運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2013-05-23 第183回国会 参議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年五月二十三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十一日     辞任         補欠選任         石井 浩郎君     山東 昭子君  五月二十二日     辞任         補欠選任         伊達 忠一君     上野 通子君      中原 八一君     世耕 弘成君  五月二十三日     辞任         補欠選任         岡崎トミ子君     水岡 俊一君      神本美恵子君     那谷屋正義君      上野 通子君     長谷川 岳君      山東 昭子君     石井 浩郎君      世耕 弘成君     磯崎 仁彦君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         相原久美子君     理 事                 芝  博一君                 福山 哲郎君                 岡田  広君                 中西 祐介君     委 員                 那谷屋正義君                 白  眞勲君                 藤本 祐司君                 水岡 俊一君                 蓮   舫君                 石井 浩郎君                 磯崎 仁彦君                 上野 通子君                 江島  潔君                 世耕 弘成君                 中曽根弘文君                 長谷川 岳君                 山谷えり子君                 谷合 正明君                 江口 克彦君                 米長 晴信君                 糸数 慶子君    衆議院議員        修正案提出者   後藤 祐一君    国務大臣        内閣総理大臣   安倍 晋三君        国務大臣     山本 一太君        国務大臣     甘利  明君    副大臣        内閣府副大臣   西村 康稔君        内閣府副大臣   伊達 忠一君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        山際大志郎君        総務大臣政務官  北村 茂男君        財務大臣政務官  伊東 良孝君    事務局側        常任委員会専門        員        五十嵐吉郎君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       向井 治紀君        総務大臣官房審        議官       若生 俊彦君        総務省自治行政        局長       望月 達史君        文部科学大臣官        房審議官     関  靖直君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○行政手続における特定個人を識別するための  番号利用等に関する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○行政手続における特定個人を識別するための  番号利用等に関する法律施行に伴う関係法  律の整備等に関する法律案内閣提出衆議院  送付) ○内閣法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 相原久美子

    委員長相原久美子君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、石井浩郎君、中原八一君及び伊達忠一君が委員辞任され、その補欠として山東昭子君、世耕弘成君及び上野通子君が選任されました。     ─────────────
  3. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政手続における特定個人を識別するための番号利用等に関する法律案外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君外三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 行政手続における特定個人を識別するための番号利用等に関する法律案行政手続における特定個人を識別するための番号利用等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び内閣法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、まず、内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 福山哲郎

    福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。  総理におかれましては、内閣委員会に朝一番から御出席をいただいたということで、心から感謝を申し上げる次第でございます。また、総理大臣委員会に御出席をいただくことに御尽力をいただいた岡田筆頭を始め与党の理事の皆様にも心から感謝を申し上げる次第でございます。それだけ総理がこのマイナンバー法案は重要だという認識をお持ちだということで、私どもも非常に高く評価をしております。私も官邸におりましたので、なかなかこういった委員会総理出席をさせるというのは大変なことだというふうに野党の立場でいうと思います。世耕官房長官も頑張っていただいたんだなと思っております。  民主党は、マイナンバー導入を結党以来ずっと主張してきました。これは、本当に公的な支援が必要な方々に対して確実に提供するためには不可欠な制度だという認識でございます。実は、民主党の将来的な構想、これはある意味理念であり理想ですが、元々の現在の社会保障制度というのは申請主義でございます。しかし、申請主義をはるかに超えて、それぞれのニーズに合わせて、国や自治体から、あなたはこういった形のサービスの提供が受けられますよということが、来るべき高齢化社会を迎えるに当たって、我々としてはそういったことまで将来視野に置いた中でこのマイナンバーという議論をしてまいりました。  一方で、政権交代直後、このマイナンバー制度については早速検討を始めまして、二〇一〇年、初めて我々が取りまとめた税制大綱の中にこのことを記載をいたしました。その後、御案内のように、社会保障・税の一体改革に取り組んで、低所得者対策考えるに当たって、我々がかねてより持論として訴えてきました給付付き税額控除導入を具体的に検討する必要が出てまいりました。そういったことから、このマイナンバーというのはまさに非常に必要不可欠な課題として我々の認識が高まって、昨年、社会保障税一体改革関連法案に合わせて民主党政権として法案提出をさせていただきました。  御案内のように、その後、自民党さんとの三党協議等でこの法案、その後提出をした経緯がありますので、我々としてもマイナンバー法案導入には賛成でありますが、幾つかの点で確認をしたいことがありますので、総理に御答弁をいただければと思います。  一つ目、一昨日当委員会で、マイナンバー桁数について十二桁前後になるのではないかという答弁がありました。我々の政権時代制度設計では大体十一桁を想定をしていたと記憶をしております。なぜ一桁増えたのか。一桁増える、十二桁ということになると、実は一兆もの番号が使えることになります。これほど多数の番号がそもそも必要なのかということも含めて、この桁数についてどういう根拠で決められたのか、これは総理ではなくて事務方でも結構ですし、甘利大臣でも結構でございますので、簡潔にお答えください。
  7. 甘利明

    国務大臣甘利明君) おっしゃるとおり、十二桁程度想定をしております。それは何かといいますと、元になるのが住民票コードでありまして、これを変換をして個人番号とすると。個人番号が何らかの事件に巻き込まれて流出した場合に、それを変えられると。大本は変えずに変換したものを変えていくという関係から、元数が十一桁、それを変換してですから十二桁以上になるという、そういう技術的な問題であると思っております。
  8. 福山哲郎

    福山哲郎君 この番号自体には性別出生地住所地などの属性を設けず、今まさに機械的に付番するような類いの話を甘利大臣されましたが、国民の中ではまだ懸念の声が上がっております。  今日、総理お越しをいただいたのは非常に重要なので、例えば最初の二桁は性別だとか次の四桁は住所地などの属性は付けないというようなことを、本当に番号属性は設けないということを、総理の御答弁国民皆さん安心を与えていただければと思いますので、総理から御答弁いただけますでしょうか。
  9. 甘利明

    国務大臣甘利明君) これは総理からも同じ答弁になりますけれども……(発言する者あり)  御指摘の御懸念はないと明言をいたします。番号性別等属性を設ける、あるいは意味を持たせるということは考えません、しません。
  10. 福山哲郎

    福山哲郎君 せっかく総理来られているんですから、総理からお答えいただいた方が国民安心すると思います。
  11. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) ただいま甘利大臣答弁したように、番号属性は持たせないと、そのとおりでございますから、御安心をいただきたいと思います。
  12. 福山哲郎

    福山哲郎君 次に、マイナンバー制度にかかわる費用についてお尋ねしたいと思います。  これも一昨日の当委員会で我々の委員からの質問に対して、導入費用に二千七百億円程度、これ大変な金額です、ランニングコスト導入費用の一〇から一五%という答弁がありましたが、この一〇から一五%の根拠も実は余り前回の質疑でははっきりしません。まあ一〇から一五ならいいなと。住基ネットの場合には一〇から一五以上のランニングコストが掛かっているということもはっきりとしてまいりました。大変な巨額な費用でございます。この費用というのは国の費用だけなのか、いわゆる住基ネットにつなぐことも含めた、自治体費用も含めた費用なのか、お答えをいただけますでしょうか。
  13. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 番号制度システム導入費用について今お尋ねがありました。御指摘のとおり、全部合わせますと二千七百億円でありますけれども、このうち、地方公共団体に関する費用としましては、住民事務に関するシステムであるとか、あるいは地方税システム、そして社会保障関係システム等既存システムがありますけれども、これの改修費用として現時点では約千六百億円程度を見込んでおりまして、そして、今ランニングコストという御指摘がありましたが、これに対する毎年のランニングコストとして、その一〇%から一五%。ですから、この千六百億を母数としますと大体二百億円程度というふうに見込んでおります。  それから、これらの地方公共団体システム整備に関しては、番号制度導入及び運用に当たり不可欠のものでありますから、地方公共団体理解と協力を得ながら取り組むことが必要でありますけれども財政負担の問題で御質問がありましたけれども、現在、総務省国費要求をするものというふうに承知をいたしております。財政当局と相談をしながら検討していくということでありますが、総務省からは国費要求するというふうに承知をしております。
  14. 福山哲郎

    福山哲郎君 済みません、私の聞き方が悪いのかもしれませんけれども甘利大臣、さっきの千六百億は元々国側が、政府側答弁にあります二千七百億円の内数ですか外数ですか、どっちですか。
  15. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 二千七百億の詳細を申し上げますと、新規に必要なシステムとして三百五十億。これは付番関連システムであるとか、あるいは情報提供ネットワークシステム等であります。それから、既存システム改修等で二千三百五十億、足して二千七百億でありますが、この二千三百五十億の内訳はと申しますと、年金システム、これが最大百八十六億と踏んでおります。それからハローワークのシステムとして最大百五十五億、それから国税のシステムとして最大三百八十億、それを引きまして地方公共団体業務システムとして最大千六百億という内訳になります。
  16. 福山哲郎

    福山哲郎君 ありがとうございました。  また、もう一点、総務省から国費要求をするということは、財政当局にこれは国費で扱ってくれということで、じゃ地方交付税措置をするということですね、個別の補助金とかではなくて。まあどちらにしても国が出すということで、自治体財政負担は求めないということですね。
  17. 甘利明

    国務大臣甘利明君) これは、詳細は総務大臣にお聞きになるのがいいかと思いますが、たしか住基のときには交付税措置をしたと承知をいたしております。今回、私どもとしては、財政当局打合せをそれぞれの部署、内閣府もそうでありましょうし、それから総務省もそうであると思いますが、財政当局打合せをいたします。その中で、総務省からは予算要求国費要求ですね、国費要求が出ているものというふうに承知をいたしております。
  18. 福山哲郎

    福山哲郎君 ということは、自治体負担を掛けないということで、細かいことですから、これ、向井さん、その方向でいいんですね。
  19. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 交付税になるのか、それとも補助金補助金的な交付金的なものになるのかというのはあろうかと思いますけれども交付税よりはむしろ交付金的なもので総務省から財政当局要求するものというふうに承知しております。
  20. 福山哲郎

    福山哲郎君 分かりました。  次に、このマイナンバー制度のいわゆるよく議論されるメリットですね。これだけの多額の金額を掛けてコストを掛けて、メリットは何かという議論は、実はこの委員会でも本会議でもいろいろされました。定性的な議論はよく出てまいります。いろんな便宜上良くなるみたいな話はあるんですけれども、しかし、これだけの金額を掛けるということは、金額にして、これによって生ずる行革効果みたいなものも国民に伝えなければ、何のためにやるのかということについて一定説得性を持たないと思っておりまして、国民理解を得るために行革効果を明らかにする必要があると思うんですが、このマイナンバー制度導入に対して国、自治体でどの程度歳出削減効果があるのか、今政府想定しているのか、お答えいただけますでしょうか。
  21. 甘利明

    国務大臣甘利明君) この番号制度が入っていきますと、例えばいろいろな給付申請するときの書類が省かれるとか、あるいは併給調整が容易になるとか、あるいはもちろん税の正確な把握ですから公正な税制度に、よりなっていく等々、定性的なメリットは今もすぐ言えるんであります。  ただ、その金額換算せよという話なんですけれども、この制度導入されていきますと、まず行政がやらなきゃならないことは業務改革だと思います。企業でいいますとBPR、ビジネス・プロセス・リエンジニアリングと言われます。新しいシステムが入っていって、それによって業務効率を図っていくという作業工程が入っていかないと結論は出ないわけですね。ですから、その企業版でいうBPRというものの行政版をやっていくという必要があろうかと思います。そうしますと、その工程が進んでいく中で改善によるコスト削減というのがだんだん浮き彫りになってくるということだと思います。  私もこの担当大臣になって、民主党さんの当時のやり取りでその業務改善効果というのを把握しておこうと思ってやったんですが、やっぱりなかなか、同じように難しいという答弁でありました。民間では、業務改善効果とそれから国民の受けるメリットと合わせてやはり一兆円以上になるんじゃないかとかいろんな試算がありますけれども、あくまでも推定のようであります。  これは、このシステム導入していくことと並行して業務改善を行っていく、そこで次第に改善効果がどんどん増えていくんではないかというふうに思っておりまして、その過程過程で算定はできるものと思っております。
  22. 福山哲郎

    福山哲郎君 これ、まさに業務改善効果でございますので、その将来的な業務改善についてこういう形で、例えばそれぞれの自治体導入された後の指針なり、こういう形で業務改善をしていくようなある種の方向性なり目標値みたいなのは必要ではないかと考えますが、大臣、どうお考えになられますか。
  23. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 幾ら幾ら改善しようという目標はなかなか難しいんですけれども、定性的にこういう改善効果をフォローしてほしいとか、それを年限ごとに検証していって、どれくらい効果が上がったかと。国民の税金を投入するわけでありますから、その効果は投入よりももっと大きいメリットがあるということを示していく責任があると思いますから、そこはしっかり追っていきたいというふうに思っております。
  24. 福山哲郎

    福山哲郎君 我々としても、導入に当たっても政権時代に準備してきた責任はございますので、導入に当たってのプロセスについては我々自身もしっかりとチェックをしながら対応していきたいと思っております。  一方で、我々、先ほどマイナンバーと税と社会保障一体改革一体だという話を申し上げましたが、実は、これともう一つ一体のものがあります。それは歳入庁です。  我々が提出をした歳入庁一体関連法案の中でも、閣法の中に歳入庁の創設の文言を入れました。残念ながら三党協議の中で自民党が難色を示されまして、年金保険料徴収体制強化等については歳入庁その他の方策の有効性課題等を幅広い観点から検討し、実施するという法案が成立をしました。この法案文言を踏まえて、官邸加藤官房長官座長とする検討チームが二月十四日、立ち上がったと聞いておりますが、その後、一体開催はどの程度の回数、どういった状況で進捗しているのか、お答えいただけますか。これは総理に。
  25. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 御指摘内閣官房長官座長とする関係省庁政務官による検討チームについては、二月の十四日に立ち上げました。この政務官級検討チームは、これまでに五回開催をされております。年金保険料徴収の現状と課題等について関係省庁からのヒアリング等を行ったものと承知をしております。  政府としては、この検討チームにおいて、自民、公明、民主の三党合意に基づく税制抜本改革規定に基づいて、年金保険料徴収体制強化等について歳入庁を含め夏ごろを目途に論点整理を行うことを目指し、幅広い観点から検討を進めていく考えでございます。
  26. 福山哲郎

    福山哲郎君 ありがとうございます。  五回。これ、実は今まで何回やられてきたか全然、表になっていなかったのと、夏ごろまでにという時期を示していただいたのは非常に大きな前進だと思いますが、一方で、民主党はみんなの党さんの案を基本に参議院歳入庁法案提出をしております。これは維新さんも生活さんもみどりさんも加わっての法案提出でございますので、できれば今の検討チーム進捗状況、何を検討しているかも我々としても中身を知りたいと思いますので、この法案についてしっかりつるしを下ろしていただいて審議をしていただきたいと。  これは国会の決めることだと思いますが、自民党の総裁でもある安倍総理にも是非そこはお力添えをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  27. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 国会の運営にかかわることでございますので、基本的に現場、国会にお任せをしております。  いずれにせよ、そもそも三党合意に基づく税制抜本改革規定に基づいて、年金保険料徴収体制強化等について歳入庁を含めて議論をしていくことになっているということでございまして、お互いにそれぞれ法案を出している状況になっておりまして、自民党としては、民主党が、野党が出している法案について様々な留意点問題点について指摘をしていることと思うわけでございますが、建設的な議論になっていくことが期待されると、このように思っております。
  28. 福山哲郎

    福山哲郎君 夏ごろというのは、実は参議院選挙も終わって国会も終わっているわけで、そのときに歳入庁議論ができないので、できれば国会の中で委員会議論をしたいというふうに思っておりますし、その中身も知りたいと思いますので、そこは是非お願いをしたいと思います。結果として歳入庁がうやむやになるようなことのないようにお願いをしたいと思います。  次に行きます。  次、飯島内閣官房参与北朝鮮訪問について質問をさせていただきたいと思います。  私は、日本政府拉致問題解決のためにタイミングを見極め北朝鮮交渉していくことは、ある意味当然のことだと考えております。私は、外務副大臣もやらせていただきましたし、官房長官のときには拉致担当でございました。一定期間仕事をさせていただきましたので、拉致問題の交渉が重要であることは十分認識をしているつもりでございます。また、そのためにも、民主党政権は昨年の八月の予備交渉を、自民党政権のときに途絶えていた状況を四年ぶりに対話を再開をし、昨年の十一月に局長級協議も行いました。しかしながら、結果として、長距離弾道ミサイル発射予告で、ある意味でいうと煮え湯を飲まされ、我々の外交努力は足りなかったと言われればそれまでですが、残念ながらその後中断ということでございます。私は、今回の飯島参与訪問は否定をするつもりは全くありません。そして、この飯島参与訪朝が何らかの重要な成果があることを、若しくは、あるかもしれないなということを願っている一人であります。  しかしながら、他方で、野党として指摘をしなければいけないことも僕はあると思っております。私なんかよりも総理の方が重々御承知だと思いますが、北朝鮮という国は、自らの思惑によって相手利用すること、いささかも抵抗のない国だというふうに思っておりますし、言葉は下品ですが、引っかけたりはめたり、そして分断工作をしたりということについても私は政治的な利用も含めて平気でやってくる国だと思っております。ですから、今回、訪朝でよく総理の意思を伝えたとか相手の本音を聞くとか、巷間言われているような話は今までと余り変わらないと。  しかし、飯島参与がそれなりのことを言ってきて、今日の新聞紙上でも何らかの成果が将来あるようなことをにおわせていることも含めて、もしそのような状況包括的解決ということでいくならば、できれば非公式に静かに、まさに総理が懸命に対応されたあの小泉総理訪朝のときのように、一年間にも及ぶ秘密交渉の上であの拉致被害者皆さんが帰国をされました。そういったことを考えたときに、この飯島参与北朝鮮への訪問映像が流れたということは、これは安倍総理にとっては誤算であったのか。それについても、どういうふうにあの映像が流れたことに評価をされているのかについてお答えをいただけますでしょうか。
  29. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 映像が流れたことについては、基本的に北朝鮮と私も一九九四年以来ずっとかかわってきております、今委員が御指摘になった点は十分に承知をしております。私も様々な交渉において、相当政府にクレーム、要求をしたこともございます。実際に交渉そのものにかかわってきたこともあるわけでございます。  その中において、北朝鮮対応は様々な対応考えられるということは十分に承知をしておりますし、また、飯島参与訪朝するということにおいては、北朝鮮側が公表するということも十分に可能性があるだろうと。飯島さん、ああいう外見的にも地味な人物ではございませんから、目に付くということも十分に考えられるということもこれは計算に当然こちらも入っているわけでありまして、副長官も経験があるでしょうけれども完全秘密交渉という場合は、これは秘密交渉においては、言わば飯島参与のような、言わばまさに内閣参与と、そしてかなり国民的にも認知されている人物を使うということでは普通ないわけでございまして、一方、金正恩第一書記にこちら側の意思を伝えるということは、なかなかこれはそう簡単なことではないんですよ、一般的に思われている以上に。しっかりと、例えば報道されることによって間違いなく、これは、報道されれば内容を必ず金正恩第一書記に伝えなければいけなくなるわけでございまして、そういうことも我々、様々なことも当然考えているということであります。  秘密交渉においては、果たして秘密交渉をしていること自体が上に伝わっているかどうかということについては、これはなかなか分からないというのが一番秘密交渉の難しいところなんですよ。ですから、この秘密交渉は上に伝わっているかどうかということを、例えば第一回目の小泉さんの訪朝の際にも何回も確かめるわけですね。何回も確かめながら進めていく、この難しさがあるわけでございますが。  今回の場合は、もちろん様々なメリット、デメリットいろいろありますよ。しかし、報道されたことが悪いということではなくて、報道されて、ナンバーツーと会っている以上、当然それは中身においても、こちらが何をしゃべったということについても第一書記にはこれは伝えられるということになるということは間違いないんだろうと、このように思います。
  30. 福山哲郎

