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大西(健)
委員 ぜひ、これからもそれを前に進めていただきたいというふうに思います。
最後の
質問にしたいと思いますけれども、きょう、この議論というのは、国として
研究開発人材の
育成をどう考えるかという本質的な問題に私は深くかかわっている問題ではないかなというふうに思っております。
この点に関しては、私、
議員になる前からポスドク問題というのに関心を持っていまして、というのも、
アメリカで外交官として勤務をしたときに、たまたま、
アメリカで
研究生活を送っている同年の若手
研究者二人と友達になって、彼らとは今も親交は続いていますけれども、彼らから若手
研究者の置かれた実情というのをいろいろ聞く機会がありました。
昔は、末は博士か
大臣かと言われましたけれども、ポスドクというのはポストドクトラルフェローのことですけれども、博士号取得後に特定の企業や
大学等で勤務をするのではなくて、
任期つきの契約を結んで
研究を続ける
研究者のことであります。ポスドクには大体二つのタイプがある。先ほどお話しあった
日本学術振興会だとか理化学
研究所の特別
研究員という形をとる場合と、あるいは、プロジェクトに参加をしてプロジェクト型の雇用を得るという形、その二つがあるというふうに聞いています。
ただ、学振の方も年齢制限が三十四歳未満になっている。それから、企業なんかも、年齢差別してはいけないことになっていますけれども、中途採用も大体三十五歳ぐらいが
一つの壁になっている。そうすると、やはりある年齢になるともう行くところがなくなってしまうんですね。
パーマネントのアカデミックのポストというのは今はどこも百倍、二百倍というすごい競争率でなかなか得られないという中で、今本当にこのポスドクの高齢化というのが進んできていて、本当に博士号を持っている、言っちゃ悪いですけれども、大量の高学歴ワーキングプアが生まれているということなんです。では、彼らはやりたい
研究の道を選んだんだからそれは自己責任でしょうということで済むのかというと、私はそうじゃなくて、そこには
政府の責任もあるというふうに思っています。
九〇年代初頭に
文科省が、教育
研究の高度化を目指して
大学院重点化計画を進めた。それで、
大学院の学生定員が大幅に増加した。一九九六年の第一期の
科学技術基本計画においてポストドクター等一万人支援計画というのが策定されて、博士号取得者に武者修行の場を与えることで競争原理を持ち込んで
科学技術の向上につなげようという狙いで、ポスドクを大量の博士の受け皿にしたという政策を進めたということであります。
実際には今、広くこのポスドクというのは、いろいろな
研究の
分野で実際にポスドクがいなきゃ
研究が成り立たない、そういう状況にはなっているんですけれども、一方で、
国立大学の
法人化も進んで、多くのポストが期限つきになっている。そういう中でますます、なかなか安定した職が得られない。
研究者の皆さんは、
任期途中になったら次のポストの応募書類を書いたりとか、そのことで頭がいっぱいで
研究にも専念できないというようなことを聞いています。
この状態をこのまま放置していくと、優秀な
人材が
研究者になりたいなと思っても将来全くその保証がない、場合によっては路頭に迷うかもしれないということになると、優秀な
人材が
研究職を目指さないということにもつながってしまうのではないかと思いますので、私は、
政府としてこのポスドク問題をどう
解決していくつもりなのかについて、この機会にお聞きをしたいと思います。