏秀君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       木村 陽一君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      高橋 泰三君        中小企業庁長官  北川 慎介君        国土交通省道路        局次長      谷脇  暁君        原子力規制委員        会原子力規制庁        次長       森本 英香君        原子力規制委員        会原子力規制庁        審議官      櫻田 道夫君        原子力規制委員        会原子力規制庁        審議官      山本 哲也君        原子力規制委員        会原子力規制庁        原子力地域安全        総括官      黒木 慶英君        防衛大臣官房審        議官       宮園 司史君        防衛省防衛政策        局次長      真部  朗君    参考人        東京電力株式会        社代表執行役社        長        廣瀬 直己君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○経済産業貿易及び公正取引等に関する調査  (原子力発電所及びその周辺地域安全対策に  関する件)  (中小企業海外展開支援に関する件)  (中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業  の執行状況に関する件)  (国際標準化重要性国際標準獲得への取組  に関する件)  (日本経済現状中小企業活性化に関する  件)  (固定価格買取制度における認定発電設備の稼  働状況に関する件)  (地場産業の育成に関する件)     ─────────────
  2. 大久保勉

    委員長大久保勉君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十月二十九日、礒崎哲史君が委員辞任され、その補欠として直嶋正行君が選任されました。     ─────────────
  3. 大久保勉

    委員長大久保勉君) この際、松島経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。松島経済産業大臣
  4. 松島みどり

    ○副大臣松島みどり君) 経済産業大臣を拝命いたしました松島みどりでございます。  着任から一か月余りになりますが、茂木大臣を補佐し、中小企業政策、クール・ジャパンの推進、資源外交製造業復活支援など、幅広い分野の仕事をさせていただいております。  この委員会には様々な経験、経歴をお持ちの方々がいらっしゃいます。大久保委員長を始めとする委員の皆様の御指導をいただき、日本経済の再興、企業だけでなく働く人々や消費者も共に豊かさや幸せを感じることができる日本をつくってまいりたいと思います。  今後ともどうかよろしくお願いいたします。ありがとうございます。     ─────────────
  5. 大久保勉

    委員長大久保勉君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  経済産業貿易及び公正取引等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務大臣官房審議官南俊行君外十九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大久保勉

    委員長大久保勉君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 大久保勉

    委員長大久保勉君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  経済産業貿易及び公正取引等に関する調査のため、本日の委員会に、東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 大久保勉

    委員長大久保勉君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 大久保勉

    委員長大久保勉君) 経済産業貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 滝波宏文

    滝波宏文君 自由民主党、福井県選出の滝波宏文でございます。この夏の参議院選で初当選し、本日初めて国会で質問させていただきます。至らぬ点が多いと思いますが、どうかよろしくお願いいたします。  さて、本日は、エネルギー問題を中心にお尋ねしたいと思います。御案内のとおり、私の地元福井県は、商用炉十三基、「もんじゅ」を含めますと十四基の原発を抱える全国最大集積地であります。福島第一原発事故で明らかになったように、従前思っていた以上にリスクを抱えながらも、関西地域に安定、安価なエネルギーを、電力を供給してきたところでありますが、感謝されるどころか、まるでほうり出されるような扱いであると地元で怨嗟、心痛の声を多く聞きます。国がしっかりとエネルギー政策の中で原発を位置付けていただかないと、国及び電力消費地原発立地地域との間の信頼関係が崩れてしまいます。  原発同様、言わば不人気施設ではありますが、広く有益なパブリックグッズ公共財を提供しているものとして基地がありますが、沖縄の基地問題のように地元との関係をこじらせることは国として避けねばなりません。信頼関係は、一度失ってしまいますと元に戻すのは大変困難です。  このような問題意識に基づきつつ、本日は、国としてどのようなエネルギー政策を取るべきかについて、発電規模、質という観点から質問させていただきたいと思いますが、冒頭、原子力規制委員会委員長が十分間だけいていただけるということでございますので、まず、委員長に一問だけ原発安全審査について質問させていただきます。  規制委員会裁判官ではなく検事になっているというふうな疑問視をする声がアメリカ原子力規制委員会関係者の方から出ているという報道がありました。規制委員会設置法一条にも、中立公正な立場で職務を行使するとあるように、規制委員会は中立公正な裁判官としてあるべきであって、三・一一の落とし前を付けるとか、原発あるいは電気事業者は罰する、悪であるから罰するんだというような検事としての立場ではあってはならないと考えますが、委員長の見解を伺います。
  11. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) これまでも何度も申し上げてきましたように、私ども規制委員会は、科学的、技術的知見に基づいて中立公正な立場から原子力発電所の新たな規制を決め、それに基づいてその基準の適合性について確認をする、しているところではありますし、それが私どもの役割と考えております。  これまでも、NRCのマクファーレン委員長を始め各委員とも何度も私自身がお話合いをさせていただきましたけれども、そういったそしりを受けたとか、そういった御批判を受けたことはありません。
  12. 滝波宏文

    滝波宏文君 くれぐれもパニッシュメント、罰するというような偏った姿勢と疑われることのないようにお願いいたします。  これで委員長は御退席いただいて結構です。
  13. 大久保勉

    委員長大久保勉君) 田中委員長は退席されて結構です。
  14. 滝波宏文

    滝波宏文君 さて、発電規模、質の問題について、原発がなくとも再生可能エネルギーがあるから大丈夫だというふうな議論をよく聞きます。一方で、原発は一基百万キロワット、そして風力太陽光、いずれも稼働中、最大のものでも一発電所数万キロワットということでございます。百万キロワットと数万キロワット、桁違いです。FIT、すなわち固定価格買取り制度によって再生可能エネルギーの件数、容量増加しているとは聞きますけれども、一方で、FITに申請しているだけで、実際に稼働に至っているものは少ないと懸念する報道もありました。  そこで、お尋ねいたします。三・一一の前、原子力発電我が国電力の約三〇%を賄ってきましたが、現在全基が止まっております。その代替として再生可能エネルギーは何%分を賄ったのでしょうか。また、FITに基づき申請された再生可能エネルギー設備が今後全部導入されたとして、何%分の代替が見込まれるのでしょうか。そして、そのためにFITに掛かる費用は幾らなのでしょうか。  なお、水力は独立して扱うべきですし、バイオはむしろ火力の一種ですから、可能であればこれらを除いて御回答ください。よろしくお願いします。
  15. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 滝波委員から初めて御質問いただきますが、福井県の出身ということでありまして、選挙のときも、たしか大きな商業施設の前で、余り人通りはなかったんですけれど、エネルギー政策について大変熱く語っておられた、大変印象に残っております。  さて、御質問いただきました再生可能エネルギー水力を除いて申し上げますと、総発電量に占める現在の割合、これは一・六%、これは二〇一二年度であります。政府としては、今後三年間の間で最大限再生可能エネルギー普及を加速させることとしておりまして、まずは固定価格買取り制度を着実かつ安定的に運用していきたいと考えております。  仮にこれまで認定された設備が全て運転を開始した場合、再生可能エネルギー、ここでも水力を除いた場合でありますが、の総発電電力量に占める割合は五%に拡大することになります。また、この場合にこれらの設備に係る国費負担、これは制度初年度調達価格が適用されることから、約八千五百億円程度と見込まれます。一定の仮定を置いて計算をいたしますと、標準家庭の月額の負担、現在は百二十円のものが二百九十円程度になると、このように試算ができます。  再生可能エネルギーの買取りに伴い家庭企業など利用者負担が過重とならないように、今後も発電設備コスト低下については毎年度の調達価格にしっかりと反映をさせていきたいと、このように考えております。
  16. 滝波宏文

    滝波宏文君 ありがとうございます。  再生可能エネルギー容量は増えているというふうに聞きますが、やはり低稼働率というふうな性質上、なかなか代替、ほとんど原発代替というのは期待できないし、期待できる見込みも薄いんじゃないかというふうな御回答だと認識いたしました。国民生活産業の基盤たる電力、成り行き任せの風任せでは駄目だというふうに理解しております。  次に、その発電の質に関する問題についてお聞きします。  原発火力燃料を燃やせば最大出力を得ることができますが、風力太陽光など再生可能エネルギーは、風が吹かなかったり太陽が照らなかったりした場合に、まさに低稼働率の問題ですけれども、使い物にならないというふうな性質がございます。そのため、再生可能エネルギーを導入する場合に同容量火力発電所バックアップ電源として別途用意しなきゃいけないというふうな話を聞きましたが、本当でしょうか。だとしたら、再生可能エネルギー容量拡大というのは、重複する過大な投資電気事業者、そしてひいては国民に迫るだけでなく、我が国電力を賄うのに結局ほとんど足しにならないのじゃないかと、今五%という話がありましたが、五%分別途火力を賄わなきゃいけないというふうなことではないのかと懸念いたしますけれども、認識を問います。よろしくお願いいたします。
  17. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 再生可能エネルギーなどにつきまして、そのバックアップの問題をどう考えるかという御指摘でございます。  委員指摘のとおりでございますが、この発電量が不安定な太陽光発電あるいは風力発電による電気を系統に大量に受け入れるということを行うためには、その変動を吸収しながら需給を安定させると。そのための、例えば火力発電等調整電源あるいは十分な送電網等々が必要になってくるわけでございます。  現状でございますが、需要規模の大きい東京電力、中部電力等々の電力管内につきましては十分な調整電源がある状況ではございます。他方で、北海道あるいは東北といった風力発電の適地の一部ではこの調整電源が不足をしております。このため、送電網の充実、広域的な運用の強化、あるいは変動を吸収するための蓄電池の設置などの対策を講じることによりまして、相対的にコストの安い風力発電の導入を加速するなど、コストを合理的に再生可能エネルギー普及促進に努めてまいりたいと考えております。
  18. 滝波宏文

    滝波宏文君 ありがとうございます。  再生可能エネルギーでの原発代替問題点発電規模、質という観点からその一端明らかにすることができたかと思います。  それで、その結果、火力に頼るいわゆるたき増しの状態になっているという現実だと理解しておりますが、改めて、火力発電により従来原発が賄っていた電力約三〇%のうち何%分を賄っているのか、それにより資源のない我が国において燃料輸入代として幾らを追加で払っているのか、そしてそれに伴い我が国が抱えている問題について御答弁ください。
  19. 高橋泰三

    政府参考人高橋泰三君) お答え申し上げます。  御指摘ございましたように、原子力発電所稼働を停止をしておりまして、その分火力発電所たき増ししているところでございます。現行、火力発電比率につきましては、震災前、二〇一一年度は六割でございましたけれども、足下九割まで上昇してございます。特にLNG火力比率震災前の三割から五割近くまで上昇してございます。こうした火力発電たき増しによりまして化石燃料消費量が増大をしておりまして、燃料費増加をしております。二〇一三年度の燃料費でございますけれども原子力発電所稼働している場合に比べまして約三・六兆円増加すると見込まれてございます。  また、化石燃料たき増しによりましてCO2排出量も増えてございます。電力分野の二〇一二年度のCO2排出量は四・九億トンでございまして、これは震災前、二〇一〇年度と比較しまして約一・一億トンの増加をしてございます。この増加分は大体日本エネルギー起源CO2排出総量の約一割に相当するものでございます。  また、火力発電比率が九割ぐらいに高まっておりますので、こうした化石燃料への依存が高まれば資源調達上のバーゲニングパワー低下などエネルギーセキュリティー上のリスクも高まる可能性があるというふうに考えてございます。  以上でございます。
  20. 滝波宏文

    滝波宏文君 三・六兆円増というふうな話でございますが、この数字、GDPの約一%弱になるかと思います。高度成長期を終えた我が国経済がこの一%弱の足かせを引きずりながら少子高齢化時代を進んでいけるとは思えません。消費税と違ってこの三・六兆円全部国富の流出になります。別途、先ほどお話ししたFIT負担再生可能エネルギーバックアップ電源に対する重複投資等、そういったものによる電気代の高騰も我が国経済に重くのしかかってくることかと思います。その他、今挙げられたCO2の問題、安全保障、そういった各種問題等関係におきましても、原発は引き続き基幹電源として、ベース電源として欠かすことはできないと思ってございます。それが現実的な結論だと思います。  そして、現在、原発リプレース、新増設について疑問を投げかける声がありますが、リプレース、新増設がないということは原発が死んでいくということになります。先ほど来の発電規模、質の論点からも無理がありますが、それ以上に、死んでいく技術に何十年も付き合ってくれということであれば地元は納得ができません。そういう地元気持ち、会計でもゴーイングコンサーン、すなわち継続存在破綻確定ということでは全く価値、意味が違ってくる、そういったことを考えていただいて、地元気持ちをしっかり認識いただきたいと思ってございます。  もちろん、私も、先ほど来話のある再生可能エネルギーについて促進を否定するものではありません。どんどんやったらいいとは思いますが、ただもちろんいろんな負担もありますし、それから何より発電規模、質の状況からしましたら、再生エネルギー原発代替には限界があると見るのが責任ある判断だと思ってございます。  さきの大戦においてB29を竹やりで突こうというふうな話があったと聞きますけれども、今でこそ精神論規模、質の問題を越えようとした間違いだというふうに認識されておりますが、同様な間違いを国家の基礎たるエネルギー問題で繰り返してはなりません。  安倍総理は、二月二十八日の施政方針演説で、「エネルギー安定供給エネルギーコストの低減に向けて、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。」とおっしゃいましたが、ここで改めて、原発リプレース、新増設を含め、茂木大臣エネルギー基本計画決定に向けた御検討状況とそして決意を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
  21. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 小説で、「昭和十六年夏の敗戦」という小説があります。実際、日本敗戦したのは昭和二十年の夏でありますが、その四年前に、それは滝波議員も所属をされたかつての大蔵省やそれぞれの省庁の若い官僚が集まって、もしアメリカと開戦をした場合にどういう状況が訪れるか、特にエネルギーの問題であったりとか含め、本当に日本の国力をして戦争が耐え得るのか、こういう詳細な分析を行いまして、結果的には無理であると、こういう結論を出した。これが「昭和十六年夏の敗戦」という本でありますけれども、まさに資源を持たない我が国において、これから三・一一の新たなエネルギー制約の下で、どのような状況であってもこのエネルギー需給の安定、こういったものに万全を期していくということが大切だと思っております。  同時に、多様なエネルギー源を確保していかなければならない。再生エネルギーもそうでありますが、同時に、世界と比べても最高の技術を持っております日本の高効率のLNGやそして石炭の火力、こういったものもしっかり進めていくことが必要だと思っております。  さらには、三・六兆円増加をしてしまった日本エネルギーコスト、これを考えた場合に、エネルギー源調達先多様化多角化というものも進めていかなければならない。御案内のとおり、今また中東依存度が圧倒的に高まっておりまして、これをやはり北米からのシェールガスの輸入を始め、調達先多角化することによってバーゲニングパワーを持つと、こういったことは極めて重要だと、このように考えております。  原発につきましては、三・一一の事故、この反省、教訓も踏まえて、いかなる事情よりも安全性を重視し、そしてその安全性につきましては独立した規制委員会判断に委ねる、こういうことになっております。我々としては、規制委員会によりまして安全性が確認された原発については再稼働を進めたい、このように考えているところであります。  同時に、電力、これまでは需要サイド、これは所与のものである、決まっている、それに合わせて調達を積み上げる、こういうやり方をやってきましたけれども、これからは需要そのものも、例えば様々な価格メニューを提示すること等々によりましてスマートにコントロールしていく、こういったことが必要だと思っております。  恐らく、一つの方策によって今のエネルギー制約を克服していくということは難しい、そのように考えておりまして、今、エネルギー基本計画につきましては、月三回の割合で鋭意基本政策小委員会におきまして議論を進めていただいているところでありまして、それぞれのエネルギー源の特徴も含め、年末には取りまとめをお願いしたい、そのように考えております。その上で、これから三年でエネルギーミックスの目標、こういったものをしっかり設定して、十年以内に責任あるエネルギー需給構造、体制の構築を図ってまいりたい、そのように考えております。
  22. 滝波宏文

    滝波宏文君 ありがとうございます。  先ほど来の規模、質の議論を踏まえた現実的、かつ責任のある、そして風任せでない形で、また地元気持ちを酌んだ形で、エネルギー政策決定の中で原発をしっかり位置付けていただきたいとお願いいたします。  さて、原発安全対策についてですが、今し方お話あったように、規制委員会が独立して事業者にいろいろ指図をしているというところではありますけれども、そちらに焦点が当たりがちなんですが、地元の視点からは各省に広くまたがっております。  例えば防衛省地元福井県では三・一一で脆弱性の高さが明らかになってしまった原発のテロを含む人災及び天災への対策として、自衛隊の警護出動対象原発も格上げするというふうなこと、それから原発立地地域への駐屯についての要望が出ております。  また、国交省周辺地域道路整備状況というものは、主要幹線国道でも片側一車線ですぐに詰まるのが日常茶飯事というふうなところで、緊急時の避難、事故制圧等の観点からは甚だ心もとない状況であります。避難範囲が拡大する中で、原発から国道につなぐまでが原発避難道だといったような狭い考え方では駄目で、国交省にも、原発避難道は経産省の話だというふうな形で逃げないでしっかり対応していただきたいと思ってございます。  このように各省にまたがる原発安全対策、誰が取りまとめているのか非常になかなか分かりづらくて、規制委員会かと思ったらそうではありませんでした。内閣に設置された総理を議長として全ての大臣が議員となっている原子力防災会議が平時の司令塔であり、それを支える事務局は内閣府の原子力災害担当室というふうなところになってございます。この担当室は全員が規制庁の併任というふうになってございますが、要は、内閣府の内閣補助機能、これを借りて、看板を借りて規制庁が各省を束ねているというふうに認識してございます。  そこで一定の努力はされておりまして、立地地域ごとの十三のワーキングチームをつくって、そこに共通する課題を関係省庁で検討しているということでございます。その内容を見させていただきましたが、ただ、誰と誰が緊急時には連絡を取るのかといったソフト面に限られている嫌いがあります。ハード面、それこそ緊急時の避難道や自衛隊の駐屯など、平時からのインフラ、体制整備といったことがなければソフト面も生かせないと思います。そういう地元の思いをしっかり踏まえた体制整備、政府を挙げた原発安全対策ということが必要だと思ってございます。  この点、まず、取りまとめ役の内閣府兼規制庁責任者の方から所見と決意をお聞かせください。
  23. 黒木慶英

    政府参考人(黒木慶英君) 自治体が策定します地域防災計画、避難計画につきましては、これまで内閣府として、地域防災計画作成マニュアルの提示、広域的な対応の調整を行う協議会の開催、道府県の防災資機材の整備の財政的支援などにより計画作成が進むように取り組んできたところでございます。  現状を申し上げますと、地域防災計画の本体につきましては約九割の関係自治体において作成済みでございますが、いわゆる各論の部分でございます住民の避難計画につきましては、約六割強の自治体において作成途上あるいは内容が不十分といったような状況にございます。  このため、九月に開催されました原子力防災会議におきまして、関係省庁挙げて関係自治体の避難計画の充実化、各論部分でございますけれども、を支援する方針が決定されたところでございます。この方針の下に、先ほども御指摘のとおり、ワーキングチームをつくりまして、現在、各地域の具体的な課題の解決に向けた取組を開始しているところでございます。先月九日には、まさに御指摘のとおりでございますけれども、避難計画を作成するに際し共通して抱える課題に対する考え方を自治体に提示したところでございます。  現在、ワーキングチームにおきまして、関係省庁と自治体担当者が膝を交えて具体的な課題解決のための議論を実施しているところでございます。引き続き、関係自治体に対する支援に努めてまいる所存でございます。  以上でございます。
  24. 滝波宏文

    滝波宏文君 規制庁は、事業者に指図するばっかりじゃなく、広い視野で天災、人災を含めた原子力安全対策を知見がある経産省とも協力して積極的に取っていただくようお願いいたします。  続けて、防衛省から、福井県の要望など、原発安全対策に対する、要望に対する検討状況、決意をお伺いします。
  25. 宮園司史

