○長崎
委員 長崎幸太郎です。
まず初めに、本日、こういう機会を与えていただきました
委員長初め与野党
理事の先生方に、心から感謝を申し上げます。
時間も限られておりますし、本日
最後ですので、早速
質疑に入らせていただきたいと思います。
先般、来年四月からの
消費税の増税が確定されることになりました。ここに至るまでの過程で大変な御努力、御苦労があったことに対しまして、心から敬意を表したいと思います。
本日は、
甘利大臣に、ぜひとも日ごろ
考えていることを御提案申し上げたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
言うまでもなく、我が国の財政悪化の要因ですけれども、これは税収の減少と
歳出の増加であります。
歳出の増加のほとんどは
社会保障費でありますが、しかしながら、恐らく
委員の先生方も
皆さん、そうだと思いますが、
社会保障費、特に
医療費と
介護費の削減というものは限界があると思います。そもそも、
高齢化が進むにつれて、高齢者は若年層よりも
医療費がかかるわけでありますし、また、もちろん
介護もさようであると思います。
したがいまして、
社会保障費の増加の抑制といいますか削減に関しまして、これは限界があるとすれば、財政の健全性とそれから
社会保障費の増加をいかに両立させるか、これに頭を悩ませるわけですが、その答えが
消費税の増税である、このように私は理解をしております。
ただ、今度は、
消費税の増税をすると、経済の活力といかに両立するか、ここが恐らく、ことしの秋、増税を最終的に御判断されるに至るプロセスにおいて一番御懸念された
部分であると思います。
すなわち、
社会保障費の増加というものが財政の悪化を通じ、これを
解消しようと思って
消費税の増税をすることで経済活力の低下というものが危惧されている、こういう構図にあると思いますが、これはすなわち、
社会保障費の増加というものが経済活力の低下に結びつく、こういう構図であるというふうに要約されると思うんですけれども、果たして、この構図というものは絶対不可変なものなんだろうか、全く変えることができないものなんだろうか、ここに問題意識を持っております。
確かに、私
自身、財政当局で職を奉じていたことがありますが、このときに関しましても、
社会保障費、特に
医療費、
介護費、こういうものは、いわば、言葉は悪いですけれども、砂漠にまく水のようなもので、使い切りの消費的経費、こういうものであるというふうに
認識されていましたし、恐らく、今も
財務省の財政当局の方と
お話をしても、そういう
認識である場合が多いんだと思いますし、これが世間一般のお
考えであると思います。
であるがゆえに、そういう使い切りで消えてしまう経費であるがゆえに、だから抑制をしないといけないんだという
議論になってくるわけですけれども、これだけでいいんだろうかと思います。
と申しますのは、原点に立ち返りまして、極めて単純な図式で
考えると、
社会保障費の支出、
医療費の支出、
介護費の支出というものは、いわば個人消費であって、この個人消費というのは、御承知のように、GDPの構成要素であります。こういう単純な構図は言うに及ばず、もっともっと単純に
考えますと、金が出ていくという面においては公共事業と全く一緒ではないかと思うんです。
もう釈迦に説法なんですが、公共事業が景気対策たり得るのは、それによって道路ができるからとか、道路の穴が塞がるとか、トンネルが五メーター掘られるからとかいうわけではなくて、金が出ていくからであるのは言うまでもないことだと思います。そして、金が出ていって、これが経済に波及をしていくと、いわゆる乗数効果を持ってくるからだということになろうかと思います。
そうであるとすると、
医療費や
介護費も金が出ていくという
部分においては全く一緒でありまして、だとすると、これをいかに
効率化するかというこれまでの視点に加えて、政府から一旦出した後、あるいは支出した後の経済波及効果をいかに高めていくか、ここについても
考えないのは、片手落ちとまでは言いませんけれども、ちょっともったいないのではないか。どうせ出すお金ですから、であれば、それが後々ずっと社会経済全体にしみ渡っていくような、それがゆえに経済活力を持つようなことを、政策として、そういう視点を持って
考えていくことが必要なのではないかと思います。
民間保険会社の研究によりますと、そもそも公共事業よりも
社会保障費の粗付加価値、生産額というのは高いんじゃないかという
調査結果もあるようですが、この適否は別にいたしましても、そもそもの規模がまず極めて大きなものがあります。国民
医療費と
介護費を合わせて四十数兆円です。これは結局、公共事業の数倍の規模がありますので、ほんのちょっとでも経済波及効果、乗数効果を上げることができれば、グロスの額は物すごく大きなものになるのではないか。
それともう
一つは、先ほども補正
予算の
議論がされていましたけれども、公共事業の場合は極めて裁量的に
増減するものであります、
政権がかわれば一気に何分の一になったり、またもとにようやく戻すことができたり。ところが、
社会保障費に関しては、基本的に
自然増で、毎年毎年右肩上がり、
高齢化が進む二〇二五年、三〇年までは間違いなく上がることは見通すことができているわけですから、実際それをどう活用するかはまた別の問題としても、そこに携わる人たちは、自分たちが食べている、飯の種と言ったらあれですけれども、お金が今後右肩上がりに伸びていくんだというのは容易に見通すことができるわけですから、であれば、新たに人を雇いましょうとか、人を育てていこうとか、あるいは設備投資をしましょうとか、こういう先の見通しをつけた投資というものができるものであると思います。
したがいまして、波及効果というものを高める、乗数効果というものを高めるような政策をぜひ検討していただいて、いわば、これまで砂漠にまく水だった
社会保障費というものを、そういうふうに
認識されていたものを、そうではなくて、後々後世にリターンがある投資である、投資マネーであるというふうな
認識に変えていくことが、私は、役に立つ、こうすることで経済に活力をもたらし、国民所得を上げ、ひいては税収の
自然増に結びつけることで、先ほど、一番最初に申し上げた
社会保障費の増加と経済活力の維持というものの関係をよりよいものにすることができるのではないかと思いますが、この点に関しまして、ぜひ
大臣の御見解を賜りたいと思います。