○藤巻幸夫君 みんなの党の藤巻幸夫でございます。
私は、ただいま
議題となりました
消費税の円滑かつ適正な
転嫁の
確保のための
消費税の
転嫁を阻害する
行為の
是正等に関する
特別措置法案につきまして、会派を代表して
質問をいたします。
まず初めに、
稲田大臣にお伺いいたします。
本
法律案は、
平成二十六年四月と
平成二十七年十月の
消費税率の
引上げに際し、減額、買いたたきなどの
行為を取り締まること、また、
消費税還元セールのように、
価格に
消費税が
転嫁されていないと
消費者が
誤認するおそれのある
表示を
規制することなどを定めることにより、
消費税の円滑かつ適正な
転嫁を図ることが
目的であるとされています。
しかし、そもそも、
消費税率が引き上げられるか否かにかかわらず、
消費税分を買いたたくなどの
行為があっていいはずはありません。
消費税は円滑に
転嫁しなければならないものであって、現行の独占禁止法や下請法でも、優越的地位の濫用や買いたたきなどは禁じられている
行為であります。それにもかかわらず、あえて
特別措置法で対処しなければならない理由は何なのでしょうか。
下請法は
一定の委託
取引のみをその
対象とし、通常の売買
取引には
適用がないことなどが
法律案を制定する理由の一つに挙げられておりますが、これはおかしな話であります。下請法に足りない点があるのであれば、下請法を改正し、強化するのが道理ではないでしょうか。本来なすべきは、
特別措置法の制定ではなく、下請法の強化のはずであります。
特別措置法を制定する理由と下請法の強化の必要性についてお伺いいたします。
次に、
消費税の
転嫁の
拒否等の
行為の
是正に関する
特別措置についてお伺いします。
法律案第三条では、買いたたきなどの四つの
行為を禁止し、それらの違反
行為を防止し
是正するため、必要な指導、助言を行うこととしております。しかし、
衆議院における参考人質疑で有識者も指摘しているとおり、買いたたきか自由な
価格交渉の結果か、その
判断は至難のことと思われます。八%に
税率が引き上げられた際、メーカーと卸と小売とで一%ずつ、言わば痛み分けのように
増税分を
負担する場合や、家電量販店のように日々、
本体価格の見直しを行っている場合には、
税率引上げ時の前後の納入
価格を比べたとしても、買いたたきか否かを
判断するのは実質的に不可能であります。どのような場合に買いたたきと
判断するのか、その基準をお伺いいたします。
また、今般、
公正取引委員会のほか、主務
大臣にも指導、助言を行う権限を付与し、幅広い
事業を
対象にするとしておりますが、従来、この種の
規制の運用を担ってきたのは第三者機関である
公正取引委員会であります。
事業を
所管する
大臣と第三者機関とでは、その役割は本質的に異なりますが、そうした差を考慮することなく一緒にしてしまってよいのでしょうか。
事業を
所管する主務
大臣を運用主体とした妥当性についてお伺いします。
さらに、違反
行為の監視要員として非常勤職員の採用も選択肢の一つであるとされています。しかし、専門的、技術的
判断が必要とされる職務を非常勤職員で賄うのは
実効性を無視したものと言わざるを得ません。人材がそろわなければ
規制の効果を上げることは不可能です。人材獲得の在り方と
規制の実行
可能性についてお伺いします。
次に、
転嫁を阻害する
表示の
是正に関する
特別措置につきまして、
森大臣にお伺いいたします。
法律案第八条では、
消費税還元セールのような
消費税を
転嫁していない旨の
表示は行ってはならないとされております。この狙いは、大規模小売店の周辺で営業する
中小事業者が
消費税相当額の
値下げを余儀なくされることを防ぐためのものと
説明がされておりますが、この点、
事業者の有力な販売戦略である
表示を
規制することに合理性があるのか、様々な
意見が出されているところであります。そこで、
衆議院において、
消費税との関連を明示しているものに限ることとすると
修正が行われましたが、
修正の結果どうなったのかが判然としておりません。
消費税との
文言を含まない
表示であっても
規制対象となるか否か、お伺いします。
仮に、
消費税という言葉を使わなければその