    政府参考人(宮園司史君) お答えいたします。  原発施設を自衛隊法に定める警護対象施設にすべきではないかという御質問をいただきましたけれども、まず原発警備をめぐる現状等について少し申し上げますと、現在、原子力発電所等の警備につきましては第一義的には警察や海上保安庁において実施をしておりますが、一般の警察力をもっては治安を維持できないような緊急事態が発生した場合等には自衛隊法に規定する治安出動等により自衛隊が出動し、警察や海上保安庁と緊密に連携しながら対処することとなります。  そのため、自衛隊におきましては、このような事態に備え、平素から警察や海上保安庁と共同訓練を行うなどして連携の確保に努めているところでございまして、例えば、昨年も四国電力の伊方原発におきまして自衛隊と警察が共同して初めて実際の原子力発電所を舞台とした実動訓練を実施したり、若狭湾におきまして自衛隊と海上保安庁が共同して初めて原発テロ対処の実動訓練を行ってきたところでございますが、防衛省・自衛隊といたしましては、今後とも、原発警備の重要性等に鑑み、この種訓練を精力的に実施しつつ警察と海上保安庁との連携を更に強化し、いざというときの対処に万全を期してまいりたいと、かように考えております。  なお、御質問いただきました自衛隊が原発施設等を警護できるような法整備の問題についてでございますが、委員指摘の点を含め、原発警備の問題は大変重要で、かつ政府部内でも十分な調整を要する事項でもありますので、防衛省・自衛隊といたしましては、今後とも、国会での御議論等も踏まえながら、適切に判断、対処してまいりたい、かように考えております。  以上でございます。
  26. 滝波宏文

    滝波宏文君 済みません、駐屯の方は。
  27. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 本年六月に福井県知事の方から、原子力発電所立地地域への陸上自衛隊、海上自衛隊の部隊の配備について御要請をいただいておるところでございます。この点は委員指摘のとおりではございます。  それで、今、宮園審議官が申し上げましたように、防衛省・自衛隊といたしましては、ゲリラ、特殊部隊等によりますところの原発に対する攻撃あるいは原子力災害などが発生した際に、各種の部隊等を機動的に運用するなどによりまして、適時適切な原発の防護、災害救援等に対応し得るような必要な体制を取っているところではございます。この点については、引き続き体制に万全を期してまいりたいと思っておるところでございます。  他方、この部隊の配備、この点につきましては、本年七月に防衛省において取りまとめました防衛力の在り方検討に関する中間報告におきましても、自衛隊の体制整備に当たって重視すべき方向性の中で、ゲリラ、特殊部隊による攻撃の事態において原発等の重要施設を防護するための能力の整備についても検討することとしております。  現下、厳しい財政状況等はございますが、そういうことを踏まえつつではございますけれど、直ちに部隊を新たに配備するということは今申し上げることはちょっと困難でございますけれど、こういった各方面からの御要請もございますので、それを踏まえつつ、年末の防衛計画の大綱の見直しに向けまして、自衛隊の体制につきましても検討をいたしてまいりたいと思っております。
  28. 滝波宏文

    滝波宏文君 福井県は北朝鮮による拉致も起きた土地柄です。体制整備に向けて一層の検討をよろしくお願いいたします。  最後に、国交省、国道二十七号線、百六十一号線、百六十二号線等、そういった幹線国道も含めた原発避難道整備に向けた検討状況、決意をお伺いして、ちょっと早いですけれども、私からの質問を終わらせていただきます。よろしくお願いします。
  29. 谷脇暁

    政府参考人(谷脇暁君) 原子力発電所周辺における避難道路の整備につきましては、住民生活の安全の確保を図るために、また広域的な緊急活動の経路として大変重要であるというふうに認識をしております。関係省庁や地方公共団体と連携を図りつつ、必要な道路整備を推進しているところでございます。  今御指摘のございました国道につきまして、具体的に説明させていただきます。  福井県嶺南地域におきまして広域的な緊急活動の経路として重要な役割を果たすと考えております国道二十七号線につきまして、美浜東バイパスなどの四車線化を実施しておるところでございます。平成二十六年度の開通に向けて整備を進めております。また、京都方面への避難路として重要な役割を果たします国道百六十二号線につきましては、福井県が深谷・相生地区におきまして線形改良などの調査を実施しているところでございます。県の方から今後御要望があれば、社会資本整備総合交付金などによりまして支援させていただければというふうに考えております。  今後とも、引き続き原子力発電所周辺での必要な道路整備を推進してまいります。
  30. 滝波宏文

    滝波宏文君 ありがとうございます。  三・一一を踏まえた国土強靱化の中で、原発避難道整備というのは、別途、東南海地震に備えた北陸新幹線や中部縦貫自動車道など東西のバックアップ交通網といったことと併せて重要な柱になるべきだと考えております。来年度予算の仕上がりの中でもしっかり説明できるようによろしくお願いいたします。  以上をもって私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  31. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合正明です。  それでは、早速質問に入らせていただきます。  安倍政権といたしましては、来年の四月に消費税を五%から八%に引き上げるという決断をなされました。私はこれはこれとして評価したいと思っております。そして、今後の経済対策の焦点につきましては、何といいましても、消費性向の強い世帯が景気回復を実感できるかという点にあると思っております。その意味におきましては、特に雇用、とりわけ賃金、これが引き上がっていくのかどうかというのが極めて重要であると思っております。  十月末に大手会社の決算の記者会見というのがありましたけれども、幾つかの大手企業から来年度ベースアップということに言及がなされまして、これは、いろいろ報道によりますと、通常、春闘で労組側が要求する前にベアの検討に言及するというのは極めて異例なことであるということで、政府の賃上げ要請に応じたという形になっております。  これはこれで大変喜ばしいし、評価したいことだと、動きだと思っておりますが、なかなか、各委員の皆様もそうだと思うんですが、地元に戻ると、どうしてもそれは大企業中心の動きでしょうということになります。中小企業はなかなかそこまでは行かないんだと、経営者の皆様からの声を直接聞いてもなかなかそういう状況ではないと。中には、調査の一部には、中小企業の経営者の六割が賃上げに前向きだというような調査もあるようなんですが、前向きだとしても本当にできるかどうかというのはまた違う問題でございまして、ということも大事だと思っております。  しかも、来年四月という時点において景気回復を実感できるかということを考えますと、来年四月に賃上げをしていくためには、もう年内に経営判断としてこの賃上げの決断をしていかなければならないという状況だと思います。という意味では、実はこの十一月、十二月というのは非常に大事な時期であると思います。  本当に政府経済対策が賃金引上げに結び付くのかどうかと。今後、その確実な賃金引上げに結び付くその施策とその道筋につきまして、この経済対策の中心を担う経済産業省の取組をまず聞きたいと思っております。特に中小企業への浸透度合いというのはどのようなものなのかというその認識をまず、認識も含めて中小企業の賃金引上げに対するこの施策について大臣から御答弁をいただきたいと思っております。
  32. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) ここに来て、大手企業を中心に経営者の側から賃上げ等につきまして非常に前向きな発言、相次いでおります。今年の四月から九月に決算のありました大手企業五百八十九社、これは六割が増収増益という形でありまして、確実にアベノミクスの成果が生まれてきていると考えておりまして、こういった企業収益の改善を委員指摘のように賃金や雇用の拡大につなげ、それが消費の拡大になり、また生産や投資を生む、こういう好循環を我々としてつくってまいりたいと考えております。  そのために、この秋に設置をしました政労使の場等々を活用しながら、政府だけではなくて民間ともこの好循環実現に向けた意識というのを共有をしてまいりたいと考えております。  私自身も、先月、十月の十日には、経済界の代表の方々、また十月の二十五日には中小企業関係団体の代表の方々と直接お会いをして、今政府が取っている経済対策、これまでと次元の異なる対策について説明すると同時に、賃上げを含め前向きな行動を要請しているところであります。そして、経営者の皆さんには、単に賃上げだけではなくて、その収益の改善を関係企業中小企業との取引条件の改善にもつなげてほしい、こういう要請も同時にさせていただいております。  確かに、大企業と比べて中小企業、地方経済、まだまだ景気回復の本当の実感を得るところまでは至っていない、こういう意見も様々なところから聞いております。経済産業省として、中小企業・小規模事業者に対しては、消費税引上げに伴う転嫁対策の適切な実施も図りつつ、投資補助金や中小企業・小規模事業者にとって使い勝手を良くした所得拡大促進税制など、今般の経済政策パッケージに盛り込んだ施策を推進することによって、中小企業、小規模企業を含めて賃上げ等ができるような環境をつくっていく、こういったことに全力でこれからも取り組んでまいりたいと考えております。
  33. 谷合正明

    ○谷合正明君 中小企業、特に小規模企業への対策につきましては、また改めて、新人であり、同僚の杉議員の方からも確認があろうかと思いますが、しっかりとよろしくお願いしたいと思います。  もう一問、これはお尋ねしたいんですが、それは中小企業海外展開支援ということであります。  大臣所信におきましては、日本企業海外展開支援、それから中小企業の一万社の新規海外展開というものを掲げられております。過去のデータによりますと、若干古いかもしれませんが、中小企業で海外に子会社を持つ会社のうち、企業のうち約四割が中国に拠点を持っているというふうに答えております。そこで、新興国、特に中国との中小企業政策の進め方について質問をいたします。  中国において健全な中小企業を育成すること、また、日本企業のパートナーとなり得る企業を育成していくことというのが私は日中双方の共通の利益になると思っております。日中間では、実は二〇〇七年二月に第一回日中中小企業政策対話というものが開催されております。この政策対話においては、人材育成などの協力強化の意見交換を行ったということなんですが、実は、その後、中国側の機構改革もあって第二回目がなかなか開けていないという状況であります。なおかつ、御案内のとおり、昨年以降の、反日暴動以降、調整までもがストップしているという状況でございます。  しかしながら、今後の海外展開支援を考えてまいりますと、この中小企業政策対話再開の必要性と可能性というのは私はあるのではないかと思っているんですが、この点について確認したいと思います。
  34. 松島みどり

    ○副大臣松島みどり君) 谷合委員がまさにおっしゃるとおりで、中小企業の海外での活動を手助けするということ、そして、その中でも特に中国へは行っている企業が多い、これをどうするかということ、非常に重要な問題だと考えております。  おっしゃるとおりに、二〇〇七年二月に第一回日中中小企業政策対話を開催した後、途絶えております。しかし、新しい、ちょっと前向きな話題といたしましては、今年の七月に重慶と成都に中小企業海外展開現地支援プラットフォーム、これはどういうものかといいますと、総領事館やジェトロ、日中経済協会などが参加して、それぞれの能力や役割を発揮して支援の体制をつくるというものですけれども、これを重慶、成都に設置いたしました。我が国の、日本中小企業や小規模事業者が現地で、ビジネス環境、これを円滑にビジネスの展開できるようにという支援を始めたところです。  そして、先ほどおっしゃいました日中中小企業政策対話に関しましても、今残念ながら中断しておりますけれども、この両国間の中小企業や小規模事業者を育成する、そしてまた、日本の出ていった企業がビジネスやりやすい環境を整えるために、対話再開に向けて我が国政府として中国政府に対して働きかけを現在しておるところでございますし、これからも一生懸命働きかけてまいりたいと考えております。
  35. 谷合正明

    ○谷合正明君 新興国の一部にはやはり国営企業中心の優遇政策を取っている国もございまして、我が国中小企業が海外へ進出した場合に、どうしても労働法制上の課題に直面するんだと思うんですね。その際に、個別企業で対応するのにはやっぱり限界もございまして、中には泣き寝入りするということもあったりするということでございまして、私は、こういったプラットフォームができますれば、政府政府の意見交換の場でしっかり中小企業の抱えている課題というのがそのテーブルにのるということが非常に重要だと思っております。  今回、中国のことを例として取り上げましたけれども、今後、新興国との間に、是非今回の例を参考に中小企業政策対話というプラットフォームを是非経済産業省としても立ち上げていただきたいということを要望させていただきまして、私の質問とさせていただきます。  どうもありがとうございます。
  36. 杉久武

    ○杉久武君 公明党の杉久武でございます。  私は、この七月の選挙で大阪選挙区から初当選をいたしました。本日のこの経済産業委員会が私にとっての初めての質問となります。質問の機会をいただいたことに心から感謝申し上げます。  私は、公認会計士として日本アメリカで十五年間、様々な業種の方とかかわりながら、世界の実体経済を肌身で感じてまいりました。私は、この経験を生かして、公明党の立党精神である大衆とともにを原点に、現場で抱える様々な問題をありのままに質問したいと思っております。多少不慣れな点もあるかと思いますが、委員長大臣始め委員各位にはどうぞよろしくお願い申し上げます。  さて、私が初当選した七月の参議院選は、昨年の衆議院選同様、自公政権への大きな期待の結果でありましたが、その期待とは、何よりもまずデフレを脱却し、景気、経済を立て直してほしいということにほかなりません。その意味で、現在、政府は三本の矢の政策を展開し、我が国のデフレマインド大きく変化し始めております。  このような中、是非とも景気回復が国民の皆様に実感できるような、例えば雇用が増えた、またお給料が増えたといった効果が見えるよう政府に対し強く期待したいのですが、例えば、厚生労働省が十月の三十一日に発表した毎月勤労統計調査の九月分の速報によれば、従業員一人当たりの平均現金給与総額は前年同月比〇・一%増と三か月ぶりに増加となりました。また、今年の夏のボーナスは三年ぶりの増加となりましたが、所定内給与、すなわち残業などを除いた給与は十六か月連続して減少という数字になっております。  総理を始め、茂木大臣におかれましても、企業や団体に対して賃金引上げを強く要請され、企業側もそれにこたえる動きが始まっておりますが、経済的な視点で見れば、現在の景気回復の源泉となっているのは財政出動によるところが大きく、民間資金の大きな運用による本格的な実体経済の底上げなしに賃金を引き上げることは容易ではありません。企業がこぞって賃金引上げにシフトするためには、経済成長を継続的に推し進め、景気回復とそれに伴う需要と供給の逼迫による必然的な賃金引上げのサイクルを構築する必要がございます。  このような観点からも、成長戦略の実行は待ったなしであると考えます。総理の所信表明演説の中でも今国会を成長戦略実行国会と位置付けられましたが、これらの点について茂木大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  37. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 杉委員は、日米両国において公認会計士として活躍をされてきたと。会計は経営の鏡と、こういう言葉もあるわけでありますけれども、まさに日本経済、今マイナスからプラスに大きく転換をしている。アベノミクスの三本の矢を力強く推進することによりましてこういった景気を持続的な回復基調に持っていくということが必要だと考えておりまして、一本目の矢、大胆な金融緩和については、既にデフレからの脱却、射程圏内に入ってきたと我々は考えております。  また、御指摘をいただきました機動的な財政運営、平成二十四年度の補正予算、二十五年度の予算、切れ目ない対策を二十六年度も含めて取ることによって景気回復を押し上げていきたい。重要なのは、まさに三本目の柱、民間投資を喚起する成長戦略ということになってまいります。我々日本経済が内在している三つのゆがみ、過小投資、過剰規制、そして過当競争、これを是正することによりまして日本経済を再生していきたい。このために、この国会に産業競争力強化法案というのも提出をいたしております。速やかな成立を図ることによりまして、大胆な投資が進むような、税制措置も含めて、しっかりと経済の立て直しに取り組んでまいりたいと考えております。
  38. 杉久武

    ○杉久武君 力強い御答弁、大変にありがとうございます。デフレ脱却に向け、大臣を始め政府の一層の御尽力をお願いしたいと思います。  続きまして、オリンピックについて御質問をさせていただきたいと思います。  九月の七日に二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催都市が東京に決定をいたしました。感動的なプレゼンテーションと開催国決定の報に日本中が歓喜をいたしましたが、他方で、これは三本の矢の追い風ともなる第四の矢、デフレ脱却の起爆剤でもあります。  政府は、オリンピック・パラリンピックの開催に向け、官民一体となって都市基盤整備や震災復興、雇用創出などを進め、経済成長を図る構想を打ち出されております。しかし、その一方で、資材の高騰など震災復興に支障が出るのではないか、またあるいは結局東京一極集中が進むだけだという意見もあります。  震災復興を遅らせることなく、また地方経済へも良い影響を与えるためにも、経済産業省としてどう取り組まれているか、御答弁をお願いいたします。
  39. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 前回の東京オリンピック、一九六四年でありますけれども、当時の様子、映画でいいますと「三丁目の夕日」であったりとか、市川崑監督が記録映画も作っておりますけれども、やはりあれを境に日本は、そして東京は大きく変わったと。単に東京だけではなくて、日本全体にそういったオリンピックの効果が裨益したと、そんなふうに思っております。  我々は、オリンピックを成功させることはもちろんでありますが、現下の最優先課題であります福島の復興再生、こういったものをしっかりと進めていかなければならないと考えておりまして、経済産業省として、中小企業等グループ補助金、さらには企業立地補助金、こういったものを効果的に活用して、被災地での事業の再建や企業の立地、雇用の確保に向けて最大限の取組をこれからも継続してまいりたいと考えております。  資材価格の高騰、そういうことに対する懸念も当然あるわけであります。足下においては落ち着きを見せておりますが、オリンピック開催に伴います資材価格の影響につきましては、被災地の復興促進観点も含めて、需給状況、これからもしっかりと注視をしていきたいと思っております。  また、地方レベルでの産業競争力強化について、地方産業競争力協議会を開催して、国と地方が一体となって地域の産業競争力の強化に取り組むこととしておりまして、まず先日、東北及び九州・沖縄ブロックにおきましてこの協議会の設置決定いたしました。今後、各地方ブロックごとに早急に設置を進めてまいりたいと思っております。こういった場も活用しながら、地方の生の声、しっかりと聞いて地域経済活性化に役立てていきたいと考えております。
  40. 杉久武

    ○杉久武君 ありがとうございます。  オリンピック・パラリンピックの開催の恩恵がオールジャパンで地方経済へ、また被災地への復興に加速度が増すよう、よろしくお願い申し上げます。  続きまして、震災対応について御質問させていただきます。  この被災地の復興でありますが、現在、公明党では全ての国会議員が各被災地域の担当に就いており、私も宮城県の担当として毎月県内の現場に入って被災者の皆様からの御意見や御要望を直接承っておりますが、その中で痛切に感じることは、復興のための課題は依然として山積みしているということであります。それに関連いたしまして幾つか御質問をさせていただきます。  茂木大臣の所信の中で、中小企業等グループ補助金や企業立地補助金などを効果的に活用し、被災地における新規産業と雇用創出、また事業再建を推進しますと述べられました。グループ補助金につきましては、発災後の第一次から第八次までで、国費だけでも総額で二千七百六十二億円に上る手厚い施策が続けられておりますが、その実施状況は、二十五年九月末で執行額が千六百八十五億円、未執行額が千七十七億円で、全体の三九%が未執行という状況になっております。  これにつきまして、このグループ補助金の未執行が大きく残っている原因についてお伺いするとともに、グループ補助金の未執行分は被災者の側に立って可能な限り繰越しを認め、最大限利用できるようにすべきと思いますが、その御見解をお願いいたします。
  41. 松島みどり

    ○副大臣松島みどり君) 委員先ほどおっしゃいましたように、宮城県に毎月入っていらっしゃる、そこで生の声をお聞きになっていらっしゃることだと思います。  そうした中で、おっしゃいましたように未執行分がある、これはそのほとんどの部分が自治体の土地利用計画の作成の遅れ、あるいは土地のかさ上げ工事の遅れなど、そういったことが背景であるかと考えます。そうしたことによって施設や設備の復旧事業に着手できない、あるいは遅れが生じたことなどによって事業が完了しなかった、そういったことが未執行に結び付いている。こうした状況を踏まえまして、年度内に復旧事業を完了できなかった場合でも、事業者の要望を伺った上で、それを踏まえて翌年度への繰越しや再交付ということをこれまでも実施しておりますし、今年度分についても実施するように考えている次第でございます。  さらに、恐らくいろんな苦情とか悩みをお聞きになっていらっしゃると思うんですけれども、グループ補助金の交付が決定した後、事業を実際に始める前やあるいは実施中におきましても、こういったことが状況が変化した場合、そういったとき、事業者が事業の再開する場所や経費配分など当初の事業設計の変更が必要な場合が生じてまいります。そういったとき、変更を求める場合には、補助金の交付決定額の範囲内であれば計画変更も認めている次第であります。
  42. 杉久武

    ○杉久武君 ありがとうございます。  また、今のグループ補助金に関連して、グループ補助金をせっかく使用しても、それで事業が再開しても顧客が戻らない、営業再開後も非常に厳しい状態が続くというお声もたくさん私も伺っております。実際、グループ補助金で再建された会社のうち、把握されているだけでも既に三件の倒産というものもございます。その意味からも、グループ補助金で再建した後も事業が安定するまでの支援は非常に大切であるというように考えております。  風評被害の払拭も含めまして、営業再開後、事業が安定するまで政府としてどのような対策を講じられているか、お伺いさせていただきます。
  43. 松島みどり

