○中根康浩君
民主党・
無所属クラブの中根康浩でございます。
私は、
民主党・
無所属クラブを代表し、ただいま
議題となりました持続可能な
社会保障制度の
確立を図るための
改革の
推進に関する
法律案、いわゆる
社会保障制度改革プログラム
法案に対して、
反対の
立場から
討論を行います。(
拍手)
まず、本
法案が、
民主党、
自民党、
公明党の三党
社会保障実務者
協議で、
民主党の要望を一切拒否した上で策定されたものであることを指摘しておかなければなりません。
昨年の六月、三党は、「今後の公的
年金制度、今後の高齢者
医療制度にかかる
改革については、あらかじめその
内容等について三党間で合意に向けて
協議する」と合意いたしました。
この三党合意に基づいて、三党
協議が、ことしの一月から六月まで、十七回にわたって開催されました。その中で、
民主党は、新たな
年金制度や高齢者
医療制度を
提案し、
自民党、
公明党に
制度改革について
協議するよう再三
求めてまいりました。しかし、
自民党、
公明党は、
年金や
医療は現行の
制度でよいとの一点張りで、
改革の議論を拒否し続けてまいりました。
その結果、本
法案には、肝心の
年金制度や高齢者
医療制度の
改革案が盛り込まれておりません。
三党で
成立させた
社会保障制度改革推進法には、
国民会議の審議を踏まえて、
社会保障制度改革を行うための
法制上の
措置を講じることが規定されています。当時の
民主党政権が意図していた
法制上の
措置とは、公的
年金制度や高齢者
医療制度を
改革する
法案の
提出です。
にもかかわらず、
安倍政権が
法制上の
措置として
提出したのは、一番肝心な
年金と
医療制度改革が入っていないアリバイ
法案だったのです。これでは、
国民年金に非正規
雇用者が多く加入し、不安定
年金に変質してしまっているという問題や、低
年金・無
年金者の問題、七十五歳以上の
医療の保険料がそれ以外の年齢層に比べて上昇スピードが速いという問題など、さまざまな問題を放置し続けることになってしまいます。
また、本
法案では、具体的な
医療や介護などの
改革内容が不明であり、
法律にする必要性が感じられません。
見直しの対象となる項目や
法案の
提出時期は羅列されておりますが、中身がなく、具体的に何をどのように変えるのかが全くわかりません。
事実、
委員会審議においても、
民主党から、介護保険や難病対策の新
制度では、何人の方が負担増になり、何人の方が負担減になるか、負担増の総額、負担減の総額などを問いただしても、具体的
答弁は全く得られないどころか、田村厚生労働大臣は、個別
法案を出すときでよいではないかと、開き直った
答弁に終始していました。これでは、審議に値せず、
法律にする必要性が全くありません。せいぜい閣議決定で十分です。
以上、本
法案の
問題点を申し上げましたが、
政府が検討している介護保険などの
見直し案の
問題点についても、さらに申し述べておかなければなりません。
要
支援一、二の方の介護保険サービスを市町村
事業化することを検討しています。要
支援者は約百五十万人に上り、認知症の方も多く、虚弱な高齢者です。要介護度の進行の抑制、症状の改善のためには、安定した、今までどおりのサービスが不可欠です。
しかし、要
支援者向けの介護保険サービスを市町村
事業に移行すると、命綱である今までのサービスを利用できなくなるおそれがあります。また、市町村間で、自己負担額、サービスの質や量についての格差が拡大することも懸念されます。
要
支援サービスが市町村
事業になった場合、自己負担が、一割ではなく、二割、三割へと重くなる可能性があることや、人員配置が手薄になる、サービス単価が下がる、
事業の種類
ごとに上限を設定し利用抑制することなどが、審議の中で明らかになっています。これは、
障害者自立
支援法で犯した失敗の繰り返しです。
また、
安倍政権は、市町村が困難ケースと判断しても、要介護二以下の方が特養に入所できなくなるようにすることも検討しています。要介護度が低い方であっても、認知症であったり、介護する家族がいないなど、入所が必要不可欠な方もおられます。入所が制限されてしまえば、適切な介護を受けられなくなり、重篤化していくおそれもあります。
