○
廣瀬参考人 東京電力の
廣瀬でございます。
私
どもの
事故から二年半が過ぎておりまして、今なおたくさんの
皆さんに大変な御迷惑、御
心配、御
不便をおかけしておりますことを、この場をおかりいたしまして改めておわびを申し上げたいと思います。
また、特に昨今、きょうも議題となっております
汚染水の問題につきましては、新たな御
心配、御
不便をおかけしているということで、これにつきましても本当に申しわけなく思っているところでございます。
今、
富田委員長からお話ございましたように、先日、
経済産業委員会の
皆さんに私
どもの
発電所を
視察いただき、また
発電所の中で
職員に対して激励のお言葉を頂戴しました。
職員一同、
大変励みとなって、今なかなか厳しい
環境下ではございますけれ
ども、改めて
汚染水を含めて
原子力発電所の
安定化、
廃炉措置に向けて取り組んでいるところでございます。
本日は、こうした機会を与えていただきましてありがとうございます。私の方から、
汚染水の
対策の
現状について、特に先日御
視察いただいた
皆さんには少し話がかぶるかもしれませんけれ
ども、ちょっときょうはお時間をいただきまして御
説明をさせていただきたいと思います。
では、お手元の
パワーポイントの資料をおあけいただいて、裏側にきょうの大体の
説明がございます。全体の
状況から始まって、
汚染水が今、
港湾に
漏れているかどうかということが大変問題になっておりますけれ
ども、これについての
状況、それに対する
対策、それと、大変これも御
心配をおかけしておりますけれ
ども、
汚染水が
タンクから
漏れてしまったということ、それの
対策、そうしたことを中心に御
説明させていただきたいと思います。
それでは、
ページの二、
原子炉冷却状況というところからスタートします。
これは
皆さん既に
御存じのところと思いますけれ
ども、
原子炉それから
使用済み燃料などに水をしっかりかけて
冷却をしていくというのが一番必要なことでございまして、これをずっとやっているわけでございますけれ
ども、
事故直後の
状況から、
汚染された水が
建屋の下の方にかなりたまっているというのが
現状でございます。このたまっているものを出してきれいにしていくという循環の
冷却をしております。
建物から右の方に行っていただいて、青い線で、
セシウムの
除却、これはサリーであるとかキュリオンであるとかおなじみの名前かと存じますけれ
ども、ここで
セシウムをまず取っております。
そこから下の方に来まして、塩分がまだ残っておりますので
淡水化をしております。それから、少しきれいにした
状態で
注水タンクというところに一旦ためまして、大体一日四百トンを
原子炉の
冷却のためにまた注入しているということでございます。
この四百トンとはまた別の、たまたま
数字が同じですので紛らわしいんですけれ
ども、これとはまた別の四百トンが、
左側から入ってきている
地下水の四百トンでございます。これも当然、季節によったり天候によったりして多少違うわけでございますけれ
ども、このぐらいの量が入ってきているということでございます。
したがいまして、
先ほども申しました、
セシウムの
除去といったような右の方に来るのは大体八百トンの
処理をしておって、そのうちの四百トンを
もとに戻しているということです。したがって、
残りの四百トンはどうなっているかというと、その下の段の方に行って、これも問題となっておりますが
貯蔵タンクにとにかくためているということです。
これは多
核種除去設備の
Cラインというところをきょうの零時から
運転再開、
ホット試験を始めさせていただきましたけれ
ども、下の方にございます多
核種除去設備というところでトリチウム以外のいろいろな
核種を取り除くということ、そしてまた少しきれいになった水を
タンクにためていく、こういう工程を今やっているところでございます。
ページをめくっていただきまして、そもそもこの
地下水の四百トンという
流れ込みでございます。上の方が海です、下の方が山ということで、
発電所の
建物が、ちょっと見にくいですけれ
ども、
海側にちょっとグレーで
建屋と薄く書いてあるところでございますが、ここが
発電所の
建物でございます。
地下水は、
山側から海に向かって流れておりまして、解析をした結果、海に出ていくであろう、
発電所の
建物からさらに海の方に向かっているだろうという
数字が、一日当たり四百トンぐらい入ってきているというのがわかっております。
先ほどのように、毎日、八百出して四百入れているという
残りの四百トンは
建物の中に流れ込んでいるということから、四百足す四百で約八百トンの
地下水が、
建物の幅約八百メートルの中ではこうした移動、
山側から
海側に流れているだろうということを解析しております。
次に、
ページをめくっていただきまして、四
ページの絵は、これはもう本当の
海側のところでございます。先日、御
視察いただいた
皆さんには一旦おりていただいた、
水ガラスの打ってあるところでございますが、図の一番