    ○副大臣松島みどり君) 委員おっしゃいますように、支援するというのは、再開で終わるんじゃなくて、その後ちゃんと続いていくことを見守っていくことだと思います。  そして、グループ補助金による再開の後、そういう意味で企業経営に対する支援として、いろんな事業再建に向けた助言を無料で行う震災復興支援アドバイザーの派遣も実施しております。  また、おっしゃったような風評被害の払拭、これがいろんな形で行われている、この払拭につきましては、例えば被災企業の販路拡大を支援するために、首都圏企業への訪問する場合のコーディネート、デパートで復興支援展みたいなことをやるときのコーディネートや、あるいは度々出かけてくることも大変だと思いますので、その交通費の負担、さらに展示会や商談会などへの参加必要経費を負担するということ、そういったことを通じてきめ細かく被災地の地域産品のビジネスマッチング支援を行っているところでございます。  我が省が取り扱っているのは工業品でございますので、直接果物とか農産品というよりは、例えば魚介類や果物の缶詰ですとかお酒とか、そういったことを持ってくるとき、ほかにセットでいろんなもの、果物やお米を持ってこられても結構なんですけれども、各地域でそういう復興フェアをやるときにその交通費も面倒を見るということにしておりますので、是非お広めいただければと思っております。
  44. 杉久武

    ○杉久武君 ありがとうございます。  きめ細やかな中小企業また被災企業に対しての支援を継続してお願いしたいと思っております。  続きまして、中小企業対策の全般についてお伺いさせていただきます。  まず一点目に、消費税の転嫁問題であります。  さきの通常国会で消費税転嫁対策特別措置法が成立をいたしまして、先月の十月の一日より施行となりましたが、この法律の実効性を高めるために広報活動の徹底、また優越的地位を利用した不公正取引の取締りなどの強化、そういったものが期待されております。大臣所信の中で述べられた転嫁対策調査官の新たな配置に加えて、経済産業省としてどのような取組をなされているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  45. 杉本和行

    政府特別補佐人(杉本和行君) 委員指摘のように、消費税転嫁対策特別措置法につきましてはこの十月一日に施行されたところでございます。消費税の円滑かつ適正な転嫁に向けましては、政府一丸となってしっかりと対策に取り組んでいきたいと考えております。  転嫁対策のための人員といたしましては、公正取引委員会中小企業庁合わせまして約六百人の臨時的な増員をしておりまして、これで転嫁対策にもしっかり取り組んでいくつもりでございます。  消費税の転嫁拒否等の行為の未然防止のための取組といたしましては、本年九月十日にガイドラインを策定、公表しましたが、公正取引委員会主催の説明会の開催、商工会議所等や事業団体が開催する説明会に職員を派遣するなどして取り組んできているところでございます。また、これに関連いたしまして、リーフレット、パンフレットも作成し、配布しているところでございます。  消費税の転嫁拒否等の行為に関する取組といたしましては、事業者からの相談や情報提供を受け付ける相談窓口を公正取引委員会の本局、地方事務局に設置しているほか、全国の商工会、商工会議所等にも相談窓口を設置していただいているところでございます。さらに、被害を受けた中小企業者の方々にとって自らその事実を申し出にくい場合もあると考えられることから、積極的に情報を収集するために、中小企業庁と合わせまして約十五万件の書面調査を実施することとしておりまして、本年十一月一日から順次調査票を発送しているところでございます。  民間事業者におきまして二十六年四月の消費税率の引上げを見据えた価格交渉が始まっている場合もあることから、転嫁拒否等の行為に対して迅速かつ適正に対処することとしたいと考えております。
  46. 杉久武

    ○杉久武君 ありがとうございます。  やはりこの消費税の転嫁問題については、現場でも様々不安の声も聞いておりますので、継続しての対応、御支援をよろしくお願い申し上げます。  では、最後の質問になりますが、中小企業支援の中でも中小企業に対する情報提供とその充実という点について御質問をさせていただきます。  これ、私が実際経験したお話でありますが、例えば私が大阪市内の中小企業に伺ったときに、ものづくりの補助金、審査を通っていただけることになったと、ただそれに対して圧縮記帳ができないというような誤った情報を聞いていらっしゃいました。この補助金についても、例えば一千万円補助金をいただいても圧縮記帳ができなければ、実効税率の三五%分、それぐらいはすぐに納税という形で補助金全額のメリットを受けられない、そういった状況になります。この点については、幸い、中小企業庁の担当課長がすぐに動いてくださりまして、全国の中央会に圧縮記帳ができる旨通知徹底をしていただきましたが、やはりこの情報発信というものは、現場に行けば行くほどその精度が落ちていくのではないかという懸念を持っております。また、中小企業庁におかれましては、情報提供のスペースとしてミラサポという形でネットでの積極的な情報発信もされておりますが、こういった補助金に対しての税務の処理とか、そういったやはり官庁をまたぐような部分についてはまだまだ不十分ではないかという点もあるかと思います。  中小企業施策をより確実なものにするためにも、現場の方が本当に必要とされている情報は何なのかということを更に拾っていただきたいと考えておりますし、情報提供はどこまでもユーザー側の目線で一体的に行っていただきたいというように考えておりますが、この点についての御答弁をいただければと思います。
  47. 松島みどり

    ○副大臣松島みどり君) 杉委員がプロの目で御覧になって、そういった圧縮記帳の問題、これも早速我が省で取り入れさせていただきまして、既に一万社を超すものづくり補助金を受けたところの会社にかかわる税理士さんにも連絡をして、こういうことをきちっとやるようにという指示をさせていただきました。また、そういう声を上げていただきたいと思っております。  そして、私自身も、中小企業庁の施策というのがなかなか分かられてない。あるいは、私、これまで着任以来、ちいさな企業成長本部ということで北海道の旭川へ参りましたり、中小企業庁のいろんな審議会に出てまいりました。そこで声を聞きますのは、よく分からないとか、特に小規模事業者になりますと、従業員五人以下ぐらいで社長さんがお一人でもういろいろやっていて、あんなたくさんの書類はとても書けない、あるいは補助金をもらった後の報告書まで出さなきゃいけない、そういった苦情を本当に多々伺っております。  そうした中で、中小企業庁としてもその改善を今指示しておりまして、実際分かりやすいパンフレットということもあります。おっしゃっていただいたミラサポのことも、ミラサポの部分の中にも、経済産業省の施策だけでなしに、厚生労働省の、旧労働省の部分がいろんな政策やっていますから、それも同時に分かるようなミラサポにしてあります。  そしてまた、実際、商工会議所や商工会に情報を流したから分かるだろうというような、そういう目線じゃなくて、一般の人が一番読むのは、私のところでいいますと区報は一番読むものですけれども、それぞれの自治体の市町村のそういった方々にも、できればそういう新聞に載せてほしいというようなことも各経済産業局通じて話を進めていくように指導してまいりたいと思っております。
  48. 杉久武

    ○杉久武君 ありがとうございました。  これからもそのユーザー目線での情報提供を積極的にお願いしたいと思います。私自身も、この現場目線で一つ一つの課題に今後とも全力を尽くしていくことをお誓い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  49. 行田邦子

    ○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。  経済産業委員会には初めて所属をいたします。委員長始め委員の皆様の御指導をよろしくお願いいたします。  私は、三十分の時間をいただきまして、成長戦略におきまして海外展開が期待される産業について今日は質問させていただきたいと思います。  大臣も所信表明の中で述べられましたけれども、インフラシステム輸出、成長戦略の中で非常に重要なキーとなっていると私は考えております。その中でも私が関心を抱いておりますのが水ビジネス、上下水道などを含む水ビジネスについてであります。  まず伺いたいのは、世界においての水ビジネスの市場の規模なんですけれども、上下水道、それからまた海水淡水化、工業用水、再利用水、全て含めてどのぐらいの規模となっているのでしょうか。
  50. 宮川正

    政府参考人(宮川正君) お答え申し上げます。  世界の水ビジネス市場は、アジアの新興国や中東諸国などにおいて、人口増加経済発展によりまして大きく成長すると見込まれております。  市場規模でございますけれども、二〇〇七年三十六兆円の規模から二〇二五年には八十七兆円に成長すると推計をしております。
  51. 行田邦子

    ○行田邦子君 二〇二五年には八十七兆円という大きく成長が見込まれる市場であるということでありますけれども、ここで大臣に伺いたいと思います。このインフラシステムの輸出、水ビジネスについてなんですけれども、成長戦略としての水ビジネスの海外展開の可能性について、また、日本企業、自治体も含めてということですが、日本企業等の市場参入の可能性をどうとらえていらっしゃいますでしょうか。
  52. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) インフラシステム輸出、これはまさに我々が展開しております国際展開戦略の大きな三つの柱の一つでありまして、そこの中で水ビジネス、これも極めて有望だと、このように考えております。  世界市場全体につきましては今答弁を申し上げたところでありますが、我が国企業、これは水処理膜などの要素技術に強みを擁しております。また、地方自治体、これは上下水道の運営管理、耐震化等で世界でも優れたノウハウを蓄積をしているところであります。  他方、国内の水事業、これまで公営で行われてきたために、今後の国際展開に当たっては、コスト競争力を高めて、技術開発、設備設置から運営管理まで含めた一貫した水ビジネス市場への参入が課題であると考えております。  このため、地方自治体が有する運営管理ノウハウと民間企業が有する水処理技術や事業運営効率化ノウハウを組み合わせて海外の水市場への参入を図っていくことが必要だと考えております。  経済産業省としては、こうした取組、これを加速していく上からも、JICAによります海外投融資や産業革新機構を通じた金融面での支援や水処理技術の標準化支援等を実施していくこととしておりまして、今後とも、関係各省とも連携をして、官民一丸となった我が国企業の海外展開を支援をしてまいりたいと思っております。  若干、地方自治体、いい技術を持っているんですよ、でも、どうしてもやっぱり自分のところの自治体での事業運営、こういったことを中心に考えていますから、自治体も含めて海外に目を向けてもらう、こういったことは極めて私重要だと思っております。
  53. 行田邦子

    ○行田邦子君 日本においては水ビジネスは自治体が運営をされているということで、せっかく自治体がそういった管理運営のノウハウを持っていても、それを海外展開になかなか今生かし切れていないという状況かと思います。  また、日本企業は極めて高い水ビジネスに関する技術も持っているにもかかわらず運営のノウハウがないということで、なかなか外に打って出るということがしにくい状況にあったかと思いますけれども、これだけ成長が見込まれる市場でありますので、是非、経済産業省としても、自治体のノウハウとそれから民間の技術、これをうまく、シナジー効果を期待して、取り組んでいただきたいというふうに思っております。  そこで、今大臣からも答弁の中で少しありましたけれども、このような中で、今年の六月にISOで新たに設置された専門委員会、水の再利用に関する専門委員会なんですけれども、ここで日本が、中国と二国にわたってなんですけれども、幹事国となりました。私、これは日本企業の水ビジネスの海外展開において非常に大きなことだなというふうに思っていまして、このチャンスをフルに生かすべきだと考えていますけれども、その点、どのようにお考えでしょうか。
  54. 磯崎仁彦

    大臣政務官磯崎仁彦君) 今、行田委員の方から御指摘ありましたように、今年の六月にISOの中に水の再利用に関する委員会設置をされまして、日本と中国が幹事国になったということでございます。ちなみに、議長国はイスラエルということでございます。  イスラエル、日本、中国、共にそれぞれの分野で関心があるということでこういうことになったということでございますが、先ほど大臣からもありましたように、我が国、再生水に関する水処理技術、非常に高いものを持っておりますので、これから国際的に水ビジネスにおける国際競争力、市場競争力、これを高めていくためには、戦略的に標準化を取っていく必要があるというふうに思っております。  幹事国になるということは、一つはその委員会の主宰をしていくことができるということとともに、標準化のいわゆるライティングといいますか、文書を書くと、そういったことに参画することができるということで、幹事国というのは非常に大きな意味を持っているというふうに思っております。  今後の委員会でございますけれども、来年の一月に我が国で第一回目の専門委員会が開催をされるということでございまして、これを皮切りに審議が本格化していくというふうに思っております。今後、幹事国として、我が国からその標準化というものを提案するとともに、審議がしっかりなされるように注力していく必要があるというふうに思っております。
  55. 行田邦子

    ○行田邦子君 是非このチャンスを十二分に生かしていただきたいと思います。  特に、今回は幹事国が日本と中国と、二国で引き受けているわけですけれども、これも考えようかと思いますけれども、中国は自らも水ビジネスを積極的に展開していこうと恐らく思っていると思います。一方でまた、中国というのは特に水の再利用という分野においては非常に顕在的また潜在的にも成長が見込まれるマーケットであると思いますので、ということは、日本企業においても、我が国においても、中国というのはやはり今後の水ビジネスの展開を考えたときに最大のマーケットではないかなと思っていますので、その中国とともにうまく幹事国として仕切っていただけたらなというふうに思っています。  そこで、国際標準化について今話をさせていただきましたけれども、もう少し質問を進めさせていただきたいと思います。  国際標準化について、政府として、経済産業省としてどのような戦略を持っていらっしゃるのか、具体的な目標数値があればお聞かせいただきたいと思います。
  56. 磯崎仁彦

    大臣政務官磯崎仁彦君) 具体的な数値目標ということでございますけれども、この数値目標につきましては、二〇〇六年の十一月、当時は甘利経済産業大臣でございましたけれども大臣のイニシアチブの下に国際標準化官民戦略会議というものが開催をされまして、ここには産業界のトップ等もお招きをして数値目標というものを設定をしております。具体的には、二〇一五年までに欧米諸国に比肩し得るように国際標準化を戦略的に推進するために国際標準化の戦略目標を官民で合意をしたということでございます。  具体的には二つございまして、一つは、国際標準化の機関としては、先ほどお話ありましたように、ISOと、電気・電子技術分野においてはIECという二つの機関がございますけれども、ここにおける国際標準化の提案件数、これを倍増していくというのが一つの目標でございます。もう一つは、このISOとIEC、約九百の専門機関がございますけれども先ほど水については日本が幹事国になったという御指摘がございましたけれども、この二つの国際標準化の機関の専門委員会の幹事国の引受け件数を欧米並みに増加させると、この二つを目標として掲げているということでございます。
  57. 行田邦子

    ○行田邦子君 政府としても国際標準化というのが非常に成長戦略においても重要であるという認識かと思っています。  こうして専門委員会での幹事国を引き受けていく、これを倍増させる、また欧米並みにさせるということ、それからあとISO、IECでの提案件数を倍増していくということ、これを達成するためにはやはり人材育成が大変に重要かと思いますけれども、その点についてどのようにお考えでしょうか。
  58. 磯崎仁彦

    大臣政務官磯崎仁彦君) 委員おっしゃるように、非常に人材というものは重要だろうというふうに思っております。  国際標準を獲得するためには、やはり交渉力とか調整力、こういった能力も非常に重要視されるということと認識をしておりますので、そのための人材育成として、私ども経済産業省としましても、昨年の七月から、即戦力を育成する観点企業の二十代、三十代の若手の社員を対象としましてヤングプロフェッショナル・ジャパン講座というものを開催をいたしております。この中には、これまで例えば議長あるいはその幹事、こういったものを務めた経験者の方を講師としてお招きをして講座を行っているということでございます。  実際、標準化ということになりますと、いわゆる手順というものもありまして、どういう手順で規格開発が行われていくのかというその技術的な事項、あるいは国際標準化の一般的な概要、こういったことにとどまらず、例えば英語力であるとか国際交渉力であるとか、こういったことにつきましても、今まで三期この講座を実施をしておりますけれども、毎期十回以上の講座を行いまして、OJTも含めてこれまで五十二名の履修生を送り出しているということでございます。  もう一つ、こういう即戦力を養成することと相まちまして、やはりこれから社会に出ていくという意味では大学の中にこの国際標準化に対する教育の充実ということも重要だと認識をしておりまして、昨年度は十九校で当省から講師を派遣するなどしまして大学における国際標準化についての教育の充実ということも図っているところでございます。
  59. 行田邦子

    ○行田邦子君 技術の知識、これはもうベーシックなものとして必要だと思いますけれども、特にこの標準化の世界では、それだけではなくて、今政務官もおっしゃられましたように、コミュニケーション、それから交渉能力というものも広く求められるというふうに思っております。座学でもある程度は学べるものかもしれませんが、やはり現場での経験というのが必要かと思います。  そこで、私が調べさせていただいたんですが、じゃ、そのISOやIECに日本人の職員がどれだけいるのかといったことなんですけれども、実は両方ともゼロです。日本人の職員は全くいないということなんです。これは公募を取っているのでたまたまいなかったということなんですけれども、やはりこれは経済産業省だけではなくて政府全体としても国際機関での日本人の職員数というのをもっと増やしていくような、そのような取組をすべきではないかなというふうに思っています。近い将来にはISOやIECにも日本人の職員が公募でもきちんと出てくるような、そのような体制を取っていくべきかというふうに思っております。  それから、国際標準化の推進なんですけれども、大企業はその必要性というものを自ら認識していれば自前でできるというふうに私は思っております、人材育成も含めてなんですけれども。ただ、国際標準化に適するような、そのような技術を持っている中小企業の場合は、やはり何らかの後押し、支援が必要なのではないかなと思っていまして、その点、いかがでしょうか。
  60. 磯崎仁彦

    大臣政務官磯崎仁彦君) まさに委員おっしゃるように、中小・小規模企業におきましても非常に高い技術を持った企業があることは事実でございますので、これらの製品を製造するグローバルニッチトップ企業を目指す中小企業にとっては、やはりこの国際標準化というのは非常に重要な課題だろうというふうに思っております。  ただ、やはり国際標準化がどうして必要なのかという知識であるとか、あるいは取得するためにはどうすればいいのかということについて、なかなかその知識が十分ではないということがあるかと思いますので、やはり広報活動であるとか国際標準化を推進していくために支援をしていくということが必要だろうというふうに思っております。それにつきましては、広報活動であるとか周知についても私どもとしても十分に今実施をして検討をしているということでございます。  例えば、従来であれば国際標準化の提案をしていくために業界ごとにコンセンサスを取って初めて例えば提案をしていくという、こういうプロセスを一般的に取っておったわけでございますけれども、例えばその業界ごとでコンセンサスを取るということになりますと、それだけで二年から三年掛かってしまうという時間的な問題もございまして、現在におきましては、国際競争力のある中堅の企業の提案を直接迅速に審査、提案するトップスタンダード制度というものを新たに創設をしているということでございます。  これは、各業界団体においてコンセンサスを取るということなく、直接これは日本工業標準調査会というところで審査をすることによって、これまで二年から三年調整に掛かっていた期間を二か月から三か月に短縮するということも含めて、このトップスタンダード制度というのを導入しているということでございます。  実際、今年の四月に、いわゆる中小の企業が開発をした金属とプラスチックのナノテクの接合技術について国際提案が正式に承認されたという具体的な中小企業の事例もございますので、こういった制度も活用しながら、積極的に中小・小規模企業の標準化に対する支援、これを行ってまいりたいというふうに考えております。
  61. 行田邦子

    ○行田邦子君 業界のコンセンサスを得てから国際標準化の提案をするということでは非常に遅くなってしまうと。特に中小企業技術の場合は非常に難しいと思います。これからも、トップスタンダード制度ということで始まっているようでありますけれども中小企業で極めてすぐれて高い技術を持っている、その技術の標準化ということについても是非お取組を進めていっていただきたいと思います。  そこで、大臣に伺います。国際標準化重要性について、成長戦略の中での重要性について大臣の御見解をお願いいたします。
  62. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 国際標準化は極めて重要だと考えております。  ただ、例えばスタンダード若しくはデファクトスタンダードをつくっていく、こういう観点に本当に国が、若しくは民間の企業が最優先で取り組んできたかということを考えると、少なくとも第三世代までの携帯を見れば、かつてはそうではなかったということは明らかなんだと思います。  今、この国際標準化、この重要性が高まっている。これは、企業が自社の技術国際標準化することができましたら、自社製品、スペックの変更をしないでそのまま市場に投入することができる。また、顧客や市場から見ても国際的な信頼を獲得することにもつながるわけでありまして、ひいてはそれが我が国企業の国際競争優位につながっていくと考えております。  ここに来て、我が国の標準化活動、欧米諸国に追い付いてきた側面はあります。ただ、委員から御指摘がありましたように、例えばこれは国際機関、ISOだけじゃなくて国連もそうなんですよ。いろんな国際機関で日本の人材が少ない、こういった問題も解消していく必要があると思っておりますし、同時に、日本の製品が国際標準に適合しているかどうか、この認証に関しても、国内の体制、欧米に比べて日本の場合脆弱でありますために、日本企業の中には海外で認証を受けざるを得ず、競争上不利になっていると、こういう状況もあるわけでありまして、幾つかの施策、今集中的に実施をしております。  時間の関係で一つだけ申し上げますが、今までは業界のコンセンサスを得てこの標準化に取り組むということでしたけれども、それではスピード的に間に合わないと、こういうケースも多いわけでありまして、国際競争力のある中核企業の提案を直接かつ迅速に審査、提案するトップスタンダード制度、こういったものも一層活用していきたいと思っておりますし、委員案内のとおり、この国際標準化、大きな国でも小さな国でも一国一票と、こういう形で議決が行われるわけでありますから、我が国の提案、これをサポートしてもらえるような国、特にアジア諸国ということになってくるかと思いますけれども、そういった国を中心にして二国間関係の強化ということも進めていかなければいけないと、このように思っております。
  63. 行田邦子

