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武見敬三君 このまさに我々が
国民皆
保険制度と呼んでいる
制度のおかげで、この図にございますように、日本の平均寿命というのはもう確実に延びた。これ、御覧いただきますとお分かりになりますように、大体、戦争直後ぐらいというのは男の平均寿命五十歳、女性五十六歳だったんですよ。これが大体、東京オリンピックぐらいまでの間に先進国の仲間入りできるぐらい平均寿命がぐうっと延びます。そのときまでのその延びた原因というのは、乳幼児死亡率を抑えるとか、あるいは妊産婦の死亡率を抑えるとか、あるいは結核のような感染症の死亡率を抑えたことによってぐわっと先進国並みに上がってきたんですよ。
だけど、その後、日本が世界一の平均寿命まで例えば女性なんかが上り詰めてくるわけですが、それはなぜ可能であったかというと、成人人口、すなわち二十歳以上の人口の人たちの死亡率が抑えられて、引き続き延び続けたから日本の平均寿命というのは延び続けた。それはなぜかというと、そういう人たちがおおよそかかるであろう非感染症、慢性疾患にかかわる治療がこうした皆
保険制度の下で地域
医療で確実に普及していって、特にこれは、脳卒中というのは、高血圧症の方が大体その八割方脳卒中で亡くなるんですよ。この高血圧症の方々を地域
医療の中で早く診断して、降圧剤の治療をして血圧を管理する、その結果として脳卒中で亡くなる患者さんを抑えていく、こうしたことでおおよそ一・二歳ぐらい平均寿命は延びているんですよね。
こういうようなことが実際に可能であったのは
国民皆
保険制度があったからであって、これはまさに世界に冠たるものなんですよ。実は、この表も、イギリスの医学雑誌のランセットという雑誌がわざわざ、我が国の皆
保険制度五十周年、これはおととしだったわけでありますけれども、それを記念して日本特集号を出してくれました。その日本特集号の中でこの事実が明らかにされているんですよ。
したがって、そういう日本の皆
保険制度、これは是非、どのような
状況下においても徹底的にその
基本は守っていただきたいということは
総理に是非お願いをしておきたいと思います。
そして、そのために
一つお願いをしなければならないことは、
医療保険制度に関しては
持続可能性がかなり失われてきているというその事実なんですよ。我が国、三千五百もこの
医療保険制度がある。そして、その中のほとんどが今赤字に転落してきている。そして、これを財政調整で、優良な
保険者から高齢者が多くて支出の多い
保険者に支援金を出すというようなことをやっている。しかし、それでも、今度はその支援金のおかげで雇用者
保険のような優良な
保険さえもがどんどんどんどん今度は赤字になって、
保険料を上げてもまた赤字というイタチごっこになっていて、もはやあと何年かで全ての
保険者赤字になっちゃうと、こういう構造に日本は今なってきているわけです。
したがって、そういう中でどうやって我が国の
医療保険制度というものを持続可能なものに再構築していくかということを
考えたときに、私たちがやらなきゃならないのはやっぱり
保険料にかかわる公平性の確保なんですね。既に岸
内閣のときの改正で、実はいかなる
保険者に属していても被
保険者は同じ診療報酬が使われていることによってその
給付というもの、すなわち
医療サービスというのは同じものが受けられるという、まさに
給付の平等というのは最初から達成されている。そしてまた、皆
保険制度が達成されたことでアクセスの平等も達成されたわけです。そしてまた、時間は掛かりましたけど、患者
負担の平等も、三割
負担、そしてまた高齢者一割という形でおおよそその公平性が確保されてきた。しかし、この
保険料にかかわる公平性だけは、
保険者によって、同じ家族構成で同じような所得の条件があったとしても、結果として三倍から四倍も格差があるというのが現状なんですよ。
しかし、この自公民の三
党合意の中で、引き続き
国民医療費というのは、これはこの
保険料の財源を主たるものとするというふうにお決めになっておられる。そうすると、今後も引き続き安定した
国民医療費の財源を
保険料を通じて確保しようとするときに、こんな
保険料の不公平さというものが残っている形でそうした
保険料を通じた
安定財源を確保することは難しいですよ、
総理。だとすれば、その公平性を確保しようとすると、やはり
保険者を整理統合するということが確実に必要になってくる。これはまさに喫緊の課題になってきているわけですよ。
まずは、こうした市町村国保というような
国民健康
保険というものを都道府県ごとに統合していく、そしてその次には協会けんぽといったようなそうした雇用者
保険を統合していく、そして最後に雇用者
保険というものを統合して全体を統合していくという
方向をまずは都道府県ごとに取るんですよ。しかし、それでも、そうすると高齢者の多い島根県、鳥取県というのは
持続可能性ないから国が支援しなきゃならない。しかし、全国をおおよそ七つに分けて
保険者というのを整理統合すると、
総理、国全体を
一つに統合したのとほぼ同じぐらいのリスクプールが確保できて、
持続可能性が確保できるんですよ。すなわち、道州制を導入したときにそれをやりゃいいんで、そういうことの前にまずは都道府県ごとにやりゃいい。
そういう
一つの新しい持続可能な
医療保険制度、そして
保険料にかかわる公平性が確保される
制度、そういったものをきちんと戦略的につくり上げていくことによって、そしてそれがアベノミクスと結び付いて、組み合わせてパッケージになることによって、
国民が、一体日本という国はどういう
方向を目指しているのかというのをきちんと示すということが私は今求められてきているんだろうというふうに思います。
この点についての
総理のお
考えを聞かせてください。