○山田太郎君 昨年十二月十四日に比例代表で繰上げ当選しました山田太郎でございます。
みんなの党を代表して、今回の
平成二十四
年度補正予算政府原案に対して
反対、
民主党・
新緑風会、みんなの党、
生活の党、
社会民主党・
護憲連合の四党が共同提出した
修正案に
賛成の
立場から
討論を行わせていただきます。
私は、
参議院議員に当選する前は
企業経営を行っておりました。
日本の製造業
支援やIT関連の
企業を創業し、株式を東京証券取引所へ上場させるようなことも行ってまいりました。そうした
企業経営の観点から、
政府提出の
平成二十四
年度補正予算を見て言えますことは、こんな
予算を組んでおりましたら普通の会社なら潰れてしまうということであります。
政府を
国民に行政サービスを提供する株式会社と見立てれば、その
企業経営のポイントは、顧客たる
国民のニーズを的確に把握し、適切なタイミングで適切なサービスを提供する、そして最低必要な資金調達を計画的に行う、これに尽きるわけであります。こうした点から今回の
政府原案を検証すれば、
問題点ばかりが目に付きます。
まず第一に、
予算の使い方の問題でございます。
衆議院段階における
補正予算審議でも、我が党議員から、
国民のニーズを度外視した
不要不急の
公共事業への
ばらまきで四兆七千億円、
事業効果が大いに疑われる官民ファンドへ一兆一千億円といった
問題点が指摘されているところでございます。
更なる
問題点といたしまして、先日、私が
予算委員会にて質問させていただきましたが、この
補正予算案は、
一般会計と
特別会計を合わせて実に一兆六千億円が
基金に
予算措置されているということが分かりました。当面、
国民のニーズはないが、
基金としてためておいて将来使おうという先送りの
予算が一兆六千億円もあるのです。
緊急経済対策予算と言っておいて、これは実は飛ばし
予算でございます。
また、国立大学法人や
日本原子力研究機構に対する一千八百五十億円の出資金、いつ
事業費として使われるかがはっきりしないお金であることが分かりました。これはAKBや「キンタロー。」もびっくりの、一足先のフライングゲット
予算と言わせていただきたいと思います。
基金と出資金を合計すると、年金特例公債部分を除いた
補正予算政府原案十兆円のうち、実に二割に近い金額が
不要不急の積立金だということになります。
基金による飛ばし
予算と出資金によるフライングゲット
予算で二兆円近いお金が官僚の使いたい放題のお財布に入っていくのです。
では、こうした
不要不急の
公共事業と
不要不急の積立金をてんこ盛りにする一方で、今この瞬間も大変に苦労されている
東日本大震災の
被災者の方々への配慮が、
政府原案では本当になされているのでしょうか。
我が党同僚議員が
予算委員会で質問しましたが、現在、仮設住宅にお住まいの
被災者の皆さんは、来
年度末から災害公営住宅という有料の住宅に引っ越さなければなりません。福島の原発
事故を始めとして
復興対策が遅れに遅れる中で、長期避難者の方々からは家賃を取るというやり方です。どうして
不要不急の
公共事業や積立金の中から
予算を手当てできないのでしょう。誰のための
復興なのでしょうか、私には
理解できません。
さらに、今回の
政府原案は、
事業効果の見積りという点でも大きな問題があります。
今回の
補正予算の効果につきましては、六十万人の
雇用を創出という
政府の触れ込みでございましたが、私が先日の
予算委員会で確認しましたところ、その根拠は、今から八年も前の二〇〇五年のデータに基づいた産業連関表で
雇用の創出量を計算しているということが明らかになりました。リーマン・ショックを経て、この八年間に我が国の
経済構造は劇的な変化を遂げております。大昔の産業構造に基づいて
補正予算案の効果を見積もっているわけであります。昨今の
スピード感のある会社経営から見れば考えられないことばかりであります。
また、この
補正予算のGDPへの寄与はおおむね二%と
政府から伺いました。このうち、民間
企業設備投資への効果は僅か〇・三%しかありません。ということは、この六十万人の
雇用ですら、今回の十兆円を使ってしまえば、