    ○行田邦子君 かつて、DVDですけれども日本企業技術がフォーラム規格として事実上の世界のスタンダードになったわけですけれども、じゃ、そのDVDの市場で日本企業はどれだけシェアを維持しているのかというと、今必ずしもそういう状況ではなくて、それを考えると、やはり国際標準化、何をオープンにして、あえて標準化して、何をあえて標準化しないのかといった戦略も必要かなというふうに思っていまして、今日ちょっと認証の話も触れられませんでしたし、また特許の話も触れられませんでしたけれども、特許と、それから国際標準化と、またそれに付随する認証ということを併せて知財戦略として是非経産省で取り組んでいただきたいというふうに思っております。  そこで、ちょっと、もう一つの私が注目をしております、海外展開をしてほしいと思っている産業について質問させていただきます。コンテンツビジネスなんですけれども、特に今日はその中でもテレビ番組の海外展開についてお伺いしたいと思っております。  まず、大臣に伺います。私は、コンテンツ産業、特にアニメ、またテレビ番組といった産業については、大いに日本の独自性を発揮して、また成長が見込まれるというふうに思っています。なぜならば、若い人たちが非常にこの業界で働きたいという熱意を持っている方が多くて、求職ですね、求職者も非常に多いわけです。こういった産業というのはやはり成長がまだまだ見込まれるというふうに思っています。  けれども、一方で、残念ながら、日本の市場、国内市場というのはもう余り伸びないと、頭打ち状況であります。すばらしいコンテンツを持っているにもかかわらず、産業のパイ、規模として頭打ちになってしまって非常にもったいないと思っていまして、やはりここで海外展開、海外での、輸出といったことをすべきではないか、もっと振興すべきではないかなというふうに思っていますけれども大臣はどのようにお考えでしょうか。
  64. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 日本のコンテンツ、やはり海外から注目をされております。テレビ番組ということですけど、もう二十年ぐらい前なんですけれども、タイに行ったときに、「一休さん」をやっているんですね。ちょっと向こうの番組でやっているんですけど、ああ、やっぱり仏教が盛んな国なんだなと思いましたし、今、インドにおきましては、「スーラジ ザ・ライジングスター」、これは「巨人の星」のリメークなんですけれども、スーラジというのはヒンズー語で太陽のことなんですけれども、まさに「巨人の星」そのもので、この主人公のスーラジが星飛雄馬の役なんですね。それで、お姉さんの明子さんも星一徹も出てくるんですよ。花形満も出てくると。まあ乗っている車はスズキの車なんですけれどもね。唯一違うのは、これが野球ではなくてクリケットにしているということなんです。クリケットはやっぱりインドの国民的なスポーツということでありまして、ローカライズさせていくということも極めて重要だと思っておりまして、日本のコンテンツ、国内市場十二兆円あるわけであります。これはアメリカが三十二兆で、世界で第二位ということになるんですけど、どこまで国際展開できているかということでいいますと、アメリカは一七%、それに対して日本は五%と、大きくやっぱり劣後をしていると思っております。ポテンシャルが十分に発揮をできていない。  そんなことで、現在、経済産業省としては、クール・ジャパン戦略、こういうものを展開しておりまして、三つの段階に分けてこれを進めていきたいと思っております。  まずは、日本の魅力、これはアニメもそうでありますけれども、それを海外において発信することにおいて海外で日本のブームをつくると。二段階目は、そういったブームに乗って現地での関連商品であったりとかサービスの販売というものを伸ばしていく。そして第三段階目は、ビジット・ジャパンとも関連をしてきますけれども、そういったことで日本に、また日本の食であったりとか文化に、さらにはコンテンツに興味を持っていただいた方に実際に日本に来ていただいて、本当の体験をしてもらい、更なる消費をしてもらうと。  こういったことが極めて重要だと思っておりまして、第一段階の海外におけるブームの創出につきまして、平成二十四年度の補正予算で、日本の番組に字幕や吹き替えを付ける、日本のコンテンツの現地ローカライズ費用や事業のプロモーション費用を補助いたしまして、コンテンツ輸出を一気に加速させることとしております。また、第二段階として現地での関連商品、サービスの販売につなげることが重要でありまして、クール・ジャパン推進機構、今月中にも本格的に稼働させる予定でありまして、クール・ジャパンに関心を持ちます民間企業にヒアリングを行いましたところ、大体三千五百億円規模投資案件があります。そのうち、機構には千二百億円程度の出資状況があると、こういう状況でありまして、官民を挙げてこうした資金需要に対応することが必要でありまして、国としては、平成二十五年度予算におきまして財政投融資計画で五百億円を計上したほか、平成二十六年度予算において三百億円要求をしているところであります。
  65. 行田邦子

    ○行田邦子君 今大臣からも御答弁ありました補正予算ですけれども、このような海外展開支援の施策の補正予算、こういったことを今まで組まれたことはなかったのではないかなと思っているんですけれども、ただ、これはあくまでも単発のものでして、じゃ、これだけの補正予算を組んで、一体本当に持続的にというか、テレビ番組などのコンテンツが本当に輸出できるような構造となっていけるのかどうかというのは私はちょっと疑問を感じていまして、補正予算を組まれたわけですけれども、その効果というものもしっかりとこの後検証していただきたいというふうに思っています。  また、特にテレビ番組については、私は、これは是非、放送局がきちんと自前で海外展開できるように環境を整えて、国の支援がなくても放送局が自ら海外展開をできるようにしていくべきだというふうに考えているんですけれども、いかがでしょうか。
  66. 南俊行

    政府参考人(南俊行君) 先生御指摘のとおり、放送番組の海外展開につきましては放送局が主体となって積極的な役割を果たすべきだというふうに思っております。  ただ、今私どもの放送コンテンツの展開策として有望視されます東南アジア等の新興国におきましては、中国や韓国との競争も非常に激しい中にありまして、非常に高い制作費を掛けて作りましたドラマでありましても非常に価格を抑えないと受け入れてもらえない、あるいは吹き替えや字幕を自らする、あるいは先ほど大臣から御紹介ありましたリメーク版を作るといったような様々な工夫と手間が求められるところでございますので、それらが収益の圧迫要因となると、それによって海外展開が進まない原因の一つとなっている面も否定できないかなというふうにも思っておりますので、経済産業省さんと連携をして補正予算で一定の支援を実施をさせていただいているところでございますけれども、それが軌道に乗りまして一定の持続をするためにはやはり権利処理もスムーズに進めていく必要があるというふうに思っておりまして、権利者団体の方の権利処理の円滑化と車の両輪となって必要な環境整備を実施してまいりたいというふうに考えてございます。
  67. 行田邦子

    ○行田邦子君 コンテンツの中でも、アニメは比較的海外展開ができています。というのは、最初からアニメ業界においては海外展開というのを見込んでコンテンツを作るというようなことをやっているので、既にアニメの方は比較的海外展開ができているんですけれども、一方でテレビ番組の方はできていません。国内市場しか想定しないで番組を作っているという状況がいまだにあります。  放送局というのは、これは免許事業で、言ってみれば免許を持っていれば守られた環境の中でビジネスを行っているわけです。特に、キー局というのはいまだに、いまだにというか経営基盤が非常に安定しています。  ところが、今後、国内市場というのはこの放送業界も伸びないでしょう。そうした中で、やはり放送局が自ら、特にキー局が自ら、自らの将来的な経営基盤を強くする意味も含めて海外展開、今こそ積極的に自前でやるべきだというふうに私は思っております。補助金を出すということ、ちょっと言い方はあれですけれども、余り甘やかしてはいけないのではないかなというふうにも思っております。その点、いかがでしょうか。
  68. 南俊行

    政府参考人(南俊行君) 国内市場が広告収入が非常に頭打ちになっております中で、海外の方に販路を求めていくべきであるというのは先生御指摘のとおりでございまして、放送会社の方の経営者の意識の方も次第にそこは変わりつつあろうかなというふうに思っております。  いずれにしましても、海外展開、一定の軌道に乗るまでの必要最低限の支援は必要かなというふうに思っておりますけれども、軌道に乗りました暁には海外展開を放送事業者自らの責任と努力において積極的に進めていくべきであろうというふうに思っております。  いずれにしましても、クール・ジャパン戦略の先兵としての役割を放送コンテンツは果たしていかなければいけないということで、先般定められました日本再興戦略の中におきましても、五年後に放送コンテンツの売上げを現在の三倍近くに増やしていくという国家目標も定めさせていただいているところでございますので、この実現に沿った形で、例えば放送事業者同士、東南アジアの放送事業者と共同で番組を制作していくというような取組も実施させていただいておりますし、そのような様々な工夫と努力を積み重ねる中で国家戦略の実現に貢献してまいりたいというふうに考えてございます。
  69. 大久保勉

    委員長大久保勉君) 時間が過ぎておりますので、簡単に。
  70. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 実際、キー局の意識も、私もこのクール・ジャパン戦略を今進める中で変わってきていると思います。アニメと一般の何というかテレビ番組を比べると、アニメはそんなに著作権の関係とか権利関係が複雑じゃないわけですね。例えば「巨人の星」を作ったときも、最初に長嶋さんが出てくるんですけれども、梶原一騎さんが一言、使っていいというので済んじゃうんですよ。ところが、普通のテレビですとなかなかそういうふうにいかないということがあったわけですけれども、これからはもうテレビの制作の最初の段階から国際展開する、こういうことはある程度前提に置いて作るということも必要になってくるのじゃないかなと思います。
  71. 行田邦子

    ○行田邦子君 コンテンツの輸出というのを私は振興してほしいと思っておりますけれども政府として、どこに手を差し伸べて、そしてどこに手を差し伸べないのか、自力でやらせるのかといったことも見極めていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
  72. 大久保勉

    委員長大久保勉君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時四十五分まで休憩いたします。    午前十一時三十八分休憩      ─────・─────    午後零時四十五分開会
  73. 大久保勉

