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小川敏夫君
検審の
処分といっても、そもそも昨年の六月に
国民に対しては事実を公表しているわけですが、その公表していることが不十分だからという
指摘を受けているので、どうも、そこのところを
検審の不
起訴云々を
理由にして、
処分した事実
関係について
説明をなさらないというのはちょっとおかしいかと思うんですが。
それで、じゃ、どういう不正確な
内容を
記載したのかと。これは例えば、不正確な
内容というふうに軟らかい表現を使っているのは
最高検察庁だけでして、言わば裁判所もあるいは
検察審査会も、非常に厳しくこれは
虚偽ではないかという
指摘を受けておるわけでございますが。
まず、これは
大臣に
答弁をいただかなくても、客観的事実ですから、どこがどういうふうに不正確なのかということは私がここで
指摘させていただきます。それで、この
捜査報告書がありまして、その
主要部分、これから事実でない
記載があった
部分を読み上げますので、少し聞いていてください。
その
前提として、まず
検事が
石川氏に対して四項目ぐらいのことを質問したけれども、どうもいずれの点についても否定したという
前提があって、この
前提事実もちょっと事実とは違うと思いますが、それで、
石川氏が否定したので
検事が説得に入ったという
部分が
架空の
記載があるわけでありますが、じゃ、その
架空の
記載がどうなのかということをこれから具体的に読み上げさせていただいて、どういう
架空の
記載の
内容だったのかということをまず
説明させていただきます。
「そこで、
石川に対し、「これらの点に関し、これまで
供述して
調書にしたことについては、そのとおり間違いないか。」と申し向けたところ、同人は、「うーん。」と
唸り声を上げて暫く
考え込んだ後、
本職と以下の
やりとりをした。」と。
この「以下の
やりとりをした。」ぐらいはいいですけれども、ここからの以下の
やり取りが全く
架空なんですが。
石川 問題はそこですよね。そこをどうするかですよ。
本職 何が問題なんですか。
石川 まあ、四億の収入と
土地代金の支出を意図的に書かなかったことやその
理由については、これまでどおりでいいですよ。
問題は
小沢先生に関わるところですよね。
だって、一昨日、
小沢先生は
検事に対し、改めて、私から
収支報告書への不
記載などについて一切
説明を受けていないし、
定期預金担保貸付の
必要性などについても
説明を受けていない、
収支報告書案も見せてもらっていないなどと言って
供述調書を作ったわけですよね。
それなのに、私が、今日、「これまでの
供述はそのとおり間違いありません。」ってやったら、
小沢先生の
説明を否定することになりますよね。
でも、先ほどの四点については、これまで
検事から何回も聞かれ、わたしの記憶している限りのことを話して、
供述調書も取られてるわけですから、それを今更否定して、「あれは嘘です。」なんて言えないと思いますし、本当にどうするのが良いのか分からないんですよ。
今日は話だけして、
供述調書は作らないという選択はないんですか。
本職 本日の
供述内容については
供述調書を作成したいと
考えているが、それに
署名押印するかどうかは貴方
自身の
判断ですよ。
石川 常識的に
考えて、今更、
署名拒否なんてできないでしょ。
署名拒否でも良いですか。
本職 だから、それは貴方
自身の
判断ですよ。どうしますか、
署名拒否にしますか。
石川 そんな、突き放さないでくださいよ。
本職 既に
署名指印した
供述調書については、実際に貴方が貴方の
記憶どおりに
供述したことが録取されているということで間違いないですか。
石川 それは否定できないですよね。
無理に嘘を
調書にされたということはありませんし、その
内容も毎回、自分でだいぶ長い時間をかけて確認した上で
署名指印したんですから。
本職 例えば、
小沢先生に対する
報告とその
了承や、
定期預金担保貸付の
必要性の
説明について、貴方がどういう形で
供述して
調書を録取したか覚えていますか。
石川 だいたい覚えていますよ。
確か、逮捕された次の日でしたから、今年一月十六日土曜日の夜の
取調べでは、
収支報告書の不
記載などにつき、
小沢先生に
報告をして
了承を得たことや、
小沢先生からの四億円を表に出さないために
定期預金担保貸付を受けるという
説明をして
了承を得たことを大まかには話したと思いますが。
私が、「
収支報告書の
記載や
定期預金担保貸付については、私
自身の
判断と
責任で行ったことで、
小沢先生は一切
関係ありません。」などと言い張っていたら、
検事から、「貴方は十一万人以上の
選挙民に支持されて
国会議員になったんでしょ。そのほとんどは、貴方が
小沢一郎の秘書だったという
理由で投票したのではなく、
石川知裕という
候補者個人に期待して国政に送り出したはずですよ。それなのに、ヤクザの手下が親分を守るために嘘をつくのと同じようなことをしていたら、貴方を支持した
選挙民を裏切ることになりますよ。」って言われちゃったんですよね。
これは結構効いたんですよ。
それで堪えきれなくなって、
小沢先生に
報告しました、
了承も得ました、
定期預金担保貸付もちゃんと
説明して
了承を得ましたって話したんですよね。
本職 そうでしたね。
それで、翌日一月十七日の日曜日、更に具体的にその
状況を確認した上で、
供述調書を録取しようとしたら、貴方は「
安田先生から、
土日は絶対に
供述調書に
