○吉田博美君 私は、自由
民主党の吉田博美でございます。
自由
民主党・無所属の会を代表し、
財政演説に関しまして
質問をさせていただきます。
先日、アルジェリアで人質事件が発生し、十名もの尊い
日本人の命が失われました。この場をお借りしまして、謹んで哀悼の意を表します。
政府におかれましては、関係各国、
民間企業との協調、
連携を図りながら、事件の究明、
再発の防止に全力で取り組まれるよう
お願いを申し上げます。
さて、先日、我が党の橋本聖子議員がすばらしい
代表質問をされましたが、橋本議員は、総
選挙後の議員総会におきましても、示唆に富んだすばらしいお話をされました。オリンピックでメダルを取るアスリートとその域まで達しないアスリートとの比較であります。普通、選手は負けて反省しますが、メダリストは勝って反省し、しかも、勝因を相手のミスにあることを素直に認め、自らおごり高ぶらない選手、そうしたアスリートこそが本当に強いメダリストになるとのことであります。
我が
自民党も、さきの衆議院
選挙で大勝しましたが、まさに勝っておごらずという精神を忘れず国政に当たっていかなければなりません。党益よりも国益を優先し、野党の主張にも真摯に耳を傾け、みんなが納得する
政策を取りまとめます。そうすれば、
政府・
与党に対して
国民の皆様はその
努力にふさわしい評価を与えてくれるものと確信しております。
総理にも、
国民各層の声に耳を傾けるのはもちろんのこと、胸襟を開いて野党党首と話す機会を持っていただきたいと思います。挙国一致の国政運営について、
総理の御認識と覚悟をまずお聞きします。
政権交代とともに、
経済活動はおもしが取れたように回復をしています。
振り返りますと、野田前
総理は昨年十一月十四日の党首討論の場において解散を明言されました。その当日の
為替は七十九円九十銭、株価は八千六百六十四円でありました。それが今、
為替は一時九十三円を付け、株価は一万一千円前後に上がってきたのであります。いわゆる
アベノミクスとマーケットで評価されている安倍
政権の
経済政策への期待がここまで市場を押し上げたと言えます。
実際の
経済活動も、マーケットの
上昇機運に刺激され、回復してきています。一月二十三日に発表された月例
経済報告によりますと、八か月ぶりに
景気判断が上方修正をされました。個人消費、住宅建設、公共投資、いずれも底堅い動きとなっています。
企業の
生産活動が上向きつつあり、
国民全体の景況感に明るさが見え始め、
景気が底入れから回復に向かうとの見方が出てきています。九〇年代後半から延々と続く
デフレからの
脱却がようやく視野に入ってきたと言えます。
総理は、今の
経済状態をどのように判断されているのでしょうか、御認識をお聞きします。
このような
経済状態の中で、この度、
緊急経済対策が取りまとめられ、大型の
補正予算が提出されました。同時に、
日銀との
政策協調を進め、
円高・
デフレ対策も進んでいます。迅速に
経済復活へののろしを上げられた
安倍総理の
政策手腕を高く評価をいたします。
補正予算は、国の
財政支出が十・三兆円、
事業規模で二十・二兆円と、過去二番目の規模であります。二十五年度本
予算とも合わせて切れ目のない形で十五か月
予算が組まれ、
経済活動を継続して押し上げていくものと期待されます。
財務大臣には、
補正予算、
緊急経済対策の概要について御説明を願います。
政府では、
補正予算の
経済効果は、実質GDPを二%
程度押し上げ、また、六十万人
程度の
雇用創出につながると推定をされています。ただ、
民間の研究機関などでは、この
経済効果を楽観的過ぎるのではないかと懐疑的に見るところがないわけではありません。
経済財政政策担当
大臣には、
補正予算の
経済効果に関して、なるほど、それなら二%
成長、六十万人の
雇用が
実現できるなと確信が持てるよう、
国民の皆様に分かりやすく御説明をいただきたいと思います。
緊急経済対策では、
日本経済再生へ向けて、まずは東
日本大震災からの
復興の加速、防災の
強化が挙げられています。笹子トンネル事故に見られるように、老朽化した社会インフラの補充、整備は喫緊の課題であり、中
長期的な
観点から国土の実情に合わせて進めなくてはなりません。
公共事業の充実に関して、一部には、人からコンクリートへとのやゆや、昔の
自民党に先祖返りしたとの
批判もあるようですが、これは全く実情が分かっていない
批判であります。財政事情が厳しい中、無駄な投資はしていませんし、できないのであります。
公共事業の充実による国土強靱化の