    委員長大久保勉君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、経済産業貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  74. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 民主党・新緑風会の増子輝彦でございます。  今日は、大臣の所信に対して幅広く、少し時間を取っていただいて質問させていただきたいと思います。また、田中委員長廣瀬社長、大変お忙しいところありがとうございました。御礼申し上げたいと思います。  まず初めに、日本経済現状について少し大臣と意見を交換させていただきたいと思っております。  アベノミクスがスタートして約十か月、この間、日本経済も期待の中でやや上向きということも私も十分承知をいたしております。一の矢、二の矢、株が上がり、そして円安の効果が一部業種には出ていること、私も大変いいことだなというふうに思っているわけであります。と同時に、この円安効果により一部の業績が赤字から黒字に転換した企業がある反面、逆に、この円安によって対外的に大きなやはりマイナスが出ている業種もあることも大臣もよく御存じだと思います。  一つ、株のことに関して申し上げますと、円安効果によって一千万円の株式を持つ方が一千五百万になったと。ということは、安倍政権に五百万のある意味ではプレゼントをされてもらったというような感じになるんでしょう。キャピタルゲインはましてや一〇%しか税金が掛からないという現状の中で大変大きな効果があると。これが大きな今のアベノミクスの最大の成果だろうというふうに言われているわけであります。  しかし、株を持つ方は一部の企業あるいは一部の方に限定されるんではないかと、国民全体から見れば十分この株価の上昇というものはそれほど大きな効果にはなっていないんではないかというふうに私自身は思っているわけであります。  先ほど申し上げた円安によるマイナスの部分を関係して見れば、日本人の逆に預貯金は約三〇%ほど目減りしているというふうに私は思っています。そして、ガソリンあるいは食料等、様々な輸入品目が、これ、円安によってマイナスの大きなものが出ているわけであります。  今後、消費税が来年の四月に三%、再来年の十月に消費税が更に二%、合計五%上がるわけでありますが、この消費税の実は問題も様々な分野について大変マイナス要因もあることも事実であります。  しかし、私どもは、民主党政権として、政権をほうり出してでもこれをやりたいという状況の野田総理の決意の中で、政権は失いましたが、自民党、公明党、三党の合意に基づいて消費税を上げることに決定いたしたわけでありますから、私たちもこれをしっかりと受け止めて、消費税の引上げ分に対する様々な対策も講じていかなければいけないと、そんな思いを今持っているところであります。  こういう状況の中で、今後十年間の平均での名目GDP成長三%、実質GDPの成長率を二%を目指すというこの今の成長戦略を含めた目標の中で、私は、本当にこれができるんだろうかどうか、様々な課題もあるんだろうと思います。今国会の最大の肝である産業競争力強化法の成立もまだ今後どうなるか分かりませんが、この成長戦略の法案の中にも幾つかの問題点があるんだろうというふうに私自身は思っています。  そういう状況の中で、今国民が期待している、本当に賃金が上がるんだろうか、今日の午前中の議論の中でもその辺の話が若干出ましたが、改めて日本の今の経済現状について大臣の所見を伺いたいと思います。
  75. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 安倍政権が発足をして十か月がたつところであります。委員指摘のように、株価も、昨年の九月、十月段階の八千円前後から、今一万四千円台。そして、為替レートについては、どのレートが適切、これを申し上げるのは難しいと思いますが、少なくともこれまでの過度な円高、これは是正をされてきたと思っております。  経済全体で申し上げると、株価や為替だけではなくて、例えば日本経済成長率、GDPにつきまして、昨年の七—九月期、年率に換算しますとマイナスの三・五%でありました。これが今年の一—三月期はプラスの四・一、そして四—六月期もプラスの三・八%へと改善をしたわけであります。また、雇用情勢につきましても、有効求人倍率、これが〇・九五倍と、リーマン・ショック前の水準まで戻ってまいりまして、鉱工業生産指数、これも三四半期連続で上昇しております。また、先行指標となります機械受注、ここも足下、極めて順調に推移をしていると、このように考えておりまして、企業マインドも変化をして、デフレ状況でなくなりつつある中、日本経済、穏やかに回復をしてきていると思っております。  もちろん、こういった景気回復の実感、地方の隅々まで、中小企業、そして小規模企業全体が実感するまで至っていない、このように考えておりまして、引き続き政権として、アベノミクス、三本の矢を力強く進めてまいりたい、このように考えております。  特に、現在は三本目の矢、民間投資を喚起する成長戦略、これの実行が極めて重要だと。この国会に関連法案、競争力強化法、これも御審議をお願いをしているところであります。日本経済が持っております三つのゆがみ、過小投資、過剰規制、そして過当競争、これをこの産業競争力強化法案をキードライバーとしながらしっかり是正する、そういった措置もとってまいりたいと思っております。  企業の収益が改善をしていると。これは御指摘のように、賃金の上昇、そして所得の拡大に続いて、それによって消費も拡大をし、それが更なる生産や投資を生む、こういう経済の好循環をつくっていくことが極めて重要でありまして、これは政府だけではなくて、経済界を含めてこういった意識を共有することが重要であると考え、秋につくりました政労使会議の場等を活用しながら、そういった働きかけ、経済界にも行っているところであります。
  76. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 大臣、私がこれから質問することまでお答えいただきましたけれども、一部、また引き続き質問させていただきたいと思います。  今大臣いろいろお話しされましたが、私は、この成長戦略がまさに大変重要だと思っております。このところが実行されなければ、やはり今大臣が言ったような効果はまず出てこないだろうと。と同時に、逆にそれは地方と大都会の格差を更に生むことになっていくのではないだろうか、あるいは、中小企業と大企業の格差もまたこれは生んでいくのではないだろうかというふうに思っているわけであります。大臣も政労使を含めて様々な企業回りをしながら、経産省の諸君も一生懸命企業回りをしながら、賃金を上げてほしいというようなお願いをして歩いているところでありますけれども、大企業はそれは可能なのかもしれませんが、地方の場合はなかなかそう簡単に、大臣、いかないんですね。  大臣の栃木県の平均年収、県民一人当たりどのぐらいか、私が言うまでもなく御存じだと思います。私の福島もそうでありますし、東京あるいは大阪を除く地方のそれぞれの給与所得者の給与はずっと上がっていないし、夏も冬の賞与ももらえないというのが中小企業、小規模企業現状なんですね。ここが本当にしっかりしていかなければ、私はむしろ、三本の矢の成長戦略、これがきちっと実行されていかなければ、株価とあるいは円安だけでは貿易収支も黒字には到底なり得ないという状況の中で、どんどん格差が付いてしまうんではないかと、そういう私は実は心配を持っているわけでありますので、この辺のところは、大臣始め、是非、安倍政権の中でもしっかりと認識をしながらやっていただかなければならないと思っております。  そこで、今大臣からもお話がありましたいわゆるベストサイクル、この問題が非常に重要だと思うんです。もちろん、企業が収益を上げる、それによって賃金に跳ね返る、その賃金によって所得が増えれば物の消費が増える、消費が増えれば生産が更に増えていく、この循環、ベストサイクル、安倍総理の言うベストサイクルが本当にいくのかどうか。  私は、今の状況の中ではそう簡単でもないし、今申し上げた格差が逆に広がっているという状況を考えれば、様々な手当てをしなければいけない部分、政策的にもやっていかなければならない部分がたくさんあると思うんです。今回の出された法案を見ても、そこが私は十分でないような気がいたしているんです。過去の成長戦略をある意味で焼き直したような感じの部分も多々見られます。さらに、一部は年次目標も立てているところがありますが、中には年次目標は立てていないところもあるという様々なばらつきがあることは私が言うまでもないと思っています。そういう状況の中で、是非私は、このベストサイクル実現をどうするかということ、極めて重要だと思っていますので、ここのところを大臣にも強く認識をしてほしいなと、そういうふうにお願いをしておきたいと思います。  そこで、例えば企業収益を伸ばすことには極めて重要な要素がいろいろあると思います。当然、投資を増やすということ、減税をするということを含めて様々なことがあると思います。  実は、企業収益を伸ばすことは、一九九〇年以降の民間投資のことに実は置き換えてみますと、一九九七年の約七十八兆円がピークなんですね。それが二〇〇二年度には約六十四兆円まで落ち込みました。そして、二〇〇七年度に七十七兆円まで一応回復をしましたが、リーマン・ショック後の二〇〇九年にはまた六十一兆円にこれは落ち込んでしまったということ、二〇一三年は約六十三兆円なんですね。このやはり目標とする投資も七十兆円までするということは極めて私は重要なことだと思っていますが、そう簡単ではないんだろうなというふうに思うわけです。  一九九五年度以降、民間設備投資の対前年度三・八%を上回ったのは、一九九七年、二〇〇五年、二〇〇六年度の僅か三回しかないわけであります。こういう状況の中で、一九九五年から二〇一二年までの平均伸び率はマイナス〇・六%なんです。  こういう状況の中で、例えば今ベストサイクルを実現するための一つの企業投資をするために七十兆円まで上げることは本当に可能なんだろうか。私はむしろ、ここのところをどういうふうに、大臣、しっかりやっていくのか、今出した成長戦略の法案だけで本当にそんな簡単にできるんでしょうか、そこの私は目標観が少し甘いんではないかと、そういう感覚を持っていますが、いかがでしょうか。
  77. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) これから進めていく成長戦略、これを実行していく上では、設備投資を伸ばしていく、極めて重要だと考えておりまして、御指摘のように、現在六十三兆円の年間設備投資を今後三年間で一割増加をさせて七十兆円まで持っていく、リーマン・ショック前の水準以上に持っていく、こういう目標を掲げております。  これはなかなか難しい目標でありまして、そのためには、産業競争力強化法案の下で、過小投資、これを是正するための様々な税制を含めたこういう企業投資促進税制、こういったものもしっかり進めていきたい。特に、委員指摘のように、中小企業、小規模企業、これは地域経済そして雇用を支える極めて重要な役割を担っていますから、そこの活性化が重要だと考えておりまして、この投資促進税制につきましても、今回、中小企業、小規模企業にとって、よりインセンティブの高い、そして更に広いエリアをカバーする、こういった税制に拡充をさせていただいたところであります。  同時に、例えば企業の中で眠っている様々な経営資源、これをフル活用していくということも重要でありまして、よくスピンオフとかカーブアウトと、こういう表現が使われるわけでありますけれども、そういったことがしやすいような環境をつくっていくということによりまして新たな投資を呼び出すと、こういったことも我々として進めてまいりたいと考えております。  そして、中小企業にとって、あと一言でやめますんで、聞かれたことに答えておりますんで、中小企業に……(発言する者あり)答えていると思います。もうよろしいですか、じゃ。
  78. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 大臣、実はそこの中小企業関係で、私、次質問しようと思っているんですが、是非、中小企業、まさに日本の九九・七%の中小企業、その中でも八五%近くを占める小規模企業、ここが活力が出ないとやっぱり本当にアベノミクスの私は成果というのは出ないと思うんです。  今回詳しくまたこの後法案の審査があると思いますので、そのときいろいろ同僚議員からも質問が出てくると思いますし、議論をすると思いますが、二〇二〇年度までに黒字中小企業・小規模事業者数を七十万社から百四十万社にするという目標を立てていますよね。これは大変結構なことでありますが、過去の例を見ると、そんな簡単じゃないんですね、これ。中小企業が利益を上げるということは本当に大変なんです。  また答えられると困るんで、ついでに一緒に質問しますけれども、開業率を一〇%という政府の目標はこれまたかなりハードルが高いと思うんです。高度成長時代、一九八〇年代すら六から七%程度しか実は開業率が達成されていないんですね。  そういう意味で、日本再興戦略で示されていますこの様々なKPIの中でも、これは私はこの二つについて特に本当に大丈夫なのかなと。この二つの問題をクリアするにはよほどの実は具体的な政策がそれこそきちっと実行されないと、開業率が一〇%、そして黒字化をすることが七十万社から百四十万社、大変高いハードルだと思いますが、この件について細かい議論はまた次の法案審査のときさせていただきたいと思いますが、この二つを、目標をクリアするには一体どういう考え方を基本的にされているのか、見解を伺いたいと思います。
  79. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 企業、事業所の九九%以上を占める中小企業、中でもその九割近くを占める小規模事業者、これをいかに活性化するかという御質問、それから、そこの中で開業率一〇%をいかに達成するかという御質問についてお答えをさせていただきたいと思いますが、我々が政権に就きましてすぐにやりましたことは平成二十四年度の補正予算の編成でありました。経済産業省として過去最大規模、一兆二千億の補正予算を組みまして、そこの中の半分近く、五千四百億は中小企業、小規模企業関係の予算でありました。  余り細かい内容については申し上げる時間はありませんけれども、例えば中小企業、町工場の物づくりを支援していく、こういう観点から試作品作りの支援のために一千七億円予算を計上いたしまして、全国一万社を対象にして、そういった支援事業を展開もしてまいりました。実際に一万五百十六社、この採択も行ってきたところでありますし、二月から、前政権でも進めておりました、小さな企業、これに着目をいたしまして、ちいさな企業成長本部といった形で、全国二十一か所で様々な地域の中小企業者、商店街、生の声を聞きまして、具体的に六月には新たな行動プラン、行動計画、こういったものも取りまとめさせていただきました。さらには、さきの通常国会におきまして、小規模企業に関連をいたしました八本の法案、一括で御審議をいただき、そしてそれをまとめて改正をする小規模企業活性化法、これも成立をしたところであります。  現在、中小企業政策審議会の中に小規模企業基本政策小委員会、これを設置して、小規模事業者の振興のための基本法の制定に向けて取組を加速をしているところであります。  それから、もう一点の開業率一〇%と。これ今、日本の開廃業率が四から五%と。米国、そして英国が一〇から一二%と比べるとまだ劣っている状況にあります。この原因、幾つかあるかと思うんですが、起業に対するやっぱり意識の変革を進めていく、チャレンジ、そして再チャレンジ精神を育成していくということが重要であると考えております。  そして、先ほど若干申し上げましたが、一企業内ではなかなか文化の違い、組織の違い等々によりまして育ちにくい、そういう新たな事業の芽を大きく育てるために、スピンオフ、カーブアウトの形で外に切り出す事業再編、これを促進をしていきたい、さらには、起業家に対して、新しい事業を起こす起業家に対して経営の資金、経営ノウハウを提供する仕組みをつくる、こういった様々な取組を通じて環境整備も進めてまいりたい。  開業率一〇%の目標をいつ達成するかと、これにつきましては何年度と決めているわけではありません。今回の成長戦略につきましては、五年間、これを集中投資期間ということで、まず三年間ごとの計画を作り、それを回していってレビューをする、こういった形で進めておりまして、そういった中でできるだけ早く目標を達成していきたいと思っております。
  80. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 中小企業政策経済政策、そんなに私ども政権時代と大きな違いはないと思いますし、むしろそのまま私たちの考えてきたことを現政権もある程度引き継いでいただいているなということについては、特に経済産業委員会なんかは全く対立しないで、松村筆頭やみんなとも今まで一緒にやってきたわけであります。そういう状況ですから、是非、細かいことはまた今後の法案審査を含めていろいろやっていきたいと思います。  言えることは、大臣、しっかりとやはりこのベストサイクルを達成するための具体策を、年次を目標を立てたんですから、今おっしゃったようなことは我々も実はずっとやってきたんです。ただ、そう簡単じゃないと。もちろんデフレから脱却をしなければいけないという大きな共通の目標も持っていたわけですから、それらのことを含めてやっていただきたいと思います。  あえて答弁は要りませんが、ベンチャー企業のやっぱり育成も極めて重要な課題であることは言うまでもありません。参加層の見直しということも含めて、今後、千三つという言葉がありますが、大変、千投資をして三つぐらいしか成功することはないかもしれないけど、その三つが、例えば一社に一億ずつ投資をして一千億使ったけれども、三つの企業で何兆円の実は成果を上げるということもあるわけです。海外から見れば我が国のベンチャーに対する支援は極めて弱いという部分もありますので、ここはもう少し積極的に、今の成長戦略よりも私は積極的にやっていくべきだろうというふうに思っています。  そこで、もう一つ大事なものは、投資や開業率や利益率の向上と同時に、税制の問題がやっぱりあるんだと思うんですね。私たち政権のときにも法人実効税率を五%下げるということを決めましたが、大震災、この原発事故でこれは残念ながらストップしていますが、今後、現政権もそのことはしっかりやっていくということでありますので、これを私も是非進めていってほしいと思うし、併せて中小企業に対する私は法人税の引下げもやっぱり一緒にやっていかないと、大企業だけがそういうものに恩恵を受けることではなくて、先ほど話があったとおり、九九・七%を占める中小企業、小規模企業に対してのこの法人税、確かに現時点で利益を出す法人は少ないかもしれませんが、交際費の見直しと併せてこういう法人税の引下げということも極めて重要な課題でありますので、このところはしっかりと大臣にも認識をしていただいて、対応をしていただきたいと思います。  それから、もう一つ大事なこと、これはお答えを是非いただきたいと思います。私たち、残念ながら政権与党時代にやっておけばよかったなと今悔いが残ることの一つは、自動車の車体課税の実は問題であります。このことをやってから本当は私たちは解散をして総選挙に打って出るべきだったと、今も私は直嶋先生たちと思いを同じくしているわけであります。今の状況でいくと、なかなか変な癖球を投げてくるところもありますから、極めて難しい状況であるかなと危機感を持ちながら、これも与党の税調ともよく連携を取りながらやっていきたいと思っています。  消費税一〇%時点で廃止される自動車取得税の財源を自動車税の増税で取り戻す、地方の足である軽自動車に対して増税して取り戻す等の案が総務省で検討されているという報道があります。実際そういう動きをしているわけですが、これはとんでもない話でありまして、ここはしっかり経済産業省としても、大臣、決意を持って、そもそも車体課税は自動車ユーザーに課される税金であって、自動車業界のための税金ではないということは、それは大臣もよく御認識だと思います。消費税引上げに合わせて自動車取得税を二段階で廃止するということにしたにもかかわらず、単なる看板の掛け替えで終わることなく、自動車に増税をするのではなくて、自動車取得税を廃止する意味をしっかりと認識をしていただきたい。車体課税の見直しは一体誰のためなのか、何のためなのか。ユーザーのため、日本経済の成長のためであり、そして雇用を確保するということを含めて、しっかりと車体課税の見直しを私は実行していくように、大臣始め経産省を挙げて頑張ってもらわなきゃいけないと思います。  この車体課税の見直しに向けた大臣の覚悟と決意をお伺いしたいと思います。
  81. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) ベンチャー関係は答弁しなくていいという話で……
  82. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 車体課税の方だけでいいです。
  83. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 法人税率と、それから中小企業の税率についてはよろしいんですか。
  84. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 それは少し触れてください。
  85. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 触れるんですね、はい。  安倍政権は日本を世界で一番企業が活動しやすい国にすることを目指しておりまして、この観点から、国際水準に比べて高い我が国法人実効税率の引下げは早急に解決すべき重要課題であると考えております。  御案内のとおり、我が国の実効税率、現時点で三八・〇一%と、これは先進国ではもちろん、最近競争相手となっておりますアジア諸国と比べても高い水準であります。さらに、諸外国の動向見てみますと、ドイツが引下げを行いました。英国も二〇一五年には段階的に二〇%まで引き下げる計画でありますし、米国においても七%以上の引下げの税制改革案、これが発表されたところでありまして、我が国においても法人実効税率の引下げ、待ったなしの課題だと、こんなふうに考えておりまして、秋の与党税制改正大綱を踏まえて速やかに法人税率の引下げについて検討を進めてまいりたいと考えております。  中小企業税制についてお話ししますか、それとも先に車体……
  86. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 中小企業、ちょっと言ってください。
  87. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) はい。  先ほど若干触れさせていただきましたが、御案内のとおり、この法人税率の引下げ全体は、比率でいいますと、額は別にいたしまして、中小企業の多くが裨益をする税項目であると考えております。  さらに、中小企業につきましては特段の措置が必要だと、こういうことから、中小企業投資促進税制を抜本的に拡充をいたしました。そして、先ほど申し上げたように、生産性の向上に向けた設備投資を行う中小企業・小規模事業者に対して、大企業よりもインセンティブの高い七%から一〇%に三千万以下の企業もさせていただきましたし、さらには、より幅広い範囲をカバーするということで、資本金三千万から一億の企業についても七%を適用する、こういった形を取らさせていただいたところであります。  さらには、税にとどまらず、中小企業の場合は投資に向けて補助金が重要であると、このように考えております。
  88. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 税制のところだけで結構です。
  89. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) はい。  それでは次に、車体課税でよろしいですか。  アベノミクスの成果を全国津々浦々に波及させていくと、これが我々にとって一番重要な課題でありまして、消費税、一九九七年の四月に橋本内閣で導入をされたわけでありますが、その際に、自動車の国内需要、一九九六年度から九七年度にかけて、七百二十八万台が六百二十七万台というふうに百一万台減少が見られて、その後も現在に至るまで回復が見られないと、こういった状況であります。失礼いたしました。導入ではなくて、これはあれです、引き上げたときです。三%から五%に引き上げたときにこういった状況が生まれております。  今回、自動車工業会や民間シンクタンクの試算では、消費税率が五%から八%に引き上げられ、何らの対策も講じられないケース、我々としては対策を講じてまいりますが、何らも対策が講じられないケースにつきまして、国内需要が五十八万台落ち込み、十七万人の雇用が失われるとされておりまして、地域経済に大きな影響が生じるおそれがあるわけであります。  先般、十月一日にまとめられました民間投資活性化等のための税制改正大綱におきましては、消費税率引上げの前後における駆け込み、反動減の緩和も視野に入れて、簡素化、負担の軽減、グリーン化を図る観点から見直しを行うということにしているわけでありまして、経済産業省といたしましては、この方針も踏まえまして、自動車取得税の税率を、消費税八%の段階で三%引下げ、一〇%の段階で廃止、さらに自動車重量税、自動車税についてもエコカー減税等の拡充を要望しておりまして、年末に向けた税制改正プロセスの中でその実現に全力を尽くしてまいりたいと考えております。  軽自動車につきましても、特に地方におきましては、福島もそうだと思います、私の栃木県もそうでありますが、地域の住民の皆さんのまさに足でありまして、こういった税率が引き上げられるようなことがあってはならない、このように考えております。
  90. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 是非、大臣、今度自動車車体課税、しっかりと挙げて頑張っていただきたいと思います。  時間、あと十分ぐらいになりましたので、済みません、ちょっと飛ばさせていただきます。今日は、せっかく廣瀬社長にもまたお忙しいところおいでいただいていますし、田中委員長にもおいでいただいておりますので、後の質問になる予定でしたけれども、こちらに行かさせていただきたいと思います。  福島第一原発現状について、私も福島県の選出国会議員としてここは度々聞かせていただかなきゃならない大変重要な課題であります。予算委員会の中でも実はお話をさせていただきました。いろいろ御答弁もいただきましたが、若干まだ足りない部分もありますので、この機会を利用して質問させていただきたいと思います。  現在の汚染水の処理の状況の中で、やはり私が一番心配しているのはこの汚染水の処理がなかなかうまくいかないという現状、そういう状況の中でやはりタンクをどうしても造っていかざるを得ないという極めて重要な問題があるわけですね。ですから、ここのタンクの問題に、廣瀬さん、ちょっとお聞きしたいんですが、タンク一基一千トンを造るのに、私が聞いているのは、今、今年中は月に十一個、来年以降は十五個に数が増える予定だというふうに聞いております。そうしますと、先般も議論をさせていただきましたが、八十万トンまで実は容量を受け止めるだけの敷地もあるということですね。だから、その八十万トンまで受け入れるということの敷地もあるけれども、このフランジ型の実はタンクは溶接型に替えていかなければ、これは駄目ですよね。そうすると、今のペースで行きますと、実はいろいろな要素でこの汚染水の海への放出がなかなかできないという現状で、厳しい状況に私はなっているんだろうというふうに改めて今考えているんですが、ということは、一千トンのタンクを造るのに、八十万トンとすると、やっぱり今のペースで行くと年に百八十個しかできませんよね、月に十五個とすると。そうしますと、八十万トンですから、一千トンのタンクだと、単純計算しても八百を超えるタンクを造らなきゃなりませんよね。そうすると、月に十二個、年に百八十個、八百を単純に造ると計算して、二〇一九年の六月ぐらいまで掛かるんですね。  これ、本当にこういう形でタンクを造っていく間にこの汚染水の問題がきちっとできるのかどうか。八百個造るのに四年六か月必要ですが、これ大丈夫なんですか。汚染水の処理について間に合うんですか。そのことについて取りあえずお答えください。
  91. 廣瀬直己

    参考人廣瀬直己君) 汚染水の問題については大変御心配をお掛けしているところでございます。  タンクの増設でございますけれども、既に今年度、月当たり十五個今造るペースでやっております。来年度以降は更にそれを加速しようというふうに思っていることが一つでございます。さらに、今おっしゃるように、一つのタンク、あの丸いタンクは一個千トン入るものですけれども、それを大きなものをもっと造ろうということにしております。それによって、何というんですか、造るスピードも速くなりますので、それで何とかとにかく増設をいたしまして、もちろん溶接型に替えていかなければいけないということも踏まえてですが、二十七年度末までに何とか八十万トンを造っていこうという計画でやっておりますので、今のところ、そのペースでやらせていただきたいというふうに思っています。
  92. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 今のペースで行きますと、もしかしたら八百個は最低造らなければいけない。このペースで行くと、二〇一九年六月なんですよね、でき上がるのが。  それで、最近の汚染水の問題は、通常四百トンのペースで今のところ汚染水が出ているという状況。ところが、一Fの海側の敷地で、四月以降、非常に薬剤で固める対策をしたけれども、せき止められた地下水が地表にあふれ出ないように一日約六十トンくみ上げることにすると。港湾内で鋼管を打ち込んで壁を造る海側遮水壁を建設する。来年九月に完成すると、壁の内側で増え続ける汚染水を一日当たり九十トンくみ上げる必要があると。八月にタンク約三百トンの高濃度汚染水漏れが判明しましたから、それまで開けていた堰の弁を閉じるということになる。すると、雨水の放射性物質濃度を測定して排出基準を超える水は地下貯水槽などに移送しなければならなくなったと。これ、合わせますと、それに排出できない雨水の、雨、台風来ると大変でしたよね、この雨水の貯蔵量は年間降水量から試算すると一日当たり約百五十トン。こういうものを平均すると、四百プラス七百なんですね。これは大変な数なんですね。こういうペースで、今社長がおっしゃるようなことで間に合わなくなると思うんです。これに対しての対策はどういうふうに考えているんでしょうか。
  93. 廣瀬直己

    参考人廣瀬直己君) 繰り返しになりますが、まずタンクを造るペースは一個千トンでなくて二千トン近くのものを造っていこうということで、それによってスピードアップを図っていくというのが一つございます。  あと、先生おっしゃったように、海側のところで水をくみ上げなければいけないということがございますので、確かに雨も降りますので、ためていかなければいけない量というのを何とかしなければいけないということがございます。御存じのように、四百トンにつきましても、地下水バイパスあるいはサブドレーンを駆使してその四百トンを少しでも減らすという対策をしていかなければいけないと思っておりますし、さらに、雨水につきましても、先生おっしゃったように、雨水が堰にたまりますと、堰が多少汚れているところがあって雨水も汚れてしまうという堰もございますので、そうした堰については、かなり原始的ですけれども、雨どいのようなものを今考えておりまして、雨が降っても堰に雨をためないような形というのも考えておりまして、とにかく四百トンプラス下からくみ上げるもの、さらに雨水という、増えていく純増分をとにかく減らしていくというのが片っ方でやること、もう一方でしっかりとタンクを造っていくということでやらせていただきたいと思っております。
  94. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 田中委員長、今私が申し上げたことと今廣瀬社長が答弁をされたこと、これ認識をされていると思うんですが、今のような状況で本当にこれ大丈夫なんでしょうか。規制庁としての、田中委員長としてのお考え方をお聞きしたいと思います。
  95. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 必要なタンクを増設するということはこれは基本的でございますが、やはり汚染水も幾つかの種類がございます。特に心配されるのは、トレンチとか溶融燃料を冷やした後、セシウムを除去したRO水というようなタンクがございます。これについては多核種除去装置、ALPSと言う、俗称呼んでいますが、これが今現在フル稼働すると一日七百五十トンぐらい処理できます。私どもとしては、これを倍増ないしは三倍増ぐらいにして、とにかくその処理をしていただくと。そうすると、ほとんどの水はトリチウムを除きますとほとんど規制レベル以下の濃度になりますので、そういった段階にして、これは住民の方、漁民の方の御了解も要ると思いますけれども、排水していくというようなことをしていただくと。  それから、雨水のような比較的低いレベルの放射能については簡単な除去装置である程度レベルを下げることができますから、そういったことも併せてやって、やはり水をただためるという一方ではこの水の問題は最終的に解決に向かわないだろうということで、今、そういったことも併せて東電の方に指導をしているところでございます。
  96. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 時間が余りないので、今のことについて更にしっかりと対応していただかないと大変なことになると思います。  委員長、二つ簡単に御質問をさせていただきます。  先般、予算委員会でも、事故のあった一号機から四号機までの瓦れきの処理の問題で廣瀬社長からいろんな答弁がありましたが、私は大変間違った処理をされるのかなと心配しているんですが、今、敷地内における瓦れきの処理についての規制庁としてどのようなかかわり合いを持って指導をしていくのかということが第一点。  それから、全くそのこととは別に、放射性廃棄物の高レベルの処分という問題をこれから当然日本はしていかなきゃなりませんが、今までこの高レベル放射性廃棄物の処理の問題については保安院がやってきたはずですが、それについては規制庁が引き継ぎ、それを受け継いだと思うんですが、高レベル廃棄物のこの処分についての様々な規制の問題については今日までどのようなかかわり合いをし、今後どうしていくのか。  この二点をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  97. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 福島第一原子力発電所内の瓦れき、これはかなり汚染されているものもございます。これは、あそこで大勢の方が働いておりますので、その人たちの作業環境を良くするという観点からも大変重要ですので、それをきちっとしかるべき処理をして安全に保管してもらうようにということで、先日も廣瀬社長にお会いして、それを最優先で取り組んでいただきたいということをお願い申し上げました。  また、高レベル廃棄物の最終処分についての規制機関の役割でございますが、これについては、その方針がまだ具体的に経済産業省を中心に行われていますので、必要な段階にはきちっとした対応、規制ができるように、安全規制ができるように取り組んでいきたいというふうに思っています。
  98. 小林正夫