    福山哲郎君 ということは、秘密交渉ではないという認識だということだと思います。  一方で、僕は余り今日細かいことを議論する気はありませんが、飯島参与が一人で行かれたこと、若しくは通訳を誰が付いて、メモはどう取ったのか、これはやっぱり外交交渉上非常に重要な点です。そのことについてもなかなか今はっきりはしていないんですけれども、そのことも含めて、今回やはりもう少し慎重に対応していただきたかった点はたくさんあります。今総理がおっしゃったように、例えば本当に映像流されることも想定内だったとすれば、余計に私はアメリカや韓国には事前に一報を入れておくべきだったのではないかと思います。  私は、実はあの報道出たときに、アメリカ側から不快の念が表明されたときに私はこう思ったんです。あっ、アメリカは、不快の念を表明することによって、一定、各国と連携をしている制裁体制の強化については降りないよというメッセージを出すということが日米であるんだったら、それはそれで僕は安倍官邸はなかなかやるなと、正直言って最初思ったんです。  しかし、どう見ても余りアメリカに事前に伝わっていたとは思えないし、総理がその時点で、この間、参議院の決算委員会で言われた、仮にも非公式とはいえ内閣官房参与訪朝したことについて、何というか、総理が、アメリカも韓国も我々に全て連絡してくれるわけでないので、それは構わないというようなことを言われました。  今、国際社会連携をして核の問題についても懸命に対応しているところで、もし今総理が言われたように映像流れることも想定内だとしたら、やっぱりこの決算委員会の言い方は少し私は乱暴なのではないかな、アメリカや韓国に対する配慮に欠けた発言なのではないかなと思いますが、いかが思いますか。
  31. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほども申し上げましたが、私は、一九九四年以来ずっとこの問題にかかわってきています。その間、拉致問題についても随分非難されましたよ、そんなものないんじゃないかと。あなたがそういうことを言うことが拉致問題の解決を遅らさせていると随分私は言われました。随分言われましたよ、私はあなたに言っているんじゃないんですから。私に対して随分言われました。その中において、私はずっと反論してきた。常に基本的に私は、強い圧力においてしか結果は出てこないという基本的な姿勢でやってきた。  私が言ってきたことは基本的に当たっていたと思いますよ。アメリカに対しても、例えば二〇〇六年、ヒルが交渉したその際、北朝鮮が核を廃棄をする、百万トンを提供しよう、日本に呼びかけてきました。私は、その方法では解決はしないといって二十万トンを提供しなかった。これに対しては随分クレーム来ました。中国からも韓国からもアメリカからも来ましたよ。でも、結果はどうだったか。私が言ったことは正しかったんですよ。つまり、そういうことなんですよね。その後、つまりこの拉致問題も、あなたが言っているように簡単にはいかないんですよ。簡単にはいかない。  そして、認識をしなければいけないことは、つまり日本が主導的にこの問題は解決をしなければ、アメリカがやってくれるわけではないんですよ。その厳しい現実にやっぱりちゃんと向き合わなければいけない。ただ調子を合わせていれば、日本が付いていけば解決をしてもらえるという問題ではないんです。  そこで、核問題、ミサイル問題、この問題については、これはまさに国際社会で取り組んでいく問題であります。だからこそ私は、どの国よりも基本的に日本が厳しい制裁をやってきた。その先頭に立ってきたのは私ですよ、間違いなく。今できている制裁法案、これも自民党時代に作らなければ、二〇〇四年に作らなければできなかった。あのときも、この法律国会提出をすれば五人の被害者の家族は誰も戻ってこないと言われたけれども、この法律提出した後、小泉さんの訪朝を受け入れたんですよ。  つまり、我々が進めてきた外交というのは単純な外交ではなかったわけでありまして、だからこそ、日本が拉致問題というのは極めて重要視しているというメッセージをアメリカにもちゃんと発出をしていく必要があるんですよ。そこのところを十分にあなたは分かっていない。だから、こうやってあえて申し上げているわけであります。
  32. 福山哲郎

    福山哲郎君 委員会審議ですので、若干お言葉には気を付けていただきたい。私は、拉致の重要性については理解していると冒頭申し上げているはずです。  ただ、総理が、映像が流れることも想定内だったと言われたので、それだったら海外にも伝わるんだから、それならば、核の問題で協力して制裁をやろうとしているアメリカ、韓国には事前に言っておくことは一定の配慮じゃないかと。それを、アメリカも韓国も我々に全て連絡してくれるわけでもないとか、過去のことで私の言い分が正しかったのでというのは少し配慮に欠ける発言ではないですかと。  やっぱり核の問題も重要で、これは各国、国際社会で制裁を強化をしていくことは私は重要だと思っているからそのように申し上げているわけで、別に、私が分かっているとか分かっていないという話は全体の流れでいうと余り関係ない話ですので、そのことについて申し上げているわけです。  もう一点申し上げます。  これは、飯島参与が行かれた、訪朝された後にすぐに短距離のミサイルが飛びました。私は、これは日本の安全保障上直接影響があるものだとはもちろん思っていません。しかし、私がこのときに思い出したのは、二〇〇九年四月の五日、オバマ大統領のプラハ演説の日に、北朝鮮は長距離の弾道ミサイルを発射をしました。まさに、そういったことを平気でやる国なわけです。飯島参与訪朝の直後にこの短距離のミサイルが飛んできたことをどう評価するかは、なかなか難しい評価だと思います。  しかし一方で、この評価をどうしていくか、若しくは、これが日本に対する直接の脅威ではなかったとしても、韓国に対する何らかのメッセージだとしたら、これは逆に分断作戦を図っていることになります。つまり、こういったことも含めて、私は、本当にやられることは僕は必要だと思いますが、そういったことについては是非丁寧にやっていただきたい。  もう一点。報道によれば、この訪朝をきっかけに日朝協議再開に向けて動き出すというふうに言われています。総理としては、この日朝協議の再開について、いつごろどういった形で行われるということで今お考えをいただいているか、お答えいただけますでしょうか。
  33. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほど私が申し上げましたのは、百万トンの重油については、あのときに日本が二十万トンを出さないというときに、予算委員会で、それは国際社会の連携に反するといって質問したのは民主党じゃないですか。それを私は……(発言する者あり)
  34. 相原久美子

    委員長相原久美子君) ただいまの質問お答えください。時間がございません。
  35. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) あのとき二十万トンを出さないと言ったのは民主党なんですよ。これ、前原さんが私に対して質問した。それを私に言われたら、あなたたちは恐らく困るでしょう。困る事実を私はあえて言っています。  でも、そのときに、二十万トンを皆さんは、日本は……(発言する者あり)大切なことですよ、そのときあなたたちは徹底的に認識を間違えたんだから。だから、認識を間違えているということをはっきりとさせた方がいいんですよ。こういうことを、言われたくないことを言われたくないと思いますよ。しかし、これは事実なんですよ。それを認めるべきですね。
  36. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 総理大臣、時間がございませんので御質問にだけお答えください。
  37. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) じゃ、もう一つ言っておきますが、二十万トンについては明らかにあなたたちが間違えたということは言っておきたい。あのときも、国際社会の連携を大切にすると言ったわけですから。  同時に、同時に、そもそもこれマイナンバー法案関係ない質問じゃないですか。だから、マイナンバー法案関係ない質問をしておいて……(発言する者あり)
  38. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 持ち時間が来ておりますので的確に質問お答えください。
  39. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今後の言わば外交の交渉については、それは今の段階では申し上げることはできません。
  40. 福山哲郎

    福山哲郎君 ちょっと困ります。  山本一太大臣にお伺いします。  お手元に、資料をちょっと大急ぎで配ってください。  自民党の総合エネルギー政策特命委員会、山本大臣委員長だったときに、昨年の五月二十九日ですけど、今後のエネルギー政策の根本に安全第一主義を据え、特に原子力政策に関しては、権限、人事、予算面で独立した規制委員会による判断をいかなる事情よりも優先すると。また規制委員会が政治家の介入や経済政策の影響を受けずに、専門家による純粋かつ高度な技術的判断が行われる環境を確保するということを決められました。  この方向自民党の中では変わっていないという判断で、山本大臣、よろしいですね。
  41. 山本一太

    国務大臣(山本一太君) 基本的な方針は変わっていないと思います。
  42. 福山哲郎

    福山哲郎君 自民党の中で電力安定供給推進議員連盟というのが出てきていまして、速やかに安全を確認して、速やかに稼働させていくことが重要だとかいう話が出てきています。  安倍総理にも確認します。  この昨年の五月二十九日の特命委員会の、いかなる事情よりも規制委員会による判断を優先するということ、規制委員会が政治家の介入や経済政策の影響を受けずに、専門家による純粋かつ高度な技術的判断を行える環境を確保するということは変わらないということで結構ですね、総理
  43. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 再稼働の……(発言する者あり)基本的な考え方でありますが、原発については安全第一が原則でありまして、その安全性については原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、新規制基準を満たさない限りは再稼働はないということであります。一方、新規制基準に適合すると認められた場合には、原子力規制委員会の判断を尊重し、再稼働を進めてまいります。今後……
  44. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 時間が来ております。的確に。
  45. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 原子力規制委員会によって新規制基準への適合性が確認された段階で、立地自治体関係者の理解と協力を得るため、誠実に説明することが必要であると考えております。(発言する者あり)
  46. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 安倍総理大臣、この際、申し上げます。  質疑者の質問お答えいただきたいと思います。なおかつ、時間が来ております。
  47. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 大体……(発言する者あり)いや、今の質問は私に通告されていませんから。通告されていないんです。いやいや、通告されていない。通告されていない。通告されていないし、マイナンバーにも関係ないんだけど……
  48. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  49. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 速記を起こして。
  50. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) それでは、お答えします。よろしいですか。  今後のエネルギー政策の根本に安全第一主義を据え、特に原子力政策に関しては、権限、人事、予算面で独立した規制委員会による判断をいかなる事情よりも優先する。また規制委員会が政治家の介入や経済政策の影響を受けずに、専門家による純粋かつ高度な技術的判断が行える環境を確保するということであります。
  51. 福山哲郎

    福山哲郎君 それでいいわけですね、今のでいいわけですね、総理。今の変わらないは、大臣の答えと同じでいいわけですね。先ほど甘利大臣が答えられたときには大臣の言うとおりでいいとおっしゃいましたが、それでいいんですね。今、山本大臣答えられた。
  52. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 安倍内閣総理大臣、時間が来ております。簡潔に。
  53. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今答えたとおりでございます。
  54. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 福山哲郎君、時間が来ております。
  55. 福山哲郎

    福山哲郎君 もう時間がなくなったので、もう一つ、二つ聞きたかったことがあるんですけど、なかなかしっかり質問に答えていただけなかったのは残念ですが、総理、外交大変ですが、御健闘、頑張ってください。  ありがとうございました。     ─────────────
  56. 相原久美子

    委員長相原久美子君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、山東昭子君が委員辞任され、その補欠として石井浩郎君が選任されました。     ─────────────
  57. 江口克彦

    ○江口克彦君 総理、おはようございます。  早くからどうも御出席いただきまして、ありがとうございました。  私、三十四年間企業の経営者をずっと続けてきまして、常に心掛けていましたのは、無駄の排除、それから非効率の排除、そして成長戦略、この三つが事業を発展させる上で非常に私は重要な要素だというふうに考えて、経営に取り組んでまいりました。  マイナンバー制度は、効率的な行政運営の基盤となるものだというふうに私も思っております。民間では当然のこととされている効率を重視した考え方がようやく行政分野にも浸透し始めたということは、私は評価したいと思います。  しかし、そのマイナンバーというものも、ちょっと最初からベストというものを考えるということは非常にやっぱり難しいというふうに思います。いろいろと問題点指摘されているということもあるわけでありまして、そういう意味からすると、これから行政の効率化ということが重要だという前提で考えれば、改めるべきことは柔軟に改めていくという根本的な考え方というものを常に持っておく必要があるのではないだろうかと。  マイナンバー制度を実施すると、実施していく過程でいろんな問題点が出てくる。いろんな問題点が出てくるというのを、最初こうだというのでそれでもう決め込んでしまうという、かたくなにそれを通すんじゃなくて、必要に応じてやっぱり国民の利益になる方向で常に改善、改良というのはしていくんだという、その姿勢は貫いていただきたいなというふうに思うということであります。  一方で、マイナンバー制度に関する事務や情報システムの設置、管理の多くが総務省の権限とされているわけであります。マイナンバー制度が単に総務省の省益拡大に、利益拡大に利用されてしまうということをちょっと私は懸念しているのでございますけれどもマイナンバー制度導入、運用に当たっては、省益ではなくて国民の利益を常に第一に考えると。先ほどの、改善、改良ということを申し上げましたけれども、常に国民の利益を第一に考えるという方向お願いをしたいと思いますけれども安倍総理の決意のほどを明確にちょっとお話をいただきたいと思います。
  58. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) マイナンバー制度においては、例えば個人番号の通知など地方自治体に実際の事務をお願いすることとなる事務については総務省の所掌とするなど、制度が安定的に運営をされるよう、各省の所掌に応じて分担をしているのは御承知のとおりだと思います。  いずれにしても、番号制度は、より公平な社会保障制度や税制の基盤であるとともに、情報化社会のインフラとして国民の利便性の向上や行政運営の効率化に資するものであり、制度導入、運用に当たっては、いわゆる省益が優先されるということはあってはならないのは当然のことでございますが、国民の利益を第一に考え、真に国民生活に定着した制度となるよう、私としても全力で取り組んでまいる考えでございます。
  59. 江口克彦

    ○江口克彦君 このマイナンバーですけど、先ほどもちょっと最初に申し上げましたけれども、とても最初からベストということは考えられない、いろいろと経過において問題点が出てくる、そのときの改良とか改善のときに国民のサイドに絶対に立つんだというその御決意を、ちょっと総理、直接お聞かせいただきたいと思います。
  60. 甘利明

    国務大臣甘利明君) この法案を所管する大臣として、御指摘懸念ないように、きちんと、もちろん総理とも相談してやってまいります。
  61. 江口克彦

    ○江口克彦君 できれば総理、ちょっとお声を聞かせてください。
  62. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まさにこのマイナンバー制度によって国民の利便性が向上していくということを、私が先頭に立ってしっかりと国民の皆様にお話をしていきたいと考えております。
  63. 江口克彦

    ○江口克彦君 こういう機会ですので、せっかくですから道州制についてお尋ねしたいと思いますけれども行政改革の究極の姿というもの、あるいはまた地方分権の最終的な形というものは、道州制であると私は思っておるんです。先日も、菅官房長官も日経新聞の取材において、行き着くところは道州制ですと明言をされておられるわけであります。  私は、東京一極集中を是正して日本全体の繁栄を実現するには、国は本来国の果たすべき役割に特化し、そして地方ができることは地方で担う道州制の導入が不可欠であるというふうに思います。  総理も同様に考えておられるのではないだろうか、それで総務大臣に道州制担当という役割をお与えになったんじゃないかというふうに思いますけれども、その際、中央集権体制を維持するような道州制であってはならないというふうに私は強く強く強く思うんでありますけれども総理が描いておられるというか考えておられる、これは党が考えることだということではなくて、総理考えておられる道州制の姿を、大体でもいいですからお教えいただけないでしょうか。よろしくお願いします。
  64. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今委員が御指摘になったように、我々は決して中央集権的なものをつくっていこうということの中において道州制は考えていないわけでございます。むしろ逆のベクトルであるということは申し上げておきたいと思います。まさに、地方の元気なくして日本の活力を得ることはできないわけでございまして、国と地方の役割分担を見直しをして、それぞれの地域が自らの発想で特色を持った地域づくりを進めていく、言わばその地域に一番近い人たちが地域の視線に立って政策をつくっていくということが極めて重要なんだろうという認識の中において、それを国全体の再生につなげていくことが重要であると、こう考えております。  道州制の導入は、こうした考え方に立って、地域経済の活性化や行政の効率化などを目指して、国の在り方を根底から見直す大きな改革と考えています。現在、与党において、御承知のように、道州制に関する基本法の早期制定を目指して議論が行われております。私としても、今は様々な御意見があるわけでございまして、そうした様々な御意見をいただきながらしっかりと議論を深めて検討していきたいと、このように思っております。
  65. 江口克彦

    ○江口克彦君 今、総理のお言葉で、道州制については中央集権型の道州制は考えていないと明確におっしゃっていただいたことに、大変私は心強い、また大いにそのお考えを貫いていっていただきたいというふうに思います。  今、総理の方は、この国の役割とかあるいはまた道州の役割とかという役割をちょっとお話しされましたけれども、中央集権型の道州制とならないということにするためには、おっしゃったように、国の役割、あるいはまた道州の役割、基礎自治体の役割というようなものが明確になっていないといけないというふうに思うんですね。特に、国の役割が何なのかということは、これはこれから決めること、これから決めていくということであったとしても、やはりおおよそのお考え総理の頭の中になければならないのではないだろうかというふうに思うんでありますけれども、それぞれの国、道州、そして地方自治体の役割というものがどのような役割を担うべきものであるというふうに総理はお考えなのか、お話をいただければ大変有り難いと思います。
  66. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 国は、外交や安全保障、あるいはマクロ経済政策等々、国家の本来的任務を重点的に担うこととしまして、住民に身近な行政はできる限り地方自治体が担っていくという姿が、国と地方の役割分担、あるべき姿なんだろうなと、このように思っております。  与党において取りまとめ中の道州制に関する基本法案は、国の事務は国家の存立の根幹にかかわるものなどに限定し、道州は従来の国家機能の一部を担い、国際競争力を持つ地域経済の主体とされ、基礎自治体は住民に直接かかわる事務を行う主体とされています。  道州制の下における国と地方の役割分担については、このような考え方も踏まえつつ、地方の声に耳を傾けながら国民的な議論を深めていくことが重要であると考えております。
  67. 江口克彦

    ○江口克彦君 私も全く総理のお考えに賛成でありますけれども、特に移民政策は国の役割としてしっかりと保持すべきである。それから、東日本大震災のような大災害、これは幾ら道州制になっても、国家的な大きな災害ということになれば国がこれを受け持つということは考えていかなければならないことではないだろうかというふうに思いますけれども、特に移民政策についてはいかがでございましょうか、国が担当すべき移民政策。
  68. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今から道州制を前提として答弁することは大変難しいわけでございますが、そのような言わば国家の根幹にかかわる、恐らく移民政策というものは国家の根幹にかかわる政策であろうと、こう思うわけでございまして、当然これは国が主体的に決めていくということになるんだろうと、このように推測をいたします。
  69. 江口克彦