雇用は継続せず、また失業してしまうという一時的な
雇用効果でしかないということも明らかです。これでは継続的な
日本の
経済成長は全く
期待できません。
不要不急の
公共事業と積立金を膨らませ、
事業効果の見積りは根拠が希薄、これでは
国民は到底納得できないのであります。
さらに、今回、
補正予算の第二の
問題点として、その資金調達にも問題があるということも申し上げておきたいと思います。
我が党同僚議員が
予算委員会の集中審議で指摘しておりますように、そもそも
自民党、
公明党の皆さんは、昨年の総選挙の前には、
国債発行額を減らそうとか、
予算の削減
補正が必要だといった合意事項をまとめられたのではなかったでしょうか。それが、総選挙が終わって
自民党が政権に就いたら、逆に五兆二千億円以上の借金を膨らませる
補正予算となってしまいました。
総選挙の前は、増税が争点となる選挙だから緊縮を叫んでおく。総選挙が終わったら、今度の夏の
参議院選挙を目掛けて景気数値を良くする。来
年度どうしてもやりたい消費税増税へ向けて景気数値を良くするという
政治の都合が優先された結果ではないのでしょうか。これは、景気を良くするといっても、賃金や
雇用は良くならない、見かけの言わばバブルのおそれをはらんだ景気拡大でしかないのではないでしょうか。
こうした目先の政党の都合で借金を膨らませ、
国民生活とは
関係のない
不要不急の
公共事業と積立金に金を使ってしまう、さらに、無計画な資金調達を重ねていく、これでは、
日本銀行総裁に財務省OBを据えて幾らお金を刷ろうとしても、足りるものではありません。無駄な借金を重ねているだけで、
企業だったら即倒産です。
自民党政権下でこれまでなぜ国に多額の借金が積み上がってきたのか、私は、国
会議員になって今回の与党の
予算編成を見て、そのメカニズムがよく分かりました。
以上申し上げた二つの
問題点により、我々みんなの党は、
平成二十四
年度補正予算政府原案については
反対するものであります。
総じて申し上げれば、我が国の
経済成長・発展を阻害する既得権益や官僚支配を正さないまま金融緩和や
財政出動をしても、ブレーキとアクセルを同時に踏むようなものであります。このちゃっかり、どさくさ、便乗によって戦後
最大に膨れ上がった
補正予算政府原案は、将来にまた借金をツケ回す、まさに悲劇の
予算と私は言いたいと思っております。
こんな悲劇の
予算をこのままにしておいて、
国民の皆様は大変迷惑でございます。そこで、我々みんなの党は、
民主党・
新緑風会、
生活の党、
社会民主党・
護憲連合の
野党四
党共同で
修正案を提出させていただきました。
修正案の
内容につきましては、先ほど
提案理由説明があったとおりでございますが、歳出面では
不要不急の
ばらまき公共事業を二兆一千億円減額し、
財源面では年金特例公債二兆六千億円の
発行を中止し、さらに、
国債整理基金積立金二兆六千億円を基礎年金国庫
負担分に充てるという大胆な策を講じるものであります。
この
修正案は、
企業経営の
立場から見ても、顧客たる
国民のニーズを的確に把握し、的確なタイミングで的確なサービスを提供する、そして計画的な資金調達を行うという、私が先ほど申し上げてきた要件に沿ったものであります。
政府提出の
補正予算、この悲劇の
予算を救国の
予算へと
修正するものであります。共同提出に向けて作業を向けられた
野党四党の
関係者の皆様に、心から敬意を表します。
悲劇の
予算がいいか救国の
予算がいいか、この議場で党派を超えて迷っていらっしゃる方がいらっしゃいましたら、是非とも、私
たち野党四党が提出した
修正案の可決に力を貸していただきたいと思っております。
最後に、
安倍内閣と与党の皆様方が、
野党四党提出の
修正案に学び、今後の行政運営におかれましては、
国民のニーズの的確な把握と的確なサービスの提供に邁進されますことを切に
期待いたしまして、私の
平成二十四
年度補正予算政府原案への
反対討論と、
野党四
党共同提出の
修正案への
賛成討論を締めくくらせていただきたいと思います。
みんなの党、山田太郎でございました。御清聴ありがとうございました。(
拍手)