○村井
委員 まさに、今御答弁いただいたとおり、
社会情勢の変化に
対応して、
社会保障の機能の強化をし、そしてまた、世代内、世代間の
公平性を確保していく必要がある、そういった問題意識だろうと思います。
そうした問題意識を共有させていただきながら、きょうは、年金
課税の合理性、そして
改革の必要性について、二点ほど
指摘をさせていただきたいと思います。
今お配りをさせていただいております資料の図一、これをごらんいただけますでしょうか。
もう既に
皆様御案内のことかと思いますけれ
ども、我が国の公的年金につきましては、現役
時代に、働いている際に年金
保険料を支払う、そして、その際に、所得税、住民税の計算時におきましては、その
保険料が全額控除をされる。そしてまた、その一方で、年金の受け取り段階におきましても、公的年金等控除という仕組みによって、
収入に応じた控除が認められているといったような形となっております。
もちろん、年金の
保険料の支払い段階と受け取り段階の双方で控除が認められるということは、その分だけ税
負担が低くなるということでありますので、ある面ではすばらしい仕組みなわけでありますけれ
ども、その上で、この控除の仕組みについて
指摘をさせていただきたいと思います。
指摘の第一点目なんですけれ
ども、我が国の公的年金に係る控除
制度が、諸外国に比べてかなり大きく、広範に認められているという点でございます。
資料を一ページおめくりいただけますでしょうか。
図二に、「主要国における公的年金
税制」といった資料がございますけれ
ども、日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの中で、年金
保険料を支払う段階と受け取る段階の双方で控除が認められているのは、日本、ドイツ、フランスのみであります。
そしてまた、ドイツとフランスに関してさらに詳しく見てみますと、ドイツについては、
保険料の支払い段階で七六%分控除があるんですけれ
ども、限度額が二百八万円というところでキャップがかかっている。さらには、年金の受け取り段階については、
非課税枠は三四%に限って認められているということであります。
さらに、フランスにつきましては、
保険料の支払い時点については全額控除がされるわけでありますけれ
ども、受け取り段階については、限度額が三十八万円と、かなり小さ目に、限定的に認められているということであります。
この資料から何が申し上げることができるかというと、我が国の公的年金に係る控除、これは諸外国と比較をしても大きく認められているんだろう、そういうところでございます。これが
指摘の一点目でございます。
そして、
指摘の二点目、これは、我が国の公的年金等控除が、給与所得者が
通常使っている給与所得控除、これと比較をして大きく認められている、そして、それが世代間格差につながっているのではないかという点であります。
もちろん、世代間格差の
議論は、さまざまな見方ができるものでありまして、簡単に白黒をつけられるものではないと思います。しかしながら、その上で、あえて
指摘をさせていただきたいと思います。
一枚資料をおめくりをいただきまして、図三ですね、「公的年金等控除と給与所得控除」といった図、これをごらんいただけますでしょうか。
これを見ていただきますと、
収入の三百三十万円以下のところと一千八百万円以上のところでは、公的年金等控除が給与所得控除を上回っているということが見てとれるかと思います。
実は、理屈で
考えると、給与所得控除の方が公的年金等控除よりも大きくて当然なんですね。というのは、給与所得控除は、その
収入を得るための経費性ですよね。会社勤めをするにしても、スーツを買わなきゃいけない、そしてまた、事務用品を買わなきゃいけないといったような、経費性に着目をして認められているものであります。その一方で、年金については、その
収入を得るために、経費はかかっていないんですね。
そういったような状態であるにもかかわらず、この
収入の、例えば二百五十万円のところ、これを見ていただきますと、公的年金等控除では百二十万円控除が認められている一方で、給与所得控除については、九十三万円に限って控除が認められているわけであります。
そもそも、公的年金等控除については、経費がかからずに年金を受け取っているにもかかわらず、大きく控除が認められているわけでありますから、この二者間においては、かなり、手元に残る金額には差が出てくるのではないかなと
考えております。
そして、この公的年金等控除という仕組みでありますけれ
ども、この仕組みは、昭和六十二年に給与所得控除から分割をされて創設をされた、そういったような経緯がありますけれ
ども、当時の物の本によると、この
制度趣旨、なぜ創設されたかというのは、
高齢者の担税力が低いからというふうにされております。
ですけれ
ども、よくよく
考えると、同じ年収の現役世代の働いている方と比較をして、年金を受け取っている
高齢者の担税力が低いということは、資産の保有割合も、今、
高齢者の方にかなり偏っているといったような現在の我が国の経済
社会情勢に照らし合わせた際に、本当にこれが合理的と言えるのか。本当に
高齢者は担税力が低いと言えるのかどうか。さらには、この公的年金等控除と給与所得控除の逆転現象、これが本当に合理的に
説明できるのかどうか。これはかなり難しいのではないかなと私自身思っているわけであります。
時間もないので、ばあっと申し上げましたけれ
ども、私は、以上のように、諸外国との比較、さらには給与所得控除との比較、さらには、我が国の
社会保障が毎年一兆円ずつ増大をしていくといったような現状を
考えたときに、この公的年金等控除の仕組み、この
制度改革は待ったなしであると思いますが、
高鳥大臣政務官の御所見をお聞かせ願えますでしょうか。
この問題は、もちろん、
財務省、
総務省だとか、別の省庁にもまたがる問題でありますけれ
ども、年金を所管するお立場から、問題提起に対して、感想的なもので結構ですので、御
意見をいただければと思います。