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2013-11-28 第185回国会 衆議院 憲法審査会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
本
国会召集日
(
平成
二十五年十月十五日)(火曜日)(午前零時現在)における本
委員
は、次のとおりである。
会長
保利
耕輔君
幹事
伊藤
達也
君
幹事
中谷
元君
幹事
平沢
勝栄
君
幹事
船田
元君
幹事
武正
公一
君
幹事
馬場
伸幸
君
幹事
斉藤
鉄夫
君
赤澤
亮正
君
秋葉
賢也
君
泉原
保二
君
上杉
光弘
君
衛藤征士郎
君
大塚
拓君
城内
実君
河野
太郎
君
鈴木
馨祐君
高木
宏壽
君
棚橋
泰文
君
谷川
弥一
君
土屋
正
忠君
とか
しきなおみ
君
徳田
毅君
西村
明宏
君
野田
毅君
萩生田光一
君 馳 浩君
鳩山
邦夫
君
原田
憲治
君
松本
洋平
君
武藤
容治
君
保岡
興治
君
山下
貴司
君
山本
とも
ひろ
君
枝野
幸男
君
長島
昭久
君 長妻 昭君
古本伸一郎
君
細野
豪志君
伊東
信久
君
坂本祐之輔君
新原
秀人
君
西野
弘一
君
三木
圭恵
君
大口
善徳
君
北側
一雄
君
小池
政就君
畠中
光成
君
笠井
亮君
鈴木
克昌
君
平成
二十五年十一月二十八日(木曜日) 午前十時開議
出席委員
会長
保利
耕輔君
幹事
伊藤
達也
君
幹事
齋藤
健君
幹事
中谷
元君
幹事
平井たく
や君
幹事
平沢
勝栄
君
幹事
船田
元君
幹事
武正
公一
君
幹事
馬場
伸幸
君
幹事
北側
一雄
君
幹事
斉藤
鉄夫
君
泉原
保二
君
上杉
光弘
君
大串
正樹
君
大塚
高司
君
大塚
拓君
神山
佐市君
木内
均君
城内
実君
今野
智博
君
田中
和徳
君
高木
宏壽
君
棚橋
泰文
君
土屋
正
忠君
西村
明宏
君
野田
毅君 馳 浩君
鳩山
邦夫
君
福井
照君
松本
洋平
君
宮澤
博行
君
武藤
容治
君
保岡
興治
君
山下
貴司
君
山本
とも
ひろ
君
枝野
幸男
君
大西
健介
君
長島
昭久
君 長妻 昭君
細野
豪志君
伊東
信久
君
坂本祐之輔君
新原
秀人
君
西野
弘一
君
三木
圭恵
君
大口
善徳
君
小池
政就君
畠中
光成
君
笠井
亮君
鈴木
克昌
君 …………………………………
衆議院憲法審査会事務局長
阿部 優子君
—————————————
委員
の異動 十月十五日
辞任
補欠選任
赤澤
亮正
君
平井たく
や君
秋葉
賢也
君
大塚
高司
君
谷川
弥一
君
田中
和徳
君 とか
しきなおみ
君
福井
照君
萩生田光一
君
齋藤
健君 十一月十四日
辞任
補欠選任
徳田
毅君 佐藤 勉君 同月二十八日
辞任
補欠選任
衛藤征士郎
君
今野
智博
君
河野
太郎
君
神山
佐市君
田中
和徳
君
木内
均君
原田
憲治
君
大串
正樹
君
古本伸一郎
君
大西
健介
君 同日
辞任
補欠選任
大串
正樹
君
原田
憲治
君
神山
佐市君
河野
太郎
君
木内
均君
田中
和徳
君
今野
智博
君
宮澤
博行
君
大西
健介
君
古本伸一郎
君 同日
辞任
補欠選任
宮澤
博行
君
衛藤征士郎
君 同日
幹事岸信夫
君及び
葉梨康弘
君九月三十日
委員辞任
につき、その
補欠
として
齋藤健
君及び
平井たく
や君が
幹事
に当選した。 同日
幹事斉藤鉄夫
君同日
幹事辞任
につき、その
補欠
として
北側一雄
君が
幹事
に当選した。
—————————————
十月十五日
日本国憲法
の
改正手続
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
馬場伸幸
君外三名提出、第百八十三回
国会衆法
第一四号) 十一月二十一日
憲法
の
改悪反対
、九条を守ることに関する
請願
(
赤嶺政賢君紹介
)(第二七号) 同(
笠井亮
君
紹介
)(第二八号) 同(
穀田恵二
君
紹介
)(第二九号) 同(
佐々木憲昭
君
紹介
)(第三〇号) 同(
志位和夫
君
紹介
)(第三一号) 同(
塩川鉄也
君
紹介
)(第三二号) 同(
高橋千鶴子
君
紹介
)(第三三号) 同(
宮本岳志
君
紹介
)(第三四号)
憲法改悪
に反対し、第九条を守り、生かすことに関する
請願
(
照屋寛徳
君
紹介
)(第五〇号)
憲法改悪反対
に関する
請願
(辻元清美君
紹介
)(第一〇三号) 同月二十八日
憲法
を
改悪
せず、第九条を守り抜くことに関する
請願
(
赤嶺政賢君紹介
)(第二〇〇号) 同(
笠井亮
君
紹介
)(第二〇一号) 同(
穀田恵二
君
紹介
)(第二〇二号) 同(
佐々木憲昭
君
紹介
)(第二〇三号) 同(
志位和夫
君
紹介
)(第二〇四号) 同(
塩川鉄也
君
紹介
)(第二〇五号) 同(
高橋千鶴子
君
紹介
)(第二〇六号) 同(
宮本岳志
君
紹介
)(第二〇七号) 解釈による
集団的自衛権行使
、
立法
による
平和憲法
の
空洞化
、
憲法改悪
と
憲法改悪
につながる
憲法
第九十六条
改定反対
に関する
請願
(
笠井亮
君
紹介
)(第二一九号) 同(
佐々木憲昭
君
紹介
)(第二二〇号) 同(
宮本岳志
君
紹介
)(第二二一号)
憲法
の
改悪
に反対し、九条を守り、
憲法
を平和と暮らしに生かすことに関する
請願
(
穀田恵二
君
紹介
)(第二二二号) 同(
宮本岳志
君
紹介
)(第二二三号)
憲法
の
改悪反対
、九条を守ることに関する
請願
(
赤嶺政賢君紹介
)(第二二四号) 同(
笠井亮
君
紹介
)(第二二五号) 同(
穀田恵二
君
紹介
)(第二二六号) 同(
佐々木憲昭
君
紹介
)(第二二七号) 同(
志位和夫
君
紹介
)(第二二八号) 同(
塩川鉄也
君
紹介
)(第二二九号) 同(
高橋千鶴子
君
紹介
)(第二三〇号) 同(
宮本岳志
君
紹介
)(第二三一号) は本
憲法審査会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
幹事
の
辞任
及び
補欠選任
日本国憲法
及び
日本国憲法
に密接に関連する
基本法制
に関する件(
衆議院欧州各国憲法
及び
国民投票制度調査議員団
の
調査
の
概要
) ————◇—————
保利耕輔
1
○
保利会長
これより
会議
を開きます。
幹事辞任
についてお諮りいたします。
幹事斉藤鉄夫
君から、
幹事辞任
の申し出がございます。これを許可するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
保利耕輔
2
○
保利会長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。 引き続き、
幹事
の
補欠選任
についてお諮りいたします。 ただいまの
幹事辞任
及び
委員異動
に伴い、現在
幹事
が三名欠員となっております。その
補欠選任
につきましては、先例により、
会長
において指名するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
保利耕輔
3
○
保利会長
御
異議
なしと認めます。 それでは、
幹事
に
齋藤
健君
平井たく
や君
北側
一雄
君 を指名いたします。 ————◇—————
保利耕輔
4
○
保利会長
日本国憲法
及び
日本国憲法
に密接に関連する
基本法制
に関する件について
調査
を進めます。 この際、
衆議院欧州各国憲法
及び
国民投票制度調査議員団
を
代表
いたしまして、御
報告
を申し上げたいと思います。 私どもは、去る九月十二日から二十二日まで、
ドイツ
、
チェコ
及び
イタリア
の
憲法
及び
国民投票制度
について
調査
をしてまいりました。 この
調査
の正式な
報告書
は、現在、鋭意作成中でありますが、この
調査団
は、本
審査会
の
メンバー
をもって
構成
されたものでありますので、この際、
団長
を務めさせていただきました私から、まず、その
概要
についてごく簡単に口頭で御
報告
申し上げます。その後、副
団長
を務めていただきました
武正公一
君から
調査
の具体的な
内容
について御
報告
いただき、
委員各位
の御
参考
に供したいと存じます。
議員団
の
構成
は、本
審査会
の
会長
である私を
団長
に、
会長代理
である
民主党
の
武正公一
君を副
団長
として、自由
民主党
から
船田元
君及び
中谷元
君、
日本維新
の会から
伊東信久
君、公明党から
斉藤鉄夫
君、みんなの党から
畠中光成
君、
日本共産党
から
笠井亮
君、生活の党から
鈴木克昌
君がそれぞれ
参加
され、合計九名の
議員
をもって
構成
されました。なお、この
議員団
には、
衆議院憲法審査会事務局
、
衆議院法制局
及び
国立国会図書館
の職員が同行いたしました。 具体的な
訪問地
としては、
ドイツ
では
カールスルーエ
と
ベルリン
、
チェコ
では
プラハ
、
イタリア
では
ローマ
をそれぞれ訪れ、多忙な日程ではございましたが、
憲法裁判所
における
違憲立法審査権行使
の実態、
二院制
における
両院
の
関係
や
役割分担
、
国民投票制度
と
間接民主制
の
関係
など、
各国
の
憲法
や
国民投票制度
について、大変充実した
調査
を行うことができたと思っております。 振り返りますと、本当に駆け足で回ってきた
調査
でございましたけれども、私は、この
議員団
に本
審査会
の全ての会派から御
参加
をいただきましたことを感謝するとともに、その真摯な
調査
への取り組みに敬意の念を表したいと存じます。 そして、その
政治的立場
、評価は別として、
欧州各国
における
憲法
や
国民投票制度
の実情について、
派遣議員
の
先生方
の間で
共通
の
認識
を持つことができたのではないかと思っております。この
共通認識
をここで
委員各位
とも共有しながら、今後の本
審査会
における
憲法論議
がより充実したものとなることを願っております。
最後
になりましたが、今回の
派遣
に各種御協力をいただきました
各位
に心から感謝を申し上げ、私の御
報告
とさせていただきます。
調査
の具体的な
内容
については、引き続き、副
団長
の
武正公一
君から御
報告
をお願いいたします。
武正公一
君。
武正公一
5
○
武正委員
今回の
欧州各国憲法
及び
国民投票制度調査議員団
において副団長を務めさせていただきました、
民主党
の
武正公一
でございます。 私からは、訪問した各国における具体的な調査の内容について、訪問した順番に従いまして、その概要を御報告させていただきます。 まず、最初の
訪問地
である
ドイツ
の
カールスルーエ
では、
憲法裁判所
を訪れ、
シュルッケビアー裁判官
