運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2013-11-07 第185回国会 参議院 外交防衛委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年十一月七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月六日     辞任         補欠選任      尾辻 秀久君     脇  雅史君      儀間 光男君   アントニオ猪木君  十一月七日     辞任         補欠選任    アントニオ猪木君     室井 邦彦君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         末松 信介君     理 事                 佐藤 正久君                 松山 政司君                 脇  雅史君                 福山 哲郎君                 石川 博崇君     委 員                 宇都 隆史君                 岡田 直樹君                 小坂 憲次君                 島尻安伊子君                 牧野たかお君                 三木  亨君                 北澤 俊美君                 白  眞勲君                 藤田 幸久君                 牧山ひろえ君                 河野 義博君                 小野 次郎君                 中西 健治君                 井上 哲士君                 室井 邦彦君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     小野寺五典君    副大臣        内閣府副大臣   西村 康稔君        外務大臣    岸  信夫君    大臣政務官        外務大臣政務官  牧野たかお君        財務大臣政務官  山本 博司君        環境大臣政務官  牧原 秀樹君        防衛大臣政務官  木原  稔君    事務局側        常任委員会専門        員        矢嶋 定則君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       澁谷 和久君        金融庁総務企画        局審議官     池田 唯一君        総務省情報流通        行政局郵政行政        部長       今林 顯一君        外務大臣官房地        球規模課題審議        官        香川 剛廣君        外務大臣官房審        議官       金杉 憲治君        外務大臣官房審        議官       五嶋 賢二君        外務大臣官房審        議官       山上 信吾君        環境省地球環境        局長       関 荘一郎君        防衛省運用企画        局長       中島 明彦君        防衛省経理装備        局長       伊藤 盛夫君    参考人        日本郵政株式会        社常務執行役   諫山  親君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○万国郵便連合一般規則(二千十二年のドーハ大  会議において改正され、及び採択されたもの)  及び万国郵便条約締結について承認を求める  の件(内閣提出) ○郵便送金業務に関する約定締結について承認  を求めるの件(内閣提出) ○政府調達に関する協定を改正する議定書締結  について承認を求めるの件(内閣提出)     ─────────────
  2. 末松信介

    委員長末松信介君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、儀間光男君及び尾辻秀久君が委員辞任され、その補欠としてアントニオ猪木君及び脇雅史君が選任されました。     ─────────────
  3. 末松信介

    委員長末松信介君) まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 末松信介

    委員長末松信介君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事脇雅史君を指名いたします。     ─────────────
  5. 末松信介

    委員長末松信介君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  万国郵便連合一般規則(二千十二年のドーハ大会議において改正され、及び採択されたもの)及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件外二件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官澁谷和久君外九名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 末松信介

    委員長末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 末松信介

    委員長末松信介君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  万国郵便連合一般規則(二千十二年のドーハ大会議において改正され、及び採択されたもの)及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件外二件の審査のため、本日の委員会日本郵政株式会社常務執行役諫山親君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 末松信介

    委員長末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 末松信介

    委員長末松信介君) 万国郵便連合一般規則(二千十二年のドーハ大会議において改正され、及び採択されたもの)及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件、郵便送金業務に関する約定締結について承認を求めるの件及び政府調達に関する協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。  三件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 藤田幸久

    藤田幸久君 民主党藤田幸久でございます。一昨日に続き、質問させていただきます。小野寺防衛大臣官邸の方で会議があるということでございますので、先に質問をさせていただきます。  一昨日の続きでございますが、いわゆる2プラス2の普天間問題に関する声明の件でございますが、昨年四月二十七日の共同発表では「これまでに特定された唯一の有効な解決策」と、「これまでに特定された」とありますが、ということは、これまでに特定されていない解決策もあるというふうに読めるわけですが、それでよろしいのかということが一つと、それから、当時、アメリカマケイン上院議員委員長ほか、三名の方がいわゆる新嘉手納案等の提案をしておられましたけれども、その可能性をどう評価をされるか。二点についてお答えをいただきたいと思います。
  11. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 委員には御配慮ありがとうございます。  今御質問がありました昨年四月の2プラス共同発表案における、これまで特定された唯一の有効な解決策との表現ということであります。これは当時の民主党政権下のことでもありますので、私、再度当時の担当者にも確認をさせていただきましたが、議員から御指摘のあるような特定されていない解決策もあるということを意味するものではなく、唯一解決策であるということが今でも変わりないということでありました。  それから、当時の嘉手納統合案可能性でございますが、これも当時様々検討され、嘉手納統合案につきましては日米間で議論をされたということでありますが、過去の検討におきまして、騒音増加の問題、有事等における混雑による基地機能低下の問題などがあったことから合意に至らず、キャンプ・シュワブへの移設唯一解決策である旨、日米間で確認されたということであります。
  12. 藤田幸久

    藤田幸久君 嘉手納統合案が、あるいは新しい嘉手納案がいいかどうかという評価一つの背景として、いわゆる沖縄県の知事許可が要らないわけですね。それから、既存米軍基地の中での移転という点がシュワブとは違っておると思うんですが、その点について、つまり知事許可が要らない、あるいは既存米軍基地の中の移転であるという部分についてはどうお考えになりますでしょうか。
  13. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) これは、キャンプ・シュワブ既存米軍基地内への移転ですが、埋立てをするということで嘉手納とは違うということだと思っております。  その中で、この議論が出た中からも、地元嘉手納町を始め様々な議論が出ておりましたし、また米側としても有事等における混雑基地機能低下が行われるということで、米側としても合意に至らずということでありましたので、これはやはり、現在日米合意しておりますキャンプ・シュワブ沖への埋立てということが唯一の現在の解決策であるという方向は変わらないと思っております。
  14. 藤田幸久

    藤田幸久君 今、現在のとおっしゃいましたけれども、それから、今年の十月三日の声明の方では「普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一解決策」と出ておりますが、ということは、これを普通、素直に読みますと、辺野古案が実現されなければ普天間継続使用されるというふうに日本語では読めるわけですが、それでよろしいでしょうか。
  15. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 私どもとしては、普天間固定化はあってはならないということで、これらの計画を進めさせていただいております。
  16. 藤田幸久

    藤田幸久君 ならないというのは、それは主観でありまして、文章上は、つまり実現しなければ継続使用されるというふうに日本語では読めますが、それでよろしいですね。
  17. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 繰り返しになりますが、私ども普天間固定化はあってはならないという姿勢で進めさせていただいております。
  18. 藤田幸久

    藤田幸久君 答えてください。
  19. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 繰り返しになりますが、普天間固定化はあってはならないという姿勢で進めさせていただいております。
  20. 藤田幸久

    藤田幸久君 十分でお立ちになっていただきたいと思っておりますけれどもお答えになりませんと、私も答えを求めなければいけないということになってしまうわけですが。  この文章意味は、つまり実現されなければ継続使用される、普天間は、というふうに明らかに英語でも日本語でも書いてあるわけですから、その内容はそのとおりでよろしいんですね。
  21. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 2プラス2の共同声明文書は、「普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一解決策」ということであります。
  22. 藤田幸久

    藤田幸久君 十分で出ていただきたいと思いますけれども、答えていただきたいと思いますが、考えていただいている間に、一昨日、この案について、沖縄皆さん理解を得られる努力を行うというふうに私の質問に答えていただきましたが、どのような努力をされていくんでしょうか。
  23. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 沖縄の中に様々な声があるということは、先日の委員質問でも私ども重々受け止めております。  その中で、一日も早いキャンプ・シュワブへの移設普天間飛行場返還ができるように、引き続き政府考えを丁寧に説明し、沖縄皆さん理解を得る努力をしていきたいと思いますし、また、このような認識の下、沖縄負担軽減を目に見える形で進めていくために、今回統合計画に基づく土地の返還、オスプレイの沖縄県外での訓練ホテルホテル訓練区域使用制限の一部解除、返還予定地への立入調査のための新たな枠組み、KC130飛行隊普天間飛行場から岩国飛行場への移駐や在沖海兵隊グアム移転など、今般の2プラス2に盛り込まれた措置を着実に実施し、負担軽減努力するというこの姿勢で私どもとしてこれからも進んでまいりたいと思っております。
  24. 藤田幸久

    藤田幸久君 いろいろおっしゃいましたが、沖縄にとっては普天間継続使用が一番反対の大きな理由じゃないでしょうか。それを説得しない限り、今いろいろなことをおっしゃっても意味がないし、ということは、先ほどの文章と同じでございますけれども継続使用されない、つまり危険除去をして普天間移設するということが一番重要なんじゃないでしょうか。それがなければ沖縄皆さん理解は得られないと思いますが、いかがでしょうか。
  25. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 繰り返しになりますが、政府としては、普天間固定化はあってはならないという姿勢でこれからも取り組んでまいりたいと思います。
  26. 藤田幸久

    藤田幸久君 官邸にお越しになりたいのか、委員会に残りたいのかということですが、後で文書お答えをいただきたいと思いますけれども、あと一問だけ。  いわゆるアメリカ情報機関による通信傍受に関することでございますが、これも二日ぐらい前でしょうか、小野寺防衛大臣はぶら下がりで、あくまでも報道があったということで、アメリカ政府がそのように言っているとは承知していない、ただ、様々な友好国との信頼を傷つけるような行為は決して望ましいことではないというふうにおっしゃっておられますが、その後、これアメリカ政府当局者がNHKの取材に対して、NSA日本国内通信傍受の施設を設けて活動しているということを明らかにしていると言っておりますので、ということは、これは少なくともアメリカ政府の方がおっしゃっているという前提で、この今回の行為についてその後どういうふうに受け止めておられるか、所感を聞かせていただきたいと思います。
  27. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 今回のNSAによる通信記録の収集問題については、日米間でしかるべく意思疎通をしておりまして、今回の一連状況も踏まえ、一層緊密に意思疎通するよう米側に申し入れているものと承知をしております。
  28. 藤田幸久

    藤田幸久君 つまり、アメリカ側照会をしたということでしょうか、意思疎通ということは。
  29. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 今回の一連状況も踏まえ、一層緊密に意思疎通するよう米側に申し入れているものと承知をしております。
  30. 藤田幸久

    藤田幸久君 つまり、申し入れたんですね。今、最後部分は、申し入れたとおっしゃっている。
  31. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 報道その他については承知をしておりますが、相手国との関係上、報道前提とした見解を述べることは差し控えさせていただきますが、先ほど来お話をしておりますように、今回の一連状況も踏まえ、一層緊密に意思疎通するよう米側に申し入れているものと承知をしております。
  32. 藤田幸久

    藤田幸久君 先ほどは申し入れているものと承知しているとおっしゃらずに、意思疎通を申し入れたとお答えになりましたが、申し入れたんですね。
  33. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘NSA記録通信の収集問題につきましては、ただいま防衛大臣からお答えさせていただきましたように、米国側に対しまして、これまでもしっかり意思疎通を図ってきましたし、そしてこれからも意思疎通を図ろうと思っております。  そして、その詳細については申し上げることは控えなければならないと思いますが、この実態把握をするために米国側にしっかりと連絡を取り合っている、こういったことでございます。
  34. 藤田幸久

    藤田幸久君 後で外務大臣とそれ詰めますけれども防衛大臣、先ほどの件は答えてください。今お答えできないのであるなら文書で出してください。ということで、官邸に行っていただいて結構でございますが、少なくともその答えることだけはしていただきたいと思います。  ということで、委員長防衛大臣に退席していただいて結構でございます。
  35. 末松信介

    委員長末松信介君) 最後答弁は必要ないですか。
  36. 藤田幸久

    藤田幸久君 あれば。
  37. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 今御指摘がありましたので、文書で出させていただきます。  どうもありがとうございました。
  38. 末松信介

    委員長末松信介君) じゃ、防衛大臣は御退席していただいて結構でございます。
  39. 藤田幸久

    藤田幸久君 では、外務大臣条約に関してですけれどもWTO政府調達市場開放についてでございますが、九六年の現行のWTO政府調達協定と、それから今回の改正議定書、いずれもWTO有志国協定ということにとどまっておりまして、これは全てのWTO加盟国自由化意味するものではないわけでございますが、経済成長の著しい新しい国々も含めて全てのWTO加盟国を対象に対外開放を規律する考え方がなぜ受け入れられないのか、その点について外務大臣からお答えをお願いいたします。
  40. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) この政府調達につきましては、多くの国々におきまして、産業振興ですとかあるいは中小企業政策一つとしまして、この政府調達におきまして国産品ですとかあるいは国内供給者、こうしたものを優遇してきた、こういった経緯があります。  したがって、WTO加盟国全体としては、この政府調達というもの、内国民待遇例外として扱われています。特に途上国におきましては、政策手段としてこのような例外を維持して、そして自国の産業の育成を図りたい、こういった意向は依然根強く存在していると思われます。  こういった事情から御指摘のような形になっているということでありますが、ただ、改定協定におきましては、開発途上国に対して協定上の義務履行を一定期間猶予するなど、こうした特別な配慮が講じられております。こうしたことによって、今後開発途上国加入が一層促進されるものと期待されます。  実際、改正協定交渉の妥結後、開発途上国を中心に、加入交渉を開始する国あるいはオブザーバーとなる国が増えております。現在、モンテネグロ等十か国が加入申請中、あるいはマレーシア、インドネシア、ベトナム、十七か国がオブザーバーとなっております。こういった動きが進んでいるのが現状でございます。
  41. 藤田幸久

    藤田幸久君 先ほどの米国のいわゆる通信傍受活動について外務大臣が先ほどちょっとお答えになりましたけれども、つまり、意思疎通を今までも図ろうとしてきたし、これからも図ろうと思うと、それで実態把握にということでございましたが、これはかなり大きな問題であります。  ドイツ等も含めて、これは国を挙げての大きな問題になっておりますが、今まで見ておりますと、日本政府は何か他人事といいますか、こんなに重大なことについて何か切迫感が全然ないような気がするんですが、これはすぐに実態把握をもうしていなければいけないことだろうと思いますが、実態把握、つまりアメリカ政府に対しては、誰が、いつ、何を照会をされたのか、教えていただきたいと思います。
  42. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、こうした情報保全の問題は、外交を始め様々な政策におきまして大変重要な問題だと認識をしております。  そういったことから、NSAのこの通信記録収集問題、米国に対しましてこれまでこの問題に関しまして意思疎通を図らせていただき、そしてこれからもしっかり意思疎通を図っていかなければいけない、こうした姿勢で臨んでいる次第です。  そして、この具体的な、何をとか、その内容につきましては、ちょっとここで申し上げるわけにはいきませんが、そういったこの問題の重要性に鑑みて、実態を把握するべく意思疎通を積み重ねている、こういったことでございます。
  43. 藤田幸久

    藤田幸久君 では、日本外務省において米国大使館活動を行ったのかどうか、あるいはアメリカ国務省に対して日本大使館行動を起こしたのかについて、その二つ、いつの段階で起こしたか、それだけ答えてください。そのぐらい答えられると思いますね。それも答えられないようであるならば、その姿勢とかおっしゃるけれども、何か非常に切迫感が全然ないように、少なくとも、アメリカ国務省に対していつ、日本米国大使館に対していつ行動を起こしたのか、答えてください。
  44. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ちょっと具体的な詳細につきましては、今手元にありませんし、そして加えて、こうした詳細についてここで申し上げるのはふさわしくないとは思っております。  しかし、外交当局間でしっかり、先ほど申し上げました問題意識の下に実態把握のために意思疎通を図っている、こうしたことは申し上げたいと存じます。
  45. 藤田幸久

    藤田幸久君 質問通告米国政府に対して事実照会をしたかと聞いているわけですから、それで、米国の例えば国務省に対して行ったか、日本米国大使館に対して行ったかというのは詳細じゃなくて基本じゃないですか。それはもう詳細じゃなくて基本のことですから、これ、佐藤さんなんかも御覧になっておられるけど、これは非常に国の機密に対して重要な話ですから、それを答えていただきたい。答えられないのであるならば文書で出してほしいと思うことと、それから、昨日ですか、今朝のニュースですけれどもドイツにおいてはドイツ内務大臣が、これはドイツ政府ドイツ議会関係者がロシアに行って直接スノーデン元職員にヒアリングをするということまで言っております。そのぐらいな話だろうと思うんですね。  これ、同盟国である日本に対してそういった活動をしていたということならばそれだけ重要な話だろうと思いますし、外務大臣にとっても一番優先度の高い話だろうと思うんですが、例えばドイツはそういうことをやっている、日本はほとんどやっていないんじゃないかと思うくらいの今の答弁ですけれども、例えばアメリカ大使館あるいはアメリカ国務省に対してどういう行動をしたのか、それだけでも答えていただきたいと思います。
  46. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我々もこの問題に対する重要性認識、強く持っております。そして、他国の対応につきましてコメントする立場にはありませんが、我が国の立場からこの実態把握のために全力を尽くしているということであります。  具体的な詳細については、ちょっと手元にありませんし、そしてこの詳細についてここで申し上げるのは控えさせていただきたいと存じます。
  47. 末松信介

    委員長末松信介君) 藤田先生が先ほど文書で事務的に欲しいとおっしゃったこと。
  48. 藤田幸久

    藤田幸久君 では、文書で出していただけますね、手元になくてもあるわけでしょうから。
  49. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、実態はもちろん確認はいたします。そして、このアメリカ意思疎通において、この内容等、公にできるものかどうか、この辺も確認した上で報告をさせていただきたいと存じます。
  50. 藤田幸久

    藤田幸久君 先ほど他国のことは言う立場にないとおっしゃいましたが、これ他国の問題じゃなくて自国民に対することですので、それから、自国民に対する責任ということであれば、先ほど情報保全ということをおっしゃいました。まさに、今日、情報保全についての、衆議院の方でしょうか、審議が始まるわけですが、一般論ですけれども、いわゆるこの今回の特定情報秘密法案というのは国内日本人情報漏えいに対する扱いになっているわけですが、一般論ですけれども情報を漏えいする日本人と、外国あるいは外国政府が不適切な形で日本情報を取得しようとしている今回の行為ですけれども、どちらがより許し難いのか、お答えいただきたいと思います。
  51. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 一般論として申し上げれば、国籍等にかかわらず、情報を漏えいする者と、そして情報を不正に入手する者、どちらも罰せられるべきだとは存じますが、どちらの罪が重いか等につきましては、最終的には司法当局が個別のケースを踏まえて判断するということになるかと思いますので、一概にどちらが重いか等については申し上げるのは難しいのではないかと思います。
  52. 藤田幸久