上側が海でございます。本当にもう海の
突先でございます。
下側が、
建物の
タービンビルが一号機と二号機ございます。
この一号機と二号機の間のちょうど正面のやや
右側のところに、二十三年四月二日
漏えい確認箇所とございますが、ここで三月十一日の
事故直後の四月の二日に
漏えいがございまして、その結果、この
地域が、この
あたりが
汚染されております。以降、
観測孔等を設けまして、どういう
状況で
汚染が広がるかというようなことを確認してきたということでございます。
ただ、それで全部が全部、どういうふうに水が流れて、どこでどういうふうに
汚染されて、
汚染源はどこなのかというようなところは、完全にはまだまだつかみ切れていないという
状況がございます。
めくっていただきまして、
シートの五は公表までの
経緯でございますので、これはちょっと飛ばさせていただいて、
シートの六を
ごらんいただきたいと思います。
幾つもの
観測点で海の
汚染の
状況については
観測しておりますけれ
ども、このうちの
二つ、
先ほどの
タービン建屋の前の
部分と、それから
右側の方の、これは完全に
外洋、岸に近いですけれ
ども外海というところでございまして、それぞれ
セシウムの
経緯を上の方の
グラフで示してございます。
両方ともそうでございますけれ
ども、
事故直後に非常に高かったわけですけれ
ども、これは
対数の
目盛りですので
グラフ的には余り大したことないですけれ
ども、実際の
数字的にはかなり劇的な低下を初期には示しました。
ただ、
左側の方は、それ以降は余りそう大きな下がりが見えなくなって、百
ベクレル内外あるいは少し超えたところで今とまっているという
状況でございます。したがって、当然、ここから考えられるのは、何らかのまだまだ
汚染があるのではないか、なければどんどんどんどん希釈されて薄まるのではないかというふうに見ているところでございます。
一方で、外側の
外洋の方は、これは
対数目盛りですので、かなり小さな
数字になっているという
状況でございます。
めくっていただきまして、これもまた、さらにいろいろな
観測点での
観測のデータをプロットしたものでございまして、
一つ一つ御
説明いたしませんけれ
ども、一番
下側の
右側というんでしょうか、
二つ緑色の箱がございますが、
右側の
緑色の箱の下の
部分、ここは
放水口の前のある程度限られた
部分でございますけれ
どもここがやはり一番高くて、湾内ですけれ
どもその外に行きますともうほとんどなくなります。さらには、その外、いわゆる
外洋になりますと、もうほとんど
数字はないという
状況がここで見てとれます。
続いて、めくっていただきまして、
ページの八でございますが、これからは、これらの
汚染水に対する
対策を全体的に御
説明いたします。
大きく申し上げまして、緊急的な
対策と少し時間のかかる抜本的な
対策とございます。
緊急的な
対策は
オレンジのところでお示ししておりますが、まず
一つ目としては、
先ほどの
パワーポイントにもありました、一番
海側に近い
突先の、地図でいいますと
上側の
オレンジ色の斜めの
部分でございます。ここについては、地盤を改良したり、
地下水をという、こういう
対策をしております。
二つ目の、その隣に
緊急対策二というのがございますが、これが
トレンチ。ここが一番
汚染されているものが残っておりますので、これを何とかしようと。それから、下に行って、
地下水バイパス。それから、青い方の抜本的な
対策として、
海側の遮
水壁であるとか
陸側の遮
水壁であるとか、あるいは
サブドレーンというのを挙げております。これを
一つ一つ今から御
説明いたします。
まず、緊急的な
対策の一でございます。次の
ページ、九でございます。
これはまた同じ
場所の絵でございますけれ
ども、
先ほどの二年前に
漏えいがあったという
部分でございます。そこの一番
海側のところに青い二重のビーズのような線がございますが、ここに今、
水ガラスを打って、
ごらんいただいたと思いますけれ
ども、ここで
海側に行くのをとめようとしております。
一方で、どんどんどんどん
地下水が流れてまいりますので、それを防ぐためにも、下の方の
オレンジ色の
部分で全部囲って、ここを完全に区切ってしまおうというようなことをやっております。
真ん中辺に、ウエルポイントといって、
緑色の
ラインがございますが、これは実際は
一つ一つは穴を掘って、
井戸を掘っているんですけれ
ども、当然、青いところで遮蔽しておりますので、どうしても
地下水がたまってまいります。その
部分を今くみ上げているというところでございます。
こうした
対策で、外へ出ないようにということを考えております。
それから、十
ページ目に行きまして、
汚染水の
緊急対策の二番目でございます。これはちょっと絵が逆さまになっておりますけれ
ども、これは
海側から
建物側を見ております。今までの絵と逆さまでございます。
御存じのように、
建物からはパイプであるとかケーブルであるとかいろいろなものが出ておりますので、それが設置されている