のほか調査官三名の方から御説明を受けるとともに、
意見交換
をいたしました。 以下、その概要について御報告をいたします。
ドイツ
の
憲法裁判所
は、
立法権
を尊重しており、議会によってつくられた法律により基本的な権利が侵害されている場合を除いては、無駄な干渉はしないこと、すなわち、基本的な権利を侵害するような法律に待ったをかけるのが
憲法裁判所
の役割であるとの説明がありました。 また、
国民
から選ばれた立法府の判断を
国民
から選ばれていない
裁判官
から構成される
憲法裁判所
が否定することの是非、いわゆる
憲法裁判所
の
民主的正統性
の問題については、
裁判官
は
連邦議会
、
連邦参議院
によってそれぞれ半数ずつが選出されること、
ナチス政権下
の議会で基本的な権利を否定するような法律が成立したにもかかわらず阻止できなかった経験により、
憲法裁判所
の権限を
基本法
に明文化したことから、
ドイツ
では今まで
憲法裁判所
の
民主的正統性
は問題とされたことはないとのことでした。 一票の格差の問題についても
意見交換
がなされました。 その際、
選挙権
は基本的な権利であり、
憲法裁判所
は
連邦選挙法
の
合憲性
をしっかりチェックしているとのことでした。 また、小選挙区
比例代表併用制
のもとで政党の得票の増大がかえってその政党の議席の減少をもたらすという、いわゆる負の
投票価値
の問題について、二〇〇八年と二〇一二年に二回の
違憲判決
が出され、その判決を受けて
連邦選挙法
の
改正
がなされたとの説明がされました。 なお、
ドイツ
では、一票の格差として許容されるのは
プラスマイナス
一五%程度であるとのお話もありました。 全体として、
ドイツ
の
憲法裁判所
は、
立法機関
の判断を尊重しつつ、
憲法判断
を積極的に行うことにより、
連邦議会
と同様に、
国民
のための
政治的判断
を行う機関として、
国民
から大変信頼されているということが深く印象に残りました。 次の
訪問地
の
チェコ
の
プラハ
では、
上院憲法
・
法律委員会
で
アントル委員長
ほか
委員会
の
メンバー
と、
下院国会研究所
では
ペハーチェク博士
を初め
国会研究所
の方と、
カレル大学
では
ゲロフ教授
など、さまざまな方とお会いし、御説明を受けるとともに、
意見交換
をいたしました。 以下、その概要について御報告をいたします。 まず、
チェコ
には、
憲法
のほかに、自由及び
基本権憲章
と複数の
憲法的法律
が存在し、これらが
チェコ
の
憲法秩序
を構成している。これが
チェコ憲法
の特徴であるとのことでした。 次に、
大統領
の直接
公選制
については、二〇〇一年以降、活発に議論されてきましたが、二〇一二年の
憲法改正
により導入されることとなった。
改正
の内容としては、
大統領
の権限を拡大するものではなく、当初は何も変わらないのではないかとも言われていましたが、実際には、
大統領
の
政治性
が増すことにより首相との関係が微妙になるなどの影響が出てきている。もっとも、それは
大統領
の個性にもよるとの指摘もありました。 第三に、
憲法裁判所
の役割については、
下院議員
の
任期短縮
のための
憲法的法律
に対して
憲法裁判所
が
違憲判決
を出したため、
憲法改正
によって下院の
自発的解散
の制度が設けられるなど、
憲法裁判所
と
政治部門
のやりとりを通じた
憲法政治
が実際に行われている。
憲法裁判所
が積極的に
違憲判決
を下すことについては
国民
の多くも関心を持っているとの印象を受けました。 なお、この
憲法裁判所
の
裁判官
の任命に当たっては議会も関与しており、
大統領
が任命し、上院が同意することとなっていますが、上院が同意しなかった例もあったとのことでした。 第四に、
憲法改正手続
については、現在の
チェコ共和国憲法
を制定する際、
憲法改正
の要件については大きな議論があった。当時の
政府側
は両議院それぞれで
過半数
の賛成を主張し、野党は五分の三を主張したが、
安定性
を重視するという意識もあって結局五分の三となった。現在、この五分の三を緩和しようという議論はなく、むしろ厳しくすべきだとの意見もあるとのことでした。 なお、
憲法改正
の際に
国民投票
を必要とするかどうかについては、議論はあったものの、現在でも
国民投票
は要件とはなっていないとの説明を受けました。 最後に、
チェコ
では一般的な
国民投票制度
はなく、二〇〇三年に
EU加盟
の是非を問う
国民投票
が特別に行われただけであるが、
地方レベル
での
住民投票
は行われているとのことでした。 その他、上院と下院の関係、
緊急事態
、
憲法
の
制定経緯
などについて説明を受けました。 三番目の
訪問地
の
ドイツ
の
ベルリン
では、
連邦議会関係者
としては、
キリスト教社会同盟
の
ジルバーホルン議員
、
左派党
の
コッホ議員
、
ヴィット議会事務局議会法専門部局係官
、クレーニング元
連邦議会議員
とお会いするとともに、
連邦参議院
の
レットラー事務局次長
、ヌスバウム・
ベルリン
州
財務大臣
兼
連邦参議院ベルリン
州
代表委員
や、
ヴァルトホフ・フンボルト大学教授
からも御説明を伺い、
意見交換
をいたしました。 以下、その概要について御報告をいたします。 まず、
ドイツ
の
憲法
は、
ナチス時代
の反省を踏まえて制定されたものであり、広く
国民
から支持され、愛されているということが強く印象に残りました。 次に、
憲法
の
改正回数
とその内容については、
ドイツ
では戦後、
憲法改正
が五十九回行われているが、技術的な
改正
も多く、一九五四年と一九五六年に行われた再軍備に係る
改正
や、一九六八年の
緊急事態条項
の創設に係る
改正
などの大きな
改正
を除けば、国論を二分するような議論となることがなかったとの説明がありました。 第三に、
憲法改正手続
については、
連邦議会
、
連邦参議院
の三分の二以上の賛成で成立するとされているが、これは
ワイマール憲法
、そしてファシズムの歴史の教訓とともに、
基本法
としての
憲法
の
安定性
を保障するために必要な要件であると認識されているからであり、この要件を下げようなどとする動きは全くない、三分の二という高い
ハードル
を課すことによって、各政党が妥協によって国の
基本的方向性
について慎重に議論していくことを要求しているものであるとのことでした。 なお、
憲法改正手続
については、高い
ハードル
を設けることには賛成としつつ、
憲法
であっても
改正
の
可能性
は残しておくべきで、
改正
できなくすることは、かえって政治を不安定にする面もあるのではないかとの意見も伺ったことを申し添えておきます。 第四に、
ドイツ
における
政治的妥協
の
重要性
ですが、そもそも
ドイツ
では、これだけは譲れないなどという頑固な
政治家
にはチャンスはないと考えられており、有能な
政治家
ほど、
反対派
の意見を聞いて適切な妥協ができる者と理解されているとのことです。
両院協議会
での
成案成立率
が高いことなども、
メンバー
間で、妥協しないと国益にそぐわないという認識が共有されているからだそうです。また、
両院協議会
の議事は非公開であり、採決は
秘密投票
で行われるとのことです。そうしたことが妥協に向かいやすい一因になっているのかもしれないとのことでした。 なお、現在
国民
の人気が高い
メルケル首相
などは妥協こそが政治の
典型的政治家
であるとの御説明も、大変興味深いものでした。 最後に、
ドイツ
では、
ナチス時代
のポピュリズムに対する反省から
国民投票
は危険視されており、現に
憲法改正
にも
国民投票
は不要とされているが、近年では、
国民
の
政治参加
の拡大の観点から、
国民投票
を導入しようという意見も強くなってきたとのことでした。 この点に関し、特にEUにかかわる重要な問題については、一度決定されると
加盟国
がそれを変更することが難しいため、あらかじめ
国民投票
を行い、
国民
の意見を聞く必要が高いのではないかとの意見も伺いました。 最後の
訪問先
の
イタリア
の
ローマ
では、
上院憲法問題委員会
の
フィノッキアーロ委員長
、
下院憲法問題委員会
のアゴスティーニ副
委員長
、内務省の
ボッチ政務次官
、
憲法裁判所
の
シルベストリ長官
、
破棄院
の
サルメ民事部長
、
カーラヴィータ・ローマ大学教授
など、さまざまな方とお会いし、御説明を受けるとともに、
意見交換
をいたしました。 以下、その概要について御報告をいたします。
イタリア
では、現在、
統治機構
に関する全般的な改革が議論されているとのことでした。その理由は、本年前半の首相、
大統領選任
をめぐり
イタリア政治
が大混乱に陥った経験を踏まえ、
統治機構
の改革が不可欠であるとの認識が、与野党の間で共有されてきているからだとの御説明がありました。 改革の具体的な内容として、首相の
諮問的機関
で三十五人の有識者から成る
賢人会議
が去る九月十七日に
報告書
を提出したばかりであり、これをもとに、今後、
上下両院
で議論され、近いうちに
憲法改正
に結びついていくと思われるとのことでした。 この際、ここにおられる委員の皆様にも御参考にしていただければと思いますので、
賢人会議
の
報告書
の概要を御
紹介
いたします。 第一に、
イタリア
の
上下両院完全対等
の
二院制
を見直し、
不信任決議
や
立法権
を一院に優先的に配分すること。 第二に、
憲法
と
一般法律
の間に
組織的法律
という
中間的分野
を設けること。
政府発案
の法案について、三十日から六十日の間に法律の議決を義務づけるなど、迅速な
意思決定
を行うようにすること。他方、政府による
緊急政令
の制度は廃止し、議会の意思を尊重すること。 第三に、二〇〇一年の
憲法改正
で導入された
エネルギー等
に関する州の
立法権
を国の権限に戻すこと。州、県、メトロポリタン、コムーネという多層的な
地方団体
を簡素化し、県を廃止すること。 第四に、政府の形態については、
大統領
の直接選挙、
建設的不信任制度
、首相の直接選挙の三案などが検討されていること。 第五に、
選挙制度
については、政府の形態との関連で、フランス型の小選挙区二回
投票制
、
ドイツ
型の
完全比例代表制プラス足切り条項
、例えば五%条項、一回目は
比例制
、二回目は一位政党と二位政党による
首相候補者
を立てた上での
決選投票
を行い、政府の
安定化
が図れるよう、
プレミア票
を与える仕組みなどが検討されていること。 最後に、
国民
の直接的な
政治参加
を促すために、
憲法改正
の場面における
国民投票制度
を強化すること。
賢人会議
の
報告書
の概要の御
紹介
はこの程度として、その他には以下のような御説明を伺ったことも印象に残っております。
最低投票率制度
について、
法律廃止
型の
国民投票
