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江島潔君 ありがとうございました。
セキュリティーというものが一般
国民が一番感じるこの
システム導入に対する
懸念事項だとすると、自治体の側からすると、まず、新しい
制度が発足すると、これって幾ら掛かるんだろうなと、幾ら自治体
負担しなきゃいけないのかなというのが真っ先に浮かぶところでございます。
私は、下関市長職を
平成七年から二十一年まで四期務めさせていただいたんですけれ
ども、ちょうど言わば電子自治体に移行する過程を、市長を務めさせていただいたかなという気がしております。まだ、私が市長になりました
平成七年当時は、もちろんみんなが携帯電話を
個人が持つというような段階ではありませんでした。本当にごく一握りの金持ちがもう持っていたかなぐらいで、私も、車載電話を
平成五年か六年か、何か選挙のために使うんでこれはいいなといって車に積んだのが、こんな大きいのを積んだのが初めてぐらいで、市長になってから最初に持たされたのがポケベルだったと記憶しております。
ですから、まだ、せいぜいポータブルなそういうものはポケベルが精いっぱいだったんですけれ
ども、もちろんまだ市長室にはパソコンもないですし、まだまだインターネットといっても無縁なところだったんですけれ
ども、ちょうどその数年ぐらいのうちに、そろそろインターネットなるものがあると、それから自治体もそれを
導入をし始めるというような段階に差しかかりまして、一番東京から遠く離れた地方都市の最大の弱点はやはり
情報がなかなかリアルに、ホットに入らないなということを痛感していましたので、まさに
情報化時代こそ地方が再生をする時代だと私なりに考えて、それから積極的に
情報通信というものを市政の中に取り組んできたつもりでございます。
ホームページを開設したのも、たしか山口県では一番最初だったと思います。ただ、ホームページを開設したといっても、まだ、それって何だろうという市民の方が多い段階だったんですけれ
ども、今考えると、本当に僅か二十年ちょっとぐらいで随分と、この
日本、もしかしたら世界と言っていいのかもしれません、このITの推進の速度というのは本当に速いペースで進んでいるなというふうに感じております。
ちなみに、下関は、大変に、各省庁がいろいろな新しい試みでこういうものをやりませんかというものを、特にこのIT推進に関しましては積極的に手を挙げてきたと自負をしておりまして、
平成十三年に、これは通産省の事業なんですけれ
ども、IC
カードの普及によるIT装備都市研究事業というものがございました。これは全国で二十一地域、五十五市町村という限られた限定のエリア、地域に対しての事業だったわけですけれ
ども、これに手を挙げまして、このときがいわゆる今のIC
カードの本当に多分原型になっているんだろうというふうに思いますが、このIC
カードとそれからリーダーというものを、屋外、端末をいろいろな公共施設に置きまして、そこでいろいろ公共施設の予約をしたり、あるいは図書館の予約をしたりとか、そんなようなことをできるという
システムを
導入しました。
こういうもの、しかし、残念ながら、一〇〇%もちろん国が面倒を見てくれるわけじゃありませんで、それ相応の自治体の
負担をしなければいけない。自治体が悩ましいのは、財源を投入するときに、それが、IT装備のために使うお金も、それからいろんな福祉予算とか高齢者の予算とかそういうものに使うためのお金も、それから港湾土木事業に使うお金も、みんな、それをどう振り分けるかということをみんなで頭悩ませながらやらなきゃいけないもので、非常に最終決断で切ないところがございます。
また、そういう先端の取組を何とか、国の意図も分かるのでいろいろ手を挙げてやりたいなと思いながらも、当然そういうものに反発をする政党であり、また地域の議員もいるわけですから、なかなか、そういうところとやり合いながら自治体の先頭を走ろうとするというのは、大変に苦労している自治体、恐らく今もたくさんあるということを是非御
理解をいただければというふうに思っています。
また、これは新しいものをどんどん取り入れていくことの宿命なのかもしれませんけれ
ども、下関は、通産省の事業であったこのIC
カードによるIT装備都市研究自治体として名のりを上げたのがこれが
平成十三年なんですけれ
ども、それから実際に
カードを発給を始めましたのが
平成十四年でございます。一方で
住基カードというものが、この
制度がだんだん整備をされていきまして、これはもう全国一斉に
平成十五年の八月二十五日の開始ということなので、これはこれでしかしやらなきゃいけないなということで、これも同時並行して。
しばらくはこの
二つ、
システムの異なる
制度を、まあ最初に手を挙げたものの、ちょっとこれは、結局、本当にモデル
ケースになったなと思いながらも、それなりに下関市としてもいろんな蓄積をして、どういう人が使ってくれるかとか、どんなサービスを付加すると市民がそのIC
カードを使ってくれるかというようなことを下関市なりの
データ蓄積をしながら取り組んできたところでありますが、どこかの時点でこの
住基カードと別事業だったみらい
カードというIC
カードを統合しなきゃいけないということになりまして、ちょうど
平成十七年に下関市も一市四町で合併をいたしましたので、この合併を機にいわゆる
住基カードとこの従来の事業を一つにして再スタートをしたところでございます。
こういう
システム統合するたびに御存じのように大変に多額な投資を、再投資をまた
システム再
構築のためにしなければいけないというのが実際に地方自治体の、案外と重く差しかかってまいります。下関市が、人口三十万の都市ですけれ
ども、それでもやはり一千万、二千万という単位での金額を支出するというのは、なかなかこれは、どれを削って、じゃ、これをやろうかなというようなことを考えなきゃいけないぐらいのやはり
費用が確実にこれは発生をするところでございます。
また、さらに今度、それでもいろいろな独自サービスとしてこの
住基カードに、図書館の
利用状況をできたりとか、あるいは定期健康診断の結果が引き出せるようにしたりとか、印鑑証明、
住民登録等もこれで写しを取るようにしたりとか、そんなようなことをこの独自サービスとして付加してきたんですけれ
ども、
平成二十四年の新
住基カードへの移行に際して、またこれを、そういう
システム統合なり新
制度に移るたびにいろいろなことを全部数千万単位でまた投資をしてやり直さなきゃいけないということがありまして、現時点では当初スタートしていた市としての独自サービスはどうしてももうちょっと断念せざるを得ないというような、ちょっとこれは残念でありますけれ
ども、少しサービスが後退をしているというふうな
現状もございます。
大変に、恐らくその新
制度を
導入するということに際してまたこの自治体
負担というものがかなり生じるだろうなと、恐らくこれはまた全国の首長がかなり頭を悩ますんだろうなと思いますんですが、その辺の、どんなような支援というものが今国として考えていただいているのでしょうか。