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2013-06-18 第183回国会 参議院 経済産業委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年六月十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月十四日     辞任         補欠選任      中西 祐介君     塚田 一郎君      山田 太郎君     松田 公太君  六月十七日     辞任         補欠選任      轟木 利治君     江崎  孝君      塚田 一郎君     上野 通子君  六月十八日     辞任         補欠選任      江崎  孝君     轟木 利治君      高橋 千秋君     藤本 祐司君      上野 通子君     藤川 政人君      牧野たかお君     磯崎 仁彦君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         増子 輝彦君     理 事                 大久保 勉君                 安井美沙子君                 柳澤 光美君                 岩井 茂樹君                 松村 祥史君     委 員                 江崎  孝君                 高橋 千秋君                 轟木 利治君                 直嶋 正行君                 藤本 祐司君                 藤原 正司君                 磯崎 仁彦君                 岩城 光英君                 上野 通子君                 佐藤ゆかり君                 関口 昌一君                 藤川 政人君                 宮沢 洋一君                 長沢 広明君                 松田 公太君                はた ともこ君                 荒井 広幸君                 浜田 和幸君    衆議院議員        修正案提出者   宮下 一郎君        修正案提出者   近藤 洋介君    国務大臣        経済産業大臣   茂木 敏充君    副大臣        経済産業大臣  赤羽 一嘉君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       佐藤ゆかり君    事務局側        常任委員会専門        員        奥井 俊二君    政府参考人        内閣規制改革        推進室次長    舘  逸志君        経済産業大臣官        房審議官     中西 宏典君        資源エネルギー        庁長官      高原 一郎君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       新原 浩朗君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      糟谷 敏秀君        環境省水・大気        環境局長     小林 正明君        原子力規制委員        会原子力規制庁        審議官      櫻田 道夫君        原子力規制委員        会原子力規制庁        原子力地域安全        総括官      黒木 慶英君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○電気事業法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 増子輝彦

    委員長増子輝彦君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、山田太郎君、中西祐介君及び轟木利治君が委員辞任され、その補欠として松田公太君、上野通子さん及び江崎孝君が選任されました。     ─────────────
  3. 増子輝彦

    委員長増子輝彦君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  電気事業法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣規制改革推進室次長舘逸志君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 増子輝彦

    委員長増子輝彦君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 増子輝彦

    委員長増子輝彦君) 電気事業法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。茂木経済産業大臣
  6. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 電気事業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  低廉で安定的な電力供給は、国民生活を支える基盤であります。しかしながら、東日本大震災とこれに伴う東京電力福島第一原子力発電所事故契機として、一般電気事業者各社による電気料金値上げが相次いでいることに加え、電力需給逼迫時における需給調整の機能の強化電気事業への多様な事業者新規参入必要性が増すなど、従来の電力システムが抱える様々な課題が明らかとなりました。こういった現状に鑑み、電気安定供給確保電気料金最大限抑制需要家の選択肢や事業者事業機会拡大目的とする電力システム改革を着実に実施していくことが喫緊の課題となっております。  電力システム改革の柱は、広域系統運用拡大小売及び発電全面自由化法的分離方式による送配電部門中立性の一層の確保でありますが、本年四月二日に閣議決定いたしました電力システムに関する改革方針においては、改革は大胆に、スケジュールは現実的にという基本的な考え方の下、政府として、二〇二〇年までに実現すべき新たな電力システムの全体像に加え、その具体的な実施時期やこれを実現するための法案提出時期をパッケージでお示ししたところであります。  こうした中、東日本大震災影響による昨今の電力需給逼迫状況を踏まえ、電力システム改革の三本柱の一つである広域系統運用拡大などを実現することによって電気安定供給確保に万全を期すとともに、具体的な実施時期を含む電力システム改革の全体像を法律上明らかにするため、本法律案提出した次第であります。  次に、本法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、電力需給逼迫時において、電気事業者に対して、従来の一般電気事業者供給区域を越えた電力融通を指示することなどをその業務とする広域的運営推進機関を創設することにより、電気安定供給確保に万全を期すことといたします。また、経済産業大臣による電気事業者に対する供給命令制度について、その発動要件を拡充するとともに、自家発設置者に対する供給勧告制度などを新たに創設することにより、電力需給逼迫時に、電気事業者以外の者が保有する発電設備を有効に活用し得る環境を整備いたします。  第二に、自家発設置者が保有する発電設備有効活用を図るため、自家発設置者が他の場所にある自社の工場等電気供給する場合において、当該自家発設置者一般電気事業者送配電ネットワークを利用するためのルールを整備いたします。  第三に、現在は罰則付き命令しか規定されていない経済産業大臣による電気使用制限措置を見直し、需要家に過度な負担を強いることがないよう、より緩やかな措置として、経済産業大臣による勧告制度を新たに創設いたします。  第四に、電力システムに関する改革方針を踏まえ、本法律案附則において、小売及び発電全面自由化法的分離方式による送配電部門中立性の一層の確保などの実施時期やこれを実現するための法案提出時期を規定するとともに、電力システム改革を進める上での留意事項などを規定いたします。  以上が本法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
  7. 増子輝彦

    委員長増子輝彦君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員近藤洋介君から説明を聴取いたします。近藤洋介君。
  8. 近藤洋介

    衆議院議員近藤洋介君) ただいま議題となりました電気事業法の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正部分につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  本修正案は、電気事業に係る制度の抜本的な改革に係る措置について定める附則第十一条に所要の修正を行おうとするものであり、その内容は次のとおりです。  第一に、政府が段階的に電気事業に係る制度の抜本的な改革を行うこと等の目的として、電気安定供給確保電気小売に係る料金最大限抑制並びに電気使用者の選択の機会拡大及び電気事業における事業機会拡大を実現することを明記することとしております。  第二に、電気小売に係る料金全面自由化実施の時期の見直しについて、電気使用者利益を阻害するおそれがあると認められるときに限られるという趣旨を一層明確化することとしております。  第三に、電気事業制度の抜本的な改革に係る法律案提出に当たっては、特定の電気小売業者等競争条件が著しく悪化することが明らかな場合についても、その競争条件を改善するための措置政府検討等を行う対象として追加することとしております。  以上であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  9. 増子輝彦

    委員長増子輝彦君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 どうもおはようございます。直嶋でございます。  近藤議員始めとして、提案者、退席いただいて結構でございます。  この電気事業法の一部改正でありますが、先ほど大臣の方から趣旨説明もございました。一言で言いますと、六十年余り続けてきた電力事業の体制を電力完全自由化に向けて根底から変えようと、こういうものだというふうに受け止めさせていただいております。これ、私ども民主党政権時代に、福島原発事故を受けた後のエネルギー環境戦略と、それとセットでこの電力システム改革について議論をしてまいりまして、今日御提案のあった内容骨格は私ども政権時代にも取りまとめたものだというふうに受け止めております。したがいまして、基本的には賛成の立場ということに相なるわけでありますが、いろいろと心配な点、あるいは各界から御指摘のある点もございますので、今日はそれらを中心確認をさせていただきたいと思います。  先ほど申し上げたように、民主党政権時代ではエネルギー環境戦略と言わばセットでこの電力システム改革を取りまとめてまいりました。今の安倍政権では、先般茂木大臣答弁されておられますように、このエネルギー基本政策政策基本となる基本計画については年内に取りまとめるというふうにおっしゃられております。しかし、これでは手段先行ではないかと、言わばあべこべではないかと、こういう強い批判もあります。  例えば、私もいろいろヒアリングしましたが、電力会社皆さんは今回のこのシステム改革について本音では反対であるというふうに私も思わざるを得ません。それはなぜかと申し上げますと、やはり原発の扱いが全く見通しが立たない、不明であって、言わば、原発という巨額の遊休資産を将来も活用できるのかどうか、これは経営上の大問題であります。赤字経営が続いている中で、それに輪を掛けて発送電分離にこれから膨大な費用が掛かるということになるわけでありまして、この点に関しては関係者に多くの不安と不信を与えているんではないかと思います。  したがいまして、エネルギー基本計画なしで、私が申し上げているのは、これはセットですから、後先の問題はいろいろあるんだろうと思うんですが、このエネルギー基本計画なしで今の時点でこの電力システム改革をなぜ行うのかということについてやはり国民皆さんが納得できる説明が要るんじゃないかというふうに思います。  最近のはやり言葉に今ですよというのがありますけど、それじゃありませんが、なぜ今このシステム改革法案法律を改正しなければいけないのか、この点について大臣の方からまず御所見を賜りたいと思います。
  11. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 直嶋委員には、民主党政権時代に、私の先輩として経済産業大臣として、日本エネルギー政策、その立案そしてまた実施をリードしていただきまして、また民主党政権におきまして今回の電力システム改革骨格についても固めていただいたと、そんなふうに感じております。  東日本大震災とこれに伴います原子力事故契機に、電力料金値上げ、御案内のとおり相次いでおりまして、需給逼迫下での需給調整、これがより不可欠になっております。また、多様な電源の活用必要性が増してきております。さらに、三・一一以降、日本が新たなエネルギー制約に直面する中で、従来の電力システムが抱える様々な限界が明らかになった、これは委員も御案内のとおりだと思っております。  このような状況に鑑みますと、新規参入の促進そして競争環境の整備により電力の低廉かつ安定的な供給を一層進め、エネルギー制約の克服に向けた改革中心を成す今回の電力システム改革は必要不可欠な、まさに待ったなしの、別に今ですよというのがはやり言葉というわけではありませんが、待ったなしの改革だ、取組だと考えております。  一方、中長期的なエネルギー政策方針となりますエネルギー基本計画につきましては、特に安定供給そしてコスト低減に重点を置いて政策の軸、方向性を明確にする必要があると考えております。原発の位置付けも含めまして、総合エネルギー調査会総合部会におきまして現在幅広く多面的に御議論いただいておりまして、年内をめどに新たなエネルギー基本計画を取りまとめたいと考えておりますが、その際には、本法案附則で定められている改革プログラム、これも踏まえながらこのエネルギー基本計画、作っていきたいと考えております。  電力関係者皆さんの御懸念、私もいろいろお話を伺っているところでありますが、現在、原子力発電所稼働停止に伴います代替燃料コストの増加によりまして電力会社の収益が悪化しているのは事実であります。ただ、電力システム改革を順次推進するのと並行して、安全性確認された原子力発電所の再稼働であったりシェールガス輸入など、燃料調達コスト低下等への取組によって、電力会社資金調達環境、これは今後改善をしていくと、そのように期待をされております。その上で、万が一、発送電分離の際に資金調達環境が改善しない場合には、例えば一般担保を含めた金融債務の取扱いや行為規制に関して必要な経過措置等も講じていきたい、このように考えておりまして、このように様々な課題を克服しながら現実的なスケジュールの下で着実に改革を推進してまいりたいと考えております。
  12. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今お答えの中で電力会社経営にかかわる部分も含めてお答えをいただきました。  電力会社、特に原発が彼らが想定している想定どおりに再稼働できないとすると、ざっくり言って一社当たり約三千億円ぐらいの経常利益にマイナスが出ると、こういうデータも出ておりまして、今のお話で、本当に電力会社経営の問題とこの電力システム改革、これからのエネルギー基本計画整合性を取れてやっていけるかどうか、まだすとんとこない部分もあります。  それともう一点は、やはり電気料金値上げなんですね。この電気料金値上げとのかかわりも含めて、やはりこのシステム改革、考えておかなきゃいけないと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  13. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 電気料金値上げ、今の燃料価格の高騰、そして発電に占める火力の割合が九割を占めると、こういう状況になって、電力各社の方から値上げ申請が上がっているわけでありますが、これにつきましては、本当に最大限経営努力を踏まえたものかどうか、厳正な審査と、こういったものを進めてまいりたいと考えております。  ただ、幾つかの明るい材料も出てきているなと思っておりまして、例えばLNG火力、これが大体四五%ぐらい今占めていると思いますけれども調達価格が大体現在でいいますと百万BTU当たり十六・五ドル程度ということでありますけれども、例えばアメリカのシェールガスでいいますと、現地のコストで今四ドル台だと思います、四・二ドルぐらい足下ではないかなと思っておりまして、これがLNG化で三ドル、そして輸送で三ドルということを考えると、十ドルちょっとぐらいで調達することも可能になってくると、こんなふうに考えております。  同時に、石炭火力、これにつきましても、御案内のとおり、磯子を含め世界最先端石炭火力日本は持っております。さらには、二〇二〇年代、二〇三〇年代、更に環境負荷の少ない高効率石炭火力と、こういう開発も可能だと思っておりまして、様々な経営努力の余地があるんではないかなと、このように考えております。
  14. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の御説明も、やはり実行する上で相当先々時間が掛かるような気がします。例えば、シェールガス輸入が始まるのは二〇一七年以降だというふうに聞いていますし。そういう意味でいうと、やはり足下電力会社経営でありますとか電気料金というのは、私は本当に細心の注意を払って大臣に取り仕切っていただかないとやはり日本経済にも相当大きな影響を及ぼすというふうに思っておりますので、その点についてもよろしくお願いしたいと思います。  それで、順次ちょっとテーマを分けて御質問させていただきたいと思うんですが、まず原発についてであります。  大臣も国会の答弁において、この電力システム改革を通じて今後はできる限り原発依存度を低減させると、このようにおっしゃっていますし、三年程度再生可能エネルギーを思い切って導入するんだと、また省エネにも加速を掛けたいと、こういうことをお答えされております。  今後の我が国原発依存の度合い、私どもはうんと将来はゼロを目指せるようにということで方針を作ったわけでありますが、今後の我が国のこの原発依存度というのは、例えば福島事故以前に比べると、相当大臣答弁ぶりからすると大幅に下がるんではないかなというふうに推測ができるんでありますが、この点についてどのような見通しをお持ちでございますか。
  15. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 原発依存度が何%になっていくかと、このことにつきましては、原発を今後どうするかと与野党で議論を重ねる中で、新しい原子力規制委員会、これは福島事故の反省も踏まえて新しい独立した機関として設立をさせていただきました。民主党、自民党、公明党と三党の協議を踏まえての結果でありますが、そこの中で、原発安全性につきましてはこの規制委員会において専門的な判断を行う。そして、規制委員会において安全性確認できない原発を動かすことはできない。安全性確認された原発については、その判断を尊重して再稼働を進めたいと思っております。  しかし、それと同時に、御指摘のように再生可能エネルギー最大限進めていく、こういったことも極めて重要でありますし、高効率LNG、そしてまた石炭火力、こういったものも導入することによってコスト低減というものも図っていきたいと思っております。  そして何よりも、今回の電力システム改革によりまして、これまではどうしても、電力需要というのはもう所与のものだと、需要に対して供給を積み上げると、こういう発想から、需要そのものをスマートにコントロールをする。例えば、ピーク時とピーク時以外の電力料金を変えることによりましてできるだけピーク時の需要を減らすと、こういった努力も続けていきたいと思っております。  そういった中で、最終的にできる限り原発に対する依存度低下をさせていきたいと、このように考えております。
  16. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 我々が打ち出した方針と余り方向は変わらないような、今お答え聞いていまして、という感じもしたんですが。  それで、まず原発についてもうちょっと踏み込んでお聞きしたいんですが、先ほどお話にあったように年内エネルギー基本計画でその方針を決めるということなんですが、民主党政権時代は三原則作りました。一つは、四十年の運転規制を厳格に運用すると。つまり四十年以上は使わない。二つ目は、今お話あったように原子力規制委員会安全確認を得たものは再稼働を了とすると。三点目は、新増設を行わない。これでいくと、かなり二〇三〇年代の終わりぐらいにはゼロが可能になると、それに向けて努力しようと、こういうことなんですが。  例えば、今日も報道されていましたよね、原子力規制委員会が七月八日に安全基準の施行を決めると、こういう報道がされていました。これは報道ベースですから確証があるわけではありませんが、まあ間違いないんじゃないかというふうに思っています。それで、その中で言われていたのが、やはり四十年廃炉原則とすると、こういうことも伝えられております。一つは、この四十年廃炉原則というのは政府においても尊重するということになるのかどうか。  それからもう一つは、新増設の話です。これはいろいろ議論があると思います、新増設がどうかというのは。しかし、我々は、行わないということを決めさせていただいて方針として出させていただいたんですが、現状のこの安全基準強化等状況から考えますと、もしこの安全基準が厳格に運用されて仮に新増設は見合わすということになれば、私たちが提案したよりも相当早く原発依存度低下するんじゃないかなと、そういうふうに思われるんですが、これらの点についてはいかがでしょうか。
  17. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 原発稼働期間につきましては、四十年を基本とするということが原子力規制委員会基本的な考え方でありましたら、それは当然尊重しなければいけないと、このように考えております。  同時に、新増設の問題でありますが、まずはその五十基あります既存原発についての安全性確認、これが第一ステップになってくると思っております。もちろん、どの原発から申請が上がり、どの原発から安全性チェックをどれくらいの期間を掛けて行う、これもすぐれて規制委員会の御判断になると考えておりますが、まずはこの既存原発の再稼働がどうなるかと。これを見極めた上で、各電気事業者も新増設に対してどうするかという判断をし、またそれに対して規制委員会も、もし新増設があり、申請が出てくれば、当然それに対して安全性チェックを行っていくということになると考えております。
  18. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、この原発に関してもう一点大臣の御所見をお伺いしたいんですが、この間の日曜日に静岡知事選挙がございました。静岡県知事に今度当選された、再選されたんですが、川勝知事は、浜岡原発の再稼働については県民投票に委ねると、そういうことを提唱され、また公約もされて当選されました。こうした動きが今後出てきた場合に、やはり原発の再稼働に大きな影響を及ぼすんではないかという思いがいたします。  昨日の夕刻も、東電が、これはニュースですから報道ベースですけど、柏崎の再稼働申請地元了解の後にするというようなことが報道されておりました。これ、真偽のほどは分かりません。  しかし、一連のこういう動きを見ると、特にこの県民投票動き等は、これから場合によっては大きな、再稼働について大きな影響を及ぼすんではないかというふうに思っております。  また、本来、原発安全性は国が責任を持って確認をし、国の権限で、原発というのは、電力会社判断もあるんですが、動かすかどうかは国の権限なんですが、こういう事態を、状況を見ると、国の権限と、権限のない地方の皆さんの言わば世論のような声というのが国に対して相当大きな影響を及ぼすんではないかというふうに思っていまして、少し混乱がこれから生じてくるんではないかということも懸念をいたしておりますが、こうした地方の動きについて大臣の御所見を伺いたいと思います。
  19. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 私も、経済産業大臣に就任して半年近くなるわけでありますが、原発立地県、また原発立地の地方自治体の首長さんとも様々お会いをいたしまして、そこの中には、できるだけ早く再稼働を進めてほしい、こういう御要望お持ちの方もいらっしゃいますし、様々な御意見がその立地地域によってあるんだと、このように考えておりますが、御指摘の先日の静岡県知事選で再選を果たされた川勝知事が、市民団体からの署名を受けて昨年の九月に浜岡原発の再稼働の是非を問う住民投票条例案を提出をした、このことは承知をいたしております。  条例につきましては、地方自治体において制定の可否を判断するものでありますので、まずはこの点については静岡県の今後の対応を見守りたいと、このように考えておりますが、一方で、原子力政策委員指摘のとおり、国の政策であります。原発については、いかなる事情よりも安全性を優先し、そしてその安全性については規制委員会の専門的な判断に委ねると、このことを国権の最高機関たる国会で決めさせていただいたわけであります。  原子力規制委員会により安全と認められない限り原発の再稼働はありませんが、安全と認められた場合にはその判断を尊重して再稼働を進めていきたいと考えております。その際、当然、立地自治体等関係者の理解と協力を得るためには、事業者任せにするのではなくて、国も誠実に説明責任果たしていく必要があると、このように考えております。
  20. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今日出席の柳澤さんも再稼働で大変な苦労をされたわけなんですけれども、やはり地方の皆さんの理解を得るというのは非常に重要なことなんですが、同時に、今大臣もおっしゃったように、国が前面に出てしっかりと必要であれば説明をするということは、よりこれまでよりも大きな国に対する負担が掛かってくるということになるのではないかと思います。  ちょっと話を変えまして、成長戦略に関して、先日安倍総理が講演をされて、電力の投資を過去十年の一・五倍の三十兆円に、今後十年、その規模に増やすという数値目標を語られました。ちょっと皮肉なことなんですが、一連の数値目標を発表された後、その日に残念ながら株価が相当大幅に下落をしたということであったんですが。  そのことは別にしまして、大臣の先ほどのお話でも、新規参入含めて様々な設備投資の増大ということを期待されているというような感を受けたんですが、一方で、我が国電力需要をこれから見通すと、やはり人口減少が進んでいるということと、省エネの普及、促進、拡大、それから、さっきちょっとお触れになったように、いわゆるピーク需要ピークカット、ピークシフトをさせるというようなことで考えると、これから電力自体の全体需要は国内では伸びていかないのではないかというふうに思います。  一部の電気事業関係者からは、したがって関係企業の投資マインドがそんなに高まるとは思えないと、こういう率直な感想もいただいておりますが、この点について、これから投資が増えていくのかどうか、どういうことによってこれから投資が増え、日本経済成長につながっていくことになるのか、この点について大臣の御所見を伺いたいと思うんですが。
  21. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 委員指摘のとおり、これから日本の人口は短中期的に見れば減少傾向にあると思います。そしてまた、電力需要につきましてはピークコントロールを中心にしながら抑制をしていかなければいけない、こういう方向で考えたいと思っております。  ただ、それイコール必ずしも電力関係の投資が下がっていくものではないと、このように考えておりまして、電力関係の投資につきましては、今後、広域連系の強化の観点から、北本連系設備や周波数変換設備の増強、これも必要であります。また、固定価格買取り制度によります再生可能エネルギーの導入の拡大、そして高効率火力発電の新増設、リプレースもあります。そして、送配電網、スマートメーターの整備、こういったものも進めていかなきゃなりません。さらに、電力システム改革によりまして新規参入、これが拡大をし、そしてそこの中で既存電力関係事業者と異業種といいますか、新規参入者の間の連携であったりとか相互参入が進むことによりまして新たな事業形態が生まれ、これに伴い投資が喚起される、そういう側面もあると考えております。  更に申し上げると、例えば再生可能エネルギー、これをやっぱり安定化をさせていくということになりますと、その中核として蓄電池というものを使うことになってまいります。蓄電池の現在の日本の世界の市場、一兆円程度でありますが、これはどちらかといいますと小型のパソコン等々に今は使われていると、これが今後は電力系統用、そして自動車用ということで広がっていきまして、二〇二〇年にはこの世界市場が二十兆円に拡大をする、このように予測をされております。この蓄電池の技術、日本は世界最高の技術を持っているわけでありまして、この二十兆円の市場の半分のシェアを日本が得る、こういったこともやっていきたい、そこの中には当然、日本からの輸出といったものも入ってくるんではないかなと考えております。  こういった蓄電池であったりとか電力関係の新技術、システムにおける取組、さらには、今回の電力改革システムは日本再興戦略の柱の一つでありますクリーンかつ経済的なエネルギー需給の実現にとって不可欠な要素でありまして、成長戦略の中核部分を成すと言っていいと考えておりまして、今回、電力システム改革の全体像をお示ししている、二〇二〇年までに全体でどうしていく、こういうことをお示ししているのも、新規参入者にとってどんな形で改革が進んでいくんだろう、参入がしやすいような環境整備をする、そして投資を促進する、こういった意味も持っているところであります。  確かに、人口減少社会の下で三十兆円規模の目標というのは必ずしも簡単にクリアできる容易な目標であるとは思っておりませんが、設備投資の拡大を通じた成長戦略の実現という観点から、電力関係の投資の果たす役割非常に大きい、こんなふうに私は考えております。  今、日本経済状況を見てみますと、円高が是正されることによりまして、輸出、そして輸出関連産業、これに好況感、活気が出てきております。そしてまた、デフレマインド、これが払拭されることによりまして、消費も少なくとも数字の上ではいい傾向が生まれてきております。残りは設備投資だと基本的には思っております。  この設備投資、そこの中では国際競争力を付けるような設備投資もあると思いますし、省エネを進めるような設備投資、こういったものも大きくなってくると思っております。この設備投資を促進するための大胆な税制の改正、これも年末を待たずに、できるものは秋にも実施する、こういう意気込みで今後の対応に当たっていきたいと考えております。
  22. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  それで、さっき申し上げた実は三十兆円の話というのは過去十年の一・五倍という言い方されていますので、私なりに試算してみると、過去十年の間に電力会社が行ってきた設備投資が大体二十兆円近くあります。それの一・五倍ということですから、かなり設備が高経年化して、要は高齢化している、設備もですね、それを更新していくと。これからの必要な更新投資を計算すると大体三十兆円になると、こういうことなんですが。  したがって、さっきの大臣お話だと、この三十兆円についてより効率化できるように、しかも新しい方々がここへ入ってきて、むしろ電力会社以外の方も含めてこの中で投資をやっていくと、こういう計算になるんでしょうかね。
  23. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 今年度、二〇一三年度の電力関係の投資が二・八兆円と見込まれております。もちろん電力会社関係のものが多いわけでありますけれど、委員指摘のように、これから例えば火力発電についても相当リプレース等々進めていかなきゃならない、そして送配電網、全国レベルでの整備と、こういったことも必要になってくると考えておりますが、同時にやはり新規参入者、再生可能エネルギーであったりとか様々な新規参入者によります投資も進む、そして蓄電池のような関連技術に対する投資も進む。トータルなものを含めて今年が二・八兆円ですから、それを引き延ばして十年間で達成できない目標ではない、このように考えております。
  24. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 そういう意味で考えると、日本国内の投資でいいますと、やはり電力の能力をどこまで確保するかというと余り伸びない。その中で、今お話のように、新しい方も含めて設備投資を行っていくと。  これは是非実現してほしいんですが、やはりこれからの日本の成長ということを考えると、さっきちょっとお触れになった海外のマーケットも視野に入れて、いわゆる我々はグリーンイノベーションと、こう言ってきたんですが、このグリーン革命を大胆に推進していくと、こういうことになるのかなというふうに思っております。  続きまして、再生可能エネルギーの導入にかかわりまして、特に送電網の整備について御所見を伺いたいと思います。  地熱発電、風力発電、今は太陽光多いんですけど、安定性とかそれから価格の面考えますとやはり地熱とか風力が優れている部分が大きいと思うんでありますが、その場合に、例えば風力を設置しても送電線が足りないというのはもう随分前から指摘をされております。  今度の法案を見ますと、小売の自由化、それから送配電網の分離を行った後の送電網の整備については送配電業者に義務付ける、この送配電に関してはいわゆる総括原価方式を取り入れてそれを価格に反映させる、こういうふうにできておると思うんですが、この送電網の費用の負担というのは誰がどういうふうに負担するのか、この点について確認したいと思います。
  25. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) まず、現行制度でございますけれども、現行制度におきましては一般電気事業者の方々が送電網の整備には責任を持っていただくということになっておりますが、その費用負担につきましては、その送電網が、特定の送電網が必要となった発電設備の設置者の方々が特定できる場合にはその発電設備の設置者の御負担、それ以外のものにつきましては、電気料金を通じましてエリアの需要家から広く薄く回収するという仕組みになっております。  御指摘のとおり、例えば再生可能エネルギー事業者の方が新たに参入をされようとする場合、この方々の電気をなるべくうまく使わせていただくという意味で、今回、広域的な運営推進機関を設立をさせていただこうとしているわけでございますけれども、この機関が広域的系統運用の拡大に資するような送電網の設備形成につきましてはイニシアチブを持ってこれを進めていくと。こうして再生可能エネルギーはまた受け取りやすくなるということになるわけでございます。  したがいまして、その費用負担の在り方につきましては、例えばこの機関が定めるルールに基づきまして当該設備の設置区域以外の電気事業者も含めまして広く薄く負担をするといったようなことも想定されると思っておりまして、そういったルールの設定に向けまして引き続き検討させていただきたいというふうに考えております。
  26. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ということは、例えば今だと、今、北海道でやっていますね、実証事業支援というのを。これは今のお話だと地元の方が負担をすると、こういうことになるわけですが、今のお話ですと、それは将来は、そういった形であちこちでつくったものについては電気料金の全体の上に乗っけて、最終的には需要家の方が負担すると、こういう理解になるわけですか。
  27. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) 非常にその効果が地域に限られているようなものというのはあると思うんでございますけれども、今回の北海道の例などは、その地域に限られているというだけではなくて、これを広く他の大きな需要地に送るといったことによってこの再生可能エネルギーの受入れの隘路が解消していくというような側面があると思います。  今申し上げましたとおり、広域的な運営機関を設立いたしました後は、こういったように広域的な運用の拡大に資する、そしてまた、再生可能エネルギーの導入に資するような送電網を設備形成するような場合につきましては、そのルールを作りまして、必ずしもその設置区域の中だけではなくて、むしろ設置区域以外の方の電気事業者の方々も含めて広く薄く負担をしていくと、そういったようなルールを作っていきたいというふうに考えております。
  28. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 続きまして、特に地熱発電、風力発電規制改革についてお伺いしたいんですが、六月十四日に規制改革実施計画というのを閣議決定されています。この中で大きいものは今審議しているまさにこの法律がそうだということになると思うんですが、あと環境アセスの期間の短縮でありますとか、あと様々なものが入っているんですが、私ども、この点はかなり積極的に民主党時代も取り組ませていただいて、三十項目、四十項目の規制改革を実行したわけでありますが、やっぱり大事なことは、何というんですかね、余り細々したことを時間掛けて積み上げていくというよりは、むしろやはり大胆な規制改革をスピード感を持ってやっていくということなんですが、基本的なそういう意味ではスタンスをしっかり内閣府がリーダーシップ取って変えていくということが重要ではないかと思っていますが、その点について内閣府の御所見をお伺いしたいと思います。
  29. 舘逸志