    ○小林正夫君 民主党・新緑風会の小林正夫です。  エネルギー政策の私の政治姿勢は、安価で質の高い電力安定供給にあり、これが国力の源だと、このように思っております。その観点から茂木大臣に、電力安定供給が大変大事であると、こういう視点から何点か質問をさせていただきます。  まず、電力の現場力について質問をいたします。  私は、二〇一一年三月の東日本震災、福一の原子力事故、これ以降、日本火力の現場を大分多く見てまいりました。先ほど午前中の答弁にもあったように、火力電気を作っている割合が六割ぐらいだったんだけど、原子力が停止しているために現在は九割程度電気火力が作っていると、こういう状況にございますから、火力の現場を見て回っております。  火力というのは元々需要に合わせて火力を運転する、原子力ベース電源であると、こういうことで私たちは習ってまいりました。ところが、やはり原子力が止まっているということで、火力が二十四時間フル稼働という状態になっていて、さらに経年した設備も非常に多い。こういう状況の中で、火力マンが今までの経験と現在まで蓄積された技術力で何とかこの電力安定供給を守っているなと、非常に現場力が大切だなと、このことを私は感じました。  それで、最近、福一の現場にも行ってまいりました。この福一の現場では、冷温停止状態を維持していくこと、さらには燃料棒の取り出し、あるいはメルトダウンした燃料を取り出すこと、それと瓦れきの処理、さらには汚染水の対策、こういうことについて、本当に現場の人たちはタイベックスを着ながら、顔全面のマスクをしながら頑張っているな、このことも私は感じました。  そして、福一の現場で働いている人の中には、あそこの地域に寝泊まりをしてこの対応に当たっている方も多くいらっしゃいました。ところが、インフラの整備ができていない地域ですので、寝泊まりするところも大変生活環境も悪いと、このように私は感じました。したがって、そういう疲れなどが出なきゃいいなと、このように思っております。  さらに、十月七日の経済産業委員会の閉会中審査で、東電の廣瀬社長から福一の状況についてお話があって、最近いわゆる作業ミスであるとかヒューマンエラーとも称されるようなことが続いており心配をしている、現場が疲弊することがあってはいけないと、こういう答弁もありました。  私は、この火力の現場、それと福一の現場、さらには日ごろの電力安定供給を行っている職場、こういうところを訪問して、そこで働いている人たちとも意見交換をしてきましたけれども、大事なことは、改めて、現場力を低下させちゃいけないと、このことを私は強く感じました。  東電の退職者を見ると、二〇一〇年度には百三十四人だったものが、二〇一一年度に四百六十五人、二〇一二年度には七百十二名が退職をしている。さらに、二〇一三年度上期は二百十八名が退職になっているという、こういう実態になっているということも分かりました。  私は、火力、福一、あるいは安定供給をやっている皆さんが高い士気と使命感を持って、これからもこういう異常な事態、こういう状態の中で頑張っていかなきゃいけないんだと思います。そういう意味で、現場力を高めることは企業の施策かもしれませんけれども、今言ったような環境を考えると、大臣としても、この現場力を低下させない、そのためにはどうしていったらいいのか、どう思っているか、大臣の所見をお聞きをしたいと思います。
  99. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 委員指摘のとおり、電力安定供給、極めて、更に言えば最も重要な課題でありまして、電力需給の逼迫を起こさないためにも、安定供給を支える現場の皆さんの高い使命感、責任感、そして士気を維持すること、これは極めて重要な課題だと、こんなふうに思っております。  私もこの八月、改めて福島第一の現場、訪問させていただきましたが、真夏の炎天下、防護服を着て、保冷剤を前に一つ、後ろに二つ入れて作業しないととてもできないような過酷な状況の中で必死にあの作業に当たっていらっしゃる皆さん、直接拝見をいたしました。また、仮設の住宅、これも決して十分な状況ではない。これは、一月に福島第一を訪れたときに東電の方に私から、こういった住宅環境の改善も必要である、こういう申入れも行わせていただいたところであります。  同時に、火力におきましても、今こういった三・一一以降のエネルギー逼迫の中で、老朽化した火力も含めてたき増しをする、こういう状況でありまして、そこの中で日々の保守、保安に当たられている、この作業も大変だろうと、このように考えております。現場の皆さんが日々高いモチベーションを持って仕事をしていることに対して敬意を表したいと思っております。  同時に、汚染水の問題含め、これは世界でもこれまでにない厳しいあの作業が伴う問題でありまして、国としても前面に出る部分は前面に出て、事業者任せにせずに、しっかりと事故の収束、そして同時に電力安定供給に当たってまいりたいと考えております。
  100. 小林正夫

    ○小林正夫君 現場力を低下させない、このことはもう大臣と共通をした課題だと、このように思っております。  この間、現場の人と懇談会をしていましたら、福一の現場もそうですけれども、多くの国会議員が視察に見えます。そのときに、現場の人は本当に大変で一生懸命やっているよねと、こういう話を訪問された議員からは聞くんだけれども、公の場でこの現場の人が頑張っているということの発信がちょっと少ない感じがすると、このように率直な話がありました。  そういう意味で、今大臣からも現場へのメッセージ的なものがありましたけれども、改めて、現場で頑張っている皆さんに対して何かあればお願いをいたします。
  101. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 福島再生をしなければいけない。同時に、そのためにも東電にも力強く再生をしてほしいと思っております。そして、それはまさに現場を支えていらっしゃる皆さんに懸かっている、そして、それが現場の皆さんにとっても希望につながるような施策をきちんと取っていきたいと思っております。
  102. 小林正夫

    ○小林正夫君 次に、電力システム改革の法案が参議院に回ってまいります。法案審議についてはそのときにいろいろ質疑をさせていただきますけれども大臣、一点だけ確認をしておきたいんですけれども大臣は十月二十九日の大臣所信で、低廉かつ安定的な電力供給を一層進めていく、こう述べられました。私も、エネルギーの政策の政治姿勢は安価で質の高い電力安定供給が国力の源だと、このように思っていることは先ほど言ったとおりであります。  この電力システム改革の法案審議、基本的に電力安定供給はしっかり守る、このことが大前提であると、こういうふうに私は認識しておりますけれども大臣、いかがでしょうか。
  103. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 委員のその認識で全く問題ありませんといいますか、そのとおりの認識で私もおります。  常々申し上げておりますように、電力システム改革、改革は大胆に、スケジュールは現実的に、この現実的にという中には、改革を行った結果として電力安定供給が損なわれることがあってはならない、安定供給の確保に万全の措置を講じた上で着実に改革を進めていく、こういう意味で申し上げております。
  104. 小林正夫

    ○小林正夫君 もう一点、安定供給が大変大事だという視点から質問をいたします。  固定価格買取り制度について質問をいたします。天然資源の乏しい我が国、今原子力が全て止まっているということなどを考えていく、あるいは今後の日本の将来を考えていくと、私は再生可能エネルギー普及させていくことは大変大事だと、このようにも認識しております。そういう意味で、固定価格買取り制度が有効に活用されていくことが大変大事だと、このように思っております。  そこで、政府参考人にお聞きをしたいんですが、固定価格買取り制度における申込受付がどのぐらいあって、そのうち送電線に接続していない件数と割合を教えてほしいということ、もう一つ、送電線に接続していない件数のうち、太陽光発電における十キロワット以上と十キロワット未満について件数と割合を教えていただきたいと思います。
  105. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) お答え申し上げます。  昨年七月の固定価格買取り制度の開始以来、制度の認定を受けた再生可能エネルギー発電設備は、平成二十五年の六月末時点におきまして五十一万七千七百九十七件ございます。そのうち発電を開始していない設備という意味では、それが十七万三千百十五件となっておりまして、制度の認定を受けた設備全体の約三三%を占めているという状況でございます。  それから、そのうち、十キロワット以上の太陽光、十キロワット未満の太陽光の件数と割合についての御質問がございました。今申し上げました十七万三千百十五件のうち、十キロワット以上の太陽光発電設備は九万九千六百九十四件ありまして、制度の認定を受けたが、いまだ発電を開始していない再生可能エネルギー発電設備の約六〇%を占めております。十キロワット未満の太陽光発電設備は七万三千二百五十件でございまして、同様に約四〇%を占めております。
  106. 小林正夫

    ○小林正夫君 事前に経産省から資料もいただきました。今答弁があったことをもう一度確認をいたしますけど、特に太陽光発電の十キロワット以上は設備認定件数が十四万三千三百九十件、これに対し未運転件数は九万九千六百九十四件で、六九・七%が未運転であると、こういうふうに事前にお聞きしましたけど、この数字はこれで間違いないでしょうか。
  107. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) そのとおりでございます。
  108. 小林正夫

    ○小林正夫君 そこで、大臣、この固定価格買取り制度というのは、再生可能エネルギーでつくった電気を送っていこうと、それを有効に使おうと、こういう目的でこの制度がつくられたと、私はこのように受け止めております。  今の数字のように、認可、あるいはそういう発電するという権利は取得したんだけれども実際にまだ送電をしていないというところが、十キロワット以上では六九・七%ある、こういうことでありました。私は、この制度の目的からいって、権利を取得してから、送電、要は発電ができないという期間が長くなってくると、いろいろ課題も生じるんじゃないだろうか。再生可能エネルギーでつくった電気をみんなで使っていこうという目的でつくったものが、場合によっては権利を売買するとか、そういうことに私はつながらないかということを心配しているんです。  今日、政府参考人の方、既にこういう権利が売買されたということがあるのかないのか、あれば教えていただきたいと思います。
  109. 木村陽一

    政府参考人(木村陽一君) ただいまいただきました権利の現実の売買があったかどうかという点でございますけれども、現在、実態把握に努めてございまして、それの結果を待ちまして、また改めて精査をいたしたいと思っております。  以上でございます。
  110. 小林正夫

    ○小林正夫君 委員長にお願いがあります。  この固定価格制度というのは、きちんと普及されていかなきゃいけない私は制度だと思います。今答弁のあったように、場合によってはそういうことがあるかもしれないという多分思いで、これから調査をされるというお話でした。是非その調査結果をこの経済産業委員会の方に提出をしていただきたいと、このように思いますけれども委員長にお願いをしたいと思います。
  111. 大久保勉

    委員長大久保勉君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
  112. 小林正夫

    ○小林正夫君 そこで、大臣、今言ったように権利はあるんだけれども発電をしないという期間が長くなると、今言ったような心配も出てくるんじゃないかなと私は思うんです。そこで、この辺の運用について何かお考えなり、また対策なり、そういうものがあればお聞かせを願いたいと思います。
  113. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) この固定価格買取り制度、これは再生可能エネルギー、どうしても太陽光等、設備コスト等が初期段階で高くなってしまう。この導入を加速するために導入した制度でありまして、それは当然、設備が認定されたらできるだけ速やかに稼働する、こういったことを前提にいたしております。  確かに、先ほど参考人の方から答弁をさせていただきましたように、その認可とそれから実際の稼働に乖離があるということでありまして、それは例えば部品の不足であったりとか、納期に長期の時間が掛かる等々が主要な原因になっていると考えておりますが、いずれにしても建設が遅れていると。これにつきましては、別に権利の売買を前提にしてということではありませんけれども、その理由がどうなのかということをきちんと調査をする必要がある。調査をした上で、問題がありましたら必要な是正措置をとってまいりたいと考えております。
  114. 小林正夫

    ○小林正夫君 ありがとうございました。新しい制度ですから、この制度が有効に活用されていく、このことが大変大事だと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  今日は原子力規制委員長の田中委員長にお越しをいただきました。規制委員会に対して何点か質問をさせていただきます。  まず、原子力規制委員会は組織の理念で、原子力に対する確かな規制を通じて、人と環境を守ることが原子力規制委員会の使命である、そして活動原則に、一つとして、独立した意思決定、二つ目に実効ある行動、三つ目が透明で開かれた組織、四つ目に向上心と責任感、五つ目に緊急時即応の五つの活動を挙げております。  規制委員会は、真に世界最高水準の原子力安全を目指し設置した独立性の高い規制委員会であります。であるがゆえに、孤立と独善に陥らないことが求められている、このように思います。先ほど言った規制委員会の活動原則の中にも、国内外の多様な意見に耳を傾け、孤立と独善を戒める、このようなことも規制委員会の中に書かれていることでございます。したがって、規制委員会は、原子力規制委員会設置法等に基づく説明責任を有していると、このように私思います。  そこで、原子力発電所立地地域の知事だとか市長あるいは住民らが、規制委員会に対して面会の要望や地元での説明を求められたときには、できる限り対応して、関係者と適切かつ丁寧なコミュニケーションを取ることによって、私は、信頼を得て、独立性を持って中立的な判断を行うことができるのではないか、このように思います。  発足して一年少しが経過しましたけれども、この辺が課題じゃないかなと私は思っているんですが、規制委員長はどのようにお考えでしょうか。
  115. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 昨年九月に発足しまして一年と少したちました。地に落ちた我が国原子力の安全規制をどうやって立ち直らせるかということが私に課せられた最大の課題という認識の下に、今御指摘いただいたような方針を掲げて取り組んでまいりました。  今後とも、私どもの取組が完全だということを申し上げることはできないと思いますが、最善を尽くして、科学的、技術的知見に立って中立公正な立場から規制を行っていくと、これ以外に我が国原子力の信頼を勝ち取る方法はないだろうという信念に基づいて取り組んでいるところでございます。
  116. 小林正夫

    ○小林正夫君 私も、規制委員会というのは大変大事だと、このように思っております。この規制委員会が新しい組織として発足をして一年経過をした。いろいろこの一年間の中で御苦労もあったと思いますけれども、是非国民から信頼されるような、そういうような組織であってほしいと、このように願っているわけでございます。是非、関係者と適切かつ丁寧なコミュニケーションを図って私はいろんな物事を判断していくことが大変大事だと思いますので、そのことが大事だということは今日御指摘をしておきたいと思います。  次に、今日、資料を用意をいたしました。一つ目の資料であります。  これは原子力発電所敷地内破砕帯の調査状況という、これは規制庁からいただいた資料でございます。これは、特にこの中を見ると、東北電力の東通原子力発電所、それと関西電力の大飯発電所、評価書案を検討中、こういうような進捗だということがここに書かれているんですが、この東通と大飯発電所についてはいつごろ最終的な取りまとめができると、このようにお考えなんでしょうか、また、どういうふうな進め方をされているんでしょうか、お聞きをいたします。
  117. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) お答え申し上げます。  お尋ねのございました、まず東北電力東通原子力発電所の敷地内破砕帯の調査でございますけれども、これにつきましては、有識者の会合において原子炉近傍の破砕帯が活断層である可能性が高いのではないかという見解でおおむね一致してきている状況でございますけれども、細かい点についてまだ議論中の部分があるという状況でございまして、それを確認すべく今現地の調査を行っているという、そういう段階でございます。今後は、この現地の調査を踏まえて有識者の会合を適宜開催していただいて、そこでまた議論をしていただく、そういう予定でございます。  という状況でございますので、現時点におきまして、取りまとめはいつごろになるかということについて今具体的な時期についてお示しすることはなかなか難しいということは御理解いただければというふうに思います。  一方、関西電力大飯発電所でございますけれども、こちらにつきましては、非常用の取水路という、非常用の海水を取ってくる、そういう取水路があるんですけれども、そこを破砕帯が横切ってございまして、この破砕帯が将来活動する可能性のある断層等というものに当たるのかどうかというのが論点でございましたけれども、これも、これまでの有識者会合におきまして、当たらないのではないかということで見解がおおむね一致しているという状況でございます。状況は今、こちらにつきましては、資料でも少し書き分けてございますが、評価書案を作成中という状況でございまして、今事務局側の案を整理しているところでございます。これができましたら、有識者会合を開いて評価書案を検討していただくということになります。  という状況でございますので、これも具体的に取りまとめいつというところまでは今私どもの中でお話しするのは難しゅうございますけれども、準備はできるだけ速やかに進めてまいりたいと思ってございます。
  118. 小林正夫

    ○小林正夫君 次に、資料二を見ていただきたいと思います。  これは、日本原子力発電株式会社敦賀発電所内の破砕帯調査の経緯でございます。この経緯、一覧表にまとめましたけれども、この経緯はこれで合っていますでしょうか、規制庁の方にお聞きをしたいと思います。いかがでしょうか。
  119. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) お答えいたします。  これは、委員の方で日本原電のホームページ等から得られた情報をまとめたものということだと理解してございます。一見して何か間違いがあるということではないのではないかと思いますが、外部レビューの結果というのがどういうものであるか、本物がどうかというところまでは私も分かりませんけれども、一応公開されているものがあるということは承知してございます。
  120. 小林正夫

    ○小林正夫君 そこで、少しこの経過について私の方から話をしてみたいと思うんですが、二〇一二年十二月一日から二日にかけて、原子力規制委員会が有識者に頼んで敦賀原子力発電所の下にある活断層の現地調査を行った。調査結果を踏まえて有識者による五回の評価会合が開催されて、報告書が取りまとめられた。二〇一三年五月二十二日に規制委員会が了承したその報告書は、活断層があると結論を出した。  これに対して、日本原子力発電株式会社自身も調査を行って、その調査報告書が二〇一三年七月十一日に提出をされて、ここでは活断層ではないと、こう言っている報告書が出てまいりました。また、日本原電がアメリカやイギリスなどの外部の専門家に委託して取りまとめた外部レビューも、活断層ではないことを示唆しております。八月三十日の日本原電の調査報告書に関する検討委員会、これは第一回のとき、原電から出された敦賀発電所敷地内の地質構造D—1破砕帯の評価について、こういう資料に添付をされて、アメリカあるいはイギリスの専門家に頼んで出てきた調査結果を添付してあると、このように聞いております。  したがって、規制委員会側と日本原電の事業者側の判断が全く違う結論が出てきたと、こういう今状況になっております。  それで、規制委員会は八月末に原電の調査報告書の内容を確認するだけの会合を開いたけれども、その後は開かれていない。なぜ事業者調査報告書と外部専門家のレビューを検討しようとはしないんでしょうか。多くの英知を集めて事実を探るべきではないかと思います。有識者の評価だけが絶対に正しいとは私は必ずしも言い切れない、このように思います。  ある学者は、科学的な事実の知見を磨き上げて判断する科学的検討の場は、異なる学説を有する複数の研究者が一堂に会するようにしなければならないと、こうおっしゃっている学者の方もいらっしゃいます。私は、規制委員会事業者側とが、世界最高水準の安全を目指すと、こういう理念から、お互いにこの理念を共有をして、対立ではなく共存であるべき、このように考えます。過去の原子力安全・保安院時代の反省もあると思いますけれどもアメリカアメリカ合衆国原子力規制委員会のように規制側と産業界がお互いにコミュニケーションをよく議論して切磋琢磨するのでなければ、共存どころか共倒れになりかねない、私はこのように思います。  先ほど述べたように、規制委員会の活動原則の三番目にあった透明で開かれた組織という中では、国内外の多様な意見に耳を傾け、孤立と独善を戒めると、このようにも書いてございます。規制委員会は原電の調査報告書の内容について、すぐにでも私は有識者を招集して検討をして、その検討の過程では、事業者の考え方はもちろんのこと、国内外の専門家の知見や考えも聞いて、国民の誰もが安全な判断だと納得できる判断をしていくことが必要ではないかと思います。  また、資料二でも先ほど見ていただいてお分かりのとおり、規制委員会は、原電から報告書が提出された、これは七月十一日ですけれども、される前に活断層と判断をした。原電は、その後データをそろえて報告書を提出をした。こういうことですから、早く専門家を招集して原電が提出した報告書を検討すべき、このように思います。  審査をしない状況が長引いているのは問題じゃないかと私は思います。いかがでしょうか、田中委員長
  121. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 日本原子力発電株式会社敦賀発電所の敷地内破砕帯については、本年五月の有識者会合でまとめていただいて、耐震設計上考慮する活断層であるという評価を一応得られています。それに対して、それまでの調査結果、調査を更に掘削調査などをして、日本原電からは追加調査結果が最近出されておりまして、それについては検討会合を開催するなど、その内容を精査して論点を整理しているところでございます。  日本原電が行った外部レビュー、私詳細に見て細かく、専門家ではありませんからですが、いわゆる活断層ではないということは否定できない、あると言うこともできないかもしれないけれども否定できないというような結論だったと思います。  したがいまして、こういったことも踏まえまして、更に今後データをよく精査した上で判断してまいりたいと思いますが、元々活断層、いわゆるSクラスという原子力施設の重要な施設の下に活断層はあってはならないんだというのは、私どもの新しい規制基準の前から決められていたことで、この調査についてもその疑いがあるから調査をするようにという申し送りの下で行ってきているものでありますので、そこのところは是非御理解いただきたいと思います。
  122. 小林正夫

    ○小林正夫君 原電から出されたデータ、それらをきちんと精査をしていきたいと。早く専門家を招集して原電が提出した報告書を検討すべきだと、私はこのように思いますけれども、そういうような進め方もやっていくと、このように受け止めていいですか。
  123. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) さきの報告書を委員会が了承した時点でも、この結論を新たに変えるようなデータが出てきた場合には、更にそれを見直すことについてはやぶさかではないのだということで事業者の方にもそれは伝えてありますから、そういう視点できちっと見直し、必要な検討はさせていただきたいと思います。
  124. 小林正夫

