○脇
雅史君 ありがとうございました。いずれにしても、今あるインフラを大事に使っていかなくちゃいけませんし、そういう経費は必ず要ると。
そして、公共事業、公共工事に掛けるお金というのは何も
国債でなくてもいいんですよ。税収がいっぱいあればどんどん税金でやるべきものなんです。ただ、道路であれ、堤防であれ、ダムであれ、耐用年数が長いからずっと使うわけですから、五十年使うんなら将来の人が負担してもいいんじゃないかということで
国債がなじみやすいんだというだけの話ですから、お金があれば一向に当該年度のお金で使っていいわけで、何かそのためにわざわざ
国債発行して悪い
仕事をと、これまた変なイメージなので、その辺もきちんと
国民の皆様に御
説明が要るんだろうと思っています。
それから、ちょっと話を先へ進めさせてもらいますが、公共工事悪玉論の中で建設産業は非常に冷たい仕打ちをされています。今まさに、絶滅危惧種と言っちゃ失礼ですが、本当に大変な状況になっている。私、十年前ぐらいからずっとそういうことを言い続けていて、まだちゃんとやっているよと、こう言うんですが、実態は本当にひどくて、この
デフレ下で、安けりゃいいという条件を付けられて過当競争させられたらどんどんどんどん受注価格下がるんですね。受注価格が下がる、
人件費が出ない、したがって、そこへ人が来ないんです。もう既に高等学校の土木なんていう分野がなくなってしまっているという学校もたくさんあります。職人も来ない。老齢化していて、鉄筋工なんかはもう六十歳だと、平均年齢が。もう本当に国家が成り立たなくなりつつあるんですよ。ですから、東北であれだけの災害が起こって、
仕事しようったって人がいませんと、こういうことになるんですね。
もうそういう状況まで私たちの国家は建設産業を、まあある種いじめてきたんですよ。そうでしょう。予定価と称して、これ市場価格ですと調査をして市場価を決めて、その九割以上で
仕事したらおまえら悪いことをしていると。そんなばかな話ありますか。予定価だったら予定価でやらせりゃいいじゃないですか。それが悪いことのような、公共事業不要論からそこまで来ているんですね。毎年九割なんていったら最後はなくなりますよ。そういうことをずっとやってきているんですね。
何でそうなるかというと、これは法体系が悪いんです。現在の公共事業の契約の法規というのは、国でいえば会計法ですね。地方でいえば地方自治法です。会計法というのは、改めて読んでみたら、会計法という法律には
目的がありません。通常の法律は
目的って書いてあるんです。そんなものないんです。経
理事務をきちんとすればいいんです。国の歳出歳入、きちんと管理していりゃいいという法律なんです。その法律が全ての契約の基なんですね。そして、契約ではどう書いてあるかというと、入りと出ときちっと管理するんですが、その発注者と受注者、売手と買手、売る場合でも買う場合でも同じ法律でいこうという、昔、外国でもそういう法律ありましたが、今は
日本だけですね。そういう法律でやっているんです。
ですから、法律のとおり運用するとどんどん建設業が傷む具合になっているんです、
デフレ下で。それが現実に、この十五年間の建設産業の実態を見れば分かるんです。それだけひどくなって、もう潰れてなくなりますよというところまでほうっていた。しかし、役人の皆さんに言えば、いや、私たちはちゃんと法律どおりやっていますと。それは、行政官は法律を執行するのが
仕事ですから、法律と違うことをやってもらっちゃ困るので、そのとおりなんですが、皮肉なことに、やればやるほど傷むんですよ。だから、法律変えるしかないんです。
私は、品質確保法というのを数年前に作って、
値段が安けりゃいいんじゃないですよ、きちっと品質確保の法律を作りましょうといって作ったんです。品質を確保するために必要なことをしっかりやっていけば、そんな安値で受注する業者は、あんた、駄目ですよと言えるだろうと思ったんですが、誰も言わないんですね。それはそうですよ。五億掛かる
仕事が三億でやってあげますよと言われて、首長さんにしてみれば、この残った二億はほかの福祉に回そうと、ああ、良かった、良かったですよ。そのお金はどうしているかというと、建設業がみんな傷んでいるんですよ。搾取しているようなものですよ。そういうことが平気でこの国では行われてきたんです。だから、もう許さぬと、法律を変えろと言っているんですが、いや、会計法は立派な法律でいいんだと言っているんですが、駄目なんですね。
もう諸外国の例、実は公共関係についてちゃんと勉強されている方もいて、この二冊かなり私が見た範囲ではよくまとめられているんです。しっかり中身を見れば、
経済学者もほとんど公共事業の契約の現場のことなんか知らないんです。知らないけど安けりゃいいんだで、今おかしいんだと、談合ばっかりして、あんなもの潰してしまえというようなことを言っていますが、きっちりと
議論をすれば、先ほど冒頭で申し上げましたが、きちんと分析をして、より良くするにはどうしたらいいかと。
要は、税金を払っている
国民に対して立派な契約ができる、そして発注者にとってもそんな面倒くさくない、いい契約手法だと。実際にそれを、
仕事を請け負う受注者にとってもいい制度だという法律を作ればいいだけの話なんです。何でそれを進めないんだということを申し上げているんですね。
もう私が一人で全部しゃべっちゃいましたが、もうお聞きをするよりその方が早いので……(発言する者あり)いや、持論ではないんです、正論なんです。私が特別なことを言っているというふうに、御理解をいただけない方はすぐ持論と言うんですが、ちゃんと見てください。そして、どうやったら本当にこの国の建設産業はうまくいくかと。やたらもうけさせるなんて言っているんじゃないんです。
その建設業は、技術者、技能者の集団が必要なんですね。技能者というのは、そこに二十年、三十年いるから技能者になれるんです。今のような状態ではそういう人はいなくなります。
日本は滅びちゃいますよ、物づくり産業の原点が。だから、もう多くは要らないんです。私は今、役所の皆さんに、今度こそ新しい法律を作りましょうと、きちっと考えましょうと。もう諸外国の例を見たら明らかなんです。
ここに、土木学会というところも、土木学会もどうせ一味だろうとしか見ないんでしょうが、この中でもきちんとそういうことは指摘をしていますが、しっかり分析をすれば必ずそういう結果になるのであって、是非、
財務大臣と
総務大臣と、農水
大臣も言っていませんでしたが担当ですから、新しい法律に基づいてしっかりとした公共事業を進めると。いざというときに建設業が災害から
国民を守ってくれると。要らない建設業は要りません、一生懸命やるいい会社がしっかり残れるような
法制度にしようじゃないかという御提案なので、前向きにお答えをいただければそれでよろしいんでございますが。