    ○江口克彦君 道州制に反対する人たちの中には、この移民問題を非常に心配をする人がいるわけですね。道州になると、それぞれの道州が勝手に移民を認める認めないということになるんじゃないかというようなことで懸念する方が多い。その中で、本日総理はそういうふうにお答えいただいたということに私も大変共鳴、そしてまた、その方向で是非、道州制についてもし政策を進めていただくという時期になれば、そういうことを常に頭の中に入れておいていただければと思います。  最後でございますけれども、道州制の導入は、もはや私は議論の段階ではないと思うんです。第一次安倍内閣で、当然のことながら道州制ビジョン懇からずっと議論が続けられているわけでありまして、もはやもう実行に移す段階ではないだろうかというふうに強く私は思っております。もう四十七都道府県三十八万平方キロの、僅かアメリカの一州、モンタナ州と同じ広さの面積の国土を四十七に細切れにして、これで効率的な効果的な無駄のない行政というのは行われないというふうに私は思っているんですけど。  道州制基本法の提出については与党で今いろいろと検討されているようですけれども、その一面、地方団体、特に六団体では懸念の声が出ているということで、ちょっと私、心配いたしております。  自民党の今村本部長も今国会提出を明言されています。道州制基本法案は今国会中に出すんだというふうに言っておられますし、それからまた、自民党の政権公約というか政党公約というか、公約にも明記されているわけです。改めて、政権公約を前提に、あるいはまた自民党の公約を前提に……
  70. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 江口委員、時間が来ておりますので、まとめてください。
  71. 江口克彦

    ○江口克彦君 はい。  安倍総理の道州制に対する決意を一言お聞かせいただければと思います。
  72. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 道州制の制定に向けて、基本法については今与党において精力的に議論が行われているわけでございまして、この中で地方団体からの意見もお伺いをしているというふうに伺っております。そうした議論を行いながら、議論が集約されていくプロセスの中で法案国会提出をされることになると、このように考えておりますし、当然、内閣としては、党と協力をしながら法案提出に向けて努力をしていきたいと考えております。
  73. 江口克彦

    ○江口克彦君 ありがとうございました。
  74. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数慶子でございます。  本日、内閣委員会安倍首相を御出席をしていただきまして質疑をしていただくことを取り計らっていただきました岡田先生始め関係各位に感謝を申し上げまして、質疑をしたいと思います。  四点通告がございますが、その中で、まず二番目の質問から入りたいと思います。  初めに、政府やその時々の政権を担う総理が施政方針や所信表明等で口にされます沖縄の過重な基地負担の軽減という文言ですが、県民からいたしますと、普天間飛行場へのオスプレイの強行配備や東村高江のヘリパッド建設など、これは軽減どころか負担増になっているわけですが、さきに発表されました嘉手納基地以南の基地の返還計画も実効性が疑わしく、細切れ返還の上、普天間については辺野古への移設が前提となっています。これでは負担軽減ではなく、在日米軍の再編、沖縄の米軍基地の機能強化であり、恒久的軍事拠点化であります。  県民が求めている過重な基地負担の軽減とは、具体的に日常生活を破壊している例えば嘉手納や普天間の爆音の軽減であったり、軍人や軍属が、その家族が引き起こす事件、事故の軽減と、日米地位協定の抜本的な改定に取り組むことであります。要するに、米軍の演習や訓練を少なくし、米兵を具体的に減らしていくことこそが負担軽減であります。その点になると、政府は米軍の運用には口が出せないと逃げるわけですが、県民は、主権国家として米国に対し沖縄の過重な基地負担の現状を訴えていくことに期待を寄せています。  安倍首相は、さきに発表された米軍基地の返還計画のほかに、何か具体的な負担軽減に関して沖縄県民に対する発信することはありませんでしょうか。過重な基地負担の軽減に対する見解と併せてお答えいただきたいと思います。
  75. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 国土面積の約〇・六%しかない沖縄県内に全国の約七四%の在日米軍専用施設・区域が依然として集中をしており、政府としては沖縄の基地負担の軽減は最優先で取り組むべき課題であると認識をしております。  こうした認識の下、沖縄に集中する基地負担の目に見える軽減に向けて、普天間飛行場の移設や嘉手納以南の土地の返還計画を着実に実施するとともに、このような返還計画に加えて、海兵隊のグアムへの移転、普天間飛行場に所在する空中給油機の岩国への移転、オスプレイを含む航空機訓練のグアムや本土などへの移転などの施策を精力的に進めてまいります。引き続き、沖縄の方々の声によく耳を傾けながら、沖縄の負担軽減に全力で取り組む考えであります。  そして、なお、今、高江のヘリパッドについてのお話がございましたが、北部訓練場におけるヘリコプター着陸帯、ヘリパッドの移設事業については、SACO最終報告に基づく北部訓練場の一部返還、約七千五百ヘクタールのうちの四千ヘクタールの返還になるわけでありますが、を実施をしているものであり、また、返還予定区域にある七か所の着陸帯を残余の区域の六か所に集約するものであることから、基地負担が増えるとの指摘は当たらないと考えております。  そしてまた、嘉手納以南につきましては、返還計画についてでございますが、土地の返還計画は、返還時期と返還に向けた……(発言する者あり)
  76. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 質問が違うのですが。
  77. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) いや、中での御指摘がございましたので。  その嘉手納以南の……(発言する者あり)
  78. 相原久美子

    委員長相原久美子君) よろしいんですか、糸数慶子君。
  79. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 いえいえ、結構です。
  80. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) それは、しかし質問の中で指摘がございましたので、嘉手納以南の……
  81. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 お答えしていただきたいことと指摘と違いますので。
  82. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) いや、でも、これ今後やっていくこととこれは絡んでおりますので。  嘉手納以南の、嘉手納以南の土地の返還計画自体が、これはこれからやっていくという計画になるわけでございますので……(発言する者あり)
  83. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 時間が非常に限られておりますので、御主張だけではなくて質問に的確に答えてください。
  84. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 御主張ではなくて、これお答えなんですが。  返還時期と返還に向けた具体的な段取りについて初めて、かつ日米共同で明らかにしたものであって、沖縄の負担軽減を進めるとの日米両政府の強い決意を示すものであって、この計画を今後着実に実行していくことによって嘉手納以南の土地の返還、それによって沖縄の負担の軽減を図っていきたいと、こう考えているところでございます。
  85. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 明確にお答えいただきたいと思います。  次に、普天間飛行場の移設に関してでありますが、総理の御見解をお伺いしたいと思います。  県民の民意として形成されている普天間飛行場の県外ないし国外への移設についてどのような見解をお持ちでしょうか。民意を無視して辺野古への移設を推進していくとの方針であれば、県外移設を来る参議院選挙の政策に掲げる与党自民党沖縄県連と食い違うわけですが、安倍首相の県外移設に対する認識と見解をお伺いいたします。
  86. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 普天間飛行場の固定化は断じてあってはならないと、こう考えております。沖縄県の宜野湾市の中心部に位置をし、周辺には住宅や学校等が密接していることから、今申し上げましたように固定化は絶対に避けなければならない、政府と沖縄県との共通認識であると、こう考えております。  一方、米海兵隊を構成する各々の部隊は一体性を維持することが求められており、同飛行場の航空部隊を他の部隊から切り離して県外に移設することは現実の政策としては困難と言わざるを得ないわけでございます。沖縄の負担軽減と抑止力の維持を両立させていくためには、現行計画が唯一の有効な解決策であるとの認識が昨年の四月の2プラス2共同発表で再確認されており、先般の日米首脳会談においても改めて現行計画を早期に進めることで認識の一致を見たところであります。  引き続き、政府考えを丁寧に御説明をしながら、負担軽減を早期にかつ具体的に見えるものにしていきたいと、このように考えているところでございます。
  87. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 はっきり申し上げまして、辺野古への新基地建設は断念すべきであります。なぜならば、これ世論調査の結果で明らかになっておりますが、県民の四人に三人は辺野古への新基地建設にはノーという答えを突き付けています。これはまた米国政府内や議会あるいは米国の有識者の間でも辺野古移設に懐疑的な意見がありますし、辺野古移設を見直し、県民の基地負担の軽減に取り組む考えはありませんか。改めてお伺いいたします。
  88. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今、沖縄の普天間の移設については今申し上げたとおりでございまして、今後とも地元の皆様の御理解を得るための努力を進めていきたいと、こう考えています。  そのためにも、先ほど申し上げました嘉手納以南の土地の返還等を期限どおりにスムーズに進めていくことも重要であろうと、このように認識をしております。
  89. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今、期限どおりというふうにおっしゃいましたけれども、実際にははっきりと期限が嘉手納以南でも区切られたわけではないということを改めて申し上げたいと思います。  最後になりますが、総理の歴史認識と慰安婦問題についてお伺いをしたいと思います。  日本維新の会の橋下共同代表の、慰安婦制度が必要だった、風俗業の活用に対してでありますが、総理は橋下発言に対して国会答弁で、私の、また安倍内閣の、あるいは自民党の立場とは全く違う発言であるということをはっきり申し上げたいとおっしゃっています。その上で、慰安婦の方々に対して……
  90. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 糸数君、時間が来ておりますので端的に質問してください。
  91. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 はい。  心から同情しているとおっしゃっていらっしゃいますけれども、その慰安婦問題に真摯に取り組む姿勢はあるのでしょうか。歴史認識をお伺いいたします。
  92. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今まで累次お話をさせていただいておりますように、慰安婦の方々に対しては心から同情をしているということは申し上げているとおりでございます。
  93. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 糸数慶子君、時間が来ております。
  94. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 はい。  マイナンバー法案に対して実は質問する予定でございましたけれども、(発言する者あり)四点目に質疑をしようと思っておりました。総理答弁が私が伺ったこととは違う方向に行って、かなり時間が食い込んでおりまして、最後にできませんでした。以上申し上げたいと思います。  終わります。
  95. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。  内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。  引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  96. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 民主党・新緑風会の藤本でございます。  改めて、この一時間の答弁といいますか議論を聞いて、総理の器というのは何なのかなということを改めて考えさせられた一時間でありました。  マイナンバーに関しましては民主党政権で最初に出しましたので、そういう意味では応援をしていく立場で今日は質問をさせていただきたいというふうに思いますが、当時の野党が何を言っていたかなんということを私は申し上げるつもりはございませんので、建設的な意見交換をさせていただければというふうに思います。是非、甘利大臣以下皆様方には温かみのある答弁で分かりやすくお答えいただければというふうに思います。  今日は、基本的に衆議院内閣委員会とか本会議とか、そこの議事録も全て読みました。そして、この間の報道も、全てチェックできているかどうか分かりませんが、基本的には全部チェックをしてみましたが、論点と言われることについては大方出し尽くされているのかなというふうに思います。  ただ、論点は出し尽くされているんだけれども、その中の答弁として、まだまだ我々が理解ができるようなところまで至っていないこと、あるいは、報道を見ても一部誤解もあるのかなと思われるようなことがありますので、そこのところを、今日はもう最後になろうかと思いますので、明らかにしていくと。そして、国民の皆様が、我々含めて、このマイナンバー法、マイナンバー制度について理解を進めていってもらえるように、そんな観点から質問をさせていただきたいと思います。  まず一点目なんですが、これは多分総務省の管轄になると思いますが、住基ネットとの関係なんですね。これは、再三再四、住基ネット住基カードの話が出てきていますけれども、恐らく多くの方々は、マイナンバーシステムが稼働し始めると、住基カード、これも交付を、今度個人番号カードに変わるときに返納するということを考えると、住基ネットシステムマイナンバーシステムに統合されるんではないかというふうに思われる方々が多いんではないかなというふうに思います。衆議院議論であるとか、あるいは一昨日の参議院での議論を聞いていても分かるとおり、マイナンバーシステム導入された後も住基ネットの仕組みというのはおよそ百二十億円ぐらいのランニングコストが掛かるということがあって、それは二つ稼働、ダブルトラックで動かすのは無駄じゃないかというふうな意見というのは出てきても不思議ではないんだろうなというふうに思います。  住基カードのサービスというのは地方自治体によって違っていて、顔、いわゆる写真付きのところと写真付かないというところもありますし、ICチップが付いているところと付いていないところもあったり、この間、西村副大臣が、マイナンバー利用範囲を広げるときに図書館の利用もできるようにしたいという話をされましたが、もう既に住基カードでもそれができるようになっているところもあったりするものですから、それだったら住基カードで十分じゃないかとか、合体させればむしろコストが下がるんじゃないかというような意見も出てくるのも不思議ではないというふうに思いますので、ちょっとここのところを明らかにするために、住基ネットシステムをダブルトラックで動かし続ける、その理由について分かりやすくお答えください。
  97. 北村茂男

    大臣政務官(北村茂男君) お答えいたします。  今回の番号制度は、いわゆる番号法に基づき複数の機関に存在する個人の情報を同一人の情報であるということの確認を行ういわゆる基盤でありまして、各機関の保有する情報を連携するための情報提供ネットワークシステムを設置することとされているわけでありますが、しかし一方、情報の一元管理を防ぐという観点から、このシステム個人情報を蓄積しない仕組みといたしているところでございます。  一方、住基ネットは、住民基本台帳に基づきまして、行政の中で本人確認情報を利用するための情報基盤として活用されており、各市町村が保有する本人確認情報を全国センターに保存し国の機関等に提供することによって、国民の利便性向上や行政効率の向上が実現をするために有効に働いているというふうに理解をしているところであります。  この住基ネットの機能は、番号制度導入後、番号制度運用のための役割も加わることから、引き続き必要になるというふうに認識をいたしているところでございます。また、住基ネットは、都道府県、市町村の住基事務、本人確認情報利用事務にも利用されていることから、今後も引き続き必要としているものと理解しているところであります。  番号制度における情報提供ネットワークシステム住基ネットは趣旨の異なるシステムでありまして、それぞれ運用すべきものと考えているところでありますが、個人番号住民票コードを基にした番号でありますし、住基ネットを活用することにより番号制度システムについて二重投資を避けて、更に効率的に構築をできるものというふうに理解をしているところであります。
  98. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 間違っているとは言いませんが、今の説明だと余計こんがらがって分からなくなっちゃうんです、正直。何でかというと、個人番号カードができても、結局住基ネットの仕組みを使って同じようなことができるわけだから、それだったら一緒にしちゃえばいいじゃないかという話が出てしまうんです。それをなぜ分けているのかということをお聞きしているんですね。  その場合は、私が答えを言うのはあれなのでもう一度お聞きしますが、セキュリティーという観点からした場合に、ダブルトラックであるのと、それを一緒に合体させるのとどっちがセキュリティーが高くなるんでしょうか。(発言する者あり)
  99. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  100. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 速記を起こして。
  101. 北村茂男

    大臣政務官(北村茂男君) 技術的なことでございますので、事務方からお答えさせていただきたいと思います。
  102. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 難しいことを聞いているんじゃなくて、合体させるって技術的にできることなんだと思うんですが、ダブルトラックでやる場合と合体させることと、どっちがセキュリティーが高いという判断をされているんですかという、どっちかと答えてくれれば、それだけの話です。
  103. 北村茂男

    大臣政務官(北村茂男君) それぞれが意図するところはそれぞれ持っておりまして、二つとも有効に機能するものというふうに理解をしております。(発言する者あり)
  104. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 北村政務官、セキュリティーの件について質問があったのですが。
  105. 北村茂男

    大臣政務官(北村茂男君) それを分離した方がセキュリティーが高いというふうに思っています。
  106. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 簡単に言えば、一か所でやってしまうと、それにもし何か問題があると全部、じゃ、リスクを分散させるという意味ではダブルトラックの方がセキュリティーが高いと、それが答えなんですね。  もう一つ。コスト、これはダブルトラックでやっているというのは、もう住基ネットシステムというのは既に動いていて、開発費用とかそういうものをずっと掛けてきて動いてきている、ただ毎年百二十億円のランニングコストが掛かっているということになるんですが、これを合体していくシステム開発をするということと、せっかくあるものをそのまま残して、それをリンクさせるのと、どっちがコストが掛かるんですか。
  107. 北村茂男

    大臣政務官(北村茂男君) ダブルトラックの方がコストが掛からないというふうに思っています。
  108. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 なぜダブルトラックじゃないかという説明を私が一つ一つ今項目に分けて説明をしているのは、先ほど冒頭で申し上げたように、これ我々も応援をしないといけないし、それを皆さん理解をしてもらわないといけないから言っているんです。もう最初から答えが分かっていることを私は聞いているんですけれども。  それで、もう一つ聞きますが、これ簡潔に答えていただきたい。  住基ネットの仕組みというのは何をするための仕組みであって、今度、マイナンバーというのは何をするための仕組みなんでしょうか。
  109. 北村茂男

    大臣政務官(北村茂男君) 先ほども申し上げましたように、住基ネット個人情報を、本人確認情報を利用するための情報基盤としているものでありますし、一方、番号制度は、複数の機関に存在する個人の情報を同一人の情報であるということを確認を行う基盤としてその有効性を発揮しようとするものであります。
  110. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 要するに、担当政務三役が理解をしていないのを国民皆さん理解してくださいというのは、そもそも無理な話なんです。だから、そこのところが多分私は基本なんだと思います。これは非常に、やっぱり情報は我々の方が、たくさん持っている人たちが、いや、これよく分からないという話になってくると、皆さんこれを理解して、周知して、啓発しましょうなんということは、もう掛け声だけに終わってしまうということが明らかなものですからね。  そういう意味で、私はちょっと確認のためにいろいろ質問をさせていただいているんですが、基本的に住基ネットというのは基本四情報を行政間の間でやり取りするシステムなんです、簡単に言えば。このマイナンバーシステムというのは、基本的には社会保障と税の関連の情報をデータマッチングするシステム、もう全く違うコンセプトのものなんですね。だから、そういったところをやっぱり理解してもらわないと、何でこれダブルトラックでいくんだということは多分理解されないんだろうという、そういう問題意識でお聞きしたところです。  ちょっとこればっかりやっているとあっという間に十二時になってしまいますので、次の質問に移りますが。  今度は甘利大臣にお聞きしたいんですが、個人番号カード、これ個人番号カードを発行する前に通知カードを交付するということになっています。当初の、最初の民主党政権のときは通知カードというのは多分なかった概念だったというふうに思いまして、普通の紙で通知書を出すということだったんだろうと思いますが、ここでなぜこの通知カードになったのかということをちょっとお聞きしたいことが一点と、運転免許証とかパスポートを一緒に通知カードと持っていけば、個人番号カード、いわゆるマイナンバーカードと同じ効力を発するということになるんだろうと思います。  となれば、わざわざ個人番号カードを取りに行くのかいなと。要するに、免許証を持っている人たちにとってみれば通知カードだけでいいじゃないか、わざわざ写真付きのものを持っていく理由というのはどこにあるのかなというふうに思ったらば、余り個人番号カードを持つ意味がなくなってしまうんではないかなというふうに思うんですが、なぜここで通知カードという概念が、概念というか、を入れ込んできたのかという、ちょっとそこについてお聞きしたいと思います。
  111. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 通知カードはすぐ送付できますよね。個人番号カードは写真が付いたりいろいろ手続がありますから時間が掛かります。  恐らく本人確認の必要性が世の中で結構出てくると思うんですね。そのときに、すぐ通知カードだと渡せると。それで、写真は付いていませんから、免許証やパスポートでこうですよということが確認ができる。  じゃ、それでいいじゃないかという御質問ですけれども、それで済む人はいいかもしれませんけれども、常時パスポートと個人カードを兼ね備えて持っているとか、じゃ免許証ない人どうするのとか、いろいろありますよね。番号カードですと写真もあるし、必要な情報は入っているし、間違いなく本人確認ができるということでありますし、ただ、その手続を済ませるまでの間というのは少し時間が掛かると思うんですね。そのタイムラグも考慮して、その間はそれに代用してこういうことができますよというふうに取り扱っているところであります。
  112. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 確かに、通知書という紙でばっともらったとしても、それを持って何かするわけには、紙一枚に法律的な効力を持たせるということはなかなか難しいから通知カードというのがあるんだろうと思うんですが。  私のお聞きしたかったのは、それで、免許証を持っていらっしゃらない人もいるという話があって、パスポートも持っていない方もいるという。ただ、持っている人にとっては余り、個人番号カードというのは不要になっているんじゃないかと。特に、ICチップを入れるという話になっていますが、このICチップというのも、実は将来的にそんなに有効性があるものなのか。IT技術がどんどん発達していけば、別にICチップというものが、必要性というのが今と比べると格段に落ちてしまって、スマホになったりとか、いろんなやり方が出てくる可能性というのもあるわけですね。  ですから、個人番号カードにあえてしなくても、システム自体は動いているし、例えば、私なんかは免許証もパスポートも持っていますので、通知カードだけで処理してそのまま置いておくと。しかも、利用範囲の拡大を施行後三年で考えていくということになると、その三年間は少なくとも要らないかなというふうに思っても不思議じゃないのかなというふうに思うんですが、それはそれでいいというふうにお考えになりますか。
  113. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 通知カードを番号カードに替えるのは、法律で強制的に全部、全員やりなさいということは言ってないわけですよね。それで不便を感じない人は替えないのかもしれませんし、不便を感じる人は替えるかもしれません。ただ、奨励策として、一枚のカードでいずれにしてもみんな済んでしまうということでありますから、これは、そうした方が保管や携帯上もいいんじゃないかというふうに思っております。  そもそも、これは民主党政権のときに出されて、そして三党間で協議をして、修正も今回加えられて、より良いものにしようということで出してありますから、きっと必要性は委員も御理解の上で質問されているんだと思います。
  114. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 いや、そういうことが起きる可能性があるんで、それはそれで、システムは動いているからそれはよしとするかなという考え方もあるし、やっぱりこういうのは、せっかくやっているんだからどんどん進めていってサービスを向上させるという考え方もあるし、どっちが正しいというのはなかなか言えないので、甘利大臣としてはどちらがやっぱり進めていった方がいいと思われているのかなということでの質問だったんですけれども、これもこればっかりやっているわけにいきませんので、次に行きますが。  今の大臣答弁の中で、一枚で管理ができるようにするということは利便性も高まるしというお話がありました。よくこれもかなり誤解されることなんですが、情報管理方式について、マスコミなんかでも、個人情報やプライバシーが侵害される可能性があるという指摘というのはかなりあるんですね。さらに、国民一人一人に番号を振って、当面、納税や社会保障などの情報を一元管理する制度といって紹介をしているところもある、正直、一元管理ということになってしまいます。そうすると、どこか一か所が、特定行政機関なりあるいはこの番号を生成する地方公共団体情報システム機構か何かにハッキングで入れば、その人の情報が全て一元管理されているというふうに誤解されて、かなり危険だというふうに言われることがあるんですが、この情報管理の一元化ということになっているのかどうかというのは、ちょっとこれを明確に多分お答えいただいた方がよろしいかと思いますので、お願いします。
  115. 甘利明

