○
國重委員 公明党の
國重徹です。
きょうの質疑時間は十五分と限られておりますので、早速本題に入らせていただきます。
茂木大臣は、先ほどの所信的挨拶の中で、
企業が
投資し
収益力を向上させ、これが個人の賃金や所得の向上につながり、
消費が
拡大し、再び
企業の
投資を呼び起こすという好
循環を
実現させていく旨のことをおっしゃられました。
賃金の上昇が重要な
課題になってきますけれども、
政府は政労使の
会議などを通じて
経済界に賃上げを強く要請した、これは非常に画期的なことだと思います。そのような追い風もありまして、一時金は上昇しました。また、昨日の上場
企業の決算会見におきましても、賃上げを前向きに
検討するという
企業が相次いでおります。
ただ、
中小企業の多くにとって、一時金ではなくて将来
企業を拘束することになる賃金の上昇というのはなかなか難しいのが現実です。一時金はできるけれども賃上げは難しい。私も弁護士で、労働事件も団体交渉も数多くやってまいりましたけれども、一回賃金を上げると、従業員の
不利益変更というのは非常に難しいものがあります。
過去を振り返っても、金融危機が起きた一九九七年から二〇一二年までの十五年間で実質GDPは九・四%
成長しました。そして、雇用者も全体としてはふえましたけれども、正社員が減って非正規社員がふえています。正社員が四百七十二万人減って、非正規社員が六百六十一万人ふえております。そして、名目賃金は一二・一%減っています。実質GDPが九・四%
成長しているけれども、名目賃金は一二・一%減っております。こういうことからすると、
景気と賃金の連動性というのは、一時金を除けばそれほど強くはないんじゃないか、緩くなっているんじゃないかというような見方もできます。
そもそも、賃金というのは、労働の対償として支払われるものであって、
企業がその人の労働の価値を見出して決めるのが基本です。そうしますと、
企業の収益を継続的な賃金上昇につなげるためには、従業員の
付加価値を高めていく必要があります。
付加価値が高くなることによって、
企業の挑戦する力も強くなります。
経済産業研究所等の
調査によりますと、正社員への計画的なOJTを実施している
事業所ほど、また、正社員へのオフJTを社内で実施している
事業所ほど相対的に生産性が高くなる傾向があるというような結果も報告されております。教育訓練
投資が生産性向上につながります。
ところが、
企業が人的資本の向上のために使うお金というのは年々減っております。ある
調査によりますと、二〇〇八年の時点で、
企業の研修費は、バブル崩壊直後の一九九二年のピーク時に比べて、その一二%の水準にまで低下しているという報告もされております。
企業にとっての全ての源泉は人です。この国の将来を中長期的に考えても、人的
投資への刺激策が
成長戦略としても非常に重要になってくると思います。
そこで、
大臣にお伺いします。人的資本の向上について今後どのように取り組まれていくのか、見解と決意をお伺いします。