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真山勇一君 みんなの党の
真山勇一です。
みんなの党を代表いたしまして、
政府提出の
平成二十五年度
予算案に
反対する
立場から
討論を述べさせていただきます。
安倍政権がスタートしてから間もなく五か月。
日本は今、長かった
デフレ不況のどん底から抜け出し、ようやく見え始めた明るさに
人々の笑顔も戻り始めたところと言えるでしょう。冬から春になり、そして芽吹き始めた新緑の木陰の向こうには美しい夏の
お花畑が見え隠れしている風景の中に私
たちはいるのです。
この
お花畑に続く道を間違いなく進んでいくには、これからが大切なところです。私
たちは間違わずにその道を歩いているでしょうか。そして、
目的地に着くことはできるのでしょうか。とてもそうとは思えません。
安倍政権の
経済政策、
アベノミクスの第一の矢である大胆な
金融政策は、今のところ
成功を収めつつあるように見えます。
日経平均株価は今朝、一万五千円に届きました。東証の
時価総額は昨年十月の二百六十兆円から四百十兆円へと倍増する勢いです。また、
輸出産業を苦しめていた
円高もついに反転をし、ここ数日の
為替水準は一ドル百二円。世間ではこれから
景気が良くなるという
楽観ムードが漂い、既に失われた二十年の半分くらいを取り戻したと言う人もいらっしゃいます。このまま
景気が
回復して、
人々の
暮らしが楽になるのであれば誠に結構なことであり、共に喜びたいところです。
御承知のとおり、大胆な
金融政策はみんなの党が主張してきたものです。我が党の
渡辺代表が申し上げているように、いい
政策ならどんどんパクっていただいて結構なのです。望むらくは、ここから更に一歩進めて、
日銀法を改正し、二度と再び
金融政策の
失敗によって
国民を苦しめることのないようお願いしたいと思います。
本当に
景気が
回復し、
国民の
暮らしが良くなるのかどうか、
アベノミクスの真価が問われるのはこれからです。単なるインフレ、単なるバブルで終わってしまっては何の意味もありません。
特に、次の
世代に
ツケを先送りしないためにも、健全な
財政へと様変わりをさせなければなりません。そして、長期にわたって国を発展させるためには、活力のある
産業構造へと転換させる必要があるのです。それができなかったら、今のこの
状況はいっときの好
景気にすぎず、ただのあだ花に終わってしまうでしょう。そして、何より一刻も早く進めなければいけないのが
東北被災地の
復興です。
本当に大事なこれらの問題に、
政府提出の
予算は
解決策を示すどころか、ますます
状況を悪化させつつある不安を感じるからこそ、私
たちは
反対をするのです。
特に
懸念をしているのは、
アベノミクス三本の矢の
二つ目、機動的な
財政出動です。本来、
財政政策による
景気対策という
観点から見ると、
国民から取り立てた税金を
政府が使ってあげるという
財政出動よりも、大胆に減税をしてその分の
お金を
国民に使ってもらうことの方が
効果的な
経済政策であることは、多くの識者が指摘しています。
景気が良くなったら
税収も増えます。そして、増えた
税収の分を
財政の再建に回したり、必要な
出費を増やしたりすることを考えればいいのです。先に
増税ありきで
出費ばかりを増やす
安倍政権の
やり方は間違っているとしか言いようがありません。
殊に、
政府の
無駄遣いが気掛かりです。
政府は、二十四年度
補正予算と合わせた十五か月
予算との触れ込みで、
精査も十分に行われていない
公共事業を
全国にばらまこうとしています。もちろん、
巨額の
お金を使えば、一時的な
カンフル剤として
景気を短期間だけ浮揚させる
効果はあるかもしれません。しかし、過去、こうした
やり方で積み上がった一千兆円もの
借金が
国民の将来にどれほど大きな不安の影を投げかけていることでしょうか。
この上、更に
無駄遣いを
防災、
減災の美名の下に続けようとするのも気になります。無論、心配される次の大地震などの
災害への
対策として、橋や
道路、
堤防などが必要になる箇所もたくさんあることは承知しています。しかし、十メートルを超えるような
堤防でぐるりと取り囲み、
日本中を海が見えない港ばかりにしたところで、それが
国民の安全を保障するものになるのでしょうか。何が必要であり、何が不要なのか、いま一度真剣な
精査が必要だと思います。
