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2013-11-15 第185回国会 衆議院 国家安全保障に関する特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年十一月十五日(金曜日)     午前九時一分開議  出席委員    委員長 額賀福志郎君    理事 今津  寛君 理事 岩屋  毅君    理事 城内  実君 理事 左藤  章君    理事 中谷  元君 理事 大島  敦君    理事 藤井 孝男君 理事 上田  勇君       池田 道孝君    大塚  拓君       大野敬太郎君    小池百合子君       白須賀貴樹君    鈴木 馨祐君       薗浦健太郎君    津島  淳君       辻  清人君    寺田  稔君       豊田真由子君    中谷 真一君       中山 泰秀君    西銘恒三郎君       野中  厚君    橋本  岳君       星野 剛士君    堀井  学君       牧島かれん君    町村 信孝君       松本 洋平君    山際大志郎君       近藤 昭一君    武正 公一君       長島 昭久君    渡辺  周君       石原慎太郎君    丸山 穂高君       山田  宏君    大口 善徳君       中野 洋昌君    井出 庸生君       赤嶺 政賢君    玉城デニー君     …………………………………    議員           枝野 幸男君    議員           後藤 祐一君    法務大臣         谷垣 禎一君    外務大臣         岸田 文雄君    防衛大臣         小野寺五典君    国務大臣         森 まさこ君    内閣官房長官      加藤 勝信君    内閣府副大臣       後藤田正純君    内閣府副大臣       岡田  広君    外務大臣政務官      木原 誠二君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  藤山 雄治君    政府参考人    (内閣官房内閣参事官)  佐々木裕介君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  林   肇君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  鈴木 良之君    政府参考人    (内閣大臣官房総括審議官)           幸田 徳之君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 秋葉 剛男君    政府参考人    (防衛省防衛政策局長)  徳地 秀士君    政府参考人    (防衛省防衛政策局次長) 真部  朗君    政府参考人    (防衛省運用企画局長)  中島 明彦君    政府参考人    (防衛省地方協力局長)  山内 正和君    衆議院調査局国家安全保障に関する特別調査室長   室井 純子君     ————————————— 委員の異動 十一月十五日  辞任         補欠選任   大塚  拓君     堀井  学君   町村 信孝君     白須賀貴樹君   近藤 洋介君     武正 公一君   今村 洋史君     石原慎太郎君   遠山 清彦君     中野 洋昌君 同日  辞任         補欠選任   白須賀貴樹君     豊田真由子君   堀井  学君     大塚  拓君   武正 公一君     近藤 洋介君   石原慎太郎君     今村 洋史君   中野 洋昌君     遠山 清彦君 同日  辞任         補欠選任   豊田真由子君     町村 信孝君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  特定秘密保護に関する法律案内閣提出第九号)  行政機関の保有する情報公開に関する法律等の一部を改正する法律案枝野幸男君外二名提出衆法第一号)      ————◇—————
  2. 額賀福志郎

    額賀委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定秘密保護に関する法律案及び枝野幸男君外二名提出行政機関の保有する情報公開に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  この際、お諮りをいたします。  両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官藤山雄治君、内閣官房内閣参事官佐々木裕介君、内閣官房内閣審議官林肇君、内閣官房内閣審議官鈴木良之君、内閣大臣官房総括審議官幸田徳之君、外務省大臣官房審議官秋葉剛男君、防衛省防衛政策局長徳地秀士君、防衛省防衛政策局次長真部朗君、防衛省運用企画局長中島明彦君、防衛省地方協力局長山内正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 額賀福志郎

    額賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 額賀福志郎

    額賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今津寛君。
  5. 今津寛

    今津委員 自民党今津寛です。  森大臣防衛大臣東北ということで、楽天イーグルスが優勝しまして、私は必ずしも楽天のファンではないのですが、しかし、我が国の元気というか、東北に対する思いが、ある面では実ったというか、これに勇気づけられて頑張る人がたくさん出てくるというふうに思います。まずは、そういう意味では、両大臣、おめでとうございましたと申し上げたいと思います。  防衛大臣にお聞きをしますが、フィリピン台風三十号、これは大変な被害が出ているということで、百三十万人の国民被害があって、二千人以上もの死者が出ているということでありまして、防衛省としては、あるいは日本国としては、どういう援助体制をとられたのか、具体的に、簡潔にお示しをいただきたいと思います。
  6. 小野寺五典

    小野寺国務大臣 今津委員には、この被害発生以来、自衛隊に対しての速やかな対応についてさまざまな御示唆をいただき、ありがとうございます。  この台風でありますが、この発生を受けまして、十一月十二日、フィリピン政府から自衛隊派遣要請外務省を通じてありました。これを受けて、当日、私の方から国際緊急援助活動を実施する命令を発出させていただきました。発出した十二日には、その夜ですが、隊長以下二名が民航機マニラに到着、自後、逐次要員を派遣し、十四日までに五十名の隊員フィリピンへ展開しております。  なお、十三日には、KC767によって、緊急援助医療チーム要員十名と医療資機材を輸送いたしました。  昨日十四日は、隊長以下三名が、特に被害の大きかったレイテ島タクロバン米軍のオスプレイを使って到着させていただき、現地のニーズを収集するとともに、きょうにでも医療活動を開始する予定になっております。  また、残りの四十四名についてはマニラにて情報収集活動を行っておりますが、きょう、このうち十九名はセブ島に向かい、医療活動を開始するような準備を行います。  今後でございますが、最大要員千名規模予定しております。海上自衛艦「いせ」「おおすみ」「とわだ」の三隻、これが現在、呉に集結いたしまして、物資、そしてまたCH47ヘリ輸送機等を今あわせて派遣する予定にしております。  今回の災害救援におきましては、災害大国日本としての知見をぜひフィリピンの今回の災害にも生かしていきたいと思っております。  以上です。
  7. 今津寛

    今津委員 いち早く体制を整えていただきまして、しかも実行していただいていることを感謝申し上げたいと思います。  私も、インドネシアバンダアチェへ行って、あのときは津波だったと思うんですけれども、副長官でありまして、護衛艦に乗らせていただいて、指揮をとらせていただいたことがあるんですけれども日本医療とか自衛隊の活躍というのは非常に熱望されますので、ぜひ素早く対応していただきたいというふうに思います。  特にまた、日本の場合は、あの東日本のときに世界各国から大変な援助をいただいて、お気持ちもいただいたという国ですから、今ここでアジアの同盟国に対して、友達に対して積極的に一生懸命恩返しをするということが求められているというふうに思います。  今、千人規模というようなことを言われましたが、その千人規模部隊といいますか隊員は、いつごろから準備を開始し、そして現地にどの時点で行くのか、あるいはそれはどこの待機部隊から出ていくのか、それが決まっておりましたら教えていただきたいと思います。
  8. 小野寺五典

    小野寺国務大臣 フィリピン政府は、国内法のさまざまな規定によって、外国の軍隊の国内での駐留を認めていない制度があり、今回、私どもとしては、正式にフィリピン政府からの要請を受けて速やかに動くということが前提でございました。  十二日の午後に受けた、その夜にはもう既に命令を発出し、そして、想定をされる、実は、委員が副大臣で対応されたときの参考事例を検討させていただき、これは恐らく輸送艦等も必要だろうということで、準備を始めました。実は、南西海域での訓練を行っていた艦船もあるんですが、途中で切りやめて、呉に戻して、今準備をさせております。  部隊でございますが、現在、緊急援助部隊、これは、御存じのとおり、担任部隊というのを順番で決めておりまして、今の順番でいいますと東北方面隊ということになります。ここから医療及びヘリ部隊、また、ヘリ団からヘリ部隊を調達する予定にしておりまして、きょうの夕方にはこれらは呉に集結をする予定にしております。  ただ、実際、物資、何が今後フィリピン政府からさらに必要になるか、フィリピン政府との協議の中で具体的にいつ出発をするかということは今後判断をしていきたいと思いますが、少なくとも、部隊については、きょうの夜じゅうには集結できるように努力をしていきたいと思っています。
  9. 今津寛

    今津委員 私が副長官インドネシアバンダアチェへ行ったときに、国連人たちは昼間会議ばかりやっているんですね。これは、私が思ったのが、選挙と同じだなと。昼間会議ばかりやって、実際物事が進んでいかない。夜会議をやればいいのにな、こう思いまして、これは選挙で言われることと同じだなとちょっと思いました。  とにかく早くということが大切なので、体制を整えていただきたいと思います。  それでは、特定秘密保護法について質問をさせていただきたいと思います。お配り申し上げました報道資料をもとに御質問を申し上げます。  まず、軍機保護法という法律はどんな法律なんでしょうか。簡単に御説明いただきたいと思います。
  10. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  軍機保護法は、明治三十二年に制定された、軍事上の秘密保護目的とした法律でございまして、同法は昭和二十年に廃止されたと承知しております。  軍機保護法内容については、詳細を承知しているわけではございませんが、同法におきましては、軍事上の秘密とは、作戦用兵等軍事秘密を要する事項または図書物件をいい、陸軍大臣または海軍大臣命令で定めるものとされていると承知しております。  また、罰則につきましては、軍事上の秘密探知、収集する行為が六月以上十年以下の懲役、職務上知得、領有した軍事上の秘密を漏せつする行為が無期または三年以上の懲役、偶然知得、領有した軍事上の秘密漏えいする行為が六月以上十年以下の懲役等と規定されていたものと承知しております。
  11. 今津寛

    今津委員 実は、新聞の名前は伏せたかったのですけれども、でも、資料は出どころをはっきりしなければならないという規則があるようで、載せました。  それで、この新聞を読んでいただければいいんですが、横線を引いてありますので。「安倍内閣制定をもくろむ秘密保護法軍機保護法の狙いは同じ。」だと言い切っているんですね。「軍機保護法日清戦争直後の一八九九年に制定されたが、日中戦争が開戦した一九三七年に全面改定された。」云々かんぬんと書いてありまして、「戦争批判を封じ込めて「国家総力戦」を遂行するため、国民軍事情報に一切触れさせないようにすることが目的だった。一般の人びとを脅し、政府国民管理、統制すること。軍などの組織の統制が目的ではない」。これは新聞が言っているわけじゃなくて、人の言葉を引用しているんですが。しかし、最後のところで、「秘密保護法制定民主主義窒息死意味する。制定されてしまえば、市民が「これは軍事情報っぽいから、ネット検索はやめておこう」などと萎縮するようになる。モノが言えない社会になってしまう」  私は、たまたまテレビを、報道番組を見ておりましたら、この秘密保護法について、ある番組のキャスター、これはかなり視聴率のいい番組ですが、恐ろしい法案が提案されました、いきなりここから始まるんですよ。何日かたちましたら、こういう番組にはコメンテーターという人がいるんですよね、いろいろ言って、これは廃案にしなければだめですと国民に訴えかけているわけですね。  こういう報道が、私は全体ではないと思います。また、報道の人と戦おうとも思っていません。これは一部の記事のことですから、例として申し上げているわけでありますが、この報道を見て、森大臣担当大臣としてどういうお気持ちになりますでしょうか。
  12. 森まさこ

    森国務大臣 軍機保護法と本法案というのは全く違いますので、そのことを国民の皆様に対し丁寧に御説明をしなければならないと思います。  違いについて申し上げますと、秘密指定でございますけれども、本法案においては、行政機関の長が、三つ要件、つまり別表に該当すること、そして非公知性、そして、その漏えい我が国安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの、この三つ要件を備えたものだけを特定秘密として指定するものとしておりまして、軍機保護法のように、軍事上の秘密が何でも秘密になるというものとは全く違っております。  それから、罰則についてでございますけれども、この新聞記事でも、人の話を偶然聞いたとか、またはネットで検索してもだめなんじゃないかというような御指摘がございますけれども、そういう場合には全く本法案では処罰をされません。  軍機保護法では、軍事上の秘密探知、収集すれば、態様のいかんにかかわらず、処罰対象とされておりましたけれども、本法案では、秘密探知、収集するだけでは処罰対象となりませんし、その態様が不法なもの、または保有者管理を侵害するものというふうに限定された場合のみ、取得行為として処罰対象としておりますこと。  また、軍機保護法では、偶然に秘密を知った場合にも処罰対象ですけれども、本法案では、秘密取り扱いを行う公務員は、その同意を得た上で指定をされますので、その取扱者漏えいをした場合に限って処罰対象としております。  また、刑でございますけれども軍機保護法では、外国等軍事上の秘密漏えいした場合の最高刑が死刑である等の違いがありまして、本法案軍機保護法が酷似しているとの御指摘は当たらないものと考えております。
  13. 今津寛

    今津委員 恣意的に誤解を与える記事だと私は思います。  それで、防衛大臣にお聞きしますが、これは私の地元新聞でありますが、ほとんどの地元の人はこの新聞を読んでいるわけであります。  「市民生活脅かす恐れ 成立シミュレーション」、要するに、特定秘密保護法案成立した後にどういうことが起きるかということを具体的に、事実ではなくてシミュレーションとして三点ぐらい挙げているうち、防衛に関するところを二つぐらい申し上げたいと思います。  左側の上の「同窓会で」という見出しの「防衛受注 会話で触れ逮捕」、要するに、「システムエンジニアのAさんは、大学の同窓会で「自衛隊向けシステム開発に関わっている」とあいさつ。恩師から内容を聞かれ、つい大まかな仕組みなどを話した。三カ月後、Aさんは特定秘密漏えい興味本位で聞いただけの恩師教唆(そそのかし)の容疑で逮捕された。」  簡単に言いますと、例えばこういうことだと思いますね。MD開発に携わっている日本国内のある大手会社の人が、同窓会で、あなたは今どういう仕事をしているの、私は、今、ミサイル防衛仕事に携わっていまして、もしこういう国からミサイルが飛んできたときに、アメリカと協力して、こうやって防ぐんですよ程度の話をしたと思うんですね。それが教唆容疑で逮捕される、その聞いた恩師も罪になる、こういうんですね。  それから、矢臼別、これは北海道の演習場なのでありますが、そこの砲弾の着地がわからなかったことがあるんですが、そのときも余り情報はくれなかった。この法案が通ると、さらに秘密保護法ということを、情報管理ということを言って、情報をさらに出さないんじゃないかということが危惧される、こういうふうに載っているんですが、小野寺防衛大臣所感をお聞きを申し上げたいと思います。
  14. 小野寺五典

    小野寺国務大臣 あくまでも記事ということでありますので、読んだ私としての感想ということでありますが、例えば、初めのシステムエンジニアリングの件ですが、一般論として申し上げれば、このAさんの恩師興味本位で聞いただけでありまして、漏えい教唆には該当しておりません。ですから、処罰対象にはならないと承知をしております。  また、他方、このAさんが適合事業者従業者として特定秘密取り扱いの業務に従事しており、先ほどMD等というお話がございました、かつAさんが話した自衛隊向けシステム開発の大まかな仕組み内容、これがAさんが取り扱っている特定秘密同一性が認められない場合には、Aさんは特定秘密漏えいしたとは判断されないというふうに承知をしております。ここにあるように、大まかな話ということであれば、これは特定秘密には該当しないというふうに思います。  また、先ほど後段でありました矢臼別演習において、これは米軍でありますが、砲弾演習場外に着弾という事故がありました。これは大変あってはならないことなので、発生後、私どもとしては、米側に確認をし、そして、さまざまなところに情報としてお知らせをさせていただきました。  当然、このような実際に起こった状況、事故という問題に関しては、特に特定秘密に当たるような内容ではございません。  ですから、この内容が、法律成立したからといって、これが報道されないとか公表されないとか、そのようなことはないと思います。  この矢臼別の事件に関しては、これは全体として、やはり今後とも、防衛省としては、情報提供をしっかり行い、演習場をこれからも安定的に使うために、特に所在する自治体の住民の皆さん自治体関係者、ここにしっかり説明することが大切だと思っております。
  15. 今津寛

    今津委員 誤った報道だということですね。それでいいですよね。もう少し勉強してほしいなという感じがしますけれども。  時々出てきている質問の中に、パブリックコメントというのがあります。今御紹介申し上げた記事は十月の八日とか二十六日です。このパブリックコメントは九月の三日から九月の十七日までですから、この記事国民皆さん方に与えた影響はないと思うんです、これは終わった後ですから。しかし、連日繰り返されるテレビの一部の報道とかこういう新聞記事などが、国民皆さんをして誤った判断をする、誤解をしてしまう、そういうことにつながっているのではないかと私は懸念をいたします。  近く参考人質疑マスコミ関係者の方々ともお話ができるようですから、そういう話を率直に私どもの党はしてみたいと思っているところであります。  きのう、長島さんの質問で、この法案NSC国家安全保障会議の設立というのは、自民党にとっては宿命だろうというお話がありましたよね、そういう質問がありましたよね。私は、自民党というよりも、日本国宿命だったというふうに思います。  国家の使命というのは、やはり国民生命と国土の保全、しっかりと守っていくということに尽きると思うんです。その手段は外交安全保障。  戦後、我が国は、経済至上主義で、アメリカ抑止力に頼り、我が国安全保障を米国に依存してきたことは紛れもない事実だと思います。そういう意味で、国際協調主義というものを掲げ、安倍内閣は、積極的平和主義集団的自衛権の行使、きょう、報道で、政府有識者会議が前向きな方向を出すようでありますが、世界百九十五カ国、国連に加盟していて、自分の友達被害があったときに助けることができないという国は日本国だけですから、抑止力としての敵基地先制攻撃など、独立国として当然行わなければならないことについて前向きな検討をしている、政策を実現しつつあるということは、非常に、国民からも大きく、あるいは外国からも評価されているところであります。  外交安全保障政策の司令塔として、国家安全保障会議日本版NSC衆議院では成立をし、今、参議院で質疑をいただいております。国家安全保障会議特定秘密保護法案は車の両輪であって、片っ方だけで動いていかない。やはり、両方並んで動くことによってそれが効果を発揮する、車が動く。同盟国や友好国との間で、防衛上やその対策上、機密情報を共有することが不可欠であると考えます。  例えば、一つの国による機密情報漏えいがあるとすれば、テロ対策のための国際的枠組みを破壊し、世界全体の脅威にすらなる。一国の機密漏えい世界全体のテロ対策に対して妨げになるということは、外交防衛スパイ行為テロ情報のうち重要なものを特定秘密として、その秘密を扱う人が適性かどうかを調査し、秘密を漏らす危険性がない人のみが秘密を扱う、私は画期的だというふうに思います。  例えば、最新兵器に関する情報が、日米同盟と対立するある国に、もしその国があるとすれば、一部でも漏れれば、その国は当然、対抗策をとってきます。自衛隊が使っている暗号とか偵察衛星による画像が外部に漏れるとすれば、自衛隊在日米軍の能力が明らかに劣化し、結果として地域の軍事バランスを崩すということになります。  今でも、軍事に関する情報は、防衛秘密アメリカ製兵器情報、これは特別防衛秘密があり、日米相互防衛援助協定MDAに伴う秘密保護法に基づき、漏えいをした場合は、それぞれ五年以下、十年以下の懲役になるということが決められているところであります。  今回の我が国NSC国家機密保護法に取り組む姿勢は、先ほど外国からも大きく評価をされていると言いましたが、一つの例として、本年十月三日の2プラス2の共同発表の中でこう言われていますね。「情報保全強化により、二国間の信頼関係は引き続き強化され、両国間の情報共有質量双方の面でより幅広いものとなり続ける。」、さらに、「SCC」、これは日米安全保障協議委員会のことをいうのですが、「の構成員たる閣僚は、特に、情報保全を一層確実なものとするための法的枠組みの構築における日本の真剣な取組を歓迎し、より緊密な連携の重要性を強調した。」  こういうふうに評価をされているのでありますが、小野寺防衛大臣所感をお聞きしたいと思います。
  16. 小野寺五典

    小野寺国務大臣 御案内のとおり、私ども、特に防衛秘密を扱う分野、役所でございますので、例えば、戦闘機護衛艦、先端の防衛装備の性能、あるいは私どもにとっては不可欠の自衛隊作戦行動にとる暗号、このようなものがもし外に漏れてしまった場合、これは大変なことになります。我が国防衛にとっても大変なことになりますので、防衛秘密指定をさせていただいております。  そしてまた、もしこのような情報漏えいした場合、相手が日本を侵略する目的で、逆に情報を入手し、日本防衛のあり方、暗号、具体的な作戦行動を把握された場合には、実際に行動している部隊隊員生命の危機に瀕する事態になります。もって日本国民生命財産のことにも問題が波及するということで、この秘密取り扱いは大変重要なことだと思っております。  また、現在、日米で同じく、日本防衛のための日米協力のためのガイドライン、この議論を行うわけですが、もちろんこれは大変重要な秘密事項にも当たります。  そういう中で、お互いにやはり、特に日本の中で、今回、秘密の保持がしっかり担保されるということは、日米同盟強化、ひいては日本安全保障に大変重要だと思っております。
  17. 今津寛

    今津委員 日本防衛政策を進めるに当たって大きな意義がある、こういう御感想を聞かせていただきました。  そこで、防衛大臣にお聞きをしたいと思うんです。  この自衛隊法の上での防衛秘密とされている事項の中には、戦闘機護衛艦といった最先端の防衛装備品の性能、自衛隊作戦行動にとって不可欠である暗号、今おっしゃいましたね、武力攻撃などが生起した場合の自衛隊作戦計画といった、我が国防衛にとって極めて重要な情報も含まれておりますが、仮に、こうした重要な情報が漏れた場合、第一線の自衛隊にいかなる影響が出るのか。また、隊員生命が危機に瀕する、そういう事態が生ずるとすれば、それは我が国にとって極めて重大なことであると考えます。  今回の法案で、情報が漏れた場合の最高刑が十年に引き上げられて、アメリカと同じようなラインになったのでありますが、そのことについて防衛省としてどう受けとめられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  18. 小野寺五典

    小野寺国務大臣 今委員が御指摘の、我が国にとって重要な情報漏えいした場合には、例えば、自衛隊作戦計画に関与する第一線の自衛隊部隊にとって、その行動の手のうちが明らかになり、こうした部隊隊員生命の危機が生起されます。このような事態がありますので、私どもとしては、防衛秘密保全には最善の努力を図らなければいけないと思っています。  また、特定秘密保護法案につきましては、その情報漏えいすれば、例えば、自衛隊作戦計画に関与する第一線の自衛隊部隊の活動に対して、その間隙をついたり、対抗措置を講じたりして、当該部隊が効果的な措置を講じることができなくなるおそれもあります。その場合、私どもとしては、情報保護に関して必要な事項を定め、また特定秘密漏えいを厳しく罰することで、漏えいに対する抑止効果、これが高まるものと思っております。  こうした特定秘密保護法案におきます厳格な秘密保護措置というのは、御指摘の、隊員生命の危機、これを回避するということのみならず、日本安全保障に大変重要なことだと思っております。
  19. 今津寛

    今津委員 政府の中枢においても、国家安全保障局内では、各省から集めた情報が集約されたり、照らし合わせられたり、また各省にフィードバックされたりすると思うのですけれども、現状では各省の保全体制に差がある。いろいろと質問でもあったところでありますが、このままで安心して情報が共有できるかどうか、大変心配をするところでありますが、どうでしょうか。
  20. 小野寺五典

    小野寺国務大臣 今回のNSCでは、安全保障のコントロールタワーという形で四大臣という分野が想定をされておりますが、それ以外にも、仮に何かさまざまな問題が起きるときには、例えば、他の省庁、それは各自治体もそうでありますし、あるいは道路、航空、さまざまな管制を行う国交省もそうですし、さまざまな分野の行政機関情報の共有、これが必要ということになります。  その情報共有を促進するために、特に国家安全保障会議の審議がより効率に行われる、このようないろいろなことを考えますと、秘密保護に関する共通のルール、これが必要になります。私どもが、必要な情報を関係機関に提供するためには、相手先もやはり守っていただくための共通のルールが不可欠と思っております。  しかしながら、我が国におきまして、これまで防衛分野、これは防衛秘密という形で、秘密事項としての設定を自衛隊法の中でもしておりましたが、他の分野に関しては、他の一般的な国家公務員法の守秘義務の定めしかなく、適性評価等の秘密管理を規定する法律が存在しておりません。  特定秘密保護法案は、我が国安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、特定秘密指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定め、その漏えいの防止を図るものであり、これにより我が国国民の安全を確保することがさらにできることになると思っております。  必要な情報の共有、これは、防衛省だけではなく、他省庁、ほかの政府機関の中でも共有することの促進が今後重要ですので、ぜひこの法律について御支持をいただきたいと思っております。
  21. 今津寛

    今津委員 どうもありがとうございました。  次に、行政機関に属さない国会議員、我々ですね、国会議員の機密開示に関する検討に対して御見解をお聞きしたいと思います。  安全保障に重大な影響がある機密を立法府や与党の幹部が全く知らないで日本の進路を決めることができるのかという問題が当然出てくると思うんです。アメリカの連邦議会では、秘密会を開催して、政府から機密の開示を受ける仕組みが機能しています。公の権力が集めた情報、その情報は、官僚だとか政府だけの占有物ではない。立法府、我々も、秘密を共有して保護する制度を自主的に検討するということを思います。  そこで、国会議員に対して、今、国家秘密を漏らした場合、例えば、秘密会などに出席をして、その秘密を国会議員が漏らした場合、いろいろな状況があると思います。例えば、本会議の壇上で、あるいは委員会で漏らした場合、あるいは、その会議を出て、新聞記者の方々にぶら下がりのときにぱっと言ってしまった場合、あるいは、お酒を飲んだときに、少し調子に乗って報道機関の方々に言ってしまった場合とか、いろいろな例があるのでありますが、時間が余りないので、そこら辺を、岡田さんでしょうか、わかりやすくちょっとお話をしていただきたいと思います。
  22. 岡田広

    ○岡田副大臣 お答えいたします。  一般的な秘密については、大臣等の守秘義務は、官吏服務紀律及び、国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範で規定されておりますが、これらの規定に違反した場合の罰則は定められておりません。  他方、自衛隊法では、防衛秘密を取り扱うことを業務とする者による漏えい処罰することとしており、大臣等も処罰対象となります。  また、MD秘密保護法においても、特別防衛秘密漏えいについて、同様に大臣等を処罰対象としております。  本法案においては、防衛秘密制度等と同様に、大臣等が特定秘密取り扱い、これを漏えいした場合には処罰対象となるほか、本法案第十条第一項第一号イにより、国会の秘密会において特定秘密の提供を受け、議員特定秘密を取得し、これを漏えいしたときにも処罰対象となり得ます。  以上です。
  23. 今津寛

    今津委員 もう少しわかりやすく言ってみたいと思うんですね。  今は、国家秘密を漏らした国会議員を罰する法律というものはないんですね。憲法に書いていない。憲法を改正するのか、これは一つの大きな課題、これは岩屋委員も問題提起しているところなんです。  それで、今回のこの秘密保護法成立をした場合、秘密を漏らした国会議員は罰せられるかどうかということなのですけれども、いわゆる国会の公の場所での発言は、これは憲法に定められていますから、ありません。  今度の法律が通った場合に、秘密保護法の十条で、先ほど私が言ったぶら下がり取材に対して漏らした場合は五年の懲役あるいは五百万円の罰金、これは秘密保護法二十二条の二項ですね。  それから、院外で、飲食したりとか、故意でなくても、マスコミ、後援会のところで、実はこうだったんだ、こう話した場合は五年の懲役、五百万円の罰金、これも二十二条の二項に当たるということで、岡田副大臣、いいですね。  そして、いわゆる森大臣とか小野寺大臣は、これは重いですよ、政府の人間ですから。あなた方は十年懲役、一千万円の罰金、これは二十二条の一項に当たるわけですね。  岡田副大臣、今のような私の認識でよろしいんでしょうか。
  24. 岡田広

    ○岡田副大臣 お答えいたします。  議員指摘のとおりであります。
  25. 今津寛

    今津委員 そこで、森大臣に、今、最後にお伺いしたのですけれども、公の場所で、確信犯的に、今まではなかったようですけれども、あるのかもしれません、これが罰せられないとすると。そうすると、秘密会等で知り得た情報を、だって国家の一大事のとき、キューバ危機みたいなときには、少数になるのかもしれませんが、そういう会合を開いて、そして、ある程度の秘密情報も聞きながら判断をしていきますね、国家のために。その情報を確信犯的にこういう委員会だとか、質問だとか、あるいは本会議の演説の中でやる、これについては全く罰則規定がないというのは、国民から見るとどうも合点がいかぬなという感じがしないわけではないと私は思うんです。  秘密情報を扱う国家公務員に至っては非常に強い、重い罰則があって、しかし国会議員はないのか、それも公の場所で確信犯的にやった、これはないのかということになると、今後の課題として、検討するというか問題にして、みんなで知恵を出して、国民皆さん方が納得するような方法を考えるべきだというふうに思いますが、最後にそのことをお聞き申し上げたいと思います。
  26. 森まさこ

    森国務大臣 私は、憲法の免責特権は大変重いものだと思っております。議員の意見は伺いました。
  27. 今津寛

    今津委員 どうもありがとうございました。  いずれにしましても、この法案は、我が国のみならず、世界の平和と安定のためにどうしても必要な法案でありますし、渇望されているところだというふうに思います。今までも、両大臣の堂々たる、この法案に対する、責任を持っている立場でのいろいろな御答弁やお考えに、私は非常に力強いものを持っております。  これからも、自信を持って、最後まで頑張っていただきたいとお願い申し上げて、御挨拶にしたいと思います。  質問を終わります。ありがとうございました。
  28. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、寺田稔君。
  29. 寺田稔

