○森田高君 最後になります。よろしくお願いします。
法案には賛成の立場で質問をさせていただきます。
初めは、
電波法とも深い関係にあります
携帯事業者間の合併、買収の話について御質問したいと思うんです。
総論的に話をすれば、
携帯電話事業者が設備投資やサービスの面でしっかり競争して、市場が活性して、もって
利用者の利便
向上が起こり、そういう競争が進められる中でイノベーションが進むということは望ましいことだと思います。それが大前提です。
一方で、公正なルールがあるということも大前提であって、いろんな熾烈な競争があるにしても、
周波数の割当てを受けた方々は、計画した基地局の設置は達成してもらわぬといかぬですし、一方でMVNOなどの提供も愚直にやっていただかないといけないという次第です。
こういう当然なことを私がなぜ言うかといえば、昨年秋に、ある
携帯電話事業者が、直近に
電波割当てを受けたばかりの同業他社の株式を取得して、その会社に割り当てられた
電波を自社で使用するという、そういう事案が発生しました。このことは、法的に、
制度的に
総務省の見解でいえば合法かつ適正なんですが、いろんな識者の方々が、これは
電波をお金で買った、計画的なことでないかということまで見方をする方々もたくさんいらっしゃったわけです。
指摘を受けました電気通信事業者は、それ以前にもPHS事業者を買収されて、それらの持つ技術力あるいは
電波帯域を
活用されて自社の付加価値を上げる、あるいは高速
無線通信の土台にされたという実績がございましたので、一層そういうふうに計画的に
電波をお金で買ったという見方が強まったんだろうというふうに類推しております。
いずれにしても、本件のような事案というのは、今後、
電波法というものを考えていく場合に
一つの参考事例にしなきゃいけぬ、そういう話だと思います。現行の
制度解釈では適正ということであっても、やっぱり李下に冠を正さずという、そういう気持ちが必要だと思いますので、まず
電波利用の公正という
観点で、こういった問題に対してどういう見解をお持ちになるかということをお聞かせいただきたいと。
それと併せてもう
一つ、別の切り口からお考えいただきたいのは、これはもう
情報通信というものは、もう皆さん御承知のとおりでして、
大臣には釈迦に説法ですが、望むと望まざるにかかわらず、安全保障と一体不可分であり、同時に金融事業とも一体不可分であります。相手よりも一分一秒でも
情報を早く手に入れるということが世界を制する。これは、ナポレオン、ワーテルローのころから今日まで、そしてこれからもこの大
原則は変わることはないわけであります。
だから今、昨今、ホットイシューになっておりますソフトバンクのアメリカ上陸に関しても、甘くない、甘くないです。これはもう、古くはケーブル・アンド・ワイヤレスの世界海底ケーブル網の設置、あるいは近くはエシュロン、インターネット、そして近くはグーグル、そういう話もあります。インターネットがDARPA、アメリカの軍の研究所において八〇年代に開発された技術であるということは広く知られているわけでありますから、今の世界の電気通信事業の枢軸というものが大英連邦あるいは米国というものの中にあるということは、これはもう疑いようのない事実でありますから、そういう中で日系企業が世界に行くということは本当に難しいことだと思います。そういう中で、しかし戦略は考えないといけないということです。
アメリカが今いろいろ横やりを入れているのは、単なる嫌がらせだったりナショナリズムなのかというと、決してそれだけでもないんだと僕は思っているんです。それは何を言うかというと、やっぱり事実として、日常的に、第三国の、あるいは軍事機関や公安機関が関与したサイバーテロがもう日常的に起きてしまっているということ、このことを無視することはもうできないわけであります。
日本だって、これは二〇一一年の秋以降、三菱重工だったり三菱電機、川崎重工、IHI、我が国の国防産業の基幹を成す中核の会社たちが次々にサイバーテロにさらされたわけです。もちろん、防衛省本省も
総務省もさらされた。
国会自身もサイバーテロに遭った。そして、在外公館も多数被害に遭っている。こういう
状況があるわけですから、これは
情報通信の安全保障、それはまさにリアルな安全保障と直結する問題として、これはセンシティブにならざるを得ないという実情もあるということです。
これはもう在外公館とか役所だけではなくて、人工衛星の乗っ取りだって今はできるくらいの技術力をいろんな国々がそれぞれに研究しているという
状況ですから、もうきれい事はこの世界では通用しない。だけど、MアンドAができれば、どんな勢力の支配下にある通信事業者でも
電波を使えるか、あるいは、どんな国々の、これは機器を使う、地上設備だったり端末だったり、使う通信事業者が公然と公の
電波を使えるかというのは、これはやっぱりいろいろ切り口といいますか、考え方を整理して考えていかないと、これは日米安全保障そのものにも影響する可能性が私はあると思います。
アメリカはセンシティブ、日本はノーガードでは、これはもうお互いの信頼関係の前提条件さえ満たさなくなってしまう。ましてや、防衛産業に至っては、これはボーイングやノースロップの虎の子の、例えば
支援戦闘機や制空戦闘機の
情報を日本の企業がライセンスをもらってだだ漏れにしちゃうんじゃ、恐ろしくて日系企業に下ろせない。そうなっちゃうと、日本の生産基盤そのものに影響する。やっぱりいろんな
観点が必要になってくるんで、これは
情報通信事業者のMアンドA、
電波の
利用というものには、公正、安全保障、両方の視点が必要かと思いますが、
大臣の御見解をいただきたいと思います。