    藤田幸久君 外務大臣というのは、日本国民の安全と命を守る、そして国を代表して対外関係においてそういう国の、あるいは国民の利益を守る立場の方が、何か人ごとのような話で、つまり、流出流出とおっしゃいましたけど、片方は流出で、あるいは漏えいですけれども、不適切な手段でほかの人あるいはほかの国の情報を取ろうとする、不正な手段でということに対しては、国の生命、財産を守る立場にある外務大臣とすれば、これは最優先で取り組まなければいけない事案だろうと思いますけれども、それに対してそういう対応をしているようには見受けないのですが、いかがでしょうか。
  53. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほども申し上げましたように、一般論として、情報を漏えいする者、そして不正に入手しようとする者、これは共に罰せられなければならない、情報を不正に入手する者に対しても厳しく対応しなければならないと考えております。  そして、そうした認識の下に、今回の案件につきましても、実態を把握するべく努力をしているということでございます。
  54. 藤田幸久

    藤田幸久君 ということは、不正に入手をしようという行動他国政府がしたということが判明、あるいはその態様が判明した場合には、これはその国との関係において極めて重大な影響を及ぼすというふうに考えてよろしいですね。
  55. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 仮定の問題にお答えするのはいかがかと思いますが、一般論として申し上げれば、そういった実態が把握されれば我が国としてしっかり対応しなければいけないと思います。
  56. 藤田幸久

    藤田幸久君 しっかり対応するのは当たり前でございますけれども、極めて国の存亡にかかわる重要な事件であり、かつ、普通の、何といいますか、刑事事件とか個人の問題についてというよりも、これ、国がかかわっているという可能性がこれだけ報道されているという中で、しかも、その中にいた方から出てきている情報、そしてほかの国の首相にかかわることでほかの国の議会なりが動いているときに、少なくとも、意思疎通というようなちょっと離れたような立場じゃなくて、全外務省の組織を挙げて実態把握に動くというぐらいの、例えば外務大臣がワシントンに飛んでいって実際どうなんだというぐらいのことをしてよろしいんじゃないでしょうか。
  57. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 意思疎通という言葉を使わせていただきましたが、我々はこの問題につきまして大変重要視しておりますし、実態把握に向けては全力で取り組まなければいけないと思っています。  あわせて、我が国の情報保全の問題でありますので、実態把握と併せて、そもそも我が国の情報保全に向けてしっかりとした体制を組んでいかなければいけない。この部分につきましてもしっかり努力をしていきたいと考えています。
  58. 藤田幸久

    藤田幸久君 ですから、情報保全もさることながら、これだけ国がかかわる可能性のあったことについては、やっぱり国を挙げて、大臣自身がその調査、解明に動くようなことをしていただきたいと。それから、先ほどの点については文書お答えいただくということを申し上げて、次の質問に時間がありませんので移りたいと思います。  昨日の、あるいは今朝の新聞に出ておりますけれども、経団連ほか四団体が、日韓の関係で、日本の企業が戦争中の労働に対して支払を命じられたケース、今年三件ほどございますけれども、こういう問題に対して日韓両国政府及び経済界に対して解決を呼びかける昨日声明を発表いたしましたが、この呼びかけに対して、これは日本政府に対する呼びかけでもございますけれども日本政府としてどう対応していく考えか、答えていただきたいと思います。
  59. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 昨日、六日の日ですが、経済三団体及び日韓経済協会、日韓請求権・経済協力協定により日韓間の財産請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決されている中、本事案により良好な日韓の経済関係が損なわれる可能性があるとして、深い憂慮を表する旨の声明を連名で発表したこと、当然承知をしております。  これにつきましては、これまでも、九月の日韓外相会談の場で私からも、本件、直接韓国側に対して提起させていただくなど、外交ルート等を通じましてこの日韓間の財産請求権の問題、これはこの日韓請求権・経済協力協定により完全かつ最終的に解決済みであるとの我が国の政府の一貫した立場に基づいて様々なレベルで申入れを行ってきております。  今後とも、こうしたこの我が国の考え方、しっかりと伝えていかなければならないと存じます。適切に対応していきたいと考えています。
  60. 藤田幸久

    藤田幸久君 時間がないので、これは要するに個人請求権の問題だろうと思うんですけれども、それで、ちょっと調べたんですが、一九九一年の参議院の予算委員会、九二年の衆議院の外務委員会で、当時の柳井俊二外務省の条約局長答弁を見ておりますと、個人の請求権は消滅していないというふうに答えておられますが、これは外務省の見解として今も変わっておりませんか。
  61. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、日韓のこの財産請求権の問題に対する我が国の一貫した立場、先ほど申し上げたとおりであります。協定によりまして完全かつ最終的に解決済みというものでございます。  そして、御指摘の点ですが、この日韓請求権、そして経済協力協定の下では、個人が裁判所に対して個人として訴えを提起すること自体は妨げられていないものと理解をしています。しかしながら、この協定に基づきまして、このような個人の請求権は法的には救済されないということになるものと理解しております。
  62. 藤田幸久

    藤田幸久君 それは最後部分を言っているわけですけれども、請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではないということを柳井さんはおっしゃっています。それから、個人として請求を提起することまでは妨げていないと、その後は裁判のことなわけですが。ということは、いわゆる外交保護権は国としてはないけれども、個人がそういうことを訴えることについては妨げていないということだろうと思うんですね。  ということは、私は今後、ここまで日韓で大変な、カントリーリスクというふうに今朝の新聞に出ていましたけれども、何か知恵を出すべきときではないかと思っているわけです。  それで、一つは、例えば国際的な司法裁判所等の仲裁を求めるようなお考え政府としてはあるんでしょうか。
  63. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、我が国の立場につきましては先ほど説明させていただいたとおりでありますし、これまで一貫しております。そして、一貫した立場に基づいて韓国側には申入れを行っております。この立場は我々変わらないと思っております。この立場に基づいて今後の対応を考えていかなければならないと存じます。企業側ともしっかり連絡を取りながら、我が国の立場に基づいてしっかりと対応していきたいと考えています。
  64. 藤田幸久

    藤田幸久君 通告をしておりますが、ドイツの例があると思います。これはアメリカも含まれて、いわゆる訴訟以外の部分で政治的に解決をした事例だろうと思いますし、これは、最終的なゴールは、企業の法的安定性確保ということがゴールだったんですね。  昨日、経団連等がこういうことを出したということは、企業活動についての安定性を確保というゴールが、私は非常に知恵があると思いますけれども、そういったやり方、これは当時のクリントン大統領とドイツのシュレーダー首相までかかわってまとめたんですが、そういう経験も参考にしたらいかがかと思いますが、簡単にお答えいただければ幸いです。
  65. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ドイツの例を御紹介いただきました。要は、基金をつくって対応したと承知しておりますが、そもそもドイツは戦後、東西に分断されていたために、我が国のように国家間で賠償等の問題を一括処理することができなかったことなどの理由によって、結果的にナチスの犯罪の犠牲者への個人補償という形を取った、こういった経緯に基づいて対応されたと承知をしております。我が国の立場は先ほどのとおりであり、これはもう国家間でこの問題を処理したわけであります。こうしたことから、このドイツの例とそして今回の例、これで単純に比較参考にするということは難しい部分があるのではないかとは考えています。  いずれにしましても、我が国としまして、我が国の立場に基づいて一貫して申入れを行っていきたいと考えています。
  66. 末松信介

    委員長末松信介君) 時間が過ぎておりますので、おまとめください。
  67. 藤田幸久

    藤田幸久君 終わります。
  68. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 民主党・新緑風会の牧山ひろえです。よろしくお願いいたします。  まず、政府調達に関する協定を改正する議定書について質問いたしたいと思います。  政府調達については、二〇〇一年に始まったWTOドーハ・ラウンド交渉でも、WTO加盟国全体で自由化を目指す、議題とするとの合意はできなかったということで、WTO有志国協定という位置付けになっております。そしてまた、我が国も含めて世界で締結されているFTAですとかEPAにおいては、政府調達自由化、開放に係る規定が設けられています。  現在、政府調達協定加盟国、地域は先進国地域が中心でして、四十三に上りますけれどもWTO政府調達協定やFTA、EPAに基づいて世界で進められている政府調達自由化の現状について政府はどのように認識されておられますでしょうか。
  69. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 世界の政府調達市場を外国企業にも開放していく努力は、多角的貿易体制の下で着実に進展はしてきたと考えています。締約国間で政府調達市場をお互いに開放する政府調達協定、一九七九年に初めて作成をされました。その後、ウルグアイ・ラウンドの交渉を経て一九九四年に現行協定が作成されました。この現行協定におきましては、協定の適用を受ける機関として地方政府等が加えられたほか、物品に加えてサービスの調達も適用範囲に追加されるなど改定が加えられています。  近年は、WTO政府調達協定の締約国と豪州、チリ、メキシコ、ペルー、ニュージーランド等の政府調達協定の未締結国との間のFTA締結、こういったものが進んでおりますし、そして、そのことによって政府調達市場の開放を相互に約束をしています。また、政府調達協定の締約国の間でもFTAを締結し、同協定より高いレベルの自由化を達成している。  このように、世界の政府調達市場の開放、一層進展しているという現状を認識をしております。
  70. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 WTO政府調達協定加入申請をしている国の中には、キルギスですとかヨルダンといったような援助対象国もあると伺っております。今ちょうど審議している政府調達協定の改正には途上国の優遇措置に係る規定が整備されていますが、この規定によって途上国加入促進をどの程度期待できると思いますでしょうか。
  71. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) その点につきましては、先ほども少し触れさせていただきましたが、今回、御指摘のように、開発途上国に対して義務の履行を一定期間猶予するなど特別な配慮が行われておりまして、そのことによって一層の加入促進が期待されるわけですが、現在、モンテネグロ等十か国が加入申請中、マレーシア、インドネシア、ベトナム等十七か国がオブザーバーという形でこの協定に関心を示している、こうした現状にあります。
  72. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 加入国の増加が図れれば日本にとってもビジネスチャンスだと思いますので、是非、積極的にいろいろな柔軟な方法などを考えていただければと思います。  既に申し上げましたとおり、政府調達協定WTO有志国協定でありまして、加盟国全体が拘束されるドーハ・ラウンド交渉とは別の動きになっていると思います。一方で、WTOの本丸でありますドーハ・ラウンド交渉はまだ妥結に至っていません。このような現状を踏まえて、二〇一一年に行われた第八回WTO閣僚会議においては、全分野での一括妥結は困難とされまして、部分合意を重ねる新たなアプローチを試みることで一致したと聞いております。  今年の十二月上旬にインドネシアのバリで開催される第九回閣僚会議において、政府調達の扱いなどはどのような見通しなんでしょうか、政府はどのような姿勢で臨むのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  73. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、このWTOドーハ・ラウンド交渉ですが、米国等の先進国と新興国との対立を背景としまして、全体としては膠着状態にあります。  その中で、二〇一一年の第八回WTO閣僚会議におきまして、成果が達成可能な分野について合意を目指すという方針が確認をされています。現在、この合意を踏まえまして、本年十二月に予定されております第九回WTO閣僚会議におきまして貿易の円滑化、農業あるいは開発の分野での合意を目指して今交渉が行われている、こうした状況にあります。同時に、有志国が、情報技術協定、ITAの品目拡大交渉の妥結を目指して交渉中ということでございます。WTO交渉につきましては、現状こういった内容議論が進んでいるということであります。  政府調達についてどのような議論が行われているかということですが、今のドーハ・ラウンドの交渉と政府調達自体は直接は大きな関連性は感じられない、こういった現状であります。
  74. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。  続きまして、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約並びに郵便送金業務に関する約定について御質問いたしたいと思います。  まず、万国郵便連合についてですが、これには、国際郵便業務を効果的に運営し、経済ですとか社会、文化的な国際協力を進めるというとても価値の高い理念があるかと思います。先進国、途上国の分け隔てなく国際郵便を円滑に出したり受け取ったりできる環境を整えることは、メールやインターネットに関する先進国と途上国の間の環境格差であるデジタルディバイドが指摘されて久しい世界において、ある意味で重要さを増している任務と言えると思います。  万国郵便連合の理念やこのような任務、そして、これまで果たしてきた役割の重要性について外務大臣はどのように認識されておられますでしょうか。
  75. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、万国郵便連合ですが、郵便業務の効果的な運営によりまして諸国間の通信連絡を増進し、文化、社会及び経済の分野における国際協力に寄与することを目的として、一八七四年の設立以来、国際郵便業務の発展のために中心的な役割を果たしてきたと認識をしております。  今回の改正によりまして、大会議承認されました事業計画が管理理事国において各事業の優先順位及び実際に利用可能な財源を踏まえた上で確定される、こういったことになっております。改正によりまして予算のより効率的な執行が可能になるということを期待しております。
  76. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 また、今回の改正の中では管理理事会の権限追加が盛り込まれているんですが、この管理理事会の日本は一員なんですけれども、この権限追加に伴って、管理理事にもなっている日本としてはこの権限をどのように生かしていくおつもりでしょうか。
  77. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、今回の改正によりまして管理理事会の権限が追加で付与されております。管理理事会におきまして各事業の優先順位及び実際に利用可能な財源を踏まえた事業計画が確定される、こうした内容になっております。このことによりまして、予算がより効率的に執行されることが可能になるという効果が期待できると思いますが、こうした管理理事会の役割、大変重要だと思いますし、我が国としてもしっかり貢献していきたいと考えています。
  78. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 万国郵便連合においても先進国の実際のコストを少しでも到着料に反映するための動きが一九九九年の北京の大会議以降も進められてきており、今回の改定で配達コストの実態反映がなされると言われております。日本にとっても、二〇一四年度で六億円の収支改善を見込まれると言われております。基本的には、そういった意味で歓迎すべき改善だと言われております。  ただ、万国郵便連合におきまして、到着料について、途上国の人々が大きな経済的負担がない形で国際郵便を差し出すことができるように政策的に世界一律の到着料を設定してきたことも、先進国と途上国情報格差の解消を図るための途上国への配慮としてこれまでに果たしてきた役割は大きかったと思いますが、今回の変更でそのような途上国に対する配慮ですとか支援とした側面は全くなくなってしまうのでしょうか。
  79. 岸信夫

    ○副大臣(岸信夫君) お答えを申し上げます。  今回の到着料の引上げにおいて途上国に対して適切な配慮がなされているかという御質問でございますけれども、従来より、途上国間、また途上国、先進国間の到着料につきましては先進国間と比べますと低い料率を設定してきております。先進国と途上国の間の経済あるいは社会状況を踏まえて一定のバランスを取るようにしてきておるわけでございますけれども、これは今回も同じでございます。  今回の到着料引上げにおきましても、途上国に対しましては低い料率の適用を維持をしておるわけでございます。また、到着料の引上げを含む条約の改正自体は、これは途上国も含めまして加盟国の賛同を得て採択をされておるものでございます。
  80. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。  途上国配慮を残しながら、我が国の郵政事業にとってもプラスになる、そういった方向で、改正がなされる方向で検討されているということで、歓迎すべき方向であるということがよく分かりました。  昨年の十月の万国郵便連合ドーハ大会議において日本は、東日本大震災のときに携帯電話が機能しなかったことも多かったということで、郵便がライフラインの役割を果たしたことなどを紹介し、震災の経験を踏まえ提案した震災対策の促進が今後四年間の万国郵便連合の活動戦略であるドーハ郵便戦略に盛り込まれました。大会議において我が国は、郵便が国民の生命や財産を守るために必要なことを再確認するとともに、高齢化が進む中において、郵便局ネットワークの公的機能、例えばお年寄りの方々の見守りサービスですとかそういったことが今こそ求められているなどの発言を行い、各国の参加者から賛同を得たことをお聞きしております。  今後ですが、我が国は災害時の郵便サービスの役割などについて自らの教訓を生かした積極的な貢献を行うことが期待されておりますが、どのようなイニシアチブを取ってこういったことを発揮していくべきか、政府認識をお伺いしたいと思います。
  81. 今林顯一