においては
最低投票率制度
がある一方、
憲法改正
の際の
国民投票
には
最低投票率制度
がないのはなぜかについては、
法律廃止
型については、
国民
の代表から構成される議会が既に制定した法律をごく少数の
国民
の意見で廃止することは適当ではないこと、これに対して、
憲法改正
の際の
国民投票
が行われる場合は、
改正案
は議会を通過しているとはいえ、法律としての効果を持っておらず、
国民
が実際に
憲法
を
改正
するかどうかの意見を求められているので、たとえ
投票率
が低かったとしても、
投票者
の
過半数
が反対した場合には、
憲法改正
はすべきではないとの考え方である。ただし、
現行憲法
では、両院とも三分の二以上で可決された場合には幅広い賛意が得られていると考えられることから、
国民投票
は必要ないとされているとの説明がありました。 次に、
国民投票運動
については、公務員も含めて基本的に自由であり、制限はない。ただし、職場での運動については、仕事に向ける精力がその分そがれてしまうことが懸念される場合には控えた方がよいかもしれないが、規制の対象ではないとのお話を伺いました。 第三に、
憲法裁判所
は、
国民世論
の動向にも配慮しつつ、適切な
憲法判断
を下すことに努めているとのことでした。 最後に、今般検討されている
二院制
の
改革等
のための
憲法改正
の手続については、現在国会で議論が進められているとのことでした。 その具体的な内容としては、
現行憲法
では、
上下両院
において
改正
の議決がされた後、三カ月以上の
熟慮期間
をあけ、さらに
上下両院
で二回目の議決が必要とされており、かなり
硬性度
の高いものですが、この
熟慮期間
の三カ月を四十五日に短縮すること、一方、
現行憲法
では、
上下両院
とも三分の二以上の多数で最終的に可決された場合には
国民投票
は不要とされていますが、この場合にも一定数の議員や
国民
から要求があれば
国民投票
を行うこととすることについて検討されているとのことでした。 調査の内容は以上でございますが、私が今回の調査で印象に残ったことを最後に述べさせていただきたいと思います。
チェコ
の
上院憲法
・
法律委員会
での懇談におきまして、
チェコ側
から、
チェコ
の
憲法
が頻繁に
改正
されているのに対し、日本の
憲法
が一九四七年の施行から全く
改正
されずに現在に至ったことは非常にうらやましい、仮に
憲法改正
に至ることがあっても、その後はこれまでと同様に長期間
改正
されないで済むようになることをお祈りするとの感想が述べられました。
チェコ
あるいは東欧が歩んできた戦後の激動の歴史がこのような御発言の背景になったと感じられ、
大変印象
に残った次第であります。 また、
ドイツ
の
ベルリン
においては、
ベルリン
州
財務大臣
から、市内の
公共交通機関
が第二次
世界大戦
中どのように
ナチス政権
にかかわったのかを検証していることを御
紹介
いただき、戦後六十年以上たった今でも、
ドイツ
ではこのような検証を頻繁に行っているとのお話を伺いました。 さらに、
人権規定
を最初に置くという
基本法
全体の構成、連邦
憲法裁判所
に代表される
統治機構
や
ドイツ
人の
基本法
に対する愛着心などの点が、
ワイマール憲法
下における歴史への反省との関係で語られていました。私どもが
憲法論議
を進める上でも、歴史の検証は欠くべからざるものであるとの思いを新たにした次第です。 私からの報告は以上でございますが、その足らざるところは、後ほどの、調査に参加された委員の皆様からの御発言で補充していただければと存じます。 最後に、今回の調査に当たり、種々御協力をいただきました各位に心から感謝を申し上げるとともに、大変充実した調査ができましたことに、私からも心から御礼を申し上げます。 以上、簡単ではございますが、このたびの海外調査の内容を御報告させていただきました。
保利耕輔
6
○
保利会長
以上、このたびの海外
調査
の
概要
を御
報告
させていただきました。 引き続きまして、
調査
に
参加
された
委員
から海外
派遣
報告
に関連しての発言をそれぞれ七分以内でお願いいたします。 発言時間の経過については、終了時間一分前及び終了時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。 それでは、まず、
船田元
君。
船田元
7
○
船田
委員
私は、
憲法
調査
会の時代から何回か海外
調査
に同行してまいりました。今回の海外
調査
におきましても、大変充実した、またかなり踏み込んだ
議論
を闘わすことができたことを大変うれしく思っております。 幾つかの
印象
を含めて
お話
をしたいと思います。
ドイツ
におきましては、
憲法裁判所
の存在が非常に大きいということを改めて痛感いたしました。
憲法裁判所
は、
憲法秩序
を守る
役割
を十分に果たし、戦う民主主義の象徴的な存在であるということがわかりました。 特に、
国民
からの
憲法裁判所
への信頼が高いということ、それから、
立法
府の暴走を防ぐ一方で、無駄な、あるいは過剰な
政治
的な干渉をしないという知恵も、この
ドイツ
の
憲法裁判所
は持っているということも
印象
深かったと思います。 それから、
ドイツ
の
憲法
あるいは
政治
制度
においては、やはり、
報告書
にもありましたように、
ワイマール憲法
下でのナチスの台頭への教訓が大変色濃く残っている、あるいはそれを再検証しているという
印象
を強く受けました。 具体的には、
憲法改正
のための
国民投票
を課さないということ、すなわちポピュリズムに走らない、こういうことが現在の
政治
を決めているのであるということ、さらには、
建設的不信任制度
ということで、次の総理候補を決めた上で不信任を審議する、こういったこともやはりワイマールの誤りを正すものであると思います。 さらには、
憲法
の
改正
限界を明確化していること、連邦制や人間の尊厳、民主
制度
という、いわゆる永久
条項
というのを設けて、そして
憲法
の限界を明確化しているということも特徴であったと思います。 さらには、原則論でかなりかたくなっている
ドイツ
かと思いましたけれども、
ドイツ
においては、むしろ
妥協
の
政治
が重要であるということも特に強調されていたことが
印象
的でございました。 次に、
チェコ
でございます。 一九八九年のビロード革命、それからお隣の国、スロバキアとの分離によって、国政上の仕組みが少し混乱をしている、あるいは未成熟ではないかという
印象
を持ちながら行ったわけでございますが、その予想に反しまして、ヨーロッパ的
政治
の
安定性
を兼ね備えている国だなということが、特に
印象
として残りました。
チェコ
の
憲法改正
に関しましては、
上院
、
下院
、それぞれ五分の三以上ということで、
国民投票
がない、これは
ドイツ
に似ている形でございますが、
要件
を緩和するという声はなくて、むしろもっと厳しくすべきである、こういう
意見
が多かったというのは傾聴に値するものであったと思います。
最後
に、
イタリア
でございます。
イタリア
の
政治
の混乱、これは先ほども指摘がございました。その根本にあるのは、ほとんど対等な、シンメトリックな
二院制
にあるということがわかった状況でございます。現在、この対等な
二院制
を
憲法改正
によって解消すべく、
政治
がまさに動いている、こういう状況を肌で感じることができたのは、大変よかったと思っております。 それから、
イタリア
の独特の
制度
として、
法律
を廃止するときは必ず
国民投票
が行われる、しかも最低
投票率
五〇%を課すという厳しい条件を課して
国民投票
を行う、これが非常にユニークであったと思います。
憲法改正
はどちらかというと
国会
が中心であり、
法律
の廃止は
国民投票
が中心であるという仕分けをしているということは、とても興味深いことでありました。
最後
に、
EU
と
イタリア
主権との
関係
についても、大変興味深いことを学びました。
イタリア
、もちろんほかの
EU加盟
諸国も同様だと思いますが、それぞれの国が持っている主権を
EU
に移譲する方向でずっとこれまで動いてきたようですが、特に
イタリア
におきましては、今はその動きがとまっているということでございました。 この背景には、
EU
は超国家、つまり国家を超えた存在ではなくて、国家が集まった連邦という捉え方に、
EU
に対するヨーロッパの人の見方が変化しつつあるのではないか、こういったことを感じた次第でございます。 気のついたこと、また
印象
に残ったことを中心に発言をさせていただきました。 ありがとうございました。
保利耕輔
8
○
保利会長
次に、
中谷元
君。
中谷元
9
○
中谷
(元)
委員
今回訪問した
ドイツ
、
チェコ
、
イタリア
の三カ国は、いずれも
憲法裁判所
を設置していました。
憲法裁判所
は、司法
機関
であると同時に、
国民
代表
機関
である
議会
が制定した
法律
について、場合によってその有効性を否定するような
判断
をすることもあるために、
政治
的な性格を有する
機関
となっており、
政治
的性格を有する以上、その
民主的正統性
を根拠づける仕組みとするために、
裁判官
の任命方法に工夫が見られました。
ドイツ
の連邦
憲法裁判所
は、
ドイツ
南部の
カールスルーエ
にあり、この地名自体が連邦
憲法裁判所
のことを指す名称になっています。
裁判官
は、半分が
連邦議会
、もう半分が
連邦参議院
によって選出され、任期は十二年、再選は不可能ですが、この選出方法が
憲法裁判所
の
民主的正統性
、独立性を根拠づけています。
チェコ
の
憲法裁判所
は、
憲法秩序
を擁護する司法
機関
と位置づけられており、
裁判官
は
大統領
が任命をし、
上院
の同意が必要となっております。任期は十年、再選は可能で、
憲法改正
に関する
機関
としては、コミュニティーとしての
憲法
法律委員会
と、コミッションとしての
憲法審査会
の機能があり、
憲法
だけでなく
上院
の規則も扱っておりました。 また、
チェコ
では、
憲法
とともに
憲法的法律
というものがありまして、この
憲法的法律
というのは、
憲法
を追加したり変更するためにあるものであります。
憲法
の本文を変更するときは、
憲法的法律
を制定し、それによって
憲法
を
改正
することになっているというのは、非常に勉強になりました。
イタリア
では、十五人の
裁判官
で
構成
され、三分の一は
大統領
により任命され、三分の一は
議会
の合同
会議
により、残りの三分の一は最
高司
法
機関
により選任され、
法律
の合理性、国の
機関
の
権限
の訴訟、
大統領
の弾劾、
国民投票
の
権限
を有しております。 これまで、
国民投票
は、原子力発電所の稼働、建設について行われました。