    政府参考人(舘逸志君) 御指摘のとおり、直嶋先生にも大変、民主党政権下で御指導賜りまして、エネルギー分野の規制改革につきましては従来から進めてきている次第でございます。  さらに、今回、御指摘いただきましたように、十四日に閣議決定しました規制改革実施計画におきましても、改革の重点分野の一つとしてこのエネルギー分野の規制改革を取り上げておりまして、七十四項目について取り組むこととしております。  特に、御指摘のありました地熱発電、風力発電等の再生可能エネルギー関係の規制改革につきましては、環境アセスメント手続の迅速化、それから様々な主任電気技術者の設置要件等アセスメント関係七項目、その他四項目、十一項目について取り組むこととしております。  さらに、御指摘のありましたように、このようにそれぞれ一つ一つ進めることと同時に、大きく電力システム改革、それから方向性として、安全性を保ちながらも電力効率性を保っていく規制改革についてしっかりと進めていくことが重要だと考えております。  これにつきましては、本計画の措置を積極的に推進するとともに、従来の閣議決定についてきちっとフォローアップしていくことが大切だと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
  30. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 おっしゃったように、従来のものも含めてしっかりやっていただきたいと思うんです。  それで、ちょっと大臣、私から一つ提案があるんですが、私もずっと民主党政権時代にこの規制改革を成長戦略の座長として取り組まさせていただきました。  今回もそうなんですけど、政府の御決定というのは検討期間が年単位なんです、年単位。ずっとこれが続いています。ですから、例えば二十五年度中に結論を出しますというと、来年の三月になるわけですね。二十六年度なんていうと、もうさらに再来年の三月になるわけです。予算はそうなんですが、やはりこの種の問題というのは、さっき大臣が税制でおっしゃったですよね、もう前倒しで実施という話もありましたが、あれと同じだと思うんですね。むしろこの検討期間を月単位にするとか、もっと詰めていかないと、簡単に言うと、今回決めたものも結論が次出せるのは来年の四月以降ということになっちゃうわけです。  ですから、是非そのやり方は、私のこれ経験上その点は強く感じましたので、御提言申し上げておきますので、是非取り入れていただけると有り難いと思います。
  31. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 大変いい御提言をいただいたと思っております。検討期間につきましてもできるだけ短縮をすると。年度内にとか悠長なことじゃなくて、早くやれることは、一か月で結論を出すこと、三か月で結論を出すこと、そしてまた時期につきましても、すぐにできることについては年度をまたがなくてもやっていくと。  ただ、相手に対する周知とか様々な問題がありまして、それぞれの緩和によりまして実施のタイミングと、これは変わってくるものあると思いますが、少なくとも検討期間につきましてはそういう悠長な形ではなく進めていくという直嶋委員の御提言、もっともだと思っておりまして、取り入れさせていただきたいと思っております。
  32. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 是非よろしくお願いします。  私は、マンスリー単位でやれというのをまず話をしてきたんですが、今回の決定見てもやはり年度単位になっています。是非よろしくお願いします。  それで、続きまして、今回の法案システム改革全般についてちょっと確認をさせていただきたいんでありますが、大胆なといいますか、六十五年ぶりの電力事業体制の改革だということでありますが、法律を見ますと、そういう中で著しく経済産業大臣権限強化されているわけですね。法律の二十八条、二十九条、三十条、三十一条、全てそうでありまして、これまでは対象でなかった例えば自家発電設備の届出義務とか、あるいは単に全体をとらまえるということだけではなくて、一つ一つ電力会社に対する権限も相当強くされています。  これからおつくりになる広域運営機関というのは、そのメンバーは全ての発電事業者ということになりますよね。自家発業者も入る、含まれると。まあ言ってみれば、全部くくった業界団体みたいなものですよね。業界団体のようなところでそれぞれ調整させるということなんですが、それを仕切る実は経済産業大臣権限が、例えば電気事業者に対する命令も、例えば事故のときに供給に支障があったという場合でも、今までは供給の改善命令を出すということだった。それが今回の法律では電力事業の運営について改善命令を出すと。これはだから大分違いますよね。相当強くなっていまして、いろいろ声聞くと、これはかなり国家統制が強化されているんじゃないかと、こういう声も聞こえてまいります。  逆に言うと、こういう統制の強化の結果、さっきからお話しされている新規参入者が腰を引いてしまうとか、いろいろ心配で参入に二の足を踏むとか、こういうことがいずれ生じてくるんじゃないかという心配を私持っているんですが、この点についてどのように考えておられるでしょうか。
  33. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 法案もよく読んでいただいて、さらには各界の皆さんの御意見もよく聴取された上での御質問だと思った上でお答えをさせていただきたいと思いますけれども、今の日本の新たなエネルギー制約、こういったことを考えますと、電力はやっぱり全国レベルで使っていかなきゃならない、一つは。もう一つは、一般電気事業者以外の事業者が保有する発電設備活用していく、こういったことが重要になってくるんだと思っております。  こういった観点から、本法案におきましては、電力需給状況の監視等を行う広域的運営推進機関を設立して、安定供給確保に必要な措置として、新電力も含めて電気事業者広域的運営推進機関への加入の義務を課して、需給逼迫時には推進機関が様々な電気事業者に対して発電所のたき増しの指示などを行える、こういう仕組みにしているところであります。  このうち、例えば広域的運営機関への加入義務につきましては、広域系統運用拡大によりまして区域を越えた電気供給、これが今まで以上にやりやすくなる。こういったことを考えると、今までエリアごとに区切られていて、そこでしか競争ができなかった、そこでしか参入ができなかった、こういう新規参入者にとって、むしろ全国レベルで行うということで事業の機会というのも広がってくるんではないかなと、こんなふうに考えております。  一方で、私が、現実的なスケジュールの下で改革を進める、そして、どんなことがあっても電力の需給、これの安定に万全を期すことが必要だと、こういったことも強調させていただいているところでありますが、需給の逼迫時には現行法の下でも全ての電気事業者に国から供給命令を行い得る仕組みとなっております。今回の改革全体、これは新規参入を促すものでありますが、一方、需給逼迫時など、緊急時の安定供給に万全の措置をとる観点からこのような仕組みを設けるようにしたものであります。  日本電力が完全に余っているという状況の中で、電力逼迫であったりとかそういったことが起こらない、ブラックアウトが起こらないという状況であれば、そういった措置が必要がない部分はあるかもしれませんが、万が一にもそういうことが起こらないためにはどうしたらいいのかと。発動の要件でありますから、使わなくて済むものは使わなくていいと思っておりますけれども、万が一のことも考えた措置も今回の法案の中には組入れをさせていただいております。
  34. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 福島事故の後、電力供給逼迫して様々に苦労した、私もその経験ございます。エネ庁も、日ごろよく分かっていなかった自家発をいろいろ調べたりとか、様々なことをされてきました。ですから、緊急時にある程度できる、やや強制的でもありますが、強制的にでもできることを、仕組みをつくっておくというのは私も分かるんですけれども、やはり平時と緊急時をそういう意味ではもっときちっと分けるとか、そういうアピールの仕方も必要ではないかなと。余り国の規制が強いと、どうしても民間は腰を引くという心配があると思います。  それから、もう一点確認しておきたいのが、新しい行政組織というのがこの法律附則の最後に入っています。これは非常に簡単に書かれていますが、一応二年後には移行すると、つくって移行すると、こういうことなので、エネ庁はどうなのかなと思ったり、いろいろと、二年後というとすぐですから、いいのかなと思わぬこともないんですが、この独立性だとか専門性も掲げながらこれから考えていくということなんですが、例えば、アメリカなんかに連邦エネルギー委員会とかこういう仕組みが確かにありまして、これは基本的には競争の確保需要家の保護というのが目的になっていると思うんですが、こういうものも参考になるのかもしれませんが、今の時点で、どういう機関で、何からの独立性を念頭に置いて、どういう専門性でということを考えておられるのか、ちょっとお聞きできればと思います。
  35. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) 小売発電、この全面自由化でございますとか、あるいは法的分離によります送配電部門中立性の一層の確保、こういったものにつきましてこのシステム改革を進める中では政府が適切な監督を行っていく必要があると考えております。そのため、電気事業にかかわります規制をつかさどる行政組織の在り方を見直しまして、その機能を一層高めていくことが必要だと考えております。  少し具体的に申し上げますと、例えば、自由化された市場におきまして電力取引の監視あるいはモニタリング、さらにはルールを整備していく、あるいは送配電事業にかかわりまして料金規制でございますとか、あるいは中立性確保のための行為規制の厳格な実施、あるいは安定供給確保のための緊急時の供給命令の的確な実施、こういった国の規制業務に万全を期していくことが必要だと考えておりまして、そのため独立性とそして高度な専門性を有する組織とすることが重要だと考えております。  今後、いずれにいたしましても、安定供給確保でございますとか電気料金最大限抑制、あるいは需要家の方々の選択肢や事業者の方々の事業機会拡大目的とする電力システム改革の実効性がしっかり確保されるように、今委員指摘ございましたけれども、米国あるいはヨーロッパにもいろんな例がございますので、こういった各国の例も十分研究して、具体的な業務内容権限、規模、組織設計などにつきまして検討していきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  36. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 まだ漠とした内容なんですが、二年後ということですから、しかも、これがやはり、ちょっとこれから御質問させていただく小売全面自由化等においても非常に重要なポイントになるというふうに思いますので、是非また早いうちに固めて、幅広く議論をお願いしたいなというふうに思います。  それから最後に、小売業の全面自由化に関してお伺いをしたいんでありますが、この電力小売業の全面自由化については、実はもうエネルギー政策としてはかなり前からいろいろ取り組んできまして、五年前ですかね、平成二十年に当時の諮問委員会の答申で五年先送りということが言われました。今回はこの新しい法案に基づくということですから、それとは別になると思うんですが、実はこの自由化というのがいろいろ言われながらなかなか実現していない。今も新電力のシェアが三・六とか、そういう数字聞いています。  例えば、これちょっと嫌みで言うんじゃないんですけど、率直に言わせていただくと、今規制料金と自由化料金と、こうなっていますね。だけど、自由化料金というのは、名前は自由化ですけれど、ユーザーから見ると選択の余地はないんですね、余り、ほとんどないです、相手は決まっているわけですから。だから、これが自由化と言えるのかどうかというのは議論があると思うんですけれども。  そういう意味でいうと、その選択肢も含めて自由化と言える状態をやはり目指さなきゃいけないと思うんですけれど、その場合に一番ネックになるというのは何なんでしょうかね。例えば、東京都知事の猪瀬さんなんかは新電力のシェア三〇%ぐらいにしないと駄目だというようなことをちょっと数字を挙げておっしゃっていますが、そういうことなのかどうか、大臣の御所見を伺えればと思います。
  37. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 直嶋委員指摘のとおり、幾ら自由化といっても、一対一の取引だったら買う相手一人しかいないんですから、実際には自由化ということにはならないんだと思っておりまして、今後、小売全面自由化、特に料金の自由化を実施するに際して最も重要なポイントというのは、一般電気事業者新規参入者も含めた公正な競争環境が整備をされて消費者の多様な選択が実際に持てると、選択肢が出てくると、こういうことなんではないかなと、こんなふうに考えております。  例えば英国の例で申し上げますと、一九九九年に小売全面自由化を行いまして、電気料金、一時抑制効果が見られましたが、二〇〇〇年代半ばからかえって料金が上昇に転じました。この要因を分析してみますと、小売参入の自由化と同時に料金規制を撤廃した、そして寡占化によって電力会社間の競争が不十分であったということで、やはりでかいところが価格支配力を持ってしまったということが一つの大きな要因であった、こんなふうに考えておりまして、この点につきまして、今回の法案附則改革プログラムでは、小売参入の自由化と同時に料金規制を撤廃するんではなくて、経過措置として料金規制を一般電気事業者の方には残し、実際の競争状況確認した上で経過措置の解除を行うこととしておりまして、既存事業者が交渉上優位な立場とならないようにしているわけであります。もちろん送配電部門を中立化するということで入りやすいような状況をつくる、そして入るに当たっては、既存事業者には規制の料金が掛かっています、しかし新規参入の方は自由で更に低い料金でできる、こういった環境をつくることによりまして、真の競争環境、真のいろんな選択肢ができるような環境をつくる、このことが最も重要だと、そのように考えております。
  38. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 どうもありがとうございました。  その経過の中でやはり、今、力の強い業者にということなんですが、現実にいうと、今の電力事業者の皆さんは言わば非対称規制がうんと掛けられるんじゃないかとか、あるいは、みんな自由なんだけれども自分たちだけ供給責任を負うんじゃないかとか、こういうことも御心配をされています。ですから、ここはなかなか難しい部分ではあると思うんですが、是非幅広い納得を得た上で実行されますように御要望しておきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  39. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 おはようございます。民主党の柳澤光美でございます。  私は、今回の電気事業法の改正というのは、福島第一原発事故を踏まえて、今まで需要に応じて供給するという発想の下で大規模電源による供給力を確保してきた、この流れを大きく変えようとする中での審議だというふうに思っています。そういう意味では、本当に将来日本がどういう電源をきちんと取っていくのか、具体的に言えば、原発をなくすのかなくさないのか、そのことを前提にベストミックスをどうしていくのか、そしてそれに合わせて電力システムをどう再構築していくのかという流れの中で議論がスタートをする場だというふうに思っています。それと同時に、将来に向けてのビジョンと、当面電力不足になっている中でどう対応するか、これをできるだけ分離をして少し議論をしなければいけないだろうと。  直嶋委員の方から質問があって一部かぶる部分も多いと思いますけど、私自身、一昨年の九月から昨年九月まで一年一か月、福島の原子力災害現地対策本部長を務めさせていただいて、そんな中で、自分が体験したことも含めて、少し思いが強くなるかもしれませんが、そんな立場で質問させていただきたいのと、時間がありましたら少し、今日、赤羽副大臣もお越しいただいているので、福島の復興の状況についても触れさせていただきたいと思います。  一昨年の九月の五日に官邸で、当時の野田総理から、福島の復興に政府、国を挙げて取り組むことが最優先課題になると、福島の再生なくして日本の再生はないという宣言をしたいと、福島の復興に全力で取り組んでほしいというお話をいただいて、九月の八日に福島入り、野田総理と一緒にしました。当時は福島の県庁の五階の大会議室に現地本部がございまして、本省から百名を超える支援部隊、ほとんど経産省が多かったわけですが、行ってみまして、当時は私の下に警察、自衛隊、海上保安庁、高線量の森林で火災が起きたらという問題から実は消防本部も入っていただいたんですが、それと同時に、福島第一原発の復旧復興に当たる東京電力の部隊の皆さんを私が指揮することになりまして、各班長さんからいろいろ報告を受ける中で、もうこれは駄目だと、腹くくろうということで、ホテルの一室を借りるのと同時に、新幹線で往復をしながら、昨年の二月の十日に復興庁ができるまでほぼ常駐の形で復興の先頭へ立たせていただきました。  二十キロの警戒区域はもちろんなんですが、避難区域もくまなく歩かせていただきましたし、近隣の市町村も回らせていただきました。市町村長さんのお話を聞く、それから仮設住宅できるだけお伺いをして避難をされている皆さんの声を聞く、そして福島の第一原発事故現場にも何回も入らせていただきました。そして、正直言いまして、本当にもう胸が痛いというよりは張り裂ける思いでした。  再度ちょっと大臣にも確認をしたいんですが、この福島の復興、一人でも多くの方が一日も早く帰還できるために、それと同時に福島第一原発廃炉に向けても、これは国あるいは政府が最後まで責任を持ってやるということを再度確認をさせていただきたいと思います。
  40. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 柳澤委員には、一昨年から昨年にかけまして、経済産業大臣、そしてまた現地の対策本部長として一番難しい時期の福島の復旧復興、御尽力をいただき、また陣頭指揮に立っていただきましたこと、心から敬意を表する次第であります。  東日本大震災からの復興、これは現政権においても最大の課題である、福島の復興なくして日本の再生はない、こういう思いを持っております。そして、様々な課題があるわけでありまして、例えば廃炉の問題、除染の問題、賠償の問題、全て事業者任せにしては復興が遅れてしまうと、こういう思いから、例えばモックアップ施設等の廃炉の研究施設につきましては、国がしっかりと前面に出て果たすべき責任を果たしていくということから、平成二十四年度の補正予算におきましても早速八百五十億円計上もさせていただきました。  さらに、国としてやるべき部分については考えていかなければいけないと。今地下水の問題も深刻であります。阿武隈山系から流れてまいります地下水、毎日四百立米、これが汚染水になってしまうと。どうにかこれを止めたいという思いで様々なバイパス措置、そして最終的には、今度は凍土方式を使うことによって地下水の流入を防ぐ、ここでも国が前面的な役割を果たしてまいりたいと考えております。そういった廃炉の問題、除染の問題もあります。  同時に、やっぱり福島が生き返る、そのためには企業が立地をする、そして雇用が生まれる、こういったことが極めて重要だ、こんなふうに考えておりまして、産業再興の観点から、企業立地補助金や中小企業等グループ補助金を活用して、被災地における企業の立地の促進や雇用の確保にも努めているというところであります。  先生に果たしていただいた役割、今、赤羽副大臣の方に全面的に引き継いでいただいて、毎週福島に行っていただいております。そして、現地の皆さん、そして本省から出向している皆さん、いろんな現場の声を聞く中で改善できることはその場で、現場で改善していこうと、そういう先生の思いを引き継ぎながら、しっかりとこの問題取り組んでいきたいと思っております。
  41. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 ありがとうございます。  また、毎週、今、赤羽副大臣も入っていただいて、私はこの問題、与野党を超えて取り組まなきゃいけないというふうに思っておりますし、またお役に立てることがあれば是非また声を掛けていただければというふうに思っています。  しかし、そんな中で、私は現地に入って、期間は別としても、将来やはり日本原発をなくすべきだというふうに思っています。そうするのかしないのかということが明確にならなければこれからのビジョンもスタートしないだろうと。政府としては今、原発を将来どうしようと思われているのか、明確にお聞かせいただければと思います。