    ○寺田委員 自由民主党の寺田稔でございます。  大臣また副大臣におかれては、連日の御精励、また丁寧な御答弁、深甚なる敬意を表するものであります。連日の御登板で、大臣も大分お疲れではないでしょうか。大丈夫でございますか。  大臣は、この国会答弁でも、あの九・一一テロも見事に乗り切られた。また、大臣のお地元の三・一一、二年前のあの東日本大震災も、ちょうどそのとき地元におられたかどうかわかりませんが、乗り切られ、また、ことしの夏の参議院選挙、七・二一も見事クリアをされ、数多くの艱難辛苦を乗り越えてこられているわけであります。  ぜひともこの法案審議も、確固たる意思と、また、いろいろなこの国会のやりとり、質問などを私も拝聴しておりますと、なかなかストレスがたまるというか、あるいはまた、局面によってはいわゆる腹膨るる局面もあろうかと思いますが、どうか泰然自若と、昔、テレビドラマで「肝っ玉かあさん」というのがありました。京塚昌子さんが主演したものでありましたが、私もよく見ておりました。そうした泰然自若たるお気持ちで乗り切っていただきたいというふうに思います。  また、岡田副大臣も、連日の御登板、まことにお疲れさまでございます。ちょうど九月の三十日まで私も内閣府副大臣として仕事をさせていただき、金融の部分を岡田副大臣の方に引き継ぎをさせていただきました。稲田大臣担当の行政改革、規制改革等の部分は後藤田副大臣が引き継いだわけでありますが、内閣府の中でも、一度、森大臣には、私が大臣室にお伺いをし、大臣所管の行政分野につき御指導を賜り、意見交換もさせていただいたわけであります。  幅広い消費者行政の分野、あるいは国民生活センターを初めいろいろな業務分野にも精通をされているわけでありますが、今回のこの特定秘密保護法案の分野、まさにここ二カ月、大変な、恐らく今、大臣の頭の中の八割、九割はこの法案の分野ではないかというふうに思います。恐らく、きょうも早朝から質問レクなどもされ、もう本当に頭の中は本法案でいっぱいであるというふうな状態かと思いますが、必ず道は開けるものと私も確信をしております。  いよいよ、今週、そしてまた来週と大変大きな山場を迎えることになろうかと思いますが、あの九・一一を乗り切り、そしてまた三・一一を乗り切った精神でもって、この大きな大きな衆議院の山も乗り切っていただき、そしてその後、参議院の審議も続くわけであります。大臣はもちろん、参議院の方に所属をされている、ホームグラウンドでありますが、参議院も恐らく、いろいろな審議、議論、そしてまたちょうちょうはっしのやりとりもあろうかと思いますが、御壮健にて乗り切っていただかんことを切望するものであります。  この特定秘密保護法案でありますが、これまでも多くの論点なども指摘をされているわけでありますが、私の地元の広島県の弁護士会からも所見が送られてきたわけであります。恐らく多くの同僚議員のもとにも、そうした弁護士会でありますとかあるいは多くの団体関係、あるいは個人の方からもいろいろな意見が寄せられているんだろうというふうに思います。もちろん、賛否両論いろいろな意見が、書簡であったり、メールであったり、あるいはファクスであったり、いろいろなツールでもって送られてくる。  そうした中、この広島の弁護士会の所見、いろいろな論点が含まれております。  例えば、法二十一条の関係、いわゆる報道の自由並びに国民の知る権利の関係で申し上げますと、この規定、二十一条第一項というのは、法文上、これはいわゆる抽象的な訓示規定である。プログラム規定というふうに法律上も申しております。私も学生時代は法学部におりまして、多くの訓示規定、憲法はこうした訓示規定が多いんだ、したがって、必ずしもそれは拘束力のある、実効性の担保された規定ではないということを、当時の憲法学者、大学の教授からも教わったわけでありますが、今回の二十一条の一項、そして二十一条の第二項において、具体の取材が公益を図る目的を有していること、かつ、著しく不当な方法によるものと認められない限りは、それは可罰的違法性がない、すなわち、違法性が阻却をされて、正当業務行為であるというふうな位置づけとなっております。  ここで弁護士会側は二つの指摘をしております。  一つは、公益を図るという要件、これはまさに行政側、秘密指定側が判断することでありますから、行政の都合のよい解釈が可能であるというふうな見解を示しております。実は、この点については、恐らく多くの報道機関、マスコミというのは、当然、国民の知る権利に応えるものであり、ほとんど全てと言っていいと思います、公益性を有するものと私は思うものであって、この点についての弁護士会の指摘は必ずしも当を得たものでないというふうに思うのであります。  二番目の指摘、すなわち著しく不当な方法という要件、これは、極めて文言自体は抽象的である、したがって、どのような行為が著しく不当な方法とみなされるかは事前に予測することが極めて困難である。事前の予測性がないということですね。したがって、その点で恣意性を免れない。  したがって、仮に、マスコミ関係者報道関係者が訴追をされ、裁判にかかり、そして、裁判の審理の結果、公益目的性がある、かつ、著しく不当な方法による取材でない、すなわち無罪であるというふうに、最終的に、事後的に裁判では認定されたとしても、これはあくまで裁判を終えた後の、事後の話でありまして、事前の段階あるいは取材中の段階において、行政側あるいは捜査当局側の解釈によって報道機関が捜査対象となり得ることに変わりはないんだ、すなわち、事後的救済はもちろんあり得ても、事前の段階で報道機関が捜査対象になることはあり得るんだ、したがって、そのことによって、取材そのものに対するいわゆるチリングエフェクト、萎縮効果が生ずるという主張を展開いたしております。私は、この二点目の主張については、確かに是認できる部分もあろうかと思います。  大臣は、ここ衆議院での国会答弁で、報道機関へのガサ入れはありませんというふうに明確に御答弁もされているわけでありますが、この二点目の懸念についてはどういうふうにお答えになるのでしょうか。
  30. 森まさこ

    森国務大臣 寺田委員から、さまざまな励ましのお言葉、ありがとうございます。  九・一一の直前まで、私、ニューヨーク大学で学んでおりまして、現場のすぐ近くなんです。また、マンハッタンの中にゼロ歳の長女と二人だけで住んでおりましたので、そういう意味で、知人もたくさんおりましたし、大変なショックでありました。  また、その後すぐワシントンDCに行きまして、二年間住んでいたんですが、やはり九・一一の後どんどん緊張状態になっていって、日本大使館から送られてくるテロ危険レベル、最初はホワイト、真っ白なものが、イエローになり、オレンジになり、オレンジの次はレッドしかないという状況になって、スーパーに行っても何も売っていません。ワシントンDCの中で、生ものは売っていない。肉、野菜、水がない、缶詰しかない。つまり、外から入ってくるものを全部チェックしているものですから。そういう中で赤ん坊を育てていかなければならない。  また、外出をするときに、さまざまな情報が飛び交って、日本人が狙われるのではないかという情報が飛び交いまして、私たち母親はみんな、我が子に黄色い帽子をかぶせました。遠くから見たときに黒髪だと思われないためです。そのようなことも非常に傷つきながらするわけなんですが、やはり、海外にいるときに、自分たちが日本国民であること、そして日本国が頼りであること、大使館からのファクスをいただくたびに思ったわけです。  そのような中で、やはり安全保障に対する私の思いというのが醸成をされていきました。  そして、国会議員になってからは、町村信孝委員が座長を務めるインテリジェンスPTにも末席に座らせていただいて、勉強してきたわけでございます。  私は弁護士でございますので、きのうの委員会でも、人権意識があるじゃないかというような御指摘をいただき、いつもいただいております。ところが、私が思うには、この安全保障国民生命を守るということも、要するに、国民の人権を守るということなのであります。ですから、国民生命、そして国民の表現の自由、知る権利という、人権と人権のバランスをどうとっていくかという、この法案ではその究極のバランスを追求していかなければならないということを常に肝に銘じながら答弁をさせていただいております。  そして、私も、弁護士会からさまざまな御指摘をいただいております。  法案をお預かりしたときに、与党自民党でさまざまな団体のヒアリングがもう既に行われておりましたから、政府の中ではその御意見を共有すればいいのではないかという意見も一つありました。しかし、私は、与党と政府はまた別でもありますので、しっかりと、政府として、担当大臣として諸団体の意見を聞きたいというふうに希望しまして、私の大臣室に一番最初に日弁連の方に来ていただきました。そして、報道機関の方にも来ていただき、学者等の皆さんとも、直接に来ていただいてお話をして、御説明もしてまいりました。  弁護士会からの御指摘には、真摯に応えていく必要があると思います。  今さまざまな御指摘をいただきましたが、特に報道の自由に対してという御質問でございますので、その部分に対してお答えをすれば、私は、国民の知る権利に奉仕をする報道の自由、そして取材の自由というものは、最大限尊重されなければならないと思っております。  そういう意味で、私のところに原案が来てから、さらにその趣旨を条文に書き込ませていただいたわけでございます。それが二十一条でございます。憲法でも表現の自由は二十一条、本法案でも報道の自由、表現の自由が二十一条ということで、私は、この二十一条、大変思い入れがございます。  そして、この二十一条が、単なる訓示規定ではなく解釈指針であるということも、この国会で答弁をさせていただいております。今後の捜査機関の捜査、そして裁判等においても、この二十一条をしっかりと行政の運用の解釈指針にしていただけるものと思っております。  ですので、通常、今現在行われております報道、取材、こういった行為はこの法案処罰対象となるものではないということをしっかりここで答弁させていただきたいと思います。
  31. 寺田稔

    ○寺田委員 御答弁ありがとうございます。  まさに今大臣が言われたとおりで、通常の報道行為、あるいは一般人でもアクセス可能なようなものについては可罰的違法性がないというのは、当然の法律の解釈である、また憲法上の要請であるというふうに思うわけであります。  そうしたような観点から、実は、前回の質問のときに、具体の取材パターンとして十一類型の取材パターンをお示しし、大臣より、それが不当な取材に当たらないというふうな御答弁もいただいたわけでありますが、御承知のとおり、最近はICT化が進んでおりまして、いろいろな電磁的な手法でもって、一般人も、あるいは我々国会議員も、あるいは同僚議員も、いろいろな情報をインターネットから、あるいはその他の媒体から入手するわけであります。そうなると、一般人が通常用いているような情報の入手方法でもってマスコミ、報道機関が情報を入手するというのは、これは当然にあり得ることであります。  最近は、いろいろな報道機関からの質問も、メールで来たり、直接電話あるいは紙媒体で来るより、電磁的手法でもって来ることも多くなってまいりました。恐らく大臣のもとにも、いろいろなマスコミからの取材依頼やそうしたものも、最近はそうした電磁的手法が多いかと思います。  前回のときに大臣が御答弁いただきましたように、パソコンの個々の識別、IDですね、IPアドレスというふうに言いますが、これがわかれば、情報のコンテンツの中身、これも当然にして入手可能となるわけであります。現に、前回もお示ししたように、十年前の防衛省で生じたIPアドレス漏えい事件、これはまさに、パソコンの識別が明らかになったことにより情報の中身も明らかになったという典型的な事案、もう既に十年前に発生をしているわけであります。これは、防衛省指定業者が、これはもちろん当時としては守秘義務をかけて委託契約をしているわけでありますが、指定業者、そしてその指定業者が委託をした子会社、これがいわば漏えいをしてしまったというケースであります。  当然、IPアドレスがわかると、すなわちPCのID情報がわかると、中身もわかる。しかもそれは、そう複雑な操作を要しません。一般レベルのパソコン上の操作、あるいは一定の造作を施すことによって、そうした本来であれば秘匿情報を入手することも可能となってくるわけであります。  もちろん、そうしたものに対して、漏えいを防ぐために、ネット上もいろいろなセキュリティーを今は当然のことのように施されております。特に政府関係のいろいろな電磁情報のやりとりについてセキュリティーブロックがかかっているわけですが、通例、二つのパターンがあるわけですね。一つは、セグメント情報ごとにファイアウオールを立てて漏えいを防ぐやり方と、あと、情報の送信を、SSL暗証というふうに言っておりますが、一定の暗号化をして送る。大きく言ってこうした二通りの手法でもって情報のブロッキングをかけているわけであります。  しかし、それに対しても、これはもう大臣も、パソコンをもしやられるのであればおわかりかと思いますが、最近はごくごく簡単なそうした解読ソフトやアプリも汎用化されているわけでありますが、簡単な暗証や暗号であれば解読可能であります。また、セキュリティーブロックがかかっているファイアウオールのケースについて見ても、ウオールが低ければ、容易にそのハードルを乗り越えて情報を入手することは、ある程度、一般人でも積極的に情報を入手しようとすれば、用いることが可能な手法なのであります。  もちろん、それが不正アクセスに該当してはいけないわけでありますが、あくまで、不正アクセスに該当しない、一般的に汎用可能な、アベーラブルな、すなわち入手可能な手法でもってそうしたウオールを乗り越えて情報を入手するということは、当然、一般人においても、あるいはマスコミにおいても利用可能な手法であるわけでありますが、こうしたような状況下で、ウオールを乗り越え、あるいはまた暗号を解読し、秘匿情報を入手するということは、当然これは想定し得る事態であります。  こういったような取材方法は著しく不当な取材に該当するのでしょうか、大臣にお聞きをいたします。
  32. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  お尋ねの事例につきましては、いずれも不正アクセス行為を前提としないとのことでございますが、おのおのの事例につきましてはさまざまな事実関係が想定されますので、現時点では判断が困難とお答えいたしたいと思います。
  33. 寺田稔

    ○寺田委員 今のような事例に対して、直ちには判断が困難、これは恐らくケース・バイ・ケースの判断というふうに解釈されると思いますが、一般人もそうしたレベルでの情報収集は行うわけです。  例えばパソコン。大臣もいろいろ情報を得るときにパソコンを使われることはあろうかと思います。そうしたときに、一定のページまでたどり着く。ここから一定のセキュリティーロックがかかっているけれどもアクセスしますかと、イエス、ノーの表示が出てきて、オーケーをクリックすると、内蔵されているプログラムによって、あるいはアプリによって、到達することはもちろん可能なわけであります。そうして入手できる情報というのも実は多々あるわけであります。  これは、一定レベルのブロッキングはかかっておりますけれども、ある意味一般的な手法でもって乗り越え可能な場合というのは当然にしてあるわけであって、これは、不正アクセスにも当たらなければ、今回の法文の二十三条の該当性もない。すなわち、正当な、適法な行為でもってできるような電磁情報の入手というのは当然あり得るわけでありまして、大臣、いかがでしょう、御答弁いただければと思います。
  34. 森まさこ

    森国務大臣 インターネット上のさまざまな技術的なことを御質問されて、私、得意ではないものですから、ちょっとわからなかったんですけれども、私がここで申し上げたいのは、一般人の方が通常行っていること、それから、今、取材の中または報道機関の方が行っていること、取材や報道を今行っていることが、特にこの法律が、本法案ができたからといって、急にそれが捜査対象になったり、処罰対象となったりすることはないということです。  著しく不当な取材というのは、不正なアクセス等の違法行為ですか、そういう不正なアクセスの中でも著しく不当な場合だというふうに思いますので、それが技術的にどのようなものかというのは、ちょっとパソコンの知識が詳しい方でないとお答えできないと思いますけれども一般的に行われていること、今行っていること、今、特にそのことによって逮捕されたり、ほかの法律によって禁止をされていないものについては、この法案処罰されることはないということをお答えしておきます。
  35. 寺田稔

    ○寺田委員 今大臣がお答えになったとおり、まさに一般的な手法。何をもって一般的な手法か、あるいは一般人も利用可能な汎用化された手法かというのは、もちろん、一定のケースもあろうかと思います、あるいはグレーゾーンというか限界的なケースもあろうかと思いますが、まさに今大臣がお答えになった、一般人が利用可能であるものをマスコミも用いて取材をするというのは、これはある意味当然であります。しかも、報道関係者であれば、より高いレベルの取材アクセス、これも当然にあり得るわけですが、あくまで一般レベルの想定で今お尋ねをした。  しかも、法二十三条もクリアしている、すなわち、まさに不正アクセスに当たらないような取材についてぜひとも前向きに御対応いただくことが、いろいろな懸念、先ほどの今津委員質問でも引用された、報道でもそうしたような懸念もあり得るという前提で今多くの報道が、残念ながら、この法の施行によって正当な取材ができなくなるんだという懸念、心配が広がっているのも事実であります。そのことが、弁護士会が言うように取材に対する萎縮効果を生むのであれば、大臣ももちろん弁護士であられるわけでありますが、これはよろしくないことであって、そうした意見に対しても真摯に御対応いただかんことを切望するものであります。  もちろん、政府レベルのセキュリティーというのは、その程度の、一般人がアクセスできるぐらいでもって乗り越えることができる程度のセキュリティーでは困るわけであって、当然、特定秘密についてはより高度なセキュリティーを施すのが一般的かと思います。  現実、今の防衛秘密あるいは特管秘について見ても、それなりのセキュリティーウオールは確かに施されております。そして、暗証化、暗号化手法によって、なかなか普通の一般的なアクセスでもっては解読できない、入手できないというふうなケースも多いかと思いますが、残念ながら、まだそこは各省によって取り扱いがまちまちなんですね。  今の特管秘も、法律の規定ではなく、行政の運用によって、そうした特別管理秘密というのは設定をされているというふうなことであります。  本委員会の審議でも、この特管秘、四十万件を超える、四十二万件というふうな政府側の御答弁もあったわけであります。四十二万件ということでありますが、これはもちろん、その全てが別表該当性になるわけではありません。別表該当性というのは、あくまで、別表に書いてある安全保障であったり外交であったり、四項目にもちろん限定をされるわけであります。  この特管秘四十二万件。四十二万というと、非常に多いなと一般国民も印象を持つわけでありますが、例えばIGSの画像一個一個が一件であるというふうに数えれば、確かに、そうしたデータ、画像データであるとかあるいは伝送データであるとか、あるいは暗号情報ですね、暗号化するときの、秘匿をするときの暗号情報、これらも全て特管秘に指定をされているというふうな現状に鑑みれば、四十二万という現状の件数も是認をされるわけであります。  この四十二万件の、特にどこの役所が今現状多くの特管秘を持っているかという所管、上位について、これは事務方で結構でございます、お伺いをしたいと思います。
  36. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  平成二十四年末現在の特別管理秘密等は、約四十二万件でございます。  省庁別ごとの内訳で、上位でよろしいでしょうか。(寺田委員「はい、上位で」と呼ぶ)内閣官房が三十一万八千八百八十六件でございます。防衛省が四万七千五百八十三件でございます。外務省が一万八千五百四件でございます。公安調査庁が一万二千二百九十五件でございます。警察庁が一万二千三十二件でございます。海上保安庁が七千五百十六件でございます。
  37. 寺田稔

    ○寺田委員 今、上位の所管についてお答えをいただきました。内閣官房が一番多い、当然是認をされるところであります。三十一万八千件。防衛省が四万七千件。概数でございますが、そういうお答えでありました。  例えばIGS情報というのは、情報収集衛星の所管は内閣官房でありますから、IGSで得られた情報は、安全保障上必要なものは内閣官房から防衛省に送られます、伝送されます。それがどちらの役所でも特管秘に指定をされれば、それはダブルカウントされているという理解でよろしいのでしょうか。
  38. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  ちょっとダブルカウントの定義はあれですが、基本的に、提供されたものは受けたところで特管秘として指定して管理されていますので、それぞれの数として計算されております。
  39. 寺田稔

    ○寺田委員 今、鈴木審議官がお答えになったように、これは内閣官房でも当然特管秘として指定をされ、情報収集衛星の情報というのは、これは多目的衛星でありますから、防衛省のみならず必要のある各所に送付をされるわけでありますが、それを受けた防衛省側でも、それが指定をされれば、当然それは、ダブルカウント、あるいは場合によってはトリプルカウントということもあり得るわけであります。そうした数であるというふうなこととして理解をさせていただきます。  あと、時間の関係でちょっと順序が相前後いたしますが、大臣法律の専門家として、多くの憲法学者あるいはメディア法学者のいろいろな声明、御意見もごらんになっていようかと思います。ちょうど、おとといの参考人質疑においても、田島教授の方から、そうした代表的な憲法学者あるいはメディア法学者の共同声明、十月の十一日に発出をされておりますが、ごらんになられたというふうに思います。  もちろんこれは、そうした憲法学者の立場、あるいはマスコミ法、メディア法を専門的に研究している学者の意見でありますが、ある程度日本を代表する名をなした学者あるいは有識者二十四名の名前が連名で連なっているわけであります。私の知り合いもそのメンバーの中にいるわけでありますが。  この声明の中で、先ほどの広島県弁護士会の指摘ともオーバーラップをする部分がありますが、幾つかの指摘がございます。  やはり大きな指摘としては、憲法二十一条で保障される取材、報道の自由が侵害されないかという危惧。この危惧に対しては、これまでも、多くの取材類型、あるいは、きょう質疑したような、一般人の汎用化しているものはおおむね是認をされるというふうなやりとり、こうしたやりとりをしていくことによって、逐一、報道側の不安あるいは懸念も解消していく、そうしたことも必要かというふうに思います。  あと、当委員会でも審議になっております、適性評価がプライバシーの侵害に当たらないか。これは副大臣からの御答弁もあったわけでありますが、いろいろな家族関係あるいは犯罪歴、病歴等の調査によって、それがプライバシーの侵害に当たらないことは、いわゆる合目的性、目的が明確である、そして、その情報が限定をされることにより、不当なプライバシー侵害に当たらないというふうなお答え、この点については是認をされるところであります。こうした点についても、真摯に懸念あるいは心配を振り払っていく努力が必要かと思います。  それとともになされています、これはかなり重要な論点として、秘密の範囲が非常に広範囲に及ぶ、かつ、現在の法律の書き方、構成要件が抽象的に書かれている。  もちろん、別表該当性ということで、別表項目はあるわけでありますが、例えば安全保障といっても、それは単に軍事面での安全保障のみにとどまるのか、あるいは、最近、特に原発事故以降は、エネルギー安全保障であるとか食料安全保障であるとか、いろいろな経済分野についても安全保障という言葉は一般名詞として使われるわけであります。  もちろん、別表該当性を生ずるためには、日本の国土あるいは国民生命などに対する直接的な侵害というのが要件になっておりますから、一義的にはもちろん軍事的な安全保障でありますが、例えば食料がなくなってしまっても、それは国民生命に甚大なる影響を与えるわけであります。  まさに大臣が御答弁されたように、あの九・一一テロのときも、白から黄色に変わる、黄色からオレンジに変わる、オレンジからレッドに変わるということで、危険レベルがどんどん高まっていくわけであります。きょう、大臣は真っ白の洋服でありますので、まだ大臣における危険レベルは非常にセーフであるというふうに理解をさせていただきますが、いずれにしても、そうした範囲が非常に抽象的である。かつ、処罰ですね、いわゆる可罰的違法性がありと判断されて罰則がかかる範囲、スコープも、不明確であるという指摘がなされています。  実は、そのことは、憲法上の規定があるわけでありまして、憲法三十一条が規定するいわゆるデュープロセス、適正手続の保障に違反をするのではないかという心配、疑い、あるいは懸念が、憲法学者あるいはメディア法学者などからも表明をされているところであります。  このデュープロセスの保障というのは、これは、合衆国憲法においても、あるいは諸外国の憲法規定においても、適正手続が担保される、保障されるというのは極めて重要なことであります。そのことは、当然、我が国憲法においても明文規定が存在をし、過去、多くのいろいろな行政手続に対する訴訟が、行政不服審査であったり、この行政不服審査がさらに持ち上がる形でもって提起をされているわけであります。最近は行政プロセスも非常に透明化しつつありまして、行手法も制定をされ、例えば、行政が受けるいろいろな申請などに対しても、一定の標準処理期間内に処理をしないといけないということが法律でもっても規定をされる時代であります。  したがって、この憲法三十一条の要請というのは非常に重いものであるわけでありますが、こうしたような指摘、論点に対し、大臣の御所見、御見解を最後にお伺いいたしたいと思います。
  40. 森まさこ

    森国務大臣 学者の皆様とも意見交換をさせていただいたところでございますけれども、共同声明等で指摘をされております秘密の範囲についても、先ほど答弁をしたとおり、限定しております。これは、諸外国の同じような秘密保全法制の中でも、より限定して限定列挙をしております。  さらに、処罰の範囲についてもしっかりと規定をしておりますので、憲法三十一条に規定する適正手続の保障に違反する疑いがあるとの御懸念は当たらないと考えております。
  41. 寺田稔

    ○寺田委員 以上にて質疑を終わります。ありがとうございました。
  42. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、大野敬太郎君。
  43. 大野敬太郎

    ○大野委員 自由民主党の大野敬太郎と申します。  まず初めに、フィリピンで甚大な被害発生しておりますけれども、そこで被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  そして、第二に、きょう、国家の根幹にかかわる本当に重要な法案特定秘密保護法案の審議に参加をさせていただける機会を与えていただきました理事の先生方初め皆様に、心から感謝を申し上げたいと思います。  また、大臣、寺田委員もおっしゃっておられましたけれども、本当に連日お疲れさまでございます。多分、ずっと人の話を聞いているのは大変だろうな、そんな思いはありますけれども、特に椅子にクッションを敷いていらっしゃる、本当にお疲れだろうなと思いますけれども、きょうは、大臣の美貌に目がくらまないように、しっかりと質問させていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  まず初めに、情報保護それから法整備、その必要性、意味についてお伺いをさせていただきたいなと思うんです。  この委員会の審議の中でずっと審議されている内容、多分、一番統一的見解だろうな、委員皆さん、大体同じような意見を持っていらっしゃるのはどの部分かな。これはやはり、公開が原則なんだ、だけれども、どうしても、国家の安全上、国家の安全を害するような事柄は秘密にしていかないといけないんだ、この部分は絶対そうなんだろうな。  人間でも、余りにもぺらぺらしゃべるばかりの人は余り信用できないですし、また、余りにも秘密ばかりで何もしゃべってくれない人というのは、本当にそれこそ余り信用できないものでありますので、人間と国家を比べることはできませんが、そういった意味で、その部分は共有しているのかなと思うんです。  きょうは、実は、そんな意味で、参考資料をお配りさせていただいております。表裏一枚ぺらですけれども、まず新聞じゃない方の「「密約」に想う」という、塩野七生さんが数年前に密約が話題になったときに文芸春秋に寄せられたエッセーであります。  このエッセーというのは、私は本当に、国家意味、あるいは為政者のあり方、あるいは秘密意味、こういう意味について非常に示唆に富む文章だなと、ずっとこのころから何回も読み直しているエッセーであります。  例えば左側、一番上でありますけれども、この密約の意味するところについて、当時、交渉の担当者である若泉敬さんが書き残した著書の表題、「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」で言いつくされていると思う、こんなことを塩野七生さんはお書きになっていらっしゃいます。  これは何を言いたいのかというと、当時は情報公開の概念なんて全然ないわけでありまして、また、秘密のルールというのも、限定されているものでもないですし、ちゃんとしたルール化もされていない。そんな状況、つまり、やれることが本当に広大なそういう状況の中で、若泉敬さんというのは、沖縄を返還する交渉に当たって、本当にこれでいいんだろうか、ほかに策はないんだろうか、あるいは、こんなことを結んでいいんだろうか、本当に一人で、大海原の中でたった一人ぽつねんとして、本当に心苦しみながらそういった約束をされたんじゃないか。  そんなことを思ったときに、何を私が思うかと申し上げると、それはやはり、秘密の、ルールがないから大変苦悶をされたんじゃないか。そういった意味では、やはりルールをちゃんと明確にしなくちゃいけないんだ。  今回の法律は、新しく機密をつくるんだというよりは、その機密をどうやってルール化するんだということがはるかに重点が置かれている話でありますし、新しい機密をつくるというわけじゃないので、そういったところでこの文章は本当に機知に富むな、そんな思いであります。  また、次に、為政者のあり方についてですけれども、これは二段目の左側ぐらいからですけれども、マキャベリの言葉を引用されて、塩野七生さんは、指導者というのは、例えば自分が地獄に落ちようと、政治家でいえば選挙に落ちようと、あるいはメールが来ようとファクスが来ようと、国民は天国に行かせる、このぐらいの気概を持って臨まなくちゃいけない、そのぐらいの人でないと為政者になれないんだ、こういうことをおっしゃっておられます。  今、この特定秘密保護法案国民的にはまだまだ理解を得られていない部分もあるのかもしれないですけれども、これは絶対に国民を天国に送り届けるための法律なんだ、こういうことを改めてこの文章から私は感じ取る次第であります。  そして最後に、一番最後の段でありますけれども、「今「密約」問題を取りあげてトクすることがあるとすれば、政府も野党もマス・メディアも国民も、全員が現実を直視する必要に目覚めることだろう。」こういうふうにお書きになっていらっしゃいます。  今、この保護法案、これの意味は何だろうな。これはやはり、一番意味のあることというのは、まさに現実を直視する必要に目覚めること、ここにあるのかななんてすごく思ってしまうんです。  では、改めて、この今の話をお聞きになって、立法化に向けて、大臣の思いというか決意というか、あるいは、なぜ絶対必要なんだというのをぜひお聞かせいただければと思います。
  44. 森まさこ

    森国務大臣 今、日本を取り巻く国際情勢は日々刻々と複雑化しているわけでございます。今までと違った国が大きな力を持ってきたり、また、今までと違った、情報が駆けめぐる体制が高度インターネット社会の進展により進んできているという現実があるわけです。  それに対して、やはり日本安全保障に関する特定秘密保全する体制は、各国に比べれば脆弱なものであるという現実を直視しなければならないと思います。国民生命国家の存立を守るために本当に必要な特定秘密、これが一旦漏えいをされてしまった場合には、それが瞬く間に世界じゅうを駆けめぐるおそれが大きく、そして、それがテロやスパイの手に渡ってしまう危険性が高いということです。  他方、国際テロ等が国境をまたいで起こる。そして、それによって日本人も多数犠牲になった件もありました。そういう国際テロ等には各国が協力して対処する必要がある。  そして、それぞれの国は、自国の国民のみならず、人命を守っていく責務があります。そのときに、情報を迅速に、効率的に共有して、対策を立てていかなければならない。また、政府の中でも、そういった事態に対処するために、常日ごろからシミュレーションして、情報を共有しておかなければならない。  そのための情報日本国内保全をされていく。これが、諸外国と同等の保全体制がとられていなければならない。もし漏れたときの刑罰もしかりです。その保護体制もしかりです。そういったものが今法律で全般的にしっかりと定められていない上では、各国から情報を入手することもできない、共有することもできない、政府の中でそれを迅速に交換、共有して会議をすることもなかなか効率的に進まない。そういう中で、この法律が必要であると思っています。  そして、私は三・一一の震災を福島県で体験した者として、あれは自然災害でありますけれども、ああいった事態が、安全保障上の危機がいつ起こるかということはなかなかわからない。それが起きたときの体制をいつも万全に整えておくことが国の責務であると思います。  遅過ぎたというような御指摘もいただいたぐらいでございますので、この法案を早急に成立させていただきたいというふうに思っております。
  45. 大野敬太郎

    ○大野委員 丁寧な御答弁、ありがとうございました。  おっしゃるとおりだと思います。本当に、他国との、スタンダードに合わせていく、今、日本はその部分が非常に足りていない。だから、先般のNSC法案、そして今回の特定秘密保護法案、これをセットで通していかないと、私は、国際スタンダードに合致しない、そんな思いがあります。  私、以前、防衛長官の秘書官をさせていただいていたことがありました。当時は今津委員が副大臣でありましたけれども、その当時も本当にそういう状況が、インテリジェンスサイクルの外側からではありますけれども、それをつぶさに拝見して、これはやはり大変な問題だなとその当時から思っていたところであります。  そこで、次に、特定秘密の範囲についてちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。  その前に、きょうは、お配りしている、今度は裏側の新聞の方でありますけれども、これは、防衛機密の漏えい、初めてのケースということで問題になった記事でありますけれども、これは何が秘密なんですかということは私は申し上げません、お聞きはいたしません。  これはどういう記事かというと、中国の潜水艦が火災を起こして、そして、これは南シナ海でありますけれども、そこで中国に曳航されて帰っていった、こういう記事であります。一体何が秘密なのかなということを普通は思うわけなんです。  しかし、これは全く私の想像でありますが、恐らく、何で火災とわかったんだろうなと。これはやはり、日本アメリカ、あるいはいろいろな国の諜報活動、ヒューミントかもしれませんけれどもシギントかもしれない。こういうことを考えると、これが火災とわかった時点で、中国の方から見れば、ああ、全部わかってしまっているんだろうな、そういうことを思われるかもしれない。  そういうことを考えれば、本当に秘密というのは守っていかなくちゃいけないですし、あるいは、情報というのは、むしろ保護するというより、私はここで申し上げたいのは、情報の扱いというのは本当に想像力の勝負なんだろうな、そんなことを思うわけです。  外交というのももちろん想像力の勝負でありますけれども、私はここで申し上げたいのは、何がどうなって、何がどういうふうに組み合わされて必要な情報になるというのは、余りすぐにはわからないものであり、そうなると、まさに秘密の範囲というのは個別具体的にならざるを得ないんだということを改めて私は思うわけです。  ところが、具体的にできないと言ったからといって、では漠然とした範囲でいいのかというと、そうではない。やはりなるべく狭めていかなくちゃいけないんだ、そういうことを思うわけでありますけれども、では、どの範囲なんだということが非常に気になります。この委員会の審議で何回もこれは御議論されていますが、改めて、もう一度確認させていただきたいんです。  国家公務員法の守秘義務事項それから情報公開法の不開示事項、これの範囲と今回の特定秘密保護法案の範囲、どういう関係にあるのか、いま一度御答弁いただければと思います。
  46. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  国家公務員法は、その百条におきまして、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」と規定しております。この「職務上知ることのできた秘密」とは、職員が職務の執行に関連して知り得た全ての秘密を指します。  これに対しまして、本法案に定める特定秘密とは、「別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えい我が国安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの」について行政機関の長が指定したものであり、その範囲は、国家公務員法上の職務上知ることのできた秘密よりも極めて限定的となっております。  また、特定秘密が記録された文書についても情報公開法が全面的に適用されますが、特定秘密は、「安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるもの」であることから、情報公開法第五条第三号の国の安全等に関する情報や、第四号、公共の安全等に関する情報の不開示情報に含まれるものと解され、情報公開法上の不開示情報に該当すると考えております。
  47. 大野敬太郎

    ○大野委員 正確な御答弁ありがとうございました。  つまり、これはもう一度確認させていただきたいんですけれども、本当に、情報公開の原則がある広大な、先ほどの表現を繰り返しますけれども、広大な大海原の中に、国家公務員法の守秘義務違反と、それから、ほぼそれに類する情報公開法の不開示項目、ここの範囲、こういう小さい池があって、その範囲は基本的には秘密なんです、今でも秘密なんです。この小さい池の中の部分を特定秘密として指定している。  つまり、この特定秘密の範囲は絶対にちっちゃい池の範囲は超えないですし、どう考えたって超えないですし、この特定秘密に当たる部分というのは今でも秘密なんだということでよろしいですか。
  48. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  先生のおっしゃるとおりでございます。
  49. 大野敬太郎