部分にダクトのような、トンネルのようなものが
幾つかございます。それがこの
緑色の、
通称トレンチと呼んでいる
部分でございます。ここに汚い水がたまってきてしまっております。
これを何とかしなければいけないということで、
建物と
トレンチがどこかでつながってしまっておりますので、そこをとめませんと、幾らここを抜いても
建屋の中からまたどんどんどんどんこちらに押し寄せてまいりますので、赤丸をしてあるところ、この辺を何とかとめたいということを今考えているところでございます。
次に、
緊急対策の
三つ目で、これも
皆さん、お聞きになったことが何度もおありになると思いますが、
地下水バイパスと称されるもので、
先ほど一日に四百トンぐらい入ってくるだろうという、その量を何とか少なくしようということでございます。
全体的な絵がございますが、
建物の
山側に青い穴が十二個あいてございますけれ
ども、ここで
井戸を掘って、ここでくみ上げて
地下水のレベルを少し落として、
建物の中に入るのを少しでも減らそうという
取り組みでございます。
続いて、十二
ページ。これからは抜本的な、少し時間のかかる
取り組みでございます。
まずは、
海側の遮
水壁が上の方にございます。これも
ごらんになっていただきましたけれ
ども、
真ん中に写真がございますが、基本的には、くいを打ってしっかり水をとめるということで、さらなる海に出ていくのを防ごうという
対策でございます。
ごらんになっていただいたと思いますが、半分ぐらいまでできてきておりますが、来年の九月までかかるというものでございます。
それから、
対策の二としては、ぐるっと
一周凍土壁を、囲おうということで、
凍結方式でできないかということを今
フィージビリティースタディーをやっているところでございます。これは、ここに絵がございますように、何本か棒を刺していって、そこに
冷却材を入れ、その
周りを凍らせて、最終的にはそこをつなげていこうという形で、これは今
フィージビリティースタディーをやらせていただいているところでございます。
続いて、抜本的な
対策の三番、十三
ページでございます。
これは、模式的に
断面図というのが書いてございますが、一番
左側が
先ほど申しました
地下水バイパスでございます。山の上で
地下水をくみ上げて、
地下水位という青い薄い線がございますが、これを下げて
建物の中に入る水を少しでも減らそうということでございます。
それに加えて、
サブドレーンというものが
建物の両側にございます。ここは
もともと地下水を
事故前からくみ上げて
建物が持ち上がらないようにということでやってきた、そういう
設備がございますので、それを使ってさらに
水位を少しでも下げて、今、
御存じのように
建物の中の
汚染水の
水位と
地下水の
水位というのはそれなりにコントロールされておりまして、
建物の中の
水位を
地下水よりも絶えず下げておいております。
したがって、汚れたものは外には出ないんですが、逆にどんどんどんどん入ってきてしまう。これは大変難しいところでございましたけれ
ども、
両方ともこれから下げていって、行く行くは
タービン建屋の中、
原子炉建屋の中の
汚染水を全部取り出そうということを考えております。
続いて、
タンクの話でございます、ちょっと時間が押してきましたけれ
ども。
タンクは、
御存じのようにたくさんの
タンクにためておりますけれ
ども、今
タンクの、
入れ物としては四十一万
立米ぐらいございますけれ
ども、既に三十五万
立米ぐらいが、その中に
汚染水が入っているという
状況でございます。
そこに
グラフがございますが、赤い
グラフが
入れ物の量、
タンクの量でございまして、どんどんどんどんふえていく。一方で、青い線が一日四百トンという
流れ込みの量を傾きにとっていますので、ほとんど
直線状に延びていきます。これが赤いところにくっつきますと足りなくなってしまうということで、一生懸命赤いのをつくっていくという
状況は続けていくということでございます。
続いて、
最後、
タンクのどこから
漏れた。これも
皆さん御案内と存じますけれ
ども、十五
ページの絵にございますように、
タンク群の中の
ナンバー五という
タンクから推定三百
立米が
漏れたということで、この位置は、海からは
直線距離では五百メートルぐらい離れている高台にあるところでございます。
それを少し大きくしてお示ししたのが十六
ページの絵でございまして、これも実際に
ごらんになっていただきましたけれ
ども、
ナンバー五というところから
漏れて
周りが
汚染されたという
状況でございます。
めくっていただきまして、今、その
タンク、まさに
ナンバー五の
タンクの
原因を
調査中でございます。十七
ページの絵は、これは少し漫画的に描いてはございますけれ
ども、
タンクは
フランジ型の
タンクでございますので、五つの
パーツをくっつけて、底面の真ん丸い
底部、
底板をつくっておりますが、そこから
空気を入れまして、バブリングと称していますけれ
ども、もし