また、低所得者への補足給付の制限も検討されています。
あろうことか、
安倍政権は、難病患者の方々の負担もふやそうとしています。
現行
制度では、国が認定した重症の患者の方の
医療費は無料とされていますが、
安倍政権は、世帯単位の収入に応じて自己負担を
求めることを検討しています。負担増は、最高で一月四万四千四百円で、年額約五十三万円と、大変重いものです。
民主党のヒアリングにお越しになったALS患者御本人は、昨年、人工呼吸器をつけた、世帯単位の収入基準だと、これまで無料だった自己負担額が一月四万四千四百円になる、一生二人の子供ら家族に迷惑をかけることになるなら、人工呼吸器をつけずに死ねばよかったと話しておられました。
小児がんや小児心臓病の御家族からは、原疾患だけではなく、当然、風邪なども引く、その他の
医療費、衛生用品、介護用品、通院の交通費、親のうちの一人は仕事をやめなければならないこと、教育や兄弟姉妹の問題もある、まず二十歳以後のトランジション問題を解決してほしいのに、自己負担が最高一月二万二千二百円ふえる上、入院時の治療食、一食二百六十円、一月約二万四千円程度の負担も新たに加わるとのお話を承りました。
厚生労働省は、他の
制度との公平、均衡を
理由に、難病患者に自己負担を課すとしていますが、均衡を図る他の
制度とは、
生活実態の大きく異なる高齢者
医療制度ですから、全く納得できません。私たちが、難病患者の
生活実態調査を
実施し、難病患者の特性に合った
制度を設けるべきだと
求めても、実態調査すらゼロ回答でした。
生活実態の異なるものを機械的に当てはめての公平、均衡など、認められるはずがありません。ましてや、これ以上頑張れないほど頑張っている人たちに、どうしてこれ以上の自助努力を
求められるというのでしょうか。病気や老いなど、個人の努力では克服できない困難な
状況の人に手を差し伸べることこそ、政治の責任であり、消費税の使い道なのではないでしょうか。
ALSなどの難病は誰がいつかかるのかという私の問いに、田村厚労大臣自身、それはもちろん、誰だって、いつだって、なる可能性があるわけでございまして、人
ごとではないというようなものが難病であるというふうに我々は認識いたしておりますと
答弁をされておられます。
まさにそのとおりで、全ての
国民が自分自身のこととして難病対策を捉え、難病患者が難病患者を支えるという
仕組みではなく、
国民全体で支える
仕組みを構築すべきです。
民主党は、
委員会審議の中で、これらの給付カット、負担増の対象となる方々の不安や怒りの声を
政府・与党の皆さんに届けてまいりました。
この
法案の審議中は、難病患者御本人に何度も何度も、党のヒアリングや
委員会の傍聴にお越しをいただきました。雨の日もお越しをいただきました。難病患者さんが
国会にお越しになるのは、私たちの想像以上に御苦労と御負担をおかけするものでしたが、当事者の皆さん自身が新
制度で命の危機に直面させられるのではないかという悲壮な思いからでございました。
何度も何度も何度もお越しをいただいた皆さんの気持ちや声を受けとめなくて、どうして政治と言えるのでしょうか。
消費税を増税するにもかかわらず、高齢者サービスカット、難病や小児がんの患者の自己負担アップはあり得ません。
安倍政権は、重い負担を押しつける一方、消費税増税とセットで、五兆円も使って、景気対策や公共
事業、復興特別法人税の前倒し廃止と、大盤振る舞いをしようと検討しています。これは、事実上、消費税率引き上げによる税収を、公共
事業に二兆円、そして九千億円の復興特別法人税の廃止の財源に流用することと言えます。
このような、
社会保障と税の
一体改革ではなく、公共
事業と税の
一体改革を、断じて許すことはできません。
また、田村厚生労働大臣が、五月の十七日、赤坂の料亭にて徳洲会幹部と懇談し、これについては、
特定の業者との接待を禁止する大臣規範に違反するとのおそれがあります。(
発言する者あり)