    ○大野委員 今、国民的に非常に不安だ不安だと、騒がれていると言ったら表現があれかもしれないですが、報道されたりしているのは、何かどんどんどんどん秘密の範囲が広がってしまって、際限なく全部秘密にされてしまうんじゃないか、そういう懸念を、皆さん、抱いていらっしゃる方が多いんです。  私はこれはもう何回も確認したいですし、大臣にもお願いしたいんですけれども、あくまでも、この秘密の範囲、今でも国家公務員法で秘密の範囲なんだ、その中の、この池の中に指定しているのが特定秘密なんだ。これはもう本当に一番根幹のところだと思いますので、ここがまだ理解がそんなに進んでいないと思うんですね。  これは単純な話だと思うんですが、先ほどの御答弁のように、正確に答弁をし過ぎると、またちょっとわかりにくくなってしまう、こういうところもあると思いますので、平たくおっしゃっていただいたら本当にありがたいと思います。またこれからいろいろなところで御答弁されると思いますけれども、ぜひ簡単な、わかりやすい、私でもわかりやすい話で御答弁いただければな、そんな思いであります。  もう一つ、範囲についてお伺いしたいのは、先般、この委員会の質疑の中で公益通報者保護法の議論があったかと思いますけれども、その中で、違法性、違法な状態、そんなものはこの特定秘密指定しないんだ、こういう議論があったかと思いますけれども、これをもう一度確認させていただきたいと思うんです。  これは、違法な状態、つまり、国民的に見れば何かというと、あたかも、何か国家が都合の悪いこと、政府が都合の悪いことを隠そうとしているんじゃないか、あるいは隠してしまうんじゃないか、こういう懸念もあるわけであります。この部分、違法な状態、例えば、内閣官房あるいは内閣府の職員がちょっと合法的なことじゃないことをしていることを秘密にしたり、あるいは、違法な手段で情報をとってきたものを特定秘密としたり、そういうことはないのかどうか。秘密というものの範囲を、もう一度御確認させていただきたいと思います。
  50. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  情報収集活動につきましては、法令を遵守して適正に行わなければならず、また、違法な手段で収集した情報保護する必要はございませんので、これを特定秘密指定されることはございません。
  51. 大野敬太郎

    ○大野委員 ありがとうございます。  そうすると、一例でありますけれども、ちょっと話は飛んじゃうかもしれないんですけれども、例えば核兵器、製造あるいは保有、これは不拡散条約に入っていますから、もちろん留保条項はありますけれども、今の時点では当然のように不法になるわけでありますが、当然これは指定をしないという理解でよろしゅうございますか。
  52. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  御指摘の核兵器の製造と保有に関する事柄が何を指すかが明らかではなく、確たることをお答えすることは困難でございますが、あえてお答えすれば、我が国は核兵器を製造、保有しておらず、これらに関する情報を保有していないことから、特定秘密指定することはないと考えております。
  53. 大野敬太郎

    ○大野委員 ありがとうございます。恐らくそうだろうと思います。  それで、ちょっともう既に時間が、質問の半分ぐらいのところにしか来ていないので、ささっと行きたいと思います。  次の質問に移りたいんですけれども特定秘密のチェック機関についての質疑が行われていたかと思います。第三者機関をつくるんだ、つくらないんだという話がありますけれども、私、第三者機関というのが正確に機能するんだろうか、こういうことを実は思っていたりするんです。  一方で、先般、参考人質疑において、永野参考人だったと記憶していますけれども、ISCAP、つまりアメリカ安全保障機密提訴委員会というんですかね、省庁間の連絡会議をつくって、内部で一応相互チェックをするんだ、こういうのをつくったらどうだ、こういう御指摘がありまして、なるほどと思ったんです。  これは恐らく運用次第ではつくれるものだと私は思っておりますけれども、これを御検討される可能性というのはございますか。
  54. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 御指摘アメリカの省庁間上訴委員会は、米国の国務省、国防省等の関係省庁の幹部レベルの代表者で構成される委員会で、秘密指定に関する不服申し立ての裁定や秘密指定の延長等の承認を行っているものと承知しております。  本法案につきましては、特定秘密法律の別表に限定列挙された事項に該当するものに限りまして、大臣等の行政機関の長が指定し、また指定や解除は外部の有識者の意見を反映させた基準に基づいて行うこととするなど、特定秘密の恣意的な指定が行われることがないよう、重層的な仕組みを設けておりまして、本法案の適正な運用が確保されるものと考えておりますので、現時点では、御指摘のような委員会について検討を考えておりません。
  55. 大野敬太郎

    ○大野委員 おっしゃるとおり、もう現時点で重層的なチェック、つまり、例えば、国会にちゃんと情報は提供するんだよ、あるいは裁判所にも情報は提供するんだよ、あとは、問題は、ちゃんとしたプロセス、ちゃんとした条件が整っていればということでありますので、国会の中で国会法の改正とか、あるいは裁判の方も、ここは出口のこちら側としてちゃんと整備しなくちゃいけない、だから、チェック機能はちゃんと整っている部分はある。これはおっしゃるとおりだと思いますけれども、なお一層そのチェックを働かせるために、私はこれは結構いいアイデアなんじゃないかと思うんです。  これはぜひ検討いただければなと思うんですが、その上で、一つ提案なんです。  これは、先ほど寺田委員の御質疑の中で、特別管理秘密、これが四十二万。今どのぐらい特定秘密の数があるのかわからないですけれども、これは恐らくそんなにふえていかないし、そんなにふやしていくべきものではないと私は思っているんです。  例えば、これはキャップをはめて、省全体で、政府全体でこのぐらいだと言っておいて、あとは省庁間で、連絡会議で調整すれば、恐らく調整のインセンティブは働くんじゃないか。あなたの省はもうこれは要らないんじゃないの、あるいは、私はこれを絶対秘密指定したいんだ、こういうインセンティブは政府の中で働くんじゃないかななんて思っていたりするので、こういうのをぜひ御検討いただければと思います。  いい制度になるように、そしていい法律になるように、そして必ず法律が通りますように、大臣も御健闘賜ればと思います。我々もしっかり頑張っていきますので、どうぞよろしくお願い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  56. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、津島淳君。
  57. 津島淳

    ○津島委員 自由民主党の津島淳です。きょうは元気よく質問させていただきます。  まず冒頭、フィリピン台風被害に遭われた方々にお見舞い申し上げるとともに、全ての邦人の皆さんの御無事をお祈り申し上げたいと思います。  本日は、一年生議員の私に大変貴重なお時間を頂戴しまして、額賀委員長、そして理事委員の皆様に心より感謝を申し上げます。  森まさこ大臣、大変スカーフがすてきです。大変お疲れさまです。  岡田副大臣、そして鈴木審議官、連日の委員会への御出席、大変お疲れさまでございます。  大臣、政治家としての森まさこ先生を見ておりまして、ふるさと福島に対する思いというものを非常に強く感じております。その姿を見るにつけ、同じ東北議員として、福島の復興により一層尽力していかなければいけないという思いを強くしております。決意を新たにしております。  また、この委員会で、特定秘密保護法案について、この審議を通じて、また大臣のこの法案にかける思いを非常に強く感じております。この法案について大多数の国民の皆様の御理解が得られるように、真摯にきょうは質問をさせていただきますので、ぜひともよろしくお願いいたします。  そもそも、国家が扱う情報には、公開することで公益に資する情報と、安全保障上、厳重に保全しなければならない情報があります。保全が必要な情報の存在は、先日の参考人質疑においても各参考人が一様に肯定をされ、委員の皆様も共通の認識をお持ちではないのでしょうか。その保全すべき情報について厳正かつ明瞭なルールが法として定められていなければならないという点も、皆様同様の御認識かと存じます。  我が国が自立した、そして成熟した国家であるためには、先進諸国と同様の情報保全制度を整備し、各国との情報共有を行い、国民生命と財産を守る、そして地域の安定に貢献する、そのような我が国安全保障政策を確立していかなければならないと私は思っております。  そこで、本法案制定の必要性について、これは何度も繰り返しの質問になるかと思うんですが、大変心苦しいんですが、大変重要な点でございますので、質問をさせていただきます。  私はこういう認識を持っております。我が国を取り巻く安全保障環境は大変厳しさを増している。そういった中で、また、高度情報通信ネットワーク社会が発展をしております。その中で、情報漏えいのリスクというものは高まっている。そもそも、国が扱う情報には、国民生命財産を守る観点から、公正かつ厳格なルールのもと保持されるべき情報が存在している。一方で、情報公開とのバランスも重要な観点であります。これらを踏まえた上で、我が国において情報保持について法制化することが必要なんだ、こういう認識を私は持っております。  この私の認識について大臣に確認をさせていただきます。不足の点があれば御指摘ください。お願いいたします。     〔委員長退席、今津委員長代理着席〕
  58. 森まさこ

    森国務大臣 本法案の必要性でございますけれども、津島委員のおっしゃるとおりであると思います。  我が国を取り巻く安全保障環境ということでいえば、やはりここ数年の間に、我が国領土各地において、国民の皆様を不安にさせるような状況が立て続けに起こっているという現実から目をそらしてはならないというふうに思います。また、アルジェリアの事件等でもありますとおり、海外にいる邦人、日本人がテロ等の危険な状況の中に巻き込まれることをなるべく事前に阻止し、そしてまた迅速に救済をする、こういったことも必要であるということは、国民の皆様の共通の認識であると思います。また、IT社会の発展による情報漏えいのリスクというものも、同じ認識を共有しております。  一方、今御指摘をいただいたように、情報公開の必要性というものも高いわけでございます。こういった国民生命国家の存立を守るための情報も、全て国民情報であります、国民のものであります。そして、行政権が行使されるとき、国家権力が行使をされるときには、それは全て主権者たる国民に知る権利があるということも当然のことでございます。  ですから、国民の命を守るという要請と、それから国民の知る権利を守るという要請を、十分バランスをとりながら追求していく、そういう法律でございます。  ですので、緊急性もあり、そして重要性もあるということで、この法律をなるべく早期に成立させたいと思っているところでございます。
  59. 津島淳

    ○津島委員 ありがとうございました。  内においては国民生命財産を守る、また、世界を股にかけて多くの企業戦士が活躍している現代社会であればこそ、その日本人の、我々の命を守るこの法案が必要だということ、多くの国民の方も御理解いただけるのではないかと思っております。  さて、この法案については、しかし、相変わらず、何でもかんでも特定秘密、いつまでたっても特定秘密といったような懸念が流布されております。これまでの審議で、特定秘密指定に関してはこの懸念が当たらないということは明らかなんです。今し方も、大野委員が大変わかりやすい御指摘をいただいたと思っております。  明らかなんですが、しかし一方で、まだ懸念がある。国民の皆様にさらにさらに正しく御理解いただくためにこの点は大変重要な点でございますので、お尋ねいたします。  特定秘密にする基準について、諸外国の状況を私なりに比較してみました。米国についてはこれまでの審議で取り上げられておりますので、ここでは、議会制民主主義をとっている英国、イギリスのセキュリティーポリシーの枠組みを取り上げようと思います。  英国では、政府の有する情報その他の資産を三つに区分して指定しております。まず、治安を直接的に脅かす場合、軍隊の実効性等に対して特に重大な損害を与える場合、経済に深刻な長期的損害を与える場合等を機密、国際的緊張を高める場合、軍隊の作戦上の実効性等に対し深刻な損害を与える場合、財政または経済及び商業上の利益に実質的な有形の損害を与える場合等を極秘、軍隊の作戦上の実効性等に対して損害を与える場合、財政または経済及び商業上の利益に実質的に反する場合、主要な政府政策の作成または実施に深刻な阻害要因となる場合等を秘と区分することとしております。これがイギリスのセキュリティーポリシーです。  そこでお尋ね申し上げるのが、特定秘密指定に関しては、従来言われております、恣意性を排除する、その上で統一的な基準が不可欠である、そういう認識を持っております。我が国の統一基準について、その基本的な考え方をぜひともお伺いしたいと思います。
  60. 森まさこ

    森国務大臣 今、現行法では、特別管理秘密、いわゆる特管秘ということで、運用基準ということで各省がばらばらに定めているわけでございますが、本法案においては、特別秘密指定や解除等を統一的に政府で定めようとしておりまして、安全保障に関する情報保護情報公開、公文書管理の分野の有識者の御意見を聞いた上で、特別秘密指定等の基準をさらに定めていく。法律で定めてあります別表を、有識者の会議でさらに細分化して定めていく。それは政府全ての共通の基準になるわけです。  この基準について、では一体どういうことを決めるのかというと、例えばそれは、特定秘密指定をするときの手続でございますとか、どういったものを指定するかという別表の細目的な基準でありますとか、それから特定秘密の有効期限を、こういう事項は大体このぐらいの有効期限、五年が最長でございますけれども、五年したらまた延長するわけでございますが、そこの五年というのは五年以内でございますから、五年以内の四年なのか、三年なのか、一年なのか、そういったことの大まかな基準。それからまた、それを延長、更新していくときの基準。それから、有効期限内であっても解除をする、これは、特定秘密の三要件を欠いたときにはいつでも速やかに解除しなければいけません、そのときの基準や手続。  それから、そういったさまざまなことを公表していく、指定件数でありますとか、別表の何号について何件でありますとか、その有効期限でありますとか、そういったものを公表していく手続、公表の細目等について規定をしていくこと。  これは例えばでございますので、これ以外にも、有識者の皆様の御意見を聞いて、必要があれば細目的な基準を定めていきたいと思っています。
  61. 津島淳

    ○津島委員 ありがとうございました。  各省庁統一の基準が設けられる、また、その点に関しては有識者の御意見を伺ってつくられるということでございました。恣意性を排除する意味で、しっかりとした統一基準を十分な検討を行ってつくっていただきたいと、ここで重ねてお願いを申し上げます。  次の質問ですが、先ほど寺田委員もこれに類似したような質問をなさったんですが、我が国は、先ほど冒頭でも申し上げました、高度情報通信ネットワーク社会というものが形成されており、今後も進んでいくものと存じます。  それとともに、新たなリスクというものが生じております。最近でも、皆さん御記憶かと思います、ウィキリークスの問題であるとか、スノーデン容疑者による情報漏えいが問題になりました。そして今、特定のハッカー集団、アノニマスによるサイバー攻撃もまさに懸念をされているところでございます。  既に、外部通信による漏えいであったり、外部通信に対する漏えい、出張時の通信からの漏えい、物理的持ち出しによる漏えいについて、通信の制限であるとかログの保存であるとか、そういった対策が講じられておりますが、さらなる対策についてお尋ねを申し上げたいと思うんです。  これは、平成二十三年七月一日、当時、民主党政権であったと思いますが、情報保全システムに関する有識者会議の報告、つまり、「特に機密性の高い情報を取り扱う政府機関の情報保全システムに関し必要と考えられる措置について」という報告がございます。かなり子細にわたって検討がなされております。これを踏まえて、特にデータの漏えい防止並びに緊急事態対応に係る方針を定める必要があると私は考えます。  また、情報システムについて、ネットと接続されているオープンシステムとそうでないクローズシステム、それぞれにさらなる対策が必要であると考えております。この点についてお考えを聞かせていただきたい。これがまず第一点です。  次に、さらに、特定秘密情報取扱者行為、例えば、データを、電磁的記録媒体、わかりやすく言えばフラッシュメモリーとかに移して、きょうは自宅でちょっと残りの作業をやろうとか、そういった場合に、紛失したりとか誰かにとられたりとかといったことで、リスクが高まります。実際のその取扱者行為に対して、一定のルール、つまり行為規範の整備の必要性について、お考えをお伺いしたいと思います。
  62. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  まず、システム上の情報漏えい対策としましては、現在、政府内では、情報システムのオープン系とクローズ系の峻別、各端末へのアクセス制限などの措置を講じられており、例えば、先生御指摘のとおり、オープン系では文書作成を行わない、クローズ系には直ちに外部記録媒体を接続させないなど、それぞれについての対策を実施しております。  また、御指摘有識者会議が取りまとめた報告書では、特に機密性の高い情報を取り扱う省庁に対しまして、特に情報漏えい危険性が高い分野としまして、幾つかの提言がされております。その提言に基づきまして、関係省庁を中心に、順次適切な措置が講じられていると承知しているところでございます。  また、二点目の御指摘の、特定秘密取扱者行為によるリスクが高まることにつきましては、御指摘のとおり、特定秘密取扱者による外部記録媒体の不適切な利用等によって、情報漏えいのリスクが高まることが懸念されております。このようなことがないよう、取扱者保全意識の高揚や適性評価の適切な実施に加えまして、ログの保存等、物理的な情報保全措置を徹底するなど、情報保全システムの観点からも総合的な対策を検討していく必要があると考えております。
  63. 津島淳

    ○津島委員 ありがとうございました。  情報を適切に保全する、この機能が果たされてこそ、この法案が生きてくるわけでございますので、さらなる対応に御尽力いただければと存じます。  それでは、最後の質問になるかと思います。  この特定秘密を取り扱う方々の使命というものは、私、崇高にして大変重いものだと思うんです。重い責任を伴います。これは、国民生命財産を守り抜くという高い気概を持ってこの業務に取り組んでいただきたいと思いますし、また、それが実現可能な環境、職場環境ということを整えていただきたいと思います。  そこでお尋ねをするんですが、適性評価を行った結果、特定秘密情報取扱者となった担当者の個人情報は、これは家族、知人も含め記されておりますが、厳重に管理されなければならないと私は考えております。これは、本人の身の安全を図るという上で大変重要でございますし、それは当然のことであって、さらに、その取扱者の関係者に対して行き過ぎた身辺調査などが行われることによって、精神的なストレスが与えられるようなことがあってもならない、そのようにも考えます。  最初に申し上げました、これは崇高な任務でありますし、大変重い責任がある、それが実現可能な職場環境ということを踏まえて、この点についてどのようにお考えか、お伺いしたいと存じます。
  64. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  評価対象者の個人情報取り扱いにつきまして細心の注意を払うことは、プライバシーの保護及び秘密保護、双方の観点から大変重要なことであると認識しております。  本法案におきましては、第十六条におきまして、特定秘密保護以外の目的のために適性評価に関する個人情報を利用または提供することを禁止しておりますが、しっかりとした管理体制をとりまして、個人情報を適切に管理してまいりたいと考えております。  また、適性評価は、法定された調査事項についてのみ調査を実施するものでありまして、適性評価の実施に当たりましては、調査対象者本人の同意を得て、まず評価対象者に質問票を提出してもらい、その内容について、必要な範囲内において、公務所または公私の団体への照会等を含めた調査を実施することとしておりますが、行き過ぎた調査がないよう十分留意してまいりたいと考えております。     〔今津委員長代理退席、委員長着席〕
  65. 津島淳

    ○津島委員 ありがとうございました。  この特定秘密情報を取り扱う方々は、非常に責任が重いゆえに、また高い気概を持って臨んでいただきたい、そのように改めて感じますし、また、取扱者であるということが外部に余りあからさまになると、これは本当に本人の身の危険ということが生じてしまいます。そういった点で、十分な配慮をして、対策を講じられることを望みます。よろしくお願いいたします。  質疑時間が多少ありますので、ここで、冒頭の必要性についても絡むんですが、大臣に改めてこの法案についての御決意といったものをお伺いできればと思うんですが、よろしいでしょうか。
  66. 森まさこ

    森国務大臣 私、先ほども申し上げたんですけれども、あの九・一一の直前までニューヨーク・マンハッタンに住んでいたということから、やはり安全保障に対する問題を大変身近に考え始めたわけでございます。  その後、ワシントンDCの方に移りまして、二年間生活をいたしましたけれども、もう本当に日々状況が緊迫していきまして、テロ危険レベルが、ホワイトからイエロー、イエローからオレンジ、オレンジの次はレッドしかないという、そのところまで来たときに、我々一般国民は、頼りは大使館から来るファクス一枚ということで、やはり国家が、必要な情報テロに対する情報はしっかりと、アメリカにいる日本大使館でもちゃんと掌握をして、我々国民を守ってくれることを切に望んだわけでございます。  そのような中で、テロではなかったんですが、テロではないかというような連続銃撃事件というのがございまして、黒い髪をした方が毎日犠牲になって、毎日毎日死亡者が出ました。ですので、ちょうど時期が一緒だったので、テロではないかというようなこと、それから、日本人またはアジアの者を狙ったんじゃないかというような情報も流布しまして、私どもは、子供たちを外出させるにも大変気を使ったりしたわけでございます。  やはり、緊迫した状況がいつ起こるともわからない、この複雑な国際状況の中ではいつ起こるかもわからない。これは起こらないことが一番いいんですけれども、起こらないようにするためにも、やはりさまざまな、特定秘密に類する、安全保障に関する情報国家は入手をし、そして入手をしたものは漏らさないようにし、きちっと管理をした上で国民の命と国家の存立を守っていかなければならないものと、私は今、国会議員になり、そして大臣の職をさせていただいている中で、強く思うわけでございます。  その一方で、国民の命を守る、その国民の知る権利、国家権力が行使をされているのは全て国民のためです。ですから、国民がその国家権力の行使について情報を得る権利があるのは当然のことです。そして、その知る権利に奉仕をする報道の自由、取材の自由に対する御懸念というのは当然のことであると思います。  ですから、それに対しては、今までの法律には書かれてこなかった知る権利というものを初めて条文に書き込みました。そして、報道の自由、取材の自由に対する尊重という条文もつくりました。  その中で、先ほど言った必要性というものを鑑みながら、早期にこの法律制定させ、いつ起こるかもしれない危機に対して国家がしっかりと体制をとれるようにしていきたい、早期のこの法案成立をお願いしたいと思っております。
  67. 津島淳

    ○津島委員 ありがとうございました。  私も、きょう地元に帰りましたら、この法案の必要性というものを正しく皆さんに理解してもらえるように訴えてまいることをお誓い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  68. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、上田勇君。
  69. 上田勇

    ○上田委員 公明党の上田勇でございます。  まず、きょう、最初に、行政情報公開法案、民主党の提案者、枝野先生も来ていただいておりますので、それにつきまして質問させていただきます。  これまで随分この委員会でも議論が進んでまいりまして、いろいろな点も取り上げられてまいりましたけれども、ちょっときょうは確認の意味で提案者に御質問させていただきたいというふうに思います。  今回御提出いただいている法案の柱の一つになっているのがインカメラの審理だというふうに考えます。  このことについては、最高裁の判例、平成二十一年一月十五日の最高裁第一小法廷での判決でありますけれども、これは、外務省の持っている情報にかかわる情報公開請求裁判に対する判決でありますが、それについて、こういうふうに述べられています。  「情報公開訴訟において証拠調べとしてのインカメラ審理を行うことは、」ここでいろいろな理由が述べられているんですが、要約すると、それは被告側にとっても、また原告側にとっても、その情報を使いながらいろいろと抗弁をすることが難しいということから、「民事訴訟の基本原則に反するから、明文の規定がない限り、許されないものといわざるを得ない。」こういう決定文になっています。  明文の規定があれば許されなくはないということなんだというふうに思いますが、そして、これは、多分この法案はそれに対応するものなのかもしれませんけれども、ただ、いずれにしましても、民事訴訟の基本原則に反するというふうに述べられているわけでありますが、そういう判例の中で今回この法案提出されたことについての御見解を伺いたいというふうに思います。
  70. 枝野幸男

    枝野議員 お答えいたします。  御指摘の最高裁決定は、平成十六年の、沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落した、その事故をめぐる日米間の協議情報公開を求めた裁判における、いわゆるインカメラの請求に対する、できないという決定であろうかと思います。  その決定を踏まえて、まさに形式的には明文の規定が必要であるということで、今回、明文の規定を置いたものでございますが、同時に、実質的にも、この決定は、訴訟で用いられる証拠は当事者の吟味、弾劾の機会を経たものに限られるという民事訴訟の基本原則ということを指摘されておりますので、その趣旨をしっかりと受けとめて、インカメラの要件として、当事者の同意を必要とする。  当事者の同意があれば、証拠調べに立ち会う権利を放棄することについては、現行の民事訴訟法でも認められておりますので、当事者の同意、つまり、証拠調べに立ち会う権利の放棄という条件をつけて、あえて申し上げれば、そこまで最高裁が求めているのかどうかは、これは評価が分かれるところですが、まさに、できるだけ最高裁の趣旨に沿うように、その同意という手続を要件とした上で明文化をしているものでございますので、最高裁の決定の趣旨に沿ったものであるというふうに考えております。
  71. 上田勇

    ○上田委員 ありがとうございます。  やはり、できるだけいろいろな情報に基づいて裁判が行われるということは、おっしゃるとおり、重要なことであって、それが秘密であれば、それだけ真実が解明しにくいというのも事実なんだというふうに思います。  ただ、今おっしゃったとおり、いろいろな課題もあるということで、今回の法案でも、当事者の同意というのが条件になっているということでございまして、やはりできるだけ行政情報をオープンにしていくということは、これは多分各党とも共通している思いであるというふうに思いますので、また引き続き論議をしていきたいというふうに考えております。  それで、次に、これは情報公開法に関することではなくて、提案者にお聞きするのは若干場違いという面もあるかもしれませんが、せっかくでありますので、ちょっと御意見を伺いたいというふうに思います。  菅内閣においては、平成二十二年の十二月に、政府における情報保全に関する検討委員会を設置いたしました。同二十三年一月には、秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議というのを設置しております。  一部ではありますけれども、マスコミなどでは、これは例の尖閣諸島付近での中国漁船の衝突ビデオの流出事件、これがきっかけでこういうような取り組みをしたというふうなことも言われているんですけれども、これは若干違うんじゃないかというふうに私も考えています。  なぜかといえば、あのビデオはもともと、それほどその内容秘密性の高いものとも考えられませんし、それよりも、何より行政機関の長でありました国土交通大臣が初めからその存在を認めているというか、むしろ広報しているようなことでありましたので、これはそんな秘密性の高いものだとは言えないので、これは少しうがった見方なのかなというふうには思いますが。  それはともかくとして、この有識者会議の設置というのは内閣として決定したものでありますから、秘密情報保護に関する法整備が必要であるという認識というのは、当時、民主党政権でも非常に強く持っていたということだろうというふうに思います。  そこで、二十三年八月に有識者会議が報告書を発表しております。その枠組みは、具体的に詰まっていなかった面もあるし、若干、いろいろ検討すべきというような記述もあるんですけれども、ただ、骨組みというか枠組みとしては、今審議しているこの特定秘密保護法案と共通する部分が多いというふうに考えていますが、この報告書に対してはどのように皆さんとして御評価されているのか、お伺いしたいというふうに思います。
  72. 枝野幸男

    枝野議員 御指摘の、秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議の報告書は、平成二十三年八月八日に提出いただいたもの、受け取ったのは官房長官としての私でございます。  秘密保全のあり方についての検討が必要であるということは、民主党政権として、少なくとも菅内閣として認識をし、もし法制化する場合についての検討を専門家の皆さんにお願いしました。  専門家の皆さん、大変熱心な御議論で、いかに本当に必要な秘密を守るのかという観点からは大変適切な報告をいただいたものと思っておりますが、その一方で、御審議いただいたのが、行政法や行政学の先生方を中心として、まさに、いかにすれば保護ができるのかという観点にある意味特化した形での御議論をいただいたかなと思っております。  当然のことながら、これは国民の知る権利との緊張関係のあるテーマでありますので、私は、あの報告書をいただきましたときに、この報告書をもとにしながらも、今後、最も直接利害関係のあるマスコミ、ジャーナリストの皆さんや、情報公開や公文書管理についてさまざまな御意見、知見をお持ちの皆さんの意見もお伺いをした上で、最終的に政権としての方向性、方針を決めなければならないとあの報告書を受け取ったときに思いましたが、その一カ月後に菅内閣は総辞職をいたしましたので、そうした手順に入ることなく引き継がれたということでございます。
  73. 上田勇

    ○上田委員 ありがとうございます。  内容については一定の御評価をいただく一方で、それに対していろいろな御意見もお持ちだということだと理解をいたしました。そういう意味では、今回の内閣から提出されている法案についても、必要性という意味での共有する中で審議というのはできるんじゃないかというふうに思っております。  ただ、今、少し消極的な部分もあるんだというような御発言、というのは、ちょっと私、意外だったのは、その数カ月後、これを十分尊重して、その年のうちに法案化作業を進めるということも、内閣はかわっていたんですけれども、同じ民主党の野田内閣でそういうことも閣議で決定していたので、もう少しその内容については御評価いただいているものだというふうに思っていたので、そこはちょっと意外だったということは申し上げたいというふうに思います。  きょうは、大変忙しいところ、ありがとうございました。  では、内閣提出法案の方に移らせていただきます。  こちらの法案も、この委員会でかなり随分と時間をかけて審議をしてまいりまして、法案内容についての理解も進み、いろいろと疑問に思われていた点もいろいろな角度から明らかになってきた面も多いというふうに思いますが、そうした経緯を踏まえて、さらにちょっとクラリファイしたい点が幾つかありますので、御質問させていただきます。  どこの国においても、外交安全保障、それから犯罪捜査といったことについては、政府情報公開できないものがあるというのは、もう当然のことであり、共通しているものであります。  我が国においても、この法案がない現行の制度においても、機密にしている情報というのはあります。また、外交外国との交渉事などは、その交渉が行われている期間というのはやはりなかなか明らかにできない。というのは、それは国益上必要なことでありますし、さまざまな、そうやって全部がオープンにできない情報というのが行政にあることは、これは当然のことだ。多くの国民もそのことは理解をしているというふうに思います。  ただ、一部論調などから、あたかも、現在は全ての情報がこういうふうに公開、全部オープンなんだけれども、この法案成立するとそれが全部秘密になってしまうんじゃないかというような、ちょっと誤解を招くようなものもあるので、その点、ちょっとお話を伺いたいというふうに思うんです。  今、秘密情報、現行制度のもとでは、先ほどもちょっと質問で出ましたけれども防衛情報という、法律で、自衛隊法で定められているものがあります。それから、特別管理秘密といったもの、特管秘密というような、先ほどから取り上げられている問題がございます。  防衛秘密については、法律できっちり定められているし、今度の法案成立すればそこの部分はなくなることでありますので、いわゆる特別管理秘密について若干お伺いしたいというふうに思うんです。  特別管理秘密というのは、カウンターインテリジェンス機能強化に関する基本方針という、内閣の中に置かれた会議の決定に基づき設けられているというか規定をされているもので、法的根拠というのは、特にそれ以上のものはないんだというふうに承知をしています。  また、今回法案で言っている特定秘密の範囲というのは、その規定ぶりからいっても、特管秘密の範囲よりも相当限定的である。これは、これまで何回かこの委員会の審議の中でもそういう御答弁をいただきました。  また、特別管理秘密を扱う者の人的管理のための秘密取扱者適格性確認制度というのがありますけれども、これと、法案十二条に定められている適性評価、これも、類似しているようでいろいろな相違点もあるんじゃないか、あるいは、特管秘密については、指定解除、その基準というのはどういうようになっているのかなど、特別管理秘密制度の概要について、今回提出されている法案との対比も含めて御説明をいただければというふうにお願いをいたします。
  74. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  特別管理秘密制度は、カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針に基づきまして、特別に秘匿すべき情報につきまして、物的、人的管理を厳格に行い、情報漏えいの絶無を期するためのものでございまして、平成二十一年四月から導入しております。  特別管理秘密対象範囲につきましては、「各行政機関が保有する国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項であって、公になっていないもののうち、特に秘匿することが必要なものとして当該機関の長が指定したもの」である一方、本法案に定める特定秘密は、「行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えい我が国安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの」であり、特定秘密は、現行の特別管理秘密よりさらに対象範囲が限定されております。  また、秘密取扱者適格性確認制度とは、特別管理秘密を取り扱うことについての適格性を確認する制度であり、秘密取扱者適格性確認制度の実施に関するガイドライン等に基づき行われている一方、本法案に定める適性評価とは、「その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価」を定めるものであるが、その調査事項につきましては基本的に同様なものが規定されております。  特別管理秘密指定の解除については、その要件が欠けた際に各行政機関の長が行うこととされておりますが、特定秘密に関しましては、法案第四条四項に定めるとおり、規定の要件を欠くに至ったときは速やかにその指定を解除する旨が定められております。
  75. 上田勇