そして、問題なのは、
全国的な
公共事業の
大盤振る舞いです。これが肝心の
被災地復興の大きな障害となっているのは明らかです。
円安などの
影響とダブルパンチで、
全国的に
資材価格が高騰する一方、人手も不足しています。そのため、
被災地では、
公共事業の発注もままならず、
予算の
執行率も低いままが続いています。このような
状況の中で更に
公共事業を積み増すのは、
アベノミクスがかえって
被災地の
復興を遅らせているようなものです。
さらに、
国民が怒っていることがあります。結局のところ、やっぱり
復興費用がほかのものにも使われる、いわゆる流用されていることです。去る二月の六日、
財政演説に対する
代表質問で私がこの場に立たせていただいた際、
政府は
復興費用の流用は絶対にしないと約束されたことを覚えておいででしょうか。ところが、一部メディアも報じているように、国が
復興予算から
全国の
自治体や
公益法人に
基金として配分したおよそ一兆二千億円が抜け道となって、たくさんの
お金が
復興とは
関係ないところで既に使われていたり、これから使われようとしています。これらの
お金は全て、
不況に苦しむ
国民が、それでも
被災地の
皆さんのためにと
増税にまで応じて納めた血税です。こんなことをやり続けている
政府予算案には到底
賛成することはできません。
そのほかにも問題はたくさんあります。
安倍政権は
政府主導の
運用基金、
官民ファンドをつくって、
リスクマネーを供給するつもりです。しかし、かつての
産業投資特別会計の
失敗は記憶に新しいところです。これまでお上が主導する
ファンドでうまくいった例が、果たして幾つあったでしょうか。
失敗した場合の損害は、
国民みんながかぶることになります。
政府が
お金の使い道を決めてあげるという発想には賛同できません。
そして、
アベノミクス第三の矢、つまり
民間投資を喚起する
成長戦略の内容も感心できません。いわゆるターゲッティングポリシーのことですが、次の時代にどの産業が発展するかなどということが官僚や私
たち政治家に分かるものなのでしょうか。民間でははるかに優秀な方
たちが、毎日命を削るような思いでビジネスの最前線で戦っています。余計な方法で市場に介入するのではなく、民間にできることは民間に任せるためにも、
政府はしっかりと規制改革を進めるべきではないでしょうか。
また、
地方にできることは
地方に任せることも大事です。私
たちは、地域主権を訴え、地域に必要なものが何であるかは地域が議論して決めるべきと訴えてきました。将来的には地域主権型道州制で、人、物、金、そして権限の
地方移管を進めるべきと言ってきたのです。そして、
復興庁は
被災地に置いて、現地主導の即断即決の体制を整えるべきだとも言ってまいりました。
安倍政権も道州制を掲げておられますが、その第一歩となるはずの国の出先機関の
地方移管には
与党の一部が強く
反対をしています。また、
復興庁が
福島復興総局を置いたのはいいのですが、宮城や岩手の出先機関などとは並列のまま。実態としては、中央の役人と
政治家が何でも決める旧態依然とした
統治機構からどう変わったのか分かりません。こうしたことを見るにつけ、やはり
政府提出の
予算案には到底
賛成できないと強く思う次第です。
だからこそ、私
たちみんなの党は、
予算案に対する
修正案を
日本維新の会と共同提出しました。単なる組替え動議ではない本格的な
修正案です。次
世代に
ツケを残さず、いま一度
日本の国の活力を取り戻し、長い将来にわたって繁栄する
日本をつくっていきたい。そのためには、地域にできることは地域に、民間にできることは民間に任せるしかなく、そのポリシーを実現した
予算案こそが私
たちが提出した
修正案なんです。せっかく
景気浮揚の兆しが見えてきたのですから、ここで思い切って必要な改革を進めるべきです。
さらに、
安倍政権はここへ来て、消費税
増税の代わりに約束した
社会保障改革を引っ込める気配を見せたり、原発は再稼働を認める方向に動き始めたりしているようです。
今からでもまだ遅くはありません。
予算の
問題点を改め、
国民一人一人の収入を増やして、本当に元気な
日本を取り戻す覚悟があるのでしたら、これからでも協力を惜しまないことを申し上げて、
反対の
討論といたします。
どうもありがとうございました。(
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