  42. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 現在、福島におきましては、十五万人を超える方が非常に困難な避難生活を続けていらっしゃる、そして放射能の危険等々と向き合った不安な毎日を送られていると。そういった中で、福島皆さん原発のない社会をと、こういう強い思いを持たれていると、こういうことについては十分理解できることだと、こんなふうに私は考えております。  その上で、国のエネルギー政策全体について申し上げますと、いかなる事態においても国民生活経済活動に支障がないようにエネルギーの需給の安定に万全を期すと、このことはどうしても大前提になってくると。計画停電が起こってしまう、ブラックアウトが起こってしまう、こういう事態を起こさないようにしていかなければいけない、そんなふうに思っております。  現在、中長期的なエネルギー政策基本となりますエネルギー基本計画につきましては、特に安定供給コスト削減に重点を置いて、総合資源エネルギー調査会総合部会を開催して検討を進めているところであります。  この検討に当たりましては幾つかの重要な視点があると考えておりまして、まずはエネルギーの調達、発電のサイドでは、再生可能エネルギー最大限の導入を図っていく、さらに世界最高水準の石炭、LNG、高効率火力発電など多様なエネルギー源の開拓、そして多角的な調達先の確保を実現していきたいと考えております。  原発につきましては、国の方で新しい規制機関、これをつくったわけであります。独立の規制機関をつくりまして、原発についてはあらゆる事情に安全性を優先をする。そして、この安全性確認については独立した規制機関について行い、この規制機関が安全と確認しない限り原発の再稼働はない。しかし、安全が確認をされた原発については規制委員会判断を尊重して再稼働を進めたいと、このように考えておりますが、先ほど申し上げたように、多様なエネルギー源の開発をしていく、多様な調達先を考えていく、様々なエネルギーの今後の対策を取る中で、できる限り原発依存度を低減させていく方向で最終的なベストミックスを考えていきたいと、このように思っております。
  43. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 分かりました。  私は、やはり将来、今言ったように再生可能エネルギーに変える、あるいは石炭火力、組合せベストミックスにして原発がゼロになるという目標を持つか持たないかでは全ての取組が違ってきますし、スピード感も違ってくるというふうに思っています。  私は、日本こそ原発をなくす。今回、福島原発事故というのは、スリーマイル、チェルノブイリ、福島、大きな原発事故が世界ではあったわけですが、福島原発事故が世界に与えたインパクトが一番大きいというふうに思っています。ですから、ドイツが原発をやめるというような方向が出る。  私自身、今回の原発事故というのは、言い方があれですけれども、本当に自然というか地球が人間に対して警告を与えてくれたんではないかなと。豊富な電力の中で、暖房を入れて冬でも半袖で生ビールが飲める、夏は冷房を効かせて女性がブランケットがなければ冷え性になってしまう、電車にも冷房が効き過ぎて弱冷房車両が出てくる、あるいは汗をかかなくなったために汗腺が開かなくて熱中症が増える、やはり不自然な生活は良くないと。そういう意味でいくと、原発というのは、核分裂によって別のいわゆる危険な物質を出してしまうという意味でいくと、一番不自然な取組だろうというふうに私は思っています。  ですから、省エネのときにもお話しさせていただいたように、本当に地熱という自然エネルギーを使えばそこに農業やあるいは観光がコラボしてくる、あるいは小水力、中水力で本当に里山が守られる、木質バイオマスで森林が守られて、日本の自然も守られていくようになる。そこに人が集まって雇用も生まれて、実は昨日、地方制度調査会の答申案の最終の確認の場がありまして、やはり一番議論になったのが、人口減少になり、少子高齢化が進んで、どうしても都市部に人口が集中して過疎化が進む、それを止めるということが私はとても大事だという発言をさせてもらいました。  それを前提にして、地方の在り方というよりは、本当にエネルギーが地方の活性化の柱になってくるというふうになれば、本当に地方の在り方が都市集中型ではなくて、私どもが新成長戦略で、グリーンとライフと農林水産業の六次産業化に中小企業はもう一回再編をされて地域が生き生きとしてくる、そこの一番大きな柱に私は地産地消型のエネルギーというのが大きく働くだろうというふうに思っています。  それと同時に、日本は、省エネ、特に自家消費型で電気確保していくというようなロマンをきちんと持たなければいけないだろうと。そうすると、今回の法案の中で、本当に広域的運営推進機関を創設したりしながらシステム改革をするとして、分散型電源や再生可能エネルギー発電事業者に本当にどういうメリットが出てくるのか、あるいは地産地消型にどういうメリットが出てくるのか。そのことは、是非、大臣日本の将来をどうしたいんだというロマンも踏まえて、私は、ロマンというのは夢ではなくて強い思いと志だと思っているんですが、そこに向かってどうしていこうかということが必要だというふうに思っておりますが、お話をお聞かせいただければと思います。
  44. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) まず、先生には、前任の大変貴重な教訓を生かしながらこれからも御指導いただきたいと思いますし、感謝申し上げたいと思います。  まず、今お話ありましたように、三・一一以来、日本エネルギー政策において新たなエネルギー制約に直面をしているということはもう御認識のとおりでございます。であるがゆえに、今御指摘ありましたように、また、先生、これまでの御質問でも再三御提案していただいているように、地熱発電ですとか小型水力ですとか、自然再生可能エネルギー等々の分散型電源を含む新たなエネルギー供給源が多角化していかざるを得ないと。と同時に、その新たなエネルギー供給源が実用化されるためのシステム改革が必要だと、全般的な日本エネルギー政策をもう一度見直そうとするのが今回提出をさせていただいている、御審議いただいているこの法案の私は骨子だと、こう思っております。  少し具体的に言いますと、この法案の中にあります、まず法的分離方式による送配電部門の中立化ということによりまして、再生可能エネルギーなどの分散型電源を用いて発電する発電事業者小売事業者が送配電網を利用しやすくなると。風力をせっかく発電を起こしても、それを例えば北海道から首都圏に送れないというような具体的な御指摘も相当程度解消ができていくと、こう考えております。  また、家庭等の小口部門の電気小売を自由化することによりまして、地産地消の電力供給を行おうとする事業者電力会社の送配電のネットワークを利用して一般家庭も含めた地域への電力供給を行うことが可能になるというふうに考えております。  こうした一連の改革をすることによりまして、分散型電源による発電への参入も増えて、これを地域で販売しようという動きが出てくるものと期待をしているところでもございますし、さらには、地元で発電した電気を買いたいという消費者も出てくるものと、こう期待をしております。  こういうことによって電気の地産地消、先生が再三再四御提案をいただいておりますが、地産地消に取り組もうとする地域の自治体や企業、組合などにとっても事業機会が大きく拡大していくものと考えておりますし、その方向でしっかりと取り組んでいきたいと、こう考えております。
  45. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 具体的な点につきまして今、赤羽副大臣の方から説明をさせていただいたところでありますが、省エネ、今お話伺いまして、日本、一九七〇年代、二回のオイルショックに直面をして、それを乗り切る中で、確かに産業部門の省エネ、これはかなり進みました。当時と比べても一割ぐらい下がっているんですが、家計部門等々の電力消費、これは圧倒的に増えていると。ライフスタイルの問題でもあると思います。そして、もっとこれは農業の分野だけではなくてエネルギーの分野でも分散型の電源、そして地産地消を進める、こういったことが極めて重要だと思っております。  どこの時代まで戻ればいいのかというのはあるわけでありますけれど、エルンスト・フリードリッヒ・シューマッハーが「スモール イズ ビューティフル」という本を書いておりまして、中世のヨーロッパの生活様式が最もいいんだと、こういう話でありまして、私は若干行き過ぎではないかなと思うんでありますけれども、やはりこの快適な生活を送る中で、しかし我慢できる部分というのは我慢をし、また、これからは電力システム改革についても単純な我慢だけではなくてスマートに省エネを図っていくと、こういったことも一緒に考えていかなければいけないと思っております。
  46. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 ありがとうございます。  今大臣からありましたように、日本だって江戸時代には三百年、本当にサイクルの中で、日本の国内の中で、確かに物質的には恵まれていないとしても、精神的には非常にゆとりを持った生活をしてきたわけですから、もう一度その日本の良さというものに取り戻していく、そのことによって私は日本の形が大きく変わってくるというふうに思っています。  そんな中で、再度お願いしておきたいのは、どうしても今、固定価格買取り制度を入れて、大量に発電できる太陽光のメガソーラーとか風力に偏っていますが、私がお願いしたいのは、本当に安定電源になる地熱とか木質バイオマスあるいは小水力、それからごみ発電なんというのも本当に大きな力になってきますし、この前、安倍総理が行かれて、大分で、あれだけ外に出ている蒸気というものが電源に使える、特に、地熱だけではなくて、バイナリー発電という意味でいくとかなりの効果が出せるというような地域の特性というものが出てくることが必要だろうというふうに思っていますので、この辺に少し力を、ウエートを掛けてもらうと。メガソーラーとかそっちは参入が多いんですが、そうじゃないところはフォローをしていかないと育たないというふうに思っていますので、お願いをしておきたいと思います。  ちょっと当面の課題で、これは将来、これからどう進めていくかという議論なんですが、目の前の電力不足というのをどうとらえていくかという中にこの火力発電の問題があると思っています。  今原発を停止する中で、まあ大飯の三号、四号は動いていますが、火力発電の比率はもう九割に達している。電力各社は古い火力発電も急遽立ち上げて、本来やる定期検査の計画を繰延べしたり前倒ししたり、フル操業で動かしているのが現状だというふうに聞いています。この夏の安定目標も、関西では三%、九州では三・一%というぎりぎりの状況にある。もし本当にこの火力発電事故とか故障が起きたらどうなるのかと、ブラックアウト本当に起きないのかという懸念も私はあるというふうに思っています。  震災後、経年化等により長期停止していた火力の再稼働は六社で十基あるというふうにも聞いています。私は、政府というのは最悪の事態を想定して最善の手を打っておかなければいけないと。もし火力が止まるという意味でいくと、火力発電所を個別に確認する、電力会社に任せない、任し切らない、政府としてもきちんとチェックをして、どこの電力会社のどの火力発電所がもし事故が起きて止まったらどういう対応が取れるかという個別の私はシミュレーションが必要だというふうに考えております。  これを今具体的にどのように考えられているか、お答えをいただければと思います。
  47. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) 御質問をいただきましたように、火力発電、フル稼働しております。計画外停止の件数は、一昨年から昨年、また昨年から今年にかけて毎年増加をいたしております。特に、四十年以上経過をした老朽火力の計画外停止につきましては、二〇一〇年から二〇一二年にかけてですが、一・七倍になっております。御指摘のように、最悪の場合に備えた対策を取っておくということが必要だろうと思います。  そういうことで、この夏、二〇一三年度夏季の電力需給対策として政府が決定しました対策の中には、そういう最悪の事態を想定して多重的な対策を講じているところでございます。  まず、万が一電力需給逼迫する場合への備えとしまして、供給面でございますが、第一に、電力会社による発電設備の保守、保全の強化を求めております。また、電力会社が自家発電からの追加的な電力購入を準備するということを求めております。また、政府といたしましても、自家発電事業者に対しまして、設備投資ですとか、それから燃料費の補助を行うということによってこういう供給力を増す、それを需給逼迫に応じて提供しやすくするということを図ってまいることにしております。  それに加えまして、これは新しい取組でございますけれども、卸電力取引所というのがございますが、ここで会員以外も会費なしで売電、供給できるという仕組みを設けることにいたしまして、広域的かつ機動的な電力調達を可能とする仕組みを整備をいたしております。  それから需要面でございますけれども電力会社がディマンドリスポンス等の取組を促進をするように求めております。それでも、そういったことを様々やりましても需給逼迫が予想される場合には、政府より需給の逼迫警報ですとか、それからそのエリアの携帯電話に一斉に全て届く緊急速報メール、こういうことを送るという準備を整えておりまして、いざというときにはそういう対応によって一層の節電を要請するということをいたしております。  実は先週の金曜日も、北海道、愛知、和歌山、長崎という火力発電が次々とトラブルで停止をいたしました。その一部はこの週末にまた復旧をしておりますけれども、そういう個別の火力発電の運転状況についても、私ども、それぞれの電力会社と密接に連絡を取りながら、こういう対策がきっちりと打てるように緊張感を持って臨んでまいる所存でございます。
  48. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 対策打たれているのはよく分かりましたが、こういう事故というのは連鎖的にも起きるわけで、本当に体制はもう一度個別に、電力会社任せにしないで、これが止まったらどうするというぐらいの確認も是非しておいていただきたいと。  そんな中で、私、今一番心配しているのは、今回、安定供給の最低必要な三%の余力が確保ができたという形で、節電への取組が非常に弱まっているというふうに私は思っています。  ちょうど三年、震災から三年目の夏を迎えます。最初の年は、電力を、計画停電をする、もう皆さんに協力してもらわなきゃ動かない。そして昨年、大飯原発の三号、四号の再稼働も含めた電力不足で関西の皆さんにも強い要請を出す。あるいは昨年の冬、北海道が電力不足になる、ですから七%の目標値を作って協力をもらうという動きが、これがメディアによって、国民の皆様にも、電力は決して十分にあるんじゃないんだと、みんなで協力をしなければいけないんだという情報が行き渡っていたというふうに思うんですが、それが今回は大丈夫だということだけが表に出ていますから、そんなに節電に対応しなくてもいいだろうという雰囲気がメディアの情報も含めてあるんではないかなというふうに私は思っています。  そういう意味では、是非この節電対策をもう少し、省エネでもやりましたけど、ピーク電力の対応をどうしてもらうか、もっと具体的に国民に呼びかける必要が私はあるんではないかというふうに思いますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  49. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) 今年の夏の節電につきましては、日本の各地域で数値目標を伴わない節電ということで、昨年、一昨年に比べまして、非常に需要家の皆様に御負担を掛けたということを鑑みますと、数値目標がないということで無理のない節電に努めていただきたいということでお願いをしておるところでございます。  他方で、数値目標がないために節電の取組が緩んでいるんではないかという御指摘、重く受け止めなければいけないと考えております。  私ども、節電、無理のない形での節電はしっかりと引き続き呼びかけていく必要があると考えておりまして、具体的には、経済産業省それから政府の節電ポータルサイトにおきまして、国民、企業にとって分かりやすい節電メニューを作成し、公開をいたしております。  これは、例えば家庭でございますと、夏の昼間十四時ごろの電気の使用はエアコンが大体五八%ぐらいということでありまして、例えば設定温度を二度上げると一〇%ぐらい節電ができますよとか、それからエアコンを止めて扇風機に替えますと五〇%ぐらいの節電ができますよとか、それから待機電力を避けるためにコンセントを抜くと二%節電ができるとか、そういう具体的な方策を具体的に示しながら呼びかけをするというものでございます。  それから、企業の皆様方につきましても、オフィスビルとかホテル、旅館、製造業、食品スーパー、飲食店、学校、医療機関といった様々な事業形態ごとに、どういう対策を取ればどれぐらいの効果があるかということをお示しをして、実際の節電、無理のない節電に役立てていただきたいということをお願いをしてまいりたいと思っております。  加えまして、各電力会社が行っておりますでんき予報、これを通じまして日々の需給情報を開示をいたしておりますし、また、今回、夏を迎えるに当たりまして、政府で決定した電力需給対策についての説明会を各経済産業局において実施をするということなどを行っておるところでございます。  こういう普及、広報、PR、幾らやっても十分過ぎることはないと思いますので、いただいた御指摘を胸に、引き続ききめ細かい対応に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  50. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 具体的な対策につきまして、今、糟谷部長の方から説明をさせていただきましたが、率直に申し上げて、これまで政府電力会社もパブリックリレーション下手だったと思います。  今年は数値目標を設けないにしても、やっぱりこれは電力需給、これの安定に万全を期すという観点から、国民皆さんにどうやって自覚を持ってもらうかということが極めて重要なんだと思います。こういう自覚を持ってもらえるような手段を様々な形で取ってまいりたいと考えております。