    ○上田委員 ありがとうございました。  今、いろいろな項目について御説明をいただいて、概括をしますと、今ある特別管理秘密よりも、今回法案で設定をされる特定秘密というのが、範囲は非常に狭めて限定をする、そして、そのかわり、そこの管理は厳格にし、また、さまざまなルールも、きちんと法律あるいはそれに準ずるようなルールで定めていく、より明確になるものだというふうに理解をしております。  次に、今度の法案で言っている特定秘密指定の有効期間、三十年を経過した後のことについてちょっとお聞きをしたいというふうに思うんですが、特定秘密指定の有効期間というのは最長で通算三十年となっていて、その後というのは、一つ指定解除になる、または内閣の承認を得て次の五年以内で指定を延長する、このいずれかだというふうに理解をしています。  指定が解除になった場合、これもまた二つあって、一つ、歴史公文書等の重要文書などを含むものについては、これは公文書管理法の規定に基づいて国立公文書館に移管をされる。それで、そこで法律にのっとって適正に扱われるということであります。もう一方で、ただし、その他の文書、今申し上げたもの以外の文書については、内閣総理大臣協議をし、同意を得れば廃棄できることとなっているという規定になっております。  この規定があるために、重要な文書等が政府だけの判断で廃棄されてしまうんじゃないか、そのことによって、秘密指定をされていた文書等の範囲も、果たしてそれが適切だったのかわからなくなってしまうんじゃないかというような疑問も提示をされています。  そこで、基本的には解除になったものは公文書管理法に基づいて扱われるんだけれども、廃棄をされる文書、これは、こんな重要文書というものがあるのかどうか、廃棄する文書というのはどういうものなのか、事例をもって、ひとつわかりやすく御説明をいただければというふうに思います。  定性的に言うとなかなかわかりにくい部分なので、ひとつ事例も含めてお話をいただければというふうに思います。
  76. 森まさこ

    森国務大臣 御指摘のとおり、特定秘密の文書も、保存期間が満了すれば、指定が解除をされた場合ですけれども、普通の行政文書と全く同じになりますので、移管するか、それか総理の同意を得て廃棄されるか。  それで、廃棄をされるような文書はどんな文書があるんですかということでございますけれども、例えば、断片情報を記したメモのような文書でありますとか、それか原本が別に保存をされている複写物などがあります。
  77. 上田勇

    ○上田委員 ありがとうございました。  いわゆるいろいろな政策の決定にかかわったような文書というのは、基本的に公文書管理法の規定に基づいて適正に処置をされる、そうでないさまざまな、断片的なものであるとか、いわゆる公文書館に保存をしてその後検証するというようなことになじまないような文書については、内閣総理大臣でありますけれども内閣の中で判断をして廃棄をされるものもあるという理解だというふうに思っております。  特に、その中には、私もいろいろ各行政機関などから伺ったら、例えば防衛省などでは、暗号の一部だとか、あるいは何か通信をしているものの波形の記録だとか、そういったものが数としては多くなるんじゃないかというようなお話も伺ったところであります。  ここはぜひ、政府としても、本当に、政策の決定にかかわったようなものの内容というのは、やはりきちんと、他の公文書と同様に、特定秘密であっても法律にのっとって扱われていくんだということを、広報というか、しっかりと強調していただければというふうにお願いをいたします。  もう一つは、指定を延長する場合、今度の法案では、各省あるいは各機関だけで判断するのではなくて、内閣全体が責任を持って判断をするということになっておりますが、その意義は非常に大きいというふうに思います。実際には、内閣情報官のもとで内容が精査、整理されて、閣議で決定されるというような手続がとられるんだというふうに考えますが、その際に、政府以外の第三者的なチェックが必要という意見も多く示されています。  先日の参考人の先生方の意見陳述と質疑の中では、第三者機関が秘密指定の延長の適否について判断するというのは、なかなか現実的ではないんじゃないのかなという意見も多かったというふうに承知をしております。ただ、一方で、やはりそういう、政府だけじゃなくて第三者的な視点を入れるということも、これは信頼性の向上という意味では一つ傾聴すべき点ではないかというふうにも思います。  今想定されている仕組み、私の理解では、この法案有識者会議というのが設置をされますが、この有識者会議が、特定秘密内容が該当するか否か、これは中身を読めませんので、そこを判断するということはしませんけれども内閣情報官のもとでの事務的なことから含めて、内閣がそういう適切なプロセスに基づいて精査し、決定をしている、そのことについて報告を受けて、そういう意味では、その手続、作業の内容についてはチェックをすることになっているというふうに理解をしています。  これは、有識者会議に毎年政府特定秘密指定、解除の実施状況などを報告するというふうな方針であるというふうにも伺っておりますので、そういった一環の中で、指定の延長についてもそういう一定のチェックが働くのではないかというふうに理解をしております。  こうした仕組みで、一定の第三者的なチェック、それが機能するのかどうか、その辺の御見解を伺いたいというふうに思います。
  78. 森まさこ

    森国務大臣 この有識者会議でございますけれども委員指摘のとおり、その実施状況についても、行政機関の長のときもあるし、それから、三十年を超えた場合には内閣の場合もございますし、そこからきちっと報告を受けて、それをまたチェックするということになりますので、特定秘密指定状況、更新状況、解除状況、また件数等々を有識者会議で報告し、また御意見を伺っていくということになっておりますので、そこで第三者のチェックというものが一つ働くと思っております。
  79. 上田勇

    ○上田委員 先日の参考人質疑の中でも、具体的な内容まで第三者機関が判断をするということについては、難しさ、それから、実際にさまざまな壁があるという御意見がありました。  今回、そういう意味で、どういう作業を内閣や各行政機関の長としているのか、そこを第三者が見ることによって、実際の作業の内容は、そこは行政の方にお任せするしかないわけでありますけれども、そういう、外形的というんでしょうか、プロセスのチェックというのが働くような形をとっているというふうに考えております。  この有識者会議がどれだけしっかり機能していくのかといったことが、ある意味これからこの制度の信頼性にかかってきているというふうに思いますので、その点は、これからの運用に当たりまして、ぜひ特段の意を尽くしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  以上でございます。
  80. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、武正公一君。
  81. 武正公一

    武正委員 民主党の武正公一でございます。きょうは質問の機会をいただきまして、感謝申し上げます。  お手元の方に資料も配らせていただいておりますので、ごらんをいただきたいと思います。  特定秘密保護法案NSC法案に続いての審議ということで、その中で、きょう特に取り上げたいのは、情報公開法あるいは公文書管理法など、これまで進めてきた流れが後退をするのではないのか、こういった懸念があるものですから、まずお伺いをしていきたいと思います。  いわゆる日米密約の解明の評価について、外務大臣にお伺いをしたいと思います。  これは、政権交代直後、平成二十一年九月の初閣議の夜に岡田外務大臣から外務省で指示が出されまして、十五名のプロジェクトチーム、四千四百二十三冊のファイル、そして三十五点の文書を特定し、また一方、いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書、北岡伸一先生が座長、計六名によるもの。  あわせて、私も当時、外務副大臣委員長代理になりましたが、外交文書の欠落問題に関する調査委員会などで取り組んできた中で、いわゆる四つの密約につきましては、核持ち込みに関する密約は、広義の密約がある。朝鮮有事の戦闘作戦行動に関する密約は、狭義の、狭い意味での密約がある。有事の際の沖縄核持ち込みの密約は、密約があるとは言えない。沖縄返還時のいわゆる肩がわり密約は、これも広義の密約がある。いわゆる四つのうち三つはその存在を確定いたしましたが、これについての評価。  あわせて、お手元に配っておりますが、二ページ目、平成二十二年五月二十五日、外交記録公開に関する規則、訓令を外務省で発しております。ここには、いわゆる三十年公開ルール、「原則として作成又は取得から三十年以上経過したものを」ということを明記したわけです。  それぞれの評価について、外務大臣にお答えをいただきたいと思います。
  82. 岸田文雄

    ○岸田国務大臣 まず、一点目の密約の解明についての評価ですが、今触れていただきましたように、密約問題につきまして、外務省において調査を行い、結果及び関連文書、平成二十二年三月に公表をしております。  当時の状況について簡単に判断できるものではありませんが、今触れられました有識者委員会報告書の中におきましても、次のような文章がありまして、外交には、「ある期間、ある程度の秘密性はつきものである。」とした上で、外交に対する評価は、「当時の国際環境や日本国民全体の利益(国益)に照らして判断を下すべきものである。」こうした指摘もされております。  しかし一方で、この問題がこれほど長期間にわたって国民に対し明らかにされてこなかったこと、このことについては遺憾に考えております。  政府としましても、今後とも、国民とともに歩む外交を実践していきたいと考えております。  そして、二点目の、外交記録公開に関する規則、これに対しての評価でありますが、外務省の記録の公開につきましては、昭和五十一年から公開を実施して、平成二十年末まで、計二十一回にわたって一万二千冊強の文書を公開しております。そして、その後、御指摘のこの規則が制定された平成二十二年五月から今日まで、合計一万三千百九十五冊の文書が外交史料館に移管されております。  この規則が制定される前と規則が制定された後の公開文書のボリュームを考えましても、こうした規則によって成果が上がっていることは認識をしております。ぜひ、現政権におきましても、引き続き、こうした規則、関連法令に基づいて積極的に公開を進めていかなければならない、このように考えております。
  83. 武正公一

    武正委員 先ほどちょっと触れましたが、いわゆる四つの密約については、四つのうち三つ、広義の密約ということも含めてあるというふうに確定をしたんですが、それについての評価はいかがでしょうか。
  84. 岸田文雄

    ○岸田国務大臣 我々も、この調査報告書の中身、内容につきましては、引き続きしっかりと引き継いでおります。こうした報告書の中身につきましては、外務省としてしっかり引き継ぎ、そして今後も、こうした情報の問題については、しっかり管理、努力をしていきたい、このように考えております。
  85. 武正公一

    武正委員 政権交代が起きて、外交安全保障、これはやはり継続するところは継続していかなきゃいけないということで、それが二〇〇九年九月に問われたとも思いますし、今のお話では、しっかり検討ということで非常に曖昧な答弁なんですが、私はやはり、歴史の史実、これは、政権交代があろうと、どの政権であろうと、しっかりと直視をしていくべきであろうということを申し上げたいと思います。  防衛大臣にも聞きたいんですが、ちょっと時間の関係で、また後で時間があればこれについても触れたいと思います。  そこで、いわゆる日米密約は、外務省において、極秘、あるいは秘、あるいは先ほどからお話がある特管秘、いずれに当たるのか。これに加えて機密というのもありますが、これについてお答えをいただきたいと思います。
  86. 岸田文雄

    ○岸田国務大臣 いわゆる密約問題につきましては、先ほど答弁させていただきましたように、この調査を行って、結果そして関連文書を平成二十二年三月にもう既に公表済みでありますので、極秘にも、それから特別管理秘密にも当たらないと認識をしております。
  87. 武正公一

    武正委員 私が伺ったのは当時ということでありますので、あるいは過去ということで、そのときに、外務省で決めている、今、機密のことも言いましたが、機密、極秘、秘に指定をされていたのかどうか。
  88. 岸田文雄

    ○岸田国務大臣 関連文書の中で、平成二十二年に公表される以前の取り扱いですが、その中には極秘に指定されていたものもございます。  それぞれの文書の秘密指定については、当時の我が国が置かれていた状況、取り巻く国際情勢の中で、秘密保全の必要性等を踏まえた上で判断したものと思います。
  89. 武正公一

    武正委員 本法案が施行されますと、今回、密約の解明なので、外務省の現役、OBへのヒアリングなども行ったわけでありますが、今回の罰則強化というようなことで、こういったことができなくなるのではないのかというようなおそれがありますが、この点についての御所見を伺いたいと思います。
  90. 木原誠二

    ○木原(誠)大臣政務官 お答え申し上げます。  いわゆる密約問題につきましては、先生も御指導いただいた中で、外務省の調査チームが徹底した調査を行いまして、その結果及び関連文書を平成二十二年に公表済みでございまして、この密約問題に関してさらなる調査を行うということはないというふうに承知をしております。その意味で、今回の特定秘密制度が問題になるとは考えておりません。  なお、一般論として申し上げますと、外部有識者を非常勤の国家公務員に任命して守秘義務をかけた上で、この法案上、適性評価を行い、特定秘密取扱者として指定することが可能でございますので、今後とも、特定秘密制度に起因する問題が生じるということはないものと承知をしております。  以上でございます。
  91. 武正公一

    武正委員 ただ、外務大臣、どうですか。今、政務官はそういうふうに言ったんですが、OBも含めてこれはその後も特定秘密の守秘がかかるわけでありまして、しかも罰則強化されているということでありますので、歴史の史実を検証するといった意味では、私はこれは影響があるのではないかというふうに思うんですが、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
  92. 岸田文雄

    ○岸田国務大臣 例えば、先ほどの密約の問題につきましても、密約問題の調査におきまして、外部有識者を非常勤の国家公務員に任命し、そして、国家公務員法の守秘義務をかけた上で有識者のヒアリングを行う、こういった作業を行っておられます。  これは、一般論として申し上げれば、この法案の第五条に当たるかと思いますが、第五条の中で、「行政機関の長は、」「当該行政機関において当該指定に係る特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲を定める」となっております。この条文に従えば、外部有識者に対して、密約問題の調査において行ったことと同じことができると考えます。  よって、この特定秘密の制度によって、今までできたことができなくなるとか、新たな問題が生じるということは考えられないと思います。
  93. 武正公一

    武正委員 政務官も同じだったと思うんですが、ヒアリングをする側の話じゃなくて、受ける側の話なんですね。  ですから、今回、外務省の現役またOB、既に民間で活躍されている方々に対してもヒアリングをしているわけで、その方々が、いや、これは特定秘密指定されていますから答えられませんということが想定されるのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  94. 岸田文雄

    ○岸田国務大臣 ヒアリングというのは、要するに、密約問題の調査のように、実態を解明するためのヒアリングですね。  そのヒアリングについて、先ほど申し上げたような形で、非常勤の国家公務員に任命して守秘義務をかける、こういった作業を行ってヒアリングを行った、こういったことでありましたが、先ほど申し上げましたように、この五条の規定に基づけば、同じことを外部有識者に対しても行える、同じヒアリングができるというふうに解釈しますので、特段、この制度によって、密約問題における実態解明の際に行われたようなことができなくなる、そういったことにはならないと考えます。
  95. 武正公一

    武正委員 私が言っているのは、ヒアリングをする方ではなくて受ける側、される側。される側に今みたいな守秘義務をかけてということではないわけですから、される側が、特定秘密を理由に、これは答えられませんということでは困りますねということなんです。
  96. 木原誠二

    ○木原(誠)大臣政務官 お答え申し上げます。  最終的には、行政機関の長、私どもの場合は外務大臣の御判断をいただくということでありますが、本法案上、行政機関の長、私どもの場合外務大臣が、特定秘密指定要件を欠くに至った、有識者のヒアリングを通じて、外務省の現役あるいはOBの方のヒアリングを通じて、結果としてこれは特定秘密指定要件はもうないんだということが判断された場合には、有効期間内であっても速やかにその指定を解除するということができることになってございますので、議員御懸念の、外務省のOBあるいは外務省に新たに特定秘密に関する義務が課されるということになった場合においても、結果においては、最終的には外務大臣判断によって、この特定秘密の制度に起因する問題が生じることはない、このように考えております。
  97. 武正公一

    武正委員 長の判断でということでありますが、やはり、三十年なり経過をしたことがこの密約解明などでもありましたので、三十年の間ずっと特定秘密指定されている間に、当然、文書がどこかに行ってしまうとか、あるいはまた、そのことが闇に葬られるとか、そういうようなこともありますので、私は、何か免責のようなこともあってもいいのかなと。そういうようなことがないとやはり安心してしゃべれないといったことになりますので、史実の解明という点では、こういった点を提案したいというふうに思っております。  そこで、次に、カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針、お手元資料の一番後ろの方は全部それなんですね。十二ページ以降は全部それなんですね。平成十九年八月九日策定ということで、これは、平成十九年八月九日というのは第一次安倍内閣でございます。  今回の法案は、先ほども質疑がありましたが、菅政権あるいは野田政権、この法案のもとはそこなんだというお話がよくありますが、私は、この法案のもとというのは、このカウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針、第一次安倍内閣にあるのではないかというふうに思っております。  ここでいわゆる特管秘というものが指定をされるということで、先ほど来、四十二万件の特管秘、これがほとんど、若干減るかもしれないけれども特定秘密になりますよと、そういったことからも符合するわけであります。  まず、官房副長官、お見えいただいていますので、これを見ると墨消しだらけなんですね。このインテリジェンス機能の強化に関する基本方針、今裁判中というようなお話も伺っておりますが、この基本方針がやはり本法案の審議には私は欠かせないというふうに思いますので、なぜ墨消しなのか、そしてこれは消せないのか、これを伺いたい。  そして、先ほどの資料、もう一回戻りますけれども、三ページに、今回の特定秘密に符合するであろう特管秘が四十二万件だという資料を、内閣官房にお出しをいただきまして、お配りをしております。ただ、防衛省のところが四万七千五百八十三件なんですけれども、五ページを見ていただきますと、特別防衛秘密の件数は防衛省は一万件、それから防衛秘密の件数は三万件、都合四万件。これは平成二十三年末ですから、三ページは平成二十四年末ですので、多分、この間に七千件ほどふえているんだと思います。  ただ、その下に点数というのがありまして、防衛省に聞きますと、いわゆる他省庁の言っている件数はこの点数なんだと。そういうことになりますと、特別防衛秘密防衛秘密を合わせると三十万件ですから、その差が二十六万件。ですから、四十二万に二十六万を足した六十八万。また、特別防衛秘密は除くとしますと、十三万減りますと五十五万。ですから、当初、皆さん大臣あるいは総理などが答えておられる四十二万、若干減りますというのが違うのではないのか。  この二点について、官房副長官の御所見を伺いたいと思います。
  98. 加藤勝信

    ○加藤内閣官房長官 今お話がありましたカウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針、委員提出された資料にもございますけれども、この不開示部分については、クリアランスの手続、カウンターインテリジェンスに関する情報の収集、分析及び共有の体制などが具体的に記されておりまして、これを明らかにした場合には、政府全体の情報保全に係る事務の適正な遂行に支障を及ぼし、国の安全が害されるおそれがあるということで、不開示にしているわけでございます。  また、これに関して、もちろん不開示にするに当たっては、二十三年十二月に開示請求があり、そして、情報公開・個人情報保護審査会、そこでは、一部は開示をしたらという話がございまして、それを踏まえて、平成二十四年の八月二十四日に今の形でお出しさせていただいたということでございます。今の不開示については、当該情報公開・個人情報保護審査会においても相当という判断がなされている、こういうふうに認識をしているところであります。
  99. 武正公一

    武正委員 もう一点聞いたんですけれども。この件数が四十二万件ではないのではないのかという点。
  100. 額賀福志郎

    額賀委員長 鈴木審議官。
  101. 武正公一

    武正委員 いやいや、ちょっと、私はそれぞれ大臣に伺うようになっていますので。通告していますよ。
  102. 額賀福志郎

    額賀委員長 一応説明した後、大臣に答えさせます。
  103. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  先生の御指摘の五ページ目の件数と点数ですが、件数というのは原義のことを指しまして、点数というのは原義と複写を含めた総数を指します。  従来から御説明しています特別管理秘密の件数四十二万件というのは、原義だけの数字でございます。
  104. 武正公一

    武正委員 防衛大臣が来られているので直接伺った方がいいと思うんですが、私が伺うところでは、他省庁で言う件数というのはこの点数に当たるということでありますので、特別防衛秘密を含めないとすると、平成二十三年末、正しいのは十七万件で、この三万件を除く十四万件を加えなければならないというふうに思うわけですが、この点はいかがでしょうか。
  105. 小野寺五典

    小野寺国務大臣 今、件数のお尋ねですが、平成二十四年度末の特別管理秘密の文書等の総数は四十二万件と承知しておりますが、このうち、防衛省における平成二十四年度末の特別管理秘密文書は四万八千件ということになります。
  106. 武正公一

    武正委員 ただ、五ページを見ていただくとおわかりのように、特管秘というのは特別防衛秘密防衛秘密なんですね。ですから、三ページの表で四万七千件と言っているのは二十三年末の四万件ですから、多分、二十四年末は四万七千件なんでしょうけれども、他省庁で言う件数というのがこの点数に当たるということですから、三十万件プラスしないといけないということが私の指摘であります。いかがでしょうか。
  107. 森まさこ

    森国務大臣 今審議官から説明があったとおり、点数というのは複写等も含めた数ということでございますので、特別管理秘密の件数というのは、各省庁の件数を足したもので答えさせていただいております。防衛省の方で、点数というのが他省庁の件数に当たるという御説明があったということでございますが、そういった説明については私の方では承知をしておりません。
  108. 武正公一

    武正委員 複写、複写と言って、コピー、コピーと言って、本当にそうなんですか。私の説明では、他省庁で言う件数は、下に書いてある十三万、十七万で三十万なんだ。だから、これを素直に足せば、四十二万ではなくて、四万を引いた二十六万を足して、六十六万が特管秘だということなんですけれども、違いますか、防衛大臣
  109. 小野寺五典

    小野寺国務大臣 今、森大臣からもありましたが、他省庁も件数で出しているということですので、私ども防衛省の件数は四万八千件ということになります。
  110. 武正公一

    武正委員 では、森担当大臣内閣官房の三十一万八千件というのは、これはよく、先ほど来お話がありますよね、いろいろな通信の写真、衛星の写真などということでありますが、この件数が非常に多いですよね。防衛省が実はプラス四万七千ではなくて二十六万なんだ、三十万なんだというところが非常に符号が合うわけなんですけれども、複写、複写と言いますけれども、こういった件数が実態の件数なんじゃないでしょうか。
  111. 森まさこ

    森国務大臣 特別管理秘密、いわゆる特管秘には複写は含まれませんので、この三十一万八千八百八十六件というのは複写は含まれておりませんし、先ほどの防衛省のものは別のものであって、ここに、約四万八千件だと思いますけれども、それを合わせた総数が約四十二万件ということになっております。
  112. 武正公一

    武正委員 審議官に伺いますけれども、複写等と言われましたよね。私が聞いているのは、そんなに複写がいっぱい、三十万件も、だって、コピーを何でこの点数として挙げるんですか、特管秘、防衛秘密指定に。防衛秘密ですよ。特別防衛秘密ですよ。そんな、コピーを一々指定するんですか。審議官、どうですか。
  113. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 特管秘にはコピーは含まれておりませんので、先ほどの三十一万何千件というものにはコピーは入っておりません。
  114. 武正公一

    武正委員 入っていないんですよ。入っていないので、だから、プラス三十万件あるんですよ。三十万件が特別防衛秘密防衛秘密なんですよ。
  115. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 特別管理秘密には入っておりませんと申し上げましたので、特別防衛秘密の方は、申しわけありませんけれども防衛省にお問い合わせいただきたいと思います。
  116. 武正公一

    武正委員 では、防衛大臣、どうですか。先ほどコピーと言いましたが、この点数というのはコピーなんですか。私が聞いているのは、他省庁で言う件数がこの点数なんだ、ただ防衛省はこういう仕切りをしているんだということですから、四十二万件ではなくて、六十六万件なり六十八万件なりになるのではないでしょうか。
  117. 小野寺五典

    小野寺国務大臣 防衛省は、防衛秘密特別防衛秘密、これを合わせて四万八千件ということであります。そして、当然、このような文書でありますので、仮にそれをコピーした場合にも、同じくそれをしっかりと保管しているということですから、その点数は三十万点ということになります。
  118. 武正公一

    武正委員 では、この三十万は全部コピーということでよろしいですか。
  119. 小野寺五典

    小野寺国務大臣 原義、いわゆる原本ですね、原義については四万八千件、そして、当然、それを複写した総合計は三十万点ということになります。
  120. 武正公一

    武正委員 原義のコピーということで今承りましたが、私は、説明では、他省庁の件数と横並びだというふうに伺っていますので、この点は、改めて同僚議員からもまた聞いてもらいたいと思いますし、まだまだ不明確だというふうに思います。  また、先ほど官房副長官、この墨消しはやむを得ないんだというお話がありましたが、やはりこの特定秘密保護法案の審議にとっては非常に欠かせないので、ぜひこれを理事会で御協議いただいて、何らかの形で、それこそ秘密会にするか、あるいは理事会限りにするか、何かの工夫をしないと、私はやはり本法の審議に多とできないというふうに思いますので、この点は理事協議をお願いします。
  121. 額賀福志郎

    額賀委員長 理事会で協議をします。
  122. 武正公一

    武正委員 時間もちょっと押してまいりました。  手元の方の資料で、外務大臣防衛大臣にお聞きをしたいんですが、民主党の部門会議提出をしていただいたものがございます。九ページが外務省、それから十ページが防衛省。  それぞれ、これまで国会に提出をいただいた資料、あるいは、いわゆる墨消しというものは影響を受けないだろうというようなことについて、これについて文書を出していただいていますが、これはこのとおりでよろしいか、外務大臣防衛大臣に伺いたいと思います。
  123. 木原誠二

    ○木原(誠)大臣政務官 お答えを申し上げます。  本法案に基づきまして特定秘密指定されることが想定される情報は、現行の法令において秘密とされている情報のうち、特に秘匿度の高いごく一部の情報でございます。したがいまして、現行の法令上必要に応じて黒塗りをしたものを含めまして、これまで先生方に提出をしてまいりました資料につきましては、本法案成立によって、それらが提出できなくなったり、黒塗り部分が拡大するということは想定されておりません。したがいまして、提出させていただきました資料のとおりということでございます。
  124. 小野寺五典

    小野寺国務大臣 防衛省も、防衛省が従来開示していた情報特定秘密保護法の施行に伴って特定秘密となることや、これまで国会議員に提出していた資料について、提出できなくなったり、黒塗り部分が拡大することはないと考えております。
  125. 武正公一

    武正委員 時間が参りましたので、ちょっと質問が途中でしたけれども終わらせていただきますが、先ほどの四十二万件、これがやはりこの審議のベースになっておりますので、これが四十二万件ではなくて六十八万件ではないのか、あるいは、特定防衛秘密だけを除いた分としても、四十二万件ではなくて五十数万件という懸念がありますので、この点については引き続き理事会でぜひ御協議をいただいて、審議の基本のところの答弁ですので、御確認をいただきたいとお願いを申し上げたいと思います。
  126. 額賀福志郎

    額賀委員長 理事会で協議をいたします。
  127. 武正公一

    武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  128. 額賀福志郎

    額賀委員長 この際、休憩をいたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後一時二十二分開議
  129. 額賀福志郎

    額賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大島敦君。
  130. 大島敦

    ○大島(敦)委員 民主党の大島です。  きょうは、何点か、法文の十条関係について質問をさせていただきます。  今回の法案の中で、外国との情報の共有ということが挙げられております。多分、テロ等も入ってくるかとは思うんですけれども、二〇〇一年九月十一日のニューヨークの貿易センタービルのテロ事件があったときのことを思い出しておりまして、九月十一日、埼玉県の自宅に帰ってテレビを見ると、一機目がまずビルに激突をして、二機目が激突をしたときに、これは世界じゅうでこのテロは起きているのかなと直感したものですから、夜、国会、議員宿舎まで戻ってきまして、東京も何があるかわからないので、一応東京に出向こうということで、こちらの方に来たことを思い出します。  翌日、議員会館に出てみると、結構平和な日本があったものですから、意外と我が国というのはそういう危機管理について非常にいい国だったなということを、考えなくてもよかった国だなということを痛感した次第なんです。  それで、この十条について何点か質問をさせていただきたいのは、私たちは国会議員としての責務を負っていると思っています。  今、当委員会は、額賀委員長のもと、各理事皆さん一つ一つ協議をしながら委員会運営を行っております。私は、この立法府の一員として属することに対して誇りを持っていまして、私たちの役目というのは、行政府に対する監視の機能、権力を抑止する機能だと思っております。これは、与党の皆さん、野党の皆さん関係なく、ハウス、立法府に属する私たちは、権力というものをある程度封じ込めるという仕事が必要なのかなと。  それで、今の国会の運営というのは、委員会の審議あるいは採決についても、その日程管理一つ一つ積み上げながら行って、そのことによって国民の納得感あるいは権力というものの抑止がされているかなと思っております。  私たち国会議員に与えられている議員特権というのがありまして、それは、歳費の受領権、不逮捕特権、そして免責特権という、憲法上規定されている議員特権があり、その議員特権に基づいて私たちの言論というのは、これは、主権者たる国民の負託を受ける。  主権者たる国民意味というのは、国民皆さん一人一人が日本のオーナーだと思っています。その日本のオーナーたる主権者たる国民が、しっかりとした行政の情報を得て、そして議論することによって国のあり方を決めよう、そして、国民一人一人ですと議論がまとまらないものですから、選挙という制度を通じて私たちが選ばれ、そして国会の中で審議をされていると思っています。  ですから、私は、今よく、伊吹文明議長も立法府ということを極めて意識していらっしゃる議長でいらっしゃいまして、その見識には深く敬意を表するところなんです。  今回の十条の法文、私の読み方としては、こういうふうに読んでいます。  今回の法案の中では、特定秘密の国会への提供について、三つの条件を満たす場合に限定していると思っています。一つは、国会が秘密会において特定秘密を利用すること。二つ目は、国会が、特定秘密を知る者の範囲の制限、業務外利用の防止その他の特定秘密保護に必要な政令で定める措置を講じること。三つ目が、行政機関の長が、我が国安全保障に甚だしい支障を及ぼすおそれがないと認めたときに特定秘密を国会に提出するというふうな法文の読み方をしているんですけれども、その私の読み方でいいかどうかについての、大臣としての御答弁をいただければと思います。
  131. 森まさこ

    森国務大臣 十条一項については、国会において特定秘密保護するために必要な措置を講じており、かつ、我が国安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときに、国会に特定秘密を提供することができるというふうに定めております。
  132. 大島敦

    ○大島(敦)委員 私が一番最初にこの条文を見たときに若干ひっかかりを持ったのは、行政府の長が、国会にその特定秘密を提供するについてのまずは判断権を持っているということ。  行政府の長には、国会議員あるいは立法府に属する方もいらっしゃいますけれども、当委員会の参考人としてお二人の方、委員長のお許しを得て、行政マンの方を、例えば警察庁の長官なり公安調査庁の長官政府参考人として意見を伺えるようにしているんですけれども、この二人は政府に属していらっしゃる方で、私たち国会議員のように選挙を経て行政府の長にいるわけでもなく、総理によって指名をされている民間の方でもないわけなんです。その方が特定秘密を立法府に対して出すか出さないかを決める権限を持っていることについて、若干こだわりを持っているところなんです。  私も、これまで与党を三年間経験させていただいて、政府の中で立法作業に携わったことがあります。立法作業に携わるときには、必ず、例えば公務員制度改革法案のときにも、週二回、課長以上、ワンテーブルで議論しながら、一つ一つ法案を詰めながら作成していきます。役所の方が納得しなければ、それは、私が民間企業なり関係するところに取材を一緒にしながら、その法案についての骨子を決めていきます。  やはり政治家が法案に関与するというのは、行政府に属する役所の方は極めて優秀です、ただ、世間とは若干感覚が違うところがあります、選挙で選ばれた私たちが、大臣あるいは副大臣、政務官として行政の中に入って、そして、時代の空気というのを役所の方に伝えながら法案をつくるというのが私は必要だと思っていまして、今回のこの条文を見たときに、本当に立法府に属する方がこういう法案をつくったのかなという意識があるんです。仮に私がこの法案に携わっていたとすれば、この部分については国会法に委ねていたかもしれないんです。  本当に行政府の長、行政マンの方が私たち立法府に対して出す権限を決めていいかどうか、政令に置かれています。私たちの秘密会のあり方も、要は、政令において秘密会のあり方を決めてくれということになっています。これまでの答弁でも、政令というのは、議会の自治があるから、それは議会で決めてくれと言うんだけれども、その政令の中でも、ある程度拘束されるわけです。  その点について、私は、今回の法案の立て方として、立法府よりも行政府の方が上位に属しているという、要は上位にあるのではないかという見方をするわけなんです。  そのことについての御答弁をいただければと思います。
  133. 森まさこ