    政府参考人(今林顯一君) お答え申し上げます。  先生がただいま御指摘なさいましたように、昨年の秋に開催されました万国郵便連合のドーハ大会議におきまして、自然災害により強い郵政事業体への移行を促進するために講じる対策の研究という勧告が採択をされました。これに基づきまして、管理理事会に対しまして、各国の郵政事業体の災害対策力強化のための研究を実施することが求められているところでございます。  この勧告は、これも先生が御指摘なさいましたように、東日本大震災が発生いたしました際の各国からいただきました支援に対する御恩返しの意味も込めまして、震災から我が国が得ました経験、教訓を基にしまして、世界の郵便事業体の災害対策力強化に貢献することを目的として日本が提案して、全会一致で採択されたものでございます。この勧告を受けまして、本年四月、総務省と万国郵便連合の事務局との間で協力関係について合意をいたしまして、これに基づいて、現在、人的、財政的な貢献を行っているところでございます。  また、万国郵便連合、たった今管理理事会を開催中でございますけれども、この中でも日本の代表団が東日本大震災での教訓、経験について発表を行うなど、得た知見に関する情報発信も行っております。  今後とも、この管理理事会の下に設置されました作業グループ、あるいは国際事務局における研究、さらにはその関連の作業に対しまして積極的に参画をして、世界各国の郵便事業体の災害対策力の強化に貢献をしてまいりたいと存じます。
  82. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 日本の郵便サービスというのは、国際的にも水準の高いものと言えると思います。その価値を国際的に是非広めていっていただきたいと思います。  それでは、別の質問に移りたいと思います。  岸田外務大臣は、当委員会における所信的挨拶の中で、国際的に女性が輝く社会の実現に向けて積極的に貢献していくと述べられております。安倍総理の国連総会における演説を受けて外務大臣として強調されているのであろうし、こうした政策を充実していくことは歓迎すべきだと思いますが、外交分野において女性が輝く社会の実現に向けて積極的に貢献していく、この意義をどのように考えていくのか、岸田外務大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
  83. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、女性が輝く社会の実現ですが、女性一人一人が持つ潜在的な能力を最大限発揮できるようにすることで社会全体の活力をもたらし、そして成長を支えていく、こうした大きな意義を有していると考えます。そうしたことから、今の政権におきまして、国内的には日本再生戦略、この戦略の中で女性の活躍促進を進めているわけですし、一方、国際的には、こうした課題は国際社会の全体の課題であるという認識の下に、安倍総理が国連総会で女性が輝く社会を世界全体で実現していくことを目指し、日本として国際社会の協力及び途上国支援を強化していく、こうした方針を述べた次第でございます。  そして、どのように国際社会に貢献していくのかという御質問も併せてあったかと思いますが、こうした方針を国際社会の中にも我が国は打ち出させていただきました。そのための方策としまして、まず、今後三年間で三十億ドルを超えるODAを実施する、あるいは国際機関でありますUNウイメンを始めとする女性関連国際機関と協力、連携を図っていく、こういったことを考えていきたいと思っております。
  84. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 安倍総理や岸田外務大臣の強調されている女性が輝く社会の具体策には、国際保健分野の新政策推進の一環として女性の保健医療分野の取組強化が盛り込まれているんですが、この分野での積極的な取組について、岸田外務大臣の方針と決意をお伺いしたいと思います。
  85. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 女性の保健医療分野の取組の強化ですが、我が国としましては、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの促進、そしてそれを通じた女性の医療アクセスの強化、こういったものを考えております。  また、女性を対象としたHIV、エイズ予防、そして治療、そして妊婦の産前健診を通じたマラリア感染予防等を推進する、世界基金にふさわしい支援を行っていきたい、このように考えております。
  86. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 国際的に女性が輝く社会の実現が本当になされれば本当にすばらしいことだと思います。是非、実現への道筋をしっかりと描いていただきたいと思います。  さて、次に、日本の国際貢献に関して重視すべき指標の一つがMDGsだと思うんです。MDGs、すなわちミレニアム開発目標、これは、御承知のとおり、平和で繁栄した公正な世界をつくり出すこと、また貧困をなくすこと、こういったことなどを目標として表明された国際社会共通の目標です。二〇〇〇年九月にニューヨークで開催された国連ミレニアムサミットで採択された国連ミレニアム宣言を基にまとめられました。MDGsは、極度の貧困と飢餓の撲滅など、二〇一五年までに達成すべき八つの目標を掲げております。宣言の採択から十三年が過ぎました。期限である二〇一五年まであと二年間しか残っておりません。  お配りした資料を御覧ください。MDGsのいろんな分野においての達成状況が一目瞭然でこれ分かるんですが、左側に国が書いてあります。そして、一番上に目標の一つ一つのカテゴリーの項目が、名前が書いてあります。これを見ますと、東アジアなどでは顕著な改善が見られるんですが、アフリカですとか、特にサブサハラの方、よりもう南の地域などは状況は特に改善が進んでおりません。初等教育に関する整備は全般的に進んでいるんですけれども、妊産婦の健康の改善などはまだまだ支援が必要な有様です。  私は、日本が積極的に推進してきた人間の安全保障の実現のためにも、二国間また国際機関経由のODAなどを効果的に活用して、MDGsの達成によって積極的に貢献すべきだと考えております。このMDGsの達成に向けての日本政府としての施策、取組を御説明ください。
  87. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のMDGsですが、達成に向けた国際社会の取組によりまして一部ではかなりの成果がありましたが、御指摘のように、進捗が遅れている分野も存在いたします。二〇一五年が目標年でありますので、是非これから努力を加速化させなければいけない、このように認識をしております。  そして、せっかく資料をお示しいただきましたのでこの資料を拝借いたしますと、この資料の中にありますように、教育、母子保健、衛生分野の目標、この辺りはもう現状達成困難、こんな状況にあると認識をしておりますし、あるいは地域では、サハラ以南のアフリカ、南アジア、オセアニア島嶼国で達成の遅れが存在すると認識をしております。  この九月に行われました国連総会の際にMDGs特別イベントというのが開催をされました。我が国からは安倍総理が出席をさせていただき、そこで、達成されていない目標がまだ多くあり、目標達成のための努力を加速すべきであるということを述べ、このことはMDGs特別イベントの成果文書においても確認をされております。  我が国としましては、こうした国連における議論を踏まえ、そして国際社会と協力しながら、この目標達成に向けて引き続き加速化の努力を続けていきたいと考えています。
  88. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 是非前向きな取組をお願いしたいと思います。  私も、国連人口基金とともに、お母さんと子どもの命を守る勉強会というのを定期的にこれまでに開催してまいりました。妊産婦の死亡率、乳幼児の死亡率の特に高い国々に対する支援活動、これを紹介したり、どういった現状があるかということをいろいろなNGOの方々に来ていただいて御紹介するという勉強会をずっと続けてきたんですが、これはこのチャートでいう、一番上のカテゴリーでいうと四分野と五分野に対する活動なんですけれども、平成二十三年には、私は、アジアの中でも妊産婦、乳幼児の死亡率が一番高いと言われているラオスに行ってまいりました。ここで非常に悲惨な状況確認してまいりました。  ラオスの山岳地帯に住む民族の中には、例えば、妊産婦は一人で子供を森の中に産みに行かなくてはいけないですとか、猛暑の中でも妊産婦、子供を産んだ直後に母体を火鉢で温めるですとか、生まれたての赤ちゃんに母乳を与えないでモチ米を食べさせる、まだ歯が生えていない赤ちゃんにモチ米を与えるとか、そういったいろんな村の文化も見てまいりました。更なる妊産婦や乳幼児の高い死亡率の原因にも思われました。  ラオスだけではなくて、先ほどお示ししましたMDGsにおいてまだ黄色とか赤が多い地域は、地域住民の保健衛生に対する認識も低くてインフラも未整備であるため、基礎的な保健医療サービスへのアクセスが困難な状況にあります。ラオスなどと並んで母子保健が非常に低いレベルのままの状態となっているのが、先ほども申し上げましたアフリカです。アフリカでは三秒に一人の子供が命を落としていると言われております。  私は、この深刻な事態に対して、日本発祥であります母子手帳を広めることが効果的だと、今までにもODA委員会ですとか外交防衛委員会で訴え続けてまいりました。そして、私の選挙区でもあります横浜で行われたアフリカ・サミット、TICADⅣにおいても、当時の総理大臣の開会演説にも取り上げられました。そしてその後、JICAを中心に発展途上国における母子手帳普及プロジェクトが次々と立ち上がったり、母子手帳の普及を訴える人材育成、また病院施設等インフラ整備、そして識字率の向上にも弾みが付いているとお伺いしております。  そこでお伺いしたいんですが、母子手帳の世界普及に向けての取組の現状はどのようになっているんでしょうか。
  89. 牧野たかお

    大臣政務官牧野たかお君) お答えします。  母子手帳は、健康一般について母親の知識を高め、医療従事者側で母子の健康履歴を把握することにより妊産婦の死亡率や乳幼児の死亡率を改善することができるという点で、政府としても優れた制度であると評価しております。  今おっしゃったとおり、TICADⅣの横浜宣言で母子保健の重要性確認されて以降、アジア地域ではインドネシアなどの四か国、中東地域ではパレスチナ、アフリカ地域ではガボンなどの三か国、合わせて八か国と地域で我が国は二国間援助を通じた母子手帳の普及に取り組んできております。  また、母子手帳普及を目的とした会議やセミナーとしては、昨年、在京のアフリカ、アジアの大使夫人を対象とする母子保健手帳の普及啓発のセミナーを東京で開催するとともに、ケニアのナイロビでは第八回の母子手帳国際会議の開催協力を行ったところであります。  以上です。
  90. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 私も現に二人の子供がおります。そして、二人の子供は母子手帳なくして私は絶対正しく育てられなかったのではないかと思います。いろいろな知識の面においても日本でも役立っているこの母子手帳を世界に向けて普及させていただきたいと思いますし、日本発祥のものですから、是非お願いしたいと思います。  母子手帳というのはあくまでもキーワードでして、母子手帳の普及を目標としてインフラ整備を整えていかなくてはいけないという国もありますけれども、とにかく母子手帳というのは分かりやすい言葉ですので、母子手帳を掲げて、是非、世界普及させていただきたいと思います。  質問を終わります。
  91. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。  岸田外務大臣、また政務三役の皆様におかれましては、山積する外交課題に日ごろから御尽力いただいていることに心から敬意を表する次第でございます。  実は、万国郵便条約は、私、外務大臣時代に答弁席に立っておりまして、質問を若干用意したんですけど、牧山委員がかなり詳しく的を射た質問をされましたので、そこは割愛をさせていただきたいと思います。  ちょっと最近気になっていることから質問させていただきます。  中国で、十月二十八日、天安門前で車の突入、炎上事案が起こりました。そして、十一月六日には、山西省で共産党委員会のビルの近くで複数回の爆発が起きています。中国には二万二千社を超える日本の企業が出ています。そして、在留邦人は十四万人を超えるというふうに承っております。  これらの事案について、現段階で得られている政府情報はいかがなものかということをまずお伺いしたいと思います。
  92. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 中国の天安門、そして山西省において発生した事案につきまして御質問をいただきました。  まず、天安門の事件ですが、天安門という中国を象徴する場所で、ウイグル族の男と妻、七十歳の男の母の三人の乗った一台の車両が橋の保護柵に衝突、炎上し、これまでに五名の死亡と四十名の負傷が確認されたと承知をしております。この事件においては邦人男性一名が負傷をいたしました。  この事件につきまして、まず中国当局は、東トルキスタン独立運動に言及しつつ、綿密に計画され組織的に準備された暴力テロ襲撃事件であると認定をしています。  ただ、いずれにしましても、本件事案につきましては全容がまだ明らかになっておりません。日本政府としましては、中国政府に対しまして更なる情報提供を求めつつ、捜査の推移、しっかり注視をしていきたい、このように考えております。  山西省の事案につきましても、公安当局によりますと、昨六日午前七時四十分ごろ、これは、太原市山西省共産党委員会の建物前で爆発が発生し、一名が死亡し八名が負傷した旨、発表していると承知をしております。これにつきましても、情報提供を引き続き中国側に求めているという現状にあります。
  93. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ありがとうございます。昨日の事前通告よりも随分詳しく御説明をいただきまして良かったです。  これらの事案について中国政府に求めているとさっき大臣はおっしゃいましたが、具体的にこの問題について政府とのやり取り、連絡は行われましたか。
  94. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 特に、天安門の事件に関しましては邦人男性一名が負傷をしております。我が国として、この事案につきまして注視をしているということ、情報を提供してもらいたいということ、この山西省の事件と併せて中国当局にしっかりと申入れをしております。
  95. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 申入れをされたということですね。
  96. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 既に申入れをしております。
  97. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 いつやられたか、細かいことは申し上げません。質問があるから慌ててやったということではないことを願いますし、在京、とにかくやり取りだけはしましたよというようなことではなく、実質的に邦人が一人負傷されていることですし、私は非常に、この事案、中身は分からないんですけど、概括的に申し上げると、中国の中でこういったことが行われることが可能なんだということが中国に広がるということは非常に嫌な感じがします。  そのテロの中身が中国政府の発表とどうかという真偽のほどは別にして、こういったことが中国の中で行われることを本当に誘発をするのではないかということを懸念しておりまして、それはイコール、先ほど申し上げた十四万人の在留邦人、二万二千社の日本の企業に対しても非常にリスクが高まるということでございますので、そのことについて、是非、政府としては格段の注意を払っていただきたい、留意をしていただきたいと申入れをさせていただきたいと思います。  一部報道では、これは報道ですから政府として答えにくいと思うんですけど、今週末、十一月九日から中国の共産党の中央委員会、いわゆる三中全会があると、こういったものを意識したものではないかというような報道もありますが、答えにくいでしょうが、このことに対して政府としてはいかがですか。
  98. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、天安門、そして山西省、この二つの事案につきましては、先ほど申し上げましたように、情報提供を求め、そして推移を注視しているところであります。  そして、この三中全会、第十八回中央委員会第三回全体会議との関連性につきましては、もちろん断定的に申し上げる立場にはないわけですが、中国における社会とか治安情勢という観点からこれは引き続き注視していかなければならない、このように考えます。  委員長、済みません。先ほどの答弁の中で、山西省の事件の発生場所につきましてタゲン市と申し上げてしまいましたが、正式にはタイゲン市でございます。訂正させていただきます。
  99. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ありがとうございます。これはもう与野党関係ない話ですので、是非、政府におかれましてはよろしくお願いしたいと思います。  二つ目。資料をお配りをしましたので、若干御覧をいただければと思います。  先ほど牧山委員からも若干言及がありました世界基金についてでございます。  この世界基金は、もう先生方は御案内だと思いますが、小渕総理が非常に世界各国に働きかけをし、残念ながら他界をされた後、森総理のときの沖縄サミットでこのことがスタートいたしました。私は大変この世界基金については評価をしておりまして、お手元にお配りをしたグラフを見ていただきますと、HIV感染者に対しての治療薬の提供が四百二十万人、新規に治療を受けた結核患者数が九百七十万人、マラリア感染予防のための例の殺虫剤や、それからいわゆる蚊帳、それが三億一千万張ということで、非常に効果を上げている基金でございます。  現実に私、今年の九月に、右にある写真のとおりでございますが、与野党を超えてミャンマーに行ってまいりまして、結核、マラリアの現場を見てまいりました。エイズの現場を見てまいりました。自民党は逢沢議員、そして公明党さんからは江田議員も御一緒させていただきまして行ってまいりまして、一番上の写真は村の入口で、まさにマラリアの対応について頑張っておられるJICAの職員の方が右側の方です。この方は、JICAの本当に専門家として世界各国の途上国を回られて、今はミャンマーの一番マラリアの発生源のところに、村に常にいていただいて頑張っていただいておりました。  下の写真は、まさにそのマラリアの発生源になるような村の家の状況でございました。その下はエイズの診療所、これもグローバル基金によって成り立っている診療所でございました。その下は、エイズに関して言えば、性産業従事者の女性の方々のいわゆるシェルターのようなところ、そして、この部屋の向こう側、別の部屋には実は男性のエイズ患者の方々、HIVの陽性の方々とかがずっとここにいて、いろんな教育を受けていると。これもグローバルファンドによって対応されていまして、グローバルファンドは各国の政府、それからNGO、そしていわゆるWHOや日本でいえばJICAや、そういった機関とも協力をしながら非常に有機的にやっていただいています。  実は、私が官房副長官のときに菅総理が国連の場で、第三次プレッジ会合を前にして五年間で総額八億ドルの増資の表明をさせていただいて、そして私、そのこともあるのでずっとこの活動を注視をしてまいりまして、今回ミャンマーも行ってまいりました。実は、十月、ジュネーブにも行って、世界基金の本部にも行って、日本人のスタッフが戦略投資効果局長をやっておられまして、國井先生という本当に立派な方がやっておられます。もう実は、十二月第一週、ワシントンにおいてこの世界基金のプレッジ会合が開催される予定です。  安倍総理は、ふさわしい貢献ということを国連で言われましたが、具体的にはまだ何も数字が見えていません。ぎりぎりまで言えないのかもしれませんが、アメリカは既に五十億ドル、フランスも十四億ドル、イギリスも十六億ドル、ドイツも七・八億ドルという話があって、私は、ここに書いてありますように、日本としては、理事会の構成で何としても単独理事状況を、日本としてはこれをつくった責任も含めて維持していただきたいと。自民党政権に替わった途端グローバルファンドに対して消極的になったとか理事の座を失ったとか、そういった状況は是非ないようにしていただきたいと思っておりまして、まずグローバルファンドに対する評価、そして具体的なふさわしい貢献の在り方について、外務大臣、どのようにお考えか、お答えをいただきたいと思います。
  100. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、委員が長きにわたりましてこの世界基金に対して深い理解をされ、そして積極的に支援に取り組んでおられますこと、心から敬意を表し申し上げます。  そして、世界基金に対する評価ですが、先ほど委員から御紹介させていただきましたように、我が国としましても、今日まで様々な成果を上げているこの世界基金について高く評価させていただいております。  そして、安倍総理がこの国連総会の一般討論演説でふさわしい貢献という言葉を使ったわけですが、このふさわしい貢献、これは、世界基金の支援を通じて三大感染症による死者数、新規感染者数、これは着実に減少はしております。しかしながら、これは一度対策の手を緩めてしまうと、これは薬剤耐性菌あるいは薬剤耐性ウイルスが発生するなどで再流行してしまうと、こういう危険を絶えずはらんでおります。こうしたことによって取組を無に帰してしまうことがないようにしっかり対応しなければならない、そのために封じ込めに向けた努力を時機を逸しない形で強化することで国際社会が団結しているわけですが、基本的にそういった姿勢を大事にする、これがふさわしい貢献のまず基本的なところであると思います。  そして、具体的な貢献の金額ですとか数字について御質問がございました。  これにつきましては、まず我が国としましては、この第四次増資会合、十二月の三日に予定されていると聞いておりますが、この開催スケジュールを視野に入れて表明時期をしっかり設定したいと考えます。  そして、金額については現在調整中ではありますが、日本国の総理が国連総会の一般討論演説でふさわしい貢献をしたいと述べたわけでありますので、これは、それにふさわしい金額をしっかりと用意するべく努力をしたいと考えています。
  101. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 大変外務大臣から評価もいただいて、ふさわしい金額にしたいという決意をいただいたので大変心強く思っています。  一般的に申し上げれば、三回目のプレッジ会合のときは百億ドルの増資で、日本は八億ドルを五年間という表明をして、現状五・八億ドルでございまして、大体六パーぐらいです。国連のそれぞれの拠出金額も含めて六%前後というのが例えば一つの目安になるとすれば、今回のプレッジ会合は百五十億ドルという話になりますから、日本でいうと、六%というと約九億ドルという形になります。  私は、日本の厳しい財政状況理解をしているつもりです。しかし、積極的平和主義だというふうに安倍総理が言われているわけですし、国際貢献という話もありますし、先ほど牧山委員からもありましたように、女性に対する、活躍できるということも含めて、このマラリア、エイズ、結核に関しては、日本としては是非、この九億ドル、六%の九億ドルぐらいをある種めどにというか、そこら辺を視野に入れながら議論をしていただきたいと切に願う次第でございますが。  外務大臣努力と先ほど言われましたが、財務省、済みません、私も当時、財務省と相当やり合いをしまして、厳しい交渉をさせていただきました。財務省さんは今どのようにお考えか、お答えいただけますか。
  102. 山本博司