  51. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 是非よろしくお願いしたいと思います。  人間の慣れというのは大変恐ろしいもので、今回、そういう形で大丈夫だというのはどうしても生活の中へ下りていく。ところが、一方で、この前大阪で三十七度を超える。じゃ今年の夏はどんな猛暑が来るか分からないということも頭に置いて、ただこういうPRをしていますという自己満足ではなくて、手段が目的ではなくて、国民にそれが本当に伝わったかどうか、これはマスメディアをどう使うかということも含めて私は検討していただきたいということをお願いしておきたいと思います。  そんな中で、実は私も、燃料、いわゆるLNGと原油の確保で、サウジアラビア、アブダビ、ドバイ、クウェートと回らせていただいて、その後、ホルムズ海峡の問題もある、それ以外のところでということで、オーストラリアの北部のダーウィンのイクシスの起工式にも行かせてもらいました。これは日本が手掛けて、七割以上日本LNGが入ってくる。それから、アフリカのモザンビークの資源外交の中での対応もやらせていただいて、ただ、むしろ量の確保以上に値段の問題も大きいわけですね。  ですから、二〇一一年で二・三兆円、二〇一二年で三・一兆円、今年は百円でとらえて三・八兆円、国民一人当たり三万円以上のお金が、国の富が外へ流れていってしまっているということも、国民皆さん、企業の皆さんにもやはり知っていただくことが必要だというふうに思っています。節電ということが日本の国富を守ることにもなっていくんだと。そうでなくても、もう電力八社の赤字が一兆六千億を超えるというふうにも言われていまして、電気料金値上げがもう相次いでせざるを得ない。そうすると、家計も企業もコストアップが掛かってくる。とすれば、節電というのは本当に家庭にとっても企業にとっても国にとってもとても大切なことなんだということをもう一度真正面から説明をしていく必要があるというふうに私は思っております。是非、その辺の対応をよろしくお願いしたいと思います。  そんな中で、先ほど大臣からもありましたように、LNGというのは本当に、量の確保と同時に、非常に、そうはいっても、シェールガスになってもまだ石炭に比べればはるかに価格が高いわけですね。特にLNGに関しては、マイナス百六十二度で保管をしたり、いわゆる保管が必要ですから輸送とか貯蔵にも非常に経費が掛かってくる。  ところが、日本の場合には、石炭火力というのは環境問題もあってほとんど今まで取組が弱まってきていた。ここのところから、私は石炭火力というものをかなり大きなウエートでベース電源として構築をしていくということが必要になってくるだろうというふうに思っています。  実は、北海道からも、まだまだ石炭が埋もれているんだから是非使ってくれという陳情を受けたこともございました。この前、クリーンコールパワー研究所のお話もさせてもらいました。千二百度でガス化をする、そこからCO2もかなり撤去ができる。この手法は、本当に石炭だけではなくて、重油ももちろんなんですが、下水汚泥や木質バイオマスまでも活用ができるという話を聞いています。とすれば、これは政府を挙げて石炭火力というのを今後どうしていくのか、もっと具体的にどうスピードアップをしていくのかということも非常に大事なテーマというふうに私はなるというふうに思っていますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  52. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 我が国石炭火力発電効率、これは世界最高水準でありまして、私も先日、磯子の石炭火力発電所を見てまいりました。何分見ていても煙突から煙が出てこないんですね。世界最高水準のものを持っているわけでありますが。二〇一二年度の発電電力量に占める割合、世界平均でいいますと、石炭、四一%まで行っていますが、日本は今二八%と、こういうレベルであります。  そして、この石炭火力委員指摘のとおり、燃料費がLNG火力の三分の一程度であり、経済的に極めて優れている。そして、エネルギーの安全保障、低廉なエネルギーの調達、そして対外的な外交オプションを増やすという観点からも極めて重要な意味を持つ、このように認識をいたしております。  他方、CO2の排出量、こういう課題もあるわけでありますが、環境にも配慮した高効率火力発電の推進に向けて、環境アセスメントの手続の明確化であったりとか、審査期間を、現行三年程度掛かるのから、リプレースでいいますと最短で一年強に短縮する、こういった環境省との合意もできたところであります。  そして、この技術も更に今後進んでいきまして、先進の超超臨界圧火力発電、石炭ガス化燃料電池複合発電、前者が二〇二〇年代、後者が二〇三〇年代、これは燃料電池と組み合わせてやることになっていくと思うんですけれども、そういった更なる技術開発にも取り組んでいきたい、こんなふうに考えておりまして、これは日本にとっても極めて重要な電源になっていく。同時に、今のレベルの高効率日本石炭火力を使いましても、これをアメリカ、中国そしてインドに応用しましたら、一年間で十五億トンのCO2の削減効果があります。日本全体で今出しているCO2の量が十五億トンでありますから、そういった意味からいいますと、日本エネルギーにも貢献する、そして世界の地球環境問題にも貢献する、極めて重要な技術であり分野である、このように考えております。
  53. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 ありがとうございます。  今大臣がおっしゃっていただいたように、私は省エネのときにもお話ししましたが、本当に再生可能エネルギー日本が得意な省エネ、特に蓄電池を本当に世界のブランドにする、そうすればどんな小さな島でもいわゆる分散型の発電と省エネがセットでお役に立てる。この火力も、大臣がおっしゃられたように、世界に貢献できるという大きな柱になってくるというふうに思っておりますので、できるだけこれをスピードアップをして、むしろ総理が原発を売り込むよりは日本火力発電を世界に売り込んでいく、その方が感謝をしてもらえるということを是非大切にしていただきたいというふうに思っています。  そんな中で、原発は将来的になくすとしても、当面、原発の再稼働は私は避けて通れない課題だというふうに考えています。電気がなければ家庭も企業も生きていけないのが今の現状ですから、かすみを食って生きていけるわけではないと。とすれば、どうするかというふうになったときに、今までお話ししてきたように、火力発電あるいは石炭火力にしてもお金も掛かるし、そう簡単には切替えが進んでいかない。特に経費の問題は大変な課題になってくる。再生可能エネルギーへの転換もかなりまだまだこれから時間が掛かってくる。とすれば、当面、原発の再稼働をどうするか。  前の野田総理からは、私は、政府、私たちの責任は、将来のビジョンを描くと同時に、現実を直視をして、そこで最善の手を打つしかないんだというお話を聞いて、昨年の四月の二十六日に大飯原発の三号、四号の再稼働のためにおおい町の住民説明会に行かせていただきました。特に関西電力原発への依存度が非常に高く、また再稼働するには三号、四号、各機が一機ごとに準備に四週間、一遍にはできない。とすれば二か月近く準備に掛かる。それには、もう夏に間に合わせるにはそこがもう限界だというのが状況でした。  正直言いまして、原発の悲惨さというのは、私は現地本部長として一番肌身で感じている人間の一人だというふうに思っておりますけれども、その私が説明に行くというのは、これが天命だろうなということで、当日、朝早く出て、午後に現地に着いて、三時間以上にわたって大飯原発の三号機、四号機、中から外まで全部じっくりと説明を受けながら見させていただきました。そして、福島第一原発を襲った以上の地震と津波が来ても十分耐えられるということ、あるいは、複数の外部電源がきちんと確保できている上に蓄電池のシステムも全部準備をして電源確保ができていること、それから、高台に水のタンクも設置して、あるいは海から海水を揚げるポンプとホースも全部準備がされていわゆる冷却水の確保ができていること、それから、そういう多重多様な対応をきちんとした上で、原発の機種がいわゆるドーム型で、福島第一とは違って水素爆発が起きる可能性が非常に低いということも確認をさせていただいて、夕方からの説明会に出ました。  五百名以上の方が参加していただいたんですが、それ以上に、ケーブルテレビがあって、各家庭にあると。ということで、三台のカメラでライブで放送していただけるということを受けて、福島第一原発との比較も含めて、私の判断を率直に説明をさせていただいて、町長始め議会、それから住民の皆様の了解が得られて、再稼働につながりました。  もちろん、絶対に安全だと言えるのかと、責任が取れるのかと大変厳しい質問もたくさん出ました。ただ、私自身非常に感じたのは、ある女性の住民の方が手を挙げて、私たちは関西圏の皆さんのために原発が必要だと思って原発を今まで認めてきました、そこにまた生活も出てきました、今回の説明を聞いて、やはり再稼働が必要だというふうに思っています、でも、その再稼働を認める私たちが関西の皆さんからまるで悪者のように言われるということが本当につらいですというお話がありました。  そういう意味では、この後、再稼働大臣の方でも進めていくというお話がありますが、私は、やはり政府がそろそろ前面に立って、地域の説明も含めてやっていかなければいけないときだというふうに思っておりますが、再稼働についてもう少し具体的な考えがあればお話しいただきたいと思います。
  54. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 先生が大飯の三号機、四号機、再稼働に向けて御苦労をしたという話は伺っておりましたが、今日改めて、朝、東京を立ってから地元に入られ、実際に号機を御覧になられ、その後地元の説明会に臨まれ、それがケーブルテレビにも映ると、そして様々な御意見、受け答えをされる中で、地元の理解、協力を得るために先頭に立たれてきた、まさにそういった努力を国がしていかなければいけないという思いを強くしたところであります。  もちろん、原発につきましては、安全性を第一にして、そして、この新しい規制委員会の下の安全基準、これに沿って安全性チェックする、そして、安全性チェックできたらそれでよしとしないで、事業者関係者においても、それはあくまで規制基準をクリアしたんだと、自分たちでもより高い基準を常に目指していく、こういった努力も積み重ねる必要はあると思っております。  安全性確認をされた段階で、先生がされたような努力を国としても、現政権としてもしっかりと進めていきたいと思っております。
  55. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 そんな中で、私も規制委員会安全確認が大前提だというふうに思っております。しかし、その規制委員会審査の優先順位、どういう順番でするのかというのが、話に聞きますと、先着順であったり、くじ引であったりという話も伺っています。  私は、本当に再稼働するということであれば、私が行った大飯原発、やはり関西が電力が足りなくなる、その中でもある程度福島第一よりも新しい機種であって、太平洋側ではなくて日本海側にあって地震、津波の部分も非常に大丈夫な部分があるというふうに、本当に必要とされる地域、あるいは原発の機種、新しいか古いか、あるいは経過年数がどうなっているかということも含めて少し順番を、政府が少し入って安全確認を進めていくことがそろそろ必要に私はなってくるというふうに思います。  この前、大飯の三号機、四号機に規制委員会が入っていますが、大飯もこのまま行けば九月には定期点検で止めることになります。とすれば、下手をすると三か月から半年ぐらいまた時間が掛かってくる。そういう中で、どこを優先的にするべきかということをそろそろ真剣に考えなければいけないときだというふうに思いますが、お考えをお聞かせいただければと思います。
  56. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 柳澤委員のおっしゃること、私も十分理解をいたします。  その上で、今、経済産業大臣、こういう立場から申し上げると、この原発安全性、そしてその審査につきましては、どの原発から審査をするのか、どの程度の時間を掛けて審査を行うかについても原子力規制委員会の検討に委ねざるを得ない、こんなふうに考えております。また、現在、事業者において新規制基準に照らして安全性向上のための取組が積極的に行われており、事業者から原子力規制委員会に対して申請がなされた場合、新規制基準に基づき、できるだけ速やかに安全性について評価、確認がされるものと考えております。  立場上、こういう答弁をさせていただいておりますが、当然、規制委員会においても、一定の時間軸、優先順位、こういったものをお考えになり、審査をしていただけると考えております。
  57. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 お立場は分かりますし、特に規制委員会中心にというふうには分かるんですが、今大臣が最後に言われたように、本当に必要なところに必要な再稼働をどうしていくかということは、とても再稼働を認めるとすれば必要になってくるというふうに思っています。  ここからはちょっと言い過ぎかもしれませんが、私は、地域でいえば、去年の冬、北海道の電力不足が大きな議論になって七%の目標を出して協力をもらいました。もちろん、自家発電、膨大なお金と費用、手間を掛けてやって何とか乗り切れたんですが、元々、北海道は津軽海峡の下、地下ケーブルで六十万キロしか送れないわけです。それから、私は暑さよりも寒さの方が厳しいと思っています。逃げる場所がない、二十四時間逃げ場所がない。暑さであれば、プールに行く、裸になるということもできるんですが、特に北海道の場合には、人間だけではなくて、牛や羊や家畜がたくさんいる、しかも競走馬もいる。これは生き物全員に大きな影響が出るということが一つ。  それから、泊の三号機というのは一番新しい、経過年数も三年しかたっていない機種でありまして、こんなところを僕は想定して先ほどの質問をさせていただきました。これは答弁は要りません。恐らく難しいことになると思いますけど、私はそのことがこれから大事になってくるというふうに思っています。問題提起だけさせていただきます。  次に、少し復興の取組の中で感じたことを今日は赤羽副大臣も来られているのでお話ししたいと思うんですが、私は現地に入って一番感動したのは、やっぱり警察、自衛隊、海上保安庁、消防団はもちろんなんですが、役場の役職員の皆さん、自分が被災する中であれだけ献身的な努力をしていただいている、この現場力というのは本当に日本の財産だということは肌身で感じさせてもらいました。  そんな中で、特に福島第一原発事故現場では、発災から五千名以上、多いときは八千名、発災のころは本当にもう放射線が飛び交う戦場とも言えるところで、昼夜をたがわず復旧復興に協力会社も含めて当たっていただいた。このことに本当に私は心から敬意を表したいと思いますし、それがあったからあれだけ大きな原発事故が一昨年の十二月には少なくとも冷温停止という状態まで抑え込むことができる。それから、タイベックスを着て、本当に人海戦術で放射線量の高い瓦れきを片付ける。掃除機も掛ける。一号機にカバーを掛ける。港の中はゼオライトでセシウムを下に沈み込ませる。今地下水、問題になっていますが、一昨年の十月の二十八日に、福島第一の周り八百メーターにわたって二十二メーターの鉄板を打ち込む遮水壁を造るという起工式が行われました。そういうことがあって、あそこの空間線量が一ミリぐらいまで収まって放射線が飛ばないから初めて除染という取組につながっていったわけです。  入るたびに、当時の吉田所長さん、あるいは協力会社の幹部の皆さん、それから行くたびに、多くの皆さんが集まっていてお話をさせてもらうときに、本当に涙が出そうになる場面が何回も私はございました。この前、藤原委員お話しになったように、本当にこの原発事故を起こしたのが現場で働いている皆さんではないわけですね。ですから、そこでお話を聞いたときに、一番つらいのは、使命感を持って私たちはやっているからいいと、しかし、妻や子供が、原発で働いている東京電力の社員だということで家族がつらい思いをしているというのが何よりも耐えられないという話が強くありました。労働条件も、本当に寝る場所、食事の場所含めてもうめちゃめちゃで、できるだけ宿舎を造る。今は本当に大分改善をされてきていますが、例えば、東京電力でいいますと、二号機、三号機のあの線量の高いところの作業というのはどうしても協力会社の皆さんにはお願いがしにくい。ですから、全国から、東京電力本社も含めて東京電力の社員の皆さんが作業に当たる。  私の方で聞いたところ、今年の四月時点で被曝線量が百ミリシーベルトを超えている作業員、一部協力会社も入れまして百六十七名に達している。もちろん配置転換をして、自主的に辞められた人は別ですが、対応は取っています。でも、このような努力に対してほとんどスポットが当たらないというか、何かもう少しその人たちに何かができないかという思いは常に私の中にありまして、この辺、今、赤羽副大臣も対応してくださっていると思いますが、総理も茂木大臣も入っていただいていますけど、そんなことはやはり是非少し気持ちの中に置いておいていただいて、大事にしていただきたいというふうに思いますが、御感想がございましたら。
  58. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) 私も、現職に就かせていただいて、一月二日から週二日、福島、現地に行っております。できるだけ一F、二F、またJヴィレッジにも足を向けるようにしております。  私も最初、一F、Jヴィレッジ、訪れたときには、先生言われたように、同じ感想というか衝撃的な思いをいたしました。無名の数千名にわたる関係者皆さんの必死の努力、命懸けの闘いがあったればこそ現状の今の現実があると。しかし、一方で東京電力という加害者という立場。恐らく東電も、現場で働いている方たちの生活環境についても、被害に遭われた皆さんが仮設住宅で住まわれている以上、それより良くすることはできないというような配慮もあったかと思いますが、廃炉につきましては、長期にわたる闘いでもありますし、極めて難しい作業でもありますし、この現場で働く皆さんの生活環境を改善していくというのはしっかりと取り組んでいかなければいけないという思いでございます。  茂木大臣も一月早々に一Fに入っていただきまして、Jヴィレッジの現場で働いている皆さんの住まい環境も直接視察をされました。特にこの生活環境について言及をされまして、東京電力についても、ここはいろんな配慮もあるかもしれないけれども、しっかりと長期にわたり、お風呂とかトイレも外に行かなければいけないし、現実にはコンテナみたいなところで生活しているというのは、大変これは改善をする必要があるということを強く東京電力の方にも要請をさせていただきました。  東電も、それから協力会社の作業員の皆さんに対しても、労働環境の改善についてのアンケート等々、情報交換を定期的に実施をしておりまして、もちろん作業員の被曝管理ですとか健康管理に加えて就労実態や労働条件の把握など、継続的に労働環境の改善に努めていくことを行っておりますし、引き続きそれは私どもも責任を持って取り組んでいきたいと、こう考えております。
  59. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 現場の作業環境の改善、極めて重要だと思っております。  今、赤羽副大臣の方からもありましたが、私、昨年の十二月の二十六日に大臣に就任して、一月に現地を訪問させていただきました。第一原発そのものも視察をいたしましたが、作業員の宿舎等々も拝見をさせていただいて、この仮のバラックといいますか、トイレとかシャワーがないんですね、遠いところまで行かなきゃならない、是非改善してほしいとその場で要請もさせていただきました。  そして、この作業、相当長期にわたる厳しい作業が続くということを考えますと、これからも作業員の被曝管理、そして作業安全確保、健康管理に加えて労働実態とか労働条件の把握など、継続的に労働環境の改善に努めていく、これからもやっていくということが極めて重要だと考えております。
  60. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 実は吉田所長と話したときも、所長が一番頭を悩ませていたのは、これだけ命懸けで頑張っている人たちが、結果として賃金が高かったという理由だけで、むしろ賃金が下がって、ボーナスも賃金も上がらない中でここまで頑張ってくれている。ただ、実態とすれば、平成二十三年には四百七十、平成二十四年で七百十、千名を超える依願退職者が出ている、しかも若い人たちにもいるということが、これは現実なんです。  という意味でいくと、廃炉も含めて本当に優秀な人材を確保をして育成していくということは、東京電力に任せるだけではなくて、政府、国を挙げてきちんとやっていく、三十年、四十年のスパンで考えなければいけないというふうに思いますから、この辺、是非、お考えがあったら、お願いをして、要請をしたいと思いますが、いかがでしょう。
  61. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) これからの廃炉、長い期間を掛けて様々な困難、世界でかつてない作業を進めなければいけないと思っております。もちろん、事業者任せにするつもりはありません。国ができる部分については国がしっかりと前面に出て、この廃炉の加速、そして福島の復興、しっかりと進めていきたいと考えております。
  62. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 本当はいろいろ聞きたいことがあったんですが、最後に、この前、復興庁の幹部がツイッターで暴言という記事が出て、私も大変ショックを受けました。しかし、私は、これは彼個人の問題であって、全体の問題ではないというめり張りを付けていただきたいというふうに思っています。  経産省では被災自治体にもずうっとリエゾンを含めて派遣者を出してきまして、今でも二十一名頑張ってくれています。この前聞いたら、五月二十日現在で延べ人員では六百六十六名。経産省だけではなくて、経産省の中の特許庁からも出していただいて、送り出しは必ず私が立ち会ってお願いをしてきた。こうやって頑張っている皆さんのモラルが落ちないようにということも併せて少し今回は考えておいていただきたいと。まだまだ支援をしていくメンバー、この人のことは特別だと、この辺はきちんと分けて対応してもらわないと困るなというふうにも思っておりますので、このことをお願いをして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  63. 増子輝彦

