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椎名委員 ありがとうございます。
別に僕自身は優秀な弁護士ではないので、その辺は否定をさせていただいておきますけれども。
見解の相違かなという気はしますが、一応
指摘をしておきますと、例えば、昨今、金融業界と
適格消費者団体の間で問題になっているのが、生命保険、医療保険等の無催告失効条項というのがあって、ちょっと不払いすると、催告もないまま解約されてしまう、そういう条項が約款に入っているわけです。
こういった約款を無効にし、この条項を適用することを差しとめるという形で、差しとめ
訴訟が起きています。最高裁まで行って、それで差し戻しを受けて、今、高裁判決もたしか出たかというふうに思います。これは、無催告失効条項というものが、一回、高裁で無効だという判断をされたこともあります。最終的には最高裁で否定されていますけれども。
こういった、約款の一部条項の、例えば
消費者契約法十条または九条といったところで該当性を確認して、それを無効ではないかという争いが起きる
可能性があります。これは、本
制度を含めて、起きるだろうというふうに合理的に予測ができます。
こういった
制度について、何を加害
行為と呼ぶのか。今
大臣はまさに有害
行為だというふうにおっしゃいましたが、要するに、
不法行為の
損害賠償請求ができる故意または過失
行為というのは、比較的、結構広目だったりするわけですね。何をもって有害
行為、加害
行為というふうに評価をするのかという、要は、最終的にはそこの解釈論に終始するかなという気はします。
したがいまして、そこの解釈論に終始をするというと、裁判所に委ねることになるということで、
事業者側としては、事前に予測が立たない、勝つか負けるかわからない、そういう
訴訟が乱発される
可能性があるんじゃないかという危惧を持つことになるということです。これが、予測
可能性が立たないということの
意味です。
大臣が、この
附則二条の趣旨は予測
可能性だと言ったのは、それは別に否定をするものでもないですし、それはまさにおっしゃるとおりだと思います。例えて言うなら約款です。
同じく、今、
適格消費者団体とそれから
事業者側で差しとめに関する
事例がいろいろあります。
皆さん、スマートフォンなんか使っていらっしゃる方も多いと思いますけれども、スマートフォンを
契約すると大体二年定期
契約みたいなのがあって、途中で解約すると解約金を多く払うみたいな、そういう約款になっているのは御存じかと思います。途中で解約するとちょっと高額なんですね、この解約金が。
例えば、こういう規定の約款、こういう規定について、
消費者契約法に反して無効ではないかという差しとめなんかも起きたりしています。一応これは裁判所では基本的には否定されていますけれども、今現状、こういった
事案が幾つも起きているわけです。
こういった
事案の中で、まさに予測
可能性が立つか立たないかでいうと、この括弧書きの
部分で、
不法行為だけ
施行前の
契約にも適用されてしまうおそれがあるということであれば、
法律構成を変えることによって
本法が遡及的に適用されてしまって、
本法の
訴訟の
対象になってしまうんじゃないかという危惧が残るんじゃないかというふうに私は思います。
ここは多分見解の相違だと思いますし、最終的には、
施行前の
消費者契約について、
施行後に行われた加害
行為について、
消費者を保護すべきなのか、
事業者の予測
可能性を担保するべきなのかという価値判断の差だと思うので、
大臣のおっしゃっていることは、僕は、それはそれで十分
理解をしていますし、
消費者庁の立場という
意味で
理解をしています。しかし、私自身は立っている立場が違うだけだというふうに思っています。
なので、次に行かせていただきます。ちょっと
一つ飛ばします。
質問項目五というところで書いておいたものですけれども、訴えられる被告の適格というところについて確認をしたいんですけれども、
不法行為について、三条三項二号を見ると、「
消費者契約の相手方である
事業者若しくはその債務の履行をする
事業者又は
消費者契約の締結について勧誘をし、当該勧誘をさせ、若しくは当該勧誘を助長する
事業者」というふうに書いてあります。
この「勧誘を助長する
事業者」ということについて伺いたいんですけれども、一応、
本法については、三条の
部分ですね、基本的には、製造物責任と俗に言われる
消費者とメーカーとの
訴訟、これは
対象にはなっていないというふうに
理解をしています。これはなぜなら、
消費者契約の相手方ではないからだ、そういうことだったというふうに思います。
しかし、事
不法行為については、
消費者契約の締結の勧誘を助長したという人も含んでいます。ごくごく当たり前だと思いますけれども、メーカーはテレビCMを打っていますし、
商品の購入についてキャンペーンを打っています。各小売店で、小売店の店舗のところに出張っていって、この
商品はすばらしいですよみたいなキャンペーンをやっていることすらあります。
そういった場面で、最終的に
消費者契約を締結するのは、何とかカメラとか、何とか電気とか、そういうふうに呼ばれる小売店と
消費者との
関係かもしれませんけれども、テレビCMや新聞広告なんかをしたりとか、実際にブースを出して、この
商品はすばらしいですよみたいな宣伝をしているということそのものが勧誘を容易ならしめる
行為に該当はしないか、助長すると言えないかというふうに思いますけれども、それはどうでしょう。御意見をいただければと思います。