投票率
五四・八%、
賛成
九四%、圧倒的多数の結果、ベルルスコーニ政権の
意思
が覆され、原発再開を断念したことがありました。
イタリア
は、ラテン諸国として初めて
法律
審査権の不可能というドグマから脱却をし、広範な
権限
を有する特別の
憲法裁判所
を創設しましたが、その選出や
判断
にも
議会
の一定の関与を認めており、これが
憲法裁判所
の
民主的正統性
を確保しているんだなと感じました。 次に、
憲法
審査についてでありますが、
各国
ともに
憲法裁判所
が行っています。
ドイツ
の連邦
憲法裁判所
は、二〇〇八年及び二〇一二年に
連邦議会
の
選挙制度
について
違憲判決
を行っており、
立法機関
の
判断
を尊重しつつ、
政治
の枠組みに介入することも積極的に行ってまいりましたが、これも
憲法裁判所
の
民主的正統性
を担保する仕組みがあるからこそできたものであります。これは抽象的違憲審査制と呼ばれているそうですが、具体的事案から離れて違憲審査権を行使しております。 我が国においては、
法律
の違憲審査を行う最高裁判所は、通常の司法裁判所の系列に位置づけられ、純粋な司法
機関
であり、純粋な司法
機関
である以上、
政治
から独立した存在であると位置づけられております。しかし、抽象的違憲審査制を採用する場合には、提訴案件、提訴権者、
裁判官
の選任方法、裁判の効力が明示されているのが通例でありますが、
憲法
にはこのような規定がありません。 私は、今回の欧州の
憲法裁判所
の機能、
役割
を見るにつけ、三権分立から独立した
機関
、つまり、違憲審査を行う裁判所は、その問題の
政治
的事情や現実的な背景も考慮する必要があると考えまして、
憲法
裁判の際には、国権の最高
機関
たる
立法
府としての
議会
の
政治
判断
への積極的な介入を期待する必要があるのではないかと考えます。 これまでの自衛隊訴訟や定数訴訟に対して最高裁は
判断
を下しておりますが、具体的事件を離れて、抽象的に
法律
、命令が
憲法
に適合するかしないかを決定する
権限
を有しているのでしょうか。また、
裁判官
にそのような能力があるかどうか、その選出や
判断
に
国民
や
国会
の一定の関与や承認が要るのではないかと思いますが、欧州では、こういった
国会
の関与というものがあったわけでございまして、今後、
裁判官
の任命方法など、違憲審査を行う裁判所の
構成
や位置づけについても、それに対応した形にする必要があると感じました。 また、
日本
の場合、違憲
立法
審査権は、付随的なものとされ、通常の裁判事件の審理を進める上で必要な場合に初めて行使されることになっております。ただ
制度
がある、
法律
の
条項
があるというだけで、違憲、合憲の確認を求める訴訟を起こすことはできない仕組みになっておりまして、国政の基本にかかわる問題に、いたずらに違憲、合憲を確認するような訴訟を抑えることができますが、
国会
において少数
意見
として退けられるようなテーマにおいて違憲の確認を求めたい場合には、それが難しくなりまして、場合によっては、少数派の人権救済が難しくなっております。我が国も、早急に
憲法裁判所
の導入を検討すべきであると感じました。
最後
に、
ドイツ
、
イタリア
とともに、
日本
は、枢軸国としてさきの大戦において日独伊三国同盟を結び、敗北をした国家であります。その教訓を生かして、この三カ国には、
憲法
において平和主義が盛り込まれているという
共通
点がありました。
ドイツ
の
憲法裁判所
は、戦前に司法がしっかりしなかったためにナチスに支配された
歴史
の繰り返しを防止するために設けられた戦う民主主義の理念を持って、法治国家、民主、自由な秩序に対する危険を排除しておりました。この戦う民主主義というのは、私は、非常に大事なものだと思います。 また、
イタリア
においても、反ファシズム、レジスタンス活動で戦ったキリスト教民主主義勢力と社会主義勢力の
妥協
の産物で、第一条第一項で、
イタリア
は勤労に基礎を置く民主的共和国であるとされ、第十一条では、
イタリア
は他の人民の自由を侵害する手段及び国際紛争を解決する手段としての戦争を否認すると、条件つきながら戦争の否認を宣言いたしておりました。そして、
イタリア
は、他国と等しい条件のもとで、
各国
の間に平和主義と正義を確保する
制度
に必要な主権の制限に同意するというふうに述べております。
日本国憲法
でも平和主義がうたわれております。その精神は永久に不滅なものであるとして、今後とも尊重していかなければならないと感じたわけでございます。 さまざまなことを今回の
憲法
議論
に生かしてまいりたいと思っております。 以上です。ありがとうございました。
保利耕輔
10
○
保利会長
次に、
伊東信久
君。
伊東信久
11
○
伊東
(信)
委員
日本維新
の会の
伊東信久
です。
衆議院欧州各国憲法
及び
国民投票制度調査議員団
の一員に維新の会の
代表
として選任いただき、
参加
いたしました。
ドイツ
、
チェコ
、
イタリア
各国
を訪問して、
憲法
及び
国民投票制度
について
調査
するという今回の
派遣
は大変有意義な
調査
であり、
保利
団長
を初め各党
議員
の方々、衆議院
関係
者及び
各国
大使館の方々、多くの皆様の御協力にまずもって感謝申し上げます。 全体的な
概要
については、
保利
団長
、
武正
副
団長
を初め各党
委員
の皆様の御
報告
もあろうかと思いますので、私の方では、順を追って、私の各所での質疑及び
意見
表明を中心に
報告
いたしたいと思います。 さて、
最初
の
訪問地
、
ドイツ
の
カールスルーエ
では、
憲法裁判所
を表敬訪問しまして、ヴィルヘルム・シュルッケビアー判事ほか
調査
官との懇談において、
基本法
の
改正
のプロセスや
憲法裁判所
における最近の動向、
議会
との
関係
などを
説明
いただきました。 こちらの訪問団からの質疑も活発でして、一票の
格差
問題、
憲法裁判所
の
構成
員の資格、選出プロセスに問題はないかなど、具体的な事例を挙げながらの質疑は有意義なものでした。 次に、
チェコ
では、
憲法改正
における
議会
内の合意形成プロセス、それに伴う効果について、二〇一二年の
大統領
直接
選挙
制の導入の話などを
チェコ
上院
、
下院国会研究所
などのブリーフィングで聞かせていただき、
関係
者との懇談をいたしました。 私からは、二〇〇九年の
下院
の
自発的解散
について、
憲法改正
との
関係
について質問をさせていただきました。 また、十七日、
キリスト教社会同盟
の
ジルバーホルン議員
との懇談の席においては、連邦
憲法裁判所
について中立性が確保されているのかという問いに対して、
ジルバーホルン議員
は、連邦
裁判官
は専任
委員
であり、どの党、どの州から選任されていようがそもそも中立でなければならず、今までそのことに関して問題になったことはないとの御回答でした。 十八日、
ベルリン
でのヌスバウム・
ベルリン
州
財務大臣
との懇談では、
憲法改正
についての論議をいたしました。 私からは、
日本
では一度も
憲法改正
は行われていないが、
ドイツ
は
基本法
を五十九回
改正
している、そのことは客観的によかったのか悪かったのかというお尋ねをしてみました。それに対して、
ドイツ
国民
は、使ってみてうまくいかなければ改めればよい、そういった考え方で、
基本法
には細かいことは書かず、
改正
のプロセスの
ハードル
をむしろ高くしてもいいんじゃないかという
意見
もあるが、
改正
そのものが可能であるということはすごくいいことであるという
認識
があるとの回答でありました。 十九日、
最後
の訪問国、
イタリア
では、
破棄院
国民投票
部局サルメ部長と
意見交換
をする時間がありました。 私からは、
破棄院
そのものの存在意義について、事案に関する
意見
をまとめた後、再び個々に裁判所が
判断
する意味というのが、
破棄院
の存在意義があるのかという質問をいたしました。サルメ部長からは、一般の裁判と同じように、
破棄院
は
法律
審であり、裁判所という資格でまとめた問題のうち一部をふるいにかける
役割
があるということでした。 また、フィノッキアーロ
上院
議員
との
意見交換
では、
イタリア
の連邦制の評価、ヨーロッパにおける連邦主義についての
認識
を質問させていただきました。
最後
に、今回の
調査
全般について、私の感想を述べさせていただきます。
各国
とも、
憲法
は国の
基本法
であるということが第一の定義であることは間違いないのでありますが、その存在自体がまさに国の
歴史
であり、国を
構成
する民族の
歴史
の積み重ねの結集であると強く感じました。また、
ドイツ
の
基本法
に
共通
の理念があるとすれば、それはまさに基本的人権の尊重であり、民族の存続に通じる大切な、一本通った存在であると思いました。 また一方では、
各国
において、社会情勢の変化、他の
法律
との整合性は、
国民
意識の変化によって必要に応じてつくり直す、
改正
していくことにも勇気と合意を持って臨んでいる姿に接することができました。
各国
、地域を問わず、何事も合意形成プロセスに時間を費やすということが、
各国
の
関係
者が長年にわたり一番苦労されてきたことだということも学びました。 以上、十一日間に及ぶ
調査
活動における私自身の発言を中心に御
報告
いたしました。
憲法
は国の
基本法
であるということは
各国
とも変わりはございません。大切な意義ある法典でありますが、それ以前に、
国民
にとって、存在そのものが、国の、また
国民
の生活から発せられた行動規範の大いなる礎であることを感じました。 結びに、本
調査
に当たり、
関係
者の皆様に重ねて感謝を申し上げ、私、
日本維新
の会、
伊東信久
の
報告
といたします。 ありがとうございました。
保利耕輔
12
○
保利会長
次に、
斉藤鉄夫
君。
斉藤鉄夫
13
○
斉藤
(鉄)
委員
公明党の
斉藤鉄夫
です。 私も
参加
させていただきました。
参加
は、
ドイツ
の
憲法裁判所
及び
チェコ
、この二カ国、前半部分で、途中からちょっと離団をいたしましたけれども、
ドイツ
憲法裁判所
そして
チェコ
での私の
印象
に残った点について
報告
をさせていただきます。 特に、私は、
憲法改正手続
というところに関心を持って
参加
いたしましたし、また、そこについて焦点を当てて御
報告
をさせていただきたい、このように思います。 まず、
ドイツ
の
カールスルーエ
、
ドイツ
連邦
憲法裁判所
での
議論
でございますが、
ドイツ
の
憲法
の
改正手続
は、
連邦議会
と
連邦参議院
でそれぞれ三分の二の
賛成
が必要であるということになっております。
国民投票
は
改正
成立のための
要件