    大臣政務官(山本博司君) 大変ありがとうございます。  今委員、また外相からもございましたけれども、この世界基金につきましては、二〇〇二年の設立以来、本当に日本は相応の貢献を行ってきているというふうに私も承知をしておりまして、大変大事な部分だと思っております。  今委員からもずっと御指摘がございましたこの第四次増資期間におけます、日本のどのぐらい出すのかという拠出額等に関しましては、まずは外務省において検討していただくものが一番大事でございますけれども、いずれにせよ、厳しい財政事情でございますので、しっかり予算編成過程で外務省ともよく検討しながら進めていきたいと思っております。
  103. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 外務大臣、財務省から外務大臣にげたを預けられましたけど、いかがですか。
  104. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 委員の応援の御質問も踏まえて、全力で取り組みたいと存じます。
  105. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ありがとうございます。  これも余り与野党関係ない話だと僕は思っております。ですから、是非、先ほど申し上げましたように、何とか日本の単独理事の議席も確保し続けていただきたいと思いますし、本当に日本人の國井先生、頑張っていただいています。世界中走り回っていろんな御努力をいただいております。是非そこを踏まえていただいて、政府におかれましては、積極的に十二月のプレッジ会合まで御準備をいただきますことを心からお願いして、次の質問に移りたいと思います。  十二月のそのプレッジ会合の前、実は来週の十一月の十一日から二十二日にかけて、いわゆるポーランドでCOP19、気候変動枠組条約の会合があります。御案内のように、COPは盛り上がっているときと盛り上がっていないときがありまして、今年は本当に盛り上がっていない年でございまして、非常に私は残念に思っております。私は、ずっとこの気候変動問題に携わっておりまして、九七年のCOP3が京都の地元であったことも踏まえ、ずっとこの問題やってまいりました。  いろんな評価はあると思いますが、二〇〇九年のコペンハーゲンのときには、オバマ大統領、サルコジ大統領、メルケル首相と並んで鳩山総理が二五%の削減の表明をし、それが、これは間違いなく一定の次のカンクン合意等につながっていきました。二〇一五年の法的枠組みへの非常に大きなきっかけを私はつくったと思っています。  そういう状況の中で、今回、よく分かりません、政府のポジションが、どういう形で交渉に臨まれるのか。今日、どういうわけか朝刊に幾つか報道がされましたけど、これまでほとんど報道もない状況でございました。今回のCOP19に臨む我が国のポジション、立ち位置について、まず外務大臣からお聞かせをいただいて、その後、環境は副大臣がお越しをいただいていると思いますが、環境副大臣からも御答弁をいただけますでしょうか。
  106. 岸信夫

    ○副大臣(岸信夫君) 福山委員の御質問お答えしたいと思います。  この度行われますCOP19でございますけれども、そこでは、二〇二〇年以降の新たな国際枠組みの構築に向けまして、これを二〇一五年のCOP21までに合意を得るべく交渉が行われるという予定になっております。  これはまさに地球規模の課題でございます。全ての国が参加する公平で実効的なものであるということが何より重要なこと、必要であると考えております。COP19においても、このような観点から国際的な議論を積極的に我が国が主導してまいりたいと、こういうふうに考えております。  特に、今回我が国としては、総理の指示に従いまして、COP19に向けて技術で世界に貢献していく攻めの地球温暖化外交戦略というものを検討中でございます。様々な交渉の中で積極的な役割を果たしていきますように努力をしてまいりたいと思います。
  107. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 何にもどういう立場か分かりませんでした。積極的に何を果たしていくのか。技術で、それはもう日本はずっと鳩山イニシアチブも含めてやってきています。別に我々の政権だけではありません。自民党の前の政権でも技術での貢献はやられてきているはずでございます。  今の答弁では全くどういうポジションで臨むのか分からないんですが、一つ、このCOP19について、我々の政権で民間の人も政府代表団に入れるということを決めました。それは経団連、それから連合、それから気候変動に専門的にずっと取り組んできたNGOのメンバー、このメンバーを、政府代表団の人数が多いので、人数を限った上で政府代表団に入るということを決めて、実はコペンハーゲンのCOP15に臨みました。  今年はNGOのメンバーは代表団、民間も含め代表団に参加できるのかどうか、事実でお答えください。
  108. 香川剛廣

    政府参考人(香川剛廣君) お答え申し上げます。  今、福山先生おっしゃられましたように、これまでのCOPの日本政府代表団に政府関係以外のNGOの方、経団連の方とか入っていただいておりましたが、日本政府代表団は他国と比べましても極めて大きな代表団になっておりまして、代表団の人数を絞るという観点から、本年度から政府関係者の登録自身を削減するとともに、NGO、経団連等の政府代表団登録を取りやめることといたした次第でございます。  ただ、こうした方針につきましては、事前にNGOや経団連やその他関係者に十分御説明をして御理解を得ているところでございます。
  109. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 各国政府は国によってはNGOやそれぞれの団体が代表団に入っていることが過去からもずっとあったので、当時の岡田外務大臣と相談をして、我々も入れようと。  香川さんには申し訳ありませんが、政府の代表団は総勢どのぐらいいらっしゃいますか。
  110. 香川剛廣

    政府参考人(香川剛廣君) このところ数年間は百名を超える、まあ百十名とか百三十名とかそういう規模の代表団になっておりました。今回は百名を割るような規模で考えております。
  111. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今年百名を割るのは、COPの位置付け、それから全体のモメンタムもあるからだというふうに私自身は思っていますし、何かを決める会ではないからその程度の人数でいいんだろうと思っていますが、今年百名を切るにしても、百名を超える中で例えばNGOの参加されたのは、私が行ったコペンハーゲンのときはNGOの参加者は二人でございます。百名を超える中で二人の方が人数が多いから省くというのは余り合理的な理由だと私は思いません。  そしてなおかつ、政府の交渉ですから、私も一定理解をしていますので、ぎりぎりの交渉のところの会にはNGOの皆さんも経団連の皆さんも連合の皆さんも入っていただけませんでした。しかし、一定のどういった交渉状況なのかを、これだけステークホルダーの多い分野ですから、気候変動というのは国民の生活に非常に大きな影響があるから入っていただきましょうと、経済活動にも国民生活にも関係するのでということで我々は入れさせていただきました。  今年の四月に、NGOの皆さんにはボンの会議からもう代表団には加えないということを政府から通告をもらったというふうに聞いておりますが、本当にこういった姿勢でいいのか。今、NSCや特定秘密の問題が出てきていますが、NSCは我々、修正、賛成をしましたが、四大臣会合の議事録についてもはっきりとした答弁はいただけませんでした。  NGOが二人、政府代表団の中に入ることについてもう少し明確な理由を、済みません、政治の場でお答えいただけますか。
  112. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今のやり取り聞かせていただきました。百名に及ぶ代表団の中で二名のNGOを削減することについてどうかという御質問でございますが、先ほど香川地球審議官からもお答えさせていただきましたように、今回の対応につきましては関係者の皆様方に丁寧に御説明をさせていただいた上での判断だということでございます。  その辺の経緯も私自身確認しないと、それに対する政治判断というのはちょっと今直ちに申し上げるものがございません。是非丁寧な、説明の過程等も確認したいと存じます。
  113. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 政府が代表団に入っていただいて結構ですと言って入っていただいた。もう今度は来ないでくれと言われたら、それは丁寧な説明かどうかは別にして、相手は了解するしかないですよ、どう考えたって。  大臣がもしその事実を御存じなかったんだとしたら、それも問題。どこで決まったんだと。COP15、16、17、18までは一応それは参加の資格があった。しかしながら、もしこれが、政権が替わって大臣が知らないところだったら、それは問題。大臣が知っているんだとしたら、若しくは副大臣、政務官が理解をされているんだとしたら、その理由をちゃんと政治が説明してくださいというふうに私は申し上げました。ましてや、十一日ですよ、今日は何日ですか。もうあと四日後に始まるのに、現実問題としてその対応でいいのかということについて、大臣、もう一言だけいただいて、これ以上言ってもしようがないですけれども、御答弁いただけますか。
  114. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず基本的に、日本の代表団の人数を絞るということについては事前に説明は受けております。そして、それについては丁寧に説明をし、了解を得ながら作業を進めたということも聞いておりました。それ以上の詳細については聞いてはおりませんでした。いま一度その辺は確認はしたいと存じます。
  115. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 私は非常に残念に思いました。ですから、そのことについては、十一日からの会議ですから意思決定変わらないとは思いますけれども、私としては指摘をしておきたいと思います。これは、これだけ大変な問題になっているものに対して、政府は、NGO、経団連を始めとして、代表団に入ることに対して蓋を閉めたというのは事実でございますので、指摘をさせていただきます。  一方で、九月の二十七日、IPCCが第五次評価報告書をまとめました。AR5でございますが、これに関しては、気候システムの温暖化については疑う余地がないと。それから、グリーンランドとか南極氷床が質量が消失していると。さらには、人間活動、人為的な起源だということについてもほぼ九五%の確信度だという話がIPCCでは発表がありました。  この報告書の内容、新聞では若干報道されましたけれども、この報告書の内容については、外務省並びに環境省、どのように受け止めているか、お答えいただけますか。
  116. 香川剛廣

    政府参考人(香川剛廣君) お答え申し上げます。  福山先生御指摘のとおり、IPCCの第五次評価報告書の気候変動の科学的根拠に関する報告書が本年九月に発表されまして、その中で、人為的な要因による温暖化というのが極めて高い可能性があるということを指摘されております。外務省としては、この報告書も踏まえまして、気候変動問題の解決のために国際社会が一体となって取り組む必要が更に強まっているというふうに認識しております。
  117. 牧原秀樹

    大臣政務官(牧原秀樹君) 御指摘のとおり、この報告書で、温暖化の進行は明確であり、そして人間活動が温暖化の支配的な要因であること、そして、気候変動を抑えるためには温室効果ガスの抜本的かつ継続的な削減が必要である等が示されております。  このような温暖化の影響が世界全体の脅威になっているということを、この報告書の警鐘を踏まえて環境省としては重く受け止め、改めてしっかり頑張らなければいけない、このように考えている次第でございます。
  118. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ありがとうございます。脅威となっている、継続的な温室効果ガスの削減が必要だという答弁をいただきました。  今日の新聞で突然出てきましたけれども、我が国の中期目標について、二〇〇五年度比三・八%減とする方向で調整に入ったと報道が出ていますが、この報道の真偽についてお答えください。
  119. 関荘一郎

    政府参考人(関荘一郎君) 本年一月、総理より、現在条約事務局に登録しております二五%削減の目標につきましてゼロベースで見直すようにと、これは震災の影響等々でエネルギー情勢が変わってまいりましたので、こういう御指示をいただきまして、政府の中で現在鋭意調整中でございまして、現時点で結論が出ているものではございません。
  120. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 結論出ていないって、新聞に出ているじゃないですか、今日の新聞に。その新聞に出ているのはどうしてですか。じゃ、これは誤報なんですね。
  121. 関荘一郎

    政府参考人(関荘一郎君) ただいま御説明させていただきましたように、現在最終的な調整を行っている状況でございまして、政府として何らかの判断をしたというものではございません。
  122. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 じゃ、例えばこれが調整中だとしても、二〇〇五年三・八%減だとしたら、これは一九九〇年比で見たらどうなるかお答えください。
  123. 関荘一郎

    政府参考人(関荘一郎君) 二〇〇五年の我が国の温室効果ガスの排出量は十三億五千百万トンでございまして、一方、一九九〇年は十二億六千百万トンでございますので、これを割り戻しますと、二〇〇五年の削減目標を九〇年に変換するときはおおよそ七%程度足せば変換されると、こういうものと認識しております。
  124. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 もう一回。一九九〇年比で何%増すとおっしゃったんですか。  二〇〇五年度三・八%減という方向で調整に入ったということは、一九九〇年比では幾らかと聞いているんです。もうはっきりお答えください。
  125. 関荘一郎

    政府参考人(関荘一郎君) 五年から九〇年に変換、割り戻しますと、おおよそ七%を足すということになりますので、仮にマイナス四%でありますとプラス三%になると、こういうふうな計算になります。
  126. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 一九九〇年比プラス三%でしょう。さっき、環境政務官、継続的な温室効果ガスの削減が必要だとおっしゃったんじゃないんですか、脅威だからと。  我が国は、COP3のときに、九〇年比、二〇一二年まで六%削減すると言ってきたんです。それが、継続的に削減をしなきゃいけないと環境省今おっしゃられたのに、一九九〇年比プラス三%だったら増えているじゃないですか。言っていること矛盾していませんか。政務官、いかがですか。
  127. 牧原秀樹

    大臣政務官(牧原秀樹君) まだ政府全体で決定をしたというふうには承知をしておりませんが、大震災で原子力発電が事故がありまして、現在止まっているという、我が国としては予想されていない大変重要な事態を受けて、政府間で関係省庁を含め調整中であるというふうに理解をしております。  環境省としては、この削減が必要であるという立場は変わらないものと理解しています。
  128. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 安倍総理からゼロベースで見直せという指示が出たのはいつでしたか。
  129. 関荘一郎

    政府参考人(関荘一郎君) 本年一月でございます。
  130. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 先ほど言われた、政府内でいろいろ調整をしていると言われていますが、政府内で正式に議論をする場はどこですか。
  131. 関荘一郎

    政府参考人(関荘一郎君) 政府関係省庁の事務レベルで頻繁に会合を開くことによって調整をしております。
  132. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 事務レベルじゃなくて、正式に決める会合はどこですか。
  133. 関荘一郎

    政府参考人(関荘一郎君) それについても現在調整中でございます。
  134. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 決める会を調整中ってどういうことよ。一月二十五日に総理からゼロベースで考えろと言われて、どこで決めるかの調整を今やっているわけ、十一日からCOPが始まるのに。どこで決めるのよ。
  135. 関荘一郎

    政府参考人(関荘一郎君) 政府の組織としてどういう場で決定するか等につきまして、これも検討中でございます。
  136. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 温対法上はどこで決めるんですか。
  137. 関荘一郎

    政府参考人(関荘一郎君) さきの通常国会で改正いただきました温対法の改正案では、地球温暖化対策本部で案を作り閣議で決定すると、こういうふうになっております。
  138. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 温対本部は総理の一月からの指示が出てから何回開かれましたか。何月と何月、もうそれだけ答えてください。
  139. 関荘一郎

    政府参考人(関荘一郎君) 今年の三月と四月に一回ずつ、二回開催されておりますけれども、この温対本部は、目標の議論ではない、第一約束期間が終了いたしますので、その後の対応について、それとレビューの結果の取りまとめについて御議論をいただいたものでございます。
  140. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 何もやっていないじゃないですか。何もやっていないじゃないですか。何もやっていなくて三・八%減。でも、これは実際は九〇年比は三%増なんです。事務レベルだけ。これ、誰が意思決定をして、十一日、どういう交渉をするんですか。だから、先ほどの岸副大臣の、どういう立場日本は臨むのかということに対して、何言っているんだかさっぱり分からないのは当たり前じゃないですか。そして、どこで調整するかも決まっていない。  これ、外務大臣、私は、それなりに副大臣会議を何回もやり、議論を重ね、ステークホルダーがたくさんいる中で、そして交渉を、外務省の人や環境省の人や経産省の人が交渉できるポジションを持って行ってもらわないと、手ぶらでなんか交渉できませんよ、これ。外務大臣、どうするんですか、これ。
  141. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、今のやり取りを聞いておりまして、三・八とか四とか三とか数字が出ておりましたが、先ほども申し上げましたように、こうした数字について我が国政府としてどこかで公式に表明したという事実は全くありません。  そして、この国際的な会議を前に我が国としての方針を確認しなければいけない。これは、正式に確認するのは、閣僚レベルでしっかり確認しなければならないものと考えます。
  142. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 閣僚レベルで確認するのに、一月に総理から指示が出て、十一日から始まって、今日七日ですよ。どうやって、じゃ政治は関与してきたんですか。全部事務方任せですか。どういうポジションで交渉へ行くんですか。これは不誠実過ぎる。  ましてや、環境省は脅威だとおっしゃったんですよ、継続的な削減が必要だとおっしゃったんですよ。継続的な削減できないんですよ。  さっきの数字は正式に決めたものではないとおっしゃったけれども、さっきの数字は増えるんです。私だって東日本大震災があることは分かっています。しかし、基のエネルギーの問題についても何も決まっていないじゃないですか。どういうポジションで交渉に臨むんですか、大臣
  143. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 交渉に臨むポジションですが、まず、数字的な目標、これもしっかりと確認した上で臨むということもあるべき姿なのかもしれませんが、数字的なものだけではなくして、我が国の具体的な取組、さらには技術における貢献等、様々な具体的な方策をもってこの会議に貢献する、臨む、こういったことも考えられると存じます。  今の御指摘の点も踏まえて、我が国の交渉に臨むポジションというものはしっかり整理した上で臨まなければならないと存じます。
  144. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 私は短兵急に、今年の異常気象、いろんな台風が来たことがそのまま気候変動や温暖化だというような、そんな単純な議論をする気はありません。しかしながら、間違いなくIPCCの報告書にあるように世界中で異常気象によるいろんな災害が起こっています。国民の生活に影響あります。エネルギーの問題は経済にも影響あります。  実は、こんなぎりぎりまでどこで決めるのかも分からない、事務方だけでやっているんだったら、国民に対する意見も聞けないじゃないですか。実は環境省と経産省がやっている合同の審議会も、十月で打ち切られて開かれていません。国民に対して全く意見を聞かないで、どうやってポジション、臨むんですか。  更に言えば、先ほど申し上げたように、経団連も労働組合もNGOも政府の代表団に入れませんというのを、六月でシャットアウトしています。全くもって密室で、どこで決められているか分からない。将来にわたって二〇五〇年まで八割削減をしなきゃいけないという状況の中で、全くもって私はこの対応は信じられません。  長年気候変動をやってきた者として言えば、本当に残念です。これ、何で、どうやって国民に責任を持つんだと。非常に残念だということを申し上げ、もし大臣、何かあれば、とにかく、どこで決めるのか、どうやって国民にこのプロセスを開示していくのか、そのことについてだけははっきりしていただきたいと思います。
  145. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、基本的に、御指摘のように、政府としての方針ですとか目標ですとか会議に臨む基本的な考え方ですとか、こういったものを明らかにするのは大変重要な、そして大きな責任だと思っています。そして、その数字等を決めること自体も、責任ある数字でなければならないと存じます。  是非、この問題の大きさ、しっかり認識しながら責任ある決定を政府として急がなければならないと思っています。そして、それをしっかり国民に、国民に対する説明責任を果たしていく、これも重要なポイントだと認識いたします。
  146. 末松信介

