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国務大臣(
麻生太郎君) これは様々な話がありますので、少なくとも、先ほ
ども金子先生の御質問にも
お答えしていたんですが、少なくとも一九二九年のウォールストリートの株の大暴落、当時、フーバーという人が大統領だったんですが、この時代に、早い話が、
デフレーションによる
不況というのはアメリカ発で世界に広まって、
日本もその例外ではなかった。そのとき、
日本は犬養毅
内閣、斎藤実
内閣の時代だと
記憶しますけれ
ども、そういう時代にあっては間違いなく
日本はどうしようもないといったときに、元
内閣総理
大臣だった高橋是清という、原敬の後、出てきた高橋是清という人が、
デフレには
デフレ対策だといって、公共
事業やります、雇用
対策やりますと、徹底して社会インフラの整備をやって、間違いなく今次
不況を世界
最初に脱出する、
日本は世界
最初に脱出せり、これはたしか時のウォール・ストリート・ジャーナルだと思いますけど出ていた、新聞に。
多分、僕の、ここからは間違いなく自分の独断と偏見でいえば、この新聞を読んだのが多分フランクリン・ルーズベルトという人だったと思うんですね。この人はこれを見て、おお、これこれと言うので、これをそのまま借用されて、それをニューディールという名前の包装紙に包んで、これが俺の新しいディールだと言って、一九三三年のアメリカ大統領選挙にこれを出されたんだと思うんです。この出された結果、彼は大統領になって、事実、これは
日本の
民主党と違ってマニフェストどおりに実行された、間違いなく。
結果として、物すごい勢いでアメリカは景気が直って、GDPが半分というんだから、今、
日本でいえば二百五十兆円ぐらいになっちゃったGDPを元に四
年間で戻し、失業率が二四・九といいますから四人に一人だったものが、少なくとも一二・〇だか一%までやっぱり四
年間で戻していますので、やっぱりこれ当たったんだと思うんですね。
したがって、これしか我々には
デフレ対策をやったというのが世界の歴史にこのとき以外ありませんものですから、
日本の戦後はこれ、インフレ
対策をやってきただけで、
デフレ不況対策をやった
経験がありませんので、我々はこれをもうすべきではないかということを申し上げたんですが、残念ながら当時は多勢に無勢で、もう全くその種の話は認めてはいただけませんでした。
闘った相手は竹中平蔵という方だったんですけれ
ども、ここまで言うといかがなものかと思いますけれ
ども、この方とは徹底してもう駄目でしたので。あちらは
金融さえ緩めればという御説だったので、絶対、実体
経済が伴わなきゃ駄目ですということを申し上げたんですが、残念ながら私の方は負けた方ですので。
そういった意味では、今言わせていただければ、バブルというもののはじけるというのは、もう先ほどちょっとこれも
金子先生に申し上げましたけれ
ども、十六世紀のオランダのチューリップ・バブル、あるいはイギリスの十七世紀のあの南海泡沫に始まり、ITバブル、いろいろバブルありましたけれ
ども、昔からいつとはなしに始まってぱっとはじけるんだと思いますが。
日本の場合は、はじけるのに、バブルがばっといったのはやっぱり一九八五年の円高
不況といういかがわしい名前の
不況がありましたけれ
ども、実は円高好況になったのは
御存じのとおりで、二百四十円が百二十円までドルがばんと崩落したんですが、それ以後、八六、八七、八八、八九、ばっと土地が上がり、株が上がり、世界に
日本が出ていったということで、あの円高による好況メリットというのを大いにやったんですけれ
ども、やっぱりもうかった金が土地とか不動産とか
特定のものに偏り過ぎて、結果として不動産バブルが飛んだのは九二年だと思いますが。
こういった形になっておりますので、私
どもとしては、あれからやっぱり学んでおかねばならぬことは、これは歴史じゃなくて
経験ですから、少なくとも今回もこのアベノミクスという、この三つをやらせていただくに当たって、第一は間違いなく
金融の緩和、これはもう先ほど
金子先生がおっしゃるとおりです。これをやらない限りは、とてもじゃないんですが。これで
日本銀行とお話合いをさせていただいて、きちっとした、
日本銀行が二%やります、オープンエンドで金は出します等々、できるだけ早期になんて。これはもう役所用語で一番信用しちゃいかぬ、できるだけ早めにやりますなんというのは、とてもこんなのは、前向きに検討しますと同じような意味ですから余り信用しちゃいかぬ言葉で、英語で書いてくださいと言って、英語でアット・ジ・アーリエスト・ポッシブル・タイムという英語が出ましたんで、ああ、これなら結構ですということでこの話も持ち上がって、三つ基本的な話をさせていただいたり、いろいろさせていただいたりしたんですが。あっ、オープンエンドはその後でしたね。
そういったような形でやらせていただきましたので、一応第一が終わって、第二のところが、今
財務省でこれは補正をやらさせていただき、いろいろ公共
事業等々を含めて
経済を刺激する
方向に行かない限りは公共
事業を含めてきちんとやらないと、少なくとも公共工事はずっと減らしてきておりますので、そういったものの結果、天井がおっこっちゃうとか、ああいった話になっておりますので。
アメリカも、一九三〇年代にやったもののメンテナンスが悪かったために、一九八〇年代、五十年後なんですが、荒れるアメリカと言われて、ブルックリンの橋が渡れなくなったり、コロラドの橋がおっこっちゃったりいろいろしたのは
御存じのとおりなんで、ああいったことにならないように我々はきちんとメンテナンスをやっていくということをしないと、非常に大きな、人が亡くなってから何とかするなんというんじゃいかがなものかと存じますし、きちんとそういったものをやっていくべき、だから補修というのが必要だということを申し上げております。
いずれにしても、そういったものをやっていきますと、
政府の姿勢、日銀の姿勢がはっきり民間に定着すると、民間としては、これはもう一回何か景気が良くなってきそうだと、だったら今のうち貯金を下ろして株を買おうかとか、いろんな形で、今株の上がっておりますのは主に海外のお金が株を動かしている
部分が大きいんですが、民間の持っておりますお金がきちっと株式の投資とかそういった将来に向けたものに向かっていくようにしていくというのが大事なところで、二本目、三本目がかなり関係しているところですけれ
ども、そこらのところを同時にやるというのが大事なところで、高橋是清のときも、御本人が日銀総裁だったこともこれあり、同時にあの
政策をほぼやっておられるというのが事実だと思いますので、今回は安倍総理の指導力で三つ今、事が一緒に進みつつあるのが、一般の方の期待先行になっておると思いますけれ
ども、そういったところがもう少し時間が掛かって、おっ、本当なんだということになりますと、きちっとした形が出てくるんだと期待をしております。