    委員長増子輝彦君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  64. 増子輝彦

    委員長増子輝彦君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、上野通子さん、江崎孝君及び牧野たかお君が委員辞任され、その補欠として藤川政人君、轟木利治君及び磯崎仁彦君が選任されました。     ─────────────
  65. 増子輝彦

    委員長増子輝彦君) 休憩前に引き続き、電気事業法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  66. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 自由民主党の岩井茂樹でございます。  本日は、電気事業法の一部を改正する法律案ということでございますけれども、今回の改正案は、東日本大震災により電力需給に大きな混乱を生じたことをきっかけとして我が国電力供給の在り方を見直す議論が起こった、こんなことが始まりだったかと、こう思っております。そして、約五十年ぶりの改正ということもありまして、大きな改革の第一歩でありますので、様々な議論、また考え方があると思いますが、我が国電力安定供給確保に資する改正にしていくことがやっぱり最優先だと、そんな思いを込めまして、その観点から質問に入らせていただきます。  まず、最初の質問でございます。  本年四月二日に閣議決定された電力システムに関する改革方針では、低廉で安定的な電力供給は、国民生活を支える基盤であると。その認識の下、広域系統運用拡大小売及び発電全面自由化法的分離方式による送配電部門中立性の一層の確保を柱とした電力システム改革を進めるとしており、本改正案はその第一段階として広域系統運用拡大などを整備しようとするものであります。  そこで最初の質問でございますが、今回このような改正案を提出する前提として、午前中、大臣の御答弁の中でも、従来の電力システムの様々な限界が明らかになったというような御発言があったかと思いますけれども、この従来の電力システムにどのような課題があると認識されているのか、またその課題は本改正案によって解消が見込まれるのか、政府の認識についてお伺いいたします。
  67. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 岩井委員から御質問いただきました。  東日本大震災原子力事故契機にして、従来の電力システムの抱える様々な限界、御指摘のように明らかになってきております。  具体的に五点申し上げたいと思います。  その一つは、原子力への依存度低下する中で、分散型電源や再生可能エネルギーを始め多様な電源の活用が不可欠になってきたということであります。二つ目には、電気料金の上昇圧力の中で、競争の促進などにより電気料金最大限抑制することが一層重要になってきているということであります。三つ目は、地域ごとに供給力を確保するこれまでの仕組みではなく、広域的な系統運用を拡大して発電所を全国レベルで活用することが必要だということであります。四つ目には、電力会社料金メニュー、発電の種類を選びたいという需要家のニーズに多様な選択肢でこたえることが求められているということであります。最後に五つ目は、需要に応じて供給を積み上げる、こういったこれまでの仕組みだけではなく、需要状況に応じてピークピーク以外の料金に差を付ける等の工夫によってよりスマートな需要抑制が必要になってきたということであります。  このような課題への対応策として、電力システム改革によって様々な事業者の参入や競争、そして全国レベルでの供給力の活用需要家の選択によるスマートな消費など、より柔軟なシステムにより電力の低廉かつ安定的な供給を一層進めていくのが今回の改革の狙いであります。  今後、改革のポイントであります広域系統運用拡大電力自由化の推進、送配電部門中立性、独立性を高めることを柱として、様々な課題一つ一つ克服をしながら、これらの改革を現実的なプランの下、着実に進めていくことで、従来の電力システムの抱える様々な課題に対処していくために必要不可欠な法案だと考えております。  改革を先送りすることはできない、このような強い決意を持っております。是非、速やかに御審議、成立をこの国会でお願い申し上げたいと思っております。
  68. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 従来のシステム、抱える課題、五つ、非常によく御説明をいただきました。  それで、今回の改革の柱として、大臣も今おっしゃられましたように三つのポイントがありまして、広域化、小売の自由化、中立化ということがありますが、これはあくまでも、今お話しいただいた五つの課題を含め、様々な課題を解決するための一つの手段ということで、逆に言うと、この三つのポイントが、それが目的にならないように、言い換えるならば、状況を見ながら柔軟な対応、今後の対応を是非よろしくお願いをいたします。  続きまして、電力逼迫時において電力事業者に対して従来の一般電気事業者供給区域を越えた電力融通を指示することなどをその業務とする広域的運営推進機関についてお尋ねをいたします。  この委員会で何度か私も発言をいたしましたけれども、私の地元静岡県は、県内に流れる富士川、それを境に東側が東京電力で五十ヘルツ、そして西側が中部電力の六十ヘルツと、僅か一本の川を挟んで異なっております。この周波数の違いが現在も電力の広域相互融通の壁となっているのが現状でございます。震災後の計画停電のときには、富士川を挟んで東側は真っ暗なのに、川の西側は電気がしっかりとついているというようなことを私自身も体験をし、電力融通必要性というのはもうそのときにひしひしと感じておりました。そのため、私はこの広域的運営推進機関に非常に期待をしております。  この機関について重点的に質問をさせていただきたいと思います。まず、この広域的運営推進機関設立の趣旨についてお伺いをするとともに、なぜ今までこのような機関が存在をしなかったのか、これは素朴な疑問なんですが、その質問と、これは過去の質問でも同じような質問をさせていただいたんですけれども東日本大震災後の電力需給逼迫は、発電所が被災した東北電力管内及び東京電力管内にほかの電力会社から十分な電気を融通できなかったことも一因があると考えられます。北海道と本州をつなぐ北本連系線、東日本五十ヘルツと西日本六十ヘルツをつなぐ周波数変換装置など送電インフラについて、今後どのような増強を行うのか、政府の認識をお聞かせください。
  69. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) まず、広域的運営推進機関趣旨についてお尋ねがございました。  東日本大震災の発生によりまして、従来のエリアごとに供給力を確保する仕組みではなくて、広域的な系統運用を拡大して発電所を全国レベルで活用するということの必要性が明らかになったと思います。こうした震災の反省を踏まえまして、電源の広域的な活用に必要な送電インフラの整備を進めるとともに、全国大で平常時そして緊急時も需給の調整機能を強化するために、今回この広域的運営推進機関を創設するということにさせていただこうと考えております。  現行制度でなぜなかったかということでございますけれども、現行制度は、送配電網の整備計画の策定そのもの、あるいはまた電力需給状況の監視でございますとか調整などは一般電気事業者のエリアごとに行うことが原則になっておりました。したがいまして、連系線の増強やほかのエリアからの電力融通などにつきまして、こういった考え方がそもそもなかったということだと御理解を賜ればと思います。  また、電力安定供給確保などの観点から、御指摘のとおり、北本連系設備や周波数変換設備などの更なる増強は極めて重要であると認識をいたしております。総合資源エネルギー調査会電力システム改革専門委員会が今年の二月に取りまとめました報告書におきましても、まず、北本連系設備につきましては、これは現行六十万キロワットでございますけれども、これを九十万キロワットまでの増強を早期に実現すると。それから、御指摘のありました富士川を境とするヘルツの違いの問題でございますけれども、周波数の変換設備でございますが、まずは二〇二〇年度を目標として、現行の百二十万キロワットからこれを二百十万キロワットまでに増強をいたしまして、それ以降はできるだけ早い時期に三百万キロワットまで増強をすることがそれぞれ提言をされております。この実現に向けまして、電力会社などにおきまして検討準備が進められております。  政府といたしましても、こういった地域間の連系線などの円滑な整備を後押しをするために、今年の四月に閣議決定した電力システムに関する改革方針におきまして、いろいろと関係法令上の手続がこれはかかわるものですから、関係法令上の手続の円滑化を図るために、関係府省などと協議、連絡の場を設置するなどの体制を整備することを盛り込んでおります。現在、関係府省と協議会の設置などに向けまして、例えば手続を定める告示でございますとか、そういった準備をしているところでございます。  いずれにいたしましても、北本連系設備ですとか周波数変換設備などの増強を後押しするための環境整備を一生懸命行っていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  70. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 ただいまの御答弁の中で、広域的運営推進機関のその重要性というか、視点が随分変わったんだよというお話をいただいたかと思います。そこが改革のポイントの一つかなとも思っております。    〔委員長退席、理事大久保勉君着席〕  そして、一つだけここで御指摘というかお話ししておきたいのが、本システム改革目的一つはいかに安定供給を維持していくかということであります。その前提条件というのは、やはりシステム改革自体の前提条件ですけれども電力供給逼迫をしないという、そこがあくまでも最大の前提条件かなと思っております。この電力システム改革を成功させるためにもしっかりとその辺、電力供給が、需給が逼迫することないような十分な対応をしっかり考えていただければと思っております。  続きまして、この広域的運営推進機関設立には、緊急時に電力会社間のエリアを越えた相互応援がより容易になったり、地域偏在性の高い再生可能エネルギーをより多く導入できるようになるといったメリットがあると私は思っております。一方、広域的運営推進機関の設立には新たなルール作りやシステム開発が必要となり、一定の費用、そして期間が掛かるという課題も存在していると考えております。  この点に関しまして、広域的運営推進機関の具体的内容や設立までのスケジュール感、そのようなものをお聞かせ願えないでしょうか。
  71. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) 広域的運営推進機関の具体的な内容、業務でございますが、まず第一に、全国レベルで発電所の建設計画ですとか需要見通しなど需給の状況を取りまとめます。それに基づきまして、周波数変換設備ですとか地域間連系線等の広域的な送電インフラの増強のための計画を取りまとめるということをいたします。  また、平常時におきまして、これまでの電力会社の区域を越えた広域での送電線の運用を調整いたします。これによって、風力発電について、北海道や東北で風がたくさん吹いて北海道や東北エリアだけでは消化できないといった場合に、東日本全体で吸収をするといったようなことが可能になるわけでございます。また、需給逼迫時におきましては、個別の発電所へのたき増しの指示ですとか区域を越えた広域的な電力融通の指示をいたします。  また、新たに発電所を建設する事業者、これは再生可能エネルギー事業者も含めましてでありますが、利用可能な送電線についての情報提供でありますとか、今の発送電一貫体制の電力会社とは競合関係にある事業者の方々が送電線に接続する際のその接続の受け継ぎをするといったようなことを行いまして、系統接続の円滑化を図っていくと、こんな業務をするということを予定をしております。  続きまして、創立に関する費用ですとか負担の在り方でございますが、これを設立する際には、その初期費用といたしまして連系線管理等に必要になります情報処理システムの構築費用などが発生をするというふうに考えております。これは、この機関は会員制の認可法人でございますので、その費用は原則会費によって賄うということが基本でございます。この会費については、例えば送配電ネットワークの運営コストの一部として取り扱うといったことが考えられるわけでございます。  今後の設立に向けたスケジュールでございます。二年後をめどとして広域的運営推進機関の設立を目指すわけでございますが、速やかに業務運営の詳細についての議論を開始をいたしまして、具体的に必要となるシステムですとか、その構築に要する費用の負担方法につきまして、今後、電力関係者含めて詳細な制度設計を進めてまいりたいというふうに考えております。
  72. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 スケジュール感、二年後を目指してというお話でございました。しっかりと様々な手だて取っていただいて、スケジュールに向かってしっかり進んでいただければと思っております。    〔理事大久保勉君退席、委員長着席〕  今の質問と少し関係をする質問でございます。広域的運営推進機関は、先ほど会員というお話がありましたけれども、会員である電気事業者に強い影響力を持つ団体でもございます。このため、機関の業務の遂行においては、高い中立性、そして公平性が求められることになりますけれども、本改正案に基づき、中立性、公平性をどのように担保されるのか、ここ非常に大事なところだと思いますので、詳しく御説明いただければと思います。
  73. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) おっしゃるように、広域的運営推進機関中立性、公平性を確保するためのガバナンスというものが非常に大事だというふうに考えております。  この機関は、既存電力会社だけではなく、新規参入者などのあらゆる電力事業者が会員となる民間の組織とする予定でございます。すなわち、この会員には、従来の一般電気事業者だけではなく、新電力など立場の違う事業者が含まれることになります。したがって、会員の議決権を一社一票とすることで公平性が確保されるとは限りません。このため、議決権の実質的平等を確保するという観点から、事業者の性格に着目して、一定の傾斜を付けることも含め、どうしたら実質的な平等が確保できるかということで詳細を検討してまいります。  さらに、この機関の業務の適正な運営を確保するために、この推進機関の運営に関する重要事項を審議する機関といたしまして、この機関の中に評議委員会を設置することとしております。加えまして、高度な公益性を有する機関でありますので、定款ですとか役員の選任、解任といった事項を国の認可事項としております。また、必要に応じて経済産業大臣がこの機関に対しまして監督上の命令を行うといったことも可能にしておりまして、国の強い監督権限が及ぶ認可法人ということになるわけでございます。こうした手だてを講じることによりまして、国の監督の下で公平、中立に運営することを担保してまいりたいというふうに考えております。
  74. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 さらに、現行の電気事業法に基づきまして、送配電等業務の円滑な実施を支援することを目的とした送配電等業務支援機関として、電力系統利用協議会が指定をされております。  本改正案は、送配電等業務支援機関に係る電気事業法の規定を削除した上で、新たに広域的運営推進機関の設置根拠を設けるものでございますけれども電力の需給逼迫時の対応を始めとした送配電等業務において、どのような改善、これを見込んでいらっしゃるのか、政府の見解をお聞かせください。
  75. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) 現行の電気事業法で位置付けております送配電等業務支援機関、いわゆる電力系統利用協議会、ESCJといいますけれども、これの目的は、個別の電力会社が行う託送供給の業務など、送配電等業務の円滑な実施を支援するということが目的でございます。すなわち、言い換えますと、そもそも広域的な系統運用の拡大を図るということを任務とするわけではございません。  具体的には、送配電等業務支援機関、現在のESCJでありますが、地域間連系線等の広域的な送電インフラの整備についての議論の場を提供して提言をまとめるといったことをやってきております。また、電力会社からの依頼に基づいて地域をまたぐ電力融通のあっせんを行うということでございます。実際は、それぞれの電力会社が相対で話をしまして、事実上それを追認するというような形になってきておるというふうに理解をしております。  このような現状を踏まえまして、今回新たに創設いたします広域的運営推進機関におきましては、まず第一に、地域間連系線等の増強につきまして計画を取りまとめ意見を付して国に提出をする、つまり議論の場を提供するだけではなくて自ら意見を付して計画を国に提出するということを行い、こうした送電インフラの計画的整備を図るということでございます。  第二に、需給の逼迫時に個別の発電所に対しましてたき増しの指示を行ったり、広域的な電力融通についての指示を行うということによりまして、広域系統運用拡大、そして安定供給強化を進めていく、こういう意味で新しい機関は現行のESCJよりもより安定供給強化にプラスになる機関であるというふうに考えております。
  76. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 ありがとうございます。  もう一つ広域的運営推進機関に関する質問をさせていただきたいと思います。  広域的運営推進機関再生可能エネルギーの普及という観点で一つ質問をさせていただきます。  地球温暖化対策としての期待や国産エネルギーであることなどから、再生可能エネルギー活用は重要性を増しておりまして、固定価格買取り制度の開始などで普及を拡大をさせているところであると私は感じております。  一方で、電力系統への接続については、手続の煩雑性や送電網整備の必要性などの課題指摘されていますけれども、本改正案において、広域的運営推進機関が設立され、広域連系の強化等が図られることにより、再生可能エネルギーの普及拡大にどのような効果があるというふうに現状で想定をされているのか、政府の御見解をお聞かせください。
  77. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) まず、北海道と本州を結ぶ地域間の連系線でございますとか、あるいは委員から累次御指摘がございました五十ヘルツと六十ヘルツの東西の周波数を変換する設備、こういった広域的な送電インフラの増強というのは、再生可能エネルギーの受入れ容量の改善ということに資するものでございます。  広域的な運営推進機関は、こうした系統の増強の計画でございますけれども、これを盛り込んだ供給計画を取りまとめる業務を行うこととなります。各電気事業者供給計画が不適当な場合には、各電気事業者に対しまして指導ですとかあるいは勧告を行う等のことも可能でございまして、そういった意味でこの広域的運営推進機関はまさに再生可能エネルギーの普及拡大を後押しするものだというふうに考えております。  そして、実はエリアの中での系統増強に関しましても、これは再生可能エネルギーの導入の拡大に資するわけでございますけれども、主要な送電線につきましては、エリア内であっても、地域間連系線や周波数の変換設備と同様に、この機関が行う供給計画の取りまとめ業務の対象となっているために、こういった観点でも再生可能エネルギーの普及に資することになると考えております。  また、広域的運営推進機関が行います送配電網の広域的な今度は運用でございますけれども、運用の調整につきましても、これは系統側の受入れ容量の問題の改善に資すると思います。  よく指摘される例でございますけれども、風力発電につきまして、北海道と東北で風が大変吹き、その発電された電力が北海道や東北エリアだけでは消化できないといったことが想定されるわけでございますけれども、この電力を東京エリアに風力で発電した電気を送って吸収をするといった調整を行うことで、運用により受入れの容量を拡大することができるというふうに考えております。  そしてさらに、広域的な運営推進機関は、再生可能エネルギー発電を含め新たに発電所を建設をされようとする事業者の方々に対して、どのような送電線が使えるのかといったことについて情報を提供すると、この点が必ずしも新しく発電所を建設されようとする方々にとって分かりにくいという御指摘もございました。そしてまた、系統接続などにつきまして、発電をされる事業者の方々からの苦情の処理、さらには、電力会社と場合によって紛争が起こることもございますのでこの解決、そして、再生可能エネルギー発電事業者の方々が発電所を建設して送電線に接続する際、そもそもその接続の受付もするということ、そういった業務を行うことといたしております。  広域的なこの運営推進機関が今申し上げたような業務を公平、中立に行うことで、委員指摘再生可能エネルギーの導入の促進に大きく資するものというふうに考えておりますし、またそのような設計あるいは運営をしていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  78. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 ありがとうございます。  東日本大震災発災直後に、実際にその電力の広域融通の必要性を体感した一人といたしまして、是非この三本の柱の一つであります広域的運営機関の設立、これしっかりやっていただきたいと、こう思っております。  この件に関してずっと続いて質問をさせていただいておりましたが、最後に、電力の使用制限について少しだけお伺いしたいと思います。  本改正案における電力の使用制限命令にかかわる制度の見直しとして、罰則付き命令のみならず、より緩やかな措置として勧告制度が導入をされることとなっております。しかし、ある産業が地域の中核を成して地域経済に大きな比重を占めているような場合、例えば、私の地元静岡でいいますと、伊豆地方の観光産業、これ大きなウエートを占めておりますけれども、そのような産業に使用制限を掛けられると、地域経済に大きな影響が出ることが懸念をされます。  そこで、そのような地域経済に大きな比重を占める産業に勧告を含めた使用制限を掛ける際には、様々な要素、影響を考慮して慎重に対応すべきではないかと、こう思いますけれども、いかがでしょうか。政府の御見解をお聞かせください。
  79. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 電気の使用制限について、現行の電気事業法では、需要家に対する罰則付き命令しかないために需要家の負担が大きいということから、今回、より緩やかな措置として新たに勧告措置を設けることとしたものであります。今後は、需給逼迫の度合いを踏まえて、勧告又は命令を選択的に発動することによりまして、需要家の負担を最小限に抑えつつ、安定供給確保に万全を期してまいりたいと考えております。  なお、一昨年、電気の使用制限命令を発動した際には、原則としてその前年比の一五%の使用制限を求めたわけでありますけど、例えば医療施設につきましては削減率ゼロという形にさせていただきましたし、委員指摘のホテル、旅館に対しては一〇%の使用制限に緩和する措置を講じております。  こういった産業の特性を踏まえたきめ細かな緩和措置をこれまでも講じてきておりますが、今後、使用制限を実施する場合でありましても、公平性に配慮しつつも、前回と同様にきめ細やかな緩和措置を講じるようにしたいと考えております。
  80. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 既に様々なことを、緩和措置を行われているということでございました。使用制限ということと経済の成長というか発展ということ、非常に難しい話でもありますので、その辺り、引き続きよろしくお願いいたします。  以上で質問を終わります。
  81. 長沢広明

