○
国務大臣(新藤義孝君) 江口
委員から国の根幹にかかわることについてのお考えを述べていただき、また御
質問いただいたことは光栄に存じます。
また、お答えする前に、まずこの
内閣委員会、私の日程でこのようなイレギュラーな時間にというか、一時間近くも休憩を挟んで、このようなことで開会をしていただいたわけでございます。本日は、私ども衆議院の方で総務
委員会が朝から、九時から五時まで、午前中が地方交付税法等その他法案審議でございます、午後はNHKの予算の審議がございまして、既に先に埋まっておりましたので、もうそういう中でもこのようなお時間をちょうだいしたことは誠に光栄に存じますし、また御迷惑を掛けたのではないかということでおわびを、私の日程でありますから、おわび申し上げたいというふうに
思います。
そして、その上で、今とても大切なことを言っていただいたと
思います。私はそもそも、小選挙区制が衆議院に導入された、その一番最初の選挙の当選組であります。今こちらにいらっしゃる先生方もそうだと思うんですが、私も、この国を変えなければいけないと、こういう
思いで
政治の場に、国会の方に出てきております。それは何かといえば、私たちの国は、江口
委員がおっしゃるように、まさに
体制疲労、制度疲労を起こしていて、維持はできてもその先に大きな未来を描くことができなくなってきているんではないかと、このように思うんです。
それは、考えてみれば、戦争が終わった後、私たち日本の国は明確な国家の目標を持っていたと
思います。それは戦災復興です。そして、その後は
経済を成長させる。そして、その後は今度は国土の均衡発展だと。その前をたどれば、元々、国家目標というのは、明治維新もそうでした。それから、殖産興業です。そういった国の目標があって、その時代時代に合わせて我々の先輩方がやってきていただいたんだと
思います。
今、しかしこの国は、いっときの高度
経済成長が飽和を迎えて、そしてバブル等々、いろんな世界的な情勢も含めて、変わらざるを得なくなっています。何よりも、この国に住んでいる国民の構造が変わってきた。それは少子高齢化であって、人口減少です。それから、都市への移動と産業従事者の大移動が行われていると。そういう中で、今までのやり方ではもうこの国は、維持はできるけれどもそれ以上の発展ができないと。もう二十年近くみんなで、変えなければいけない、何かをしなきゃいけないと、こういう
思いは党派を超えてあったんだと
思います。
ですから、我々はその中で、政権を失ったときの自民党は、ついに国民からこれ以上自民党のやり方ではという判断が下されたんだと
思います。そして、民主党もこの国を変えたいという
思いがあったんだと
思います。一生懸命おやりになったと
思います。しかし、残念ながら
期待する効果がなかなか発揮できないままに、我々また再び政権に戻ったわけであります。
私たちは、政権奪還するために
政治をやっていたのではありません。そうではなくて、当時、三百人いた国
会議員が百十八人になりました、衆議院。残った議員たちが考えたのは、どうすればこの国を直せるのかと。そして、その中で自由民主党は一体何のお役に立てるのかと。だから、原点に戻って政策をブラッシュアップして、そして今までの、政権を一度下りたときにこれまでの自民党時代の政権の連続性が断ち切れたんですね。だから、我々は、もちろん良いものは引き継いでいきますけれども、もう一度原点に立って、立党の原点に立って見直しました。それから、今これから必要なものは何なのかということを、これは資源の獲得もそうです、それから国家主権や領土の保全、こういったものについてももう一回原点に戻ろうと。大体において独立国家としてのそういった気概を持とうじゃないかと、こういうことも含めて考えた。
その中で、私は今、地方を所管する総務
大臣を拝命し、また道州制担当
大臣、
地域活性化担当、そして
地方分権改革担当と、こういった所掌をいただいております。その
思いは、国の
経済を発展させていく中で、
経済だけではなくて、国民の暮らしをどうやって希望のあるものに、将来を見えるようにしなければいけないのかと、そういう中で、地方の
政治、地域の
政治が今までのやり方ではうまくいかないと。中央集権が強力過ぎるとは私は思っていませんが、しかし、今の状態ではこれ以上のことはできないと。だから、国の形を変えるという中で、この今の
状況とそれからこの先の日本を考えたときに、どういう統治形態が必要なのか、そして、どのようにすれば住民が満足できる、そういった生活をつくることができるのか、そのための仕組みは何なのかということを考え直さなければいけないと、こういうことになったんだと
思います。
そして、安倍総理は、
思いは変わっていないと
思います。この戦後
体制からの脱却、これはイコール国の形を変えることと同義語だと思っています。そして、その中で、やはり私はこの道州制というのは単に手段にしてはいけないと、道州制にするだけで、その形を変えただけでバラ色の未来が広がってくるわけではないと、このように思っているんです。
ですから、この道州制を使って行うべきことは何なのか、これをきちんとみんなで共有すべきだというふうに思っています。それは、何よりもそれぞれの暮らしの安定です。自分の住んでいる町にずっといられる、また、行ってみたい町、そういうものをつくっていくということであります。その中で、住民サービスの向上とともに、これが行政の効率化、そしてまた財政の健全化に資するものでなければならないと、こういうことだと
思います。
そして、かてて加えて、その私は地域の固まりが国だと、一人一人の固まりが国になるんだと、そういう観点からすれば、それぞれの地域に合った特色とそして自立性を持っていただいて、そういう元気の塊をたくさんつくって、そして日本を元気にしようではないかと、こういうふうに思っているわけなんであります。
その中で、国家の統治機能の
強化につながるものでなければならないと思っています。後ほど御
質問がいただけるので、そのときに折々に
お話しすればいいと
思いますけれども、少なくとも国と地方が対立の概念であってはならないと。国民でない市民、町民、住民はいないし、市民、町民、村民でない国民もいないわけでありまして、国と地方は密接不可分です。そして、その中で役割分担をしながらこの国の新しい形を模索して、最終的には国全体の統治機能の
強化を図っていきたいと、そのために道州制というのは極めて
可能性のある
システムではないかと、こういうことで私も取り組まさせていただきたいと、このように考えているところでございます。