    森国務大臣 これは、行政府が立法府よりも上位に存するという趣旨で定めたものではございませんで、通常、例えば自衛隊法にも、このような規定がございません。  ですので、国会法によって、理由を疎明し、その理由が受け入れられないときは声明を出して、そして提出しないという手続になってしまうわけですけれども、それを特にここに書いたことによって、保護措置を講じた場合には、これはもう原則提供することになる、声明を出さなくても提供することになるということを定めたものであります。  ですので、国会に特に配慮した規定となっております。
  134. 大島敦

    ○大島(敦)委員 私は国会法に委ねた方がいいと最初にこの条文を見たときに思ったのは、与党は国会の中においても過半数を形成しているわけです。党があって、内閣政府があるわけですから、ここの連携というのは極めて綿密にとられているのかなと思いまして、ここの部分については、私でしたら、与党の皆さんお話をして、議員立法に委ねたい、ここの部分は切り離して、議員立法で、要は、国会の自律権は、国会で決めてくれということをしたと思う。  そのことについて、今回は、そういう答弁は今までも何度もこの場で伺っているんですけれども、違和感を覚えるんです。  それで、今回の法案で、秘密会を開き、私たち国会議員が秘密会のメンバーとして臨み、外に行って、国会外のところでその秘密に触れたことについて述べた場合の罰則規定について伺わせてください。どういう罰則になるか。
  135. 森まさこ

    森国務大臣 これは、知得者としての五年以下の刑に付すことになります。
  136. 大島敦

    ○大島(敦)委員 国会議員の身分というのは極めて守られていると思います。私たち国会議員の身分というのは、先ほど述べさせていただきました国会議員としての特権、あるいは、議員の身分を失わせるためのさまざまな制度というのがこの議会の中には設けられております。それはなぜかというと、そういう制度を通じながら民主主義を守ろう、そういう思想が一つ入っていると思います。  ですから、大臣に伺いたいんですけれども、今回、国会議員が秘密会を開いて、外でしゃべった場合には、今おっしゃられた五年あるいは五百万円の罰金を科すというのは、どういう根拠に基づいて私たちの身分をそうやって拘束されているのか。  その点について、大臣も立法府に属していらっしゃる方ですので、それを前提としての御答弁をいただければと思います。
  137. 森まさこ

    森国務大臣 この法案によって、免責特権や不逮捕特権が害されるということはございません。ですので、通常の刑法規定と同じということになります。
  138. 大島敦

    ○大島(敦)委員 国会の中で決議をして、秘密会までわざわざ開いて、秘密会には二つあります。委員会の秘密会、そしてもう一つは、本会議を非公開にするという決議をして非公開のままやる本会議、二つあります。そこでの議論について外で述べた場合には、その規定ぶりというのは、国会議員として、どういう根拠だというところがいまいちよくわからない。  要は、そういう一般的な縛り方をしているというお話なんですけれども、そうやって私たち国会議員の身分を縛っているようなものがほかにはあるんでしょうかね。あくまで秘密会は国会だけのものです。ほかの社会ではないものです、秘密会というのは。  要は、秘密会で国会議員の身分を持っていろいろな政府特定秘密について聞いて、それを外で述べた場合には五年と五百万ということなんですけれども、そこの量刑については、私は、国会議員の裁量、あるいはハウスの意思としてしっかりそれは規定した方がいいんじゃないかと思うんです。それは私たち国会議員のプライドだと思っていまして、その点についての御所見をもう一度伺わせてください。
  139. 森まさこ

    森国務大臣 国会で特にその他何か規定をすべきということであれば、それは国会で御議論されるものと思いますけれども、これは一般的な刑法規定と同じで、国会議員が刑法その他刑罰規定に違反する行為、それを犯す行為をした場合には、一般的にはそれが適用されるわけです。  ただ、国会内での活動について免責特権がある、または国会が開かれている間に不逮捕特権があるわけです。これはきちっと尊重をしているわけでございますので、何らほかの刑罰規定以上に国会議員の身分を害したりとかしていることはございません。
  140. 大島敦

    ○大島(敦)委員 私たちの身分について、国会、これは私たちハウス、議院の自律権ということなんですけれども衆議院、参議院、その議院の自律権、ここに直接かかわる立法が過去においてあったのかということを衆議院の法制局で調べていただきました。私たち国会議員の、このハウスの自律権にかかわる立法例があるかどうか。  例えば、公職選挙法あるいは政治資金規正法、これは改正するのは閣法かもしれないです。でも、公職選挙法は昭和二十五年に議員立法としてできた法律です。あるいは、政治資金規正法、これも改正は閣法かもしれない。でも、一番最初、政治資金規正法も昭和二十三年に議員立法でできているんです。最近の例もあります。平成十二年、あっせん利得処罰法という法律ができました。あっせん利得処罰法も議員立法でできているんです。  衆議院、参議院、ハウスに属する私たちは、議会の自律権として、自分たちを律する法律はつくっているんです。  今回、秘密会にして、そして、それを破った場合には罪を犯す、こういう法律は私は今まで聞いたことがないんです。こういう立法例について聞いたことがないものですから、極めて違和感を覚えている。行政府がそこまで立法府に対して口を出して、口を出すという言い方はよくないな、行政府がここまで立法府に対してあれこれ指示をする。  例えば今回も、先ほど言っていました、政令で定めるわけですよ。国権の最高機関に臨んでいる私たちの議会のあり方、その秘密会のあり方について、要は、政令で内容については定めるという書きぶりです、政令でこういうようにしてくれと。  多分、それを見て、私たちは、行政府特定秘密を見たい場合には、では、秘密会を開かないのか、開かなくちゃいけないねと。では、それが委員長のみなのか、理事のみなのか、委員も入るのか、そこの陪席はどうするのか、衆議院の職員さんを入れるのか入れないのか、政党職員を入れるのか入れないのか、秘書はどうなのかまで細かく細目を政令で定められて、そして、秘密会を開いたら、それは、行政府の長がその内容を見たら提供するというのは、僕は、行政府皆さんから私たち立法府はそのようなことで決めていただきたくないなと思っていまして、その点についての御所見をもう一度いただければと思います。     〔委員長退席、今津委員長代理着席〕
  141. 森まさこ

    森国務大臣 それは違います。  政党職員が入るか入らないか、秘書が入るか入らないかまで政令で定めることは予定しておりません。その点については、この委員会でもこれまで御答弁をさせていただきました。  政令では、どの程度の人までが知得者となるのか、知る者となるのか、その範囲を定めてくださいということだけ書くのであって、その範囲を具体的に決めるのは国会であります。政党職員をそこに含めるのかどうか、国会議員の秘書をそこに含めるのかどうかは、国会において定めていただくことを予定しております。  政令において、必要最小限度の知得者の範囲、それから、目的外には利用しないことを決める予定でございますが、その具体的な内容は国会で定めていただきたいと思います。  それから、やはり私は、国会議員の免責特権、不逮捕特権、国会議員としての身分に基づく行動は、しっかりそれは保障されるものと思いますけれども、そうではない、外に行って秘密を漏らす行為については、そもそも、国民の命と国家の安全を守るためという目的に照らして、それについては、一般の刑法と同じように、刑罰法規の対象となるとしているところでございます。  ですから、例えば、委員が今御質問しているように、国会で質問をしたり、そういう場合に……
  142. 今津寛

    今津委員長代理 大臣、簡潔にお願いします。
  143. 森まさこ

    森国務大臣 この法律処罰をされるということはないわけでございます。
  144. 大島敦

    ○大島(敦)委員 細目は国会で決めてほしいんだけれども、そのガイドラインについては政府が決める、そのガイドラインを見て、どの情報を出すか出さないかは行政府の長が決める、その中には、行政府プロパーの方もいらっしゃるという法のたてつけになっていて、私は、これは法律の立て方として、それで議員を罰することについても、やはり議員処罰することについては慎重であってほしいんです。  私たちを処罰することについては極めて慎重に検討してほしいと思っていて、それは議院自治に任せるべきだと私は考えています。  例えば、国会法の百四条にもう一項加えるということだって可能かもしれません。もう一項加えて、その百四条の中に、各議院、衆議院、参議院でもいいんですけれども、各議院、ハウスがかくかくしかじかの措置を講じたら、政府はそのハウスに対して、その措置の中には秘密会も入るかもしれない、でも、秘密会の持ち方については私たちが決めたいと思っているんです。私たちは行政府の関与は受けたくないんです。  これは、秘密会にするかしないかは私たちが決めて、そうして、秘密会に対して、例えば、政府はその情報を出さなければいけない、内閣または官公署に対して必要な報告または記録の提出を求めたときには提出しなければならないという規定ぶりを設けて、それで、百四条の一項だと、疎明とか、あるいは、多分内閣の決議があったかと思うんですけれども、そういう事態に陥ったときには、これは私の私見です、例えば、衆議院、参議院の議長、三権の長が、この情報について、政府がそこまで言うんだったら、ハウスに示した方がいいかどうかというのは一回議長が判断して秘密会なりに示すということもできるかもしれない。  罰則規定についても、ひょっとすると五年あるいは五百万円が少ないか高いか、適当かどうかということも議会に任せるべきだと思うんです。  私たちにとっての一番の不名誉なことというのは、多分、除名処分だと思います。四つある議会人を縛る懲罰の中で、議員の身分を失うということが一番重い処分です。国家秘密、それを議員として守れなかった、秘密を聞いたんだけれども、言ってしまった、故意に言ってしまったときには、それは議会の中での見識でその量刑については私は定めるべきだと考えております。  ですから、この条文については、大臣の答弁というよりも、私としては、やはりここのところについてはしっかりと精査をして、議会の自律権についての関与の問題、そして法の立て方の問題、私たちが属している国権の最高機関としての問題について、しっかりともう一回政府の中で検討されること、これは法案の賛否にかかわることじゃないと思っています。法案の賛否ではなくて、私たち議会のあり方が私はかかわっていることだと思います。  その点について政府内で御検討されることを求めまして、そして、私としては、ここの十条の、私たち国会議員に対するこの規定ぶりについては削除をして、議会でつくるべきだと思いますので、その点を述べさせていただいて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  145. 今津寛

    今津委員長代理 次に、近藤昭一君。
  146. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。きょうもまた質問の機会をいただきましたこと、感謝を申し上げたいというふうに思います。  この特別委員会でも議論をされている中、これは何遍も指摘をさせていただいているところであります、国民の知る権利というものをどう担保していくのか。もちろん、大臣も答弁なさっているように、このバランスを図ってきた、そういう中でこの法案ができているんだ。御答弁の中では、しっかりやっていく、そしてまた、専門家による基準をつくるんだ、こういうことがあるわけです。  ただ、今は、同僚の大島委員からは、立法府としてチェックをしていく、つまり、国民の代弁者として知る権利を守っていかなくてはならないのに、その立法府の権限に、ある種の制約と申しましょうか制限と申しましょうか、そういうものがなぜ行政府から加えられるのか、こういう御質問であったと思います。  私の方からは、さまざまな部分で国民の知る権利をしっかりと担保していく、そうした仕組みにかかわって、公文書管理法、公文書館のことについてちょっと質問したいと思うんです。  いわゆる情報に関連して、情報公開法がある。情報は、国民の知る権利のもとで情報公開をしていくんだ。そういう中で、今回の秘密保護法がある。その中でも、秘密として保護しなくてはならないものがあるだろう、こういうことであります。  しかし、もう一つ重要なのは、やはり三つのものがセットというか、非常に関連していると思うんですが、いわゆる公文書、行政府がつくった文書がしっかりと管理をされて、それはやはり知る権利のためにしっかりと公開をされていくんだ、公開が前提だ。しかし、その中で、繰り返し申し上げますが、いっとき、ある部分で保護を加える、制限を加えるものがあるんだ。そうすると、これがしっかりと、まさしくこの三つがバランスよくないと、これもまた国民の知る権利がしっかりと守られていかないんだ、こういう観点から質問させていただきたいと思います。  これもまた、何人かの委員が、知る権利を担保する中で、米国の制度のことについて言及されました。米国にあるさまざまな、情報管理についてどうなっているのか、しっかり管理されているのかという部分と、もう一つは、後ほどきちっと公開されているのか、これを議会としてチェックする、あるいは、米国の公文書管理館の中では、管理館の長に非常に大きな権限が与えられていて、しっかりと公開をしないといけない、こういう前提のもとで権限が長官に与えられている。こういうことで、よく米国についての言及もありました。  そこで、米国の公文書管理、保管の制度との比較をする上で質問させていただきたいと思いますが、米国において公文書管理に関する法律ができたのはいつで、国立公文書館の設立はいつであるのか、また、米国で情報公開法ができたのはいつかということについてお伺いしたいと思います。
  147. 幸田徳之

    幸田政府参考人 お答え申し上げます。  米国におきまして公文書管理に関する法律ができましたのは、一九五〇年、記録の管理の基本法である連邦記録法が制定された時点であると承知をしております。また、米国の国立公文書館でございますけれども、一九三四年に設立をされております。  情報公開法制につきましては、一九六六年に情報自由法が制定されたと承知をいたしております。
  148. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 ありがとうございます。  一九五〇年に連邦記録法、そして公文書館が一九三四年には設立をされている。そして、米国の情報公開法が一九六六年に可決をされているということであります。  さて、それでは、日本の公文書管理法、情報公開法ができて施行されたのはいつかということを改めて確認したいと思います。
  149. 幸田徳之

    幸田政府参考人 お答え申し上げます。  我が国の状況でございますけれども、公文書管理法は、平成二十一年、二〇〇九年に制定をされまして、平成二十三年、二〇一一年から施行しております。  情報公開法制でございますけれども行政機関情報公開法につきましては、平成十一年、一九九九年に制定をされ、平成十三年、二〇〇一年から施行されているところでございます。
  150. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 ありがとうございます。それぞれ御報告が改めてありました。  そこで、公文書管理制度については、米国に比べて六十年おくれてできた。また、情報公開法は、一九六六年でありますから、三十五年おくれてできたということであります。  私が先ほど冒頭に申し上げましたように、秘密保護法というものができる、しかし、日本の中で、知る権利を守っていく関連する法律の施行というのが非常に遅いということであります。  そういう中で、全体のそういう状況についてどのように思っていらっしゃるのか、秘密保護担当大臣であります森大臣にお聞きをしたいと思います。
  151. 森まさこ

    森国務大臣 公文書管理法、たしか福田総理のときに肝いりでなされておりまして、私ちょうど、消費者庁を設置すべきということを同じく福田総理にお願いしてやっていただいていたので、大変記憶に残っておるんです、私がちょうど一年生議員のときでございましたけれども。そのときに公文書管理法ができ、その前に情報公開法ができていたわけでございますが、委員指摘のとおり、アメリカから比べると大分おくれてできたという事実はあると思います。  現在、両制度は適切に運用されているものと承知をしております。  そして、その中で、今回、特定秘密保護法案提出させていただきますけれども秘密保護する必要性と、それから政府がその活動を国民説明する責務、情報公開重要性というもののバランスを考慮しつつ、国の秘密保護するための方策を検討していくことが喫緊の課題であるというふうに認識をしております。     〔今津委員長代理退席、委員長着席〕
  152. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 どうもありがとうございました。  大臣、そういう中で、保護法があり、きちっと運営をしていく、こういう御答弁でありますが、私は、やはり、そうしたやっていくという担保をどうしていくかということだと思うんです。担保をしていく、そのために、歴史が担保をするというわけではありませんけれども、やはりそうした関連の法案ができて、その中で蓄積された経験、あるいは蓄積されたお互いの意識、そういうものも私はいろいろなところで重要なことになってくると思うんです。  そういうことで申し上げますと、お伺いをしたいのは、公文書管理法では、公文書を廃棄する際には内閣総理大臣の許可が必要になるということであります。秘密指定を受けた文書が廃棄をされる場合も同様の基準が適用されると考えるわけでありますが、そのことを確認したいということであります。  ただ、さっき冒頭申し上げましたことで懸念を申し上げますと、報道によると、防衛秘密管理する防衛省が、二〇一一年までの五年間に廃棄をした秘密指定文書は計約三万四千件に上ると言われています。一方、二〇〇二年に防衛秘密指定制度を導入して以来、指定が解除されたのは一件だけだということであります。  もともと秘密保護法によって存在するかどうかもわからない文書がそのまま廃棄されても、市民はおろか、先ほども出ましたが、国会議員でも察知し得ないわけで、秘密指定した文書を公文書として保存せずにそのまま廃棄するという乱用のリスクを危惧するわけであります。  一九七二年の沖縄返還をめぐり日米政府が交わした密約文書は、米国は公文書館に保管をしていたということであります。外務省は、現在に至るまで、文書の存在すら認めていない、これは午前中の質問にもあったと思いますけれども。文書開示を求めた訴訟で、東京高裁は二〇一一年、政府による文書廃棄の可能性を指摘したということであります。  こういうケースがますますふえるのではないか、このことを懸念するわけであります。この点、いかがお考えでしょうか。
  153. 後藤田正純

    ○後藤田副大臣 委員からは、公文書管理につきましての御質問がございました。  まず、外務省の問題でございますが、これは、今ある公文書管理法の規定の中でしっかりやっていただいていると思います。  その中で、今、廃棄等につきましての御懸念があったと思いますが、これは、公文書管理法ができたときに、野党の修正も含めて、内閣府として、移管、廃棄等の整理の徹底ということも第五条でしっかり規定されておりますし、同時に、移管、廃棄等の設定を管理簿に記載して、また公表する、これも七条で規定をしているところでございますので、そういう御懸念があった場合には、廃棄したか移管したかということも公表されますので、これはこの中で、国民の皆様がそれに対して何か疑念があるのであれば、情報公開法をもって対応するということだと思います。  しかしながら、公文書管理法の中で三条の例外規定がございまして、これはもう委員指摘の、まさに防衛秘密でございます。防衛秘密または日米間のいわゆる特別秘密につきましては自衛隊法によって定めがあるところと承知しておりまして、それにつきましては、今回の法律によって、まさに我々の公文書管理法の中に適用されるということでございますので、その中で適切に運用してまいりたいと思います。
  154. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 ありがとうございます。防衛に関することが除外をされているということは承知をしております。ただ、これは繰り返しになりますけれども、この間で一つの課題としてあるのは、それが本来守るべき防衛情報なのかどうか、こういうことをどこがチェックするのかということもあると思っています。  それで、今のとちょっと関連をして質問させていただいているわけでありますが、一つ、きちっと確認をしたいことがあります。  それは、自民党が作成した「特定秘密保護に関する法律案Q&A」によれば、特定秘密と公文書管理法との関係について、「公文書管理法との関係については、他の行政文書と同様に、歴史公文書等は特定秘密指定が解除された後に国立公文書館等に移管されることとなります。」こう記されているわけであります。  これはつまり、特定秘密指定されている間は公文書管理法は適用されないという解釈になるのかということ、また、公文書管理法第九条には公文書の管理状況の報告が各機関に義務づけられているが、特定秘密指定を受けた文書はどう扱われるのか、改めてきちっと確認をしたいと思います。
  155. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  特定秘密指定されています行政文書につきましても公文書管理法が適用されますので、御指摘の九条についても、九条に従った措置がなされると考えております。
  156. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 ありがとうございます。九条が適用されるということでよろしいですね。  さて、同じ視点から質問を続けさせていただきたいと思います。  公文書管理法の第十条は、行政文書の適正管理のため、行政機関の長に対して行政文書管理規則を設けるよう求めている。現在のところ、各省庁において文書管理規則が制定され、その運用は各省の裁量に委ねられている。これは森大臣のこの間の質疑の中にもあるわけでありますけれども、改めて確認をしたいと思うんです。  特定秘密は、その性質上、複数の省庁で情報を共有し、省庁をまたぐ複数の文書に記載されるケースが出てくると思われる。特定秘密保護法成立した場合でも、文書管理の運用は各省庁の裁量に委ねられるのかどうか。統一した規則がないと秘密保全が不十分になるのではないか、また、その後の公開がきちっとできないのではないかと危惧するわけであります。  本法案成立、施行後の文書管理の運用について、森大臣の御意見を聞かせていただきたいと思います。
  157. 森まさこ

    森国務大臣 行政文書の管理については、各行政機関の業務内容等を考慮して、当該行政機関における文書管理の実効性を確保するため、各省庁によって管理規則が定められているのはおっしゃるとおりでございます。  この管理規則は、行政文書ガイドラインの内容を踏まえる必要があり、また、その制定に当たっては、政府全体の統一性を確保するために、内閣総理大臣協議し同意を得ることを要件としております。  一方、本法案成立いたしますれば、我が国安全保障に関して特に秘匿性を有する情報については、秘密保全の観点から、有識者会議の決められる統一基準に基づき取り扱われることとなりますが、特定秘密が記録されている文書については、他の行政文書と同様に公文書管理法の適用を受けますから、適正な文書管理が行われることが、もちろん、国の有する諸活動を現在及び将来の国民にも説明する責務が全うされるとの観点からも、これはなされるものであるというふうに考えております。
  158. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 ありがとうございます。考えておりますというよりも、そうなるということですね。  続きまして、公文書管理法では、保存期間が満了した行政文書等を廃棄する際には、行政府の長は廃棄を行うことについてあらかじめ総理の同意を得ることが必要と規定されているわけであります。八条の二項。  ところで、自衛隊法では、防衛秘密指定された情報が廃棄処分される場合、防衛大臣の承認を得なければなりませんが、ここに、ただし書きがありまして、「ただし、その手段がない場合又はそのいとまがない場合は、廃棄後速やかにその旨を防衛大臣に報告することで足りる。」との例外規定、防衛秘密保護に関する訓令四十三条の四項というものでありますが、例外規定があるわけでありまして、一定の条件下で、現場の担当者の判断で文書等の廃棄が可能になっているということであります。  一般行政文書の廃棄には総理大臣の承認を必要としながら、防衛秘密に関する文書の廃棄は現場の判断防衛大臣の事後承認で行えるという仕組みになっており、こうしたダブルスタンダードの結果が、さきに申し上げました、二〇一一年までの五年間に廃棄した秘密指定文書は計約三万四千件に上る一方、二〇〇二年に防衛秘密指定制度を導入して以来、指定が解除されたのはわずか一件だけにとどまるという事態と考える次第であります。  改めてもう一度、文書管理法の「目的」というのを読み上げさせていただきたいと思います。恐縮でございます。   この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。 こう書かれているわけであります。  そこで、お聞きをしますが、特定秘密指定を受けた文書等を廃棄する際の手続はどのようになっているのかがまず第一点。その運用は公文書管理法の目的に合致しているのかどうかというのが第二点。特定秘密文書等が秘密指定解除の後、公文書館に移管され、国民の利用に供されることが担保されているのかどうか。以上、三点であります。
  159. 森まさこ

    森国務大臣 委員の問題意識と私も全く同じ問題意識を持っておりまして、公文書管理法があるのに、防衛省においては例外といったことになっておりました。これは、自衛隊法の先ほど御指摘の条文があるということで、公文書管理法における、他に定めがある場合にはというものの解釈で、防衛大臣判断で文書を廃棄することが可能という現行の制度になっております。そのことで、これまで防衛省において文書が大量に廃棄をされてまいりました。これは、民主党政権のときにも大量に廃棄をされてまいりました。これはもう政権にかかわらずでございます。現行法の問題でございます。  ですから、安倍内閣になりまして、小野寺防衛大臣が現在その廃棄をとめております。この法案成立をいたしましたら、そのようなことがなくなるわけでございます。廃棄については、公文書管理法の適用が他の行政文書と同じようにされるわけでございますので、歴史的な公文書については、国立公文書館に移管されることが担保されます。そして、廃棄をする場合には、他の行政文書と全く同じように、内閣総理大臣協議し、その同意を得るという手続を経ることになるわけでございます。  ですので、私は、委員の御質問に対して、そのような御懸念はないし、公文書管理法の目的に合致してその手続どおりになるというふうにお答えさせていただきます。
  160. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 ありがとうございます。  そうすると、防衛省のそうした秘密指定されたものも、公文書管理法にのっとって移管をされて、廃棄についても規定が加わり、そして、公開と申しましょうか、原則に乗っていくということですね。  それでは、これも関連することなんですけれども、いろいろな危惧がこの法案に対して出ている、歴史学者からも出ているんです。先ほどちょっと密約についても言及しましたが、現状でも、沖縄返還問題を筆頭に、日米安保条約でもサンフランシスコ講和条約についても、日本で閲覧、検証できる公文書が非常に限られているため、日本の歴史学者は、アメリカの公文書館で米国側の文書を読み込んで、日本政府等の対応を検証あるいは推測するという手法をとらざるを得ないわけであります。つまり、日本の歴史は、アメリカの史料を使ってアメリカ側から見るようなことになっているわけであります。  我が国では二〇一一年に公文書管理法が施行されましたが、その規模は、職員数で四十七名。今大臣もいろいろと、これから秘密保護法ができるけれども、それが公文書館に移管されていって、きちっと管理されて公開されますよということでありますが、職員数がわずか四十七名にすぎず、二千五百名以上いると言われる米国とは比べるべくもないわけであります。  本法案が施行されれば、せっかく成立した公文書管理の法体制に大きく水を差すのではないか、うまくいかないのではないかと危惧しているわけでありますが、現行の公文書管理法と公文書館の体制のまま本法案が施行された場合、「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得る」という公文書管理法の目的を達し得るのでありましょうか。いかがでありましょう。
  161. 後藤田正純

    ○後藤田副大臣 委員指摘のように、日本の公文書館は職員数四十七名、アメリカは二千六百七十名、また、所蔵量も、長さで、日本はまだ五十八キロですね、アメリカは千三百七十キロメートルという、そういう中で、建物も比較すると、先般も、私は二回目でしたけれども、総理とお邪魔しました。つくばの方にも分館があるわけですが、これはやはりしっかりと、これをどうしていくかということでございますが、公文書管理法の附則の十三条に、五年置きにあり方を見直していくという規定がございます。  今、三年ほどたっておりますが、やはり、あと二年の間に、今の現状、また、今回の法律を通していただくことになった後の体制につきましても、内閣府としても、その点についてはいろいろとまた先生方のお力をいただいて検討してまいりたい、このように思っております。
  162. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 ありがとうございます。ぜひ、国民の知る権利を守るために、この公文書管理法、国民が利用し得るという体制をしっかりとつくっていかなくてはならないと思うんです。  ところで、公文書管理法第八条には、「行政機関の長は、保存期間が満了した行政文書ファイル等について、第五条第五項の規定による定めに基づき、国立公文書館等に移管し、又は廃棄しなければならない。」とありますが、国立公文書館への公文書の移管が進まない、公文書を各省庁が独自の判断で廃棄していた事実がある、移管したくないがゆえに独自の判断で保存年限を延長しているのではないか、こういう危惧、批判がありました。  本法案が施行されればこうした危惧がますます助長されると思うわけでありますが、公文書管理法の改正、公文書館の拡充、あるいは各省庁における文書管理体制強化を検討しているのか。  今、後藤田副大臣からは、五年ごとの見直しもあるんだ、こういうお話がありましたが、今、秘密保護法が閣法で提案をされている、こういう中で、いろいろな危惧が起きているという中で、私は、五年ごとということではなくて、こうした節目にそうしたものが必要ではないかと思うわけでありますが、大臣、いかがでありましょうか。
  163. 森まさこ

    森国務大臣 本法案では、特定秘密の性質ごとに、五年以内の有効期限の中でその長さをどの程度にするかということを有識者の御意見を聞いて基準を定めることとしておりますので、目に触れさせたくないからその期間を長くするなどということが起こらないようにしております。  また、この指定の件数や有効期間の年限等も有識者会議に定期的に報告をし、それが公表されることとなっております。
  164. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 大臣もよく有識者のことに言及をされるわけですけれども、私は、国民の代弁者として国会議員がいる国会で、先ほど申し上げている保護法のことが論議をされ、そういう中でいろいろな懸念が言及されている。いろいろな意見の聞き方があるかと思うんですが、私は、この問題に、きちっと早く、この改正、こういうタイミングに足らざるところをやるべきだ、こういうふうに思うんです。  さて、懸念があることがありますので、一つお聞きをしたいと思います。これは法案に関連することであります。  法案の第十二条の二項一号にありますテロリズムの定義についてというところなんですが、法案では、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。同表第四号において同じ。」とあるわけであります。  この文章どおりに解釈をすれば、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は」となっており、「又は」で接続をされていて、かつではないわけでありますね。そうすると、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要」する行為テロリズムということに読めてしまうわけでありますが、その解釈はいかがでありましょうか。
  165. 森まさこ

    森国務大臣 全く同じ質問をこの委員会でも以前受けまして、御答弁申し上げましたけれども、この条文の「目的で」というところの前と後が、かつでつながっております。  つまり、条文の書き方でいうと、まず、目的がこういうものである、目的が二つ挙げてありまして、それが「又は」でつながっております。そのような目的を持った上で、今度、行為態様として、人を殺傷するか、または破壊活動というふうになっておりますので、目的が該当しただけでこの条文の構成要件を全て満たすわけではございませんで、このような目的を持ち、また、ここに書いてあるような行為態様、殺傷、または重要な施設その他のものを破壊する行為をした場合が該当するということになります。
  166. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。  ただ、それならばなぜ、わかりやすいといいましょうか、今まさしく、そして殺傷したという、かつという言葉を使わないのかということを思うわけであります。いかがでありましょうか。
  167. 森まさこ

    森国務大臣 これは刑法法規の定め方でございますが、まず目的が書いてあって、その後に行為態様が書いてございますので、例えばそれぞれの行為態様がかつで結ばれている場合には、かつと書くこともありますでしょうけれども目的行為でございますので、これは別々の構成要件ということで、「目的で人を殺傷し、」といったときに、目的でまたは人を殺傷しとは読みませんので、ここはあえて、かつを入れないということでございます。
  168. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 大臣がそのようにおっしゃって、それがこうした法律の書き方だと。しかし、随分とこれは法曹界の方からも懸念が出ているということであります。  時間もなくなってきますので、もう一つ質問をしたいと思います。いろいろなところで懸念が出ているということですけれども、適性評価についてお伺いをしたいというふうに思います。  適性評価対象者の家族、評価対象者の配偶者、父母、子、兄弟あるいは姉妹、配偶者の父母及び子、そして同居人の情報、これは、氏名、生年月日、国籍、住所のみ、同居人のところでありますが、となっているわけでありますが、これは本人の同意がなくとも取得されるんでしょうか、確認をしたいと思います。
  169. 森まさこ

    森国務大臣 適性評価は、あらかじめ、調査を行う旨を評価対象者に対し告知した上で、その同意を得て実施するものであります。  家族や同居人については、氏名、生年月日、住所及び国籍に限って調査を行いますが、この点についても、評価対象者の同意を得た上で実施することとなっております。  また、これらは通常、評価対象者から提供されるものと考えております。
  170. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 ですから、評価対象者の同意を得るということで、同居人あるいは家族の同意を得るということではないということですね。
  171. 森まさこ

    森国務大臣 そのとおりでございます。
  172. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 それで、今、同居人の情報のことがありました。例えば、適性評価対象者の配偶者が外国籍の場合、また、今は帰化して日本人であっても、過去に外国籍であった場合、家族は本人のように過去の経歴やその他の事項についての調査はできないわけでありますが、配偶者が外国籍であることだけを理由に特定秘密を扱えないということになれば、これは憲法違反の重大な人権侵害だと考えますが、大臣、御所見はいかがでありましょうか。
  173. 森まさこ

    森国務大臣 適性評価は、本法案第十二条第二項の第一号から第七号までに掲げる事項についての調査結果を総合して判断するものであって、お尋ねのように、配偶者の国籍のみをもって特定秘密を漏らすおそれの有無を判断するわけではございません。
  174. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 時間でありますので終わりますが、しかし、そのことが項目に挙がっているということは、そのことが影響を与えるんだ、だから書かれているんだろうというふうに危惧をします。  以上です。
  175. 額賀福志郎