    国務大臣甘利明君) これ、結論からいうと分散管理で、それをつなげていくという方式を取るわけですね。どのくらいの分散管理がされているかというと、都道府県、市町村まで全部入れて二千か所ぐらいになるんだと思います。それを必要に応じてつながっていくということになっていく。一元管理できるのはその組織体の中での一元管理ということでありますから、国家があらゆる情報を一か所で全部管理して、一つ間違ってハッキングされりゃ裸にされちゃうということではないということはしっかり伝えたいと思っております。
  116. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 そうなんですね。そこのところが結構誤解されている部分があって、各機関によってそれぞれの情報は分散管理されているということになろうかと思いますので、もし私の情報を全て見たかったら、私がかかわっている行政機関全部に、例えば税とか社会保障、地公体とかに入っていかないと分からない仕組みになって、これもやっぱりリスク分散の仕組みで、これ最初の質問に実は関係してきているんですが、このマイナンバーシステムというのはいわゆるデータマッチングのシステムですので、一元管理するシステムじゃないということは、これはやっぱり我々も含めて理解をしておいた方がいいかなというふうに思います。  それと、その次に、個人番号カードにICチップを付けるということになりますが、これは法律規定されているんですけれども、よくこういう質問とか、こういうのがあります。個人番号カードをおっことしたり、あるいは盗まれたりしたときに、そこにICチップが付いているので、例えば年金加入記録とか社会保障のいろいろな給付状況とか所得情報とか、そういうものがその番号カードを盗んだ人が全部見れてしまうんじゃないかというようなことを言われるんですが、これについてはどうなんでしょうか。
  117. 甘利明

    国務大臣甘利明君) カードの中に情報が、全て本人に関するものが集積されているんではなくて、そのカードは私が私であることを証明するものであり、それぞれの情報に番号が付いていますから、それを突合することによっていろいろなことができるということでありまして、そのICチップの中に自分の預金額からあるいは納税額から、まあもちろん預金額とアクセスはしませんけれども、あらゆるデータが入っていて、それを入手すれば個人情報が全部その中に入っているというものでは全くないということでございます。
  118. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 ありがとうございます。  その辺、結構誤解が多いというふうに私も聞いていますので、カードを取ってそのICチップの中身を読めば全部分かるというふうに思っている方がいるんですけれども、そうじゃないということをちょっと今大臣に明確にお答えいただきまして、ありがとうございます。  それと、似たような話なんですが、火曜日の質疑があった中で、石橋委員質問の中で、例えばレンタルビデオ店などでこの個人番号カードを要するに本人確認として提出をしてしまうと。そこのところで、よくあるんですが、我々も、その後、どこかのポイントカードとかそういうカードを作るときに、本人の確認証を出してくださいと言われたときに、我々、免許証を私なんかは出す。そのときに、じゃコピーさせてもらっていいですかといってコピーをするということがあるんです。  そのとき、この間の火曜日のときに向井議官が、表側には名前とか顔写真があるけど、個人番号、いわゆるマイナンバーは裏側だから大丈夫だというような発言があったんですね。これ、普通に聞いていると、表とか裏とかというのは余り関係がなくて、例えばこういうのがあってこっちが表でこっちが裏というのは、渡したら、どっちが表かというのは、私はこっちが表だと思っているけど向こうはこっちが表だと思っていたら、表とか裏ってほとんど余り意味がないことなんだというふうにちょっと聞こえてしまうと、ちょっと誤解が生じてしまうのではないかなというふうに思います。  その後に米長委員甘利大臣とのやり取りの中で、個人番号カードを身分証明書として利用できるよう、要するにたんすの中にしまっておくのはもったいないじゃないかという話で、もっと活用してもらうために、これは本人の確認証、要するに免許証を持つ方もだんだん若い人も含めて減ってきているということの中で、これを身分確認証として、本人確認証として利用できるのでもっと使ってくださいという話になると、まさにレンタルビデオ屋さんに行ってそれを渡してしまうという行為が起きてしまうわけですね。  ここのところをどうするかというのは、ある意味、現実社会の中では大きな問題で、法律論でいえば、個人番号については、この間、説明なされませんでしたのであえて私が申し上げると、十九条と二十条でこの個人番号利用提供そして収集、保管というものがきちっと定められているというふうに思いますけど、ちょっとそこは、向井議官、ちょっとテクニカルな話なので、十九条と二十条をちょっと解説いただけますでしょうか。
  119. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) マイナンバー法の十九条におきましては、何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、特定個人情報の提供をしてはならない、番号付きの個人情報の提供をしてはならないというふうに規定されておりまして、番号付きの個人情報が提供できる場合を、法律に定められた場合、例えばいわゆる情報ネットワークを通じて提供する場合とかに限られておるところでございます。  また、二十条におきまして、何人も、前条各号のいずれかに該当する場合を除き、特定個人情報を収集し、又は保管してはならないということでございまして、法律規定する場合を除いては保管、収集もいけないというふうに、そういうふうに規定されているところでございます。
  120. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 ということで、実は表と裏というのはここで重要になってきておりまして、本人確認をする顔写真が付いていて名前が付いているのを表と定義するならば、本人確認はその表だけを見せれば本人の確認にはなるんです。しかし、この裏側の個人番号が書いてある、十二桁でしょうか、それが書いてあるものを渡してしまって、それを、何といいますかね、店が、じゃコピーさせてくださいといってコピーしてやってしまって、大体表と裏とコピーしますからね、そういうことになってしまうと、これは収集、保管という意味法律に抵触するという、そういうことになるんですが、それでよろしいんでしょうか。
  121. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 御指摘のとおり、表面と裏面を両方コピーしてそれを持っておりますと、これは収集、保管に当たります。
  122. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 ここは非常に難しいんです。例えば、我々がそこを理解をして本人確認として表を出している、向こうもその表だけはいいけれども裏は駄目ということを理解をしていないと、世の中はそんなことまで法律分かりませんので、ここの制限の状況、要するに制限しているものをどうやって広めていくんだろうかというのは私の頭では考え付かない。だから、このマイナンバーというのはどういうものなのかということを周知啓発徹底して、個人番号を持ってくださいねというところまでは何とかできるかもしれないけれども、そういう裏側はコピーしちゃいけないとか、例えばバイトの人がお店にいて、そんなことまで分かれという方が私は無理な話なんだなというふうに思うんです。  だから、そういう意味を含めて考えると、悪気もなく個人番号を提示して、運転免許証のときと同じようにコピーをして許可をしてしまうんではないかと。これは啓発活動頑張ります、もう頑張るのは分かるんですけど、どうやって頑張ってやるのかなというところが非常に私の頭では分からない。だから、これをどのようにされようとしているのか。これは一つの例です。この間の火曜日の質問の中で出てきたものですからちょっとあえて申し上げましたけれども、こういうことが、多分いろんな細かなところが、法律に書いてあるからいいですよということは我々の口からは言えませんので、これをいかに徹底させるか、そこのところについてのお考え甘利大臣も含めて、ちょっとお考えいただければと思います。
  123. 甘利明

    国務大臣甘利明君) いい指摘なんです。  それで、私も技術的に何かできないかと。例えば、コピーに出ないような番号ってありますよね、そういう処置をしたらどうかということを提案したこともあるんです。そうしましたら、困ることが起きると。保険会社等々で、金融機関も特定口座をつくったりするとき、そのときに番号をコピーしなきゃならない、そのときに出てこないと困ることになるんだそうです。だから、そういうところがなかなかクリアできないと。  確かに、地元の家に書留が届いて、家内と私で東京にいちゃうものですから、毎週帰ると通知が来ていて、それを郵便局に持っていって出すと、免許証を出してくれと言われて、コピーしていいですかと必ず言われますよね。これ、どういうふうにするか。じゃ、いっそのこと、使わないでくださいと言うのかと。しかし、身分証明書を持っていない人にとってはこれは一つの証明書になるなと。  そうすると、業界団体ごとによく後ろに紙が張り出されますよね、壁際に。個人番号カードは裏面のコピーは法律で禁止されていますというようなことを業界団体を通じて張り出すとか、何か周知徹底の方法を相当考えないと、やっぱり便利で不便になるなということは私も感じておりまして、いろいろと悩ましいことでありますから検討させていただきたいと思います。
  124. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 非常に我々からすると大事な議論で、法律に書かれれば全てがオーケーという話にはならないので、これは施行までに徹底できるように、これはいろいろな工夫をしていかないといけないかなというふうに思います。  それでは、ちょっと次の質問に移りたいと思いますが。  今度、財務省の関係だと思いますが、これもまた誤解がある部分があって、マイナンバー制度導入する、このシステム導入すると全ての所得が正確に把握できるようになるというような印象を与えるような答弁というのも幾つかありました。今日はおいでいただいていませんが、西村副大臣も三月二十七日の衆議院内閣委員会で、所得の申告漏れのようなものは今後なくなる、その意味で、税・社会保障分野において負担、分担の公平性がより一層担保できると答弁をされています。これが本当かどうかということなんです。  つまり、いわゆるクロヨン問題というのがあるかと思いますが、所得の捕捉率が給与所得者の場合は九割ぐらいに達するのに対して、事業所得者あるいは農林漁業所得者はそれぞれ六割とか四割にとどまるという、こういう問題なんですが、このマイナンバー導入した段階でクロヨン問題は解消されるとお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
  125. 伊東良孝

    大臣政務官(伊東良孝君) 何度もいろいろ御答弁をさせていただいておりますけれども、この個人番号制度導入によりまして、申告書あるいは法定調書等の税務関係書類に固有の番号が付されるわけでございますから、法定調書の名寄せやそれに伴うまた申告書等々の突合が非常にしやすくなる、効率よく正確に行えるようになるということでございまして、所得の把握の正確性が向上し、適正、公正な課税に資するものということになるわけでございます。  しかしながら、他方で、この番号利用しましても、事業所得やあるいは海外資産、取引情報等々に関しましてはおのずと限界がある話でございまして、番号が記載された法定調書だけでは把握、確認が困難な取引などもたくさんあるわけでございます。全ての所得を把握することは困難であると、こう考えているところでございまして、番号制度導入後におきましても、国税当局としては、限られた人員の中で、先ほども申し上げました法定調書の名寄せあるいは申告書との突合に加え、さらに税務調査等も的確に行うなどを通じまして、公平な適正な課税の実現に努めていかなければならないということでございます。
  126. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 まあ結論、私はクロヨン問題は解消されるのかどうかというふうに聞いたので、それに対して答えは完全には解消できないという、いわゆる限界性があるということだと思います。  ですから、これはもう限界があるんだということも我々としては認識をしておかないといけないんだと思いますし、今法定調書の話がありましたが、現在は、納付すべき所得税額がある自営業者は国税庁に基本的には確定申告書を提出をしていると。ただ、全ての事業所が確定申告を出しているわけではなくて、所得があっても納税額がないところに関してはむしろ地方自治体に、いわゆる国民保険料、健康保険とかの算出がありますので、簡易申告書を提出するということになっているわけなんですが、やはりここのところをマイナンバー導入でバラ色に全ての所得が捕捉できないとなれば、その辺り、つまり法定調書をどう拡大していくのかとか、所得があれば、納税額があろうとなかろうと、それが多かろうと少なかろうと、そこのところは法定調書を拡大して提出していくというようなことを併せてやらないと、所得の捕捉率というのは多分高まらないんではないかなというふうに思いますが、それでよろしいんでしょうかね、そういう考え方で。
  127. 伊東良孝

    大臣政務官(伊東良孝君) 先生のおっしゃられる、先ほどの、必ずしもこのマイナンバー制度によって所得捕捉率、若干これ高くはもちろんなっていきますけれども、完全なものではないということでございます。  いずれにいたしましても、所得把握、これにつきましては重要な課題であると、こう認識しておりますので、この番号制度導入を踏まえまして、どのように所得を適切にこれから把握していくかということにつきまして、御指摘の法定調書の拡大などの制度面での対応を含めて、今後とも検討していく必要があると、このように思う次第であります。  ちなみに、法定調書の数というのは三億一千万枚現在あるところでございまして、これを現行の職員だけで活用する、あるいは全部入力するというのはなかなか難しいことであるということを御理解いただきたいと思います。
  128. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 手書きのいろんな調書を電子化するというのも物すごいコストと時間が掛かるんだろうと思いますから、そこのコストとかも、効率化をいかに進めていくかということも大変重要な課題だろうというふうに思いますし、先ほど、今答弁の中で出てきましたが、海外資産の把握というのも、これも非常に難しいし、いわゆる利用範囲を民間に拡大していくということになってくると、金融資産の把握というのも完全にできるかどうかというと、非常に難しい話かなというふうに私は思います。  例えば、新規に口座を開設するとなったときに、個人番号を見せてくださいということで番号をチェックすることは多分可能なんだと思いますが、これ、既にもう口座を持っている方々とか、あるいはネットバンキングしか行かなくて銀行の窓口に行かないという人も結構増えてきてい。その方々のいわゆる金融資産というのもなかなか取りづらいし、時間も掛かるし、困難を極めるということになってくると、やはりおのずとこの所得の正確な捕捉というのには相当な限界性があるんだろうなというふうに思っております。  そこで、これ、法律の目的のところにちょっと立ち返るんですけれども、これは修正案提出者にお聞きしたいというふうに思いますが、今回のこの修正の中で新たに加えたといいますか、言葉がございまして、この法律の目的の中に、「行政運営の効率化及び行政分野におけるより公正な給付と負担の確保を図り、」という言葉を入れたというふうに承知をしております。ただ、この修正をする前を読んでも、実は行政運営の効率化というのは読み取れるのかなというふうに私なんかは思っているんですね。  実際に、この法律、実は私、数を数えたんですが、五百三文字ありまして、五百三文字、これ一つの文章なんです。一分三百文字といってこれ読み上げてみましょうかと言おうとしたら、これだけで一分四十秒ぐらい掛かるので読み上げることはやめますが、非常に分かりにくくて、この文章を私はどういう構造になっているかというのを考えたら、「この法律は、」というものの述語がどこにあるんだと探すの大変だった。「この法律は、」の主語に対する述語が実は、今日はお手元にお持ちでない方もいらっしゃると思いますが、あえて言うと、「この法律は、」の主語の述語が、実は「必要な事項を定める」というのと「特例を定める」という二つある。二つあるんですが、その最初の、だから目的を大きく分けると二つあって、この法律は、必要な事項を定めて、特例を定めるということなんですが、最初の目的の一つが二つの意図があって、一つ目は、行政事務を処理する者が迅速な情報の授受を行うことができるということと、もう一つ、国民が利便性の向上を得られるというこの二つの目的があって、合わせると三つの目的でこの法律ができ上がっているということが分かるんですね。  そうなってくると、まず一つ目行政事務を処理する者が迅速な情報の授受を行うことができるということが、まさに今回修正をされた「行政運営の効率化」という言葉に代わられるというか、イコールなんだろうと思うんですが、あえてここで「行政運営の効率化」というのを修正をしたその意図について、修正案提出者お答えいただきたいと思います。
  129. 後藤祐一

    衆議院議員(後藤祐一君) 確かに長い条文でございますけれども、元々の政府案にございました効率的な運営の管理及び利用並びに他の行政事務を処理する者との間における迅速な情報の授受という部分は、必ずしもこの修正後の行政運営の効率化の全てではないと考えます。  政府案の方の今の長い情報の授受という部分は、あくまで行政運営の効率化の手段の部分なんですね。この手段によって、例えば、こういった迅速な情報の授受によって手間が非常に簡略化されて、人がやっていた部分が少なくて済むということによってその人がほかの仕事をすることができるようになるというようなことは、行政運営の効率化には該当すると思いますけれども、迅速な情報の授受というところには該当しないわけです。つまり、行政運営の効率化という概念の方が、今言ったようなことも含めた、より高次な概念としてふさわしいというふうに考えたので修正したということでございます。
  130. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 よく分かりました。  それと、もう一つ、「及び」の後の「行政分野におけるより公正な給付と負担の確保を図り、」というところなんですけど、これ、先ほどから議論しているように、所得の捕捉というのは今と比べると正確性が増すだろうし効率性も高くなるとはいうものの、完全にできるわけではないので、本当の意味での公正な給付と負担というのがなかなかできにくいのも事実なんだろうと思うんですね。  そこで、あえてここで、非常に苦肉の言葉、策だなと思って、「より公正な給付と負担の確保を図り、」という、この「より」と「図り、」というのがなかなか微妙だなというふうに思っているんですが、これを入れたそこのまた意図というのを教えていただきたいんですが。
  131. 後藤祐一