    委員長末松信介君) 福山筆頭、最後質問にしてください。
  147. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 まさか九〇年比増加をさせるような政府決定を、今の大臣答弁からいってされないということをお願いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。    〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕
  148. 中西健治

    ○中西健治君 中西健治です。よろしくお願いします。  まずは条約に即した質問をしていきたいと思います。万国郵便条約郵便送金業務約定に関連して、一つの事案についてお伺いしたいと思います。  今年の六月に日本郵便は、欧州方面への郵便物を積載した商船三井のコンテナ船が浸水して自力航行ができなくなった海難事故によって、外国あての郵便物が海に流されてしまったり、水にぬれたりする被害が発生した、そして書留や小包に関しては被害状況確認して顧客への補償を行うと報じられておりました。  まず、被害状況及び補償の状況について事実関係確認を行いたいと思います。日本郵政の方に今日は参考人として来ていただいていますので、ここら辺の事実関係についてお願いいたします。
  149. 諫山親

    参考人諫山親君) お答え申し上げます。  本件事案によります国際郵便物の被害でございますけれども、書留郵便物が二十通、小包郵便物が千六十七個、そのほか普通通常郵便物が入りました容器、郵袋でございますけれども、これが二百九十六個となっております。このうち、万国郵便条約、それから同条約に基づき日本郵便株式会社が定めております国際郵便約款、これらの規定によりまして損害賠償の対象となっております書留郵便物及び小包郵便物につきましては、それらの郵便物の引受けを行いました引受局を通じまして差出人様に御連絡をいたしまして、現在、損害賠償の対応を進めているところでございます。  なお、これらの損害賠償の総額でございますけれども、郵便料金の返還分も含めまして二千七百万円程度というふうに算定しているところでございます。
  150. 中西健治

    ○中西健治君 書留や小包については損害賠償を行っているということのようでありますけれども、普通の手紙、はがきなんかも含まれるのかもしれませんが、そうしたものについては何も行っていないということでしょうか。
  151. 諫山親

    参考人諫山親君) 申し訳ございません。  残念ながら、普通通常郵便物につきましては、亡失等の事故が発生した場合でございましても万国郵便条約上損害賠償の制度の対象となっておりませんことから、損害賠償は行っていないということでございます。
  152. 中西健治

    ○中西健治君 損害賠償を行っていないということなのかもしれませんけれども、自分の手紙が配送されていない、こうした方が名のり出たりした場合にはどのように対応しているんでしょうか。
  153. 諫山親

    参考人諫山親君) 申し訳ございません。  そのような場合でも約款上損害賠償の対象となっていないということでございますので、重々おわびを申し上げた上で、損害賠償につきましては御勘弁をいただいているところでございます。
  154. 中西健治

    ○中西健治君 じゃ、ごめんなさいと言うだけということなんでしょうか。それでいいのかなという気もいたしますが。  この条約の中身について、再度、どういう意義があるのかについても確認したいと思います。  こうした事案について条約がどうなっているのか、外務省の方に確認をしたいと思います。
  155. 岸信夫

    ○副大臣(岸信夫君) 今の答弁とダブる部分はございますけれども条約につきましては、書留郵便物、普通小包及び保険付郵便物の亡失、失われた場合につきましては郵便事業体が責任を負うと、こういうことに定められておるところでございます。  本件の事案につきましても、条約に基づきまして日本郵便株式会社が定めている国際郵便約款の規定に従って、書留郵便物、普通小包、保険付郵便物につきましては適切に損害賠償が行われると、こういう取決めになっております。
  156. 中西健治

    ○中西健治君 普通郵便については差出人が分からないということで対応が難しいということなんだと思いますけれども、申し上げたとおり、名のり出た人がいる場合にはやはり何らかの対応をするべきなんじゃないかなというふうに私は思っております。その意見だけ申し上げて、この条約についてはこれで、質問は次に移りたいと思います。  続きまして、WTO政府調達協定改正議定書についてお尋ねしたいと思います。  これは、この政府調達の分野については、我が国は既に改正内容を上回る措置をもう自主的に実施しているというふうに私は認識しております。ですので、この議定書によって日本が新たな開放を求められることはないということでよいか、政府認識をお伺いしたいと思います。
  157. 牧野たかお

    大臣政務官牧野たかお君) お答えいたします。  今回の改正では、開発途上国に対する特別な取扱いの強化、そして、調達手続の簡素化などの手続面での改正に加えて、協定の適用を受ける加入国内の機関やサービス等の範囲を拡大をしております。  具体的に言いますと、我が国においては、家庭用品の修理のサービスなど、対象となるそうしたサービスの追加だったり中央政府機関による政府調達の基準額の一部の引下げ、対象機関として政令指定都市七市の追加などが挙げられますが、これらについては、委員が御指摘をされたとおり、既に我が国は自主的な措置として協定に従った調達を既に行っておりまして、今回の改正によって大きな追加的な負担が生じるものではないと考えております。
  158. 中西健治

    ○中西健治君 そうしますと、WTOのこの議定書、少なくともそれよりは開放レベルが日本は上にいるということが確認できるんじゃないかなというふうに思いますが。  TPPの交渉参加国十二か国を見てみますと、実はこのWTO政府調達協定に参加しているのは、アメリカ、シンガポール、カナダ、そして日本を合わせても四か国にすぎないということになっております。あとの八か国がより大きいWTOという枠組みであるにもかかわらず参加をしていないということでありますが、その理由はどの辺りにあるのか、お答えいただきたいと思います。
  159. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の点ですが、この政府調達協定につきましては、そもそもこの政府調達というものが、従来、産業政策あるいは中小企業政策、こうした観点から自国製品あるいは自国の供給者、こうしたものを優遇している、こうした経緯があり、内国民待遇の特例として扱われてきた、こういった経緯があります。特に、開発途上国においては今申し上げてきたような対応をしている国が引き続き多く、そういった点を重視している、こういった傾向があります。    〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕  こういったことから、このTPP参加国の中においても政府調達については特別なポジションにある国が存在する、多い、こういった結果につながっているのではないかと考えます。
  160. 中西健治

    ○中西健治君 十二か国のうち八か国がこのWTO議定書加入をしていない。その中にはオーストラリアなんかも含まれています。途上国とは言えない、途上国ではないオーストラリアなんかも含まれています。そうしますと、このTPPの議論というのがWTOのこのGPAの議論よりも開放レベルが低いところで議論がされているのではないかという危惧も持つということになりますが、この政府調達分野においては、TPPにおいてはWTOよりも高い水準の市場開放の議論となっているということについて確認をしたいと思います。
  161. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) TPPの具体的な交渉内容は秘密保持契約がありますので申し上げることはできないんですけれども、御案内のとおり、TPPというのは二十一世紀型の高いレベルの協定を目指すということで十二か国が合意をして交渉を行っておりますので、当然、このWTO協定も念頭に置きながら交渉を行っているということでございます。
  162. 中西健治

    ○中西健治君 内容については言及できないということだろうと思いますけれども、交渉に当たっての政府姿勢ということを再度確認したいと思います。  この政府調達の分野というのは、守るべきものは守り攻めるべきところは攻めると言っているわけですから、この政府調達分野は言わば攻めどころと、日本にとって攻めるべき分野であるのではないかというふうに思います。そして、高いレベルでの市場開放を目指しているTPPについては、本WTO協定を上回る、あるいは少なくとも同等という内容でなければ妥結できないという考えでよいのかどうか、この二点、お伺いしたいと思います。
  163. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) まさに委員指摘のとおり、日本は世界でトップクラスの市場開放をこの政府調達の分野ではやっておりますので、日本にとっては攻める分野の一つであると認識をしております。  交渉の中では、当然、ほかの八か国も含め、ほかの国々に対しては政府調達市場の開放を求めていくという姿勢で臨んでおりまして、それぞれの国の中央政府、地方政府を問わず、日本の企業がしっかりと海外で公共事業を始め様々な事業を受注しやすくなるように、是非しっかりと交渉していきたいと思います。
  164. 中西健治

    ○中西健治君 この十二か国中八か国がWTOに加盟していないという現実を踏まえた上で、より高いレベルの交渉をしていただいて妥結に導いていただきたいというふうにお願いいたします。  次に、関連してなんですが、TPPというよりもこの政府調達に関連して防衛省にお伺いしたいと思います。  アメリカでは、安全保障上の理由によって、政府調達における中国製のIT製品を制限する条項、これが盛り込まれました暫定予算法というのが今年の三月に成立したというふうに認識しております。  これまでのガットでの長い議論を経て、政府調達の分野でも、外務大臣もおっしゃっておりました内外無差別、内国民待遇等の規律が設けられてきたということであると思いますけれども、最近のサイバー攻撃の現状等を踏まえますと、一方ではこのアメリカがとった措置のような安全保障上の制約というのが必要になってくるのではないかなというふうに考えています。  政府調達分野において市場開放と安全保障というのはぶつかり合うところが出てくるということなんじゃないかと思いますが、この関係について防衛省としてはどのように認識されておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  165. 木原稔

    大臣政務官(木原稔君) 御質問をいただきました政府調達全般の政策について防衛省としてはお答えする立場にありませんけれども委員が御懸念の、米国政府が本年三月に成立した暫定予算法に関連条項を盛り込むということによって中国製のIT機器の政府調達を制限したということは承知をしております。  この政府調達に関する協定においては、自国の安全保障の重大な利益の保護のために必要な措置又は情報については調達等における例外が認められていると承知しております。  具体的に申し上げますと、協定の第二十三条、この協定の適用除外というのがありまして、そこを読み上げますと、重要なところだけ読み上げますと、締約国が自国の安全保障上の重大な利益の保護のために必要と認める措置又は情報であって、武器、弾薬若しくは軍需品の調達又は国家の安全保障のために若しくは国家の防衛上の目的のために不可欠の調達に関連するものにつき、その措置をとること又はその情報を公表しないことを妨げるものと解してはならないというような適用除外の項目がありまして、御指摘のIT機器の部品等によるリスクについては今後とも引き続いて注視してまいりたいとは思っております。
  166. 中西健治

    ○中西健治君 ということは、この二十三条の適用除外ということを考えれば、日本政府アメリカと同様の対応を行うことも可能性としてはあり得るということだと、これをちょっと確認したいと思います。
  167. 木原稔

    大臣政務官(木原稔君) 防衛装備品につきましては、緊急時における急速取得等の必要性が生じる場合も含めて、安全保障上の観点から適時適切なタイミングで部隊のニーズに合致した装備品の取得を行う必要があるということを踏まえて、適切な調達を実施していくことが重要であると考えております。
  168. 中西健治

    ○中西健治君 直接的にお答えいただいているというふうに思いませんが、先ほど二十三条を引いていただきましたので、そうした可能性もあるだろうというふうに私は思います。  もう一つアメリカでは、日本の民間企業の米国企業に対する買収案件に絡んで、当該日本企業と中国IT企業との関係を理由に競合他社から当該MアンドAが安全保障上問題ありと指摘がなされる事案が発生いたしました。ソフトバンクがスプリント・ネクステルを買収するときにそうした指摘がなされたわけでありますが、日本企業と海外企業とのかかわり合いを通して、我が国の安全保障を脅かしかねないリスクが生じるということですが、そうしたことについては何らかの対応を防衛省は取られていますでしょうか。
  169. 木原稔

    大臣政務官(木原稔君) 一般論として申し上げますと、防衛装備品については適時適切なタイミングで部隊のニーズに合致した装備品を取得するという、そういう必要があることを踏まえて、これは適切な装備調達を実施していくことが必要であると考えております。
  170. 中西健治

    ○中西健治君 ちょっと答えが不十分だというふうに思います。防衛調達品、調達するときに日本企業かほかの企業から調達するんだと思いますが、その企業と外国企業との関係においてひょっとしたらリスクを生じるんじゃないか、安全保障上脅かされるんではないかということについて、どれだけ注意を払っているのかということについて見解をお伺いします。
  171. 伊藤盛夫

    政府参考人(伊藤盛夫君) 現在、個々の防衛装備品の調達に当たりましては、先ほど政務官の方から御説明がありましたような考え方でもって個々に対応させていただいております。  防衛省の装備におけるニーズ、そうしたものをきちっと明確にした上で、過去、様々な形で防衛省の例えば調達をどのように行ってきたかということも考慮しながら、個々の調達契約を総合企画なり一般競争なり、そうした適正な調達方法で調達してきておりますので、先生御指摘の点もよく踏まえて個々の調達に当たっていくべきではないかというふうに考えております。
  172. 中西健治

    ○中西健治君 十分なお答えをいただいていると思いません。日本の企業が例えば、まあ国の名前を出すのはやめましょう。ただ、外国系企業との合併をしたとか子会社化したとか、そして部品を調達したりして製品を作っている、そうしたものを防衛省がまた装備品として調達するということになったときにどのようなことを考えなきゃいけないのかということについて、やはりより注意を払っていただきたいというふうに思います。これは、今日の段階では指摘だけさせていただきます。今後、またお答えをいただこうということになるかもしれません。  今日は、西村副大臣、ほかの委員会とのかち合いがある中で来ていただいたということなので、ここで、私の質問はもうこれに関しては終了ですので御退席いただいても結構です。あと、日本郵政さんも結構でございます。委員長、もしよろしければ。
  173. 末松信介

    委員長末松信介君) 西村内閣府副大臣は御退席いただいて結構でございます。  諫山参考人は御退席いただいて結構でございます。
  174. 中西健治

    ○中西健治君 続きまして、最近の一連の韓国の裁判所による日本企業の戦時民間人徴用に関する訴訟での敗訴の問題についてお聞きしたいと思います。  昨年、大法院の方で、最高裁の方で差戻し判決があって、今年になって高等裁判所で三件、日本の企業が敗訴をしているという状況が続いているわけでありますけれども、韓国はいわゆる慰安婦問題については、請求権協定の際には明らかになっていなかった事項であるということも理由の一つとして、請求権協定に基づく協議の申入れを我が国に対して行ってきているわけであります。その主張自体も到底認められるものではないというふうに私自身は考えていますが、この民間人徴用に関する事項は、そもそも一九六五年の請求権協定締結の際に両国で話し合われた事項であるというふうに認識しておりますが、政府の見解を、認識を教えていただきたいと思います。
  175. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の民間人徴用に関する請求権の問題ですが、今委員から御指摘がありましたとおり、我が国としましては一九六五年の日韓請求権・経済協力協定によりまして完全かつ最終的に解決済みであるという立場を一貫して申し上げております。
  176. 中西健治

    ○中西健治君 請求権協定により完全かつ最終的に解決済みというのは、これは慰安婦問題に関しても日本立場ということなんじゃないかと思いますが、この慰安婦問題では、人道的見地から知恵を出すとして九五年にはアジア女性基金が創設されましたし、つい一昨年の野田総理の李明博大統領との会談におきましては、また再度知恵を出すということを野田総理が言ってしまったということでありますけれども、この知恵を出すということは、印象としては譲歩をしているということになってしまっているのではないかなというふうに思います。  思わせぶりなことは言わずに、この問題では毅然とした態度で臨んでいくんだということを確認したいと思いますが、外務大臣、お願いいたします。
  177. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、財産権あるいは請求権の問題については協定に基づいて完全かつ最終的に解決している、こうした立場にあります。こうした立場につきましては我が国は一貫して韓国側に申し入れております。  今後とも、こうした協定、そして法的な立場については譲歩することなくしっかりと申入れを行っていきたいと考えております。
  178. 中西健治

    ○中西健治君 そもそも論で恐縮なんですが、政府は日韓関係について、よく日韓両国は基本的な価値を共有しているということを、そういう表現を使うわけでありますけれども、政治に中立であるべき司法が国際法を半ば無視しているのではないかなというような判断を行うような国と基本的な価値が共有できているという認識なのか、そこについて再度確認したいと思います。
  179. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、日本と韓国は、法の支配ですとか民主主義ですとか、こうした基本的な価値を共有している国だと認識をしております。ですから、この問題につきましても、我が国は一貫して我が国の立場を申し入れているわけであります。  是非、韓国政府におかれましても、こうした国際条約等に基づいて適切に対応されることを期待したいと考えています。
  180. 中西健治

    ○中西健治君 是非、厳しい指摘をこちらの方からもしていただきたいというふうに思います。  韓国政府管轄の組織であります、ちょっと長ったらしい名前ですけれども、対日抗争期強制動員被害調査及び国外強制動員犠牲者等支援委員会、こうした委員会があって、この委員会が強制徴用を行ったとする日本企業のうち現存する企業を二百九十九社リストアップしているというふうに聞いておりますけれども、そうした企業名の公表の有無も含め、事実関係及び、今後、二百九十九社ですから、こうした訴訟が拡大しかねないということについての政府認識をお伺いしたいと思います。
  181. 牧野たかお

    大臣政務官牧野たかお君) お答えいたします。  まず、その長い名前の委員会ですけれども、対日抗争期強制動員被害調査及び国外強制動員犠牲者等支援委員会という名前でございますが、この委員会は韓国の国務総理直属の政府機関でありまして、韓国政府の公表資料によりますと、日本の植民地支配に関する過去の真相調査、被害者の認定、韓国政府による被害者への慰労金の支給などを行っていると承知しております。日本政府としては、この委員会が御指摘のリストを作成したとは承知しておりません。  他方、韓国の国会議員のホームページに、この委員会からの資料提供などを受けたとして独自に二百九十九社から成るリストを作成をし、この国会議員が公開をしているという事実を承知しております。
  182. 中西健治