    ○長沢広明君 公明党の長沢広明でございます。  先ほど来審議が進んでいる中で、かなり重なるものもありますが、少し通告しておいたものと順番を変えて質問させていただきます。済みません、よろしくお願いします。  今、岩井議員からも触れました広域的運営推進機関について何点か確認をさせていただきたいと思います。  これまで電気の使用制限には罰則付き命令しかなかったと。その意味では、需要家にとっては非常に負担が大きい面があった。それを、より緩やかな今回勧告制度を整備をしたということで、その趣旨には賛同をいたします。  その一方で、二〇一一年、あの大変だった夏を振り返りますと、東北電力、東京電力以外の地域で節電要請があったのは関西電力管内のみであったと。西日本からしっかり電力融通するような仕組みがあれば東日本の負担というのはもう少し軽くできたということもあります。  こうしたことも含めて、この改正案では広域的運営推進機関が設置をされるということになっておりますが、この機関を設置するに当たりまして、今年の四月の九日ですけれども、我が党から経済産業大臣あてに改正案についての留意事項として何点か触れさせていただいております。  これについては衆議院議論の中で確認をされておりますのでその細かいことには触れませんが、一つは、広域的運営推進機関の業務について、いわゆる広域での需給調整あるいは周波数調整、これに当たるということをきちんとやるべきこと。それから、広域的運営推進機関の人材について、事業者との間で主体的に調整ができるということが必要になりますので、電気事業に関する専門的知見と中立性に関する高い意識を兼ね備えた人材の育成、確保に努めるべきであるということ。それから情報提供です。この機関が適正なマネジメントを発揮していくためには、各地域地域でどういうことが起きているかということも含めて電気事業者からの詳細な情報提供が必要であると。この事業者からの詳細な信頼に足る情報が提供されるような担保をきちんと取っておくべきこと。さらに、卸電力市場を活性化させるためには、必要最低限の供給予備力を超える電源の全量市場投入、こういうことも含めて卸電力取引所における電力取引量を増加させるための取組を進めていくことも念頭に置いていただきたいと。こう幾つかの留意事項として我が党から指摘をさせていただいた点がございます。  こういうこと、一つ一つ細かくはお聞きしませんが、こういうことを踏まえた上で、この推進機関を設置するということに当たって、この推進機関の業務、それから人員の規模、特に人員がどういうふうになるのか、また、この機関が設置されることによって需要家側からすればどのようなメリットが生じるのかについて、改めて伺っておきたいと思います。
  82. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) まず、四月の九日に公明党から御要望いただきました留意事項一つ一つごもっともでございまして、この事項を踏まえた対応を行ってまいる所存でございます。  その中で、広域的運営推進機関に関する事項につきましては詳細を詰める中できっちりと対応してまいりたいと思いますし、二年後の設立に向けてしっかりと反映をさせていくべく取り組んでまいりたいと思いますし、それから、卸電力市場の活性化について、これにつきましてはもう既にこの三月から余剰電力の卸市場への全量投入ということを自主的に始めていただいております。こういうことのモニタリングをしっかりやることによって、二年後の広域的運営推進機関の発足を待たずに対応をしてまいりたいということでございます。  それで、この広域的運営推進機関の業務については、先ほど来申しておりますけれども、インフラの整備を、送電インフラの整備を計画的に行うということ。それから、平常時において地域間を越えた電力の融通を計画的に行うということ。現在の電力システムはそれぞれの地域地域に一般電気事業者が責任を持ってやると、供給責任という名の下に責任を持ってやるということになっておりまして、その結果、それぞれの地域で本当に歯を食いしばって頑張って、もうこれ以上我慢できないということになって初めて融通を行うというような仕組みになっております。したがって、いろんな、震災の後、御不便を掛けたわけでありますが、今後もう少し計画的に地域を越えた融通を行うということでございます。それから、需給の逼迫時におきましても、電源のたき増しでありますとか、それから地域を越えた広域的な電力融通の指示をいたします。そういうことを通じまして、広域的な運営を通じて計画停電とかそういう停電を、若しくは厳しい節電を極力回避をするということで広く需要家のためになる、そういう組織になるということを考えております。  組織の規模についてお尋ねがございました。これは、例えば現在のESCJという組織、これを基準に考えた場合にどうかなというような議論をいたしております。  具体的には、これから具体的な中身を決める中で決まっていくものではありますけれども、例えば現在のESCJ、これが三、四十人ぐらいの規模でありますが、それの例えば数倍ぐらいの規模が想定されるのではないかと、そんな議論をしております。  まだ具体的に何名ということがきちっと定まったものではありません。必要な人数は確保しつつ、ただ、その分余計なコストになってもいけませんので、余計な人数にもならないように適正な人数をこれから詳細の中で決めていくという、そういう形になろうかと思います。
  83. 長沢広明

    ○長沢広明君 この規模について、今お話、御答弁がありました。  これはお答えは要りませんけれども、先ほど来の質疑の中でも、初期コスト等も含めていわゆる会員の会費で賄っていかれると、こういうふうにありました。電気事業者、会員は電気事業者でございますので、その分のコストというのが電気料金に反映してしまうようなことも考えられるわけでございます。そういう意味では、この運営機関、推進機関をできるだけコンパクトにかつ効果的に必要な適当な人材をきちんとそろえて進めていくということも非常に大事なことだと思いますので、是非留意しておいていただきたいというふうに思います。  もう一点、この広域的運営推進機関は、民間組織、認可法人でございます。民間組織であるこの機関がどうマネジメントしていくかということは非常に大事ですけれども、やるべき仕事については、先ほども申し上げましたとおり、緊急時にも備えた周波数変換設備等のインフラ整備、あるいは系統的な運用ということをしっかりやらなければならないわけですが、ある意味ではこの推進機関は、需給逼迫時には個別の発電所への出力の増強とかいわゆるたき増しみたいなことをきちっとかなり強く言わなければならないという、電気事業者、会員である電気事業者に対しては強い権限を行使するところでございます。  と同時に、国民の生命と財産を預かる国としても、国がこの運営機関、推進機関にどのように関与していくか、民間機関であるいわゆる社団法人的法人のここに国としてどのようにかかわっていくか、これも非常に大事な問題だと思いますので、国のかかわり方について見解を伺いたいと思います。
  84. 佐藤ゆかり

    大臣政務官佐藤ゆかり君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおりでございまして、たき増しですとかそういった区域を越えた広域的な電力融通の指示を行いますことはもとよりでございまして、そして、需給逼迫時になりますと、広域的な運営推進機関でございますが、まず推進機関として行う方は、会員であります各電気事業者に対しまして供給指示というものを出すことになります。そして、その次の段階で国が、経済産業大臣でございますが、電気事業者に対しまして供給命令を発動することが可能になっている。この二本立ての仕組みになっているというふうに考えております。  このために、各エリアで安定供給に責任を有します送配電事業者の運用だけで対応し切れない場合には、まず実務上は広域的運営推進機関電気事業者に対しまして電力融通について必要な指示を行いますが、これは委員指摘のとおり民間でございますので、指示に従わない場合等ございましたら、金銭的な賠償ですとか、場合によっては会員の総会での議決権に影響を及ぼすですとか、そういった可能性はございますけれども基本的には、その指示に従わない場合には次の段階で国による供給命令、これは罰則が付いておりますので、そのような発動に至るというような形で万全を期す仕組みにしてまいりたいというふうに考えております。  それからまた、中長期的でございますが、五年後や十年後に向けまして必要な供給力を確保するために発電所が確実に建設されるということも重要な観点でございまして、そういう意味で、国といたしましては、法改正を視野に小売事業者に対しまして空売り規制を課す、いわゆる供給能力を超えて売ることをしないという空売り規制を課すというような法改正を国が行うという形で役割分担をさせていただきたいと考えております。
  85. 長沢広明

    ○長沢広明君 よく分かりました。  もう一点、離島の対策についてお伺いしたいと思います。  この改正案の附則部分ですけれども、離島における電気使用者が離島以外の地域と同程度料金により電気供給が受けることができるようにするための措置、つまり料金の問題ですね、及び離島における電気安定供給確保するための措置を検討して必要な措置を講ずると、こう書いてあります。他地域と電力系統が連系されていない離島の場合、独自に発電所を設置しなきゃいけないとか、供給コストが更に高く付いているわけです。こうした離島地域に住む人たちが取り残されていくようなことのないように細心の注意を払っていただきたいと。  これは衆議院質疑の中でも我が党の江田議員から離島における電気料金について質疑をさせていただきまして、その際、離島以外の地域と遜色ない料金体系を維持するという旨の答弁が行われております。離島地域における安定供給の維持向上について、この改革の中で離島対策としてどのようなことをお考えになっているのか。また、離島と同じような状況にある山間部についても送電網の整備にはコストが掛かるという地域がございます。そういうところについてもどのような措置を講じるのか、確認させていただきたいと思います。
  86. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) 離島におきましては、御指摘のように、独立した発電所を利用するしかありませんので、その分発電コストが高くなるという特徴、問題点がございます。このため、離島において、離島以外の地域と遜色ない料金での安定供給を保障する措置、具体的にはその割高な部分を広く薄く需要家が負担をするという仕組みを講じることとしております。  また、同様に、送配電線の整備コストが高くなります山間部ですとか過疎地におきましても、送配電網が確実に維持されて公平に送配電網が利用できるようになりますように、送配電部門につきましては料金制度により投資回収を保証するといったことを予定をしておりまして、こういうことを通じまして必要な投資がしっかりとなされ、離島、山間部、過疎地におかれてもほかの地域と同様の低廉で安定的な電力供給が受けられるように、そういうことを実現してまいりたいというふうに考えております。
  87. 長沢広明

    ○長沢広明君 済みません、ちょっと時間がなくなってきてしまいました。順番も変え、あれこれしたので、大臣に何も伺えることができなくて大変申し訳ございません。これで終わります。  ありがとうございました。
  88. 松田公太

    松田公太君 みんなの党の松田公太です。  現在の電力システムが戦後復興から高度成長期において日本の発展に寄与したことは間違いありません。また、発電における規模の利益が重要だったことからも、ほかのオルタナティブよりも効率的で良かったのかもしれません。現に、経済発展の過程において電力を独占的に運用してきた国というのはほかにも多々ございます。しかし、現在はまさしく時代の転換期であります。日本もほかの先進諸国が歩んでいるように発送電を分離して電力を自由化しなくてはいけないと強く思っております。我々みんなの党は、残念ながら、現在の政府案、これは不十分であるとの認識を持っております。よって、電力自由化推進法案という対案を参議院で提出させていただきました。  昨日の本会議でもいろいろお伺いしましたが、答弁が不十分だったと思った部分もありますので、引き続き同様の質問もさせていただければと思います。  まず最初に、修正案提出者に対して質問をさせていただきたいと思います。  附則十一条五項七号に、政府電気小売業又は電気の卸売業を営む者の競争条件を改善するための措置を講ずる場合として、「競争条件が著しく悪化した場合」に「又は著しく悪化することが明らかな場合」と追加した理由を教えていただければと思います。
  89. 近藤洋介

    衆議院議員近藤洋介君) 松田委員お答えをいたします。  御指摘のとおり、修正前の条文においては、エネルギー政策の変更等に伴って特定の電気小売業者、卸売業者の競争条件が著しく悪化した場合において、それらの競争条件の改善措置について検討を加え、必要な措置を講ずるとされておりました。本修正案は、政策変更に伴う混乱回避に向けた迅速な措置実施に関して、特定の電気小売業者、卸売業者の競争条件の著しい悪化という結果がいまだ発生していない段階においても、すなわち悪化することが明らかな場合においても未然に更に迅速な対応を可能とする趣旨を明確化したわけであります。  具体的に申し上げると、例えば原子力政策において原子力発電所審査基準が大きく変更した場合、電気事業者においてこれまで想定していなかった廃炉を迫られるというケースも想定されるわけであります。例えばの例でありますが、こうした場合、審査基準が大きく変更された、ないしはその立地が不可能であるということが誰が見ても明らかな場合、これはその経営にとって大きく競争条件が変化すること、悪化はしていませんけれども明らかであるといった想定をされる場合があるわけでありまして、こうしたケースなどからも明らかなとおり、やはり未然に防止する措置が必要だと、こう判断したわけでございます。
  90. 松田公太

    松田公太君 そうですね。そもそもこの条文は、原子力政策を始めとするエネルギー政策の変更その他のエネルギー諸情勢の著しい変化が生じた場合の規定でありますね。  そうすると、今おっしゃったように、例えば今後、原子力規制委員会が極めて厳格な安全基準を示したと、そして原発の再稼働が困難となってしまった場合に原発を保有する電力会社の競争力が低下してしまうと、このような場合を競争力が著しく悪化することが明らかな場合として、我々が恐れていますのは、例えば原発廃炉費用等を託送料に上乗せするなどの措置を例えば講ずるようなことをしてしまうんではないかなというふうに感じているわけです。そのようなことはないという理解でよろしいでしょうか。
  91. 近藤洋介

    衆議院議員近藤洋介君) お答えをいたします。  この件については、仮定の話でございますから提出者として軽々に物を申すべきではないと、こう思っておりますが、いずれにいたしましても、どのような形で廃炉費用を負担するかについては、それこそ大きな課題として政府において方法を早急に示す必要があろうかと、こう思います。一概に託送料なのか何なのかということは想定してこの条文を作ったわけではございません。  ただ、いずれにいたしましても大きな改革であります、今改革は。電力というのは大きなステークホルダーがおるわけでありまして、利用者もそうですし、それに貸し付けている債権者もおるわけで、様々なステークホルダー、もちろん地域の方々もおるわけで、こうした方々に対して不安を生じさせないように政府において適切な対応策を早急に取っていただきたい、こう提出者としては考えております。  託送料云々ということを考えているわけでは、現時点で何か具体的なものを持っているわけではございません。
  92. 松田公太

    松田公太君 今の同じ質問を茂木大臣にお聞きしたいと思うんですが、政府としては今現状どのようにお考えでしょうか。
  93. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 修正趣旨につきましては、今、近藤委員説明のとおりだと、このように考えております。  その上で、廃炉コストの負担も含めていかなる措置を講ずる必要があるかなどについては、修正者の意思をできるだけ尊重しつつ、具体的にいかなる場合に競争条件が著しく悪化するか、又は著しく悪化することが明らかになるかを判断の上、必要な政策措置を検討してまいりたいと考えております。
  94. 松田公太

    松田公太君 修正者の衆議院近藤さんにお話ししたいんですが、本当に今お話ししたような既存一般電気事業者保護のためのそういう抜け道というのは私は認めるべきじゃないなというふうに思っているんですね。是非、修正案提出者として大変責任が重いと思いますので、今後しっかりとウオッチをしていただければというふうに思います。  提出者に関しましては、修正案の、以上でございますので、もしよろしかったら御退席いただいて結構でございます。
  95. 増子輝彦

    委員長増子輝彦君) 近藤洋介君、御退席ください。委員長の許可ですからね、質問者の許可じゃありませんので、よろしくお願いします。
  96. 松田公太

    松田公太君 次に、昨日の本会議に関連して質問をさせていただきたいと思います。  昨日、東電に対して実質的に経営権を握っている政府発電所ごとの収支を明確にするよう東電に要請するべきだと御提案させていただきました。東電存続のために国民に多大な負担をお願いしている以上、そのような情報を開示して国民の理解をしっかりと求めるべきだと思っているからです。  みんなの党の対案にはこれを入れておりますけれども、例えば、今後の公平な電力市場を創設し、形成するためには、全ての発電コストの報告義務化、これを図る必要があると思っておりますが、大臣はそれについてどのようにお考えでしょうか。
  97. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 本会議で発電所ごとのそれぞれのコストを発表することについての問題点等々については御説明を申し上げましたが、もし委員の御指摘が、インバランス料金に利用する市場価格が需給調整に要する費用を適切に反映しているか否かを確認するために発電所ごとの費用を報告させるべきと、こういう御指摘であるということでしたら、それに対して改めてお答えをさせていただきます。
  98. 松田公太

    松田公太君 もしよろしかったら、この後またその市場の活性化についても御質問したいと思っていたんですが、そのインバランスの部分も今お答えいただければと思います。
  99. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) このインバランス料金をどう調整するかということでありますが、いわゆる市場での売買価格、これは電力に限らず、多くの事業分野で市場での売買価格が必ずしも実際のコスト、限界費用に基づき行われるとは限らないと、こんなふうに考えております。  簡単な例で申し上げますと、高級ワイン、例えばボルドーとブルゴーニュの高級ワイン、値段がかなり違います。これは別に生産コストではなくて、生産量が決定的にブルゴーニュが少ない、そのために、需給が違うからコストが変わってくると思っております。カフェでも、非常においしいカフェラテあるんですけれども、それが限界コストを反映したものかというと、必ずしもそういうふうにはなっていないんじゃないかなと思います、私は。  仮に、電力分野で限界費用の行政機関への報告、これを義務付けて、これを使って市場監視を行おうとした場合に、かえって市場の自由な価格形成をゆがめるおそれがあるのではないかなと感じております。また、競争分野における発電部門に対して発電機のコストを報告させることは、電力の自由化、そして電気事業者間の競争促進、こういう電力システム基本的な意義に照らすと適当な方法ではないと、このように考えております。
  100. 松田公太

    松田公太君 ありがとうございます。  せっかく今、市場の活性化についての部分、インバランス精算のお話等いただきましたので、その他の部分についても、細かいちょっと詳細な質問通告はしておりませんが、御存じの範囲で結構ですので、お聞きできればと思います。  例えば、現在日本は追従方式という形が取られていると思うんですが、これは当たり前なことですけれども、我々みんなの党としては、市場の活性化のために計画値方式、これを導入しないと送電線の開放が実質的に行われたことにならないというふうに考えておりますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  101. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) 電力システム改革、段階的に分けまして三段階に分けて進めていくわけでございます。その二段階の改革を行うことによって、結果として計画値同時同量を図っていく、そういう仕組みを実現したいというふうに考えております。
  102. 松田公太

    松田公太君 それでは、ネガワット入札制度、これについてはどのようにお考えか、今の現段階でお教えいただきたい。
  103. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) ネガワット入札制度につきましては、例えば昨年、非常に需給が逼迫いたしました関西電力管内におきまして、関西電力が大口の需要家を登録をいたしましてネガワット入札を行う準備を行ったということがございました。したがいまして、今のままでも仕組みを整えれば少しできる部分というのはあろうかと思います。  ただ、他方で、今後第二段階、第三段階、電力システム改革を進めていきます中で、例えば市場に需要家の直接の参加、取引を認めるということも考えております。そのときには、計画値同時同量のその計画分から需要を削減した分、つまり節電をして需要を減らした分を新たに供給力を生み出したということで、その分を売りに出すという取引ができる、これがまさに先生おっしゃるようなネガワット取引だと思っておりまして、そういうことを第二段階以降で実現をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  104. 松田公太

    松田公太君 ありがとうございます。  大臣の先ほどの御答弁に戻りたいと思うんですが、報告義務化の話ですけれども附則十一条五項六号に卸電力取引における電気の取引量を増加させるための措置を講ずると書いてあるんですね。発電コストを私は明確にしないと、やっぱり一般電気事業者が売惜しみや買いたたき、こういった行為をするんではないかなというふうに危惧しております。よって、原価の開示が絶対条件になってくると思うんですが、今後必ずそういった措置を講じていただきたいと思っているんですが、いかがでしょうか。
  105. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) 第二段階、第三段階という中で卸電力取引所の取引の仕組みをうまく仕組んでいきまして、卸電力取引所において、例えば先渡し市場、いろんな商品ができることによって活性化を行う、又は卸電力市場に、先ほども申し上げましたが、需要家が直接参加をできるようにする。それからさらには、もうちょっと中長期的になるかもしれませんが、電力先物市場を創設する。こういったことを通じて、実際のコストデータを明らかにすることなく、そういうことをしなくても卸取引市場を通じて取引が活発に行える、そういうことを目指してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  106. 松田公太

    松田公太君 私は、やっぱりそこをしっかり報告義務化、これを図らないと、いつまでもやはり買いたたきとかが生じるんじゃないかなというふうに危惧しております。  引き続き、ちょっと大臣にこれはまたお答えいただきたいんですが、昨日の本会議での質問にもあったんですが、みんなの党の対案としては、最終ゴールとして所有権分離、これを目指しているというふうに書かせていただいております。こちらの法案に関しましては、所有権分離に対しては検討するとの表記さえ残念ながら見られぬという状況です。所有権分離について一切言及がないという理由は一体何なのでしょうか。  昨日は、大臣、たしか所有権分離について困難であるようなことをおっしゃったように記憶しておりますけれども、それでも実際に、他国を見ますと、欧州諸国なんかでは多いんですが、所有権分離、これを実現している国もあるんですね。ですから、少なくとも検討の余地はあるんじゃないかなというふうに思っております。私自身は、やはり資本関係が残るよりも残らない方が中立性の向上に資するんではないかなというふうに思っておりますので、検討さえされないということを、なぜなのか教えていただければと思います。
  107. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 恐らく、今我々が提出しております法案とみんなの党でこの度提出していただいた法案、細かい部分での違いはあると思いますが、電力システム改革を進めなければいけない、大きな方向では一致していると、このように考えております。  そこの中で一番違ってくるのがこの分離の仕方、所有権分離か法的分離かということでありまして、我々としては、所有権分離を行った場合に、やはり憲法二十九条、財産権との問題が出てくると。もう一つ大きな問題は、資金調達面での違いということになるんではないかなと思っておりまして、所有権分離についてはグループ一体としての資金調達の可能性を完全に閉ざしてしまう、こういう課題があります。  一方、法的分離の場合でいいますと、資金調達面では分離による不利益を回避する方策を講じることが十分可能であります。具体的に申し上げますと、法的分離方式により発送電分離を行う際に資金調達環境が改善されない場合は、例えば、一般担保を含めた金融債務の取扱いや規制行為に関してグループ一体としての資金調達をこれまでと同様に行えるよう必要な経過措置等を講じるということを考えているところであります。
  108. 松田公太