    衆議院議員(後藤祐一君) 委員おっしゃるとおり、これによって完全に公正な給付と負担というものが実現するわけではないということは先ほど伊東政務官の方からもお話がございましたけれども、そのとおりでございまして、この「より」という言葉を加えたのは、このマイナンバー導入によって、行政機関の横断的なチェックが可能になったりといったことによって公正な給付と負担についての水準が高まる、改善するという意味で「より」という言葉を付けさせていただいたという趣旨でございます。
  132. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 非常に明快でありがとうございます。  そして、あと基本理念のところにちょっとお聞きしたいことがありまして、第三条第一項第一号になるのかな、ここのところの修正をされていて、この個人番号とか法人番号というのは行政運営の効率化を進める果実として、つまり、行政運営の効率化を進めた結果として国民の利便性を向上させるのではなくて、この第一条の目的でさっき二つあると言ったのは、国民の利便性の向上と事務効率という二つあると思うんですが、そこのところを意図してここを変えたのかと私は想像しているんですが、そういう意図でよろしいんでしょうか。要するに、両方が同じ目的として並列になっているということで。
  133. 後藤祐一

    衆議院議員(後藤祐一君) そう考えていただいて結構だと思いますし、三条の方の元々の政府案では、「行政運営の効率化を図り、もって国民の利便性の向上に資すること。」となっていて、これですと、国民の利便性の向上につながらないような行政運営の効率化が除外されてしまうわけでございます。この二つのこと、国民の利便性の向上と行政運営の効率化はそれぞれ大事だということが一条でも明らかになるわけでございますので、三条の基本理念においても、これはそれぞれ並列という形で、「もって」という関係ではなくて「及び」ということで、二つを並列させて書いたということでございます。
  134. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 それであれば、もう一つ、第三条の第二項、ここのところは修正をしていないところなんですが、ちょっと簡単に読み上げると、「個人番号及び法人番号利用に関する施策の推進は、個人情報の保護に十分配慮しつつ、行政運営の効率化を通じた国民の利便性の向上に資することを旨として、」と。ここは並列でなく「行政運営の効率化を通じた国民の利便性の向上」といってここは修正をしていないんですが、第三条の一項と違って、ここをあえてそのままにしていて、「通じた」というのを残している、その何か意図はあるんでしょうか。
  135. 後藤祐一

    衆議院議員(後藤祐一君) これは、三条一項一号と三条二項を比べてみると分かりやすいんですが、基本理念の三条一項一号の方は、これは「行政事務の処理において、」ということで、主に行政機関の中の議論として、行政運営の効率化と国民の利便性の向上は両方大事だということを規定したわけでございますが、御指摘の三条の二項の方は、これはマイナンバー利用に関する施策の推進に当たっての国民の方から見てどうかということを主に規定しているわけでございます。ここは、国民の利便性の向上ということをよく考えながら進めてくださいよという基本理念がこの二項では書いてあるわけですが、ここで行政運営の効率化というものをまた並列して書くと、この三条二項の方で言おうとしている国民の利便性の向上というものが薄まってしまうということで、ここは行政運営の効率化と同じ位置付けで二つ並べるのではなくて、利便性の向上というところを前に出して書いたということで、ここを並列にしてしまうとちょっと薄まってしまうのではないかというふうに懸念してこのままにしております。
  136. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 分かりました。ありがとうございます。  修正案提出者に関してはもうここまでの質問ですので、あと十分ですが、この場で御退室いただいても構いませんし、十二時までいていただいても構いませんが、どうぞよろしくお願いします。
  137. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 後藤祐一君、退席していただいて結構でございます。
  138. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 十二時までというお約束ですので、あと午前中は答弁は長くても短くても一問だけにさせてもらいますが、ここもまたいろいろ議論というか誤解があるところなんですが。  甘利大臣、民間利用というところまで範囲を拡大するというようなことを時々、時々というか、かなり答弁されているんだと思うんですけど、ここで法律で、さっき第一条、目的のところで、「行政事務を処理する者が、」というのが主語に当たっているということを考えると、行政事務を処理する者の情報授受の効率化、そして行政事務を処理する者から便宜の提供を受ける国民の利便性の向上というのがこの本来の目的になるというふうに考えていいのかなと思います。そうすると、行政分野以外、要するに行政分野とは関連のないようなことはこの法律では想定をしていないという解釈が成り立つのかなというふうに思うんですが、その解釈でよろしいのかどうかなんですね。  つまり、ごめんなさい、もうすぐ終わりますけど、第一条でこの主語を置くことによって、単純に民間企業が迅速な情報の授受を行うということは想定をしていないというふうに想像ができるんですが、この利用範囲を附則第六条で広げる可能性をうたっているとなれば、もう何度も今まで議論が出てきたレンタルビデオの貸出しのときにその番号を使うことというところまでは、多分、利用範囲は広げるということにはならないのかなというふうに想定をします。  この利用範囲と一言で言っても、実は幾つか意味があって、よく答弁されるのは、ICチップの空き容量を利用してという答弁があるんです。ですから、このICチップの空き容量を利用してサービスを拡大するという意味でも利用範囲の拡大につながると思いますし、二つ目は、個人番号、いわゆる十二桁のマイナンバー利用するのを拡大するという意味も二つ目にありますし、更に言えば、ネットワークをつなげるという意味利用範囲を拡大するという意味もありますし、この三つ大きく考えられると思うんですね。  多分、これを混同して、こんがらがって一緒になって利用範囲を拡大するという話になると、恐らく人によっては理解の度合いが違う、共通理解がなされないんだろうというふうに思いますが、多分、利用範囲の拡大と説明するとき、この三つぐらいに分けて、この場合はこの程度、この場合はこの程度、この場合はこの程度というふうに説明をしていただかないと、多分理解が間違った方向に行ってしまうのではないかなという懸念を持っておりますが、その点についてお答えいただければと思います。
  139. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 先生御指摘のとおりでございます。やっぱり三つの場面に分けて議論すべきだと思いますが、そのうち、番号制度の拡大という場合は、ICチップの空き容量というのは基本的に番号を使いませんので、これは番号制度の拡大には当たらないと。逆に言うと、カードをどういうふうに利用するかという側面だと思います。  この法律におきましても、条例又は政令で民間に利用できるというふうなことが書かれております。ただ、民間に対する利用につきましては当面はやらないということで、三党合意の中でそういうふうな方向になったというふうな理解でおります。  それから、個人番号という場合、このマイナンバーそのものと、マイナンバーと全く一対一に対応する別の番号ございます。その別の番号を付けたものを情報連携する場合と、マイナンバーそのものを拡大する場合、それの二つに分けて議論する必要があるというのも御指摘のとおりだと思います。  これは、どちらもこの番号法上のマイナンバーの規制につきましては、マイナンバーだけではなくてマイナンバーと一対一で対応する番号も、この個人番号の、個人情報の保護の規制に全部掛かってまいりますので、それを含めてマイナンバー制度個人番号制度の拡大というふうにとらえる必要があるのだろうと。  ただ、拡大する場合に、マイナンバーそのものを拡大するとすると、マイナンバーを見せる範囲が広がる、特に民間に拡大すると見せる範囲が広がるという側面がございます。一方、別の番号を使ってマイナンバーとマッチングするという方法ですと、マイナンバーそのものの広がりは抑えられると、そういう利便性がございますので、やっぱり一義的には民間利用という場合は別番号を、何といいますか、つなげていく方法の方が安全性は高いというふうに考えられます。  ただ、民間利用というのもまたいろんな場面で、人によって民間利用ということが全く異なっておりまして、例えば税の場面におきます源泉徴収なんかの番号付けて提出するのも、民間が番号を扱うという意味では民間が番号を扱いますが、これは通常民間利用には含めないで考えるんだろうと思います。  そうすると、民間利用を拡大するという場合に、一つは、民間といっても非常に幅広うございまして、通常こういう番号制度なんかで便利だと言われるのはワンストップサービス系の話が非常に多いんじゃないかと思うんです。例えば、引っ越した場合に電気とかガスとか、そういうところに全部引っ越しの情報が通じるみたいなイメージの、そういうもの。それから、さっきおっしゃったTSUTAYAとか楽天とか、そういうものの顧客の名簿に番号を使うものというのはやっぱり根本的に話が違うのかなというふうに思います。  したがって、民間利用の拡大という場合も、いわゆる電気とかガスとかという準公的な企業が顧客の利便に使う場合、そういうふうな場合とか、あるいは、経団連なんかの要望で出される中でもっともかなと思うのは、生命保険会社が生死情報を欲しいというのがございます。通常、親がどういう生命保険に入っていたかというのは子供が知らない場合が結構ありますので、そういう場合、今生命保険会社も支払漏れというのが非常に多くなっておりまして、それが逆に金融庁からの指導で支払漏れを少なくしろというふうな指導もある、そういう状態でございますので、いわゆるそういうふうな、何といいますか、そういう公的な企業が顧客の利便性の場合に使うというのが第一の選択肢になり得るんではないかなという気がいたします。  そういう意味で、民間利用という場合も、先生のおっしゃるとおり、場面場面とその中身をちゃんと分けて議論すべきだというふうに考えます。
  140. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 ありがとうございました。  午前の部は、ここで十二時ということで、総理への質問が若干長引きましたが、私はここで午前の部は終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  141. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  142. 相原久美子

    委員長相原久美子君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、世耕弘成君神本美恵子君及び岡崎トミ子君が委員辞任され、その補欠として磯崎仁彦君那谷屋正義君及び水岡俊一君が選任されました。     ─────────────
  143. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 休憩前に引き続き、行政手続における特定個人を識別するための番号利用等に関する法律案外二案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  144. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 午前中に引き続き、何問か質問させていただきたいと思います。ちょっと、お昼休みといいますか、昼食の時間が入ったので、前の流れとちょっと変わってしまってやりにくいところが正直あるんですが、何問か質問させていただきたいと思いますが、マイポータルについてお聞きしたいと思います。  このマイナンバー制度導入に伴って、いわゆる個人情報提供ネットワークが構築されて、いわゆるマイポータルで自己情報は閲覧できるようになるということになると思うんですが、このマイポータルの活用方法とか、あるいは、これは財務省になるんでしょうかね、納税者とのマイポータルとの関係といいますか、それをどのように構築されていこうというふうに考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
  145. 伊東良孝

    大臣政務官(伊東良孝君) お尋ねのマイポータルでありますけれども法律施行後一年をめどとして情報開示システム、いわゆるマイポータルを設置するものであります。  基本的には、これは自分の特定個人情報が誰がなぜ提供したのかを確認するというのが第一であります。また、自己情報がどのように行政機関などに記録されているか、行政機関などが持っている自分の特定個人情報について確認する機能、そして、これ、プッシュ型サービス、このナンバーを持っている人に対してマイポータルを通じて一人一人に合った行政機関などからのお知らせを表示すると、こうなっているところであります。このほかにも、将来的にはワンストップサービス、各行政機関などへの手続を一度で済ませる、こうした機能を持たせたいということであります。  先ほどから先生おっしゃられるように、これはカードに記録されているものではなくて、甘利大臣が御説明させていただきましたように、各種のそれぞれの情報を管理する行政機関のデータでありますので、ここに自分が自らナンバーとそのカードを持ってアクセスするという機能であります。
  146. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 ちょっと通告していなかったんですが、分かったら教えていただきたいんですが、先ほど、マイナンバー個人番号カードにICチップがあるけれども、このICチップで全部分かるわけではなくて、このマイポータルにアクセスして初めて自己情報が閲覧できるということなんだと思いますが、仕組みとしては非常に分かりやすく簡単なんですが、落としたり、悪用されたり、盗まれたりして、個人番号カード、他人がそれを持ったとしても、そこに個人番号カードがあったとしても、それは二重、三重のチェックが入って、その本来の持ち主の自己情報には当然アクセスできないという仕組みがなされているというふうに認識してよろしいんでしょうか。
  147. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 先生御指摘のとおり、マイポータルにアクセスするには公的個人認証を原則使うつもりでおります。したがいまして、公的個人認証を取得した上で、カードリーダーにカードを置いて、それで暗証番号等を入れないと入れない仕組みでございますので、拾ったからといってすぐにアクセスできるものではないと思います。  ただ、全く、何といいますか、ほんまのプロが悪用する可能性がないわけではないので、やはり紛失した場合は直ちに届けていただきたいというふうに思います。
  148. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 ほんまのプロとうそ物のプロがあるかどうかちょっと分かりませんけれども、クレジットカードなんかも落としたらすぐに報告してということになると思いますし、これも落としたことが分かれば、すぐにやれば、番号も、要するに個人番号自体も変えることができるということになるんだろうと思いますが、余りほんまのプロとかそういう話はしない方がいいのかなと思いますが、実際に多分そういうことなんだろうと思います。  このマイナンバーの件で非常に多くの方々が懸念するのは、やっぱり個人情報の管理なんだろうというふうに思いますね。だから、この個人情報の管理という面で、今回は特定個人情報保護評価制度というのがつくられると認識をしておりますが、この制度自体がプライバシー保護にどのように貢献して役立つものなんでしょうか。
  149. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 特定個人情報保護評価は、行政機関、地方公共団体等が、個人番号マイナンバーを含みます個人情報ファイルを保有するに先立ちまして、事前に、漏えいとか、そういう体制のチェックを、危険性などを自ら評価いたしまして、特定個人情報保護委員会、第三者委員会が承認する制度でございまして、番号法において新設するものでございます。  この特定個人情報保護評価は、自ら評価し、それで委員会が承認することを通じまして業務体制やシステム設計がプライバシーに配慮したものであることが確認できるという点、それから、事前に評価を行い、必要な措置をあらかじめ講ずることにより個人情報の漏えい等を未然に防止することに資する、また、評価結果を公表するため、国民によるチェック機能が働くという点でプライバシーの保護に大きな意義を有するものであるというふうに考えております。
  150. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 この辺、大変重要なことなんだろうと思いますし、それとはまた別に三条委員会方式の特定個人情報保護委員会が設置されて監視、監督を行うということになろうかと思いますが、この監視、監督というのはどういうことなのか、少し具体的に教えていただきたいということと、もう一点、それに関連して、実際に個人番号を取り扱う者の中には、今の言いました特定個人情報保護委員会の指導を無視するというか、ないがしろにするというか、そういうような悪質な方もいるかもしれないということを考えると、こうした悪質な者に対してどういう処罰あるいは対処を考えているのか、この二点についてお聞きしたいと思います。
  151. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 第三者委員会特定個人情報保護委員会は、具体的には個人番号利用する者におきます特定個人情報の取扱いですとか、この取扱いに関する法令違反行為、それから情報提供ネットワークシステム等の維持管理等などが監視、監督の対象となります。この監視、監督に当たりましては、具体的には指導・助言、勧告・命令、それから措置要求、必要な措置を求める要求でございます、それから立入検査などの権限を行使することとしております。  そして、こういう命令とか措置要求に違反した場合につきましては罰則が付くということになってございます。
  152. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 分かりました。  ただ、その特定個人情報保護委員会は、非常にそういう意味では大事な役割を担うわけなんですが、この体制をどういうふうに整備していくのか、どういう体制で整備していくのかということも今後の課題としては出てくるのかなと思います。行政機関の機構定員の査定を行っているのは総務省だというふうに思いますが、総務省として、この特定個人情報保護委員会の体制整備、これに対してどういう方針で、どういう考え方で取り組んでいこうとされるのかということがちょっと懸念されるところがあります。  例えば、消費者庁をつくりましたといったときに、各省庁で消費者行政をやっている部署というのがあるので、そういうところからある程度消費者行政に詳しい方々を呼んで、集めてといいますかね、それでやっていくと今までの定員の中で賄うことができるというふうに思いますけれども、今回全く新しいものをつくるということになったときに、政府全体のいわゆる行政需要等を勘案して、この機構定員の査定を総務省行政管理局としてはどういう形で行って、どういう必要な体制を組んでいくのかということ、これについては少し明確にお答えいただければと思います。お願いします。
  153. 若生俊彦

    政府参考人(若生俊彦君) 特定個人情報保護委員会は、個人番号を含む個人情報の適正な取扱いを確保するために設けられた機関でありまして、番号制度の適正かつ円滑な運営のため、その役割は極めて重要であるというふうに認識しております。  今後は、その業務量がどのように推移するかを踏まえまして、まずはどのような体制が必要かについて担当部局でしっかりと検討していただきたいと。その上で、総務省としましても、その内容を丁寧に聞き取りまして、十分その精査をさせていただきたいというふうに考えてございます。
  154. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 ということで、今の段階ではどうだということを言えないんだろうと思いますけれども、その必要な業務量というか、そこと、その必要性、重要性ということを勘案して、その定員なども、当然ここ、いじっていく可能性もあるという認識でよろしいんでしょうか。
  155. 若生俊彦

    政府参考人(若生俊彦君) 当然、新しい需要に対しましては、それに必要な定員等について検討していくということでございますので、政府全体の定員管理の中で適切に対応してまいりたいというふうに存じております。
  156. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 このマイナンバー制度の中で、非常に個人情報が漏えいするんじゃないかとか、そこの管理どうなるのかというのは大変大きな関心事だというふうに思いますので、ここの業務量のところをきちっと精査した上で、この体制はきちっといい体制をつくっていただきたいなというふうに思います。  時間が、実は十三時二十分までということでございますが、先ほど午前中の質問で、同僚の福山委員も三、四分ちょっと超過をしておりますので、私、三、四分削って、最後の質問に入ります。  この最後の質問、これ通告していたかどうかちょっと分からなくなってしまったんですけれども、通告しなくても答えられる内容なので、是非、甘利大臣お答えいただきたいというふうに思いますが、マイナンバーという名前、嫌いじゃないというお答えは代表質問のときにお答えいただいているんですが、その後もかたくなにお使いにならないというのがございまして、ちょっと質問なんですが、以前、このマイナンバーというのを決める前はいろんな呼び方があって、国民総背番号制とかという話もあったりするんですが、国民総背番号制というのとマイナンバーというのと、どちらが親しみが湧く言葉、通称だというふうに思われますでしょうか。
  157. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 二択でしたら、背番号と言われるとやっぱり嫌な感じがするんでしょうね。
  158. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 確かにそのとおりで、正直なお答えだと思いますが、総背番号制、国民総背番号制というと、今回、マイナンバーの中でもかなり言われて、国家権力が国民を管理監督するような印象というのを受けるというような意見もあったりするので、このマイナンバーという、より親しみやすい言葉を使っていった方がいいのかなと私は思っております。  このマイナンバーは、御承知のとおり、平成二十三年の二月の二十四日から約一か月間掛けて一般公募して決めたものです。その一般公募は八百七件ほど応募があったということを聞いておりまして、その中からこの番号の名称に関する有識者メンバーによって決めてもらったものであるということを考えると、この制度を浸透させていって皆さん理解をしてもらうためには親しみのあるネーミングも必要なんだというふうに私は思っておりますが、この間からの答弁で、ほかの政務の方々はマイナンバーと言ってくださるんですが、甘利大臣はなぜか言っていただけなくて、何とかここは言っていただかないと質問が終われないなというふうに思っておりますが、是非、マイナンバーという名称を広めていただきたいと思いますが、甘利大臣、いかがでしょうか。
  159. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 法律に従って私は社会保障と税の番号とか個人番号とか申し上げておるわけであります。マイナンバーというのが国民に広く愛されるということであれば、それは自然と定着をしていくのではないかというふうに思っております。
  160. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 是非それを広めるためにも積極的に名前を使っていただいて、これは一般公募で決まったという、そういう背景がありますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  五分ちょうど、お約束の時間ですので、終わりにいたします。  ありがとうございました。
  161. 岡田広