    ○中西健治君 同様の判決が出され続けて、また訴えられる企業が増えて強制執行のようなことが行われれば、日韓両国の経済にとっては修復不可能、こんなような状況に、事態になるおそれがあります。  最近、政府の方では、竹島の広報ビデオですとか慰安婦問題における文書作成等の広報活動を強化しているというのは存じております。それは大いに賛同するところでありますけれども、本件についても、もっともっと強い毅然としたアピールというのを政府としてすべきではないかと考えますが、岸田外務大臣にその点をお伺いしたいと思います。
  183. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、本件に関しましての我が国の立場につきましては、九月の日韓外相会談の場でも、私から直接、尹長官に対しましてこの問題について我が国の立場を申し入れさせていただき、対応を要請した次第であります。そして、その後も様々なレベルを通じまして日本立場につきましては韓国側に申し入れております。  是非、今後とも様々な機会をとらえて、こうした我が国の立場はしっかりと伝えていかなければならないと思いますし、そして、そのことによって、是非、韓国政府にはこうした二国間で結ばれた国際協定に基づいて適切に対応をすることを強く期待したいと考えています。
  184. 中西健治

    ○中西健治君 繰り返しになりますが、是非毅然とした態度でアピールをしていただきたいというふうに思います。  続きまして、シリア問題に関してお聞きしたいと思います。  九月六日のサンクトペテルブルクにおけるG20サミットで、日米首脳会談の時点では、外務省発表文書によりますと、安倍総理は化学兵器の使用がシリア政府によるものというふうには断定しておりません。ところが、その数時間後に、同じ日です、同じ日の数時間後にアメリカ、イギリスを始めとする十二か国が共同で発表した声明文には、証拠はシリア政府に当該攻撃の責任があることを明白に指し示しており、その攻撃は同政府による化学兵器使用のパターンの一部であると、シリア政府が化学兵器を使用したことを断定しているわけでありますけれども、ロシアが加わってはいない当該声明文でありますが、首脳会談の僅か数時間後に日本政府としてシリア政府が化学兵器を使用したと確信できる何らかの重要な情報提供がもたらされたということでしょうか。
  185. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の首脳会談ですが、九月五日午後、サンクトペテルブルクで開催をされました。御指摘のように、シリアにおいて化学兵器が使用された可能性が高いことを強く懸念する旨、述べた次第でございます。  そして、御指摘のこの共同声明、シリアに関する共同声明ですが、九月六日夜、発出をされました。当時、大変緊迫した情勢の中で、我が国は関係各国とも緊密に情報交換をし続けておりました。ですから、九月五日の会談後も情報収集に鋭意努めていたわけであります。  そして、そうした情報を総合的に検討した結果、御指摘のように、この共同声明にある、証拠はシリア政府側に攻撃の責任があることを明らかに指し示している、この文書を支持する、こうした判断に至った次第でございます。
  186. 中西健治

    ○中西健治君 総合的に検討というふうにおっしゃられましたけれども文書自体が、共同声明自体が証拠が明白に示していると言っているわけでありますから、当然、政府は証拠に接していたと解すべきと考えますけれども、証拠が何であったのか、証拠があったのかどうか、そうしたことについて御答弁いただけますでしょうか。
  187. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 当時、緊密な情報交換が行われ、結果として機微な情報の提供がありました。こうした情報も踏まえて総合的に判断したということであります。
  188. 中西健治

    ○中西健治君 当時は緊迫した状況だったと思います。今はもう緊迫していないと言うつもりは全くありませんけれども、今ではOPCWに対して保有化学兵器プログラムの詳細とその廃棄に関する当初計画案なども出している状況ですから、もう今現在であれば、当時の機微に触れる情報というのを国民に示すことはできないのでしょうか。
  189. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 情報の具体的な内容につきましては、相手国との関係もあり、また、シリアの情勢につきましても、確かに化学兵器の対応につきましては今国際的な枠組みの中で動きがあるわけですが、シリアの現地におきましては引き続きまして暴力が続いております。多くの命が危険にさらされております。こうした通常兵器によります暴力行為が続いている状況でありまして、シリアに関しましては、引き続き、暴力の停止と政治的な対話と、そして人道的な状況の回復、こういったものについて努力をしなければいけない、緊迫した情勢は引き続き続いていると認識をしております。  こういった情勢でありますので、御指摘情報につきましては、この具体的な内容は控えさせていただきたいと存じます。
  190. 中西健治

    ○中西健治君 それは現時点では分かりました。  しかし、今後の特定秘密とのかかわり合いでお聞きしたいと思いますが、こうした情報、機微に触れる情報というのは、特定秘密保護法案が通ったら特定秘密に該当するというお考えでしょうか。
  191. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) これは情報の中身によりますが、我が国の安全保障あるいは情報の保全等において重要な情報であるというようなことであるならば、行政機関の長がこれを判断することになると存じます。
  192. 中西健治

    ○中西健治君 九一年のイラク戦争のときの大量破壊兵器の有無、これもそうだったと思いますけれども、国会あるいは国民は、政府のそうした当時の判断に関して事後的にどのようにチェックができるとお考えでしょうか。もう全て機微に触れる情報だということで国民にはずっと知らしめないということであれば我々は検証ができないということになりますが、そこについてどうお考えでしょうか。
  193. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず一点、イラクに対する武力行使につきましては、事後的に大量破壊兵器の存在が確認されないということについては重く受け止めなければならないと存じますが、我が国がこの武力行使を支持した理由は、大量破壊兵器の存在ではなくして、度重なる国連安全保障理事会決議、こういったものにイラクが誠実に向き合わなかった、こうしたことを理由としているということはまず指摘をさせていただきたいと存じます。  こうした情報につきましても、この法律が成立したならば、法律に従ってしっかりと対応していくことになると考えています。
  194. 中西健治

    ○中西健治君 表向きの理由というのはよく承知しておりますけれども、やはり何らかの判断が行われて、その判断の際に根拠となることがあったのではないかというふうに我々思うわけであります。そうしたことが知り得ないということだとこれは困るということになるんではないかなというふうに考えております。今回のシリアの案件も、そうした観点から私たちは見ていきたいというふうに考えております。  時間が来ましたので、私の質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。
  195. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約郵便送金業務約定の改定の内容は、いずれも国際郵便業務を円滑に進める上で必要な措置であります。また、国際郵便業務等に係る国内実施の法的根拠を確保する上でも必要なことでありますので、賛成です。  WTO政府調達協定改正議定書については、アメリカ等の多国籍企業が自由貿易を政府調達の枠でも拡大しようとするもので、日本経済の自主的、平和的発展を阻害し、官公需における中小企業の受注を低下をさせ打撃を与えるものだということで、私どもは反対であります。  この国際郵便サービスの問題は、TPPに係る日米の二国間協議でも取り上げられておりますし、TPP交渉そのものでも郵政事業の問題は一つの大きな問題になっておりまして、今日はTPPに関連をしてお聞きをいたします。  TPP交渉の一つが競争的分野。国有企業の定義及び優遇措置の廃止が議論をされております。合意内容によっては、政府が全ての株式を持つ日本郵政が国有企業と位置付けられる可能性が非常に高いと。となりますと、非常に大きな影響があるわけですね。八月のブルネイ会合では、合意文書がまとめられたという報道もありましたけれども議論としては進まなかったとされております。  まず内閣官房、お聞きいたしますが、この国有企業の分野ではどういうことが議論、論点となっているんでしょうか。
  196. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、競争という分野におきまして、競争促進的なビジネス環境を確保する、レベル・プレーイング・フィールドと彼らはよく呼んでおりますけれども、そういう観点からの議論の中の一つとして、国有企業に規律を設けるということについて議論がされております。  先生御指摘報道で、もう既に合意されたというのは、これは全く間違いでありまして、実は、内情を申し上げますと、基本的なところから含めて各国の意見が非常に大きく隔たっているという状況が現状でございます。最も難航している分野の一つというふうに言われております。
  197. 井上哲士

    ○井上哲士君 アメリカは、国有企業が民間企業と同じ条件で競うようにルールを作ろうという提案をし、一方、国有企業の多いベトナムやマレーシア、シンガポール、ブルネイ四か国などがこれに反対をして、いまだに定義すら決まっていないというふうに報道もされております。  日本郵政がこの国有企業という定義に入って優遇措置が撤廃をされますと、かんぽ生命の新規事業の拡大や郵便局の税制優遇措置等が問題視をされる可能性があると考えますが、この点はどうお考えでしょうか。
  198. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 先ほど申し上げましたとおり、この分野につきましては各国の意見が最も基本的なところから大きく隔たっている状況でございまして、まだまだ調整の相当掛かる段階でございます。  したがいまして、個別の国の個別の法人についてこれをどうするべきだといったような議論は全くされておらない状況でございます。
  199. 井上哲士

    ○井上哲士君 そこでは議論になっていないと思うんですね。仮にそういう方途で定義に入ってしまった場合には大変大きな影響があるのではないかと、そういう可能性についてお聞きしているわけですが、いかがでしょうか。
  200. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) そもそも定義をどうするかということだけではなくて、仮にその規律を設けるとした場合にどういう規律を設けるかということについても各国の意見が非常に隔たっている状況でございますので、ここはなかなか予見を持って申し上げにくいところでございます。
  201. 井上哲士

    ○井上哲士君 これは既にいろんなところから懸念も出されている、議論になっている問題なわけですね。この定義に入った場合には、先ほど申し上げたような、かんぽ生命の新規事業であるとか郵便局の税制優遇措置等が問題視をされることになりますと大変大きな影響があるわけです。  そこで、基本日本政府立場をお聞きするんですが、政府はTPP交渉参加に際して繰り返し、守るべきものは守ると、こう言ってきたわけでありますが、この国有企業に係る議論で、日本のこの分野では、日本は守るべきものというのは一体何なんでしょうか。
  202. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) この国有企業につきましては、我が国としてはむしろほかの国に対して攻めているような状況でございまして、しかしながら、甘利大臣がこれは過去の閣僚会合で何度もおっしゃっておりますが、このTPPの交渉においてはバランスが大事であるということを大臣の方からも申し上げているところでございます。  国境を越えた公正かつ自由な競争環境を確保するということだけではなくて、各国がそれぞれ経済とはまた別な観点の公共政策的な目的で国有企業の問題にアプローチするという、そのこと自体は十分確保されるべきであるという、この二つの要請について十分なバランスを持って交渉することが大事であると、こういう認識を持って交渉を行っているところでございます。
  203. 井上哲士

    ○井上哲士君 確認しますが、各国国有企業はやっぱりそれぞれの国の歴史的な背景であるとか、それから経済の発展状況があるわけですね。日本もそれこそ、遡れば富国強兵の時代などに国有企業が果たした役割と今日は変わってきているということもあるわけですが、そういうそれぞれの国の自主性や特性というものは尊重されるべきであると、こういう立場だということでよろしいんでしょうか。
  204. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 甘利大臣は閣僚会議の中で、各国のそれぞれの個別の事情というものは十分配慮する必要がある、特定の国のルールを一方的に押し付けるということがあってはならないということをブルネイ及びバリの閣僚会議の場で大臣の方からも御発言されているところでございまして、日本政府としてはそういう基本的な考えの下、交渉を行っているところでございます。
  205. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、この分野で守るべきものは守るというのはそういう立場であると、こういうことで確認してよろしいですか。
  206. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 各国のそうした事情、日本も含めてバランスを取った形で交渉をまとめることが大事だという認識でございます。
  207. 井上哲士

    ○井上哲士君 これまで、守るべきものは守るというのは繰り返してきたわけでありますが、より踏み込んで、こういうことをしっかり明らかにするべきだと思うんですね。  例えば、この郵政の問題などでどういうことがあり、どういう主張をしていくのかと。やはり、国民に対して守るべきものは守ると言ってきた以上はしっかり私は示す必要があると思っておるんですが、その点、更に踏み込んで、外務大臣、やはりこの守るべきものは守るということをどういう各分野で日本としては持っているのかということを私は是非明らかにしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  208. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 守るべきことは守る、基本姿勢はもうそのとおりであります。そして、交渉の中でその基本姿勢をしっかり確認しながら、このTPP交渉、対外交渉であり、また交渉国の中で取決めがあります。そのルールの範囲内で最大限明らかにしていく、これは当然のことだと思っております。
  209. 井上哲士

    ○井上哲士君 言わばスローガンとしてそういうことが言われるわけでありますが、それぞれの分野のところで全く具体的に明らかにされておりません。  政府はTPPについて、交渉に参加していないから中身が分からないと、こういうふうに言ってきましたし、参加すれば情報が分かると、こういうふうに言って交渉参加をし、そして、状況の進展に応じてしっかりと国民皆さん情報提供してまいりますと、こういうふうに総理も繰り返し答弁をされてきましたが、この間、交渉の中身は秘密にする協定があるからなかなか出せないということで具体的なことが少しも外に出てこないということで、例えば、これは北海道新聞でありますが、自民党の内部からも、何も聞かされずに黙って賛成しろというのは納得できない、農業や関税撤廃の問題も含めてこれほど大きな問題がまともに党内で話し合われないまま進められるなんて初めてだと、こういう不満の声が上がっているということが言われておりますが、現状のこのTPP交渉に対する情報の言わば国民に対する提供が、総理が言われた、しっかり国民皆さん情報提供してまいりますと、こういう事態に適合していると、こういうお考えでしょうか。
  210. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まずTPP交渉につきましては、先ほども申し上げましたように対外交渉であり、また交渉国の間で取決めもありますので公表できない情報はあります。  しかしながら、安倍総理自身も、このTPP交渉に関しまして国会ですとかあるいは記者会見の場を通じまして基本的な考え方を説明させていただき、また国民理解を得るべく努力をしておりますし、また、交渉会合に際しましては、交渉会合の前後に与野党の会合において交渉状況説明を行う、あるいは関係団体あるいは地方自治体に対しましても随時説明会を開催するなど情報提供の努力を続けていますし、そして、その場を通じまして逆に関係者の皆様方の御意見を聞く、こうした貴重な機会とさせていただいております。  ルールの範囲内で最大限、関係者の皆さん情報や思いを共有するべく今後とも努力をしていかなければならない、このように考えています。
  211. 井上哲士

    ○井上哲士君 多くの関係団体や自治体からも、肝心な情報がちっとも出てこないと、先ほど自民党内の議論の新聞報道も紹介しましたが、これが私は実態だと思います。  やはり、国民にしっかりと情報提供して判断をできるようにするといいながら、秘密裏の中で行われるということはあってはならないということを改めて強調しておきます。  その上で、TPPと並行して二国間協議が行われておりますが、その中で保険の分野も大きな焦点となっております。  アメリカが競争力の平準化という観点から問題視をしてきたのがかんぽ生命であります。競争条件が同じになるまではかんぽ生命が新商品を開発、発売しないように求めてまいりました。その先頭に立ってきたのがアメリカンファミリー生命保険、いわゆるアフラックの日本代表のチャールズ・レイク氏、USTRの元日本部長で、在日米商工会議所の会頭も務めた人物だということは御承知のとおりでありますが、そうしますと、アフラックが既に国内で七割を占めているがん保険について、政府はかんぽ生命に新規商品の発売を認めないということにしております。  私は、特定アメリカ企業のために保険会社の新規事業まで認めないと、これは極めて異常だと思いますが、なぜ政府はかんぽ生命にがん保険の発売というのを認めなかったのでしょうか。
  212. 池田唯一

    政府参考人(池田唯一君) お答え申し上げます。  ただいまのお尋ねは、四月十二日の麻生大臣の閣議後の記者会見におきまして、記者からがん保険等の認可について質問を受けましたときに答えられた御発言についてのお尋ねだと承知をしております。  この御発言は、かんぽ生命のがん保険と単品医療保険商品について、郵政民営化法や保険業法の枠組みの中で、かんぽ生命と他の保険会社との適正な競争関係が確立され、業務の適切な遂行体制が確保される必要があり、そのためには数年は掛かるとの大臣の御認識を示されたものだというふうに理解をしております。
  213. 井上哲士

    ○井上哲士君 アメリカの方は、まさにアメリカの要求の流れの中でこの問題を言っているんですね。アメリカ議会の調査局の今年八月二十一日付けのレポートは、日本は、民間の保険事業者とかんぽの平等な競争条件が確立されたことが認められるまで、新規の又は改良されたがん保険の商品若しくは独立した医療保険商品の販売を承認しないことを表明したと、こう言っておりますし、USTRのファクトシートは、日本が一方的に表明をしたと、こう言っております。  先ほど述べたように、アフラックなどが同じ競争条件になるまでは販売をさせるなと、こう求めてきたことにこたえたと、こう言われても仕方がないんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  214. 池田唯一

    政府参考人(池田唯一君) 繰り返しになりますが、先ほどの記者会見での回答は、郵政民営化法あるいは保険業法という我が国の法律の枠組みの中で、仮にかんぽ生命から新商品の認可申請があったらどういう取扱いになるかというお考えを示されたものだというふうに理解をしております。
  215. 井上哲士

    ○井上哲士君 私は、やっぱり入口で、結局は、そうはいってもアメリカのこうした要求に日本が譲歩したと。  これにとどまらないわけですね。八月の二国間協議の直前に日本郵政はアフラックとがん保険での提携強化を発表しておりますけれども、これはどういう内容でしょうか。
  216. 池田唯一

    政府参考人(池田唯一君) 御指摘のとおり、七月二十六日に日本郵政とアフラックは業務提携を行うことを発表したと承知をしております。  日本郵政とアフラックの業務提携につきましては、これは両社の経営判断にかかわる事柄ではございますけれども、同日両社により公表された業務提携の内容は大きく三つありまして、一つは、日本郵便によるアフラックのがん保険の取扱局の拡大、二番目に、かんぽ生命におけるアフラックのがん保険の新規取扱い開始、三番目に、アフラックによる日本郵政グループ向けのがん保険の開発の検討、これら三つを内容とするものであるというふうに承知をしております。
  217. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本郵政が日本の民間保険と提携した新商品は許されないといいながら、アメリカの保険会社の商品を扱うことは許されていくと。どうしてこういうことになるんでしょうか。
  218. 池田唯一

    政府参考人(池田唯一君) まず、アフラックが日本郵便又はかんぽ生命のチャネルを用いてがん保険の販売を行うに当たりましては、保険契約者保護の観点から、アフラックあるいは日本郵便、かんぽ生命、その双方におきまして適切な顧客管理、販売体制等の整備を行っていただく必要がございまして、金融庁としては、これらについて適切な審査等を行っていく考えでございます。  その上で、このアフラックの商品を日本郵便又はかんぽ生命のチャネルで売るということにつきましては、これはあくまで、他の保険会社が保険リスクを引き受けた保険商品を日本郵便やかんぽ生命がそのチャネルで販売するというものであります。それに対しまして、仮にかんぽ生命によるがん保険等の新規商品の引受けということになりますと、その場合にはかんぽ生命自身ががん保険等の保険リスクを自ら引き受けるということになります。したがいまして、そのための相応のリスク管理体制などがかんぽ生命において必要になるということでございまして、両者にはそういった差異があるというふうに理解をしております。
  219. 井上哲士