    松田公太君 昨日の御答弁と、あと今のお話をお聞きしていますと、何回かおっしゃっていましたが、グループでの資金調達、これが大事だということなんですけれども、ということは、何か聞いていると、最初から発送電分離、真の発送電分離というのは無理なのかなというふうにも聞こえてしまうんですよね。今おっしゃっている話を聞いていると、どうしても送電網、これがやはり安定的な収益源であると、間違いないと。じゃ、発電部門、これはもしかしたらある意味お荷物なのかもしれない。原発はもしかしたら、実は、昨日もちょっとこれ質問しましたが、コスト高で、実際はコストに見合っていない発電、電源なのかもしれないというふうに聞こえるんですが、いかがでしょうか。
  109. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 今回の改革によりまして、送配電部門の中立化、これをしっかり進めていくことが、参入を進める上でも、そして価格を低下させていく上でも極めて重要だと考えておりまして、役員であったりとか兼職の禁止であったりとか、会計上の基準であったり、取引のルール等々を通じて、会社としてそれぞれ独立に経営をされ、そして送配電会社が発電会社どれに対してもイコールフッティングで競争できる、こういう環境をつくっていくということは極めて重要であり、それを達成していきたいと思っております。  御党の法案、拝見しますと、まずはその法的分離、その上で所有権分離ということで、我々は株主の自主的な判断によって所有権分離等々を行うことについては否定をしているわけではありません。また、これまでの検討過程の中で、どういった形の分離形態がいいのかと、それについては十分検討した上で法的分離と、こういう結論を出したわけでありまして、最初から所有権分離は全く駄目だという、検討にも値しないということでこの議論をスタートしたものではないと、こんなふうに考えておりますが。  なかなか難しいのは、恐らく、先ほど言った二つの問題点考えたときに、例えば強制的に所有権分離を行うという場合は問題が出てくる。その一方で、インセンティブを付けて所有権分離を行うと、こういう表現もあったわけでありますけれど、では、インセンティブを付けるというのはどういう形でどうやっていくのかと、こういうことも明らかにしていただかないとその分の判断もなかなか付きにくいなと思っております。
  110. 松田公太

    松田公太君 私は、実は元々銀行員だったんですけれども、その後会社をつくりまして、実際、例えば、元々は都市銀行と言われていたところに勤めていまして、それがフィナンシャルグループ化になっていった状況をずっと見てきたわけですね。自分自身も会社を創業しまして会社を上場させた後に実はホールディングカンパニーというのをつくった経験もあります。  そういった経験から見ると、ちょっと日本現状では、法的分離という形を取って例えばホールディングカンパニー制をつくっても、本当にファイアウオールを明確に分けて運営していくというのは難しいんじゃないかなというふうに感じているんですね。ですから、先ほどおっしゃったように、グループ企業間の交流等いろいろ縛りをつくるんでしょうけれども、実際は、それを本当に完璧にこなすというのは、本当に完全に優遇を拭ってしまうというのは難しいんじゃないかなというふうに危惧しているんです。  これ欧州の話ですけれども、二〇〇九年のEU電力指令というものがありまして、これは加盟国二十七か国に対して、送電システム分離の観点から、機能分離と法的分離と所有権分離、このいずれかを選択してくれということで発令されたんですね。ですから、しっかりとその所有権分離、これも明確に対象にしてもらいたいということが言われておりまして。  実は、さきのゴールデンウイークですが、みんなの党で調査団をつくりまして、電力の欧州の市場を見に行こうということでドイツとデンマークに行ってきたんですが、ドイツなどでは、やはり一旦法的分離したけれどもそれじゃ不十分だということで、所有権分離まで進んでいる会社があるわけですね。実際は、その所有権分離された会社、そこまで行って社長にもお会いしてきましたが、非常に今オペレーションうまくいっているということなんです。ですから、私は、やはりもっと明確に法案の中にも入れて、所有権分離というところまで御検討いただければなと、いただきたかったなと、こういうふうに感じている次第でございます。  ちょっと今ドイツのお話をさせていただきましたが、これも詳細な通告しておりませんので、今の大臣の大体ざっくりとしたイメージで結構ですのでお聞きしたいんですけれども、ドイツって今、千社ぐらい発電会社があるというふうに言われているんですね。日本が目指すべき最終形として、やはりそのぐらいの発電会社、選択肢が増える、分散型ですね、今日、柳澤さんからも話がありましたが、真の分散型を目指していくという方向性、これについてはどのように思われますでしょうか。
  111. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、そのお答えをさせてもらう前に、恐らく、銀行のホールディングカンパニー化、それからいわゆるサービス事業というか、いろいろ製造業のホールディングカンパニーとネットワークビジネスのホールディングカンパニー化というのは違っております。私はNTTの例も相当参考にして、いろんな事情も知っております。ネットワークをトランスパラントにする。そのために、それと違った事業を分けていってホールディングカンパニーにしていく。これは銀行とかメーカーとはかなり違ったホールディングカンパニーでの中立性確保が可能だと、こんなふうに考えております。  その上で、電気事業者、これは発電者も相当増えてくると思います。分散型の小型のもの、それから、今度は小売の分野でもそこに入ってくる事業者の数というのは相当数増えてくるなと思っておりまして、今の十社体制、こういったものが相当な倍数になってくると思っておりますが、今の段階でそれが数百社になるのか、先生のおっしゃる千社になるかと、ここにつきましては現段階ではなかなか想定はし難いなと思っております。
  112. 松田公太

    松田公太君 次に、広域的運営推進機関設立要件等について伺いたいと思います。  二十八条の十三によると、機関設立には七以上の電気事業者が発起人とならなければならないとされております。発起人は、定款及び業務規程、そういったものを作成する非常に重要な役割を担うわけですが、この発起人たる電気事業者にはもちろん新電力も入ると思うんですね。ということでよろしいでしょうか、新電力も明確にその中に入るということで、その七社の中に。
  113. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) 二十八条の十三第一項でございますが、広域的運営推進機関の発起人は七以上の電気事業者ということでありますので、電気事業者の中には一般電気事業者以外にも新電力も発起人になることができるということでございます。
  114. 松田公太

    松田公太君 ちょっと素朴な疑問なんですが、なぜ電気事業者の数として七ということにされたんでしょうか。
  115. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) まず、それにお答えする前に、発起人のその役割をちょっともう一度確認をさせていただきたいんですが、この法律上、発起人は、定款及び業務規程を作成した後、会員になろうとする者を募り、二週間前までに公告をして創立総会を開かなければならないということになっております。この創立総会には、発起人だけではなくて会員となる旨を申し出た電気事業者出席できるわけでございます。その場で、出席者の議決権の三分の二以上で元々発起人が作った定款や業務規程を修正することもできると、その旨も法律上明記をいたしております。このように、法律上は発起人にならなくても創立総会に参加をして定款等についての意思決定、意思表示が行えるという仕組みでございます。  その上で、なぜ七にしたかということでありますけれども、これは法律を作りますときに、預金保険機構などほかの認可法人の設立に係る規程の前例を参考にいたしました。具体的には、過去五十年間の法令で定められた認可法人、これが全部で十五ありまして、このうち一番多い人数の要件が七以上でありましたので、それに倣って七以上としたわけであります。  いずれにしましても、発起人は、先ほど申し上げましたように、創立総会を呼びかけるということでありまして、それ以外の会員もそこに出席をしてきっちりと意思決定が行えるわけであります。  今後、広域的運営推進機関を設立するに向けまして、一般電気事業者だけではなくて、新電力などほかの電気事業者も参加する準備の場が持たれ、発起人であるかどうかにかかわらず、設立に当たり広く電気事業者の意見が反映されるように経済産業省としても促してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  116. 松田公太

    松田公太君 ちょっと時間が大分少なくなってきましたので、簡潔にお答えいただければと思うんですが。  二十八条の四十四によれば、推進機関は、会員の電気の需給が悪化した場合にほかの会員に振替供給を指示できるとされているわけですね。この振替供給の指示を行う際、どういった会員に出すのかという、そのようなルール作りというものはなされているんでしょうか。そして、もしなされているのであれば、そのルールは公平性の観点から、より多くの人に、目に触れさせ、ルールの履行状況というのを監視させるべきだなというふうに思っています。このルールというものは一般公開されるのでしょうか、お答えいただければと思います。
  117. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) 手短にお答え申し上げます。  このルールでありますけれども、例えば需給の逼迫時に電力融通を指示するわけでありますが、例えば予備率がどの程度まで低下したときにほかの地域からの応援を指示するのか、そんなことを決めなければいけません。また、融通に必要な地域間連系線の送電容量をどうやって確保するのか、さらには、発電所のたき増しや融通、行ったときに必要となります費用を誰がどのように負担するのか、こういった辺りを具体的な基準を作って決めていかなきゃいけない、専門家の知見も得ながらルール化をしていくということになるわけであります。  具体的には、広域的運営推進機関が発足しました後、この機関において業務規程という形で作成をされるわけでありまして、この業務規程は当然一般に公開をされるということを想定しております。
  118. 松田公太

    松田公太君 それでは、多分最後の質問になろうかと思いますが、再生可能エネルギーの優先接続についてお伺いしたいと思います。  既に接続を拒否された再生可能エネルギーの業者が出ているというふうに聞いております。これは自然エネルギー財団の調査によりますが、国内の太陽光発電事業者二百五十二社にアンケート調査を実施したところ、回答した七十九社のうち約二割に当たる十五社が電力会社から接続を拒否されたと答えられています。  このような接続拒否の事実を政府としては確認されていますでしょうか。茂木大臣、お願いします。
  119. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) 電力システム改革をするその審議会の中でも、委員会の中でも、実際再生可能エネルギー業者の方々にいろいろとお越しいただきまして、いろいろなお話を伺っております。そういった中で私ども実態を把握いたしているところでございます。  以上でございます。
  120. 松田公太

    松田公太君 ちょっと次の質問は大臣に是非お願いしたいんですが、この自然エネルギー財団によると、接続拒否の主な理由の一つが送電網の容量オーバーということらしいんですね。確かに、風力とか太陽光、天候に左右されて、火力、水力等と違って、出力変動、この波を調整する必要があろうかと思います。これを一般電気事業者一社で今までのように調整するというのは難しいんでしょうけれども、広域的にこれ系統運用すれば、やはり調整可能量というのは当たり前ですが大きくなるわけですね。本法案広域的運営推進機関、是非、この機関にこのような問題、これしっかりと対応していただきたいと思うんです。これを是非、最後に御決意を教えていただければと思います。
  121. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 再生可能エネルギー拡大を図っていく上ではいろんな課題があると考えております。今、松田委員から御指摘いただいた問題も含めて、前向きに検討していきたいと思っております。
  122. 松田公太

    松田公太君 どうもありがとうございました。
  123. はたともこ

    ○はたともこ君 生活の党のはたともこでございます。  今回の電気事業法改正案に生活の党は賛成をいたします。今回の法改正を契機として、国民の生活が第一の電力システム改革を与野党を超えて大きく前進させなければならないと考えております。  その上で、六月十四日に閣議決定された新しい成長戦略、日本再興戦略のエネルギー政策について質問をいたします。  この日本再興戦略には、私が再三にわたり提案をしてまいりました高効率火力発電の徹底とか、残念ながら電池三兄弟とは書いてありませんが、太陽電池、燃料電池、蓄電池等によるエネルギーを賢く消費する社会など、私も賛同できることも多く盛り込まれています。しかし、原発稼働や、明示はされていませんが、トップセールスによる原発輸出、日本の成長戦略ではないアメリカの成長戦略であるTPPの推進、日本経済の成長戦略では全くなく、単なる一企業グループの成長戦略でしかない一般用医薬品のインターネット販売の解禁など、最悪の成長戦略が掲げられており、アベノミクスがアベノリスクになってしまっていると思っております。  まず、茂木大臣に伺います。  日本再興戦略には原発の再稼働を進めると明記されていますが、これは、昨年末の自公連立政権合意文書に明記された、省エネルギー再生可能エネルギーの加速的な導入や火力発電の高効率化等の推進によって可能な限り原発依存度を減らすという政権の基本方針に明確に違反をしていると私は思いますが、いかがでしょうか。
  124. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、はた委員に御礼申し上げます。ちょっと午前中喉の調子が悪くて、委員の方から龍角散ダイレクトスティックピーチというのをいただきまして、飲んでみましたら若干改善をしたんではないかなと、こんなふうに思っております。心から御礼を申し上げるところであります。  さて、今般、閣議決定をしました成長戦略、戦略市場創造プランの中に、再エネの徹底活用や省エネの最大限の推進、高効率火力発電活用を図る、こういったことが入れ込んでございます。一方で、日本産業再興プランというのもあるんですね。ここの中には原子力発電についての記述があるということでありまして、書いてある部分が分けてございます。  それに対して、自公連立政権の合意、あれは文書で言いますとこうなっているんですけど、「原発の再稼働については、国際基準に沿って安全第一主義を徹底した原子力規制委員会の専門的知見の判断による。同時に、省エネルギー再生可能エネルギーの加速的な導入や火力発電の高効率化等の推進によって、可能な限り原発依存度を減らす。」、こういう表現になっております。  この意味におきまして、閣議決定した成長戦略、パーツは二つに分かれておりますけど、この成長戦略全体と自公の連立政権合意、何ら矛盾はないと、このように考えております。
  125. はたともこ

    ○はたともこ君 四月二十五日の予算委員会で、安倍総理は私の質問に対して次のように答弁をされました。  エネルギー政策については、いかなる事態においても国民生活やあるいは経済活動に支障が出ないようにエネルギー事情の安定に万全を期すことが大前提でありまして、エネルギー安定供給エネルギーコスト低減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を構築していく考えでありますと答弁をされました。  安定供給コスト低減の観点から原発稼働を進めるということだと思いますが、茂木大臣電力不足がない、すなわち安定供給が可能となった場合でも原発稼働を進めるのはエネルギーコストの低減のためであるということでよろしいでしょうか。
  126. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 三・一一以降、原発の停止に伴いまして、老朽火力のたき増し等を含めて火力発電比率が九割まで上昇する中、二〇一三年度の夏季の電力の需給見通しについては、いずれの電力管内でも電力安定供給に最低限必要な予備率三%以上を確保できる見通しでありますけれども、大規模な電源脱落等が発生した場合には電力需給逼迫する可能性もあるわけであります。  また、原発停止に伴います火力発電の燃料費、これは二〇一三年度の推計で、震災前に比べて年間約三・八兆円増加すると試算されておりまして、エネルギーコストの低減のためにはいろんなことをやっていくんです。電源の多角化を進める、燃料調達先の多角化を進める、火力発電効率化を進める、こういったことも進めてまいります。  原発につきましては、るる申し上げているとおり安全第一と、この原則の下で政策を進めていきたいと考えております。そして、原発の再稼働のいかんにかかわらず、エネルギー安定供給、そしてエネルギーコストの低減、これを実現することはエネルギーの新たな制約に直面している我が国にとっては喫緊の課題であると、このように考えております。
  127. はたともこ

    ○はたともこ君 日本再興戦略にはLNG調達コストの低減という項目がございます。  資源エネルギー庁長官エネルギーコスト低減のため、LNG調達コストをどのように低減していくのか、またどの程度引き下げられるのか。私は三年から五年後には三割から五割引下げも可能ではないかと考えておりますが、長官の御見解はいかがでしょうか。
  128. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) 燃料調達費の削減というのは本当に我が国経済にとって喫緊の課題であるというふうに私ども考えております。特に天然ガスというのは国際市場が実は未成熟でございまして、まだ国際的に地域間の格差、例えばアジアマーケット、アメリカマーケット、ヨーロッパマーケットといったように地域間の格差が存在いたします。また、地域で偏在している、油のように、石油のように偏在しているというようなことも、まあ偏在性が低くて供給源の多角化も可能であるというふうに考えております。このため、輸入価格の引下げということは余地があるというふうに考えております。  主に三つの施策を中心に考えております。第一に、シェールガスの生産拡大で価格が低下をしている北米からのLNG輸入の実現でございます。今年の二月の日米首脳会談でございますとか、あるいは先般、茂木大臣が訪米した際、先方に働きかけをいたしました。五月十七日には、この働きかけが功を奏しまして、日本企業が参画している三つのプロジェクトのうち既に一つのプロジェクトで輸出の承認が得られております。残りの日本企業が関与する二つのプロジェクトにつきましても早期承認に向けてハイレベルでの働きかけを行っていきたいと思っております。  第二に、JOGMECのリスクマネー供給などを通じまして日本の資源開発、これはオーストラリアですとかモザンビーク、さらにロシアなどにいろいろプロジェクトがございます。こうしたプロジェクトへの我が国企業の参画支援によりまして供給源を多角化していきたいと思っております。  第三番目に、LNGの消費国間の連携の強化という大きな課題があると思います。これを連携を強化することで買主の側のバーゲニングパワーを強化をしていきたいというふうに考えております。EUでございますとかインドなどとの消費国とも連携を進めておりまして、本年の九月十日には、昨年初めて日本のイニシアチブで開催をいたしましたけれども、第二回のLNGの産消会議をまた東京で開催をする予定といたしております。  こういった取組を講じていくことによりまして、日本全体としてLNGの調達に関するバーゲニングパワーを強化していきたいと思っております。  なお、昨年末以降、石油価格に連動いたしました従来の契約とは違いまして、天然ガスの価格指標に連動したLNGの売買契約では、従来より三割程度安価な契約ができております。こういったことも踏まえながら、更に努力を続けていきたいと思っております。  以上でございます。
  129. はたともこ

    ○はたともこ君 長官、日本再興戦略には電気料金抑制という項目もございます。どのようにして電気料金抑制するのか、どの程度抑制できるのか。私は、現行の電気料金を引き上げるのではなく、引き下げることも十分可能であると考えているのですが、長官の御見解はいかがでしょうか。
  130. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) 原発停止に伴いまして、火力の燃料費でございますけれども、平成二十五年度の推計でございますが、震災前に比べますと実に三・八兆円増加をいたしております。複数の電力会社から料金値上げ申請されるなど、電力コストの上昇がもたらされております。  このため、電力会社からの値上げ申請に対しましては、最大限経営効率化を踏まえた申請であるか否か、電気料金審査専門委員会における中立的で客観的な検討を踏まえて厳正に審査を行っております。先般、関西電力及び九州電力からの値上げ申請に際しましては、特に燃料費につきまして、将来の効率化の努力を先取りしたLNG調達価格を、その原価として努力をしたものを織り込むなど厳正な査定を行ったところでございまして、値上げ申請につきましては今後とも厳正な査定を行っていきたいと考えております。  さらに、今回の電力システム改革によりまして、電力事業者の間の競争の促進、あるいは全国レベルで安い電源から順に使用すること、あるいはピーク需要抑制によりまして発電所の投資の適正化が図られると考えておりますけれども、こういったことで料金最大限抑制ということが期待をされるというふうに考えております。  以上でございます。
  131. はたともこ

    ○はたともこ君 長官、太陽電池、燃料電池、蓄電池の電池三兄弟等でスマートハウス、スマートビルディング、スマートカンパニー、スマートコンビニ、スマートコミュニティー、スマートシティーなど各部分社会でエネルギーの自給自足が進展すれば、当然電力会社供給する年間電力使用量やピーク時の最大電力需要、今年の夏は九電力合計で一億六千六百四十四万キロワットの見通しということでございますが、この数字は将来的には大きく引き下げることが可能であると思います。  私は、五年後には二千万キロワット、原発二十基分相当のピークカットは可能だと思いますが、政府の省エネ目標はどうなっているのか、説明をしていただきたいと思います。
  132. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) まず、蓄電池でございますけれども日本再興戦略の中では一兆円の世界市場が二〇二〇年には約二十兆円に成長すると見込まれておりますし、その五割のシェアを我が国は獲得するということを目標といたしております。  それから、燃料電池でございますけれども、これは現在四万台です。ただ、二〇三〇年には五百三十万台ということでエネファームを我が国で導入をしたいというふうに考えております。  一方、今御指摘の省エネ及び電力需要ピークカットの件につきましては、現時点では設定をいたしておりません。省エネルギー政策を含めました中長期的なエネルギー政策方針となるエネルギー基本計画でございますけど、ここの場でいろいろな多面的な、今、総合資源エネルギー調査会で御議論をいただいておりますので、そこでまたいろいろな検討を行っていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  133. はたともこ

    ○はたともこ君 では、大臣に伺いたいと思います。  四月二十五日の予算委員会で、自公連立政権合意文書の可能な限り原発依存度を減らすという文言に原発ゼロは含まれますかという私の質問に対して、安倍総理はこのように答弁されました。安定的そして低廉なエネルギー確保した段階において、これは原発への依存度を減らしていくということでありますから、理論的には、これは全部うまくそろいましたねということになればそれは可能になるわけでありますが、今、しかしそれは、では、今ゼロということについてそれを申し上げることは、責任あるエネルギー政策を確立をしなければいけないという立場からは申し上げることはできないわけでございまして、今の段階では、その見極めが付いていないという以上、それは申し上げられないということでございますと答弁をされました。  大臣、安定的そして低廉なエネルギー確保した段階において、原発ゼロは可能となるということでよろしいでしょうか。
  134. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 総理も、今はそうは申し上げられない、このように答弁しております。私も、今はそうは申し上げられません。
  135. はたともこ