    額賀委員長 要求大臣がそろっていませんので、もう少しお待ちください。  防衛大臣に申し上げます。時間は厳守してください。  次に、石原慎太郎君。
  176. 石原慎太郎

    ○石原(慎)委員 特定秘密保護法案につきましては、中には被害妄想にも近いいろいろな揣摩臆測がありまして、国民の知る権利も構えていろいろ修正案も出そうでありますが、仄聞しますと、余り間口を広げずに、ごく限られた集約的な秘密というものに規定すべきだという声があるようです。  集約するというと、これから発足するNSCも含めて、日本にとっての喫緊の大きな問題は防衛に関する問題だと思いますが、これは、事防衛問題に関しての特定秘密ということになりますと、むしろ、国家全体の安危のために、非常に重要な防衛問題に関する秘密というものを公開すべきケースがあるのではないかという気が私はします。  それが政府の裁量によって行われることで、実は、国民の意識も高まり、防衛に関する行政も進展していく可能性があると思いますけれども、その点について、法務大臣あるいは防衛大臣、いかがお考えでしょうか。
  177. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 私も、今、石原先生がおっしゃいましたように、本来秘密とされていることでも、それを隠しておくことだけがいいわけではなくて、特定の国家目的のために、あるいは政策的な目的のために活用しなければならない局面もあり得るのではないかと思っております。  今までの御質疑を聞きますと、こんなものも秘密になるじゃないかという立場からの御質問が多いわけですが、そういったものであっても場合によっては活用する必要が生じ得るかもしれないという気持ちを持ちながら、今までの質疑を伺っておりました。
  178. 石原慎太郎

    ○石原(慎)委員 例えば、尖閣諸島水域で、中国の公船と称する非常に装備が厚い船が保安庁の警備行動というのをいろいろ牽制し、つい最近は、菅内閣の時代でしたけれども、保安庁の船に意識的な体当たりをしてきました。  こういう非常に粗暴な侵害行為というものが、実は、調べますと、保安庁はほぼ十三時間にわたって詳細な映像の記録を持っているわけですけれども、これが、なぜか当時の民主党内閣で隠蔽されて、仙谷官房長官の意向だそうですけれども、隠蔽されたまま秘匿されていましたが、一色君という心ある保安庁の職員が、これをあえて国民の目にさらすようにリリースしました。  これによって、国民の多くが、中国の公船なるものの非常に粗暴な意識的な犯罪行為というものに目を向けて、たまたま重ねたころ、私は東京都知事として、アメリカで、地主からも依頼があったものですから、東京都としては余裕もあるのでこの島を購買するつもりがあるということをアナウンスしましたら、ほぼ瞬間的に十五億円という膨大なお金が、ぜひこれを、貧者の一灯をささげるので東京が取得してほしいというオファーがありまして、そのお金はいまだに、残念ながら、歴代の政府で使用されずに、眠ったままでおりますけれども。  私は、この一色君の行為というのは、決してとがめるべきものじゃないと思います。そして、結果、彼は、国家公務員法に違反したということで書類送検されまして、実質的に首になりました。  こういう事例というものを私たちとして踏まえて、防衛に関する高度の機密というものを、今法務大臣が言われたように、場合によっては国家の大きな利益に当たるものはあえて公開する、そういう姿勢というものを、ぜひ、国難に当たる内閣に持っていただきたいということをお願いしたいと思います。  続いて、ここにいるごく限られたメンバー以外の方は当時は国会におられなかったと思いますけれども、今申し上げた問題に関する非常に暗示的な過去の事件がありました。  これは、昭和五十一年に、ソビエトの最新鋭機のミグ25に乗ったベレンコという中尉が函館の空港に強行着陸しまして、そして、威嚇の上でしょうが、これに向かってきた空港の職員に拳銃で発砲したために、函館空港管制官は北海道警に通報して、道警によって空港は閉鎖され、陸上自衛隊は空港警備の管轄権を盾に締め出されてしまいました。  米国政府の筋から、この最新鋭機というものを日本アメリカの目にさらすことで高度な機密が漏れるおそれがある、これを奪還し破壊するために、一種のコマンド、要するに函館を襲撃する可能性があるという知らせがありまして、当時の内閣がショックを受けたわけです。  当時は、率直に言ってどうしようもない三木内閣という存在がありまして、たまたま自民党は三木おろしという政局で混乱しておりまして、この事件を国会全体が重く見る余裕がなかった。  そして、それに対応するべく、ソ連の奇襲の可能性の情報を受けた三好秀男陸幕長は、北部方面総監に対して、函館空港に侵入する敵はこれを直ちに撃滅せよという命令を下しました。そして、函館に駐屯する北部方面第一一師団隷下の第二八普通科連隊は作戦準備にかかったわけです。そしてその結果、六一型の戦車、それから三十五ミリ二連装高射機関砲L90が基地内に搬入されて、ソ連軍の来襲に、戦車を先頭に完全武装の陸上自衛隊員二百人が函館空港に突入し、防戦、戦闘準備がされました。  海上自衛隊も、大湊地方隊を主力に、三隻を日本海、二隻を太平洋側に配置して警戒に当たったわけであります。  これに対して内閣がどう動いたかということでありますけれども、もしこの事態が起こったときに、防衛大臣、あなただったらどういうことを最初にされますか。
  179. 小野寺五典

    小野寺国務大臣 ベレンコ事件については、私どもも歴史の事実として承知をしておりますが、そのときにまだ、防衛省、当時の防衛庁としての武器使用についての明確な対応がなかったということで、その対応に非常に苦慮し、その後のさまざまな法の整備につながったというふうに記憶をしております。
  180. 石原慎太郎

    ○石原(慎)委員 この事態の中で、陸幕は、官邸に対して防衛出動命令書を下令するように申し上げましたが、もともと国防問題に暗い三木総理は、政争に追われて、自衛隊はシビリアンコントロールに従うようにと指令するだけで、坂田長官もそれに追従するだけでありました。この結果、機能しない政府、つまり愚かな大将はむしろ敵より怖いという、そういう非常にパラドキシカルな事実というものを国民に突きつけたわけであります。  そしてその結果、三好幕僚長の決断のもとに、田中北部方面総監、近藤師団長、高橋連隊長へと、命令書ではなくて口頭による命令が伝えられ、事実上、現場にいる自衛隊の独断専行で事に対せよという形になりました。  実際には、ソ連の奇襲はなくて、陸上自衛隊の出撃態勢は敵との交戦という事態になりませんでしたが、問題は、事実上の防衛出動がなされなかったにもかかわらず、三木政権はこれを隠蔽し、対処に当たった陸自に、同事件に関する記録を全部廃棄するようにと指示したことであります。これに対して、陸上幕僚長の三好秀男氏は、みずから辞任をすることで抗議しました。  ミグ25の進入は防衛体制の不備を露呈しましたし、より深刻な問題は、こうした突発事件に対する法的な不備が明らかになったにもかかわらず、残念ながら、自民党政府は、それを認識することなく、本質的に何も改めないままに時間を空費し続けてきたわけです。  そして、この二年後、内閣はかわりましたけれども、昭和五十三年に、当時の栗栖統幕議長は、概略で、現行法では総理が防衛出動を下令しない限りいかなる緊急事態でも自衛隊作戦行動ができない、しかし、いざとなれば、閣議が防衛出動を決定するまでの間、その時間的ギャップの間に現地部隊が手をこまねいていることはできない、部隊幹部は、やむにやまれぬ独断専行、超法規的な措置をとるであろうと発言したんです。  これは、ミグ25事件に対する政府の対応の不備を踏まえてのものでありましたが、この発言はたちまち政治問題化して、栗栖議長は、シビリアンコントロールの観点から不適切として、当時の防衛長官の金丸信氏に辞任に追い込まれました。  こうして、大事な自衛隊の幹部というのが、この事件の中で数人、その職から追われたわけでありますけれども、ただ、これによって国民の間で有事法制の問題がようやく認識され、次の福田内閣で、福田総理が閣議で、有事立法、有事法制の研究促進と民間防衛体制の検討を防衛庁に指示し、国防論議のタブーがようやく破られて、以後、多くの国防論議が起きるきっかけとはなりました。  次いで、これに似た同種の事件が幾つか起こったわけでありますけれども、例えば平成十一年、一九九九年三月二十三日に、能登半島沖で不審船が領海を侵犯する事件が起こりました。この侵犯した不審船を、その逃走時、これが逃走する最中、海上自衛隊及び海上保安庁による追跡が行われましたが、有事法制の不備によって、工作船が追及の海上自衛艦に発砲することはなかったために、強制力を使っての臨検もできずに、船内にどうやら日本人の拉致被害者がいたかもしれないのに、結果的にはこれを取り逃すという失態となったわけであります。当時の野中広務官房長官は海上警備行動の発令に反対をしたという事実があります。  この事件の後、海上自衛隊に、強行臨検を任務とする特殊部隊、特別警備隊、SBUと、護衛艦ごとに臨検を任務とする立入検査隊、立検隊が編成されました。  また、追及の際に、海上保安庁の船艇の速力が不審船や護衛艦に比べて大幅に劣っているという事実が露呈して、不審船事案に有効に対応できないことが露呈したために、以降、新造される巡視艇の能力が大幅に向上されるようになったほか、平成十三年に海上保安庁法の改正が行われまして、この改正で、第二十条二項において、一定の条件に限って、巡視船等が、停船命令を無視して逃走し抵抗する船舶に対して射撃し、乗員に危害を加えても、海上保安官の違法性が阻却されることが明定されたわけであります。  こういった類いの事件、それから次々事態が起こるわけですけれども、そもそも、武力攻撃事態対処法ではとても事足りるものではないと思いますね。平成十五年の六月、有事法制の第一段階と言える武力攻撃事態対処関連三法、安全保障会議設置法一部改正法と武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律、武力攻撃事態対処法、自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律一部改正法が成立して、有事法制の基本法であります武力攻撃事態対処法が施行されました。  しかし、依然として、現憲法のもとでは、日本国の自衛権は、防衛出動が発動された時点でのみ行使が許されるという事態は変わっておりません。防衛出動命令が出ない平時においては、自衛隊には自衛権がない、警察官職務執行法七条に基づく警察権の行使だけしか認められていないという原則に一向に変更はないわけです。したがって、相手方に攻撃された場合は、正当防衛の考えに基づく反撃か、非常な危険に直面して緊急退避を可能とするための攻撃以外は許されないというわけでありまして、こういった事態がいまだに続いているわけです。  いずれにしろ、その事態の延長の中で、先般も、中国海軍のフリゲート艦に射撃管制用のレーダーを照射されても、尖閣領空を中国機に侵犯されても、現在の自衛隊に許されるのは警告射撃のみでありまして、相手が警告に従わない場合には、自衛隊に許されるのはただの追尾に限られて、相手が日本の領空、領海から退去するのを待つしかないという事態が続いています。また、漁船に偽装したゲリラの侵犯、上陸も傍観する以外ない。  こういったものに対して、米国初め諸外国では、平時において自衛権行使は当然でありまして、個々の部隊指揮官には部隊を守るための自衛権行使が認められておりまして、指揮官は状況に刻々対応する。その場合、部隊には厳しいルール、交戦規定が適用されておりまして、自衛権行使とROE、つまり交戦規定が諸外国の軍隊の行動基準になっておりますけれども、これに比べて日本の場合には著しい差があるわけで、そういう格差の中で、日本自衛隊はこれからもいろいろ苦労せざるを得ないということであります。  さらにまた、最近、非常に滑稽なといいましょうか、驚くべき事態が起こりました。  かつて、ソマリアの狭小な海峡で暗躍する海賊に諸国が手を焼いて、これを排除するために日本の海上自衛隊が派遣されました。これに対しては左翼の反戦運動家たちからもいろいろ強い反発がありましたが、その当初は、自衛隊法八十二条の海上警備行動を根拠とする派遣でありました。それ自体がどういうことかといいますと、警察官職務執行法の準用で海上自衛隊が行動する。これは、正当防衛か緊急避難か、相手が禁錮三年以上の罪を犯している場合に限り攻撃してよいとされているものでして、これは冗談でなく本当の話でありますが、一体、現地に出向いた自衛官が、相手が犯している行動が禁錮三年以上の罪に該当するかしないかというのをどうやって判断するんですか。こんなばかな規制で自衛隊員を現地に派遣して、何ができるというんですか。こういったものが依然として続いているわけですよ。  そしてこのとき、ここに出向いて、これに反対して監視していた左翼系の反戦運動家たちとピースボートが現地におりまして、海賊におびえて何を言ってきたかというと、政府に打電して、どうか現地にいる海上自衛隊に自分たちを守ってほしいという要求をした。それで、海上自衛隊がそれを受けて、彼らをガードするために周りを周遊したら、この連中は、自分の言っていることの建前と現状が違ってきたので、何を言い出したかといったら、海上自衛艦じゃなしにぜひ保安庁の船に来て自分たちを守ってほしいというばかな要求をした。大体、日本の海上保安庁が領海を出て外国の海域で警護活動をできるわけがない。  こういうおかしな事態が実際に続いたわけでありまして、早急にこの警察官職務執行法の枠を取り去って、自衛隊の規定をポジティブなものからネガティブリストに変えていく論議をすべきだと思いますが、防衛大臣、いかがお思いですか。
  181. 小野寺五典

    小野寺国務大臣 御指摘のとおり、通常、防衛出動でなければ、自衛隊は、警職法に準拠するような対応をすることが今でも行われることが現実であると思っております。  ですが、例えば我が方の艦艇に実際にさまざまな攻撃があった場合には、武器等防護を含めた形で少し広く考え方を検討することも、例えば今回の自衛隊法の改正で、陸上輸送が認められる中での武器の使用の中で、管理下にある者というような考え方も今は応用していただいております。  いずれにしても、委員がおっしゃるように、過去のさまざまな歴史の中で、事件があった後にさまざま法整備が進んできているということは事実だと思います。
  182. 石原慎太郎

    ○石原(慎)委員 この委員会はこれからたび重ねていろいろな問題を論議するんでしょうけれども、大事なことは、この委員会を通じて、私たちは、自衛隊に有効に活動してもらって、その効果を上げるためにも、政府による出動命令と、現場で行動する自衛隊員のための交戦実動の間のギャップを埋めるために、集団自衛権の問題よりも、むしろ、個別自衛権の中での日本自衛隊の交戦権、ROEの整備を精密に行うべきだと思います。  これをしない限り、私たちは、今せっかく税金を払って育成している自衛隊というものを、国家、民族の安危のために有効に使うことはできないと思いますが、いかがでしょうか、防衛大臣
  183. 小野寺五典

    小野寺国務大臣 ROEのお話でありますが、現時点でも、さまざまな事態に対応できるように、ROEについては、私ども、しっかり検討させていただき、また整備をさせていただいているというふうには理解をしております。  ただ、恐らく、今委員がおっしゃるように、今、安全保障環境がさまざま変わる中で、新しい別な考え方、脅威も、あるいは懸念も出てくるという御指摘もあると思います。そのことについては、今、安保法制懇等、有識者の中で議論をしていただいているものと理解をしております。
  184. 石原慎太郎

    ○石原(慎)委員 最後の質問になりますけれども、仮定の話でありますけれども、現行の法体制の中で、尖閣諸島で、政府があそこに日本の施政権が及んでいるということを立証するために、私はこの間、代表質問でも申し上げましたが、最低限、あの水域を通過する万国の船舶の安全を担保するために灯台を私は建設すべきだと思いますけれども、仮にその工事が実践されたときに、これを行っている、現場で働く人たちに対する攻撃が、複数飛来する無人機によって、あのパキスタンで行われたように、爆撃、殺りくというものが行われて、そして、それに次いでやってくる複数の次の無人機に対して、日本自衛隊機はこれを撃墜していいんですか。  それからもう一つ、先般行われたように、相手の、公船と称するえたいの知れない、かなりの装備を持った艦船が、日本の保安庁の船に激突してこれを沈没せしめた。その場合に、今あそこに張りついている海上自衛隊の艦船が、その沈没せしめた相手の公船なる船舶を反撃して撃沈していいんですか。これは許されるんですか、許されないんですか。  それから、既に島で働いている日本のスタッフを殺りくした無人機が、それに次いで飛来する、何をするかも全くわからない次の無人機を、今のように、ただ警告を発し、威嚇の射撃をするだけで追い払うことができるのかどうか。これは、当然私は撃墜すべきだと思いますけれども、それが今の法体制の中でできるかできないかということを今ここではっきりお伺いしたいと思います。
  185. 小野寺五典

    小野寺国務大臣 まず、尖閣は我が国の領土でありますし、その上は領空ということになります。そして、仮に、尖閣で作業している日本人に対して他国からそのような攻撃があり、日本人に危害が及ぶような状況にさらされれば、それは、私ども自衛隊としての万全な対応をとるということが当然のことだと思っております。  また、先ほど来、無人機のお話がございました。無人機というのは、今回、たまたま飛来して、領空には来ておりませんが、ADIZを越えてきた事例のお話だと思いますが、この無人機は、民間航空機が飛ぶ高度を飛ぶ、言ってみれば、非常に民航機にとっても危険な可能性もございます。それに従った適切な対応をとることも大切だと思っております。
  186. 石原慎太郎

    ○石原(慎)委員 その適切な行動というのは、相手は無人機ですから、どういう警告を無線で発するか、それが受領されるかどうかわかりませんけれども、とにかく、それを追尾して並行して飛ぶ、それで、ただ威嚇射撃をすることでの牽制以外はできないんでしょう。
  187. 小野寺五典

    小野寺国務大臣 具体的にどのようなことを行うかというのは、これはある面では私どもの手のうちの話になりますが、少なくても、さまざまな想定をし、しっかりとした対応をすることが私どもの役目だと思っております。
  188. 石原慎太郎

    ○石原(慎)委員 今回、特定な秘密というものを保護するという法律についての委員会が開かれていまして、それに付随していろいろな問題が出てくると思いますけれども日本の非常に大事な情報保護という観点からしますと、私たちは本当に抜け穴だらけという気がしてならないですね。  各大臣御存じでしょうけれども、三沢のアメリカの航空基地、これは日本アメリカが共同して使用しておりまして、かつての冷戦時代に、たびたび領海に侵犯してくるソビエトの飛行機に対してスクランブルが行われました。この基地に、ECHELONという、大きなドームに囲われた特別の装置がありますね。これは、自明のことですけれどもアメリカの諜報のための収集機器ですね。諜報の収集機器です。これは、かつて冷戦時代に、共産圏のソビエト・ロシア、あるいはそれになびいている北朝鮮の情報というものを窃取するためにつくられた非常に強力な諜報装置です。  同じものがミュンヘンにもありますね。ドイツは非常にそれを嫌って、これをどう扱うかで今論議しているようですけれども。  日本の場合に、冷戦時代が終わったときに、強力な諜報能力を持っているこのECHELONが日本国内に向かって有効に使われているということは、私は自明なことだと思います。多くの専門家はこれを指摘しております。  これに対して、日本政府はこれからどういう措置をとるんですか、外務大臣。これは放置するままですか。
  189. 小野寺五典

    小野寺国務大臣 まず、共同している三沢基地のことなので、初めにお答えをいたしますと、確かに、私ども、御指摘のような施設のようなものが三沢基地の中にあるということは承知をしておりますが、政府として、それが御指摘のECHELONというものかどうかについては、私どもは確認をしておりません。
  190. 石原慎太郎

    ○石原(慎)委員 それを確認するのが政府の責任じゃないかと私は思いますね。  わざわざ特定秘密保護法なるこういった法律をつくって、論議の最中のこの国会で、このECHELONがこれからどう扱われるかということを、私は、やはり政府ははっきり表明すべきだと思いますよ。私は非常に不安な気がするんです。  実は、個人的なことですけれども、先般、この夏でしたけれども、私は、安倍総理に個人的にある大事な提言をするために、向こうの秘書官から教わった安倍さんの個人の携帯電話でかなり長いこと話をしました。驚くことに、次の日、私を担当している朝日新聞の記者から、昨日、石原さんは総理の個人電話と長いこと話されましたねと聞かれたんです。私はびっくりしまして、何で君はそれを知っているのと言ったら、いや、官邸から聞きましたと。内容は、私は言えません、もちろん言いませんでしたけれども、どんな話ですかと言うから、答えるべくもなく、答えもしませんでしたけれども、私はそのとき非常に不安な気がしたんです。  きょうは内閣の番頭さんの官房長官も来ていないようですけれども、私は、内閣が一体この問題をどう捉えているのかなと思うんです、本当に。これは、私が本当に愕然とした私自身の個人的な体験でありますけれども、このECHELONに限っても、どういうふうに使われているか。アメリカは非常に貪欲な情報収集を違法な形でやっていますよ。この間、CIAのスタッフがそれを暴露したのは当たり前のことでしょう。  私は知事時代に、この東京の都心に近いところに日本で最長のランウエー、予備地を入れると四千メートルもの滑走路を構えている、しかも幅がありますから、つくろうと思ったら二本滑走路のできる横田の基地を、共同使用でもいいから何とかとにかく日本のために使いたいと思って随分努力をしてきました。  そしてそのときに、国務省にも話して、向こうの財界筋を動かすために、ちょっと名前は言えませんけれども、向こうの商工会議所のかなりのビッグショットと私は親友でして、彼にこの話をしましたら、自分たちとしては大賛成だ、日米関係のために結構だし、大体、我々アメリカのビジネスワールドに生きている人間たちにとって日本は依然としてビッグビジネスのマーケットなので、日本に行く機会がたびたびある、必要がある、そのために私たちは会社の持っているビジネスジェットで会議をしながら飛んでいきたいんだけれども日本の空港のキャパシティーが満杯なので、とにかく申請をしても許可を得るまでに二カ月もかかる、だからとても待っていられないので、仕方なしに普通の航空機で行くけれども、何とかビジネスジェットをもっと積極的に飛ばすようにしてほしいと逆に陳情されたんです。  そのとき、私は彼に向かって、そんなことだったら、おまえたちは金を持っているんだから、ファーストクラスを借り切ってアメリカの飛行機で飛んできたらいい、その途中、重役で会議をしたらいいじゃないかと言ったら、彼は、とんでもない、私たちのビッグビジネスを構えているスタッフも、それが仮にファーストクラスを借り切ったときに、乗客名簿を調べてください、全部我々の会話は盗聴されていると。アメリカ人の経済人がそう言って肩をすくめるんですね。  こういったアメリカの事情というものを私たちは踏まえた上で、このECHELONというものは、やはりこれから何とかしなきゃいかぬですよ。本当に、日本の官庁同士の会話というのはほとんど筒抜けになっているというのが専門家の意見です。  これは、私たちがせっかくこの法律をここで論議するときに、その一つの前提として、この問題はやはり早く解決する必要があるんじゃないかと私は思いますけれども外務大臣、いかがですか。
  191. 岸田文雄

    ○岸田国務大臣 米国の情報収集体制、またECHELONについて御指摘をいただきましたが、我が国は、日米同盟に基づいて、米国と、こうした情報収集も含めてしっかり意思疎通を図っていかなければならないと存じます。  そのためには、我が国自身の情報保全体制をしっかり整え、そして日米間の信頼関係を高め、そしてそのことによって日米間の情報収集あるいは情報保全における質、量の幅を広げていく、こうした努力が求められると存じます。そして、今回の法案の御審議も、そういった努力の一環として国会にお願いしている、こうしたことだと考えております。  我々は、こうした情報保全情報収集、こういった分野におきましてもしっかり体制を整え、信頼関係を高めることよって、アメリカとの間においてもしっかり意思疎通を図っていきたいと考えます。
  192. 石原慎太郎

    ○石原(慎)委員 アメリカにとっても大変優等生的なお答えでして、そのとおりだと思いますけれども、しかし、その大前提として、私は、日本にあるこの正体不明な、しかし強力な能力を持っている諜報施設というものを速やかに撤去させるべきだと思いますよ。  それは、ドイツも同じ悩みを抱えていると思いますけれども、ドイツがこれにどういうふうに出るかわかりませんが、私、日本とドイツが協力して、こういったアメリカの強力な、えたいの知れない諜報施設というものを、我が国の独自の尊厳のためにも撤去すべきだと思いますけれども、ぜひその努力をこの内閣はしていただきたい。  せっかくこういう法律をつくるんですから、そういう努力もしないで、国会で幾ら時間を重ね、努力を重ね、かんかんがくがくこの問題を論じても、私は本当に、ざるで水をすくうような話じゃないかという気がしてならない。  どうかひとつ、そういう点で大いに御努力を願いたいということを最後にお願いして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  193. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、山田宏君。
  194. 山田宏

    ○山田(宏)委員 今、我が党の日本維新の会の石原共同代表の方から、今回の法律制定の前提となるようなテーマについてお話をさせていただきました。  我々日本維新の会としても、こういった秘匿すべき秘密があるということは認めております。その中で、今回の審議を通じて、今、我が党として、この法案について何点かやはり修正をすべきではなかろうかということを発表したところでございます。  その内容につきましては、簡単に申し上げれば、第一点の秘密の範囲については、やはり、防衛または防衛にかかわる情報というものに限定をしていくべきだという意味で、我々は、国家安全保障にかかわる情報ということで修正をすべきだ、こう申し上げておりました。  きょうは、幾つか我々の方から発表いたしましたこの法案に対しての日本維新の会としての修正項目につきまして、何点か、大臣及び政府の方のお考えを、御所見をお伺いしていきたいと考えております。  まず第一点、目的で、政府案は、「我が国安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、」ということで、「我が国安全保障」と言っていますけれども、もう一度、この安全保障というものの定義をお話しいただきたいと思います。
  195. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  本条、第三条で言います安全保障とは、外部からの侵略等の脅威に対して、国家及び国民の安全を確保することをいいまして、国家国民の安全とは、国家の構成要素である国土、国民及び統治体制が害されることなく、平和で平穏な状態に保たれていること、すなわち、国としての基本的な秩序の平穏が維持されている状態を指します。
  196. 山田宏

    ○山田(宏)委員 我々は、その定義が非常に広いということを申し上げておりました。  今回、NSCを設立していく、つくっていく法案について我々は賛成をいたしましたが、このNSC自体も国家安全保障会議ということなので、このNSCにおける国家安全保障というのと今回の法案における安全保障というのと、定義で違いがあるんでしょうか。
  197. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 同じ内容と考えております。
  198. 山田宏

    ○山田(宏)委員 国家がついてもつかなくても同じ内容ですか。  我々は、国家安全保障というのは、国の防衛その他我が国の存立にかかわる外部からの脅威から、我が国及び国民の安全を保障することをいうということでございますが、先ほどの安全保障の定義だと、これは我々の定義ですから、政府の定義じゃありませんけれども安全保障の範囲がこの法案では大変広いというふうに見えるんですけれども国家安全保障というのを今申し上げたような定義にすべきではないですか。
  199. 森まさこ

    森国務大臣 安全保障の定義でございますが、この法案の第一条、「我が国安全保障」というふうにしておりまして、NSC法案国家安全保障と同等の内容と理解しております。  これを防衛に関連するもの等に限定をいたしますと、特定有害活動の防止やテロリズムの防止といった事項に該当する情報についても、我が国及び国民の安全を確保する観点から、これは我が国安全保障に関するために特別に必要な場合には保全をすべきと考えているところから、限定をいたしておりません。  御指摘の、我が法案の「我が国安全保障」というのは国家安全保障でございまして、先ほど審議官から説明したとおり、外部からの侵略等に対して、国家及び国民の安全を保障することでございます。
  200. 山田宏

    ○山田(宏)委員 それでは、きょうの新聞で「自民党はホームページに特定秘密保護法案説明する特集を掲載し、漏えいを禁じる特定秘密として「北朝鮮による核・ミサイル・拉致問題に関するやりとり」を例示した。」とありますけれども、これは事実でしょうか。自民党ですから、事実だと確認されているでしょうか。
  201. 森まさこ

    森国務大臣 御指摘新聞記事とは、どの記事でしょうか。
  202. 山田宏

    ○山田(宏)委員 済みません。  本日の新聞名、出してよろしいんですか。
  203. 額賀福志郎

    額賀委員長 どうぞ。
  204. 山田宏

    ○山田(宏)委員 東京新聞記事ですね。
  205. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  申しわけありません、ちょっと、まだ新聞は拝見しておりませんけれども、本法案対象に、今おっしゃられた北朝鮮の話とか拉致が入るということは確かでございます。
  206. 山田宏

    ○山田(宏)委員 拉致問題がなぜ特定秘密に入るんですか、大臣
  207. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  特定有害活動の一つとして入り得ると考えております。
  208. 山田宏

    ○山田(宏)委員 それでは、例えば、平成五年、日本政府が行った韓国の元慰安婦十六人への聞き取り調査報告書というものがあるという報道がされていますけれども、こういった文書は存在しているんでしょうか。
  209. 佐々木裕介

    ○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。  河野談話作成に当たりまして、当時、政府といたしましては、関係資料の調査及び関係者からの聞き取り調査を行いました。その慰安婦の方々に関するヒアリング調査というものについても存在はいたしております。
  210. 山田宏

    ○山田(宏)委員 この情報というのか、この書類は、文書は特定秘密には当たらないと考えてよろしいですか。
  211. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  文書の個別具体的な内容によって判断されるかと思います。
  212. 山田宏

    ○山田(宏)委員 そうすると、この元慰安婦の十六人の方々の聞き取り調査報告書というものも特定秘密になり得る、内容によってはなり得るということですか。どう考えたってこれが安全保障とは思えないんですけれども、そんなものなんでしょうか。大臣、どうですか。
  213. 佐々木裕介

    ○佐々木政府参考人 法案では、安全保障上の情報ということになっておりますので、当該ヒアリング調査の結果につきましては、法案で言う特定機密に該当するものではないというふうに承知いたしております。
  214. 山田宏

    ○山田(宏)委員 そうしますと、これは情報公開請求したら、出てきますか。
  215. 佐々木裕介

    ○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。  当時、十六名の慰安婦の方に対する調査結果でございますけれども、聞き取り調査の結果につきましては、特定の個人を識別できる情報を記録していること、また、当時、非公開を前提として聞き取りを行ったということでございますので、その内容については公表しないことといたしております。
  216. 山田宏

    ○山田(宏)委員 しかし、この調査報告書によって我が国の河野談話がつくられ、そして、我が国が不当に批判をされる原点になっているんですよ。こんな情報は明らかにすべきじゃないですか。  氏名が特定されるというのであれば、この氏名について黒く塗っても構わないから、明らかにするように求めますが、いかがですか。
  217. 佐々木裕介

    ○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど御説明申し上げましたとおり、当時、特定の個人を識別できる情報を記録していること、また、非公開を前提として行った聞き取り調査に基づくということでございまして、その内容については公表しないという扱いにさせていただいておるところでございます。
  218. 山田宏

    ○山田(宏)委員 個人を特定できなければ公表すべきだと考えておりますけれども、これは国家の名誉の問題なんですよ。  公開をしてください。もう一度お答えいただきます。
  219. 佐々木裕介

    ○佐々木政府参考人 繰り返しになりますけれども、当時、特定の個人を識別できる情報を記録していること、また、非公開を前提として行っているということでございますので、その取り扱いについては、公表しないという取り扱いといたしておるところでございます。
  220. 山田宏

    ○山田(宏)委員 証言というのは、その証言に対して反論ができなければ、それは証言として価値がないんですよ。そうですよね、弁護士として考えれば。証言が一方的に証拠にはならないんですよ。その証言が証拠としてなるかどうかというのは、それに対して反証の機会が与えられなければ、証拠として採用するのはおかしいじゃないですか。  公開してください。
  221. 佐々木裕介

    ○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。  河野談話でございますけれども、当時、政府として、関係資料の調査及び関係者からの聞き取りを行い、これらを全体として判断した結果、河野談話のとおりとなっているというふうに承知いたしております。  繰り返しになりますけれども、聞き取り調査の内容につきましては、先ほど申し上げたような状況から、公表しないという取り扱いにいたしておるところでございます。
  222. 山田宏