    ○井上哲士君 いろいろ言われましたけど、結果的にはアフラックが非常に有利な状況を獲得をしているわけですね。最初のこの販売を認めないという時期、そして今回のこの合意は八月の二国間協議の直前であったと。  このTPPの問題をやはりリンクして考えざるを得ないわけでありますが、民間の会社同士のいろんな判断だと言われますが、日本郵政は二〇〇八年から日本生命との間で包括的な提携関係にあって、このがん保険の共同開発でも商品設計を終えて、システム面でも対応は完了していたと、こういうふうに言われております。日本生命自身が、かんぽ生命とは五年以上にわたって様々な面で協力を行ってきた経緯もあり、今回の話は遺憾だというコメントを出しているわけですね。  ここで外務大臣にお聞きいたしますが、結局、対等な競争条件ということを一方で求めながら、自分たちは、このアメリカのアフラックは日本の民間生命保険会社よりももっと有利な条件を手にすると、これは余りにも私は御都合主義だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  220. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、先ほど来御指摘があった件につきましては、先ほど金融庁から説明があったとおりであります。  そして、日米の並行交渉ですが、これは御案内のとおり、日本がこのTPPに参加するに際して日米協議を行い、TPP交渉と並行して自動車分野、そして非関税措置の分野、この二つの分野を並行して協議していく、こういったことになった次第です。  そして、その非関税措置に関する並行交渉の分野におきまして、この四月に公表した日米間の協議結果に従って、保険について今議論を行っている、こういった状況であります。並行協議も既に三回行っていますが、まだ議論を続けている、このように報告を受けています。
  221. 井上哲士

    ○井上哲士君 まだ議論を続けているということでありますが、TPPでのアメリカの大きな狙いがこの郵政マネーなどの日本の資金だということが繰り返し指摘をされておりましたが、この間の経過は、いとも簡単にそれを明け渡した、アメリカ企業による日本市場の強奪だという指摘もあるわけですね。  しかも、まだ議論が二国間されておりますが、今回の日本郵政とアフラックの提携でアメリカは何かするだろうというような見方があるという報道もありましたけれども、八月会合では、アフラックはこのかんぽ生命の競争力の不平等だと、こういうことについてはどのように主張しているんでしょうか。
  222. 末松信介

    委員長末松信介君) もう一度必要ですか。
  223. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 済みません。八月会合でどのように……
  224. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、このアフラックと提携を受けて、不平等だというような主張をアメリカは下ろしてきているのかと、こういうことです。
  225. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) この日米並行交渉につきましても、これは結果的に、非関税措置に関する並行交渉の部分も最終的にTPPの結論と時期を合わせて法律等において実現するという取決めになっております。  TPPに大変関連の深い交渉でありますので、具体的な内容について明らかにすることは限界がありますが、この交渉引き続き続いておりますし、また、一つ言えることは、従来から米国はかんぽ生命と民間企業との間の対等な競争条件が確保されるよう我が国に求めてきていた、これは事実であります。
  226. 井上哲士

    ○井上哲士君 引き続き八月会合でもそういう主張がされたと報道もされておりますが、新しい保険を認める、そしてこの提携があっても引き続き日本に譲歩を求めてくると。私はやはり、結局限りない譲歩を求められて、国民の財産である全国の郵便局網をアメリカの保険会社に開放して、さらに日本市場全体が、アメリカ多国籍企業に差し出すようなことにつながっていくというのがこのTPPだと思うんですね。  自民党のTPPでの総選挙公約の六項目めには、政府調達・金融サービス等は我が国の特性を踏まえると、こういうふうになっておりますけれども、まさに今起きている事態はこれに反している、そういう状況ではないでしょうか。
  227. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 先ほど申し上げましたとおり、国有企業に対する規律の在り方についてはまだまだ調整が続いているところでございます。また、先ほど御答弁申し上げましたとおり、各国のそれぞれの固有の事情、特に公共政策目的を持って行っている個別の政策等について、それは十分配慮するという、そういう認識の下、日本は交渉を行っているというところでございます。  また、国有企業につきましては突然今回のTPPで出てきた問題ではございませんで、一九九〇年代以降、ニュー・パブリック・マネジメントという改革の潮流の中で各国とも取り組んできた古くて新しい問題でございます。OECDなどにおいても議論されている問題でございまして、このTPPにおいて何か特定の意図を持ってこういう議論がされているということではなくて、むしろ今後の広域経済連携の新しいルールのモデルをつくるという、そういう目標の下で議論されているというふうに認識をしているところでございます。
  228. 末松信介

    委員長末松信介君) 井上委員質疑をおまとめください。
  229. 井上哲士

    ○井上哲士君 時間ですので終わりますが、結局、日本の市場をアメリカに明け渡すことになるんじゃないかという多くの懸念がありましたが、私は、かんぽ生命をめぐって起きていることはその懸念をまさに示していると思っております。  こういうTPPからは撤退をすべきだということを申し上げまして、終わります。
  230. 末松信介

    委員長末松信介君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時五十一分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  231. 末松信介

    委員長末松信介君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、アントニオ猪木君が委員辞任され、その補欠として室井邦彦君が選任されました。     ─────────────
  232. 末松信介

    委員長末松信介君) 休憩前に引き続き、万国郵便連合一般規則(二千十二年のドーハ大会議において改正され、及び採択されたもの)及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件、郵便送金業務に関する約定締結について承認を求めるの件及び政府調達に関する協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  233. 室井邦彦

    室井邦彦君 日本維新の会の室井でございます。よろしくお願いいたします。  私は、日米地位協定の見直しについてお伺いをしていきたいと思います。  在日米軍の我が国における施設・区域の使用とその法的地位について規定する日米地位協定が一九六〇年に締結され、今年で五十三年になります。沖縄県には三十四もの米軍専用施設があり、面積にして約七四%にも及び、沖縄本島に限れば一八・四%を占めております。  このように米軍基地が集中し、多くの軍事関係者が住む沖縄では、これまで軍関係による事故や事件が繰り返し起きてまいりました。そのたびに沖縄の人々に憤りと不安を与えてきたわけであります。  日米地位協定は、締結以来一度も見直されることなく今日まで来ておるわけでありますが、沖縄県での事件の再発防止は運用改善だけでは不十分ではないかと私は思っております。そこで、日米地位協定基本的な見直しの必要がある、このような声が日に日に大きくなってきておるのが実情であります。米軍、米軍人軍属の事件に対する政府の対応を見るたびに、同協定の不平等感は払拭できない。沖縄県民への気持ちを重く受け止め、真摯に取り組む姿勢が求められているのではないでしょうか。  日米政府は、こういう状況承知しているにもかかわらず、なぜ日米地位協定の改定に踏み込めないのか、踏み込むことができないのか、所見をお聞きをしたいと思います。
  234. 岸信夫

    ○副大臣(岸信夫君) お答えを申し上げます。  日米地位協定についての御質問でございましたけれども、この協定は、協定そのものに加えまして、数多くの日米合意を含んだ大きな法体系となっております。  政府はこれまで、協定そのものの改正は、おっしゃるとおり行っておりません。ただ、協定の実施を実質的に改善する多くの日米合意が達成できていることも申し上げなければいけないと思います。例えば、先般、米軍人が起こした事件について、米側での処分結果を被害者側にお知らせするという新たな日米合意を発表したところでございます。  地位協定について様々な御意見があるのは承知をしておるところでございます。昨日、私も沖縄で仲井眞知事ともお会いをさせていただきました。その際にも、知事からこの地位協定の改定に対しての要望というのも承ったところでございます。  こうしたことに対しまして、政府としては、目に見える改善を一つ一つ具体化をしていく、まずこのような日米合意を着実に積み重ねることが何より重要である、また効果的であると考えておるところでございます。  今後とも、地元の方々の御意見を伺いながら、事件、事故、騒音、また環境などの問題に対して、解決すべく最大限で努力をしてまいりたいと思います。
  235. 室井邦彦

    室井邦彦君 是非、五十三年間見直されていないという、時代も変化をしております、その点も十分に考慮していただいて、沖縄県民の皆さん方が安心して、枕を高くして生活でき、特に維新の会の儀間議員沖縄ということで、そのようなことを事あるごとに私もお聞きをしておりますので、是非しっかりと対応をしていただくようにお願いを申し上げます。  続きまして、日中の関係の御質問をさせていただきたいと思います。  尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も無論我が国固有の領土であります。他国との間に領有権問題は存在はしません。日本政府もこのような立場でもちろんあるということも承知しております。  首脳会談を実現するために中国側に譲歩し、尖閣諸島に対する我が国の立場を変更することがあってはならないともちろん考えておりますが、この点について岸田外務大臣の御所見をお聞きしたいということと、その上で、我が国の領土、主権を守りつつ日中関係の改善を図っていくためには、安倍政権として今後どのような対応を考えておられるのか、岸田外務大臣に御説明をしていただきたい、このように思います。
  236. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず尖閣諸島ですが、尖閣諸島は委員指摘のとおり国際法上も歴史上も我が国固有の領土であり、我が国が有効に支配をし、そして領土問題は存在しない、これが我が国の基本的な立場であります。この問題につきまして、我が国のこの基本的な立場を損なうような譲歩、これは決して行うことはありません。  ただ一方で、日本から事態をエスカレートさせることなく、是非冷静に、毅然と対応していきたい、このように思っております。中国による力を背景とした現状変更の試みには、断固として我が国の領土、領海、領空を守り抜くという決意、これをしっかり示していきたいと考えています。  この尖閣の問題についてはそういった思いで臨んでいきたいとは存じますが、一方で、日中関係、言うまでもなく我が国にとりまして最も大切な二国間関係のうちの一つであり、この日中両国、世界第二と第三の経済大国ですので、こうした二国間の関係が安定するということは、両国の国民にとって利益であるのみならず、地域ですとか国際社会にとってもこれは大きな影響を及ぼすことになります。両国は大きな責任を地域や国際社会に負っている、これが現状であると認識をしております。  ですから、尖閣の問題を始め個別の問題は確かに両国間に存在いたしますが、こうした個別の問題があったとしても、両国間の関係全体に影響を及ぼさないように、戦略的互恵関係基本的な考え方にのっとって両国間の関係を進めていかなければいけない、このように考えております。  その際に、やはり対話というものが重要であると考えます。個別の問題があるからこそ、政治の高いレベルでの意思疎通、対話が重要であるということを強く訴えております。是非、こうした考え方、中国側においても同様の姿勢を示してくれることを期待していきたいと思っております。
  237. 室井邦彦

    室井邦彦君 ありがとうございます。  中国という国は、ルールがあってルールのないような、時には訳が分からない発言、行動をされております。また、御承知のとおり、尖閣の領土の問題に対して、日本と中国の動き、どのような方向で進んでいくのか、東南アジア諸国の国々は非常に興味を、関心を持って見ているところであります。日本の強力な指導力を発揮して、是非大臣の御指導を、また期待する結果に進めていただくように御要望させていただきます。  続きまして、尖閣の警備と防衛の課題について御質問をさせていただきます。  現在、自衛隊には、治安出動及び海上警備行動が発令されない限り領海警備の任務が与えられていません。自衛隊が直ちに外国船舶に警告を行ったり実際の取締りを行ったりという迅速な対応ができない状況であります。御承知のとおりであります。  領海警備の概念の明確化を行った上で、自衛隊が平常時において、海上等の警察機関の対応が不可能な場合に通常任務の一環として領海における警備を実施できるようにすべきではないでしょうか。さらには、海域にとどまらず、離島等の陸地においても、警察などによる対応が不可能な場合に自衛隊が平時において通常任務の一環として領域警備を実施できるようにすべきと考えますが、防衛省の御所見をお聞きをしたいと思います。
  238. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、領土、領海の治安の維持につきましては、警察や海上保安庁などの警察機関が第一義的な対応の責任を有しているところでございますが、自衛隊といたしましては、警察機関で対処できない場合に治安出動、海上警備行動を発令いたしまして警察機関と連携しつつ対処することになっておるわけでございます。  そのため、自衛隊といたしましては、警察機関との共同訓練、また自衛隊の演習への関係省庁の参加といったことによりまして連携強化を図るなど、現行法の枠組みにおきまして事態に十分対応できるよう努めているところでございます。自衛隊といたしましては、我が国の防衛警備の体制に間隙、すき間を生じさせることのないよう、言わばシームレスに対応できるように努めてまいりたいと考えております。  今御指摘のございましたいわゆる領海警備、領域警備の在り方につきましては、尖閣諸島を含めまして、我が国の領土、領海、領空をしっかり守るために現行の法制でどのような対応が可能かといったことも含めまして不断のレビューが必要と考えております。国会における御指摘ども踏まえまして、関係省庁と相談してまいりたいと考えております。
  239. 室井邦彦

    室井邦彦君 よろしく警備を強化していただくことをお願いを申し上げ、また、今ひょっとすれば中国の公船がまた数人で尖閣に上陸をするということが起きるかも分からないと、私は気の小さい男ですから、いつもそのように考えたときにどう対応するのかという、そういう不安をいつまでも私は持ち続けておりますので、しっかりと研究されて敏速な行動を取っていただけるように、相手が相手だけにひとつよろしくお願いを申し上げたいと、このように思います。  続きまして、中国の関係でありますけれども、大気汚染のことについてお聞きをしたいと思います。  今年の初めから中国では深刻な大気汚染が発生し、大気中の微小粒子状物質、PM二・五のことでありますが、高濃度となる日が続いております。そして、こうした中国の大気汚染対策に協力することは日本の優れた省エネ・環境技術のビジネスチャンスである、このように思うわけですが、日本に越境する大気汚染物質が軽減されるということで中国のみならず日本にもメリットがあると、このように考えられます。  日中関係は現在厳しい状況が続いておりますが、こういう時期であるからこそ、こうした協力は我が国として進めていくべきではないでしょうか。そして、こういう協力を、我が国と中国との関係を友好に進めていくようなことにできるように、しっかりと中国との改善にも共に効果が出てくる、このように思っておりますが、中国の大気汚染に対する我が国のこれまでの協力の内容と今後の方針について御答弁を願えれば幸いであります。
  240. 牧野たかお

    大臣政務官牧野たかお君) お答えいたします。  中国におきます深刻な大気汚染については、在留邦人の健康への影響の観点から、また日本の環境にも影響を与えかねない問題として日本政府として高い関心を持って注視しております。  御指摘のとおり、大気汚染対策は、中国に対し、我が国の経験や知見を共有することを通じて協力できる分野であります。我が国にとっても、御指摘のとおり、ビジネスチャンスの拡大をもたらし得るし、大気汚染のような国境を越える課題の克服は日中両国に共通の利益であります。  我が国は、これまで中国各地で大気汚染物質の測定技術の向上や排出抑制技術の普及に向けた協力などを実施しております。これに加えて、本年一月以降の大気汚染問題の深刻化を受け、日中韓三か国の環境大臣会合や、日中双方の産官学の関係者が参加する大気汚染セミナーや、中国の大気汚染分野の研究者の我が国への招聘などを通じて中国側と意思の疎通や経験の共有を行っているところであります。  現在の日中関係は厳しい局面にありますけれども、戦略的互恵関係基本的な考えにのっとり、両国間の幅広い分野における協力、交流を積極的に推進していくことが重要だと考えております。我が国としては、大気汚染対策についても、引き続き我が国の経験や技術を活用しつつ、中国側との協力を進めていく方針であります。
  241. 室井邦彦

    室井邦彦君 是非、牧野政務官、中国の方も恐らく積極的にこの日本の話には乗ってくるというように私も思っておりますので、是非今までの努力も続けていただきまして、立派に成果が出るように御努力をお願いしたいと思います。  続きまして、日韓関係について触れさせていただきます。  朴槿恵大統領は、五月に訪米した際にオバマ大統領との首脳会談で、日本が正しい歴史認識を持たなければならないと、このようなことを言っております。アメリカの議会での演説においても、北東アジアで政治や安全保障面の連携が進まないのは正しい歴史認識を持っていないためだと指摘をしております。まさに、名指しは避けておられますが、日本の批判をしておるということであります。その後も、朴大統領は外国首脳との会談等の場で日本の批判を繰り返しておることは御承知のとおりだと思います。  いまだ日韓間で正式な首脳会談が実現していない、朴槿恵大統領がこのような激しい日本の批判を繰り返す背景について岸田外務大臣はどのように考えておられるのか、また日韓関係の改善に向けてどのような対応を考えておられるのか、御所見をお聞きをしたいと思います。
  242. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 韓国朴槿恵大統領ですが、いまだ様々な機会において、慰安婦問題ですとかあるいは歴史認識を始めとした過去の問題につきまして、我が国の立場と相入れない発言を行っております。ただ同時に、朴槿恵大統領、日本が重要な隣国であるという立場も表明しております。  韓国は、言うまでもなく、我が国にとりまして基本的な価値と利益を共有する大切な隣国であります。日韓間には過去の問題を始めとする難しい問題は存在いたしますが、大局的な観点から二十一世紀にふさわしい未来志向の関係を韓国政府とともに構築していく、こうした努力を続けていく、こうした考えに立っております。こうした我が国の韓国に対する立場ですが、韓国に対しまして、日本立場しっかり受け止めてほしい旨、様々な機会をとらえて伝えてきております。ただ、いまだ韓国側から歴史認識に関する懸念が表明されているのが現状であり、このことにつきましては残念に思っております。  私としては、引き続き粘り強く今申し上げました方針の下に対応していきたいと考えております。
  243. 室井邦彦