ではないということです。 ただ、一つ、非常に特徴的なのは、連邦制、人間の尊厳規定、民主国家、社会国家という国家の基本秩序、この三点については
改正
は許されない、
改正
してはいけないということが明記されている点が、この
ドイツ
基本法
の一番大きなポイントではないかと思います。 こういう中で、連邦
憲法裁判所
での
議論
でございますが、まず、
ドイツ
の
憲法
には
憲法改正
に
国民投票
の
制度
がないが、必要ではないかという
議論
があるのかどうかということにつきまして、次のような答えが返ってきました。
国民投票
を導入すべきという
議論
は
ドイツ
でも活発に行われている、州レベルでは導入しているところもあるが、連邦レベルの
国民投票制度
の導入には結論が出ておらず、
議論
の最中である、連邦
憲法裁判所
としては、現在有効な
基本法
にのっとって
判決
を下しており、この部分の
議論
については関与しない、こういう答えが返ってきたところでございます。 それから、先ほどの
武正
団長
代理の
報告
にもございましたけれども、連邦
憲法裁判所
の
民主的正統性
についての
議論
の中で、
大変印象
深い返答がございました。 連邦
憲法裁判所
が、民主的基盤を有する
議会
が制定する
法律
を無効と
判断
できることについて、
ドイツ
では余り
議論
の対象になったことがない、これには
歴史
的な理由があり、一九三三年から四五年にかけて、
ナチス政権下
の
議会
で基本権を大きく侵害する
法律
が成立したにもかかわらず阻止できなかった
経験
があるからだ、そのため、
ドイツ
では、
憲法裁判所
の独立性を重要視しており、一般市民の基本権を侵害する
可能性
がある
法律
に対して待ったをかけられるという
制度
を
基本法
で構築している、このような返答があって、
大変印象
深かったことでございます。 それから、
国民
などからの訴えなしに、
立法
や行政に対して、その行為は
憲法
違反であるからやめろ、こういう
判決
を出すことはあるのかという質問に対して、
憲法裁判所
は監視
機関
ではない、したがってそういうことはしないという即下のはっきりした答えがあったのが
印象
的でございます。 次に、
チェコ
に参りました。
チェコ
の
憲法改正手続
でございますけれども、
チェコ
の
憲法改正手続
は、やはり
国民投票
は
要件
とされておりません。
下院
総
議員
の五分の三以上の
賛成
、そして
上院
出席
議員
の五分の三以上の
賛成
ということで、これまで八回
改正
をされております。
下院
は総
議員
の五分の三、
上院
は出席
議員
の五分の三、何で
上院
と
下院
が違うんだ、こういう質問に対しては、総
議員
と出席
議員
の違いについて考えられる最も
可能性
の高い理由は、偶然だと思う、こういう答えがあったのが
印象
的でした。はっきりした理由はわかっていないようでございます。そういう、
両院
の五分の三以上というのが基本的な考え方でございます。 そして、
憲法改正
について、
チェコ
の
憲法
は大変複雑でして、
憲法
と
憲法的法律
という二つの
憲法秩序
がなされておりまして、
憲法改正
というのは、この
憲法的法律
の中で規定されているということも
大変印象
的でございました。 それから、
憲法改正
とは直接
関係
ありませんけれども、やはり
国民投票
法というものは存在します。その
国民投票
法における公務員の投票
運動
規制について聞いたところ、
住民投票
に関して、公務員に
政治
活動をしてはならないと定めるものは全くない。ただし、公立学校の先生が授業で、今度の投票について私は
賛成
派だが、お父さんやお母さんにもそのように伝えなさいと述べても罰則はないのだろうかということに対しては、学校でそのような
政治
活動をしてはならないことになっていて、これは教育に関する
法律
で決められているということが
印象
的でございました。 以上、簡単ではございますが、
ドイツ
と
チェコ
の
報告
とさせていただきます。
保利耕輔
14
○
保利会長
次に、
畠中光成
君。
畠中光成
15
○
畠中
委員
みんなの党の
畠中光成
です。
衆議院欧州各国憲法
及び
国民投票制度調査議員団
の一員として行った
調査
について、御
報告
申し上げます。 まず、今回の海外
調査団
に選任いただいたことにつき、
保利会長
を初め
幹事
、
委員
の皆様にお礼を申し上げます。
ドイツ
では、まず、連邦
憲法裁判所
を訪問しました。我が国には
憲法裁判所
はありませんが、昨年の衆院選における一票の
格差
が違憲状態であったという
判決
もあり、
立法
府と司法府の
関係
について改めて考えさせられました。我が国は、一票の
格差
二倍でも
立法
府はなかなか動きませんが、
ドイツ
では、
プラスマイナス
一五%でも
違憲判決
を出しています。 また、過去五十九回も
憲法改正
を行ってきた
ドイツ
連邦共和国
基本法
と、一度も
改正
をしていない
日本国憲法
を比較した場合、ナチスの
反省
、それからポツダム宣言の受諾というそれぞれの
歴史
的な背景が、
ドイツ
、
日本
両国の
憲法
のありように大きく影響を及ぼしているように思いました。 連邦
議員
の方々などとの
意見交換
においては、脱原発は
ドイツ
国民
特有の不安感からできたと聞いたが、過去何度も行われた
憲法改正
には不安を抱かなかったのかとお聞きしましたところ、それは、基本的人権、自由や民主主義は永久に変えてはならないという
基本法
への信頼があるからだという回答をいただいたことが
印象
に残っています。 これは
チェコ
でも同様の発言があり、これまで八度の
憲法改正
を経てきた
チェコ
においても、
憲法秩序
で変えてはならないものは民主主義と基本的人権、自由だという不文律がある旨の
説明
を受けました。 国境が
政治
的に決まってきたヨーロッパとそうではない
日本
とでは、国家そのものの概念の違いがあらわれています。
チェコ
の
憲法
の中には道徳的概念はほとんど見られず、極めてユニバーサルなもののように感じました。 また、
イタリア
では、
憲法改正
と
国民投票
について、
下院
憲法
委員会
、
上院
、
憲法裁判所
、
破棄院
などで
意見交換
しました。 さて、みんなの党では、我が国にも本格的な
国民投票制度
が必要であると考え、現在、法制化に向けた
最後
の詰めを党内で行っているところです。その最大のポイントは、
国民投票
法三つ目の宿題である対象の拡大についてです。 我々は、
憲法改正
に加えて、国政上の重要課題についても
国民投票
を可能とする案を準備しています。現在、
国民
の国政に関する最大の
意見
表明の機会である
選挙
においては、幅広い課題についての
判断
が必要となり、シングルイシューに関する
国民
の
意見
表明は事実上不可能です。みんなの党の
国民投票
は、これを可能とします。すなわち、原発問題や生命倫理に関する問題などのこの国の根幹にかかわる政策課題について、
国会
が
国民
に諮問し、その結果を踏まえて
国会
における
議論
を行う
制度
です。
国民投票
については、
調査
にお伺いした三国のうちでは、
イタリア
がその
制度
を有しています。また、
チェコ
では、
EU加盟
の
是非
を問う特別な
国民投票
が行われたことがあり、
ドイツ
でも、
国民投票
を導入すべきであるという
意見
があるとお伺いしました。
イタリア
の
国民投票
には、主に
憲法改正
のためのものと
法律廃止
のためのものがあり、これまで六十六回と数多く行われています。二〇一一年六月には、原発の
是非
を問う
国民投票
も行われ、福島での原発事故も影響して、
賛成
多数で可決されたとのことでした。 お手元の
調査
の
概要
にもあるように、
イタリア
では、
法律廃止
のための
国民投票
においては、有権者の五〇%プラス一人が投票しなければ成立しないという最低
投票率
要件
があります。みんなの党の
国民投票
に関する検討の中でも、最低
投票率
要件
についての
議論
が行われました。その結果、投票の棄権を呼びかけるなどはそもそもの民主主義の条件に反するといった観点から、最低
投票率
要件
は設けないこととしています。 また、
イタリア
では、余りにも
国民投票
の回数が多く、
国民
の投票に対する関心が薄れているという指摘もありました。みんなの党の
国民投票
案は、
国会
による発議を
憲法改正
原案の発議と同じ
要件
とするなど、乱発の防止を意図しています。 今後、本
憲法審査会
において、
国民投票
法に関する
議論
が本格化するものと思います。この海外
派遣
調査
の
経験
を生かし、三つの宿題への回答についても前向きな提案をしてまいりたいと思います。 ありがとうございました。
保利耕輔
16
○
保利会長
次に、
笠井亮
君。
笠井亮
17
○
笠井
委員
日本共産党
の
笠井亮
です。
保利
団長
を初め、
調査
議員団
、同行の皆さん、
関係
者の皆さんには大変お世話になりました。ありがとうございました。 今回訪問した国々は、
憲法
や
国民投票
に対する考え方、
制度
のあり方、運用の実際など、それぞれの
歴史
や文化、
政治
的
経験
を反映してさまざまですが、注目に値する点や対比できる点が多々ありました。 五点、感想を述べたいと思います。 第一は、訪問
各国
が
歴史
の苦い教訓を決して忘れておらず、
憲法
にはその教訓が反映されているということであります。
ドイツ
では、
基本法
は、
ナチス時代
の
反省
から、一番
最初
に人権をうたうという
構成
をとっているとされ、連邦
憲法裁判所
の
シュルッケビアー裁判官
は、一般市民の基本権を侵害する
可能性
がある
法律
に対して待ったをかける
権限
を強調しました。 ナチスによる占領、併合、戦後のソ連による侵略と八九年の体制崩壊を
経験
した
チェコ
では、ホフマノヴァー・カレル大講師が、
歴史
から学んだ
内容
は自由及び
基本権憲章
の中に見出すことができると述べたのが
印象
的でした。人権保障にこそ
憲法
の本質があると
歴史
の教訓を導いたと感じました。 翻って、
日本国憲法
では、侵略戦争と植民地支配に対する
反省
から、
憲法
九条や前文の平和主義が生まれ、明治
憲法
下で人権が厳しく制限されていた
反省
から、三十カ条にわたる豊かな
人権規定
が設けられました。侵略の定義は定まっていないなどと言って
歴史
認識
を覆す昨今の動きは、全くの時代逆行と言わなければなりません。 第二は、それぞれ改憲の
経験
がある国々への訪問でしたが、いずれも改憲
内容
はほとんど技術的か小幅なもので、
憲法
の基本原則を変更するような
改正
は行っていないということです。
ドイツ
では、ジルバーホルン
連邦議会議員
の
説明
によると、これまで五十九回
改正
はしたが、大部分は