    岡田広君 自由民主党岡田広です。  番号制度導入の意義につきまして、まず甘利大臣にお尋ねをしたいと思います。  この番号制度は、一九七〇年代、大平内閣の時代から、納税者番号ということで番号制度について様々な議論がなされてきた歴史、経過があります。  諸外国でも、我が国が番号制度導入できない中、世界の主要国、成長に勢いのある新興国では、制度や仕組みの違いはありますが、この番号制度整備し、行政の効率化や国民サービスの向上を実現する上での基本的な社会基盤となっています。我が国の成長を軌道に乗せていく上で、ITを上手に戦略的に活用していく社会の実現が極めて重要だと考えています。そのような観点からも、番号制度は情報化社会の必要不可欠なインフラとして早急に導入すべきものと考えます。  この番号制度導入が遅れたことについては、甘利大臣から種々、本委員会答弁がありましたから、ここは問いません。今回政府導入しようとしているこの番号制度導入の意義について、甘利大臣にお尋ねをしたいと思います。
  162. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 個人行政情報にかかわることの突合がまさに瞬時にできるわけであります。それらを通じて、申請書類が大幅に省かれるとか、あるいは併給調整が瞬時にできるとか、あるいは税の把握がより正確にできる、いろいろ、公平公正な社会をつくっていく、あるいは国民の利便性を拡大していくということに資することであろうと思いますし、それらを推進していく中で行政の効率化も図っていかれると。恐らく国民が払う税をより有効に使えるということにもつながっていくであろうと思いますし、委員指摘のように、情報化社会の中の言ってみれば基本的なインフラになっていくかと思います。  もちろんいろんな危惧はありますけれども、それを不安を極小化をして利便性を最大化していくということで取り組んでいく限り、全ての国民に資するものであるというふうに思っております。
  163. 岡田広

    岡田広君 今、甘利大臣から答弁がありました。申請書類が省かれる、公平公正な社会をつくる、そして何よりも国民の利便性に供するという、今朝の総理答弁でも、国民の利便性を訴えながら、先頭に立って訴えていくという答弁がありました。  是非、国民皆さんにこの番号制度を広げていくためにお願いをしたいこと、それは、やはり行政の効率化ということでもありますけれども、それよりも国民の利便性を高めるという、時間の短縮になるという、時は金なりという言葉があるように、時間が大幅に効率化される、短縮される、そういうことを是非訴えて、この番号制度国民に周知、啓蒙していただきたいと思っています。  この番号制度導入するためのマイナンバー法案民主党政権下で提出され、審議未了のまま廃案になったという経緯もあるわけであります。今回政府提出した法案は自公民の三党の実務者による水面下での協議の結果を踏まえたものというふうに理解をしていますが、民主党政権下で提出されたマイナンバー法案と今回の法案とでは、端的に分かりやすく説明すると、どこに違いがあるのか、これも甘利大臣にお尋ねをしたいと思います。
  164. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 民主党政権下のマイナンバー法案、その後、自公民三党の実務者によりまして協議が重ねられて、恐らく前回の政府提案の中での質疑も通じてだと思いますが、改善点をいろいろと織り込んで、三党の知恵を、英知を集めてより良いものにされているんであろうというふうに思っております。  具体的には、番号制度の基本理念、それから国の責務及び地方公共団体の責務を法律に明記をした三条、四条、五条でございます。それから、個人番号の通知を通知カードで行うとの規定を追加をした七条二項であります。それから、第三者機関の名称を特定個人情報保護委員会とした上で、これ三十六条でありますが、特定個人情報とともに管理されている通常の個人情報の取扱いに関しても指導及び助言ができるよう委員会の権限を拡大をした五十条であります。それから、附則におきまして、特定個人情報保護委員会の更なる権限の拡大等、附則第六条二項でありますが、それから本人確認措置に係る新たな認証技術の導入等、これは附則第六条第四項でありますが、につきまして検討規定を設けたこと。それから、マイポータルの設置、これは附則第六条第五項であります、及びその活用等のために必要な措置、これは附則第六条第六項でありますが、これらが前回の法案と今回の法案、三党で原案を修正して出されている法案のその相違点であります。
  165. 岡田広

    岡田広君 改善点を織り込んで三党の英知、知恵を集めて作られた法案ということで種々説明がありましたが、この法案衆議院審議において五党による修正が加えられています。  この修正の中で、この法案の目的に行政運営の効率化及び行政分野におけるより公正な給付と負担の確保の視点を明記し、基本理念において国民の利便性の向上及び行政運営の効率化に資することを明記する趣旨の衆議院における修正については、私は、国民目線で取り組むことを強調するものであり、特に基本理念の修正について国民の利便性の向上というのを先に持ってきたということに対して大変高く評価をしたいと考えています。  この修正が加わった部分の内容について、甘利大臣はどうお考えでしょうか。
  166. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 政府は、政府案を提出するときにそれがベストと思って提出する、それは当然のことだと思います。その後に審議の中で与野党で更にこうした方がもっといいんではないかという改善が加わると、これはこれで評価できるものだと思っております。  中身については、全体的に見ればそういうふうに読めますよという思いを政府は抱いていますけれども、それをきちんと、例えば目的、一条にきちんと書くとか、より法案自体を読んで素直に分かりやすく、何のための法案で、どういうことを目的としているかということがはっきりするように加えられた修正だと理解をいたしております。
  167. 岡田広

    岡田広君 ありがとうございました。  次に、番号制度の安全性の確保についてお尋ねをしたいと思います。  この番号制度については、その意義や必要性については国民の皆様も理解をしているんだろうと思います。しかし一方で、個人情報保護やプライバシー保護の観点からこの番号制度導入を心配する声があることも事実であります。  政府におかれましては、この国民懸念対応して、様々な措置を講じて安全性を確保し、番号制度の円滑な導入と執行に当たっていただきたいと考えております。その際、番号制度導入している諸外国の状況も踏まえ、個人情報の保護について可能な限りできることは全部やっていくという姿勢で臨んでいただきたいと要望をしておきたいと思います。  この個人情報の保護の観点からの国民懸念に対して、具体的にどのように安全性を確保し対応していくのか、甘利大臣考え方をお尋ねをいたします。
  168. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 日本においてこの種の番号制度導入が遅れた理由について、かつて委員会で聞かれたことがあります。そのときに、不安を払拭し切れなかったということを私は答弁しましたけれども、それと同時に、質問者から利便性の説明もまだ足らなかったんじゃないだろうかということがありました。それはそのとおりだと思います。  そこで、国民の不安にどうこたえるか。これはいろいろ制度面から不安をなくすということと、システム面からとか、いろんな多方面からの不安の払拭に努めてまいっております。  具体的にということでありますから申し上げますと、制度面における保護措置といたしましては、番号法の規定によるものを除いて個人番号利用、収集、保管、提供などを禁止をいたしております。そして、個人情報が保護される仕組みとなっているかを事前に評価をする特定個人情報保護評価の実施をいたすことといたしております。それから、特定個人情報保護委員会による監視、監督をしっかり行う、それから、情報提供ネットワークシステム利用した情報の提供における提供記録の保存、それから、罰則の強化等々、措置を講ずることといたしております。  それから、システム面における保護措置でありますけれども個人情報を一元管理をしないで分散管理をするということ、それから、情報提供ネットワークシステム利用した情報提供に際して、個人番号とは別の符号を使用するということ、それから、アクセス制御によりアクセスできる者を制限、管理をするということ、それから、通信の暗号化を講ずる等々、措置を講ずることといたしております。  いずれにいたしましても、国民理解を得まして番号制度を円滑に導入できるように、担当大臣として関係省庁や地方自治体の協力を得ながら、しっかりと対応してまいりたいと思っております。
  169. 岡田広

    岡田広君 大臣から、この番号制度について利便性の説明が足りなかったという謙虚な答弁がありました。是非、個人情報の保護に万全を期することは言うまでもありませんが、このマイナンバーの利活用がちゅうちょすることにならないように、個人情報の保護とそして利活用のバランスが取れた対応が必要であり重要であると考えますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  衆議院での附帯決議にもあるように、特定個人情報の一層の強化に資するよう、特定個人情報を取り扱う公務に従事する者又は従事した者の守秘義務の厳罰化などの措置の検討も必要だと考えます。ここは厳しく取り組んでいただきたいと思います。これは要望にとどめたいと思っております。  先ほど利便性の説明が足りなかったという答弁がありましたけれども、まさに行政の使命、政治の使命、役割、責任というのは、住民の、国民皆さんの不を取り除くというのが私は仕事なんだろうと、そう考えています。不安を安心に変えていく、不満を満足、そして不信を信頼に変えていく、不公平を公平、内閣支持率でも不支持から支持がいいわけで、不を取り除くというのが行政、政治の責任、使命、役割ということで、是非この国民皆さんの不安を払拭するように個人情報の保護には万全を期していただきたいというふうに考えております。これは要望しておきたいと思います。  現在、現代情報過多の時代です。インターネット等を通じて身の回りに種々雑多な情報があふれ返っている中で適切に情報を取捨選択することを国民皆さんは迫られているんだろうと思います。そのような状況の中で、行政サービスを提供する行政機関の役割として、国民にとって真に必要な情報を適切なタイミングでお届けするという視点も欠かせないのではないかと考えます。  国民年金の保険料の未納の問題なども、意図的に保険料を納めないというケースも、悪質なケースもあるかとは思いますが、未納者の中には転職等の際についうっかりして必要な手続を行うのを失念してしまったりして結果的に未納状態があったというケースもあるのではないかと考えます。現在の行政サービスは基本的には申請主義で行われていますが、行政機関の側から適切なタイミングで手続の案内が来る、いわゆるプッシュ型サービスの提供ということも考える必要があります。この番号制度を活用すれば、行政機関が国民一人一人の置かれた状況をより正確に把握することも可能となるわけであります。政府では番号制度導入と併せてマイポータルの整備検討していますが、このポータルを利活用すれば様々な行政サービスをプッシュ型で実現することも可能になると考えます。  そこで、甘利大臣に伺います。  政府では、今後マイポータルにおいて具体的にどのような機能を実現し、国民の利便性向上につなげていこうとしているのか。また、その際に忘れてはならないのは、高齢者やパソコンを持っていない情報弱者への対応も忘れてはいけないんだろうと思います。国民利用しやすい環境の整備、デジタルデバイドの解消といった問題に今後どのように政府として対応していくのか、お尋ねをしたいと思います。
  170. 甘利明

    国務大臣甘利明君) マイポータルにおきましては、行政機関などの間で行われた情報提供記録等の確認、それから行政機関が保有する自己情報の確認、そして今も御指摘になりましたいわゆるプッシュ型サービスと言われる行政機関からのお知らせ情報の表示、それからワンストップによる各種申請を自宅のパソコンなどから行えるようにしたいと考えておるわけであります。  それから、今御懸念がありました高齢者でありますけれども、高齢者などのいわゆる情報弱者と言われている方々への配慮としましては、公的機関へインターネット端末を設置することや、設置しただけじゃ使えないじゃないかという話がありますから、これは厳格な本人確認の下に、任意代理人によるマイポータルへのアクセスを可能とするなど、国民の利便性向上の観点から引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
  171. 岡田広

    岡田広君 ありがとうございました。  次に、個人番号カードについてお尋ねをいたします。  この番号制度では、市町村長が個人番号カードの交付を行うこととされており、国民社会保障や税の分野の様々な手続を行う場面で個人番号カードを利用することになります。  個人番号カードは、現行の住民基本台帳カードを改良して個人番号カードを新たに導入するものとされておりますが、現行制度の下で住民基本台帳カードの発行枚数、これは昨年の十二月時点、これは委員会でも答弁が出ておりますが、累計約七百十四万枚、全人口に占める普及状況は約五%にとどまっています。  先日の参議院内閣委員会での質疑で西村副大臣は、住民基本台帳カードは年に数回しか使用していないから家の机の中にしまっていると答弁されておりました。このカードの利用頻度が少ないから国民が利便性を実感できず、カード取得のインセンティブが働かないため余り普及してこなかったのではないかと思います。年に一回しか使わない、二回しか使わないというと、家の中に、机の中に、西村副大臣のように机の中に、しまっている場所が分かる人はいいですけれども、なかなか一般の人はどこに、そして紛失をして再交付をするということがあるわけであります。  そういうことで、貴重な税金を投入して個人番号カードを発行するわけでありますから、この個人番号カードを利用する人が増えないと意味がないわけであります。この個人番号の普及促進のためには、国民の利便性向上の観点からしっかりとこれからもPRをする必要があるんだろうと考えております。  この個人番号カードの普及、利用促進のため、どのように個人番号カードの利便性向上に努めるつもりであるか。また、この番号法では市町村長に個人番号カードの円滑な取得のために必要な措置を講じる義務を課していますが、具体的にはどういうことをするのか、これは総務省にお尋ねをしたいと思います。
  172. 北村茂男

    大臣政務官(北村茂男君) 市町村長さんに講じていただく個人番号カードの円滑な取得のために必要な措置としては、通知カードとともに個人番号カードの申請書を送付していただくことを考えているところでございます。  また、個人番号カードの円滑な取得のため、住民が市町村の窓口に二度三度行かなくても、一度来庁すればカードを取得することができるようにする方向で今手続を考えるとともに、市町村の事務の負担及び費用軽減のため、個人番号カードの発行の作業を全市町村が地方公共団体情報システム機構等に委託も可能にする方向考えているところでございます。  また、個人番号カードの普及、利用促進のためには、個人番号カードの利便性向上に努めることも当然必要と考えており、総務省といたしましても、ICチップの空き領域の利用方法などについて、各方面の意見も踏まえながら今後とも適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
  173. 岡田広

    岡田広君 北村政務官、ありがとうございました。  この個人番号カードは、身分証の代わりに使用されることも想定をされているということであります。同じように身分証代わりに使用されるカードとして運転免許証があるわけでありますが、ほとんどの方は、運転免許証を紛失等した場合には警察に届け出て、免許証の再交付を受けております。年間七十万件の再交付があるそうであります。そういう中で、紛失等の失効、新規というのは約二十三万件もある。この中で、全国で、参考まででありますが、一番多いのは甘利大臣の神奈川県、約二万件強ということで、二十三万件の紛失、失効の中に一割近くなるという、こういう数字も出ているということも少し頭の中に入れていただければと思います。  もし、この住民基本台帳カードと同様に、個人番号カードを利用する機会が少ないままだと、カードをたんすや机の中にしまったまま月日がたつうちにカードの所在が分からなくなる。そうした場合に、個人番号を紛失したとして、最寄りの市町村の窓口で個人番号カードの再交付を受ける人が増えてくる。市町村の窓口業務の負担にもなりかねない。免許証は全ての方々が取っているわけではありません。個人番号カードは、全ての国民皆さんがこれは個人番号が付くということでありますから、市町村の窓口業務の負担をなくすという観点からも個人番号カードの利便性向上を図る必要があるんだろうというふうに考えておりますが、これは甘利大臣、いかがでしょうか。
  174. 甘利明

    国務大臣甘利明君) おっしゃるとおりでありまして、神奈川県が不名誉な一番というのはどうしてかよく分かりませんけれども、とにかく大事なもので紛失に特に気を付けてもらうこと、それから利便性が高いものであるということ、取扱いはしっかりしていただくと。しかし、その限りにおいて活用はかなり当事者にメリットとして返ってきますよということをしっかり徹底したいと思っております。  この制度導入していくに際しまして、いろいろ都道府県ごとに講習会といいますか、何回も回数重ねてやらせていただきました。そして、四十七都道府県で、全ての県でシンポジウムも開催をさせていただきました。それから、地方公共団体向けの、職員向けにはたしか百五十回ぐらい説明会を開いて、趣旨が地域の方々に伝わるように今日までも取り組んできましたし、これからもしっかりやっていきたいと思っております。
  175. 岡田広

    岡田広君 甘利大臣は、これからこの番号制度を執行されると、最初の三年で限定使用の中で必要性というものがおのずと出てくるのではないかと思いますと。さらに、国民議論も高まってくる。最初は小さく産んで、それからセキュリティーを確認しながら広がっていき、利便性が広がっていくということになるんだろうと、そういうふうに考えています。  そこで、この番号制度利用範囲の拡大についてお尋ねをしたいと思います。  諸外国の先進事例を見ますと、スウェーデン等の北欧諸国のように番号制度を幅広く様々な行政分野や民間取引で利活用している国、ドイツのように税務分野で番号制度導入しているものの、ほかの分野での利用に慎重な国とがあるわけであります。様々な背景や経緯で、国によってこの番号制度の利活用の状況には差異があると思います。  我が国では、小さく産んで大きく育てるとの観点から、社会保障分野と税制及び災害対策の分野から番号制度利用していくということにしているわけでありますが、この災害発生時の個人番号の利活用といった側面から甘利大臣にお伺いしたいと思います。  この番号制度向井議官ですか、災害時にどのように利用していくのか、お尋ねをしたいと思います。
  176. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  災害時の番号制度利用に関しましては、東日本大震災の被災地からの要望も踏まえまして、番号法案では、被災者再建支援金の支給に関する事務、それから地方公共団体の条例で定める防災事務等に個人番号利用できることとしております。  また、現在衆議院審議中の災害対策基本法等の一部を改正する法律案におきましては、災害が発生した際には、市町村長が被災者台帳を作成し、各機関が有する防災者情報の共有ができるよう措置されております。この被災者台帳の作成事務につきましても個人番号利用することが念頭に置かれております。  災害発生時に個人番号制度を有効に活用するとの観点は非常に重要でございますので、例えば第三者委員会特定個人情報保護委員会におきます災害時などにおける柔軟なこのマイナンバーの活用の承認も含めまして、今後とも検討してまいりたいというふうに考えております。
  177. 岡田広

    岡田広君 災害発生時には、住民は自治体が設置する避難場所等に避難をするわけであります。まず、避難するときはもちろん必死でありますから、自分が安全に避難をする、家族が無事かどうか、そしてその次に、家族の無事が確認されれば、三軒隣にいた高齢者、障害者の方はどうしたんだろうか、そういうふうに考えれば、避難所に見当たらないけれども安全に避難できただろうかということを考えるのではないかと思います。  消防や救助隊が災害発生時に救助活動等を行う場合に、独り暮らしの高齢者や障害者等のいわゆる震災時要援護者の所在確認を迅速に行うことができれば、その方々を早く助けることができるのではないかと思います。  災害対策基本法等の一部を改正する法律案が今国会提出されておりますが、その中では、要援護者名簿の作成事務などが新たに設けられています。事前に本人の同意を取ることは必要だと思いますが、この要援護者名簿と個人番号をリンクされて利用することは可能であるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  178. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 番号法案におきましては、地方公共団体の条例で定める防災事務に個人番号利用できることとしております。  したがいまして、御指摘の要援護者名簿の作成等におきましても、地方自治体におきまして条例で定めることにより、個人番号利用することが可能となります。
  179. 岡田広

    岡田広君 災害発生時にこの番号制度をどのように活用することができるのかといった点については、各自治体の長にも知ってもらうことが大事だろうと、そういうふうに思っています。事務ベースではなくして、各市町村のトップセミナー等も開きまして、ここをしっかり理解をさせていただきたいということを、これは要望をさせていただきたいと思っています。  地方公共団体に対する財政支援でありますけれども、この番号制度導入に当たって、地方公共団体システム改修や個人番号の付番等の事務処理に要する経費に関して地方公共団体への財政支援をどのように考えているのか、総務省にお尋ねしたいと思います。
  180. 望月達史