    ○小林正夫君 時間が来ましたので、そのほか質問も用意しましたけれども、これで終わります。  ありがとうございました。
  125. 荒井広幸

    荒井広幸君 荒井でございます。それでは、大臣に、お忙しいところ済みません。  金曜日に質問を通告して以来、大臣の発言があったやに聞いておりますが、大変好感を持って私聞いております。  大臣、六番目の質問から飛ばさせていただきたいんですが、福島原子力発電所のいわゆる避難エリア指定を今変えてまいりました。今年の六月までには、政府が住民意向調査でそれぞれの町村の皆さんのアンケートをまとめました。ここで明らかなように、除染して帰還するというのは一つのスローガンで、我々もその考え方でまいりましたけれども、帰還するしない、こういうような御意見、あるいはその理由は何か。一番は放射線、これが心配であるということが、帰還しない、あるいはちゅうちょしているという理由なんですけれども、様々な意見があるということを改めて我々は認識をしなければならないと思います。  それで、大臣に早速お尋ねしたいんですが、人権問題としても、居住するというのはもうこれは憲法にも自由は定められているわけですね、居住の自由も。帰還一辺倒でない、言ってみれば移住する権利あるいは帰還しない権利、こうした多様性を重んじた選択肢と支援策を講ずるべき段階に入ったのではないかと思いますが、大臣の率直な御見解をお聞かせください。
  126. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 被災者の立場に立った、そして被災者の思いを受け止めた復興の加速化というのを進めていかなければいけないと、そういうふうに思っております。  復興庁が実施しております直近の住民意向調査によりますと、帰還困難区域のように放射線量の関係で帰還が難しい地域では、戻らないと考えている方々が約三割から四割に上っていらっしゃる、また、様々な理由から判断に迷っていらっしゃる、こういった方々も三割から四割いらっしゃると承知をいたしております。このような様々な思いを抱く住民の方がおられることをしっかり念頭に置いた上で、復興庁など関係省庁と十分に連携をして、将来の線量の見通しや地域の将来像など住民の方々の人生選択に資する判断材料を示すとともに、多様な選択肢と必要な支援策について検討してまいりたいと考えております。
  127. 荒井広幸

    荒井広幸君 その多様というのは、移住してもいいですよということも含めてですか。
  128. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) できる限り住民の方々の気持ちに寄り添った支援策というのを充実していかなければいけないと思っております。
  129. 荒井広幸

    荒井広幸君 なかなかこれは我々言い出せなかったところでございますが、移住する権利、これを是非、大臣のお気持ちにもあるようです、これをお認めいただきたいと、また認めていただける方向に持っていくということが重要だと思います。  そういう形になってきますと、これ原子力規制委員長にも来ていただいていますが、実は政府は八月二十八日に、原子力規制委員会に対して、帰還に向けた、あくまでも目的は、帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チームなんですね。これをやっているんです。九月十七日の第一回会合では、帰還のための議論の前に、国は帰る帰らないをどう考えるのかというような意見が出されていますね、既に。しかし、十月六日の資料、第三回の資料では、移住を検討の対象から外しているんです。我々に与えられた命題は、帰還に向けた安全、安心に対する様々な問題点なんだということなんです。ですから、そうなると、規制委員長、これは規制委員長の問題ではなくて、規制委員会の問題でなくて、政府がそれを方向転換をしていくということですね、委員長。そういうことになってくるだろうと思いますので、規制委員会もそこを頭に入れた今後の対応というのも心構えとしておいてください。  さて、そこで非常に重要になりますのは、大臣も御理解の上で言われました放射線量なんですね。子ども・被災者支援法というのは、実際は二十ミリシーベルトで帰れるという前提の上に立った、放射線量を言わないエリア指定なんです。これが非常に曖昧なんですね。我々は一定線量というものを求めました。この法律は議員立法で一定線量を根拠とせよと。この根拠が明示できなかった。そうなんです。そこが最大の難しさなんです。そこをクリアしていかなければ被災者に寄り添うということはできませんし、世界に対しての日本の品格というものもきちんとお示しすることはできない。それがまた日本の信頼にもなり、一番は被災者にとっての救済策になるんです。  この点で考えますと、大臣、一つの大きな考え方は、チェルノブイリ法にそのヒントあるんです。居住コンセプト、私の言葉で言うと居住コンセプトというまとめ方するんです。その地域に生活すると追加線量によって長期低線量被曝による影響が、健康被害が出てくるということを、健康政策として、いわゆる政治判断として線量を決めていくんです。国際機関でもこれは非常に大きな議論をしているところですね。ですから、この二十ミリシーベルトが絶対大丈夫なんだ、あるいは絶対に安心なんだ、そういうことあり得ないんです。  規制委員長にお尋ねします。低線量被曝の健康被害が少ないとする科学的見地について国際的合意がある、これがいわゆる平成二十三年十二月に細野大臣のところで決められました二十ミリシーベルトに行き着くんですが、その報告書でさえ、低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループの報告書ですね、人のリスクを明らかにするには至っていない、今後も検討されなければならない、科学的に確認されないなどと、科学的に全く影響がないと断言していないんです、できないんです。どうしてなんでしょうか。
  130. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 先生御指摘のように、一般的に言いますと、百ミリシーベルトとか五十ミリから百ミリシーベルト以下の被曝をした場合の健康影響について、世界の近代医学をどういうふうに使ってみてもその健康影響を明示的にそれを同定することができないと。  というのは、私どもは誰でも病気もするしいろんな病もかかるわけで、それがその放射線による影響かどうかということが分からないということで、様々な取組が世界中で、例えばネズミを使ったりラットを使ったりしながらやっているんですが、それもまだ今はっきりしないということでございます。  そういう中で、二十ミリシーベルトという現存被曝状況ですね、一から二十、これはICRPが、こういった原子力被害、こういう災害が起きたときに緊急に避難をすることによって、また、例えば今回のように仮設住宅に長くとどまるようなことによって様々な健康障害を起こされている方もございますので、そういったことを鑑みて、一から二十ミリシーベルトぐらい、いっときですね、ずっと長い間二十ミリシーベルトでいいということではありませんで、そういったことを踏まえて、現存被曝状況として一から二十ミリシーベルトの範囲ならば取りあえずはそこに居住をしながらより低い線量を目指すべきであろうと、そういうふうな考え方を打ち出され、それを政府が取り入れたものというふうに理解しております。
  131. 荒井広幸

    荒井広幸君 取りあえずということで、じゃ、今が非常事態に当たるという感覚でいらっしゃるんだと思いますが、これがずっと帰還の時間分からないんですね、除染の遅さもありますし、様々な問題を持っています。  じゃ、規制委員会に聞きますが、四番ですね、政府は年間一ミリシーベルト、済みません、大飯原発稼働させましたね、九月に、五番目です、規制委員会規制庁ね、大飯原発稼働していましたけれども、大飯原発の周辺区域の線量、これ以上高くなってはならない目標値をシーベルトで示してください。
  132. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) お答えいたします。  原子力発電所から放出される放射性物質につきましては、法令で定める限度といたしまして、施設周辺の公衆が受ける線量を年間一ミリシーベルトを超えないように放出量を管理するということを求めています。これに加えまして、放射線による影響を可能な限り低く抑えるという観点から、目標値として施設周辺の公衆の受ける線量が年間五十マイクロシーベルト以下となるように管理することを求めてございます。  大飯発電所におきましても、この目標値を達成できるように、保安規定に基づき放射性物質の放出量を管理しているというふうに承知してございます。
  133. 荒井広幸

    荒井広幸君 今皆さん方がお聞きになったように、昭和五十三年です、五十三年の十二月二十八日の通達で、周辺監視区域の境界における線量の限度は一ミリシーベルトなんです。それを超えちゃいけないと言っているんです。ですから、それぐらい幅があるんですね。  そこで、大臣、そろそろ政策的判断、私から言うと、居住することによって被曝を受けて将来健康を害するリスクがあるかないかを予防原則にのっとって厳しめに低く取って健康政策として判断をしなければならない、そういう意味での先ほど大臣の移住という判断に結び付いていかなければならないんだと思うんですが、この健康政策的根拠を持ってそうした判断をするという御認識をお持ちいただきたいということをこれは大臣に申し上げたいと思いますが、この点、いかがでしょう。
  134. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 被曝線量、そしてその影響につきましては科学的な知見に基づいて判断されるべき問題だと思っております。その上で、荒井委員のおっしゃった御指摘につきましてはしっかり踏まえながら今後の対応を考えていきたいと思います。
  135. 荒井広幸

    荒井広幸君 それでこそ茂木正造だと思うんですよ、田中正造ならぬ。やっぱりそこが我が国国家、成長国家、人権国家、そして福祉国家とも言います。世界中が日本を、そうは言ってもやっぱり日本をお手本にしたいと思っている方もいます。我々は、ここでしっかりとした政策健康判断というのをして、避難している方々を、線量の高いところにいらっしゃる方々に移住という、そういう居住コンセプトに基づいた選択肢もつくっていく必要があるということを大臣と共有できたことを一つの喜びといたします。  では、成長国会でもありますので、成長のお話をさせていただきたいというふうに思います。  この成長のところなんですが、大臣、私は、心配していますのは、安倍内閣が、一の矢、二の矢はうまくいって、三の矢が企業にばかり目が向いてい過ぎるなというのが私の考えなんですね。やっぱりなぜ、実需そのものである、購買するそのものである、六割、七割の購買する家庭を主役にした、家庭に対する投資というストレートなものを打ち立てられないのかなと思ってお話をしていましたら、大臣の下で、安倍総理も予算委員会でも御返答いただきましたけれども、いわゆる、先生方にお手元にお配りをした、あっ、こっちは移住の概念図でございます。それから、この見開きのものでございますが、大臣、また委員長、皆様、これでございますが、クリーンエネルギー・ファイナンスという形で前進させていただいたことを感謝し、歓迎いたします。  この場合に、やっぱり相変わらず問題なんですね。これは皆さん、どういうことかというと、私が今、今日は分かりやすく言うと、エネファームを例に取ります。ガスですね、今までガスでお湯を沸かしていましたが、ガスを水素に分解していく、そしてその水素と酸素で発電をして、その熱を利用してお湯に行くということですから、お湯が一番最後になるんです。今まではガスを燃やして、皆さん、我々お風呂に入っていた。ところが、発電をした上に今度はお湯を沸かすということになる家庭用蓄電池、水素蓄電池なんですね、今日、私、簡単に言うと。これだけエネルギーが足りないと言っている世の中で、そして円安、株高に振れまして原料が高くなっている。原発のこの停止という課題もあると皆さんおっしゃるけれども、一番困っているのは家庭なんです。もう光熱費が大変高いんですから。これに買い換えよう。  家電のエコポイント、大臣は自民党でそれをやられました。私もこの国会で三年間提案し続けて実現されたわけです。五千八百億円の投資で六兆円のこれが効果があったわけですね。同じなんです。家庭が必要としているんですから、光熱費が高くて。そして、自然エネルギーを使おうという人たちが非常に多いんです。エネファームを導入している方々、まだ五、六万人しかおりませんけれども設置している企業の皆さん、小さな販売店の皆さんに聞いても、何とか環境にいい、エネルギーも余り使わない、そういうものがないかというのが導入の根拠なんですよ。もちろん、四十五万円、今国がこれに対して補助金を出しておりますが、一番環境意識が高い方がお買いになっているということなんです。  ところが、お金がなければ環境意識があったって導入できません。今大体二百万円です。大きいですね。だから、一括してそういう設備を買って、お金がある方もない方もそれを付けていただけるような大規模展開をしようということで大臣に工夫していただいて、一番上にありますクリーンエネルギー・ファイナンスという形になったんですが、あくまでもこれは、主役は提供者側なんです。家庭の、付ける側にもっと踏み込んでいただいた支援をしていただくと、目に見えて爆発的に広がります。家電のエコポイントと同じです。これをやらないと私は安倍内閣行き詰まるんじゃないかと本当心配するものですから、コジェネができるというこのエネファーム、こういう大量に、お金があってもなくても安いリース代で提供できる、全員参加、これこそ安倍内閣のやるべき第三の矢だと思うんです。  そこで、大臣に、Q一とQ二、併せてお尋ねしていいでしょうか。  まず、内部留保している、今年の内部留保は、これはあぶく銭と言っちゃ申し訳ありませんが、適正値に戻ったということではありますが、このお金をそうした原資に引っ張るためには、ちょっとこのクリーンエネルギー・ファイナンスもそういう発想ではあるんですが、弱いんです。特別目的会社をつくって、そこに投資させる、それによって爆発的に、五千万戸ですから、日本の家は。二〇三〇年に五百万戸、このエネファーム等々の燃料電池に置き換えるというんでは弱いんですよ、あと十七年後。今なんです。エネルギー不足、ベストミックス。どうでしょうか、大臣、このSPCという目的会社をつくるという手法の導入、これが一点。  次まで行かさせていただいて済みませんが、今度はそのSPC等がリース先の機械を入れるわけですね、蓄電池を。その蓄電池を入れたものを家庭の余剰電力として、時間帯には発電した電気が余るんです。それをピークカットにも使えますし、電力会社に売っていくんです。これはFITの対象にならなくて結構です、FITは自然エネルギーですから、こっちはそもそもは化石のガスですからね。しかもFITを使わなくてもいいんです。SPCがまとめ買いして電力会社に売っていく、これが電気事業法の三段階の改革にも併せて先鞭を切ってこれをやっていくということになりますと、電力需要のピークカットにもできるわけなんです。  そして、日本の、最終的には水素自動車、同じ仕掛けです。この同じ仕掛けである水素自動車、FCVという車で日本が先端を走ろうとしています。この水素、家庭用の蓄電池の百個分が一台の自動車に入るそうでございますけど、そういう技術も海外に売れるわけですし、爆発的に進んでまいります。  いかがでしょうか、SPCという特定目的会社をつくって爆発的に広げる、そして二つ目にはこのSPCが電力を個々の家庭から買って電力会社に売っていく、こういう仕掛けをつくったらいかがか、二点、御相談申し上げます。  規制委員長、退席してください。
  136. 大久保勉

    委員長大久保勉君) 時間が迫っておりますので答弁は簡潔にお願いします。
  137. 菅原郁郎

    政府参考人(菅原郁郎君) 簡単にSPCの今の状況について御説明させていただきます。  SPCについては、委員指摘のとおり、家庭や小規模事業者を相手に取引を行う際にこのSPCを活用して案件を総体として管理し、個々の家庭事業者の持つリスクを平準化することで事業全体のリスク管理を容易にする手法として極めて有効な手法だと思っております。  現在、我々のところに民間の方から様々なこのSPCについての提案、問合せが寄せられるところではありますが、熟度の面でまだ難点がありますけれども、中には政府系金融機関と組んでこのSPCの形で一歩現実に踏み出そうとしている案件もございます。そういうところから更なる創意工夫、問題点を洗い出しまして、このSPCの普及について政府系金融機関とも連携しながらそれを促進していきたいというふうに考えてございます。
  138. 荒井広幸

    荒井広幸君 大臣の手元でここまで来ましたので、ちょっと私は迫力不足だと思っていますので、一層の努力をお願いしたいと思います。  そういうことでいうと、この分散型という時代はもう遅い、企業太陽光パネルで発電する、相変わらずそれを売り付けるんです。こういう時代をやめていくということです。一人一人が自家発電をしていった方がはるかに、コジェネレーションを入れて、災害国家日本には非常に安全保障上良くなりますし、自らが選んだ自然エネルギー循環型で自分の生活をしていく、考えも生活も変えていこうという提案をしていくというのが三・一一の教訓だと思いますので、大臣の一層の予算編成に向けての努力をお願いしまして、終わります。
  139. 倉林明子

    ○倉林明子君 日本共産党の倉林明子でございます。今日は地元京都の地場産業の問題について質問させていただきたいと思います。  最初に、茂木大臣は所信で、日本経済を支える全国四百二十万の中小企業・小規模事業者が果たす役割が鍵だというふうに述べられております。中小企業・小規模事業者が元気になってこそ地域経済、地域雇用が改善されるというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  140. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) そのように考えております。
  141. 倉林明子

    ○倉林明子君 そこで、十月二十五日、全国中小企業団体中央会など四団体に対して大臣自身が賃上げの要請も行われたというふうに伺っております。  そこで、中小企業や小規模事業者が賃上げを行えるような環境をつくっていく、これが経産省としても大変大事な仕事だと思いますが、いかがでしょう。
  142. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 十月二十五日に開催をいたしました中小企業関係四団体との懇談会でありますが、一つの目的は、安倍政権としてこれまで取ってきた経済対策、特に中小企業・小規模事業者対策について、さらには今回の経済政策パッケージについてしっかりと御理解をいただく、その説明であります。  同時に、我々としては、企業の収益、これを賃金や雇用、こういった形につなげ、さらにそれが消費につながり、消費の拡大が生産や投資の拡大を生む、こういう好循環をつくっていきたい。こういう好循環の実現に向け、経済界の皆さんにも、賃上げを含め前向きな行動をお願いしたい、こういう趣旨でお集まりをいただいたところであります。  同時に、経済界の皆さんに対しては、単にアベノミクスによって生まれた収益を賃金の引上げだけではなくて、関係企業、そして中小企業との取引条件の改善、こういうことにつなげてほしい、こういった要請も行っているところであります。  大企業と比べまして、中小企業、小規模企業、それは企業によりますけれども、なかなか賃上げが行える環境に至っていない会社もあるわけでありまして、そういった賃上げ等々が行えるような環境をつくってまいりたい、そのための様々な施策をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
  143. 倉林明子

    ○倉林明子君 そこに踏み込んで、賃上げが中小企業でもできるような環境をどうやってつくっていくのか。是非、京都の産地の実態を御紹介いたしますので、御検討いただきたいなと思っております。  京都を代表します織物で、西陣織というものは国際的なブランドとなっております。この西陣織の生産の七割を支えているのが京都北部の丹後という地域になります。この丹後地方では、日本の和装用白生地、これの六割を生産しておりまして、我が国最大の絹織物産地と、現状でもそういうことになっております。  どういうものかといいますと、現物を持ってまいりましたので、是非紹介したい。(資料提示)これがいわゆる白生地でございます。そして、これが紋が抜いてある生地でございまして、いずれも丹後産地で生産されているものです。こうした丹後の絹織物は実は大変歴史が古くて、奈良時代のものが正倉院の御物として納められているというものでございます。歴史と伝統があるこの西陣織、丹後ちりめん、地域の雇用、そして地域の経済、さらには日本の文化も支えてきたと言っても決して私言い過ぎではないと思うんです。  ところが、現状はどうかということで、資料を今日は配付をさせていただいております。二枚物になっておりますが、二枚目が数値でございまして、組合員数というのは生産者数、職人数と置き換えて考えていただいてもほぼいいと思います。生産反数と二つのデータをグラフにしたのが一枚目のものでございます。これ一九八九年から二十数年の推移を取っておりますが、もう見事に右肩下がりのグラフになっておりまして、一九八九年当時、三百十五万反の生産高だったものが二〇一二年には四十五万反という状況で、それにほぼ匹敵する形で生産者も減っていると、織り手が本当に急激なテンポで減っているというのが産地の実態なんですね。私、この現状というのをグラフで紹介をさせていただきましたが、大変深刻な実態になっているというふうに思うんですが、大臣の認識は、見解はいかがでしょうか。
  144. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 丹後地域の絹織物、これは奈良時代に始まり、そして産業としても恐らく三百年近くの歴史を有するものでありまして、他の絹織物には出せないしなやかな肌触りを持って、白生地をお示しをいただきましたけれども、これの全国シェアの六割を占める日本第一の産地であります。ただ、事業所数であったりとか生産量、そしてまた織工の数、大きく減少しておりまして、業況大変厳しいものがある、このように認識をいたしております。
  145. 倉林明子

    ○倉林明子君 この需要の低迷に加えて、デフレ経済の長期化で本当にコスト競争が大変激化しております。供給過剰という状況がしわ寄せとして職人、機を織る労働者のところに行っているというのが現地の状況でもあります。  そこで、丹後で機織りをする労働者の賃金、これが一体どんな状況になっているのか、厚生労働省に来ていただいておりますので、確認をさせていただきたいと思います。  家内労働法の定めによる最低工賃が規定されております。この地域における最低工賃、種類たくさんありますので、帯の最高額のところが幾らになっているのか、同時に、この地域で最低賃金が幾らになっているのか、併せて額でお答えください。
  146. 鈴木俊彦

    政府参考人(鈴木俊彦君) お答え申し上げます。  丹後織物の帯の最低工賃でございますが、織機の規格に応じまして一万越当たり定められております。最も高い最低工賃は千四百九十八円でございます。また、京都府最低賃金でございますが、七百七十三円でございます。
  147. 倉林明子