必要性について、
総理のお考えを確認いたします。
経済対策は、特に地方に住む人々に温かく、また、丁寧に配慮した内容になっていると思います。
地方は
公共事業と農林水産業に
経済活動の多くを頼っていますが、
補正予算の中身を見ると、
成長による富の創出、暮らしの安心・地域の活性化という重点分野において、中小
企業・農林水産業
対策、安心できる医療の構築、公共交通の活性化など、地域の実情に合わせた
予算が付けられております。
少子高齢化が進む地方では、医療と交通インフラが不可分のものであります。そのために、命の道を整備し、ミッシングリンクをなくし、ドクターヘリなどの緊急医療体制を拡充しなければなりません。
財務大臣には、地方あっての
日本という
観点からの
政策がこの
補正予算でしっかりと推進されていることを地方に住む方に分かるように丁寧に御説明ください。
財政規律、財政再建について伺います。
補正予算と本
予算で国債が増発されたことで、来年三月末の国と地方の債務残高は九百七十七兆円と、名目GDPの約二倍に達する見込みであります。
これに対し、今年夏には
経済財政諮問会議が中
長期的な財政の姿を明示するとのことですが、その中で財政規律、財政健全化への強いメッセージが盛り込まれ、情勢が改善すると期待されます。
経済財政諮問会議の報告ではどのような財政再建への道筋が描かれるのか、ロードマップに沿った
政府の財政再建への取組について、
総理から具体的に御説明ください。
市場には、国債の増発によっていずれは財政の規律が緩み、国債が売られ、
長期金利が
上昇するのではないかとの懸念が一部にはあるようです。そうした
事態の悪化は避けられると期待しますが、緊急の
事態に備えておく必要はあると考えます。我が党では、急に
長期金利が
上昇するリスク、すなわちXデーに備えて
対応策を内々
検討してまいりました。
政府におかれましては、まずは財政規律をしっかりと維持することが最重要ですが、万が一にもリスクが高まりそうな場合は、我が党の
対応策を参考にしながら、事前に万全の準備を怠ることがないよう
お願いをいたします。
財務大臣から、
政府のXデーへの備えに関する御認識をお聞かせください。
総理は、我が長野県松代藩に伝わる「日暮硯」を御存じでしょうか。藩政改革に大なたを振るった恩田木工の物語であります。
恩田は、主君から藩政改革の命を受け、すぐさま、妻に離縁、子供を勘当、家来を首に、親族と絶縁を言い渡しました。改革のため全てのしがらみを断ち切り、飯と汁のみを食し、自らの全てを律して、藩財政の再建、綱紀粛正に取り組んだのであります。周りの者は恩田のたたずまいと覚悟に打たれ、藩の者上から下まで彼の考えが徹底されたといいます。また、その政治姿勢は彼の死後も今日まで代々語り継がれているのであります。
総理にはそこまでは求めません。しかしながら、
我が国の財政は
世界的に見ても最悪の状態にあることからして、その精神は極めて大事だと思います。恩田木工という人物への感想とこれからの財政再建への覚悟をお聞かせください。
戦後の焼け野原から今日に至るまで、
日本人は本当によく頑張ってきたと思います。ただ、
日本列島という限られた市場、人口規模では
成長にも限界があります。
世界に目を開き、とりわけ急速に購買力が高まりつつあるアジア各国を
経済活動に取り込まなければなりません。それには、諸外国のリーダーに負けないよう、
総理にトップセールスの役割を果たしていただきたいと思います。
先日の我が党の中曽根議員会長の
質問にもあったように、
世界から注目され、高い評価を受ける安倍ドクトリンを公表し、外交、
経済両面にわたり
世界のリーダーとして御活躍をいただきたい。
総理の決意と御見識を披露ください。
最後になりますが、私の好きな言葉、座右の銘は温故知新であります。ふるきを求め新しきを知ると。
自民党も
日本のふるき良き文化、伝統を守り、時代の要請にこたえつつ改革を加えていく堂々とした保守政治を進めるべきであります。
総理は、先日、
日本プロスポーツ大賞を受賞した阿部選手と会われました。阿部選手は野球の捕手、
安倍総理は政治の保守であり、ホシュ同士お互いに頑張ろうとエールを交わしたと報道されていました。
野球では捕手がゲームの要、政治では保守が要であり、そこが緩むとがたがたになるのは同じであります。
安倍総理には、これからも保守政治の王道を邁進していただくよう期待と
お願いを込めて、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇、
拍手〕