    政府参考人(望月達史君) 番号法案におきましては、地方公共団体は、個人番号利用をするだけではなく、関係機関より情報提供ネットワークを通じて照会があった場合に所得情報等を提供することや、あるいは個人番号の付番などの事務が義務付けられております。そのための関係システム整備などがこれから必要になってまいります。  こうした地方公共団体システム整備は、番号制度導入及び運用に当たり不可欠なものであり、地方公共団体理解と協力を得ながら取り組むことが必要でございます。  こうした観点を踏まえ、これらのシステム整備に要する経費など、地方公共団体負担に対する財政的支援につきましては、今後、財政当局ともよく相談しながら検討してまいりたいと考えております。
  181. 岡田広

    岡田広君 この番号制度を円滑に導入するためには、国民に対する広報普及活動が大事であります。この番号制度導入によって国民の利便性向上という観点でどのようにメリットがあるのかという点を明確に国民皆さんに説明して、制度への国民理解を深めていくことが重要だと思います。  安全性についてはどんなに万全を期したとしても、一〇〇%絶対大丈夫ということはなかなか言えないんではないかと思いますけれども、結局のところは、国民の一人一人が番号制度について理解をし、情報化社会に対応したリテラシーを高めていくことが極めて大事だと考えます。政府として教育活動や広報活動にしっかりと取り組むことが責務とされておりますが、具体的にどのように取り組んでいくのか、甘利大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
  182. 甘利明

    国務大臣甘利明君) この番号制度を円滑に導入し、そして定着をさせていくためには、いろいろなことに取り組まなければならないと思っております。この番号制度の意義と具体的な内容であるとか、番号制度メリット、それから個人番号個人情報の取扱いに当たっての留意事項等について国民に具体的なイメージを持っていただけるように、そうやって御理解いただけるように丁寧な説明が必要かと思います。  先ほどもちょっと触れましたけれども、対国民の皆様に対しましては全国四十七全ての都道府県でシンポジウムというのを開催をしてまいりました。それから、先ほどもちょっと触れましたけれども地方公共団体の職員に向けては説明会をやってきたわけであります。この両方、回数合わせますと二百回近い開催をしてきたわけであります。そうしたこれまで行ってきた活動の成果課題を検証しつつ、関係機関と連携、協力しながら、国民各界各層ごとの疑問やあるいはニーズに合ったきめ細かい広報普及活動を積極的にやっていく必要があるものと考えております。
  183. 岡田広

    岡田広君 ありがとうございました。  このマイナンバー制度は、赤ちゃんが誕生したときから始まり、成長とともに活用されていくわけであります。私は、様々な教育課程等を始めとした啓発、教育の機会をとらえてこのマイナンバー制度の重要性、必要性、利便性を教えていく、広げていくことが大変大事だと考えておりますが、文部科学省ではどういうお考えでしょうか。
  184. 関靖直

    政府参考人(関靖直君) この番号制度は、社会保障制度、税制など、社会におきまして生活していく上で全ての人にかかわる制度でございます。このため、法案におきまして、国は、教育活動、広報活動その他の活動を通じて、個人番号及び法人番号利用に関する国民理解を深めるよう努めることが盛り込まれております。  学校教育におきましては、例えば社会科や公民科におきまして社会保障や租税などを学習することとされているわけでございますけれども、文部科学省といたしましては、本法案が成立した後には、関係省庁とも連携しつつ、各学校におきましてこの番号制度の意義や仕組みにつきまして、発達段階に応じて適切な指導が行われるよう努めてまいりたいと考えております。
  185. 岡田広

    岡田広君 是非、学校教育の中でもしっかりとこれを教えていっていただければと思います。  次に、新たに設置される内閣情報通信政策監、いわゆる政府CIOについてお尋ねをしたいと思います。  この内閣情報通信政策監は、具体的にどのような権限を有し、それらの権限は従来の縦割りの弊害を打破するに十分な権限と言えるのかどうか、山本大臣のお考えをお尋ねします。
  186. 山本一太

    国務大臣(山本一太君) 政府CIO法案において、政府CIOたる内閣情報通信政策監は、各府省の大臣政務官と並ぶ高い位置付けで内閣官房に置かれることにより、各府省に対して高度な総合調整権限を自ら行使することが可能となっております。  さらに、政府CIOは、IT総合戦略本部に各国務大臣と並んで本部員として参加するとともに、政府全体を横串で刺した府省横断的な計画の作成など、本部の事務を一部委任を受けて行うことができると、こうされております。必要に応じて本部長たる内閣総理大臣に意見を述べることができるということも規定をされています。  加えて言いますが、衆議院で議決された修正案においては、政府CIOに事務を委任できる主体が本部長、内閣総理大臣とされ、また各府省等に対する資料提出等の協力の求めに関する事務も委任できることとされました。加えて、政府CIOからの意見及び報告に基づいて本部長が関係行政機関の長に対して勧告できると、こうされております。  これらのことから、政府CIOには縦割りを打破するのに十分な権限が付与されていると考えております。IT政策担当大臣としても、政府CIOを最大限バックアップをさせていただいて、省庁横断で横串を刺したIT政策を強力に推進してまいりたいと考えております。
  187. 岡田広

    岡田広君 ありがとうございます。  この政府CIO、内閣情報通信政策監が設置をされることは大変画期的なことであるというふうに考えています。ただ、当然、この政府CIO、政策監だけではとても足りないわけでありますから、この人材の育成、職員研修が非常に重要になってくるんだろうと思います。  各省庁のIT人材を育成することも重要な課題の一つでありますが、ただ、役所の中で人材を育てていくことも大変大事ですが、なかなか育つまでに時間が掛かる、そういうことになりますと、民間の優秀な人材を活用していくということも必要だろうと考えているんですが、山本大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  188. 山本一太

    国務大臣(山本一太君) 今委員おっしゃったように、政府CIO、相当法的には強力な権限、立て付けで設置をすることになりますが、政府CIOに横串の政策を推進していただくためには、しっかりとそれをサポートするスタッフが必要だと思っています。  今、大規模なシステム改修についてなかなかうまくいかない事例があちこちで指摘をされておりますけれども、やはりCIOを補佐するCIO補佐官を今般増やしましたけれども、こういう体制もしっかりつくっていかなければいけないと思いますし、特に政府内におきましては、研修等々を通じて、これはシステムにかかわるんですけれども、ITの発注力、システムの発注力というものもしっかり向上させていくようなことをやってまいりたいと考えております。
  189. 岡田広

    岡田広君 この番号制度導入は、国の形を変える画期的なものであります。番号制度導入後は、国と地方公共団体の各機関相互で情報提供ネットワークシステムを介してIT連携が行われるようになるわけであります。  国におけるIT化と地方公共団体におけるIT化を総合的に進めていく必要があるんだろうと思いますが、地方公共団体における情報システムの構築、整備の面で内閣情報通信政策監はどのような役割を果たすことになるのか、山本大臣にお尋ねをしたいと思います。
  190. 山本一太

    国務大臣(山本一太君) 今回の政府CIO法案では、地方公共団体からの協力の求めに応じる努力義務をIT総合戦略本部に課すこととしております。  委員御存じかもしれませんが、改正IT基本法の三十二条で、地方公共団体は、第十一条に規定する施策又は実施のために必要があると認めるときは、本部に対し、情報の提供その他の協力を求めることができると。二項として、本部は、前項の規定による協力を求められたときは、その求めに応じるよう努めるものとするというふうに書かれておりまして、内閣情報通信政策監は、自らの知見及びIT総合戦略本部の事務を通じて蓄積された知見に基づいて、IT総合戦略本部を通じて、先ほどの法律にあるように、情報システム整備等に有益な情報の提供地方公共団体に対する協力を行うことができると、こういうことだと思います。
  191. 岡田広

    岡田広君 また、各府省のこのIT政策について横串を刺してやる内閣情報通信政策監を設置するにもかかわらず、財務省が行うIT予算の査定方法は相変わらず各府省庁別の縦割りというものも改善すべきであると考えています。  このIT政策は、安倍政権にとって極めて重要なテーマであります。だからこそ、この番号制度導入内閣情報通信政策監の設置をてこにして、これまでの延長線上にとらわれない大胆でスピード感を持った取組によってIT政策や電子政府を立て直す最後のチャンスと私は考えていますが、山本大臣のお考えと決意をお尋ねをしたいと思います。
  192. 山本一太

    国務大臣(山本一太君) 今、岡田委員の言った予算の件でございますが、この法案が通れば、IT本部ではなくて本部長、総理大臣が経費見積り方針のような仕事についても、これを政府CIOに委任をすると、こういうことができるようになりますので、そういう権限に基づいて、しっかり省庁横串の予算編成についても影響力を及ぼしていただこうと、こう考えております。  平成二十五年の一月二十五日に開催された日本経済再生本部で安倍総理から、世界最高水準のIT社会を実現するべくIT政策の立て直しを検討してくれと、こういう御指示をいただきまして、今新たなIT戦略について私の下で検討を行っております。  委員指摘のとおり、番号制度導入とか内閣情報通信政策監の設置は、電子政府を含むIT政策を立て直すための極めて有用なてこになるということを私も認識をしております。これまでの戦略は、国民目線とか利用者視点の欠如、省庁間の連携が不十分だったと、こういったこともあって、なかなか具体的な成果に結び付かなかったという反省はしっかり持っていなければいけないと思っています。  こういう反省を踏まえて、これまでの延長線上にとらわれない新たなIT戦略の素案について、今IT総合戦略本部のIT戦略起草委員会等で検討を行っております。特に、内閣情報通信政策監、いわゆる政府CIOは、高度な総合調整機能を発揮をして省庁間に横串を刺し、政府のIT政策の司令塔として機能していただくと、こういうことが期待されておりまして、IT政策担当大臣としても、新しいこの法案が通れば設置されるであろう政府CIOをしっかりバックアップし、IT政策をスピーディーにかつ強力に推進してまいりたいと思います。そのためにも、政府CIOを法制化する法案の早期成立に向けて御議論いただいておりますけれども、御理解、御協力をいただきたいと思います。
  193. 岡田広

    岡田広君 ありがとうございました。しっかりと、この法案が成立した後、IT政策に取り組んでいただきたいと思います。  IT時代って、ITって情報過多の社会だと、私はそういうふうに考えています。ITのIはインプットするI、情報がたくさん入ってくる時代。そして、たくさん入ってきた情報の中で自分の仕事や生活にどの情報が役立つか、今度はインタレスト、興味を示す、関心を示すI。そして、興味、関心を示した情報に対して今までの自分の経験を踏まえる、イマジネーション、想像する心も大事なんだろうと思います。  そして、何よりも一番大切なIは、アイデアのIということではないかと私は思っています。二十一世紀は知的所有権の時代だと言われています。これからの時代は、新しい発想やアイデアで勝負をする時代だ。この新しい発想やアイデアというのは感動や感激から生まれてくる。この内閣情報政策監の監。カンという話すると長くなるからしませんけれども、日本の単語の漢字の中で七十以上あります、一番多い漢字の一つです。汗もカンです。そして、アイデアのI。  世界地図の中でアフガニスタンはどこか、ソマリアはどこかと探すときには、東経何度、北緯何度ということで、よこの糸、たての糸で世界のどんな場所も探し出すことができるはずです。そういうことから考えると、インターネットやiモードはよこの糸。たくさん入ってくる情報の中で、IT政府、電子政府をつくるためにはどの情報が大事か、自分の私生活にはどの情報が大事かと、情報を取捨選択しないと情報にうずもれてしまうということになるのではないかと思います。たくさん入ってくる情報の中でどれが大事かという取捨選択する、それが自分の考え方、物差しを作り上げる、これがたての糸だと思います。このたての糸が構築できないと、IT時代からは取り残されてしまうということになるのかもしれません。だから、マイナスという記号は横一本なんです。たての糸を重ね合わせるとプラスという記号に変わります。常にプラス思考、たての糸がいかに大事か。  そして最後のIは、この内閣情報政策監、政府CIO、これはまさにIT政策、電子政府を構築していくためのインストラクター、最後のIは指導者になる、そういうことがとても大事なんだろうと、そういうふうに思っています。  このことも少し頭の中に入れていただきまして、しっかりと頑張っていただきたい、このことを要望をいたしまして、五分早いんですが、質問を終わりたいと、あ、十五分短い。  ありがとうございました。
  194. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合です。  最初に、マイポータルについて質問をいたします。  マイポータルを利用する前提として、まず個人番号カードを取得しなければなりませんが、この個人番号カードの取得というのは希望制になっておるんで、これについては一定の普及が必要という答弁でありまして、大いに推奨するというような答弁じゃなくて、一定の普及が必要という、ややちょっと抑制の掛かった答弁だったんですが。  しかし、マイポータルそのものについての活用、これについては推奨されるという理解でよろしいのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  195. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) まさにこのマイナンバー制が導入されて、その利便性を実感できる一つだと思いますので、これは是非推奨してまいりたいというふうに思います。
  196. 谷合正明

    ○谷合正明君 マイポータルには四つの機能があると。一つは情報提供記録表示と、もう一つは自己情報の表示、そしてワンストップサービス、またプッシュ型サービスということでありますが、これら四つの機能というのは、これ同時に運用開始ということになるのか、あるいはタイムラグ、時間を置いて順次運用開始されていくものなのか、この点について確認したいと思います。
  197. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 法施行後一年を目途に設置するマイポータルには、御指摘のように、四つの機能がございます。  このうち、情報提供記録の表示及び自己情報の表示機能につきましては、特に自己情報の表示機能が全てできるかどうかは微妙でございますが、マイポータルを設置し運用を開始するのと同時にこれらのサービスの提供を開始する予定でございます。  それから、ワンストップサービスにつきましては、既存の電子申請等の、e—Gov等のサービスが存在することを踏まえまして、政府サービスの提供内容、提供開始時期につきまして関係省庁と連携して進めたいと思っております。これは、可能な限り早期に提供できますよう調整してまいりたいと思っております。  それから、プッシュ型サービスにつきましては、機能そのものはマイポータルの設置時点から実装すべく準備を進める予定でございますけれども提供されました個々の具体的サービス、コンテンツにつきましては、マイポータル設置後に段階的に拡充されていくものと考えております。
  198. 谷合正明

    ○谷合正明君 プッシュ型サービスですけれども、これは、言わば申請主義から逆に、情報を行政の方からプッシュということですから方向転換で、極めて意義のあるサービスだと思っておりますが、具体的にどういった情報を中身として想定されているのか。いわゆる給付に関する情報であるとか、今ですと、はしか感染の予防接種の情報だとか、そういったことがあるんだと思いますが、もう少し国民に分かりやすい内容を教えていただきたいと思います。
  199. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) プッシュ型サービスにつきましては、一つは、何といいますか、いわゆる一般に行われているようなサービスを表示するような、いわゆる予防接種とかそういうものと、その人に特殊な事情によるもの、例えば児童扶養手当的なものですね、そういうふうなもの、両方あると思うんです。それは、特に個人をある程度特定するようなプッシュ型のサービスというのは、やっぱり主に地方自治体がやっていることが多うございますので、それはやはり地方自治体の独自性というのはかなり発揮されるのではないかと。一方で、一般的なものにつきましては、みんなプッシュでされると困るということも、かえって面倒というふうな話もあるかもしれませんので、例えば登録したらもらえるとか、そういうふうなことも考える必要があるのかなというふうに考えております。  いずれにしても、これらにつきましては、どういうのが最も国民の利便性に沿うのかというのをよく検討しながら進めてまいりたいと思います。
  200. 谷合正明

    ○谷合正明君 それで、自宅のパソコンでマイポータルを確認する場合には専用のカードリーダーが、いわゆる個人認証するために必要だと思いますが、カードリーダーを新たに購入する必要があるということでしょうか、そしてそれは幾らぐらい掛かるものなんでしょうか。
  201. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 現在の個人認証制度は、カードリーダーでカードを読み取るというものでございますので、カードリーダーを買っていただく必要があるということでございます。値段につきましては、安いもので二千円ぐらいからあるというふうに承知しております。
  202. 谷合正明

    ○谷合正明君 二千円ぐらいから、まあ上の方は私は分かりませんけれども、いわゆる投資にというか見合うメリットがあればそれは買うんだと思うんですけれども住基カードも、いわゆるこのカードリーダーの購入が言わばちょっと面倒だということで住基カードもなかなか普及しないということを考えますと、これ、どうなんでしょうね、メリットを増やしていくということもあると思うんですが、負担をしっかり軽減していくということも考えていかなきゃならないと思うんです。例えば、住民税非課税世帯に対してはどうするんだとか、この辺り、将来的にどういう検討をされていくんでしょうか。
  203. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) この手の認証手段につきましては、カードだけというわけではなくて、将来的には例えばスマホからできるとか、あるいは、場合によっては生体認証なんかも検討することも考えられるというふうに思います。  これらにつきましては、もう制度開始早々から、より利便性の高く、またセキュリティーのしっかりした方に検討してまいりたいというふうに思います。
  204. 谷合正明

    ○谷合正明君 将来的にスマホからも可能な技術を開発したいということだと思うんですけれども、スマホで見ることができると大分便利になってくると思います。それがスマホでまだすぐにはできないということなんですね、現状としては。  それで、マイポータルにたとえ知らせが届いたとしても、その人が常にアクセスをしているわけじゃないと思うんですね。見ていないことが多いと思うんですが。例えば、自動的にマイポータルに情報が届いたよという、そういう通知が御本人の携帯とかに届くようなそういうメール送信サービスなんか、こういうことも何か技術的に検討課題としてできないんでしょうか。
  205. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 今御指摘の、例えばマイポータルにお知らせが届いたりという、リアルタイムで知らせるようなメールサービスみたいなことは、いわゆる新着通知でございますけれども、これは現在検討しております。できれば導入したいというふうに考えております。
  206. 谷合正明

    ○谷合正明君 是非、導入していただきたいと思います。  もう一つは、パソコンを使わない方への配慮ということで、先ほども質問がありましたが、附則第六条の第五項のこの配慮規定ですけれども、どうでしょうかね、どのように配慮していくのかという点について伺いたいと思います。
  207. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) まず、公的な機関にパソコンを置きまして、そこからアクセスできるような、そういうふうな場面を設けたいというのが一つ。  それから、今回の番号法では、法定代理人だけではなくて、自己情報を任意代理人が取得できるというふうな、そういうふうになっております。これは、特に想定されますのは、福祉施設なんかに入っておられる高齢者の代理を例えば福祉施設の信用できる方がやるとか、そういうふうなことも可能になってくるんではないかと。あと、成年後見制度利用されていない方でも、例えば自分の子供を代理人にする、法定ではなくて任意代理人にするということも考えられるのではないかというふうに考えます。
  208. 谷合正明

    ○谷合正明君 分かりました。  公的機関に設置するということでありますが、例えば視覚障害者の方ですと音声読み上げソフト、こういった対応も必要になってくると思うんですが、こういうきめ細かな対応もしっかり公的機関で対応、今後はやっていくということでよろしいんでしょうか。
  209. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 視覚障害者等につきましては、マイポータルの情報弱者に対してきめ細かな対応が必要だと思っております。例えば、カードの場合でも点字付きを検討するとかということも必要になってまいると思いますし、今先生御指摘されたような読み上げソフトなんかも必要となってまいると思います。  ただ、読み上げソフトを用いた際に、盗み聞きされないような措置を講ずる必要もあるのかなと、そういうような細かな配慮が必要になってくるというふうに考えております。
  210. 谷合正明