漏れがあれば少しでも水がぶくぶく、自転車のタイヤのパンクを直すのと似たような話ですが、やりましたが、なかなか見つかりませんでした。
そこで、十八
ページのように、今度は中をあらかた解体しまして、先日
ごらんになっていただいたときはまだ解体できてはおりませんでしたが、どんどんどんどん解体しまして、左の絵、これも大体その外形の図ですけれ
ども、四つの
パーツから輪切りになっていますけれ
ども、上の
三つぐらいを外しまして、たらいのような
状態にして、そこの中に入って泡を塗りまして、今度は下から、前回のものは
空気を入れてみたんですけれ
ども、今度は
空気を抜いてみました。そうしたところ、丸い
場所、この二カ所のボルトの
間あたりから吸い込みが見られましたので、どうもここから水が
漏れたんではないかなと。まだ確定的に、断定的には申し上げられませんけれ
ども、どうもここではないかというところが今わかってきたという段階にございます。
そうした
原因を
調査して
対策をこれから打っていきませんといけませんが、それまでの間はしっかりとした
パトロールをして、二度とこういうことがないように、あってもすぐ見つけられるようにという
対策をしております。その辺が十九
ページにございます。今までの
パトロール要員は確かに脆弱でございましたので、ここら辺にしっかり人を投入して、今しっかりとした、一日四回、一回三十人ずつの
パトロールで、それも自分の受け持つ
地域を決めまして、ただぐるぐる回るのではなくて、そういうやり方をやらせていただいております。
それから、そもそも、二十
ページですが、
フランジ型の接合した
タンクではどうしてもその
接合部分から
漏れるという
可能性がございますので、溶接型にこれから変えていこうという
対策をとってまいります。
それから、二十一
ページ。そもそもある程度の
汚染水をためなければいけませんので、ためるんであれば、ためなければいけないんであれば、いかに安心した、少しでもきれいな形でためようということで、
ALPSを、きょう以降、動き出しましたけれ
どもさらに加速していこうということで、
真ん中辺に
三つの丸がございますが、
一つ目の丸、二百五十掛ける三系列、これはもう現存するものでございます。
二つ目の
高性能ALPSというのを
経済産業省の
補助事業としてやらせていただいて、
三つ目の
増設ALPSというのは、
一つ目の丸と全く同じものをもう一系統つくろうということで、こうしたことでどんどんどんどん
処理量を多くして、少しでもきれいな形で、ためざるを得ないんであればきれいな形でためていこうということを考えております。
二十二
ページ以降はその他の事項ですけれ
ども、
一つ、
皆さんごらんになっていただいておわかりのように、
免震重要棟というところには席が八十しかございません。つまり、
東京電力の社員は、あそこには八十人しかおれません。もちろん、日中は二百人ぐらいの人間が来ておりますけれ
ども、どうしてもほとんどの人間は第二
原子力発電所にいまして、八キロの間をバスで移動して、要するに通って、そこで仕事をしておりますが、やはり
現場からどうしても遠くなるということがあって、ここを何とかしたいと思っております。矢印のように、少しずつ
発電所の中にそうした執務スペースをつくっていって、行く行くは、約千人が、全員がそこで働いて、何かあればすぐ
現場を見られるという
状況にしていきたいと思っております。
それから、二十三
ページは、
汚染水・
タンク対策本部というのを
東京電力の中につくりましたが、そこの上の
真ん中辺に、社外専門家というので、社外の知見を積極的にお願いして助言いただこうということで、その次の
ページにレイク・バレットさんという方、この方はNRCの
もとの
職員でいらっしゃいますが、スリーマイルアイランドのときに
現場で指揮をされた、大変いい方に来ていただけることが決まっておりまして、もう早速、
発電所に入っていただいております。こうした外国あるいは国内、国内外問わず専門家の方に入っていただいて、そうした方の御助言や御指導をいただきながら、今後ともしっかりやってまいりたいというふうに考えております。
最後の
ページは、先日、安倍総理大臣に一Fにお越しいただいたときに、これももう御案内のことと思いますが、
三つの御要請をいただき、それに対して私
どもの方からお答えをしたということで、しっかり資金を手当てして、
発電所の
職員が、要は、金をけちけちして、やるべきことをやるのをやめるとか、遅くするとか、そういったようなことのないようにしっかり手だてをしようということ、それから、
先ほどの
ALPSをしっかり動かして、何とか二〇一四年度中にほとんどの
タンクの
汚染水をきれいな形にしていこうということ、それから、五号機、六号機の廃炉に向けた決定を検討し、年内に結論を出していこうということをお答えしたところでございます。
済みません、長くなりまして。私からは以上でございます。
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