EU加盟
や東西
ドイツ
統合に伴うもので、国を二分する
改正
としては、一九五〇年代と六〇年代のものが挙げられる
程度
とのことでした。
武正
副
団長
も触れておりましたが、
チェコ
では、ネヌティル
上院憲法
・
法律委員会
副
委員長
が、
日本
の
憲法
が一九四七年から全く
改正
がなく現在に至ることができたということを非常にうらやましく思うと述べていたことが
印象
的でした。 第三は、
憲法改正手続
の
要件
を根本から緩和すべきとする
議論
は、訪問国では行っていなかったということであります。
ドイツ
では、いわゆる左右両派の
連邦議会議員
がそれぞれ三分の二
条項
にこだわるのは、ワイマール共和国とその後のファシズムの時代という
歴史
上の理由からであり、この
条項
があれば、ヒトラーは全権掌握できなかったはずだ、また、三分の二はどの党にも
議論
の余地のないコンセンサスであり、
基本法
改正
が
政治
的、日常的駆け引きのツールにならないことを担保するものだと
共通
して述べていたことに、確固性を確認できました。
日本
には、三分の二の
ハードル
を引き下げるべきだという主張がありますが、欧州での
議論
ともかけ離れており、改めて三分の二
条項
の
重要性
を受けとめるべきでしょう。 第四は、十八歳
選挙権
が世界の趨勢となっていることを改めて実感したことです。
ドイツ
では、バイエルン州では二十五歳であったこともあったが、さまざまな
議論
を経て、現在は全土であらゆる
選挙
の
選挙権
は十八歳になっているとの
説明
がありました。
チェコ
、
イタリア
も
選挙権
は十八歳です。
日本
では、改憲
手続
法成立後の三年間で、
国民投票
と同様に
選挙権
の年齢も十八歳にするとしていたのに、いまだ実現していません。これでは
手続
法が使えないという事態を打開しようと、十八歳
選挙権
を先送りした上、
国民投票
の年齢まで当面二十歳にしようとする動きすら伝えられております。これでは、世界の趨勢にも逆行するだけでなく、
憲法
調査
特別
委員会
での
議論
は一体何だったのかが根本から問われると痛感しました。 第五は、東京電力福島第一原発事故が訪問国の原発問題に与えた影響は非常に大きかったということです。
イタリア
では、二〇一一年六月に成立した原発の
是非
を問う
国民投票
について、つぶさに知ることができました。
投票率
五四・八%で、成立
要件
を満たし、原発再開計画を許容する
法律
の廃止に
賛成
票が九四・一%と圧倒的多数に達した。この結果には福島原発事故が多大な影響を及ぼしたとオラーノ
選挙
局企画・総務課長らが
訪問先
で口々に語っておりました。
ドイツ
でも、原発ゼロを
政治
が決断して以来、風力発電など再生可能エネルギーが格段に普及していることをこの目で確認できました。 福島事故を起こした
日本
で、放射能汚染水問題も解決できないのに、原発の再稼働と輸出にひた走る動きがいかに異様であるかを改めて感じたところです。
最後
に、今回の訪問は、ナチスの手口に学んだらどうかという発言が
日本
で飛び出した後に、まさしくファシズムの時代を体験した当事国を訪れるものとなりました。しかし、いずれの国でも、かつての手口に学ぶどころか、あの時代をとことん
反省
し、いまだに検証を続けていることが新鮮でした。 帰国後、秘密保護法案を強行し、
憲法
の解釈変更による集団的自衛権の行使容認という、改憲に向けた動きが相次いでおります。これこそナチスの手口そのものとも指摘されるような動きを許してはならない。
ドイツ
の
コッホ議員
が、
日本
での
議論
について、
歴史
を顧みてもらいたいと直言したことを思い起こし、その意味は重いと痛感しております。 以上、
報告
といたします。
保利耕輔
18
○
保利会長
次に、
鈴木克昌
君。
鈴木克昌
19
○
鈴木
(克)
委員
生活の党の
鈴木
であります。 本当に大変意義深い
調査
に
参加
をさせていただくことができました。
保利会長
そして
武正
会長代理
を初め、この
調査
に
参加
された
議員
の方々、そしてまたこの
調査
を支えてくださった
関係
各位
に感謝を申し上げたいと思います。 それでは、私からは、
憲法改正手続
、国と地方の
関係
、そして地方分権
改革
、この三点について御
報告
をさせていただきたいというふうに思います。 まず
最初
に、
憲法改正手続
に関する
議論
でありますが、御案内のように、我が国においては、ちょっと最近は下火になっておるようでありますけれども、
憲法改正
について、まず九十六条を
改正
して、
国会
の発議
要件
を各議院の総
議員
の
過半数
の
賛成
に引き下げるべきであるという
意見
がありました。この
改正手続
の緩和については、今回の海外
調査
でも
議員
間で非常に話題となったところであります。 まず申し上げたいのは、訪問した三カ国においては、
憲法改正
は、通常の
法律
改正
と比べてその
手続
が加重されてしかるべきであるとの
認識
が共有されていた、このように感じたことであります。
憲法
の最高法規性や
安定性
に鑑みれば、これは当然のことでありますが、我が国においては、
議会
内の
手続
を
憲法
も
法律
も同じにするとの
議論
が見られるところであります。この
議論
に対して、私も、我が党も、それでいいんだろうかというふうに感じておりました。したがって、今回の
調査
は、非常に思いを強くしたところであります。 さらに、
憲法
の
改正手続
の緩和については、三カ国において一様に、それぞれ
議員
からの
報告
もありましたけれども、これに賛意を示す
意見
は見られませんでした。 この点は、
ドイツ
においては、各
政党
にとって
議論
の余地のないコンセンサスであるとされ、
チェコ
においては、むしろ厳しくすべきであるとの
意見
もあるとのことでありました。また、
イタリア
では、今般
議論
がなされている
二院制
改革
などに関する
憲法改正
については、必ずしも
憲法改正
の
要件
とされていない
国民投票
について、これを
要件
化するとの動きもあるというふうに伺いました。 現状でもかなり
硬性度
が高いと評価してよい
憲法改正
について、これをさらに加重しようとする
議論
すらあるということに感慨を覚えた次第であります。 その他、
チェコ憲法
の制定時、
憲法改正
の
議決
要件
について、
議会
で
過半数
を占めていた
政府
・与党が
過半数
を、野党が五分の三を主張したところ、
憲法
の
安定性
を重視する意識もあって、結局、五分の三が採用されたとのことであります。この
議論
は、その時々の政権が多数を背景に容易に
憲法
を
改正
できるようなシステムを好ましくないとした、よい例ではないでしょうか。 加えて、
ドイツ
では、
議決
要件
が三分の二であることによって、
基本法
の
改正
が日常の
政治
的駆け引きのツールとならないことを担保しているとの御発言もありました。 これらの根底に流れる思想、つまり
憲法
の
安定性
を求める思想は、我が国に対しても当てはまるものと考えます。我が党の主張とも相通ずるものがある、そのように感じてまいりました。 以上、申し上げましたように、訪問した三カ国においては、安易な
憲法改正
を求める我が国のような
議論
とは一線を画した
議論
が行われており、このことに感銘を受けた次第であります。 そして、
憲法改正手続
の緩和は、
憲法
の基本理念を否定するような安易な
改正
につながり、
憲法
の最高法規としての
安定性
を害し、最高法規たる性質をも失わせてしまうとの我が党の問題意識について、改めて確信を抱いたところであります。 次に、国と地方の
関係
でありますが、自治体の首長を
経験
させていただいた私としては、やはり国と地方の
関係
に関する
議論
が
印象
に残ったわけであります。 まず、
ドイツ
では、地方分権の具体的な展開を問うたところ、中央集権化が進んだことから、二〇〇六年に連邦制
改革
が行われ、連邦と州の間で双方向の
権限
移譲がなされたが、
改革
は財政運営までは至っていないとのことでありました。 また、社会保障政策や医療の例を取り上げながら、連邦が政策の定義や基準を決め、州がそれを施行していく
関係
は、財政的な観点から問題があり、見直していかなければならない旨の
説明
もありました。 これらは、我が国の国と地方の
役割分担
を明確にしていくべきとの我が党の問題意識と少なからず
共通
するものではないか、このように考えております。
最後
に、地方分権であります。
イタリア
では、地方行政は州、県、大都市、市という複層構造というふうになっておりまして、百六ある県に対して、内務省からプレフェットと呼ばれる知事が配属され、このプレフェットを通じて中央
政府
の政策が地域で実現されているとの
説明
がございました。 ただし、県については、現在
議論
がなされている
憲法改正
において廃止が検討されているとの話もございました。 また、
イタリア
の地方分権に関しては、国と州の間で
権限
争いが多いことや南北の経済
格差
が大きいことなどが問題とされています。そのため、今後は、地方に
権限
を与えて、地方の独立性や自立性を保障する一方で、地方間の
格差
を解消し、国家全体の統一を侵害しないようなバランス感覚のとれた接点を探っていかなければならないとの
説明
もございました。 かつて中央集権国家として知られた
イタリア
では、地方分権
改革
が進められましたが、問題点が浮き彫りとなって、揺り戻しが生じています。我が党は、地方自治体が、住民福祉の増進を図る観点から真に必要となる施策をみずからの
判断
と責任において策定、執行するため、
憲法改正
を主張いたしておりますが、
イタリア
における地方分権の過程は、我が国の地方分権
改革
のあり方にも大いなる示唆を与えるものであり、
参考
にすべきであると考えます。 以上で私からの
報告
とさせていただきます。 ありがとうございました。
保利耕輔
20
○
保利会長
これにて
調査
に
参加
された
委員
からの発言は終了いたしました。
—————————————
保利耕輔
21
○
保利会長
これより自由討議に入ります。 この際、
委員各位
に申し上げます。 発言を希望される
委員
は、お手元にあるネームプレートをお立ていただき、
会長
の指名を受けた後、御発言ください。発言が終わりましたら、ネームプレートは戻していただくようにお願いいたします。 発言は自席から着席のままで結構です。また、発言の際には、所属会派及び氏名を述べていただきますようお願いいたします。 なお、
幹事
会の協議により、一回当たりの発言時間は五分以内といたします。
委員各位
の御協力をお願いいたします。 発言時間の経過については、終了時間一分前及び終了時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。 それでは、発言を希望される
