○久保田
参考人 まず、てんかん協会、電話相談ということで
全国から相談が参ります。二〇一〇年までは大体年間七百件、それが二〇一一年、一二年とふえまして、一二年には千六百件ということで、てんかんを持つ方あるいはその御家族が非常に不安を強めているということが事実としてあります。
相談
内容も、それまでゼロ件だった
免許に関する相談が、昨年は数十件、八十件以上来ています。それから、
仕事の問題、学校の問題等々が特にふえているということで、これは、
数字からも、いろいろな方がさまざまな場面で不安を覚えているということは間違いないと思います。
そのような中で、具体的な事例でございます。
例えば、まず学校ですけれども、プールに関して、よいのかというようなことは日常的にありますので、そのような相談は省いて、なおかつ、この
事故後の相談についていいますと、例えば、家庭科や技術の実習や理科の実験に参加するのをとめられた。あるいは、宿泊研修、修学旅行や林間学校などの参加をとめられた、あるいは親の同行を求められた。
あるいは、発作が頻発したときに座薬あるいは経口薬を頓服するというようなことを主治医が依頼をする、あるいは御家族が依頼をしても、それを断られて、家族が学校へ出向いてこいというようなことで、御家族はそれ以来、電話から離れられなくなってしまったというような事例もございます。
あるいは、専門学校の話ですけれども、医師の確認を得てスキューバダイビングのスクールに入った。そして、授業は受けられたけれども、潜水士の資格の受験はとめられたというようなこと。あるいは、看護学校で、実習に入るとき、あるいは国家試験を受けるときに実習の参加をとめられる。これは卒業できないということになります。こういうようなことがあります。
あるいは、就職を希望する高校生に対して、これは県の労働局が就職の進路担当の先生に対して、てんかんと特別に名前を挙げて、てんかんのある
子供は全員、就職面接のときに病名を告知させるよう御
指導ください、そして、そういう方はハローワークが障害者雇用で面倒を見ますというようなことを全県の進路担当者に指示したというようなことがありました。
これは、てんかん協会が厚生労働省にお願いしまして、訂正の指示を出していただきましたけれども、非常に驚いた次第であります。そのときの指示は、単に病名でした。
病気がとまっている、とまっていないにかかわらず、てんかんの形ということに関して、支部も大変力を入れて交渉をしたというようなことがあります。
あるいは、特別支援学校のスクールバス。もしてんかん発作が途中で起こるとバスの運行に遅延を生じるので乗らないでほしい、かつ、送り迎えするようにというような事案もありました。
あるいは、発作もとまって薬もとめて、良性小児てんかんの患者さん。高校のスキューバダイビングクラブに入って、それまで許可されていたのに、
事故後、合宿への参加をとめられた。主治医は、
自分は、薬もやめて治癒なんという診断書はついぞ書いたことがないけれども、そう書いても受け入れてもらえなかったというような、非常に多くの悲惨な相談が寄せられております。
就職に関しては、ある会社の人事担当者がてんかん協会の支部に、発作のある人は、電車通勤途上のホームで発作を起こして、並んでいる前の人を突き飛ばして
事故になったら会社の責任が問われかねないので、通勤をやめてもらいたいがよろしいかというような相談がありました。
あるいは、
運転適性があって、警察に届けているにもかかわらず、
事故が心配だからと、
事故後、車での通勤をとめられている。
あるいは、発病して、二年間我慢して、家族が会社に送り迎えをしている。二年たったので、改めて自家用車による通勤を会社の人事に頼んだところ、とめられた。理由は、もし通勤途上で
事故を起こしたら事業主が責任を問われる、これは弁護士にも相談していることなので、訴えても無駄だと。彼は、私が主治医ですけれども、主治医にも産業医にも労働局にも相談して、それは会社がおかしいと言ったけれども応じてもらえず、いまだに御家族が二十何歳の青年を会社に送り迎えしているというような事例もあります。
あるいは、五年間発作もなく、雇用主から信頼されて
仕事を任されていた、ところが、
事故報道の後で解雇されてしまった。理由は、
運転適性があるということを医師に相談した、五年間発作がとまっていて、適性があるにもかかわらず、その医師が
運転を禁ずるという診断書を書いてしまったためである。残念ながら、専門医の、我々同業の人の中でも制度が周知していないというような事実もあります。
あるいは、発作は抑制されていたにもかかわらず、採用後に健康診断で、持病にてんかん、そのために九十日に一度通院の必要がありますと書いたら、解雇された。理由を聞いたら、健康診断の結果としか言ってもらえないというような事例もあります。
また、発作はなく、病名も伝え、十八年間勤務している会社から、
事故報道の後、車の
運転をしない部署にかわるようにと言われた。しかし、車の
運転をしないと給料が下がってしまう、それでは家族を養えないので、もとのそのままの場所にいさせてほしい、
自分は
免許証も正規に持っていると言ったにもかかわらず、では、リスクが高いのでやめていただきたいということで解雇されたというようなこともあります。
定期健康診断で、それまでなかった年一回の診断で、常備薬ということで具体的薬品名を書きなさいというようなことを言われてびっくりした、
自分は病名は会社に言っていないけれども、発作もとまっている、書かなきゃいけないんだろうかというような相談もありました。
あるいは、てんかんを発病して
運転ができないので内勤を依頼したら、うちにはそんな余裕はない、だったらやめていただきたいということで解雇されたというようなこと。
あるいは、就活、就職
活動の段階で、一次面接で診断書を出すように言われて、見ると、入社後、入院あるいは通院で会社をやめるような必要のある
病気にかかっていますかというような
質問があって、非常に当惑した。これは発病して間もない大学生の例であります。
等々、非常に影響が、特に
京都で事業主の方が逮捕されたというようなことで、特に事業主の方たちは雇用責任ということを過重に考えて、てんかんの患者さんが非常に危険な人たちだというようなことが表面的に起こり、そして、だんだん潜在化しながら、巧妙に患者探しが始まっているというふうに感じております。