表示は禁止されないとなれば、ほとんどの安売り
広告は
規制されません。
政府が意図した周辺
中小事業者の
保護は
骨抜きということであります。
表示を
規制することにより法益は得られないと考えますが、
見解をお伺いいたします。
次に、
総額表示義務の
特例措置につきまして、麻生
大臣にお伺いいたします。
本
法律案では、
事業者の
値札張り替え作業などの
事務負担を考慮し、
消費税込みの
価格を
表示する
総額表示義務に
特例を設け、いわゆる
外税方式を認めることとしております。しかし、
総額表示義務では、レジでの会計を終えるまで金額が分からないといった
意見や、外税と内税が混在すると
価格の比較が行いづらいといった
意見など、
消費者の意向を踏まえ、
利便性を考慮して
導入されたものであります。本
法律案の場合、
外税方式を取る
事業者と、そのまま
総額表示を続ける
事業者が混在することになり、
消費者の
利便性を損なうばかりでなく、混乱も予想されます。
特例として
外税方式を認めるメリットは何なのか、
消費者に十分配慮されたものなのか、お伺いします。
また、この
法律が効力を失う
平成二十九年三月以降、再び
総額表示が義務付けられることになります。
消費者ばかりでなく
事業者の混乱も予想されますが、そのような混乱にどう対処するのか、お伺いしたく存じます。
次に、
転嫁カルテル、
表示カルテルについて、
稲田大臣にお伺いします。
本
法律案では、
事業者等が行う
転嫁カルテルと
表示カルテルについて、
平成元年の
消費税導入時と同様に独占禁止法の
適用除外
制度を設けることとしております。しかし、このことは、
平成九年の
消費税率引上げ時にはカルテルは認められなかったということを意味しております。その理由として、
平成九年当時は、
消費税が
国民の間に定着し、
転嫁に関する理解が深まっているため、現行の独占禁止法の枠内において
消費税の適正な
転嫁が可能であるとされていました。
平成九年当時より
消費税に関する理解が深まっているはずの
平成二十六年四月に
転嫁対策が行われるのは奇妙としか言えません。なぜカルテルが復活したのか、整合性のある
説明を求めます。
次に、
転嫁対策に必要な費用について、
安倍総理にお伺いします。
本
法律案は
予算関連議案とされており、本法施行に要する経費として約三億六千万が
内閣府の
予算に計上されております。一方で、本
法律案は、
国民に対し徹底した広報を行うこと、情報収集、指導、助言を行うための万全の体制を整備することなどを国等の責務として定めており、それを実行するための
予算が必要なはずです。一例を挙げると、
公正取引委員会は二十五年
予算に四億三千万円、
中小企業庁は二十四年度
補正予算で約四十二億円、二十五年度
予算で約二十二億円計上しております。このほか、
表示規制を担う
消費者庁、
事業を
所管する各省
大臣も経費は必要なはずであります。
政府は果たして
転嫁対策全体として必要な経費を把握しているのか否か、全体が幾らになるのか、お伺いします。
以上述べたように、本
法律案に基づく
規制の効果は極めて低いと言わざるを得ません。それにもかかわらず、分かる
範囲でも約七十二億円の
予算が計上されています。
転嫁対策が
中小企業向けの施策であるならば、最初からその
予算を
中小企業向けに使うべきではないでしょうか。
予算の使い方として不合理であると考えますが、
総理の
意見をお伺いします。
そもそも、
消費税の
転嫁についての根本的な解決策は、景気を良くし、
日本を元気にすることであります。まずはデフレから脱却し、
日本経済を成長軌道に乗せることを最優先にしなくてはなりません。
アベノミクスの三本目の矢は
成長戦略とされております。限りある
予算はクールジャパン、私はクリエーティブジャパンと申しておりますが、物づくりやデザイン、サービス産業など、
付加価値を付けて
日本のGDPを押し上げる努力をしている
分野にこそ注ぐべきではないでしょうか。効果が不確かな施策に莫大な
予算をつぎ込むことに合理性はないことを指摘し、
質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇、
拍手〕