    ○倉林明子君 確認を一点させていただきたいんですけれども、家内労働法で定めています最低工賃、これには守る義務があるということでいいと思いますが、確認。同時に、この最低工賃を定める場合、最低賃金との均衡を考慮して定めなければならないと、いずれも家内労働法での規定があると、これでよろしいでしょうか。
  148. 鈴木俊彦

    政府参考人(鈴木俊彦君) ただいま御指摘のありました二点とも先生の御指摘どおりでございます。
  149. 倉林明子

    ○倉林明子君 ところが、この丹後の最低工賃、今お示ししていただいた額は一万越当たりの額、一万越のこの越という単位は、織物を一回がっちゃんとやる、これが一越でございまして、時給換算をいたしますと最高額でも七百五十円程度にしかなりません。この額が実は十二年間改定なしで据え置かれたままとなっております。この額がじゃ払われているのかといいますと、そうなっておりませんで、この最低工賃が常時割れるという状況で、実際のところ、手元の職人さんのところに行っている工賃は、何と時給二百円から三百円台という状況がこれ続いているわけです。  こういう状況が長期化している中で、実際に織り手が今どんな状況かといいますと、八十代の方がこの伝統を守って、技術を守って織り手の中心になっていると。年金があるから生活がやっと成り立っているというような状況になっているわけです。私、このままでは職人が消滅してしまうという産地の声は、本当にそのとおりだと思って受け止めております。  今、業界挙げてこの最低工賃の引上げに私は取り組むときだし、産地を保全するためには待ったなしの課題ではないかと考えますが、いかがでしょう。経産大臣に産地の問題として答弁をお願いしたい。
  150. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 私の地元も栃木県の足利市です。御案内のとおり、織物の産地として長く栄えてまいりました。ただ、昭和三十年代以降の状況を見ますと、大変厳しい状況の中で、それぞれがいかに自分の持っている技術の付加価値を上げるか、様々な取組をやってきたところであります。  当然、機屋の皆さんの工賃の問題あるわけでありますけれども、工賃そのもの、これを単純に引き上げますと、それはコストですから、それが最終的な価格の引上げにつながって需要そのものが落ちてしまう、こういう逆効果にもなりかねないということでありまして、例えばレースの生地、こういったものを様々な形のクロスに使ったり、今レースドールというのがはやっております、かなり。これも付加価値高いんですよ。こういったものも作っていかなければいけないと思っておりまして、経済産業省では、民主党政権以前の平成十八年から二十年にかけまして、JAPANブランド育成の支援事業で丹後シルクのブランド化を支援をしてきたところであります。  今後、地元より更に具体的な御要望がございましたら、例えばクール・ジャパンなどの取組を通じたブランディングによります新規事業の掘り起こし、さらには着物以外での絹織物の新規用途開拓と、こういったことも支援を検討してまいりたいと考えております。
  151. 倉林明子

    ○倉林明子君 最低工賃の問題を本当に産地保全の問題として考えていかないと産地守れないと、そういう状況になっているということをしっかり受け止めていただきたいと思うんですね。  先ほどおっしゃったように、中小企業・小規模事業者のところでも賃上げが必要だと、これは本当にそのとおりだと思うんですね。その環境をどうやってつくるのか。私は、厚生労働省任せではこの問題は解決しない、産地が一体になってここを引き上げるという取組が絶対必要だということを申し上げておきたいと思うんです。  その上で、平成二十年、本会議でのやり取りがございまして、この家内労働法の最低工賃をめぐるやり取りです。当時の福田総理が答弁されています。家内労働者の最低工賃についても、最低賃金との均衡などを考慮しつつ適切に見直すとされているんです。ところが、あれから五年、一個も伸びていないんです。  私は、政府全体としても最低賃金と併せてこの最低工賃問題を考えて、引き上げるということで頑張っていただきたいと思うんです。いかがでしょう。
  152. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 最低工賃の問題、検討はさせていただきます。  ただ、申し上げたいのは、工賃だけで全てが解決しないと。いろんな産地において新しい取組をしてきているんです。単にこの工賃を上げれば問題が解決するんだったら簡単なんです。そうではなくて、どう職人の皆さんが持っている技術であったりとか、その産地が持っているいろんなノウハウ、こういうものを使っていくかということを考えなければ私はいけないと思っております。
  153. 倉林明子

    ○倉林明子君 一緒に、本当に底辺で働いている、低賃金で働いている人たちの賃金引き上げようと、この点では違いないし、私、けんかしようと思ってこの問題取り上げているわけではございませんので、よろしくお願いしたいと思います。  そこで、産地が今とことん疲弊しているということで、この間、経済対策で進みました円安、これが丹後の産地に大変大きな打撃を与えております。一〇〇%原材料は輸入という現状になっております生糸の値段が、キロ五千円から八千円というところで高止まりをしております。さらに、こうした製品に仕上げるためには精練ということで大量の油を使って製品化をすると、大量の燃料を使って製品化するということになります。この燃料が価格高騰をしているところに、この間の電気代の大幅な値上げがこたえております。ここに今消費税の増税かという怨嗟の声が産地には広がっております。私、今の現状消費税の増税ということになれば、このまま来年四月の実施ということになればとんでもない打撃を与えることになると思いますが、いかがでしょうか。
  154. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 為替につきましては、どのレートが適正であるか、これは難しい問題であると考えております。その上で、過剰な円高の是正は必要である、こういう認識の下で、元々我々としては、為替をどうするということではなくて、デフレからの脱却ということを中心にしながら政策を進めてまいりました。  その上で、最近の為替の状況から、原材料、燃料価格が高騰する、一方、三・一一以降の新たなエネルギー制約の下で電気料金が上昇する等々によりまして一時的に利益が圧迫されている中小企業、そして小規模事業者に対しては政府系金融機関におけるセーフティーネット貸付けによりしっかりと支援をしていきたいと思っております。  そして、消費税、最終的には転嫁がきちんと行われ、そして価格に反映をされ、消費者の皆さんにお支払いいただき、それが社会保障の充実に充てられるということでありまして、適正な転嫁が行われるよう万全の対策を取ってまいりたいと考えております。
  155. 倉林明子

    ○倉林明子君 どんな影響を産地に与えるかということについての御意見を伺いたかったんですけれども、御意見が聞けたとは思えませんでした。  この着物にかかわって、京都は一大産地であると同時に、全国に消費、販売するという呉服販売の機能も持っております。  京都の呉服屋さんが消費税の影響がどれだけあったかということで御紹介をいただいた例がございます。九七年増税ということでしたが、悉皆屋さんを営業されています方の売上げで見ますと、九六年の売上げ、ところがこれ、九七年には八割に九六年と比べてなりました。九八年には四割に落ち込みました。本当に、この消費税の増税という影響が、進む着物離れに加えて、一層それに拍車を掛けると。着物が売れなくなれば職人に仕事も出せなくなると。だから、先ほどおっしゃったように、需要を拡大するという観点からも、この消費税の増税が和装産地に与える影響、京都に与える影響というのは本当に大きいというのが声なんですね。  本当に、消費税の増税が、京都の産地に与える影響だけじゃなく、着物文化に与える影響も甚大だということをしっかり見ていただきたいし、やっぱりその点からも、消費税の増税については、四月実施についてはきっぱり中止するように求めて、質問は終わりたいと思います。     ─────────────
  156. 大久保勉

    委員長大久保勉君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、荒井広幸君が委員辞任され、その補欠として浜田和幸君が選任されました。     ─────────────
  157. 大久保勉

    委員長大久保勉君) 中野正志君。  なお、中野委員においては着席のまま御質疑をお願いいたします。
  158. 中野正志

    ○中野正志君 維新の会の中野正志でございます。昨日まで入院中でございまして、委員長のお許しをいただきまして、着席のまま質問をさせていただきます。  その前に、私は宮城県出身でありますけれども、私たち宮城県にホームグラウンドを持ちます東北楽天ゴールデンイーグルス、見事日本シリーズ勝ち上がりました。本当に陰に陽にの皆様の御支援に心から感謝を申し上げます。被災地のチームでありまして、被災者に与える勇気、希望、夢、やればできるのだ、そのことを御認識をされた、またそういうエールを送っていただいたということは、楽天ゴールデンイーグルスの皆さんには本当よくぞ頑張っていただいたものだと心からむしろ感謝を申し上げたいぐらいであります。  まずは、大臣に共通の認識を確認をしたいと思います。  まず、あの忌まわしい福島第一原発事故の直接的な原因でありますけれども、国会事故調の見解は、安全上重要な機器の地震による損傷はないとは確定的には言えないとしております。しかし、政府事故調、民間事故調、それから東電事故調の見解、なお、さらにIAEAの見解は、津波によって全交流電源と直流電源を喪失し、原子炉を安定的に冷却する機能が失われたことだ、そのように直接的原因を示しております。なお、事故前の対策については、それぞれに、津波の想定でありますとかあるいは過酷事故対策の問題、複合防災対策に問題があると、深層防護の不備もあったと、これは指摘されるところであります。本当に忌まわしいあの事故ではありますけれども、やっぱりまだまだ検証が足りなくとも、基本的には津波によってああいう大惨事になったという理解でおります。  やっぱりその検証ももう一度根本からしなければならないとは思うものの、逆にまた言えば、震源地に一番近い東北電力の女川原子力発電所、震度七、マグニチュード九・〇、あの大地震、津波でも女川原発だけは大きな問題はなかった。しかも、地域の人たちが女川原発なら安心だということで何百人もあの原発のいわゆる建屋に避難をして三日も四日も五日もちゃんと過ごされた、そういったプラスの関係についても私は十分な検証が必要だと思っております。これもまたIAEAから東北電力、絶賛をされておられるようでございまして、大変幸いだと思うのであります。  いずれにしても、今汚染水の問題が騒がれておりますけれども、汚染水の問題の基本も、元々はやっぱり原発事故に大切な要因というのは、起これば止める、冷やす、閉じ込める、この三大原則がきっちり守られてこそなのでありますけれども、残念ですが、あの大津波で結果的にはそういうことではないものでありますから、いまだもって建屋の中の汚染水、またそれが地下水とどうのこうのということで、結果的には汚染水ということで、相変わらず大きな悩みを持つ。やっぱり私たちは、原発事故の第一の教訓というのは、そういう意味で重要な機器、設備、これからしっかりそういった止水、水を止める、これを徹底させる、それが実は第一の教訓だと、そういうふうに感じておるのでありますけれども大臣、そういう認識、共有できますか。
  159. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、おととい、日本シリーズ第七戦におきまして、球団創設九年目にして楽天ゴールデンイーグルス、日本一に輝いたと。田中投手、九回登板いたしまして、前日百六十球投げたにもかかわらず、すばらしいピッチングを示したと。楽天イーグルスの日本一、東北に大きな希望を与えたことだと思っております。我々も、一日も早い被災地の復興に向けて全力で取り組んでまいりたいと思っております。  その上で、三・一一の大震災、そして津波の問題でありますが、原子力を所管する立場としては、過酷事故に対する備え、複合災害に対する備えが十分でなかった、また規制に関しては独立した規制機関がなかった、こういう反省に立ち、同時に安全神話に寄りかかってきた、こういった教訓を今後の対策に十分生かしていきたいと思っております。国際的知見を集めることも重要であります。  そして、これからまさに廃炉作業が進んでいく、そういった中におきましても、原因が何だったのか、更に原因究明を進める中で、二度とこういう事故を起こさない、こういったことを国内においても世界とも共有をしてまいりたいと考えております。
  160. 中野正志

    ○中野正志君 ありがとうございます。  そういう前提の中で、ここ二年あるいは三年、よく喧伝をされておりますのが活断層の問題であります。今日も活断層の話、出ております。  茂木大臣、所信的挨拶の中で、エネルギー基本計画については年内をめどに取りまとめたいと、原発については安全性を最優先し、その安全性については原子力規制委員会が世界最高の水準の新規制基準の下で判断していくと、こう話されております。  ただ、あえて言わせてもらいますけれども規制委員会とそれから事業者の見解が対立している、今日も出ましたが、日本原子力発電の敦賀原発二号機と東北電力の東通原発について見ると、規制委員会は、いわゆる十二万年あるいは十三万年前の後期更新世以降の活動が否定できないから耐震設計上考慮すべき活断層であるとしているんですね。事業者が活断層ではないと主張するなら後期更新世以降の活動を完全に否定せよと、完全に否定せよと、そういう実は見解であります。  これを北海道大学の原子炉工学の奈良林教授の説を借りれば、完全にないことを証明するのはいわゆる悪魔の証明で、これは不可能であると。規制当局は、原発設置時の安全審査、あるいはその後の審査で問題がないとしてきたわけでありますから、今回判断を覆すのであれば、すべからく挙証の責任は規制側にあるはずだと断じております。  私も実はそう感じておりますが、規制委員長、そういうわけでおりませんから、事務方、のりを越えるのは大変恐縮でありますけれども、事務方に是非お考えをいただきたい。その後、大臣の考え方についてもお伺いをしておきたいと思います。
  161. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) お尋ねに対してお答えいたします。  活断層の問題、これは、今委員の御指摘のとおり、活断層であるかどうかということにつきましては、後期更新世以降の活動性があるのかないのか、否定できるのか、こういうことを基準として考えているわけでございますけれども、この後期更新世以降に断層が活動したかどうかということにつきましては、地形でありますとか地質の調査、地質構造の調査、こういったものを総合的に調べて検討するということによって適切に評価することができるというふうに私どもは考えてございます。  また、安全性のための責任というのは、一義的には事業者が負っているというふうに考えるのが国際的にも共通の考え方でございます。さらに、加えまして、新しい知見が、科学的、技術的な知見が出てきたら、それに基づいて規制の内容の見直しを行うべき、またその内容の見直しを行って、既に存在する原子力の施設にも適用する、いわゆるバックフィットでございますけれども、こういったことをするということにつきましても、これも多くの国で行われているということでございます。  こういったことを踏まえまして、私ども新しく規制基準を作りましたけれども、この規制基準に基づいて今後も様々な問題点につきまして厳正に審査をするという形で当たってまいりたいというふうに考えてございます。
  162. 中野正志

    ○中野正志君 認識が大分違いますけれども、そもそもやっぱり過去の審査にかかわった有識者が軒並み排除されている。委員構成の偏りが指摘をされております。変動地形学の専門家に偏り過ぎているのではないかと。京都大学の某教授によれば、規制委員事業者のコミュニケーションが全く取れておらない、今の規制委員会にオープンな科学的な議論は期待できないと言われております。  やっぱり考えてみると、私たち人類の創世から今まで、しょせんは約三万年です。それをはるかに超える、十二万年から十三万年以降の活動を否定することを求めているんですね。あるいは四十万年なんですよ。そんなことを求めるということにどれほどの意味があるんでしょうか。私はどうにも理解できないんであります。  否定できない、先ほど言った、否定できないという規定を拡大解釈する規制の在り方、それはやっぱり改められるべきだと思うんですけれども規制委員会の見解を重ねてお伺いしたいと思います。
  163. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) お答えいたします。  活断層というのは、古い、昔に動いた断層で、今後も繰り返して動く可能性があるというものを総称しているわけでございますけれど、これがいつどの程度動くかということを正確に予測することはなかなか難しいと言われてございます。  我が国の活断層の活動周期というものも調べられておりますが、これはおおむね千年から、長いもので五万年から十万年程度というふうに考えられておりまして、約十二万年あるいは十三万年前以降に動いた断層でなければ今後も動く可能性は十分に低いのではないかというふうに考えられておりますけれども、逆に、そういう十二万年あるいは十三万年前よりも新しい時代に動いたという断層であれば、これは今後も動く可能性があるというふうに考えられてございます。  こういったことで、新しい規制基準におきましては、将来活動する可能性がある断層等というものについて、その定義といたしまして、後期更新世以降、十二万年あるいは十三万年前以降の活動性が否定できない断層等というふうにしてございますけれども、これは東日本震災を踏まえた見直しというよりも、これはその前から、平成十八年に当時の旧原子力安全委員会がいわゆる耐震設計審査指針というものを改定してございますけれども、その当時からこれと同じような考え方でなされているということでございます。
  164. 中野正志

    ○中野正志君 あえて聞きますけれども、新幹線、鉄道の電車、汽車、お乗りになりませんか。
  165. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) 私個人の経験あるいは考え方で申し上げれば、これは利用させていただいてございます。
  166. 中野正志

    ○中野正志君 危機感をお持ちになったことはありませんか。
  167. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) 私自身は、そういうものを利用していて、これが事故に遭うという可能性があるのかもしれないとは思ってございますし、また、航空機などに乗っても、航空機の墜落という可能性もあるのではないかと思いますが、これを利用する場合にそこまでリスクを考えて利用しないというところまでは考えていないという、そういう判断をして、個人的にですけれども判断をしてございます。
  168. 中野正志

    ○中野正志君 そうでしょう。新幹線だって三百キロで走るんですよ。今のような前提で事故なんか起きたら何百人、一瞬のうちに命奪われますよ。私たちのこの狭い日本列島、もう規制委員会が発表していますけれども、約二千以上の活断層があるというんでありましょう。活断層の上に何ぼでも新幹線あるじゃないですか。鉄道あるじゃないですか。地下鉄あるじゃないですか。みんな、よもや活断層で事故なんか起こすなんて思っている人いないはずですよ、乗客。  なぜか。申し上げましたように、ここ二年、三年、活断層活断層、原発危険だ危険だ、そういった一部のマスメディアが大分喧伝していただくものでありますから、国民の皆様に申し訳ありませんけれども、どうも偏った認識が出てきている。やっぱりそこは規制庁がしっかりともっとオープンに、それでいて科学的なやっぱり議論を見せ付けないと私は決して公正ではない、公平ではないとあえて規制庁に申し上げさせていただきます。  ちなみにですけれども、ここですね、地震が起きたときの原発安全性について議論する場合、耐震設計がきちんとできているか、また断層のずれに対して安全が担保できるかが重要だと。それには強震動地震学の専門家や地盤の安定性を評価する岩盤力学、物質力学の学識者、岩盤がずれたときに建屋の健全性を保つため工学の専門家が欠かせない、本来ならばそういった専門家を交えて総合的に評価すべき、これが規制委員会だ、むしろ前の保安院での調査の方が民主的であった、こう断じておりますのが我が地元東北大の災害科学国際研究所の遠田教授の弁であります。なおかつ、広島大地表圏システム等の奥村教授、この人は大飯、敦賀、東通に活断層はないと、こう断じているのであります。  こういった学界、あるいは一部の良識あるマスコミから規制委員会のやっぱり過剰規制に対する疑問が数々提起されている。これは規制庁も規制委員も十分に御存じだと思うのでありますけれども、逆に言えば、偏った委員、あるいは今日までの進め方、規制委員会の存在理由が私は問われていると思います。  果たして今のままでいいんでしょうか。当然反省もあると思います。事務方に大変申し訳ありませんけれども、やっぱり規制庁と大臣に是非見解をお伺いをしたいと思います。
  169. 大久保勉

    委員長大久保勉君) 時間が迫っておりますので答弁は簡潔にお願いします。
  170. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) お答えいたします。  断層のずれというものがもし原子力発電所で発生しますと、つながっている配管が切れて、そこから冷却水が流れ出すと、こういったようなことも想定しなければなりません。原子力発電所は止めたから安全だということではなくて、その後も冷却しなければいけません。それは三・一一の事故を経験してのまさに大きな教訓であろうと思っております。そういった意味で、断層の存在するところに原子力発電所があるということは危険性があり、したがって活断層があるところには造ってはいけないんではないかということが元からの規制でございますし、またこれを明確にしたということでございます。  改めて申し上げますけれども、そういった規制に基づきまして私どもは厳正に審査なり評価なりをしてまいりたいと思ってございます。
  171. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 中野委員の方から地球の歴史にまで遡って様々な御意見をいただきました。白亜紀、そしてジュラ紀、さらには氷河期を超えて恐竜から哺乳類に変わり、そこの中で人類がどういう文明を発達させてきたか、機会がありましたらまた御議論をさせていただきたいと思っておりますが、安全性判断、それから規制機関の人選につきまして私の立場でコメントをすることは控えたいと思いますが、先日、アメリカのスリーマイルアイランドの事故も経験した原子力の専門家といろんな意見交換をしてまいりました。そこの中で非常に印象に残っておりますのは、彼らの考え方として、規制機関はインディペンデント、独立したものであっても、アイソレート、つまり孤立してはいけないという話を言っておりました。
  172. 中野正志

    ○中野正志君 時間ですから余計なことは申し上げませんが、私は、設置法を改正して、是非大臣の指揮権を規制委員に加えるべきだと、こういう個人的な意見を持っております。あとは、また次の機会の議論に譲りたいと思います。  ありがとうございました。
  173. 大久保勉

    委員長大久保勉君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時一分散会