    ○山田(宏)委員 かつて、ロッキード事件で、コーチャン、向こうの、ロッキードの側の証人について、その証人の、反論というか、できないまま証拠採用されたというようなこともありました。  私は、日本独立国なんですから、やはりきちっとしたルールに基づいて、こういった証言についてきちっと裏づけをとっていくということが政府で行われるべきというふうに考えております。  どうしても公表しないのであれば、安倍政権になったんだから、第一次安倍政権でも、きちっと政府の方で閣議決定をして答弁書をつくり、そして、そういった、強制連行といった事実は、証拠は見当たらなかったと発表しているわけですけれども、やはりこういった証言についても、今回マスメディア等でオープンになってきているわけですから、これが真実かどうかということも含めて確認をした上で、やはり、その証言についてきちっと裏をとっていくということを政府にお願いしたい、こう思っておりますけれども、お答えできる方がいらっしゃいますか。いませんね。いますか。  では、一応、要望……。
  223. 額賀福志郎

    額賀委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  224. 額賀福志郎

    額賀委員長 速記を起こしてください。  山田君。
  225. 山田宏

    ○山田(宏)委員 今申し上げたことは、秘密の範囲とか公表とか、本委員会でも審議している内容と密接にかかわり合っておりまして、しかも、今回、こういったメディアでもオープンになったこともあり、今申し上げましたように、こういった文書を公表すべきだということと、公表すべきことが仮にできないのであれば、やはり、安倍政権としては、この証言について、それが事実かどうかという裏をとるということをきちっとやっていただきたい、そういうことを要望しておきます。  このことについての、きょうは、政府の答弁者、そこまで、ちょっと答えがああいう状況になるとは思わなかったものですから、担当の大臣がいらっしゃいませんので、そういったことについての政府の対応をきちっとまとめていただくように要望いたしたいと思いますけれども、お願いいたします。
  226. 額賀福志郎

    額賀委員長 ただいまの山田委員の御指摘につきましては、大臣が直接的な所管ではありませんので、改めてこの問題について、これまでの政府の考え方をきちっと整理させて、山田委員にお伝えをさせていきたいと思います。
  227. 山田宏

    ○山田(宏)委員 御配慮をありがとうございました。  それではまた、我が党がお示しをいたしております修正案等につきまして、その内容について、大臣等、皆さんの御所見を伺ってまいりたいと思います。  まず、行政機関の長というものを、今の法案だと、あらゆる行政機関の長ということになってしまうわけでございますけれども、我が党の考えは、内閣官房、または、内閣府、宮内庁、総務省、公安調査庁、外務省、厚生労働省、経済産業省、原子力規制委員会及び防衛省、そして警察庁、こうやって行政機関を絞っているわけでございますけれども政府案だと、例えば文化庁の長官は入りますか。
  228. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  文化庁長官行政機関の長に入ります。
  229. 山田宏

    ○山田(宏)委員 文化庁の長官が入りますよね。  文化庁の長官が、安全保障上、何としても秘匿すべき情報というのを持つ可能性なんてあるんですかね。  また、文部科学大臣は当然入ります。環境大臣も入りますよね。農林水産大臣も入る。それで正しいですか。
  230. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  先生の御指摘のとおりでございます。
  231. 山田宏

    ○山田(宏)委員 今回のこの法案は、やはり、防衛上、安全保障上非常に重要な情報について、そういうものを秘匿する必要があるということは我々も認めておりますけれども国民の中には、これがかなり広く指定されてしまうのではなかろうかというような危惧もあるところであります。  最初に、この法案を通していくに当たっては、もちろん、秘密指定のための条件というものは、四つの分類に入り、しかも公にされていないもので、そして安全保障上特に秘匿すべきというふうな三つの条件がかかっていますから、そういうものも加えてありますけれども、さらに、やはり当面必要な行政機関に限る必要がある、こう考えております。  文化庁の長官や文部大臣、環境大臣まで入れていく必要性というものを、ぜひ、もしその必要があるというのであれば、例えばこういう問題があるかもしれないというようなことを例示して御説明いただけますか、大臣
  232. 森まさこ

    森国務大臣 例えば、文化庁の長官特定秘密をたくさん指定して、その範囲が広がるのではないかというような御懸念に対しては、特定秘密指定が、省庁ごとに、どの別表の事項ごとに何件あったかということは、定期的に公表し、また、有識者会議にも報告をすることになっております。  他方、さまざまな場合に、政府内に特定秘密が入ってくることも考えられます。  ただ、具体的にどんな場合ですかということを今お答えすることはしませんけれども行政機関の範囲を狭めてしまいますと、これは政府間の共通ルールを確立するということにも支障が生じてまいりまして、日本国政府内では共通の保全ルールがあるということを各国にお示しして情報の共有化を図るという目的からして、ここは、主体については狭めておりませんが、特定秘密指定を、委員指摘のとおり、別表該当性、非公知性、そして特に必要性ということで狭めましたので、御理解をいただきたいと思います。
  233. 山田宏

    ○山田(宏)委員 行政機関同士の共通のルールというものの必要性は認めますが、これは国家公務員法上の守秘義務ですか、各省庁が秘密ということを指定しているわけでございますけれども、そういったものをまず最初にルール化すべきじゃないんですか。それはあるんですか、ないんですか。
  234. 森まさこ

    森国務大臣 国家公務員法、そして国家公務員倫理規程等によってルールが定められております。  なお、現行でも、法律ではございませんが、特別管理秘密、いわゆる特管秘というものがございまして、これは、カウンターインテリジェンスに関する基本方針というものが、運用指針のようなことで、各省庁の申し合わせによって定められております。  しかし、その細目はばらばらでございます。これを法定化して共通のルールにしていくということが必要だということで、本法案提出したわけでございます。
  235. 山田宏

    ○山田(宏)委員 それでは、時間もありますので、次のテーマについてお聞きをしておきたいと思います。  私も指摘を申し上げ、また森大臣の方からも検討するとお答えいただいた、いわゆる秘密指定にかかわる基準をきちっと遵守しているのかどうかということを判断するために、もちろん、その行政機関の長が一番よくわかっているわけでございますが、しかし、実際、その基準を定めた人間が、基準どおりやっているかどうかというものを調べるということは、これはあり得ないわけです。  基準が定められているのならば、しかも基準が公表されているということであるならば、その公表された基準に沿ってきちっと秘密指定が行われているかどうかということを、独立した、できれば第三者の機関で検証していく、または、国民から、こういった秘密は解除すべきではなかろうかということがあれば、それについても審査する、または監査をしていくというような権限を持った機関というものの設置が必要だというふうに考えております。  この点につきましては、いろいろな意見があることは承知をしておりますけれども、やはり、秘密指定をする行政機関の長とは別に、秘密指定の基準が守られているかどうかということを監査する、そういった機関というものが存在しているというだけで随分違うんだろう、私はこう思っております。  何十万件の秘密を全部検査するわけではありません。時には、必要に応じて抜き打ちで監査をする、または、国民等から要望があった場合は、それが基準どおりになっているかどうか監査をして報告する、こういったことを行えるような機関というものをぜひ設置していくべきだと考えております。  その機関のあり方につきましては、私は、例えば独立行政委員会のような、第三者機関みたいなものを設置するという考えもありましょうし、また一方で、行政の中に、政府の中に、秘密指定する権限を持ったところとは別に、独立した行政の組織、部局というものを設置するということもあろうかと思います。  この辺につきまして、森大臣、どういうお考えをお持ちでしょうか。
  236. 森まさこ

    森国務大臣 先般、山田委員の御質問に対して御答弁をさせていただきました。その点について、他の委員からも何回も御質問を受けておりますが、毎回同じ答弁をしております。それ以上でもそれ以下でもない答弁をしております。  そのときの答弁で私申し上げましたのは、委員の御指摘のとおり、国民のための情報ですから、国民になるべく明らかにしていくということを検討することは重要だと考えます、その視点から、有識者会議の基準等の、また重層的なチェックシステムを設けてまいりましたが、委員行政機関の内部に第三者的な機関を設けたらどうかという御指摘については、謙虚に受けとめさせていただきまして、検討させていただきたいと思います、このように御答弁を申し上げました。この答弁のとおりでございます。  修正協議につきましては、国会の政党間で行っていることですから、政府の私がここで口を挟むことはまかりならないと思いますが、今修正協議が進められているものと承知をしております。  私の見解は、今述べたとおり、先ほどの答弁と同じでございます。
  237. 山田宏

    ○山田(宏)委員 いや、それはわかっているんですよ。検討したいと思いますと言うんだから、検討したんですよね。検討していないんですか。
  238. 森まさこ

    森国務大臣 はい。私は今でも検討をしております。
  239. 山田宏

    ○山田(宏)委員 検討中。検討中であれば、法律家である森大臣でございますから、やはり私は、もちろん政党間でも今協議をしておりますけれども、一定の御所見があってしかるべきというふうに思っております。  検討中という形で一切答えないということではなくて、やはりどうあったらいいか、我々も前向きに、この法案について、よりよくするために議論しているわけですから、これはそういう形で放り投げないで、一応大臣として、もちろん政党間では協議しますけれども、どうあったらいいんだろうということについて、その検討の経過の中で今お考えになっていることをお聞きしたいと思います。
  240. 森まさこ

    森国務大臣 御存じのとおり、毎日国会答弁に立っております。  私は、委員も御承知の上でおっしゃっておられるのだと思いますけれども、今修正協議をしているときに、私が何かしらの所見を申し上げるということは、かえって修正協議の進行を妨げる、また、多大な影響を与えるものと思います。  国会の中で、政党間で修正協議が行われ、その中で一定の結論が出た場合には、また私も真摯にそこに向き合っていくということはお約束をさせていただきます。
  241. 山田宏

    ○山田(宏)委員 行政機関の、行政の内部に第三者的なそういった機関をつくるということについては、検討するという森大臣の御答弁でスタートをしているということでございますので、私としては大変評価をしておりまして、そういった答弁をされたということがスタートになっているという意味では、森大臣もその実現に向けて努力をしていただく義務があるんだろうというふうに私は考えておりまして、検討しますとは言ったけれども私は知らないわよというわけではないと思うんですね。ぜひこれが前向きに進むように、大臣の方の積極的な御協力をお願いしておきたい、こういうふうに考えております。  さて、その次で、五年ごとにこの特定秘密は、最長五年ということで期間を指定し、期間が終了するときには、さらにその必要性を勘案して延長することができるというたてつけになっております。そしてさらに、積算して三十年、特定秘密の後は、内閣で承認を受けて、そしてまたさらに五年延ばすということができる、こういうことになっているわけです。  今もずっといろいろな委員がこの点についてはいろいろと質問をされてきましたから、ちょっと重なるんですけれども、ちょっと観点を変えてお聞きをしておきたいな、こう思っております。  まず、内閣のこの法案では、四条の三項ですね、「行政機関の長は、」「三十年を超えることとなるときは、」「その理由を示して、内閣の承認を得なければならない。」ということになっています。  この「理由を示して、」というこの理由は、これは公表されるんでしょうか。
  242. 森まさこ

    森国務大臣 はい。この委員会でも答弁をさせていただいたとおり、理由は示されます。
  243. 山田宏

    ○山田(宏)委員 そうすると、それで承認を受けて、またさらに特定秘密になる、そういう場合もあるでしょうね。  そういうときに、ずっと五年ごとに再延長、再延長、再延長といえば、今もいろいろな方々が御指摘しているとおり、ずっと秘密になっていくわけで、どこかでやはり公表の期限を持たないといけないんじゃないでしょうか。  その辺について、もちろん、特定の個人が、例えば日本に協力を、情報提供などをしてくれる外国の方がいて、氏名が明らかになって、その方がいなくなっても、また次のお子さんやお孫さんがいたりして、または御家族の方がいるというようなことを考えれば、無理という情報もありますけれども、その場合は、もう本当に限定的な話ですから。  やはり、基本的には三十年で公開。しかし、以下の場合については理由を示してさらに延長が可能。最後は、その延長も五年ごとで、では百年か二百年かということになってくるので、延長した場合の最高の延長の限度、そういったことも検討してはどうか。こういうふうに考えるんですけれども、いかがでございますか。
  244. 森まさこ

    森国務大臣 まさに、五年ごとの延長、それがずっと繰り返されていくのではないかという御懸念を受けまして、私が、三十年原則ということで定めさせていただきました。ですから、三十年が原則、ここで有効期間が終わるわけでございます。  しかし、他国もそうでございます、米国もそうでございますが、一定の有効期限が来ても、その後、必要がある場合には、また延長がされるわけでございます。しかし、それは五年ごとの延長と同じ手続では意味がありませんので、原則三十年、そしてその場合には、公文書館に移管する手続にのっかるという、その上で、また延長する必要があるときには内閣の承認が必要であるというふうにしたわけです。そのときには理由も公開されるわけです。  内閣の承認というのは、つまりは閣議決定でございますので、閣議決定の事項に載るわけでございますので、そこはしっかりと皆様のチェックが受けられるというふうに思っております。
  245. 山田宏

    ○山田(宏)委員 原則三十年ということを出されたことにつきましては、大変評価をしております。  その中で、今の場合、承認を得られなかったものについて、先ほどもちょっと議論があったんですが、ちょっと私、理解ができなかったので、ごめんなさい。  承認を得られなかったものについては、これは全部公文書館に行くわけじゃないですよね。そうすると、行かなかったものというのは一体どうなるんだろうか、こういうことなんですが。
  246. 森まさこ

    森国務大臣 これは他の行政文書も同じでございますが、内閣総理大臣協議、そしてその同意を得た上で廃棄されます。
  247. 山田宏

    ○山田(宏)委員 やはり、特定秘密という、特別な保護を受けてきた秘密という情報が、一定の、それまで秘密指定をしてきた行政のあり方というものに対して、本当にそれが適切だったのかどうかということを検証していくためには、その証拠が残っていかないと、やはり過ちを犯すんですね、人間は、行政機関も。  ですから、そういったものを検証するためには、特に特定秘密などは、内閣の承認を得て継続とならなかったものについては、総理大臣の承認によった廃棄ではなくて、やはり、例えば一年間はそれを保存するというようなルールを設けるべきじゃないか。  そういうことを通じてやらないと、秘密というものがいずれ期限が来たときには廃棄になってしまうということが、お尻がそうなっているならば、やはり秘密指定の恣意性というものが、これを排除する担保には薄いんじゃないか、こう思っております。  やはり、内閣総理大臣の承認を得て廃棄ではなくて、継続をされないものについては、例えば一年なり二年なりこれを保存して公開に付すというような姿勢が大事じゃないか、こう思っているんですけれども、いかがお考えでしょう。
  248. 森まさこ

    森国務大臣 現行で、防衛費、これは公文書管理法の適用を受けませんで、防衛大臣判断だけで廃棄をできることになっております。これが本法案に移ってくる暁には、公文書管理法の適用を受けるわけでございます。  そうなると、特定秘密指定が解除された後でございますが、他の行政文書と同じように、公文書館に移管されるか、それとも総理の協議、同意で廃棄されるかという手続にのるわけでございます。そのときに、国立公文書館に行くかどうかということは、きちっとこれは理由が文書に残るわけでございますし、さらに、廃棄した件数についても定期的に有識者会議に報告をされます。  また、この文書管理というのは、ファイルになって、ファイル名とそれから有効期限、そして有効期限が切れたときに廃棄をするのか移管をするのかということは、もう今閲覧できるようになっておりますね。  これだけの制度が整っていれば、私は、公文書管理法の目的を達しているというふうに考えておりますので、現行法案で十分であるというふうに考えております。
  249. 山田宏

    ○山田(宏)委員 そこは、私は意見を異にしますね。  やはり、公文書館に回されるものは、いずれ公開される可能性が高いわけですけれども、保存されていくわけです。しかし、秘密として残るもの、これは我々の目には触れないわけです。  公文書館に行くもの、そしてそれ以外は全部廃棄ということになったら、どんな秘密がどのような理由で秘密指定されたのかという過去の、長くて三十年前の記録ですら我々は検証できないというようなことがあって、本当に、行政機関がきちっと襟を正して、緊張感を持って秘密指定をやっていけるかどうか、やはりその担保が薄い、私はこう思います。  私は安倍内閣を信じています。しかし、さっきも石原代表からお話し申し上げましたように、尖閣ビデオを隠したような政権もあるわけですよ。私、そういう政権になったらどんなことになるのかと思っているんですよ。皆さんばかりじゃないんですよ。変なことをやる政権が出たら検証しようがないじゃないですか。  そういう意味では、やはり私は、三十年たった状況で、秘密がそのまま延長されない場合のもので公文書館に移管されないものは、原則はというか、これは全て、一年間、また二年間は保存をして公開に付すというふうなことをやって初めて秘密指定に対して緊張感が出るのであって、ぜひそれは御検討いただきたいと思うんですけれども、御所見を伺います。
  250. 森まさこ

    森国務大臣 先ほど石原代表もおっしゃっておられましたが、為政者の能力、そして為政者のまた規範意識と申しますか、そういったものが不十分であった場合の行政の恣意を排除するための仕組みが必要だというところまでは、私も認識を共有しております。  その仕組みをどうするかということでございますが、本法案に定めました重層的な仕組み、そして第三者である有識者の御意見を聞く仕組み、さらには公文書管理法の適用をさせる仕組み、そしてまた、情報公開法も適用されて、その情報公開請求をした場合に審査会のインカメラ手続もあるわけです。  さまざまなステージで秘密内容国民にチェックをしていただく、その仕組みが整っているというふうに私の方では考えております。
  251. 山田宏

    ○山田(宏)委員 いいところまでいったんですけれども、またもとへ戻ってしまったんですけれども。  やはり、もちろん今の仕組みは重層的にいろいろお考えになっていると思います。それはもう今の政府が、現実、日々、またその時々に特定秘密指定していくという基準が重層的になっている、またそれが厳しくなっている、これは大事なことです。だけれども、それでもやはり国民の中には、それで大丈夫かという声もあるわけです。  それをすぐ何とかしろと言っているわけじゃないんです。歴史の検証に委ねるべきだと言っているんですね。歴史の検証に委ねられるようにしておかないと、やはり歴史を考えて政治家は判断するんですよ。一番政治家が自分の身を正さなきゃいけないのは、歴史家の視点なんです。  いずれ将来、歴史家がどういうふうに自分たちの行動を判断するかということの基準を全部消してしまったら、どんどん政府は堕落しますよ。ちゃんと考えてください。どうでしょう。
  252. 森まさこ

    森国務大臣 私も、過去、野党だったときに、さまざま悔しい思いもいたしました。  しかし、一つ例を挙げて言いますれば、私は福島県でございますが、福島県において原発事故があったときに、SPEEDIの情報公開をされませんでした。しかしそれは、今、特別秘密という制度はありませんが、特別管理秘密、いわゆる特管秘というものがございます、この特管秘にされて非公開にされたわけではないんです。特管秘でさえないんです。  ですから、為政者が能力がない場合は、これはチェックをする制度がないからそういうことが起きるということでは必ずしもないと思っております。それをチェックするのは、やはり国民選挙だと思います。  私はそう思っておりますが、やはり制度の中で、なるべく行政の恣意を排除する仕組みを設けさせていただいたところでございます。
  253. 山田宏

    ○山田(宏)委員 そういうことを言っているんじゃないですよ。それは、その時々の選挙は、政治的な責任をいろいろな形で負っていくのはもう当然のことです。そういう制度があればなおさらいいという話であります。  私が申し上げているのは、やはり将来、あと三十年、まあ、私は生きているか生きていないかわかりませんが、とりあえず、やはりある一定の原則、三十年で終わりということであれば、やはりそこでもって三十年ごとに、一定の政府の過去の行為について、三十年前の話ですから、歴史家またはいろいろと研究者の客観的な検証を経た上で、さらにいい制度にしていくというための機会をつくる絶好の機会だと思うんですよ。そうでないと、一回この制度ができてしまうと、一体どこで、ああ、これはだめだったから見直そうかとか、そういうことがどこでわかるんでしょう。  私は、やはりそういった知恵をぜひ法案の中に盛り込んでほしいと思いますが、いま一度御答弁をお願いします。
  254. 森まさこ

    森国務大臣 私も歴史の検証を受けるべきだと思います。だからこそ三十年というのを定めさせていただきました。三十年原則でございます。ここで、歴史的な文書については公文書館に移管をされて、国民はそれを閲覧することができます。  これを、歴史的な公文書ということですが、特定秘密の場合にはどうかというと、それは先ほどの、委員が御指摘のような、ヒューミントのような例外を除いては、特定秘密にされるようなものは、もちろん歴史的に価値があると思います。ですので、三十年、または三十年ではまだ安全保障上おそれがあるという場合には延長されると思いますが、その暁には、私は公文書館に移管されるものと思っております。そこで歴史の検証を受けるものと思っております。
  255. 山田宏

    ○山田(宏)委員 そのときの政府がどういう状況によるかとは思うんですけれども、私はそう思います。森大臣はそうされるだろうとは思いますけれども。  やはりルールは決めておいた方がいいと思うんですね。総理大臣のそのときの意思によって、それが公文書館に行くものが多いときもあれば、本当は、総理大臣がこれが本当に歴史的価値があるのかないのかなんて判断できませんよ。その歴史的価値を判断するのは、その公開される文書を見つけて、そして研究者がこれはなかなか歴史的価値があるじゃないかと思うのであって、それは権力の中枢にある人が判断することじゃないんですよ。  だから、そういった意味では、三十年もたったものは、やはり引き続き秘密指定されていくというものが存在するのはわかります、原則三十年ということも私は評価しています、そして、そこで秘密指定が解かれたものについては、きちっとこれは保存し、公開していくということがやはり原則であるべきだと考えております。  ぜひその点を考えていただきたいと思いますけれども、答弁、変わりませんか。
  256. 森まさこ

    森国務大臣 問題意識は全く同じだと思います。  私は、三十年の期限が来たときに、内閣の承認というのは、これは総理だけじゃないですから、内閣全員ですから、全ての大臣に見られます。閣議で見られます。  これは、私がいつも閣議をやっていて、あの閣議の会議で、閣議のテーブルに自分の役所の書類を見せるときは毎回大変緊張いたします。そうやって見せられるわけです。ああ、これは特秘ね、これを三十年たって、あなたのところで延長するのしないのというのを発表しなきゃいけない、理由を持って。これは大変なことだと思っています。自分の大臣室の中だけで決めるのと、やはりわけが違うと思います。  そのときに、閣議の議事になるわけですよ。閣議事項というのは、もうこれはマスコミの皆様にいつも知らされています、きょうはこれとこれが閣議の事項なんですね。そうしたらば、これは延長がきょうされるんだということは、国民の皆様が知ることになります。そのときに、延長するというときは理由も国民の皆様に発表する……(山田(宏)委員「延長されないものの方を言っているんです」と呼ぶ)だから、延長するかしないかですから、延長するかしないかは一旦そこでのるわけです。  延長しないときには、もう一回内閣総理大臣の承認と同意が必要なわけですから、そのときにやはり私は国民のチェックの目にさらされると思っておりますし、有識者会議において必ずそのことは毎年報告をされていくわけですから、問題意識は同じなんですけれども、私は、現在の仕組みをそういう意味で設けさせていただいたということでございます。
  257. 山田宏

    ○山田(宏)委員 急にかたくなっちゃったんですけれども。  森大臣、今のお話だと、三十年後に期限を迎えた特定秘密が全部かかって、これは引き続き継続、これは継続しないと、全部かかって決めていくという制度になっているんですか。
  258. 森まさこ

    森国務大臣 特定秘密は五年以内の有効期限を定めることとなっておりまして、五年以内といっても全部五年じゃないんです。  だから、きょうから三十年後に全ての特定秘密が一気に有効期限が来るわけじゃなくて、五年で終わるものもあれば、もしかしたら四年かも、三年かも、二年かもということで、全く同じ日に物すごい件数が来るということはないと思っております。
  259. 山田宏

    ○山田(宏)委員 それを言っているんじゃなくて、要するに、三十年たったものが何件か来ますよね。それは内閣で、AとBは行政機関の長は延長を求めている、だから、これを延長するかどうか理由を付して考える。C、D、E、F、Gという全部三十年来たものがまだあって、その残りのものも全部上がって、それが閣議にかけられるという仕組みなんですか。  もう一度申し上げますと、つまり言葉をかえて言えば、延長されるものだけが閣議にのってきて、もう延長はされないというものは閣議にのらない、そのまま今のルールに従って処理されるというふうになっているんですか、どちらでしょうか。
  260. 森まさこ

    森国務大臣 延長されるものだけが閣議にのります。  ただし、有識者会議の方に、延長するものとか、指定したとき、更新したとき、その件数というものがのりますので、今度の三十年後にこの何件かぐらいが来るなというのは皆様にはわかっていると思います。
  261. 山田宏

    ○山田(宏)委員 先ほど大臣は、閣議で三十年後に上がってくるので、閣議の全閣僚が見るんだから一定の検証があると言うんだけれども、見るものは延長を予定されているものなんですね。見ないもの、つまり閣議に上がってこないものについて言っているんですよ。  これは、閣議に上がってこない、つまり秘密指定が解除されるもの、これらについて、三十年たったら、保存して公開すべきじゃないか、歴史家の検証に、または研究者の検証に負わせるべきじゃないか、それが日本国の行政をいつも新鮮にいいものにしていく力になるんじゃないか、これを申し上げているのでありまして、閣議に上がってくるものじゃないんです。  それ以外のものをきちっと保存して公開すべきじゃないか、こう思っているんですけれども、どうでしょう。     〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕
  262. 森まさこ

    森国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、三十年をたって延長されないものは、私は、通常は歴史的価値があると思いますから、公文書館に移管されて、国民の閲覧に付されるものと思っております。
  263. 山田宏

    ○山田(宏)委員 そうすると、全部移管されるということですか。そうすると、何か法律上のたてつけとはちょっと違ってくると思うんですけれども、公文書法から見ると。
  264. 森まさこ

    森国務大臣 先ほどから御答弁を申し上げておりますので、そこの繰り返しになりますけれども、歴史的価値があるものは移管をされますし、そうではないものは、総理と協議の上、同意を得て廃棄をされます。ただ、先ほども、その後、委員と議論したと思いますけれども、私は、それは、三十年も保管をしていた特定秘密というものは歴史的な価値があると思いますというふうに申し上げました。  ただ、三十年秘密にしている理由が、ヒューミントであるとか、特別な、例外的なもの……(山田(宏)委員「だから、それは延長されるでしょう」と呼ぶ)そうですね。それは延長される場合もあると思いますし、または、大変時間が経過したので、人的情報であっても、紙に書いた断片的なもの等は廃棄をされることもあると思います。そういうときには、内閣総理大臣の同意を得て廃棄をされるわけです。
  265. 山田宏

    ○山田(宏)委員 だめなんですよ。歴史的価値があるかないかを当時の内閣総理大臣が決めることはできないでしょう。それは、もちろん明確に、五カ条の御誓文とかそういうのはわかりますよ。だけれども、何万件あるか知らないけれども、本当にそれが歴史的価値があるかどうかは、研究者が見てこれは価値のあるものというのであって、その当時の権力を持っている人が決めることじゃないんですよ。  だから、それがきちっと担保されていないと、一応私はそう思いますよではだめなんです。そこだけもう一度検討していただくようにお願いしたいんですが、いかがでしょう。
  266. 森まさこ

    森国務大臣 三十年たってからの廃棄をするかどうかということと、山田委員が前回私の方に御質問になった、秘密指定に関してチェックする行政機関の内部の第三者的な機関というのは違うと思いますけれども、同じという意味で御質問なさっているかどうか、ちょっと私、今理解できなかったんですけれども、前回御答弁をしたものについては、私は、委員行政機関の内部に第三者的な機関を設けたらどうかという御指摘については、謙虚に受けとめさせていただきまして、検討させていただきたいと思いますと答弁したとおりでございます。  また、三十年たってからの廃棄についてのチェックにつきましては、さまざまな重層的な仕組みも設けているところでもあり、また、廃棄する予定の文書については国立公文書館に、これは常にこの項目が国民に閲覧できる状態になっているわけでございます。  そしてまた、そういったものに対する情報公開法の適用もあるわけでございますので、そういった意味で、重層的な仕組みを設けたわけでございますので、現行法の仕組みで十分であるというふうに考えております。
  267. 山田宏

    ○山田(宏)委員 ちょっと質問と違うことをお答えなので時間がなくなりましたけれども、とにかく、これはもう、むきになって反対するような話じゃないと思うんですよ。  これは、我が国の行政をやはりきちっと風通しのいいものにして、より質の高いものにしていくために、ぜひ御検討いただくようにお願いして、質問時間が来ましたので、終わります。  ありがとうございました。
  268. 左藤章

    左藤委員長代理 次に、井出庸生君。
  269. 井出庸生

    ○井出委員 みんなの党、信州長野の井出庸生です。よろしくお願いをいたします。  きょうは、きのうの議論でも話題になりました「出版又は報道の業務に従事する者」、私、きょうはジャーナリストというくくりでちょっとお話をさせていただこうと思うんです。  きのう、政府答弁で、「出版又は報道の業務に従事する者」のポイントとして、不特定かつ多数の者に対して客観的事実を知らせる、また、意見、見解を述べることを職業とする、そのほか社会生活上の地位に基づいてこれを継続すると。その後、また、ブログについても、客観的事実または論評、そういった継続性があれば、ブログについても該当し得るというお話がありまして、その答弁を前提に伺ってまいります。  まず、「出版又は報道の業務に従事する者」のところで、社会生活上の地位に基づいてこれをやっている者にどういう人が当たるのか。  私からまずお伺いしたいのは、いわゆる本当に公人と呼ばれる、また著名人と呼ばれるような人がこの報道、ジャーナリストのくくりに該当するのかどうか、著名人が継続的な発信を行っている場合、ここに該当するかどうか、お伺いをします。
  270. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  社会生活上の地位の意味につきましては、日常生活の地位に基づかないという意味でございますので、通常、取材行為の場合については社会生活上の地位に基づくと推定されます。
  271. 井出庸生

    ○井出委員 例えば、今、芸能人が、ブログのランキングで、ブログを毎日書いている。かなり不特定多数に反響がある。客観的事実、それに対する、社会問題、時事問題、政治問題に対する論評をしている芸能人もおります。そういった芸能人はこういったくくりに入るのでしょうか。
  272. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  先ほど申し上げましたように、社会生活上の地位に基づきとは、日常生活上の活動を除くという趣旨でございます。  したがいまして、「報道の業務に従事する者」という定義、すなわち、不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせることや、これに基づいて意見または見解を述べることをしている者につきましては、この社会生活上の地位に基づいて行っているとみなされます。
  273. 井出庸生

    ○井出委員 余り私も芸能人の個別具体名は出したくないので、ちょっと頭の中で想像していただいて、いわゆる著名な方がそういった発信をしている場合、ここに該当するかしないかを端的にもう一度お願いいたします。
  274. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  その方の発信行為が、不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせることや、これに基づいて意見または見解を述べることに当たる場合については、この条文の報道の業務の従事者に該当します。
  275. 井出庸生

    ○井出委員 わかりました。  今、該当しますというお話がありましたが、もう少し、ちょっと芸能人だと抽象的なので、関連で伺いたいのですが、国会議員のブログですね。  きょう後ろにいらっしゃる先生方のおかげでインターネット選挙も解禁されて、ほとんど全ての方がホームページを持っている。ブログを頻繁に更新している。ブログなので内容は千差万別ありますが、政治問題、社会問題に対して深い見識を発信されている方も多数いらっしゃいます。  この国会議員のホームページ、ブログといったものが果たしてこの二十一条のここに該当するのかどうか、答弁を求めます。
  276. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  お尋ねの、国会議員の発信行為が、不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせることや、これに基づいて意見または見解を述べることを継続して行う場合については、これに当たります。  なお、先ほど、ブログにつきまして、継続してという言葉をちょっと省略しましたが、一般人のブログについても、継続した場合について当たり得るということになります。先ほどの、発信行為を継続した場合に、従事する者に当たると考えております。
  277. 井出庸生

    ○井出委員 芸能人ですとか国会議員も、今おっしゃったような条件を満たしていればここに当てはまるのかなと思うのですが。  それでは、この条文を読む限り、やはりもっと狭い意味の、報道機関ですとか実績のあるようなフリーのジャーナリストとか、そういったものが守られるようなイメージを私は受けるんですが、これはもっと広い概念で書き直す必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  278. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  二十一条二項の「出版又は報道の業務」という表現がございますが、この業務というのは、有償、無償を問わない意味で使っております。
  279. 井出庸生