    室井邦彦君 ありがとうございます。  日本の安定、平和というものは、やっぱり韓半島の安定が日本の経済的、またそういう面については安定してくると思いますので、是非御努力のほど、更にお願いを申し上げたいと思います。  今度は、アメリカ国家安全保障局、NSAによる日本の監視、この件についてお伺いしたいと思います。  ニューヨーク・タイムズによると、米国の国家安全保障局、NSAは経済、外交、科学技術の分野で日本を最重点監視対象国にしていたと報じております。ドイツのメルケル首相の電話の盗聴などが大きな問題になっておりますが、この報道の事実があれば日本も同様に監視の対象になっていたことになります。また、同紙、NSA、国家安全保障局の海外での主要な活動拠点として、日本、英国、オーストラリア、韓国の米軍基地や在外公館が使われてきたとも報じられております。  日本政府はこの報道の事実関係米国照会しているのか、照会している場合、米国から回答はあったのかどうか。インテリジェンスの世界では同盟国であっても諜報活動の対象となることは当然とされているようですが、日本政府米国からの諜報活動の対象とされていることを想定した対応をこれまで取ってきたのか、また今後はどのような対策を取っていこうとされているのか、お聞かせください。
  244. 岸信夫

    ○副大臣(岸信夫君) 室井委員の御質問お答えいたします。  御指摘NSAによります通信記録の収集問題につきましては、これは日米間でしかるべく意思疎通を取っておるところでございます。最近の一連状況を踏まえまして、一層緊密に意思疎通をするようにアメリカ側にも申入れをしているところでございますけれども、いかなる形でやっているかということにつきましては、申し訳ございませんが、お答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。  また、外務省では、情報防護につきましては常日ごろから意を用いているところでございます。これも、取組の具体的な内容については詳細、御説明は差し控えるところなんですけれども、例えば、在外公館等の物的な防護、壁とか部屋の仕切りとかそういったところの強化、あるいは携帯電話の持込み制限等は実施しております。そうしたほかに、文書の保秘等のため、関連の規則にのっとりまして情報の管理に万全を期しているところでございます。  今後も、この努力を引き続き行ってまいりたいと考えております。
  245. 室井邦彦

    室井邦彦君 時間が来ましたので、終わります。
  246. 河野義博

    ○河野義博君 公明党の河野義博でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、万国郵便連合一般規則に関しまして質問をさせていただきます。  質問通告合わせて八問させていただいておりますが、時間の関係上、またほかの委員の方が御質問された事項もございますので、適宜割愛をさせていただきます。  万国郵便連合一般規則の第百五十三条におきまして、加盟国間におきまして紛議が発生した場合の仲裁手続が記されております。現在、我が国に関する紛議は特段発生していないと理解をしておりますが、他国状況も踏まえ状況理解しておきたいと思いますので、御説明をお願いいたします。
  247. 香川剛廣

    政府参考人(香川剛廣君) お答え申し上げます。  河野先生御指摘のとおり、万国郵便連合一般規則第百五十三条は、仲裁によって解決を図る紛議が加盟国間で生じた場合に、紛争当事者が仲裁者を指定すること、指定された仲裁者が提供された事実及び情報に基づいて紛議の裁定を行うこと等、仲裁の手続を規定しております。  これまで、我が国及び他の加盟国においてこの仲裁手続が取られた事例はないと承知しております。
  248. 河野義博

    ○河野義博君 続きまして、郵便条約に関しまして質問いたします。  万国郵便条約二十二条一項に、「加盟国又はその指定された事業体は、自国宛ての通常郵便物及び小包の配達に関する基準及び目標を定め、公表する。」とございます。我が国の郵便システムは世界でも最も高い水準にあり、その基準及び目標は他国の模範になり得るものと推察いたしますけれども、総務省、状況を御説明いただければと思います。
  249. 今林顯一

    政府参考人(今林顯一君) お答え申し上げます。  先生から今お話のございました、今般御審議を賜っております万国郵便条約の第二十二条第一項におきましては、加盟各国に対しまして、自国あての通常郵便物及び小包の配達に関する基準及び目標を定め、公表するということが求められております。  日本におきましては、日本郵便株式会社が国内での配達に関する基準、それから目標を設定いたしましてホームページにおいて公表をしてございます。具体的な基準や目標は、国際郵便物が到着した曜日、時間、あるいは国際交換局の場所などによりまして細かく設定されております。例えば平日正午までに日本の国際交換局に届いた国際郵便物につきましては、半数以上の都道府県の主要地域には翌日、その他の地域におきましても翌々日には配達すると、こういう基準、目標となってございます。  国際郵便の配達品質につきましては、各国の国土の広さあるいは地理的条件などが異なりますので一律に比較するのは困難でございますけれども、万国郵便連合の資料によりますと、日本は自ら定めた基準、目標について先進国の中でも高いレベル、九三・三%と言われておりますが、達成をしております。  また、こうした国際郵便についての義務に加えまして、国内の郵便に関する取組として、国内郵便の送達日数を公表し、その達成率についても日本郵便株式会社が毎年調査を行っております。その達成率については、例えば離島などの一部地域を除きまして翌日又は翌々日にはほぼ確実に郵便物が届くサービスレベルを実現しております。  国内郵便物の配達品質につきましても、世界共通の基準がございませんので単純に比較することは困難でございますが、先生が御指摘されましたように、日本の郵便の品質は迅速性、確実性などの点で世界最高水準といっても差し支えないものと考えてございます。
  250. 河野義博

    ○河野義博君 ありがとうございました。  総務省は、日本郵便と組みまして、その世界最高水準にございます日本型の郵便システムの海外輸出に取り組んでまいりました。本年、新たにミャンマー、ベトナムとの間で具体的な協力に向けた合意が進んでいるとのことです。本件は、精度が高い我が国の郵便システムを海外に、国外に広げ、関連する日本企業の商機拡大につなげていくためにも非常に有益であると考えておりますが、総務省からのお考えをお聞かせください。
  251. 今林顯一

    政府参考人(今林顯一君) 先生御指摘のとおりだと存じます。  総務省におきましては、郵便の近代化、高度化に取り組みたいという開発途上国などに対しまして、日本の優れた郵便業務のノウハウあるいは技術、こういったものをシステム全体として輸出をする観点から、関係各国に対し関係省庁と一緒に様々な働きかけを行っております。  具体的に申しますと、先生から御指摘のありましたミャンマーとの間では、総務大臣が先方の通信・情報技術大臣とこれまで二度の会談を行いまして、先方からは特に職員訓練や人材育成の面で協力を求めております。来年度には具体的な協力プロジェクトが実施できるように、現在集中的に協議を行っているところでございます。また、ベトナムとの間でも、総務副大臣が先方の情報通信大臣と九月に会談をされまして、実務的協議の場の設置について合意をしております。今後、相手側のニーズも踏まえながら実質的な協議に入っていきたいと思います。  こうした取組を通じまして、相手国との関係強化が期待されるのはもちろんのことでございますが、先生が御指摘なさいましたとおり、郵便インフラ関連機器の輸出や、郵便あるいは郵便局全体を活用した関連ビジネスの創出と、こういった幅広い日本企業の商機拡大につながる可能性があると考えております。郵便という日本の優れたシステムの提供を通じまして、我が国と相手国とが相互にウイン・ウインの関係を築きまして共に発展できるように、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
  252. 河野義博

    ○河野義博君 もう一点、郵便条約に関しまして質問いたします。  万国郵便条約におきまして、国際郵便物の到着料の変更が規定をされております。我が国の郵便事業者であります日本郵便株式会社に対する本改正のメリット及びデメリットは特段ないと理解しておりますが、その点に関しても御回答いただければと思います。
  253. 今林顯一

    政府参考人(今林顯一君) お答え申し上げます。  国際郵便物の到着料、ちょっと分かりにくくございますが、国際郵便のあて先の国内における配達費用、これを賄うことを目的といたしまして、差し出し国の郵便事業体からあて先国の事業体に支払われるものでございます。現在の万国郵便条約におきましては、開発途上国への政策配慮あるいはこれまでの経緯から、到着料が各国における国内配達コストに比較いたしますとかなり低い水準に定められております。  我が国におきましては、外国から到着する郵便物の方が外国へ差し出す郵便物より多いことから、他国から支払われる到着料が他国に支払う到着料よりも多い、言わば入超国となってございます。しかし、さきに申し上げましたとおり、到着料が低い水準に設定されておりますことから不十分な到着料収入しか得られていなかったところでございます。  こうした中で、昨年開催されました万国郵便連合のドーハ大会議におきまして、先生御指摘のとおり、到着料の額について実際の配達コストをより反映したものとなるよう是正、引き上げすることを内容とする条約が採択されたところでございます。日本郵便株式会社が一定の前提を置いて試算したものでございますが、この改正が実現されますと、到着料収支について約六億円の改善が見込まれるというふうに聞いております。  したがいまして、今回の到着料に関する条約改正は、ユニバーサルサービスの提供義務を負いながら厳しい経営環境の中で経営改善努力を行っております日本郵便株式会社にとりましてはメリットは決して小さくないものと考えております。また、特段のデメリットは、先生おっしゃいましたとおり見当たらないと考えてございます。
  254. 河野義博

    ○河野義博君 ありがとうございました。  続きまして、政府調達に関する協定を改正する議定書に関しまして、外務省にお伺いをいたします。  本議定書第二十条におきまして協議及び紛争解決に関する記載がございますが、締結各国におきまして本協定が紛争に至った事例があるのでしょうか。もしあるのであれば、簡単に我が国との関係も踏まえて御説明をいただければと思います。
  255. 五嶋賢二

    政府参考人(五嶋賢二君) お答え申し上げます。  現行の政府調達協定の下では、協定第二十二条に定める紛争解決の手続にまで至った案件はこれまで合計で三件ございます。  そのうちの二件は我が国が紛争当事国として参加したものでございまして、そのうちの一件目でございますが、我が国による衛星を利用した航空管制システムの調達に関しましてEUが我が国に対して協議要請を行ったものでございますが、これはその後の協議を通じまして解決に至っております。  もう一点、二件目でございますが、これは、米国のマサチューセッツ州のミャンマー制裁の法律、これに関しまして我が国及びEUが米国に対しまして協議要請を行ったものでございますが、これはその後、米国内でこのマサチューセッツ州の法律に対しまして違憲判決が下されました。したがいまして、その法律が無効になったことで終了をいたしております。  以上でございます。
  256. 河野義博

    ○河野義博君 本協定改正に関して、我が国は既に高いレベルで市場を開放しており、特段のマイナス影響はないと理解をしております。政府並びに地方自治体に関しても追加的な負担を強いられることはなく、かつ、国内企業の経済活動においても特段のマイナス影響はないと理解しておりますが、改めてお考えをお聞かせください。
  257. 五嶋賢二

    政府参考人(五嶋賢二君) 先生御指摘のとおりでございまして、この協定の改正によりまして協定の適用を受ける我が国の機関それからサービス等拡大をいたしますが、その範囲において我が国は新たな義務を負うということにはなりますが、今般の改正によりまして新たに協定の対象に追加される我が国の機関、サービスなどは、主にこれまで我が国が自主的に外国企業に対して開放してきたものでございます。したがいまして、政府それから地方自治体に大きな追加的負担を生じるものではございません。  また、我が国企業の経済活動においても特段の悪影響はないものと認識をしております。
  258. 河野義博

    ○河野義博君 本改正の意義としまして、各締約国の対象調達機関の拡大により市場アクセスが拡大されるとして、全世界で約八百億ドルの新たな政府調達市場の開放がなされるとのWTO試算がございます。これは非常に大規模な市場の拡大、開放であり、積極的に日本企業の取組を後押ししていくべきと考えますが、最後外務大臣の御所見をお伺いして、私の質問を終えさせていただきます。
  259. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 委員指摘のように、同協定の改正によりまして、我が国企業が参入できる他の締約国の政府調達市場の範囲、拡大をいたします。改正協定の下では、例えばカナダ、韓国、EUの鉄道分野に関する調達が新たに協定の対象となります。また、米国については中央政府機関十一機関の調達が追加となるなど、協定の対象機関も拡大いたします。  政府としましては、日本外交政策の三本柱の一つとしまして日本経済の再生に資する経済外交の強化を掲げておりますが、是非、日本企業の海外展開を積極的に支援しておりますし、これからも支援していきたいと考えています。外国政府の調達も含め、引き続き、在外公館を通じた相談等を通じて我が国企業の取組、しっかり後押ししていきたいと考えております。
  260. 河野義博

    ○河野義博君 ありがとうございました。
  261. 三木亨

    ○三木亨君 自由民主党の三木亨でございます。よろしくお願いいたします。  改めて私の方から申し上げるまでもございませんけれども、現在というものを考えてみますと、これは過去の積み重ねによって成り立っておりますし、また未来というものを考えてみますと、これも現在と過去の積み重ねによって構築されるものでございます。ですから、我々が未来を、ことを考える場合、あるいは過去を振り返る場合に、我々の現在というものを再確認するというのは非常に重要なことだと思います。  本日は、万国郵便連合に関する条約締結を始め三件の案件が出されておりますが、現在また未来を考える上でこの現状というものを把握しておくということは非常に意義があることだと思います。そういった意味で、例えば万国郵便連合の意義であるとかその果たしてきた役割、あるいは政府調達の現状であるとか、あるいは今後の展望というものを聞くということは、我々の認識を新たにし、また現在位置を確認するという意味で大きな意義がございます。こういった質問に関しまして、午前、牧山先生や中西先生、また先ほど河野先生から御質問ありまして、我々がよりこういった認識を深めたということで大変意義のあった話だと思います。明確な答弁もございました。  ただ、私自身に関して申し上げましたら、大変困った状況でございます。というのも、ぶっちゃけ申しますと、質問がかぶりました。ですから、せっかく今日はお忙しい中、外務省の皆さん方に御答弁を用意していただいておりますが、思い切ってここは割愛させていただきまして、最後質問に移りたいと思います。質問と申しましても私の地域に大分関します要望事項でございますので、ちょっと皆さん方に聞いていただきたいと思います。  私の住まう地域というのは徳島県、四国の右側の徳島県でございます。この地域は米軍機の飛行訓練におけるオレンジルートといわゆる言われているルートですね、このルートのライン上にございます。  特に、我々の地域の右下の部分、県南地域においては、過去から度々米軍機と見られる飛行機の低空飛行、これによる騒音の情報が住民の方々から寄せられておりまして、非常に問題になっております。特に、近年は非常にこの件数が増えました。少し数字を申し上げますと、平成二十二年度、延べ九日間の目撃であったのに対して、二十三年度は十五日間、二十四年度は十三日間、また二十五年度は十月末時点で十二日間、このうち二件は一日二回の飛行が目撃されております。  近年の半島の情勢であるとかあるいは中国の動向を考えますと、こういった軍事演習が増えてくるという状況は致し方ないところがございます。また、そういったことを我々住民も含めて十分理解もしております。そしてまた、もとより日米安保というものが戦後極東の平和と安全に大きく寄与してきたという意義、また、いざ有事となったときの行動において平時の訓練や研さんというものが非常に大きな意味を持つということから考えますと、我々が米軍の訓練に関して余り物を申すというのもよろしくないことではあろうかと思いますが、一方において、これらの事案が非常に付近の住民を悩ませておりまして、非常に不安を抱かせ、また懸念を抱かせているという状況でございますので、皆さん方にいま一度御認識いただきたいと思います。  特に、夜間訓練というものがございまして、夜、飛行機が飛ぶことがございます。夜といいましても八時、九時ぐらいですので、一般家庭におきましては皆さん眠られていて太平の眠りを妨げられるというようなこともございませんが、この地域は、県南地域というのは漁港が非常に多うございまして、漁師さんを営まれている家庭が多うございます。特に高齢者の漁師さんが多うございます。  年寄りの漁師さんはどういう生活をされているのかというと、夕方漁から帰ってきますと、風呂に入って、五時ごろにはお酒を飲んで、七時過ぎには寝てしまいますので、八時、九時というと真夜中でございます。真夜中、お酒を飲んで気持ちよく寝ているところに夜空を切り裂くような轟音によって起こされる。これは本当に、まさに肝を潰されるというのが文字どおりの図であろうかと思います。そういった窮状もございます。  そういった点、皆さん方に御理解いただいて、また、当地域は昨年よりドクターヘリというものを運用しておりまして、過疎地域における医療を充実させるというために、何件かもう例がございますが飛ばしております。また、関西広域連合という行政の広域連合体がございまして、この相互協定によりまして、このドクターヘリであるとかあるいは防災ヘリというものを付近の複数の府県にまたがって運用しております。  一般の民間の航空機でありましたらダイヤというものがございますので、ルートであるとかあるいは時間というものを米軍の方もきっちり把握していただいて、その時間帯あるいはルートというものを避けるようにしていただいていると思いますが、このドクターヘリであるとか防災ヘリというのは不定期に飛ぶというのが常態でございますので、こういったものについて米軍の方々に把握していただいているのか、あるいは、もし把握していただいていないとしたら、このルートとか時間が交錯した場合どうなるのかというふうな住民の不安、懸念というものが最近になって取りざたされているところでございます。  これらのことというのは、私が今更申すまでもなく、いろんな方面からも申入れがなされておりますし、また、政府の方々もこれまで御努力いただいているところでございますので、また、今年の、さきの十月の二十三日には、関係省庁の御協力いただきまして、徳島県内の実態を把握するために騒音を測定する装置を設置させていただきましたし、また、七月以降は少しこれ頻度が減りまして、十月末時点までで、七月以降は三件の目撃情報しかございません。  これも岸田外務大臣小野寺大臣始めとする政府の方々の御努力のたまものと感謝申し上げるところでございますが、引き続き政府筋を通して米軍に御配慮をお願いしていただけないかということで今日はお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  262. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の米軍の飛行訓練につきましては、安全面あるいは生活に対して考慮を払って、そして、地元住民の皆様方に対する影響、これをもう最小限にとどめるよう、しっかりと申し入れていかなければいけないと考えています。  もちろん、日米の間におきましては、これまでも様々な形で意思疎通を図り、情報提供を受け、そして申入れ等も行ってきているわけですが、これからもしっかりと生活面あるいは安全面、こうした面に関する配慮、最も大切な課題として、米国に対しましてしっかりと必要な事柄を申し入れていきたいと存じます。今後とも努力をするべき大変重要な課題だと認識をしております。
  263. 三木亨

    ○三木亨君 ありがとうございました。これで質問を終わります。
  264. 末松信介

    委員長末松信介君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、万国郵便連合一般規則(二千十二年のドーハ大会議において改正され、及び採択されたもの)及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  265. 末松信介

    委員長末松信介君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、郵便送金業務に関する約定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  266. 末松信介

    委員長末松信介君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、政府調達に関する協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  267. 末松信介

    委員長末松信介君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  268. 末松信介

    委員長末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時十分散会