    ○谷合正明君 視覚障害の方は、例えば日常の生活の中で、先ほど任意代理人の話がありましたけれども、ちょっとしたことの作業でサポートしてくれる人がいると大変助かるという話なんですね。いわゆる第三者の方が助けてくれるということなんですが、例えば公的機関に行って読み上げ音声ソフトなんかを一緒に手伝うといったときに、また、読み上げ音声ソフトなんかは周りの人に聞こえちゃなりませんから多分密室か何かでやるんだと思いますが、そこに第三者が一緒に入っていくというようなことも想定されるんですけれども、逆に、そういった方がいわゆる個人情報保護との観点でトラブルに巻き込まれないでほしい、させないでほしいというような要望も聞いておりまして、この辺りの配慮というのは、任意代理人という話になってくるんだと思いますが、どのように検討されているんでしょうか。
  211. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 確かに、おっしゃるとおり、余り遮断してしまってもそういう問題も起こり得るし、そこら辺の、何といいますか、具体的な設置につきましては、まさにこれから検討だという話だと思いますけれども、そういう団体の方からも意見を聞きながらやってまいりたいなというふうに思っております。
  212. 谷合正明

    ○谷合正明君 それで、代理人あるいは任意代理人ですが、後見人になっているとか、そういう方はまあ何となく分かるんですけれども、第三者でいわゆる後見人になっていないような方とか、あるいは一般にお手伝いに来ているという方が本当にその方が代理人なのか、任意代理人なのかということの確認は、どのようにその本人確認をするんでしょうか。
  213. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) マイポータルの場合ですと、対面ではございませんので結局電子的な手段で任意代理人であることを確認する必要がありますので、この代理権があるということにつきましても、公的個人認証等の、そういう認証強度の高い手段であらかじめ例えば代理人であることの権限を証するような、公的個人認証みたいなことを検討する必要があるのかなというふうに考えております。
  214. 谷合正明

    ○谷合正明君 分かりました。  それでは、最後の質問にいたしますが、言わば高齢者ですね、認知症高齢者とかを狙った不正防止対策というものを検討していかなきゃならないと思うんですが、今御説明のあった代理人とか任意代理人とかいう、そういう仕組みも考えているということでありますが、そうなりますと、例えばの話、高齢者を抱える家族でありますとか、あるいは後見制度利用しているような組織体、そういったところに対する不正防止対策の啓発というんでしょうか、こういうところも必要だと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  215. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 現在、例えば振り込め詐欺なんかでも随分テレビ等で、いろんな手段で啓発されておりますけれどもマイナンバー施行されまして、それでマイポータルというものが広まっていく際には、それに合わせて、不正なそういう勧誘とかそういうものに対する防止につきましても同様にそういう広報活動が必要になってくるものというふうに考えております。
  216. 谷合正明

    ○谷合正明君 それでは、私の方の時間も参りましたので、マイナンバーについては今週の火曜日に引き続いて二回目の質問でございますので、是非、国民の不安を解消しつつも、一方でメリットについて政府側のしっかりとした説明を国民に求めまして、私からの質疑とさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  217. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  218. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 速記を起こして。
  219. 米長晴信

    ○米長晴信君 ありがとうございます。みんなの党の米長晴信です。よろしくお願いします。火曜日に引き続き質問させていただきます。  予定していた質問の前に、今日あった議論で幾つか質問したい点がありますので。例えば、保管してはならないと、番号の情報ということの引き合いで、例えばレンタルショップで身分確認ということでコピーと。裏面に仮にその番号が書いてあったとしたら、そっちは禁止するということを例えば法的に整備したとしても、ひっくり返してコピーするときに店員は目にするわけですね、この数字を。情報はちょっと拡散すると。  ただ一方で、その数字知っただけではなかなかすぐには悪用できないと思うんですよ。例えば、私がどこかで、役所で、私は白眞勲です、生年月日は昭和三十三年十二月八日ですと。(発言する者あり)いや、調べておいたんですよ、一応。それに加えて、仮に私がちょっとカードを見せてくださいなんというやり取りの中で番号を知っていて、番号も加えてそういったことを言ったからといって、すぐに悪用できないと思うんですよ。  じゃ、悪用し得るケースというのはどういうことか、教えていただけますか。
  220. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 御指摘のとおり、このマイナンバーというものは、元々は税の世界なんかで例えば会社には知られ得る、そういうふうな番号でございまして、そういう意味では知られちゃならない番号では必ずしもないと。  ただ、みだらに知られてそういう情報がたくさんあると、その番号をキーに名寄せができてしまうというところがありますので、やっぱりみだらに……(発言する者あり)みだりに広まることはよろしくないというふうなものの性質だろう、そういう性質の番号だと思っております。したがいまして、その人の番号とその人の個人とその人の情報が、いろんな場所の情報が一か所に集まるということで要するに名寄せが起こって、特定個人の情報が、何といいますか、名寄せされるということにプライバシーに対する危険が生じるというのが一つ。  それからもう一つは、成り済まし、今先生のおっしゃったのは成り済ましでございますけれども、成り済ましは、番号だけでは本人確認できませんので、その成り済ましの被害は起こりません。したがいまして、成り済ましは、番号プラス本人確認をするための免許証とか、あるいは個人番号カードの偽造が起こらないとそういう危険は起こらないと。そういう意味で、やっぱり番号カードとか免許証の偽造防止というのは非常に重要になってくるのではないかと考えます。
  221. 米長晴信

    ○米長晴信君 じゃ、逆の視点から考えて、本人確認とセットでないとなかなか使えないということは、裏返して言えば、例えば、ほかに身分証明をするものがない人とか、そういう人のために今度カードを発行するということですけれども、あるいは災害のときに、もう身分証明するものを含めて全部なくなってしまったというときに、役所に行って番号だけは知っていると、番号だけは知っているという人が自分を役所で照会するときに、カードにICチップが入っていて物理的に写真もカードに載っていると思うんですけれども、ICチップの中にも多分写真情報というのはあると思うんですけれども、逆に番号だけで照会したときに、役所側のシステムに氏名、生年月日、写真といった情報がぽんと出てきて、それで、ああ、本人ですねという逆の確認する仕組みになっているんでしょうか。
  222. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 写真は基本的には市町村が保管しない仕組みを考えております。一応、番号制度につきましては、番号カードを作るときに、市町村で写真を撮るのではなくて、自分の撮った写真も使えることも検討しようとしておりまして、そうすることによって一回で済ませようというふうなことも考えております。  したがいまして、写真情報を市町村が、何というか、全て持っているというふうなことにはならないということでございますので、そのカードの写真と本人が合っているかというのはやっぱり重要になってくるということになろうかと思います。
  223. 米長晴信

    ○米長晴信君 写真以外の情報ですか、番号を基に氏名、生年月日というのはあるんですか。
  224. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 基本的には、住民基本台帳に住所、氏名、性別、生年月日と、あと住基コードとこの個人番号が記録されておりますので、それを見るとすぐ個人番号は、それらは全て分かるということになります。
  225. 米長晴信

    ○米長晴信君 これまでの議論で、災害のときに対策として使えるということであれば、それはやっぱり写真というような分かりやすいものもセットで、逆にその番号を基に照会するときに、データ上、それは個人と一致するということも大切な視点かと思うんですけど、そこはいかがでしょうか。
  226. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) やはり何といいますか、写真を強制的に全員保管するというのはまだちょっと時期尚早かなということはあると思います。ただ、将来的には、例えば本人の意思により写真を保管してもらうというふうなことはあり得るのかなと思います。  ただ、現状、災害、やはりなかなかカードをそのまま持って出られる方というのは、必ずしもみんなが持って出られるとは限りませんので、そういう場合は、住所、氏名、年齢等の四情報で一応確認を取った上で、そうしますと番号が分かりますので、その番号を役所の方から、役場の方からお知らせするというふうなことも緊急時には必要になってくるのではないかという気はいたします。
  227. 米長晴信

    ○米長晴信君 今のは事務方答弁でございますけれども大臣、本当に、災害時に何とか自分、個人だということを示すためにいろんな、ほかの今言われた情報以外の写真等を含めて、きっちり逆に情報としてその番号から照会できることも大切な視点かと思いますけれども大臣、いかがでしょうか。
  228. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 今の話を伺っておりまして、委員の問題意識、かなり共有をするところであります。カードから本人を特定する、それから本人の持っている情報でその個人カードが特定できて、逆に自分が特定してもらえるということも、確かにその必要性の場面というのは出てくるんだろうなというふうに思っておりまして、より良い確認ができるような仕方をいろいろと工夫していきたいと思います。
  229. 米長晴信

    ○米長晴信君 ありがとうございました。  それでは、予定していた質問に移りたいと思います。  この前の続きのような形になりますけれども、火曜日の質問の中で甘利大臣に、年金についてこれまでどういう議論かということで、三党の協議は今のところ、引き続き今の制度に基づいてということと、抜本的な改革ということでちょっとまだ溝があると。そんな中で、国民会議の方では大まかな方向性として、財政基盤をいかに強化するのか、セーフティーネット機能をいかに強めるか、あるいはその二つをどう融和させるのかという、そういった視点で今方向性が決められつつあると、そんな御答弁でしたけれども。  じゃ、最終的にそういうことを八月二十一日までに法制度等決めるとして、実際に年金の仕組みをどうなるのか、どういう制度設計に新たにして具体的にこういうふうに運用するというのは、大体どのように今後決めていって、それでいつごろまでにそれを決めるのか、御答弁いただきたいと思います。
  230. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 今までも答弁させていただきました、年金協議は三党であらかじめ議論をして、それが収束すればそういう方向付けができて、それに沿った議論になっていくのでありましょうが、そこのところが全く収束しておりません、基本的な考え方が違うと。そういう中でも、とにかく国民会議では議論を開始をしているところであります。  先週ですから、五月の十七日から年金に関する議論を始めたわけであります。基本的には、政府はどうするのかということは、この国民会議議論とか三党協議状況を踏まえて対応検討していきたいということになるのでありますけれども国民会議の中におきましては、いかなる場合にあっても取り組んでいかなければならない部分というのがあるわけであります。  この三党実務者協議の中で、こういう議論がなされていました。社会保障・税一体改革の過程において、現行制度において当面現実的な対応を取っていこうということで合意した経緯があるわけであります。ですから、つまり、何というんですか、民主党さんの主張と自公との主張が違うわけであります。この当面は云々というのは、多分、民主党さんは、全く新しい制度の旗は下ろさないんだけれども当面は現実的なアプローチをしていきますよということだと思うんですね、この当面は云々ということについては。そこで、現実の政策として今の制度の下にどう改善していくかという点がありますから、そういう点を国民会議では議論を今しているというのが今の現状の進み方でございます。
  231. 米長晴信

    ○米長晴信君 その法制度を含めた決定というのが八月二十一日と承知しておりますけれども、それでもう我が国の年金制度、固まるということになるのか、それ以降の何か日程を教えていただきたいんですけれども
  232. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 八月二十一日という期限がございます。それまでに法制上の措置をとるということになっています。法制上の措置というのは、一般論でいいますと、法律を作って国会提出する、あるいは政省令を決定するということになろうかと思います。  先ほどの話をもうちょっと詳しく申し上げますと、年金について、十七日の国民会議の場におきまして、厚生労働省から年金制度について、社会保障・税一体改革における年金制度改革の到達点を平成十六年度改正による年金財政フレームの完成と社会経済状況の変化に対応した社会保障のセーフティーネットの強化に着手の二点に大きく整理した上で、長期的な持続可能性をより強固なものとする、それから社会経済状況の変化に対応したセーフティーネットを強化する、つまり持続可能性を強化する、セーフティーネットを強化すると、この二つの観点から残された課題に取り組んでいく必要があるとの説明がなされまして、委員間で議論を行ったわけであります。  言うまでもなく、この年金制度に限らず、将来にわたる社会経済の変化を見通すということには当然限界がありますから、実際に生じた社会経済状況の変化に対応した改革を重ねていくということは当然必要なことというふうに考えております。今後につきましては、一体改革における年金制度改革の到達点と残された課題を共有した上で、現実の政策として実行可能な解決策を積み上げていく議論の展開を期待をしたいと思っております。  とにかく、三党の協議が道を開いていくということになっていたはずなんですけれども、そこがなかなか収れんをしていきません。これは、政府が強制的にどっちの党の主張に収れんしなさいと言うことでもないわけでありますから、これは見守りつつ、その中でも国民会議で、現行の制度の中でより持続可能性を強固にするとかセーフティーネット部分を強化するとか、そういう対応をしていくという道筋になっていくんじゃないかと思います。
  233. 米長晴信

    ○米長晴信君 財務省の方から伊東政務官、お越しいただいております。これも前回ちょっと質問した部分から始めたいと思うんですけれども、消費税に伴う低所得者の対策として、給付付き税額控除も含む検討をしているということでしたけれども、仮にその給付付き税額控除という方向で進んだ場合に、マイナンバー制度、これがない場合、今と、マイナンバー導入された後と、これはどういったメリットなんでしょうか。
  234. 伊東良孝

    大臣政務官(伊東良孝君) 一昨日も先生から質問をいただきまして、竹内政務官の方からもこの給付付き税額控除について御答弁させていただいているところでありますけれども、これは基本的には税制抜本改革法におきまして番号制度の本格的な稼働及び定着を前提に所得の把握などの諸課題について総合的に検討することと、こうされているところであります。  今般のこの番号法の整備法案におきまして、税制上の措置として納税申告書や法定調書等に番号の記載を求める等の措置を講じまして、番号制度がない現状と比べて所得把握の適正化、効率化が図られるものと、こう考えております。  ただ、番号制度導入されたといたしましても、それだけでは把握できない所得等もあることから、給付付き税額控除導入する場合に更にどのような手当てが必要になるか、検討していく必要があると考えております。  参考まででございますけれども、先ほどもちょっと藤本先生の質問にもございましたが、法定調書というのが三億一千万枚ありまして、これが税務署等々に提出されるわけでありますけれども、このうち給与所得の源泉徴収票、年末調整を済ませたものはこれシステムへの入力を行っておりません。また、公的年金の源泉徴収票、支払金額三百万未満の公的年金の源泉徴収票につきましても、これは少額であるからとして入力をしていないところであります。  さらに、配当剰余金の分配、基金の利息等の支払調書、これが十万円未満のものもこれは入力を行っておりません。オープン型証券投資信託等の収益の分配の支払調書、これも十万円未満のものは少額として入力をしておりませんので、三億一千万枚のうち約八千万枚がそのシステム入力を行っているということでありますので、そうしました観点からいきますと、低所得者の方々で申告をされておらない方、あるいはこれらの所得等をあるいは年金の支払を受けておられない方等々につきましては全くこのシステムからは出てこないということに相なろうかと思います。
  235. 米長晴信

    ○米長晴信君 最後に、このロードマップでは三年後の二〇一六年にこのマイナンバー導入開始ということですけれども、これ導入開始した年度にはもう既に給付付き税額控除について、その辺は今答弁されたような形でもうすぐに使えるのかどうか。
  236. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 伊東政務官、時間が来ておりますので簡潔にお願いいたします。
  237. 伊東良孝

    大臣政務官(伊東良孝君) はい。  このマイナンバー法というか番号につきましては、平成二十六年の一月からスタートということに相なっているところでもございます。あ、二十八年ですね、失礼しました。  それで、この給付付き税額控除等々につきましては、この番号制度の普及、そして安定的な稼働、本格的な稼働を定着を前提として、その後所得把握等々によりましてこの給付付き税額控除検討すると、こうなっているところでもありまして、もう一つの複数税率という対策とともに二つの検討課題があると、このように認識しておるところでございまして、今後、自民党、公明党、民主党の三党合意におきまして、この複数税率の導入を含む低所得者対策につきまして引き続き協議を行うところとされているところであります。  二〇一六年の給付付き税額控除対応できるかどうかにつきましては、今後こうした議論の経緯や与党における検討状況等々を踏まえる必要があるものと、このように考えているところでございます。
  238. 米長晴信

    ○米長晴信君 ありがとうございました。終わります。     ─────────────
  239. 相原久美子

    委員長相原久美子君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、上野通子君が委員辞任され、その補欠として長谷川岳君が選任されました。     ─────────────
  240. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより三案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、行政手続における特定個人を識別するための番号利用等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  241. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、芝君から発言を求められておりますので、これを許します。芝博一君。
  242. 芝博一

    ○芝博一君 私は、ただいま可決されました行政手続における特定個人を識別するための番号利用等に関する法律案に対し、民主党・新緑風会、自由民主党、公明党及びみんなの党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     行政手続における特定個人を識別するための番号利用等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、社会保障・税番号制度に係るシステムの開発・整備に当たっては、内閣情報通信政策監の意見を十分に考慮し、現行制度及び業務の改善を前提に費用効果を検証した上で、国民にとって最適な便益が確保されるよう予算案等を策定すること。その際、今後の制度見直し等の可能性も考慮すること。  二、個人番号及び法人番号を扱う業務に従事する者のICT知識とモラルの向上、法令遵守の徹底を図るため、研修の実施等、継続的な人材育成に必要な措置を講ずることにより、個人情報の保護に万全の体制を構築すること。また、特定個人情報を取り扱う公務に従事する者又は従事していた者について、守秘義務の厳罰化等の措置を検討すること。  三、特定個人情報保護委員会がその権限と機能を十全に行使することができるよう、情報システム個人情報保護に関する高い識見を有する人材の確保や、十分な人員体制の確保等、事務局機能の充実を含めた体制を確保すること。  四、情報提供等記録開示システムの設置及び運用に当たっては、当該システムがインターネット上に構築されることを踏まえ、国民の利便性に考慮しつつ、より高度な認証システムを採用することなど、安全性と信頼性確保のために万全の対策を講ずること。  五、社会保障・税番号制度に係る地方公共団体システム整備について、地方公共団体財政負担及び当該システム整備に従事する職員の業務負担を軽減するため、地方公共団体からの意見を十分に考慮し、必要な措置を検討すること。  六、本法の施行後も継続的に、教育活動、広報活動その他の活動を通じて個人番号及び法人番号利用に関する国民理解と信頼を深めるよう努めること。  七、利用範囲を民間利用に広げることを検討する際は、国民からの意見に耳を傾けるとともに、民間分野の公益性等を十分評価すること。また、そのメリット等について国民に分かりやすく積極的に情報を提供すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  243. 相原久美子

    委員長相原久美子君) ただいま芝君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  244. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 全会一致と認めます。よって、芝君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、甘利国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。甘利国務大臣
  245. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  246. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 次に、行政手続における特定個人を識別するための番号利用等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  247. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、内閣法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  248. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、芝君から発言を求められておりますので、これを許します。芝博一君。
  249. 芝博一

    ○芝博一君 私は、ただいま可決されました内閣法等の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会、自由民主党、公明党及びみんなの党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     内閣法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、内閣情報通信政策監について、政府全体の電子行政の推進等を担う司令塔としての責任の所在を明確にするとともに、少なくとも三年間はその任に当たるよう配慮すること。  二、内閣情報通信政策監は、国会に対して、番号制度の開発・整備及び運用の状況政府における電子行政の高度化の状況等について定期的に報告すること。  三、安全性と信頼性を確保しつつ電子行政の高度化を適切かつ効果的に推進するために、内閣情報通信政策監の補佐官等にはITに係る特に高度な専門性を有する人材を確保することとし、そのために必要な任用・給与・評価制度整備するとともに、その専門性を十分に発揮し得る体制を整備すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。
  250. 相原久美子

    委員長相原久美子君) ただいま芝君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  251. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 全会一致と認めます。よって、芝君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、山本国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山本国務大臣
  252. 山本一太

    国務大臣(山本一太君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  253. 相原久美子

    委員長相原久美子君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  254. 相原久美子

    委員長相原久美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十三分散会