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福田(昭)
委員 ありがとうございました。
必要性は感じますけれども、本当にどうやって実現するのかなというのは非常に疑問だらけというところだというふうに
思います。
そこで、やはり農用地の利用を
拡大して食料自給率を高めるためには、農用地の
出し手と受け手の両方にメリットがあるような仕組みをつくる必要があると思うんですね。
まず、
出し手ですけれども、
出し手は、農用地を貸すことによって、安心できるようなお米が手に入ったり食料が手に入ったり、または、安定的な不動産収入が継続的に入ってくる、つまり、
安定性と継続性というのが
出し手にとっては大切だと思うんですね。
それで、受け手でありますけれども、受け手は、何といっても、農作業がしやすい圃場が整備されていて、安価な賃料で借りられて、また、継続性があることだというふうに
考えております。
したがって、
出し手も受け手もやはり
安定性と継続性、これがないと
農地の
流動化は進まないというふうに私は
考えているんですが、そうした中で、今回、
自民党政府が打ち出した米政策の大転換は、非常に影響が大きいと思っていますから、もっと慎重に進めるべきだと
思います。
特に、
TPPに参加するというようなことになれば、
現時点での
報道によれば、とてもとても重要五品目を守れるような環境にはない。アメリカは、米以外の関税は全部撤廃しろ、そして、アメリカ以外の十カ国は、米、食料品も、工業製品も含めて全部撤廃しろ、十年後の話でありますが、そういう要求を突きつけられている。こうなっては、もう
TPPから脱退する以外、重要五品目は守れない、そういう状況になってきている。
そうした中で、こんな、猫の
目農政とよく言われてきましたけれども、まさに、先ほどうちの方の
委員から
指摘がありましたけれども、
農業基本計画も改めないでいきなり米政策を本当に大転換するということは、
日本の
農業、農村を破壊し、そして、食料生産まで実は低下させるということにつながっていく、私はそのように今
考えております。
〔
委員長退席、森山
委員長代理着席〕
そこで、五点目の
質問でありますけれども、公益財団法人の鹿沼市
農業公社と有限会社
農業生産法人かぬまの密接な連携をした経営についてお伺いをしたいと
思います。
資料の三と四をごらんいただきたいと
思いますが、鹿沼市は、御案内のとおり、昭和五十年から、独自の鹿沼市
農業公社、受委託をする、耕作もするまでの
農業公社をつくって、ずっと取り組んできました。そして、さまざまな
法律改正の中で、鹿沼市は、
平成十三年の二月には、
農地保有合理化法人に改組し、さらに、鹿沼市
農業公社の機能拡充、改革の一環として、
平成十四年一月には、有限会社
農業生産法人かぬまを設立完了して、事業を展開し、
制度改革にさらに伴って、
平成二十二年の七月には
農地利用集積円滑化団体の承認を受け、
平成二十五年一月には公益法人移行認定を受けて、現在に至っております。
この資料の三と四をごらんいただきたいと
思いますが、これはまさに、生産法人となったかぬまの年度別受益
面積、戸数、還元金の推移が昭和五十年から書いてございますけれども、これをごらんいただくとわかりますように、見事にその成績を上げてまいりました。
まず、受益
面積は、昭和五十年にスタートしてから十一倍の三百七十五・六ヘクタール、そして、戸数は五十八戸から四百六十八戸ということで八倍にふえて、還元金は、お米の値段が下がってしまいましたから、四万九千円から二万六千円ということで五二%にまで下がっておりますけれども、最高時から比べると、昭和五十九年でありますが、三四・二%まで下がっております。
そしてさらに、資料の四を見ていただきますと、生産法人かぬまが引き受けた総
面積の九九・九%を実は利用しているんですね。しかも、利用している中で、後作の飼料米とか後作のハト麦、大豆とか、引き受けた
面積の九九・九%を利用して、その上でさらにこうした後作までつくって、しっかり
農業経営をしているということなんですね。
この
農業公社がどんな決算をしているかということなんですが、
平成二十四年の損益計算書を見てみますと、売上高が五億三千三百万余りありますけれども、しかし、その中で占める戸別所得補償金、これが一億八千七百万、つまり、戸別所得補償金が三五%を占めているんです。これが、一万五千円から来年五千円になるということになると、三分の一になる。五年後にゼロになるということになると、これがゼロになるということになるんです。一気に生産法人かぬまの経営はピンチになる、こういうことであります。
それこそ、二十四年の決算では、特別利益も出しておりまして、
農業経営基盤強化準備繰入金として六千万積み立てている。税金も払った上で、百万からの利益を出している。こういう見事な経営をしているんです。これも、戸別所得補償政策があったから、これだけの見事な経営が実はできているんです。しかし、これだけの米政策の大転換をするとどうなるかというのを非常に不安に思っております。
先日、聞き取りをしてまいりましたけれども、仮に、
政府が言うように飼料米の増産をするということをしても、実は保管場所がない、では、いっぱい生産しちゃった飼料米をどこへ置いておくんだと。これをちゃんと引き取ってくれるところがあればいいですよ。ですから、引き取ってくれる場所がないのに、大量に生産してしまってどうしたらいいんだ、そういう疑問が、この
農業生産法人かぬまだけじゃなくて、大規模農家の皆さんはみんなそう
考えていると
思います。
この米政策の転換で大きな影響を受けるのは、実は大規模米作農家なんです。ですから、そこをしっかり踏まえないとだめなんじゃないかなというふうに思っております。
そうした中で、
質問する時間がないので説明してしまいますけれども、鹿沼市では、農振農用地が四千三百八十五ヘクタールです。そのうち、大規模農家がやっている
農地が約四分の一でありますが、まず、四ヘクタール以上の農家が八十戸、それから営農集団が十五個ある、そしてさらに
農業公社で、約千八十九ヘクタール。これは、鹿沼市の農振農用地の約四分の一に当たります。これを大規模農家がやっている。
しかし、そこで心配なのは、営農集団は十五集団ありますけれども、営農集団の
高齢化が進んでいて、ちゃんと持続的に、継続的にやってくれるかどうかということが心配だ。したがって、やはり
担い手をどうやって確保していくのかというのが鹿沼市としても大きな
課題となっているということなんですね。
そこで、
一つ提案をしたいのは、私は、鹿沼市型の
農業公社と生産法人かぬまの連携した経営というのは、すごくすばらしいことだというふうに思っているんですが、このことについて、農水省としてどういうふうに評価をされるのか。そしてさらに、私は、今後、
市町村とJAがつくる
農業公社については、農用地の受け手となって、耕作もできるような
農業公社にすべきだと
思います。そうすれば、わざわざ複雑な手続を経て複雑な経営をしなくても、実は、しっかりと農用地の利用
拡大に資する
担い手として頑張っていただけると思っているんですが、いかがですか。
〔森山
委員長代理退席、
委員長着席〕