委員
は、ネームプレートをお立てください。
長妻昭
22
○長妻
委員
民主党
の長妻昭でございます。
派遣
報告
、ありがとうございました。 私が昨今の
議論
の中で非常に違和感を覚える
議論
の一つが、
日本
の
憲法
は戦後一度も
改正
されていない、制定以来
改正
されていない、変えられない
憲法
だからだめなんだと言わんばかりの
議論
があるんですが、今回の
報告
にもあるとおり、時代の変化に耐え得るから、いい
憲法
だから一度も変えないでここまで来た、こういう
認識
も我々は強く持つべきではないかということを申し上げたいと思います。 そして、もう一つ重要な視点として、
憲法改正
に当たる
議論
の前提として、さきの昭和の戦争の総括があります。今のお金で二百兆円以上の税金をかけて三百十万人の命が奪われたさきの戦争でございますけれども、その戦争の総括としては、村山談話と言われるもので、
政府
として正式に談話を出したものの中に、国策を誤りというような文言がございます。 では、どこの国策を具体的に誤ったのか。この検証というのは戦後一度もなされておりません。
政府
の正式なその検証というのはなされておりません。 この国策を誤りと
政府
が認めた中身の前提としては、当時は明治
憲法
下でありました。では、その明治
憲法
のどこに問題があって、この国策を誤りという誤りが発生したのか。これをきちっと検証していくことが、
憲法
に対する見識、我々が
歴史
の教訓を学ぶ一つではないかというふうに思っておりますので、この視点も、私自身も、この
審査会
の皆様も共有をして、今後
議論
を深めることができればと思っております。 ちなみに
ドイツ
では、西
ドイツ
時代にさきの大戦の
反省
を、
政府
として、かなり多くの方からヒアリングをして、きちっとまとめて、ここが
政府
として誤ったという総括をきちっとしているところでありますので、このような視点もぜひ共有をしていただきたいというふうに思っております。 以上です。ありがとうございました。
坂本祐之輔
23
○坂本(祐)
委員
日本維新
の会の坂本祐之輔です。 まず、このたび
ドイツ
、
チェコ
、
イタリア
の三カ国において
調査
いただきました、
保利
団長
、
武正
副
団長
を初めとする
議員団
の
先生方
に敬意を表するものでございます。 さて、このたびの三カ国における
調査
は、今後の
憲法審査会
における
議論
の方向性についても極めて重要なヒントを与えてくれるものと考えます。 特に、地方自治、連邦制、その他
統治機構
を中心に、
憲法
を時代の変化に合わせて
改正
してきていること。そして、
憲法改正
は、異なる
意見
を持つ
政党
間の小異を捨てて大同につくという精神に基づく
政治的妥協
の成果であること。以上の二点は、今回の海外
調査
で一貫して見られた姿勢と言えます。 また、
ドイツ
の
基本法
は、ワイマール時代からの経緯という
歴史
を背負っていますが、我が国の
憲法
もまた、その制定過程に問題があったという事実を無視して
議論
することはできません。本日はこの点について
意見
は申し上げませんが、いずれにしましても、私は、今回の海外
調査
から得られた知見も
参考
にし、
憲法改正
に向け、これからも当
審査会
で着実に
議論
を進めていくべきと考えます。 今後の
憲法審査会
についてですが、
平成
十二年に
憲法
調査
会が設置されて以来、
国会
での
憲法論議
も相当の蓄積ができているものと思います。特に衆議院の
審査会
では、
憲法
第一章から第十一章、そして前文まで、各条章全体を一巡する形で検証を行ってきました。 私といたしましては、今後の当
審査会
では、これまでの成果を踏まえて、
憲法
の中身の
議論
を進め、具体的な点について、
改正
すべきか否かを
議論
する段階に入るべきと考えます。 そのためにも、
国民投票
法に残された三つの宿題のうち、
平成
二十二年五月十八日までという期限を三年以上超過して、いわば違法状態にある
選挙権
年齢等の十八歳への引き下げと、公務員の
政治
的行為に係る法整備という問題の解決は急ぐ必要があります。 そもそも、
国民投票
法は
憲法
の実施法でありますから、本来は、
憲法
施行後、間を置かずに整備されているべきものであります。これが、
憲法
施行後六十数年を経過してもいまだに完全でないという状況は、もはや放置しておくことは許されません。 我々
日本維新
の会は、そのための具体案を法案として既に提出しています。我が党の法案をもとに一刻も早く
国民投票
法
改正案
の
議論
を進め、
憲法改正
の実現という大きな目標のもとで、小さな違いにこだわらず、各党で、
妥協
すべきところは
妥協
して、宿題を解決し、次のステップである具体的な
憲法改正
論議に進むべきであると考えます。 以上です。
小池政就
24
○
小池
(政)
委員
みんなの党の
小池
政就です。
団長
また
議員団
の皆様、お疲れさまでございました。
報告
を伺いまして、質問をちょっとさせていただきたいと思いますので、どなたか
議員団
の方、もしくは、法制局も同行されていたということですので、教えていただきたいと思います。 今回、
改正
の
経験
のある国を
調査
されたということでありますが、
憲法
解釈についてお伺いさせていただきたいと思います。 二点あります。 一点目は、
憲法
解釈につきまして
議論
があるのか、また、その解釈の実績があるのかということであります。 また、二点目につきましては、それぞれ、
憲法裁判所
の
役割
、位置づけにつきましても御
説明
いただきましたが、
憲法裁判所
につきましては、
役割
といたしまして、定められた解釈に基づく違憲審査だけではなくて、解釈にかかわる裁判も扱うと
認識
しているわけでありますけれども、これは
政治
とは独立した
機関
であるということから、時の政権の意向が反映されにくいような仕組みになっているのではないかということも考えております。 この点について、
日本
との比較も含めてお答えいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
中谷元
25
○
中谷
(元)
委員
まず、
小池
委員
からの御質問ですが、こういった解釈は、
立法
府や連邦
政府
が勝手に決めてはいけないという
認識
のもとに、
憲法裁判所
が
判断
をいたしているという
説明
が
ドイツ
のヴィット係官という方からありました。 私、
EU
の統合と
憲法
違反ということで質問をしましたけれども、やはりこういった問題も連邦
政府
が勝手に決めてはいけない、連邦
政府
が自分たちがこうしたいと思うことの一定部分以上については
連邦議会
の
判断
を仰がなければならないと連邦
憲法裁判所
が言ったということで、具体的には、ユーロの救済のことについて、欧州の中央銀行に対する国家補助ではないかという
意見
がありますが、このようなことについても
憲法裁判所
の方で
判断
をしているということを言っておりました。 それから、長妻
委員
からの御指摘、ありがとうございました。 過去の
歴史
認識
や平和への仕組みというのは
憲法
上仕組まれているということで先ほど御
報告
をしました。しかし、時代の流れで、国の仕組みや
統治機構
、また国際安全保障へのかかわりについては頻繁に
改正
が行われておりまして、
ドイツ
は五十九回の
改正
、
チェコ
は、一九九三年に
憲法
が制定されましたが、八回、
イタリア
でも、一九四八年の制定以来、十六回の
改正
が行われております。
ドイツ
は、再軍備、
緊急事態条項
のような国防の根幹にかかわる事項を、大きな
議論
の末に
改正
しました。
チェコ
においては、
下院
の解散、
大統領
の直接
公選制
の導入、
統治機構
の核心にかかわるような
改正
がされたという経緯について
お話
を伺いました。 そして、
イタリア
では、ちょうど訪問時にベルルスコーニ
首相
の
辞任
問題が発生をしておりまして、きょう、
議員
失職を
国会
が決定したというふうに聞いておりますが、この発端は、
憲法裁判所
で二〇〇四年に、贈収賄に問われているベルルスコーニ
首相
を免訴する裁判凍結法が
国会
で成立をしまして、それに対して違憲との
判決
を言い渡したことが発端になっておりますが、現在、五つ星という第三
政党
が広がっておりまして、これをもとに、
二院制
の
議論
とか、
国会
のあり方とか、
議員
の数とか、非常に根幹に関して
憲法改正
のテーマになっているということでございます。
各国
とも、やはり時代に合わせてこういった
憲法改正
を行っておりまして、我が国としましては、いまだ、軍隊の保持、自衛権の行使、
緊急事態条項
、こういったものが明記をされておりませんので、曖昧に運用するのではなくて、
国民
議論
を経まして、しっかりとした
改正
が行われるべきではないかという
印象
を強く持った次第でございます。 以上です。
西野弘一
26
○
西野
委員
日本維新
の会の
西野
弘一
です。 先ほどの
議論
の中で、明治
憲法
とさきの大戦の
関係
も
議論
すべきだという
意見
もありましたが、そもそも、それを
議論
する前に、
現行憲法
は、明治
憲法
の、帝国
憲法
の七十三条の
改正手続
を経て制定された
憲法
であるということを我々は
認識
して、今、ヨーロッパに行って
各国
を視察いただいて、いろいろな国で何度も
憲法
の
改正
が行われたという御
意見
がありましたけれども、それぞれの国で
共通
して言えることは、その
憲法
をしっかりと
国民
の
議論
に委ねて、その中で
改正
を繰り返すことによって、その
憲法
自身に
各国
の
国民
の皆さんが愛着心を持たれているなということを、今のいろいろな視察の御
報告
を聞いて感じました。 ですから、我が国も、一度、
国民
の御
意見
、御
議論
にこの
憲法
を委ねて、
国民
の皆さんにこの
憲法
に愛着を持っていただける、そういった
手続
を早く踏まなければならないんだなと改めて思いました。 その上で、先ほど我が党の坂本
委員
からもありましたけれども、せめて
国民投票
法の審議ぐらいは早急に進めていただきたいということをお願い申し上げたいと思っております。
大塚拓
27
○
大塚
(拓)
委員
自由
民主党
の
大塚
拓でございます。
調査団
の
先生方
の有用な御
報告
を賜りまして、まことにありがとうございました。 いろいろと示唆に富んだ御
報告
内容
があったわけでございますけれども、その中で、
ドイツ
ならではの
経験
から生まれてきているのかなと思いましたのが、ポピュリズムのリスクというものをしっかりと踏まえて対応している、こういう
憲法
のたてつけになっているということが
印象