    ○井出委員 有償、無償はきのう伺ったので理解をしているんですが。  この二十一条の条文ですと、インターネットが普及する前の、新聞テレビが不特定多数に物を発信してきた、そういった時代であればこの二十一条でもいいかと思うんですけれども、今、インターネットの普及によって、ざっくばらんに言えば、あらゆる人がこの対象になり得るのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  280. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  あらゆる者が対象になるということは考えておりませんが、先ほど申し上げます、不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせることや、これに基づいて意見または見解を述べることを社会生活上の地位に基づいて継続して行う場合には対象にしておりますが、先ほどのブログ等についても当てはまり得ると考えております。
  281. 井出庸生

    ○井出委員 あらゆる人ではないというお話なので、ちょっとまた話は国会議員に戻るんですが、非常に知名度のある、人気のある若手の政治家がいらっしゃる、毎日、一日二、三回ブログを更新していると。(発言する者あり)そういうこともたまにはあるようですが。  不特定多数でいったら、もう報道機関を凌駕するかのような発信をされる政治家も現実としているわけですよ。そういう方はこの枠に該当されるというのが、今までの答弁ですと、私の理解ですが、よろしいですか。
  282. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  国会議員の方がブログ等で多数の方に発信する場合についても、報道の業務に従事する者に当たり得ると考えております。
  283. 井出庸生

    ○井出委員 では、具体例を申し上げますと、今度は、国会議員の中でも、ブログを一生懸命やっている、だけれども、ちょっとしがないブログだ、しがない国会議員だと。まさに私のようなケースの場合はどうなるんでしょうか。
  284. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  報道の業務に従事する者とは、発信者の属性ではなくて、発信行為態様によって判断されますので、関係ないかと思います。
  285. 井出庸生

    ○井出委員 ありがたいような、複雑な心境でございますが。  それと、社会生活上の地位というところも関連して伺いたいんですが、私の非常にしがないブログなんですが、私は元記者であります。そういったことは考慮されるんでしょうか。
  286. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  過去の職業との継続性がない限り、考慮の対象外と考えております。
  287. 井出庸生

    ○井出委員 なるほど。そのやっている行為がということですね。わかりました。  国会議員が、国会の活動の中で、委員会、本会議の場で、仮に、公務員の方が、これは特定秘密としておかしい、内容に問題があると我々のところに告発があった。それを国会で取り上げることには、我々は罰せられることはないと私は認識しているんですが、そこを再度確認したいと思います。
  288. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  憲法五十一条によりまして免責されると考えております。
  289. 井出庸生

    ○井出委員 今まで伺ってきた答弁を踏まえますと、ブログについても、国会議員のブログは、その要件を満たしていれば、同じように、そこで特定秘密を誰かから告発を受けてやっても罰せられないということでよろしいですか。
  290. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  二十一条の二項の要件を満たす限り、正当業務行為として、違法性を欠くことになります。処罰されません。
  291. 井出庸生

    ○井出委員 その二十一条なんですが、報道機関、マスコミについては、過去の最高裁の判例で、社会の通念、観念に照らして正当な取材というものが想定を、一つのラインが最高裁判例であると思いますが、著名人や国会議員に関してはこれは極めて曖昧だと思うんです。  例えば、私はそんなことはしませんが、告発を受ける際に、何か大きな声でやりとりがあった。私は普通の会話だったと思っている。しかし、その大きな声が恐喝だったのではないかと。報道機関なら恐喝は、今までの答弁ですと、刑法の範囲であれば恐らく捜査の対象になると思うんですが、そういった問題は国会議員にも出てくるのでしょうか。
  292. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  二十一条二項は、要件として、法令違反によるものと認められない限りという要件としておりますので、恐喝に当たる場合については、正当業務行為とみなされません。
  293. 井出庸生

    ○井出委員 そうしますと、報道機関ではない、芸能人、著名人、国会議員、またそのほかにも、ちょっと私の例示が少なくて恐縮ですが、そのほかの方でブログを継続的に、こういった要件を満たしていても、社会観念、社会通念上という、過去マスコミに適用された取材の仕方、情報のとり方、その基準というのは全ての人に適用されるということになるんでしょうか。
  294. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  昭和五十三年の外務省漏えい事件の最高裁決定の考え方というのは、現在についても適用されていると考えております。ひとしく適用されると考えております。
  295. 井出庸生

    ○井出委員 そのときにおいては、やはり新聞テレビ、既存の報道機関というものが該当をしていた。  今、インターネット、ブログの出現で大分状況が変わっているんですが、それでもこの最高裁判決というものが、新聞テレビ以外の人たちの発信にも適用、その一つのライン、罰するか罰しないかのラインになっていくということでよろしいですか。
  296. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  そういう考え方で結構でございます。
  297. 井出庸生

    ○井出委員 そういう考え方で結構ですと、そう御答弁にならざるを得ないのかもしれませんが、それは大分実態と、社会情勢の変化に全く対応をしていないのではないのかなと。  私は、過去のこれまでの質問の中で、マスコミに情報提供する人、もしくは、公務員の方であっても、これはおかしい、そういう義憤を持って告発する人をどうやって守るのかということを質問、意見を述べてきたんですが、それが今質問させていただいているところとまさにリンクすると思うんですけれども、インターネットの普及によって、公開することの公益性がある情報を発信できる人はもう誰でもい得るという状況だと思うんですよ。そこにこの二十一条は適応していない、私は適応していない条文だと思うんですが、そこをもう一度、お考えを伺います。
  298. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  この二十一条第二項は、報道の業務従事者の取材行為についての正当行為を定めたものでして、例えば告発者について違法性云々を適用する話ではございません。まずそれが前提でございますが、そういう意味では、取材行為自体が最終的にこの適用の要件の可否になりますので、その前提としての要件として「出版又は報道の業務に従事する者」という要件を課しておりますので、ここで新しい形態のブログ等を含めたとしても、その範囲が直ちにそういう内部告発等に影響を与えるとは考えておりません。
  299. 井出庸生

    ○井出委員 内部告発と報道の違いは、内部告発は、情報発信の継続性がない。とある、これは告発しなきゃという情報をぱっと一発出す。特定秘密には当たらないという話ですけれども、尖閣漁船の衝突の映像を、先ほど別の方がお話に出しましたけれども、ああいうのを告発というんだと思うんですね、この情報を隠している必要はないだろう、出すと。  報道機関の場合は、ふだんから業務としてやっている。そこにあの映像が持ち込まれて、それを出す。実際、たしか尖閣の映像は海外のメディアに持ち込まれたやに聞いております。  映像を出して、それが公になって、尖閣の映像についての公開は賛否あると思いますが、それが公益性のあったもので社会的な反響がある。そのことについては、報道であろうと告発の一回の行為であろうと、私は同じだと思うんです。  私は、インターネットが普及したことによって、内部告発をする人と、それを誰かに持ち込まれて、持ち込まれた人が発信することの境目すらも、もう一発で本人が直接発信できるようになってきているんですから、公益性ある情報を告発するという行為が今はもう多様化をしてきている、この二十一条のたてつけでは古過ぎると思うんですけれども
  300. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  まず、内部告発の情報報道関係者に持ち込まれて、報道関係者が仮にそれを発信した場合、その報道関係者が教唆行為等をせずに、一方的に内部告発者が持ち込んだ場合については、それはもともと本法の処罰対象外でございますので、そういった内部告発を抑制するような本法案ではございません。  それで、何らかの教唆行為に該当するような取材行為があった場合に、その取材行為の正当業務行為判断事項として二十一条二項を設けているところでございます。
  301. 井出庸生

    ○井出委員 もともと、これはおかしいと、違法行為、犯罪行為といったものは秘密にならないという御答弁をいただいておりますから、そういったものを想定していらっしゃらないと思いますが、私がきょうもさんざん言ってきた、そういう告発すべきと思って判断が難しいような情報を出したときに、やはりこの条文ではなかなかそこを守り切ることにはならない。最終的に私は裁判だと思うんですね、もしそうなってしまった場合。恐らく、行政、捜査側とすれば、裁判の中でその是非を争っていくことになると思うんですよ。(発言する者あり)  報道する人は対象にならないけれども教唆行為があった、ないの争いの部分もありますし、内部告発者に関して言えば、その情報の違法性が判断がつかない限りは司法判断になりますよね、内部告発の場合は。そのときに、その最後のとりでが、私がインカメラ、インカメラと言ってきた裁判のところだと思うんです。  その裁判の件に関しては、きのう別の委員の方が、より刑事裁判の場においてしっかりと証拠が開示されやすくなるのであるということで、もう一度安心した、そういう御発言がきのう委員の方からあったんですけれども鈴木さんの答弁に対して。  ただ、私がこれまでも何度も申し上げてきましたように、裁判についても、これは確認なので、そうか違うかで結構なんですけれども、これまでの慣習どおり外形立証をメーンにやっていく、それで必要があればインカメラだと。  外形立証がメーンということは、基本的には裁判所に秘密内容公開することは想定しない、そこだけちょっと確認をさせてください。
  302. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  まず、刑事裁判においては、被告人は秘密内容について争うことができます。司法審査も及びますが、立証方法としては、これまで秘密漏えい事件が問題になった場合については、検察側は、実務の慣習として、いわゆる外形立証によって、情報そのものを公判廷に提示することなく立証を進めてきたと考えております。これからも基本的には同じ考え方でやっていくものと考えております。     〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕
  303. 井出庸生

    ○井出委員 ひとつ裁判については立証責任を果たしていただきたいというお願いは前回させていただきました。  きょうは、インターネットの普及によって、この二十一条は少し時代の実態に合った文面でないと私は思っておりますので、いろいろなことはないと信じたいんですが、こういうことは、もしここで何か、この二十一条の解釈で問題があったときに、ここについても慎重な解釈をやっていっていただきたいということをお願いいたします。  残りの時間で、ほかの委員の皆様も言われていた文書の保存、処分の関係についてもお伺いをしたいんです。  先ほどのやりとりで、政権、為政者の能力がないととかというお話がありましたが、私は、決してそれだけではなくて、政権が長期にわたれば、どんなに優秀な政権であったとしても、ゆがみ、慢心といったものが出てこないとも限らないので、くれぐれもそこは慎重に考えていただきたいと思っております。  この問題は、やはり、これまでの公文書の関係で、これまでの文書の流れで保存、処分を決めていくということが言われておりますが、特に法律の施行の開始から当面の間とか、しっかり保存を前提にした、より多くのものをこれまでより一定期間保存しておくような運用ガイドラインをつくることが重要だと考えますが、いかがでしょうか。
  304. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  特定秘密が記録されている文書についても、保存期間が満了した場合には、他の行政文書と同様に、国の機関の政策の検討過程、決定に関する重要な情報が記録された文書その他の歴史公文書等については、国立公文書館等に移管することとなりますが、歴史公文書等に該当することとなる文書の基準につきましては、内閣総理大臣決定によりガイドラインが定められております。  本法案では、特定秘密指定は、外部の有識者の意見を反映させた統一的な運用基準に基づいて行うこととしておりますが、歴史的公文書等に該当する文書の基準につきましては、引き続き、今申し上げたガイドラインによることとなります。
  305. 井出庸生

    ○井出委員 ずっと秘密で来て、それが不必要になって処分をされる。表に出ないものは情報公開請求のしようもありませんし、また、この法案は、これまでの防衛秘密だけでなく、その分野を大きく広げて情報取り扱いますし、情報の一元化、NSCも考えれば、そういった情報の積み重ねの経過ですとか、そういったこれまでと違う新しい情報がいろいろ出てくると思いますので、どうか文書の保存については慎重にやっていただきますことを強くお願いいたしまして、時間が参りましたので、終わります。  どうもありがとうございました。
  306. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、赤嶺政賢君
  307. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。  外務大臣は、当委員会に初めての御出席でありますので……(発言する者あり)私の質問に対してはですね。質問者は私ですから。  それで、この間、地位協定について大臣不在のときに質問をいたしまして、やはりこれは大臣がいらっしゃるときにもう一度確認した方がいいんじゃないのかと思って、改めて伺います。  外務省の「日米地位協定の考え方 増補版」、これであります。これを取り上げました。これを特定秘密指定するかどうかをただしましたら、外務省の山田参事官は、精査して判断していきたい、現時点で答弁は難しいとの説明でありました。  特定秘密指定というのは、この委員会で何度も議論されてきましたように、行政機関の長が、公になっていないもののうちから行うこととされています。既にこの「地位協定の考え方 増補版」は、出版をされ、公になっているわけです。秘密指定要件を満たさないことは明らかであります。  特定秘密指定するのか、指定しないのか、外務大臣のお考えを示していただきたいと思います。
  308. 岸田文雄

    ○岸田国務大臣 御指摘資料、この「日米地位協定の考え方」を初め、外務省が保有している非公表の文書について特定秘密指定するかどうかということにつきましては、まずは、この法律に基づいて、別表に列挙されているこうした項目に該当するかが問われ、そして、その上で、法律の運用として、有識者会議の意見を踏まえて策定される統一的な運用基準に基づいて精査されるとされています。  今後、この法律成立しましたら、この有識者会議の意見等を踏まえて、統一的な運用基準が作成されるものと思います。その運用基準に基づいて行政機関の長が判断する、こういった手続になっておりますので、現状、その運用基準が作成されていない段階で、特定秘密に該当するかどうか、今の段階では、ちょっとお答えするのは難しいと思っております。
  309. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 大臣も参事官と同じ答弁でありますけれども。  法律要件法律仕組みは、私、理解しているつもりであります。ただ、これはもう公になっているわけですね。そもそも法律要件を満たしていないわけですよ。  「地位協定の考え方」は、地位協定に関する外務省の見解をまとめたものであります。住民の人権や生活よりも米軍の運用が優先される実態を目の当たりにしている住民の立場からすれば、基地の運用をめぐる取り決めやその解釈がどうなっているか、当然に明らかにされるべきものです。  政府は、これまで、文書の存在を認めてきましたけれども、公表は拒み続けてきました。何で公表できないんでしょうか。
  310. 岸田文雄

    ○岸田国務大臣 御指摘の文書については、報道新聞等で内容が報じられているわけですが、そもそも、この文書自体、日米地位協定に関して昭和五十年代に作成された、外務省の部内の参考資料であります。  ですから、もともと公表することは想定していない文書でありますので、外務省として、公表することは現時点で全く考えておりません。
  311. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 まさに部内の参考資料ではありますが、どんな考え方で基地問題、基地の運用に臨んでいるのか、これは沖縄県民を初め、基地所在自治体の住民に知らせていかなければならないものであります。  それで、中身を、どんなことが書かれているか。例えば、今、オスプレイによる全国七つの訓練ルートを使用した低空飛行訓練が問題になっています。日米地位協定上、日本政府米軍に対して施設・区域を提供しているにもかかわらず、なぜ施設・区域の外でこのような危険な訓練を行うことが認められるのか、これは繰り返し追及してきましたが、「地位協定の考え方」では次のように述べています。  米軍の軍隊としての機能に属する活動は原則として施設・区域内で行われるべきことは当然である(そもそも地位協定により施設・区域が提供されているのは、一般米軍の軍隊としての活動が場所的な制限なく我が国内において行われれば、我が国の社会秩序に大きな影響を与えられることが予想されるので、このような活動が原則として一定の場所に限つて行われるべきであるとの考え方に基づいていると考えられる。) つまり、米軍軍事訓練は施設・区域の中で限るのが原則だということを認めているわけです。  ところが、現に、米軍日本全土で訓練を実施している現状があるもとで、そのような訓練をやめるように求めるのではなく、これをどういう理屈で容認するのか、そのことが「地位協定の考え方」には書かれています。  米軍による単なる飛行訓練は、例えば空対地射爆場で行われる射撃訓練と異なり、土地等又は公有水面の使用を伴わず上空の空間しか使用しない態様の活動である。このような活動は、専ら航空安全の見地より適当な調整が行われれば、その活動によつて直ちに我が国の社会秩序に影響を及ぼすものではないと考えられる。 こう述べているんですね。  米軍による低空飛行訓練によって、沖縄はオスプレイの低空飛行訓練でどんな被害が出ているか、これは防衛大臣もよく御存じであります。本土における低空飛行訓練も、現に、木材用のワイヤが切断されたり、土蔵が崩壊したり、窓ガラスが割れたり、さまざまな被害が出ているにもかかわらず、こういう理屈で容認しているわけですね。  政府が文書を公開しない、内部の資料、そして公開しないその理由は、こういう米軍の特権を容認している実態を国民に知られたくないからではありませんか。
  312. 岸田文雄

    ○岸田国務大臣 御指摘の文書の中には、日米間の外交上のやりとりに関する記述も含まれております。こうした内容が含まれておりますので、やはり米国との交渉上の不利益をこうむる可能性もある、あるいは米国との信頼関係を損ねる可能性もある、こういったことから、当該文書を公表することは外務省としては考えてはおりません。
  313. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 森大臣、別に質問するわけではありません。ただ、さっきから三十年という話がありましたが、これはもう公になって三十年以上たっているんですよ。特定秘密指定するかどうかわかりませんが、こんなのが、基地の運用の実態を合理化するような外務省流の、軍事安全保障じゃないですよ、そういうのが公開されないのはやはり不思議だと思っていただきたいと思うんですよね。  要するに、政権にとって都合の悪いことを隠しながら秘密にしているのではないか、このように指摘しておきたいと思います。  次に、ちょっと急ぎますが、密約問題について外務大臣に伺いますが、きょう外務大臣も答弁され、官房長官も参議院で答弁されておりますが、民主党政権で出された報告書を現政権として踏襲していくと言われました。この報告書を踏襲するというのはどういうことか。  二〇一〇年のいわゆる密約問題に関する外務省調査報告書は、核持ち込み、朝鮮有事の際の戦闘作戦行動や沖縄返還時の密約を調査し、有識者の見解として、沖縄返還時の原状回復補償費の肩がわりに関しては広義の密約が存在した、このように結論づけております。  報告書を踏襲するということは、広義の密約が存在したという認定を踏襲する、そういうことでいいですね。
  314. 岸田文雄

    ○岸田国務大臣 外務省が踏襲しているというのは、密約問題について調査を行い、平成二十二年三月にその結果を、いわゆる「密約」問題に関する調査報告書として公表しておりますが、この報告書の内容を踏襲しているということであります。  このうち、沖縄返還時の原状回復補償費の肩がわりに関する密約とされたものにつきまして、いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書、この報告書におきましては、四百万ドルの土地の原状回復補償費について広義の密約があったとの見解が示されています。  一方、外務省の、先ほど示させていただきました報告書、この報告書におきましては、原状回復補償費四百万ドルを日本側が肩がわりすることを内容とする非公表の文書は発見されず、作成されたかどうかも確認できなかった、こういった内容になっております。  私が申し上げている踏襲するというのは、こちらの調査報告書の内容についてであります。
  315. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 外務省の調査報告書に基づいて有識者は検討して、検討した結果、広義の密約はあったというんですね。  確かに、外務省の当時の担当者でありました吉野文六アメリカ局長、スナイダー駐日公使の署名の文書は、外務省からは見つからなかったと外務省はおっしゃっている。しかし、日米間でこの問題で交渉が行われたとするメモは見つかっているんですよね、外務省の報告書の中にそれはあります。それを広義の密約と認定したわけです。  吉野・スナイダー文書については、琉球大学の我部政明教授らが米公文書館で見つけて、明らかになりました。二〇〇六年には、吉野氏が密約の存在を認めました。このことが外務省調査でも裏づけられたということであります。  二〇〇六年当時、麻生外務大臣は、沖縄返還協定が全てで、密約等々は一切ないと全面否定をしました。しかし、外務省調査でいろいろな文書が出てきている。メモも出てきている。アメリカの公文書館からもそれを示すものが出てきている。  であれば、沖縄返還協定が全てで、密約等々は一切ないという、この答弁は少なくとも見直すべきではありませんか。
  316. 岸田文雄

    ○岸田国務大臣 現政権そして外務省の立場は、先ほど申し上げましたように、平成二十二年三月に発表されました外務省の調査報告書、この内容を踏襲しているということであります。  そして、以前の答弁との矛盾を指摘されましたが、あくまでも、現政権はこの調査報告書の立場を踏襲しており、ただ、結果として、長きにわたって国民の前にこうした内容が明らかになってこなかったことについては遺憾に感じているというのが現政権の立場であります。
  317. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 沖縄返還協定について一切の密約はなかったという、この見解そのものを見直すべきですよ。そうでなければ、国民をずっとごまかし続けている、うそとごまかしの外交をやってきていると指摘せざるを得ません。  やはり、ここで出されているのは、国家機密と言われているものほど、日米安保体制にかかわるものであります。その中心に沖縄の基地問題があります。国会と国民を虚偽の答弁で欺き、歴史を偽ってきたのであります。  日米安保のもとで、何が国民に隠され、秘密にされてきたのか、真実を明らかにすべきであります。  私は、密約問題へのまともな反省もなしに、特定秘密政府の恣意的判断で思うままにつくり出し、秘密国家とすることは許されないということを申し上げたいと思います。  防衛大臣には、新たな黒塗りの資料提出していただきました。時間がないので、きょうは大変申しわけないんですが、また、次回に回していきたいと思います。  終わります。
  318. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、玉城デニー君。
  319. 玉城デニー

    ○玉城委員 生活の党の玉城デニーです。よろしくお願いいたします。  特定秘密保護法案について、森大臣に昨日も私、質問をさせていただいて、少し確認をさせていただきたいなという点が何点かありますので、その点から質問をさせていただきたいと思います。  特定秘密を取り扱う者は、行政機関の職員、契約業者の役員、職員、そして都道府県警の職員などが当たるわけですが、この各省各機関のもとに調査が行われた特定秘密取扱者に関する適性評価が、思料するに、膨大な量かつ細微に至る、かなりプライバシーの、秘匿性の高い個人情報になるというふうに思いますが、管理される責任及びその管理体制はどのように構築されるのか、お聞かせください。
  320. 森まさこ

    森国務大臣 適性評価の結果等の情報は、各行政機関の適性評価を実施する部署で管理責任者を定め、適切に保管し、保存期間経過後は確実に廃棄することが必要であります。具体的な運用については、運用基準において規定することを今後検討してまいりたいと思います。
  321. 玉城デニー

    ○玉城委員 では、ある一定期限が来たら廃棄をするというふうにお答えでございますが、個人情報としての適性評価成績が保管、保持されなければならない期限、これはどのように判断されるとお考えでしょうか。
  322. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  適性評価の結果等の情報は、各行政機関の適性評価を実施する部署で管理責任者を定め、適切に保管し、保存期間経過後は確実に廃棄することが必要でございます。  保存期間を含めまして、具体的な運用につきましては、有識者の意見を反映させた運用基準において規定することを含めまして、今後さらに詰めていきたいと考えております。
  323. 玉城デニー

    ○玉城委員 昨日も私は、ポイントといいますか、何度もしつこく確認をさせていただきましたが、結果的に、特定秘密を取り扱う方、取り扱う業者、そういう方々にとって、各省庁が、自分や家族、あるいは自分のプライベートなことに関して調査された情報をずっと持ち続けるということに関しては、その方が、現役といいますか、ある一定期間、十年、十五年先までお勤めになられるのであればそういうことはないのかもしれないんですが、例えば、もうじき自分の働く期限がやってくる、退職年限がやってくる、あるいは、そろそろ違う道を考えたいと自分で希望して退職をしたいというふうに思ったときに、各省庁が持ち続けているその方の情報について、一体自分はいつ自由になるんだろうかというふうなことは大変危惧されるところだということを昨日も、繰り返しになりますが、お話をさせていただきました。  この業務の契約解除、取り扱いをする業務の契約が解除になったとき、あるいは、勤務企業の中途契約解除による解雇などが起こった場合、保管されている取扱者の適性評価成績の停止、解除などはどのようになるんでしょう。これは、民間の皆さんが、その業務の契約が解除になり、あるいは勤めていた企業の契約が解除になったというふうな状況を踏まえてお聞かせください。
  324. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  特定秘密取り扱いの業務を行っていた契約業者の役職員が離職した場合につきましては、当該契約業者の役職員は、また取り扱う場合につきましては、改めて適性評価を受けなければなりません。
  325. 玉城デニー

    ○玉城委員 適性評価を受けるかどうかではなくて、審議官、これは、途中で契約が終わった場合、解除された場合というふうなことを考えて、途中でその業務が、この会社に勤めているときに終わってしまったわけですね。ですから、改めて受けるのではなくて、終わってしまったその方、取扱者、あるいはその会社の役員が、この場合は適性評価対象取り扱い対象になるわけですから、その方々のその後はどうするんですかということを聞いているつもりです。
  326. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 御質問の趣旨は、離職された方はどういうふうな取り扱いになるかということですか。(玉城委員仕事が終わってから以降ですね」と呼ぶ)  仕事が終わった後については、基本的にその取扱業務の業者に勤務していないわけですので、取り扱うことは想定されないと考えます。
  327. 玉城デニー

    ○玉城委員 ですから、その場合に、この適性評価がずっと、その仕事先であった、例えば防衛省なり外務省なり、そういう省庁で保管されているわけですよね。でも、その方は、契約の期間が途中で終わり、それがために会社を退職せざるを得なくなったというふうな場合に、防衛省外務省にあるその人の適性評価成績はどうなるんですかということです。
  328. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  御指摘のような、途中で離職された方の適性評価に関する情報の保管期間につきましても、そういった要素も含めまして、運用基準の中で検討していきたいと考えております。
  329. 玉城デニー

    ○玉城委員 政令や運用基準もぜひ並べて議論してみたいなと思うこと大でありますが、わかりました。  では、運用基準の中で決めるというふうな取り扱いなんですが、この適性評価の調査によって収集された個人情報について、例えば廃棄されるとなった場合に、特定秘密を取り扱う行政機関の職員、契約業者の役職員、都道府県警の職員等全てに対して、評価対象者への、その取り扱いの業務が完了した、終了した場合の、各省庁が持っているその人の個人情報を廃棄する通知についてはどのように考えていますか。
  330. 鈴木良之

    鈴木政府参考人 お答えします。  適性評価のために収集しました個人情報の廃棄につきましては、各個人に対して通知することは考えておりませんが、個人情報の保管期間等につきましては、運用基準に規定することを含めまして、検討し、公表してまいりたいと考えております。
  331. 玉城デニー

    ○玉城委員 ぜひ、その方の肩の荷がおりたという状況は、きちんと、できるだけ速やかに、確実にその方に通知をするべきであるというふうに思います。それが、その仕事から役目を終えた、それ以降も秘密は守るにしても、ある一定、もう役目は終えたということで安堵するというふうなことを考えると、それはやはりしっかりとやるべきだということを申し入れておきたいと思います。  では、ここからは、第二十二条以降の特定秘密漏えい等に対する処罰及び罰則について、残りの時間は聞いていきたいと思います。  今回、大臣、それぞれの処罰を重く定めているわけですよね。例えば、国家公務員法と自衛隊法の防衛秘密漏えい、それから米国から提供された防衛装備品の情報などに限った日米相互防衛援助、いわゆるMDA協定秘密保護法があるんですが、この今までの最高懲役はそれぞれ、国家公務員法一年、自衛隊法五年、それからMDA協定秘密保護法違反になると十年ということなんです。  今回は、それが一気に、特定秘密を取り扱うことを業務とする者は、故意に漏らせば十年以下、過失、過って漏らしても二年以下の禁錮、五十万円以下の罰金。公益上の必要により行政機関から特定秘密の提供を受け、これを知得した者、故意に漏らせば五年以下の懲役、過失だと一年以下の禁錮、三十万円以下の罰金。それから、特定秘密の、次に掲げる取得行為処罰する、これは十年以下の懲役で、これが、人を欺き、人に暴行を加え、または人を脅迫する行為、財物の窃取、それから施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為、それから二から五以外の特定秘密保有者管理を侵害する行為、これも十年以下の懲役。  この処罰を重く定めているという理由は一体何なんでしょう、大臣
  332. 森まさこ

    森国務大臣 処罰を重く定めている理由についてお尋ねがありました。  特定秘密漏えいの防止を図るという意味で、他の法令であります、特別防衛秘密漏えいや、営業秘密を不正に開示する行為、窃盗罪の法定刑が懲役十年以下とされていることと比べ、国の安全保障に関する特定秘密漏えい国家公務員法の守秘義務違反の法定刑であります懲役一年以下にとどまることは、バランスを失し、特定秘密漏えいを抑止する観点からも十分ではないと考えました。  なお、例えば米国では、外国を利する等の意図を有する者による外国政府への国防情報漏えいに関する罰則最高刑を死刑とし、英国では、国の治安、利益を損なう目的による、敵に有用な情報漏えいに対して三年以上十四年以下の自由刑を科しており、本法案の刑が重過ぎるとは考えておりません。
  333. 玉城デニー

    ○玉城委員 人を裁くのに、別に諸外国と肩を並べる必要は全くないと思います。なぜなら、国家公務員は国家公務員法で、自衛隊員は自衛隊法で、もしその漏えいをした場合には、彼らは懲戒処分を受けるんです。首になるわけですよ。首になるということは、自分の人生設計そのものが、著しくみずからの行為によって処罰を受けてしまうという、これは私は重たい刑罰だというふうに思います。  それは、一般刑で言うところの懲役とか禁錮とかという量刑の長さ、重さではなくて、公務員として公にその責任を果たすための資格を著しく失するというふうなことがあるわけですね。例えば自衛隊法では、免職、降任、停職、減給または戒告の処分をすることになっています。一方、国家公務員法では、一般服務関係ですが、例えば秘密漏えいというところは、もう免職か停職です。懲戒免職になれば、当然、例えば退職金も一切ありません。それは、公務員になったときに、こういうことをやったら大変なことになるというふうなことは十分わかっている上でその職務についていると思うんですね。  そして、これまで答弁にありましたとおり、では、過去十五年間でどれだけの公務員による情報漏えいがあったのかということは、資料によって五件であります。そのうち、懲役十カ月になったのは、在日ロシア大使館に勤務する海軍武官から工作を受けた海上自衛隊三等海佐が犯した事件ですが、これはボガチョンコフ事件といいます。このときには、自衛隊法違反で懲役十カ月で、懲戒免職になっております。あとの皆さんは、一番新しい尖閣沖漁船衝突事件に係る情報漏えい事件、これは二〇一〇年ですが、国家公務員法違反、起訴猶予処分になり、停職十二カ月の後、辞職しています。  つまり、この十五年間を見ても、やはり国家公務員の皆さんはしっかり仕事をしているということになると思うんです。そこであえてこういうふうに量刑を重たくするということで、果たして職員の皆さんのモチベーションは上がるんですか。
  334. 森まさこ

    森国務大臣 国と国民の安全に関する情報を諸外国と共有する上で、諸外国からそのような特定秘密に当たるような情報を入手する場合がございます。その場合に、諸外国と同等の保全体制がとられていなければ、適切な時期に効果的な情報を交換、共有することができません。今回、そういう意味もあってこのような刑を科しております。
  335. 玉城デニー

    ○玉城委員 私も、やはりこの法案の審査で常々疑問に思うのは、こういうふうにそれぞれ国家公務員法それから自衛隊法で決められているさまざまなことをあえて変える。そして、特定秘密の四項目の内容についても、結果的には、自衛隊法に載っている別表の見直しをして、また新たにこの法律に詰め込んでいく。  諸外国情報を共有するためにこうやって刑を重くするということになった場合に、果たしてその先に何をしようとしているんですか。諸外国と共同で何をしようとしているんですか。つまり、集団自衛権の行使に話が進んでいくわけですよ。  だから、国民を守るのであれば、今現在仕事をしている彼らを評価すべきであり、刑罰を重くしてそういうことをさせないようにしますよ、それは諸外国と同じ条件になるためですからねと言いますけれども、国は国によって、各法律、各憲法によって成り立ちが違うわけです。日本独立国家なんですから、独立国家たる日本の規範を示すような法律をつくるべきだし、現にその法律があるわけですから、あえてこういうふうに法律で一本化する必要はないということを強く申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  336. 額賀福志郎

    額賀委員長 次回は、来る十九日火曜日午前八時四十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会します。     午後五時散会