署名したら駄目だと言われているので勘弁してください。」と言って、
供述調書を作成させませんでしたよね。
石川 確かに、そう言いました。
本職 そして、一月十八日月曜日、
土日は貴方の言うとおり
供述調書は作らなかったが、今日はこれまでの
供述内容を
調書にしますよと言うと、貴方は、「実は、今日も
接見で
安田弁護士から、「どんな
内容の
調書であっても
署名してはならない。例え
供述したとおりのことが書いてあると思っても、どういう使われ方をするか分からないから、
署名は拒否するように。」ときつく言われたんですよ。
検事、本当に申し訳ないんですが、もう一日待ってもらえませんか。」などと言って泣き付いてきましたよね。
石川 そのとおりです。
本職 結局、一月十八日も
供述調書は作成せず、一日待って十九日になっても、「今日の
接見でも、
安田先生から
署名拒否を強く指示されたので
署名できない。」などと言って、ごねていたじゃないですか。
石川 そうでしたね。
でも、
検事から、「
供述していることが事実であって、そのとおりの
内容が
供述調書に取られているのであれば、
署名拒否する
理由はないでしょ。」と理詰めで来られて、私もそのとおりだと思ったので、最後は、私が「
調書に
署名したことは、
安田先生には内緒にしてください。」とお願いして、この日に
供述調書を作ったんでしたね。
本職 そういう経緯で
供述調書を作成し、その後も何度か同じ
趣旨の
供述調書を録取しているわけだから、現
段階で、
供述調書への
署名指印を拒否したり、
供述を後退させる、例えば、最初のころのように、
収支報告書の不
記載なども
定期預金担保貸付も、全て貴方の
判断で行ったことで
小沢先生には
報告も
説明もしていないし、
了承も得ていないとするのは、慎重に
考えた方がいいですよ。
特に、
供述を後退させた場合に、その
供述調書を読んだ人がどう思うかということですよ。
石川 どう思いますかね。
本職 それは貴方が
供述調書を読む人の
立場に立って
考えて
判断すればいいんじゃないですか。
石川 今更、
小沢先生は
関係ありませんでしたなんて言っても、信じてもらえるわけがないし、かえって、
小沢先生が口止めしたに違いないとか、やっぱり絶対
的権力者なんだなって思われますよね。
本職 そう解釈される
可能性もあるんでしょうね。
石川 いや、みんなそう思うんじゃないですか。
しばらく沈黙した後
石川 分かりました。
色々と
考えても、今まで
供述して
調書にしたことは事実ですから、否定しません。
これまでの
供述を維持するということで、
供述調書を作ってもらって結構です。
と読み上げました。読み上げた
部分が実際にはない
架空の
やり取りを書いてあるんです。つまり、
虚偽捜査報告書の八割、あるいは、この
報告書はなぜ
石川さんが一月の
段階で
供述調書に
供述して
署名したかということを正当化するための
報告書だとすると、
報告書の
主要部分の全部、ほとんど全部、これが
架空の
やり取りなんです。
これが単なる間違いだと、
報告書の
記載ですと、要するに、軽率にもですか、結論としては、軽率にも事実でない
記載をしたという落ち度ということで済まされているけれども、とてもその軽率な落ち度によって書かれたような
内容の
架空の
やり取りじゃないんですよ。そういう事実
関係からこれをどう思うかと言っても、
大臣もそれは
立場上ここでは
答弁できないでしょうけれども、こういう余りにもひどい
架空の
状況の
やり取りを見て、
検察審査会もこんなのは記憶違いなんてことはあり得ないという大変厳しい
理由を付けて不
起訴不当という
判断をしたわけです。
あるいは、この
石川氏の
供述調書を採用するかどうかという、裁判所も非常に厳しい
指摘で
検事の弁解を排斥しておるわけです。例えば、東京地方裁判所の決定は、
検事が証言したわけです、
報告書に書いてあるような
やり取りが一月の勾留
段階の
取調べのときにありましたと、そのことを五月の
段階の
取調べと記憶違いしましたと、こういうふうに法廷で証言したわけですが、裁判所は、結論で言うと、記憶の混同が生じたとの
説明はにわかに信用することができないといって、言わば
検事の
説明は信用できないといって排斥されておるわけです。あるいは、
田代検事の公判
供述の信用性には以上で検討したとおり深刻な疑問があると。深刻な疑問があると、こういうふうに言っておるわけです。
どうでしょう。五月十七日、つまり、この
報告書を作成した前の日や二、三日前のことと、それから四か月前の勾留中の
取調べの出来事の
やり取りを記憶の混同をしたといっても、先ほど私が長々と述べた
架空の
やり取りというものを見ますと、誰がどう
考えても常識的に記憶を混同して書いたとは思えない。現に裁判所も、そして
国民の声を代表する
検察審査会も、そんな記憶違いなんてもうおよそばか言うなという、ばか言うなという
言葉は使っていませんが、そういう表現でこれを
判断しておるわけです。ところが、
検察庁だけが、いや、記憶違いです、記憶違いですと言って、これを言わばやり過ごそうとしているというのかな、そういう
状況ですから、やはりこれはおかしいんじゃないかと私は常々問題にしておるわけですが。
大臣、そういうふうに言われてもなかなか
大臣のお
立場上答えられないかもしれませんが、しかし、裁判所から信用できないと、
検察審査会からも記憶違いという弁解は信用できないと
指摘されているということを踏まえて、やはりこれは
検察として、あるいは
法務省として、どうでしょう、それを指揮監督する
大臣として何か所感というものはございませんでしょうか。