に残ったところでございます。 これは恐らく、そのときそのときの時勢だけに流されることはなく、幅広い民意を集約しつつ、専門的見地も踏まえての
判断
ができる間接民主主義のよさというものを捉えていることであろうというふうに思うわけでございます。 こうした価値というもの、
国民投票
というものが確かに有用だということが今広く言われているわけでございますけれども、このポピュリズムのリスクという観点も同時に忘れないようにしなければいけないのではないか、このようにも思ったところでございます。 また、同時に、
憲法
の
改正
要件
について、通常の
法律
よりも、
各国
、
ハードル
が高くなっているという御指摘もあったところでございます。私は、これは当然のことであろうと思っておりますけれども、あわせて、
審査会
の中でも繰り返し指摘をいたしておりますけれども、我が国の場合は発議
要件
の話をしているということと、諸外国の
改正
要件
の
ハードル
の数字というものが、
委員
の皆様方はよく御存じのことかもしれませんけれども、えてして世の中で混同して捉えられることがあると思いましたので、改めて指摘をしておきたいというふうに思うわけでございます。 すなわち、
チェコ
で五分の三、
ドイツ
で三分の二といった数字は、あくまでも
議員
の投票による
改正
要件
の数字であって、我が国において、各党、自民党も含めてでございますけれども、変更の必要性が指摘をされている事項というものは、
憲法改正
の発議
要件
を
国会
議員
の二分の一とするというところでございます。当然、その先に、我が国においては
国民投票
という大変高い
ハードル
を課していることについては、どのような
議論
の中でも不変ということでございますし、この
国民投票
ということについては、
ドイツ
、
チェコ
、御
報告
の中でも、これについては設けていく方向には特段ないんだということをお伺いしたところでございます。これについては改めて確認をしておきたいと思うところでございます。 いずれにしましても、諸外国においても、第二次大戦から七十年近くが経過をした中で、さまざまな根幹的な
議論
というものもなされるようになってきているということも感じたところでございます。 そしてまた、欧州においては、特に
憲法
より上位の概念となります
EU
というものの存在が大きくなってきているということも
議論
に影響を与えているのではないかというふうにも感じましたので、その点についても指摘をさせていただきたい、このように思います。 坂本
委員
からも御指摘がありましたように、かなり多くの
議論
の蓄積が既になされており、実際の
憲法改正
に向けて私どもも具体的な手順に入っていく、そういう時期に来ていると私も強く感じておりますので、
委員各位
の皆様方とさらに
議論
を深めつつ、速やかな、前に進めていく
憲法改正
というものを実現していきたい、このように感じているところでございます。 以上でございます。
伊東信久
28
○
伊東
(信)
委員
憲法裁判所
に関しての補足をさせていただきます。
ドイツ
の
憲法裁判所
においての資格、選出の問題なんですが、資格は、四十歳以上で、二つの国家試験を受けまして、十六名選ばれるわけですけれども、二部制にしておりまして、八名中三名は他の下級裁判所なり最高裁から選ばれまして、五名は、大学など学術的な、法曹界の、いわゆる有識者が入っているということです。 入れかわりなんですけれども、もちろん前任者がやめると入りますけれども、十二年、もしくは定年を迎えてそこでの入れかわりがあるということです。十六名が一度にかわるというのではなく、通常の
手続
ですけれども、前任者がやめたり、もしくは定年を迎えた人たちで順次かわっていくということ。やはり中立性が問題になるんですけれども、どの党から、どの州からも選任されているから中立にならなければならなくて、選ばれた党というか、それをびっくりさせるような
判決
も出たわけで、中立に関して
ドイツ
では問題にならなかったということ。
ドイツ
の
憲法裁判所
というのは非常に権威を持っておりまして、
憲法裁判所
の言うことはかなり絶対だ。扱われる案件に関しては全て個別案件でありまして、一つ一つの事例に対してそれが違憲かどうかの
判決
をしていて、大きな、基本方針を揺るがすようなことは扱わないということです。 加えて、
最後
に申し上げたいのは、
各国
、細かい
要件
を
改正
していまして、
憲法
を
改正
していまして、例えば
ドイツ
の五十九回もそうなんです。確かに、基本的なところ、基本的人権にかかわることとか安全保障に関するところはさわらないということで取り決めはしてあります。だけれども、ごく一部の
議員
から、
日本
の
憲法
は変わっていないからうらやましいというのは一人の
意見
でございまして、残りの
議員
及び学識者からの
意見
では、やはり変えられないということが問題なので、変えられるという
手続
を経て、そこから
議論
することが
憲法
において大事だということを、私、全会話を記録いたしましたので、そのことを皆さんに御
報告
申し上げたいと思います。
畠中光成
29
○
畠中
委員
先ほどの
報告
の中で一点、追加という意味で手を挙げさせていただきました。 私の関心として、ネット
選挙
も解禁になって、
国民投票
や
選挙
における欧州での考え方、扱いということを聞きました。特に
イタリア
において、例えばメディアやあるいはインターネットも含めた、
選挙
、
国民投票
における扱いはどうなっているんですかというふうに聞いたところ、全くの自由だ、インターネットはもちろん、テレビに関しても全く特に規制はないという話でありました。 ベルルスコーニがテレビ局を持っているということもありまして、報道に関しては、例えば特定の
政党
、特定の考え方をどんどん報道したりすることも全く規制がないということでありました。この点、
日本
のメディアの文化と大分違うなという
印象
を受けました。 以上です。
笠井亮
30
○
笠井
委員
私の感想を含めて、
報告
は述べたとおりなんですけれども、三分の二の
ハードル
についての高さ低さという
議論
もありましたけれども、いずれにしても、今回三カ国行きましたが、行った中で、
要件
を根本から緩和すべきだという
議論
はやられていないというのが私たちがつかんだ中身だと思います。 それから、回数が多かった少なかったという話もありますけれども、やはり、多くのところで、技術的、小幅なものが圧倒的だということであって、先ほども、いいものだから変えずに来たという御発言もあったわけですけれども、まさに、そういう点では、それぞれの経過の中でできた
憲法
、そしてその
憲法
をどうするかというのは、それぞれ
国民
が決めることですが、
日本国憲法
について言えば、今多くの
国民
が、九条を初めとして、まさにこの
憲法
に愛着心を持っている、だからこそ変えずに来たということであって、
国民
の中に定着しているんだというふうに思います。 今回の訪問を通じても、私自身は改憲の必要なしということをますます確信したところであります。 以上です。
中谷元
31
○
中谷
(元)
委員
もう一点、長妻
委員
からの御指摘に関連しまして、
ドイツ
では、人間の尊厳、民主主義、法治国家、連邦制などの根幹が
改正
できないという永久
条項
、永久禁止
条項
というものがございます。 戦う民主主義という理念を持っておりまして、法治国家、民主、自由な秩序に対する危険を排除しているということで、こういったものを守る義務を
国民
に課しています。それから、表現の自由、結社の自由などを自由主義、民主主義に敵対するために濫用した場合は、これらの基本権を喪失する旨の規定が行われております。 私が、では、思想、表現、
政治
活動、結社の自由というのはあるんですかと聞きますと、人間の尊厳は侵すべからずという第一条はありますが、尊厳については絶対に制限はできない、しかし、表現の自由となるとその他の
立法
において制限は可能であるということで、例えば
政治
活動も、ナチスという言葉を使えないようにしているし、それを言った場合には
法律
で処罰されるそうです。 それから、
ワイマール憲法
とか大
ドイツ
主義に戻そうという
政党
や動きがあるのかと聞きましたら、そのような声は全くないんだ、
EU
の統合に反対する
議員
や
政党
はあるけれども、少数派でありまして、地理的に
ドイツ
の領土を大きくしたり、ナチスという言葉を使っているというものは全くないということでございました。
長妻昭
32
○長妻
委員
私の名前を
中谷
先生から二度ほど言及していただいたので、一言だけでありますけれども。 今、
ドイツ
の永久禁止
条項
、
改正
はできないということを評価されるような御発言がありましたけれども、自民党の
憲法
草案を拝見しますと、九十七条、最高法規である基本的人権の条文がばっさりと削られておりまして、その発言と少々矛盾されるのではないかということも申し上げておきます。
中谷元
33
○
中谷
(元)
委員
その
条項
は、削除したのではなくて、一度しっかりと規定をした
条項
の二度目の使用でありますので、それは一つの
条項
にまとめて使っております。基本的人権は生きておりますので、誤解のないようにお願いしたいと思います。
保利耕輔
34
○
保利会長
それでは、予定の時間が過ぎておりますので、自由討議はこの辺にいたしたいと存じます。よろしいでしょうか。 それでは、自由討議はこれにて終了いたしました。 なお、私から御
報告
を申し上げておきたいことが一つございます。 十一月の十四日に、アフリカのリビアの制憲
議会
憲法
審査
委員会
のアブー・リーファ
委員長
初め三名の方がおいでになりまして、突然のことでございましたから、私が
代表
してお目にかかりました。
日本国憲法
の状況について教えてほしいということでございましたので、英文の
憲法
の条文をお渡しして、若干の
説明
をさせていただきました。 なお、リビアにつきましては、カダフィ政権が倒れましたが、カダフィ政権のときに
憲法
が全部廃止されておりまして、現在は
憲法
がないという状態でございますので、
憲法
制定
議会
というのをつくっておりますが、
憲法
制定
議会
の出席が非常に悪いので、これに対する何か罰則規定というのをどんなふうにつくったらいいだろうかという、非常に珍しい
条項
がございました。 そんなことがございましたことを
報告
いたしておきます。十一月十四日のことでございました。 なお、本海外
調査
の
報告書
につきましては、追って各
委員
に
報告
するとともに、衆議院ホームページでも公開をいたしたいと存じます。 次回は、公報をもってお知らせすることといたしまして、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十八分散会