    ○はたともこ君 では次に、原発稼働について、原子力規制委員会に伺いたいと思います。  七月以降、新規制基準による審査体制が三チームプラス一チームで編成をされるとの報道もありますが、実際のところはどのようになっているのかを説明をしてください。
  136. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) お答えいたします。  今般の新しい規制基準におきましては、シビアアクシデント対策といった新しい要求も盛り込んでおります。また、このシビアアクシデント対策の審査当たりましては、いわゆる設置許可、これはプラントの基本設計を審査するものであります。それから工事計画認可、これは詳細設計を審査するものでございます。また、保安規定の認可、これは建設あるいは運転に伴うプラントの安全確保のルール、これを審査するものでございます。こういったものの確認に加えまして、地震・津波対策の確認といったものも同時並行的に行うということが必要でございます。このような審査は、なかなか、今までやったことがないということでございますし、また内容的にも新しいということがございますので、なかなか容易ではない、また、安全を厳格に確保することも必要であるというふうに考えてございます。  こういったことを考えまして、原子力規制庁全体のリソースを踏まえまして約八十名といった人員を投入して、先ほど委員の御指摘にございましたようなプラント関係の審査チームを三チーム、それから、このほかに地震関係の審査チームも設けると、こういった体制を検討しているところでございます。
  137. はたともこ

    ○はたともこ君 七月以降の新審査体制では、同時に何基分の審査が可能なのか、その審査はどのようなプロセスでどのくらいの時間が掛かるものなのかを説明をしてください。
  138. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) 先ほどお答えしましたように、今回の審査というのは、なかなか今までやったことがないような形の審査になります。これまでは、設置許可、工事計画認可といったようなものを段階的に審査をするという形でやってきてございますが、これを同時並行的に行うという形になります。また、内容的にも非常に新しいものが入ってございます。  今お尋ねのございました審査の進め方といいますか、同時に何基審査できるのかとか、あるいはどのくらいの期間が掛かるのかといったところにつきましては、これは事業者の方も新しい対応が求められるということでございますので、実際に申請がどのような内容になるのかといったところに大きく左右されるところがございますし、また、私どもも、新しい試みでございますので、今この時点でどのくらいの期間が掛かるのか、あるいは何基ぐらい審査できるのかといったことに対するお答えを申し上げるのはなかなか難しいという状況にあるということを是非御理解いただきたいと思います。
  139. はたともこ

    ○はたともこ君 続けて規制委員会に伺いますが、四月二十五日の予算委員会で、原発に対する核ミサイル攻撃や戦闘機による大規模な爆撃を想定しているのか、また、安全対策を考えているのかとの私の質問に対して、田中原子力規制委員長はこのように答弁をされました。新規制基準では、テロに対する備えとして、意図的な航空機衝突などに対する対策は求めているが、これを超えるような核ミサイル攻撃あるいは戦闘機による大規模な爆撃等については評価や対策を求めているものではございませんと答弁をされました。また、当委員会が規制によって対処すべき性質のものではないとも答弁をされました。  一方、小野寺防衛大臣は、弾道ミサイル等による原子力発電所に対する攻撃といったことも含めて様々な武力攻撃の態様を想定して、例えば外国軍機に対しては、自衛隊法八十四条の対空侵犯措置、弾道ミサイルに関しては自衛隊法八十二条の三の弾道ミサイル等に対する破壊措置によって対応するとして、このように答弁をされました。ただ、核ミサイルに関しましては、これは原子力施設のみならず我が国に対しての重要な問題でありますので、日米関係、これをしっかりして、アメリカの核の傘、このことも重要な一つの要因であると思っておりますと答弁をされました。  また、菅官房長官は、原発が爆撃機や弾道ミサイル攻撃を受けた場合の国民保護計画は策定されているのかとの私の質問に対して、このように答弁をされました。  今の委員の質問の中で、武力攻撃事態、そうしたものに該当した場合には、住民の避難などを、そうしたことが迅速にまた的確に行うことができるように、国民保護法に基づいて、政府としては国民保護基本指針や各省庁の国民保護計画を策定するとともに、各地方自治体等においても国民保護計画を現在策定をいたしております。そしてまた、政府としては、年に二回、実動の訓練やあるいは図上の訓練も二回ほど行っているところでありますと答弁をされました。  防衛省、内閣官房、すなわち日本政府として、原発に対する弾道ミサイル等の攻撃も想定し、それに対する対策、住民避難計画の策定と訓練も行っているということだと思います。  そこで、原子力規制委員会に重ねて伺いますが、原発に対する弾道ミサイル等の攻撃への対策は炉規法に基づく新規制基準では求められていないことは十分承知をしておりますが、原発には、政府も想定し対策もある弾道ミサイル等の攻撃というリスクがあるという認識が規制委員会にはおありになりますでしょうか。
  140. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) お答えいたします。  先ほど委員から御紹介のございました四月二十五日の予算委員会における田中委員長答弁、こちらで私ども考え方は述べられておると思いますが、いわゆる私どもの今、案をお示しして検討中の新規制の基準の中におきましては、テロの備えとして、意図的な航空機の衝突などによってプラントが大規模に損傷した状況における対策といったようなものも要求してございますけれども、これを超えるような攻撃、核ミサイルあるいは戦闘機による大規模爆撃、また今委員指摘のございましたミサイルによる攻撃、こういったものについてまで評価や対策を求めているものではございません。  また、この考え方は、先ほど御紹介のございました委員長答弁にございますように、こういった攻撃につきましては、原子力の規制によって対処すべき性質のものではないということが我々の考え方だということで御理解いただければと思います。
  141. はたともこ

    ○はたともこ君 さらに、原発に弾道ミサイル攻撃があった場合、原子力規制委員会はどのような行動を取るのかを説明をしてください。
  142. 黒木慶英

    政府参考人(黒木慶英君) お答えいたします。  武力攻撃事態に対しましては、もう御案内のとおり、武力攻撃事態対処法及び国民の保護のための措置に関する法律に基づきまして一連の対策を講じることになっております。  具体的に申し上げますと、原子力規制委員会には、武力攻撃災害が発生し、また発生するおそれがある場合においては、緊急の必要があると認めるときは原子力施設の使用停止を命ずることができるといった権限が与えられているところでありますが、現実の要するにこういった事態の発生の際につきましては、大きな考え方、イメージとしましては、原子力災害発生時とほぼ同様の対応を取られるものと承知しております。  つまり、現実の発災の際には、事業者が行います被害局限化のための措置に関して技術的な支援を全面的に行うことが一つ。それから、オフサイトにおける住民の防護のための措置、これにつきましても、もう既に原子力災害対策指針で示しておるところでございますが、ほぼ同じ考え方で、規制委員会は、各都道府県とも協力しながら所要の措置を講じていくといったようなイメージなのかと思います。  私からは以上であります。
  143. はたともこ

    ○はたともこ君 では、経済産業省にも伺います。原発に弾道ミサイル攻撃があった場合、経済産業省としてはどのような行動をするのかを説明をしてください。
  144. 中西宏典

    政府参考人中西宏典君) お答え申し上げます。  原発を含みます我が国への核ミサイル攻撃や大規模な爆撃につきましては、原子力の安全規制の枠組みという意味での対応ではなくて、国として外国からのミサイル攻撃等にどのように対処するのかという視点でのいろんな、防衛庁、自衛隊が中心になって対応するというふうな枠組みができております。  いずれにしましても、不測の事態ということに対しまして原子力施設を守っていくということは極めて重要な課題だというふうに認識しております。政府といたしましても、不断の検証、検討というものを行いながら適切に対応していきたいというふうに考えております。
  145. はたともこ

    ○はたともこ君 では、最後に茂木大臣に伺います。  私は、原発稼働判断基準は、安定供給コストに加えて、CO2排出、資源調達の多様性、そしてリスク・安全性の五つの判断基準があると思います。特に、原発稼働については、やはりリスクが最大の問題だと思います。地震列島日本の地震、津波に加えて、テロ、弾道ミサイル等による攻撃も重大なリスクです。福島第一原子力発電所のような過酷事故が再び起こるようなことがあれば、場合によっては日本は壊滅するリスクがあります。そうなれば、新しい成長戦略も日本再興戦略も根底から覆され、全て台なしになってしまいます。  このリスクをなくすためには、直ちに原発ゼロとするしかありません。原発過酷事故の再発防止策は原発ゼロしかないのです。アベノミクスをアベノリスクとしないためにも、速やかに原発ゼロを決断すべきだと私は思いますが、茂木大臣の御見解を伺いたいと思います。
  146. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) リスク、様々なリスクがあると思うんですね。例えば、安定供給ができなくなったと、ブラックアウトが起こってしまったと、これは日本経済にとって極めて大きなリスクであると思っております。病院が全部止まってしまうと、こういったリスクもあります。また、資源調達ができなくなると、こういうリスクもあるわけであります。そして、委員案内のとおり、こういった安定供給コストの問題、さらにはCO2の削減、さらには資源調達、そして先生が大きな意味でおっしゃったリスク、それぞれのエネルギー源によって特徴が違ってくると思うんです。  例えば、石炭火力でいいましたら、コストは安いけれど、CO2については、日本はほかの国よりはいいですけれど、非常にまだCO2という意味では劣後する部分があるとか、それぞれのエネルギーによって特徴が違うというところがありまして、現在、総合資源エネルギー調査会の中で、今後のエネルギー基本計画を作っていく中で、それぞれのエネルギー源の特徴についてきちんと位置付けてほしい、こういうお願いもしているところであります。  そして、原発の問題でありますけれど、これは、規制委員会で検討されている新安全基準については、この原発事故を踏まえて、常に新しい知見を規制に取り入れるバックフィットが実施され、安全性の向上が図られると。一回クリアしたらいいというものではなくて、常に安全性というのは向上していかなければいけないと。同時に、この規制基準さえクリアすればいいと、こういうことではなくて、事業者においても、また関係者においても、安全性取組のための取組を積極的に行うなど、原発のリスクの低減に向けてのたゆまぬ取組、これが必要だと、こんなふうに考えております。
  147. はたともこ

    ○はたともこ君 では、終わります。ありがとうございます。     ─────────────
  148. 増子輝彦

    委員長増子輝彦君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、高橋千秋君が委員辞任され、その補欠として藤本祐司君が選任されました。     ─────────────
  149. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 御苦労さまです。  大臣、私も、はた先生から喉あめをいただいたわけでございまして、三兄弟でございますが、私が言う三兄弟は、創エネ、蓄エネ、省エネです。新しくエネルギーをつくる、それからエネルギーを蓄える、そしてエネルギーを節約すると、こういうことを考えておりますが、その本題に入る前に、冒頭、昨日の夕刻からニュースが入ってまいりまして、自民党政調会長が地方での講演の席で、福島原発で亡くなった人はいないんだという趣旨の発言をされました。大臣は、この発言を知っていらっしゃいますか。
  150. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 高市さんの発言ですね、十七日、神戸市で行われました党の兵庫県連の大会での会合でありまして、私は、その会合に出席しておりませんので全体のスピーチであったりとか前後の脈絡については十分承知はいたしておりませんが、報道されたことについては存じ上げております。
  151. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 お手元にお配りをいたしましたのは国会事故調が出しました資料、これは何度か予算委員会やこの委員会でもお示ししていたものなんですが、原発事故というのは、これはBですね、別紙Bを御覧いただくと、線を引いてありますが、原子力災害に特有の事情があるということで2)のところのa、b、c、dというものを挙げているんですね。原発事故に特有の事情があるということなんですね。その上に四角い囲いがありますけれども、七つの病院が避難指示を受けた地域にありますが、これが十二日以降十五日までのいろんな動きなんです。そして、三月末までに亡くなった方の数が一番右側に書いてあるんです。こういうことでございますし、同時に、この遺族の方々は先週提訴をいたしております。原発事故で亡くなったということの提訴をいたしておるんですね。  政府はここをずっと曖昧にしてまいりました。前の政府もそうなんです。今回の政府も、一歩前には出たんですが、まだ曖昧なんです。恐らく、政調会長の問題ではなくて、国会、そして政府、そして霞が関全体を覆っているものがあるんですね。それは、原発事故で死んだ人はいないんじゃないかという誤認なんです。全くの誤認です。  被曝で亡くなる方がいたということでいうならば、それは熱風と被爆の原子爆弾です。原子力災害というのは、この特殊事情のように、放射能の恐怖、あるいは、あの場合は三回水素爆発をいたしておりますから、その恐怖、様々なものが混じり合って亡くなっていかれるんですね。こういうものを事実として受け止めて、そしてそこから本当の人間としての対策が始まっていくと、こういうことなんです。  ですから、これは、独り与党の政策責任者の発言ではなくて、我々全員が直視しなければならない、原発、今度の災害で亡くなった方はいるということのあかしなんですよ。亡くなった人のその気持ちを考えて、我々残った者は頑張っていかなくちゃいけないんです。  大臣にお尋ねしたいんですけれども、そういう意味で、大臣の認識として、福島県の原発事故、この災害で亡くなった人がいないと大臣も思っていらっしゃるんでしょうか。
  152. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 原発事故により避難を余儀なくされ、避難生活の中で健康状態の悪化等により亡くなられた方がおられる、そのように承知をいたしております。
  153. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 これは、大臣とも予算委員会等でもやらせていただいたんですが、分かるんですけれども原発のその放射性物質、放射線、それで一瞬にして亡くなるというのは、熱風も含めて原子爆弾なんです。原子力大災害、今回の災害は今も続いていると思っていただいていいんで、その中で亡くなっているという方は原発災害死なんです。原発事故死なんです。  これを是非、先生方と一緒に理解していただきたいんです。でないと、全国回っても、荒井さん、亡くなった人はいないでしょうと原発立地県の国会の先生方でも言っていらっしゃいますよ。本当にそういう認識でいいんでしょうか。私は、その認識からきちんと真実をつかまえることで、先ほど先生方のいいお話質疑がありました。直嶋先生からも、民主党時代から、そして今度の政権も、原発に対してどういう姿勢で臨むかという三点の確認がありましたけれども、そういうようなものも含めて、その真実に対する認識があって初めてできることだろうというふうに思うんです。  ここは、私はやはり、我々永田町も政府も霞が関も甘いんじゃないかなと。死んだ人がいない、とんでもないということです。そこをやっぱり言えるようにならないと、本物の電力システム改革というのはできないと思います。  その上でお話をさせていただきたいと思うんですが、今度の電力改革のシステム、私も支持をいたすところ多々あるんですが、簡単に言えば、安い、安定、こういうことをやるということです、これを。安くする、安定させる、この過酷事故を踏まえてそれをやっていくと、こういうことです。  しかし、アプローチにもう一つの私は技術的な、思想的なものが必要だと思っているんです。  それは、三段階のシステム改革の中に、非常に弱い、むしろ強くそれを打ち出すものがある。それは分散型ではありません。自給自足型に転換するエネルギー社会をつくるということだろうというふうに思うんですね。  結局、この今言っている仕組みというのは何かというと、発電事業者が相変わらずいて、送配電事業者が生まれて、買う我々がいるということなんです。全くその仕組みにおいては変わりないんです。中を飛ばせば、売る人と買う人、発電する企業側と買う側の消費者が相変わらず存在するということなんです。ここの隘路というものを、我々は問題というものを認識していく必要がもっとあるんじゃないか。それがこの原子力発電事故の教訓ではないかと私は思っております。  しかし、先ほどのお話からも、理想と現実というもの、野田総理の発言もありましたけれども、そういうものも踏まえていかなければならないところもありますから、私は一定の評価をして、このシステム改革を評価はいたしますが、しかし、我々の意識がもっと前に進んでいかないと、前というのはいいという意味です、もう少しいい社会をつくろうというふうに前に進んでいかないといけないのではないかなというふうに思いますので、その辺りのことでお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。  質問の、大臣、Qの二に当たるんですが、これは先ほど来からも質問で出ておりますけれども、今回の三段階の改革原発に依存しないエネルギー社会をつくるための手段というふうな位置付けで解釈してもよろしいわけですね、確認として、方向性、お願いします。
  154. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 質問のQの二がどれだかよく分からないんですが、まず地産地消から自分で電力発電して消費をすると、いいことなんだと思います。  ただ、それを進めるためにも、完全に自分が発電した量を完全に自分で使えるようにはなりませんから、送配電網も整備をすることによって、余剰電力がいつでも売れるような形、又は足りない電力がいつでも買えるような形を整えていく、こういったことが極めて重要だと、そんなふうに考えているところであります。  三・一一以降、やはり状況が激変しているというのは間違いないことだと、そんなふうに思っておりまして、我々としては、今後、エネルギー基本計画、これを作っていく中で、先ほども申し上げましたが、エネルギーコストの問題、そして安定供給の問題、そして調達先の問題、さらには環境負荷の問題等々を考えながら、それぞれのエネルギー源ごとの特徴も見極めてベストミックスと、こういったものはつくっていかなければいけないと思っております。  電力システムを進める中で多様な参入者と、こういうのが生まれてくると考えておりまして、そこの中には再生可能エネルギー等々を進める方も出てくると。一方で、消費者、需要家の中でも、今度は多様な選択肢が出てきますから、自分は多少高くてもいいから再生可能エネルギーを使いたい、こういう需要家も出てくると。結果的には、固定価格買取り制度だけではなくて、こういった電力システム改革を行うことによって再生可能エネルギー等々の拡大が見込まれると、こんなふうに思っておりまして、そういった取組を通じて、原子力にできるだけ依存しない社会、こういったものを実現してまいりたいと考えております。
  155. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 そうしますと、今、固定価格買取り制度の話が出ましたが、固定価格買取り制度、FITの場合を考えていきますと、例えばメガソーラーで参入する発電事業者が出てまいりますね。その事業者は、高値で今、電気事業者電力会社に買わせているわけですね。となって、今度は自由競争になったとき、どこに、その高値で買わせるという仕組みでメガソーラーのインセンティブが、造るインセンティブが働いてくるのか、事務方にお尋ねしたいと思います。
  156. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) 現在の仕組みでございますけれども再生可能エネルギーの買取り制度でございますが、これは、基本的にはこの再生可能エネルギーの買取り制度を維持するという方針が維持されている限りは現在の仕組みというのは同じように維持されますので、サーチャージの形で、国民の皆様に御負担をいただく形で再生可能エネルギーの導入を進めていくということについては同様だというふうに考えております。  以上でございます。
  157. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 今大臣ちょっと席を外されていますから長官にお尋ねしたいんですが、そうすると、先ほど大臣がおっしゃったように、いや、自分は太陽光の発電のものを買いたいんだと、割高だけれども、だけど全員に平等に行っちゃっているわけでしょう。火力発電で買う人も、上乗せはされていくという感覚でいいですよね、全員に。そこはどうです。
  158. 新原浩朗

    政府参考人(新原浩朗君) 委員指摘のとおりでございまして、ドイツの場合、御案内のとおり、もう既に電力自由化を実施しているわけでございますが、その下で固定価格買取り制度を維持しているわけでございます。それは、再エネを導入するためということでございます。  それで、もちろん、電力自由化をしたことによって、要するに、再生可能エネルギー電源だけで構成する料金メニューとか、そういうのを提供する小売事業者なんかがいっぱい出てきて需要家の選択肢が広がったという事実はございます。ただ、それだけではやはり再エネの普及ということで難しいものですから、固定価格買取り制度を維持して、発電事業者から系統運用者、まあ送電会社に買い取ってもらって、それを小売事業者が買い取って、そして小売事業者から均一に薄い形で負担をお願いしていると。それは、今言ったような再エネメニューだけを提供している会社だけではなくて一般に負担をお願いしていると、こういうことでございます。
  159. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 私もドイツに行って見ていまして、通訳の方に、えっ、ソーラーパネルを付けた人が高いお金で電力会社に売って、そのお金でその設備、自分のソーラーパネル代を返しているというんですね。そうすると、私は、その高い分は誰が払っているんですかと、当たり前でしたけれども日本人の通訳の方に聞いたんです。いや、それは普通の家の人がそれをしょっているんだと。じゃ、ソーラーパネルを付けられる人はいいですよねと言ったんです。ソーラーパネルを付けるお金がない人は高い電気料金で大変ですねと言ったら、えっ、どうしてそんなことを言うんですかって言うんですね。何か、いわゆる再生可能エネルギー、再エネという表現をしているようですが、再エネをしていくためにはどなたかが犠牲になってもいいという発想なんですよ。  私が言いたいのは、そこのいわゆる市場原理のゆがみなんですね。市場原理でいったら、そういう仕掛けを掛けなくたってうまくいくけど、いかないからそういうふうにしているわけですよね。外部性入れているわけですよ、ある意味において。だったら、私は、先ほどから言っているように、全員がソーラーパネルを付けられるような外部性という発想をしたらどうですかって言っているわけです。理解していただけますでしょうか、言っている意味としては。  ですから、私がイメージするのは、結局、この三段階をやってみたところで、再生可能エネルギーのところはまだまだ投資でコストが高く付くから、結局全員に広く薄くどんな選択をしようと掛かってくるんですよ。だったらば、そもそも自分が自給自足型で発電ができるような、私から言えば、企業に対する設備投資を求めるような従来のいわゆる経済産業省の発想から、家庭の設備投資を促進していくような発想への切替えもまたしていかないと、恐らく早晩行き詰まるなと見ているんです。産業界の投資、投資ばかり言えば、実需が付かなかったらなかなかしませんよ。  ところが、電気だけは、この三・一一でもう原発電気は使いたくないという人も出てきたでしょう。コスト高になっていますから、どんどん電気料金が上がっているから、安くなるならば何か手を打ちたいと言ってくる人も出てきますよ。発電という発想に行く人もいるし、創エネですね、もう一つは節電という発想に行く御家庭もあるし、もう一つは、その節電、省エネのための例えばボイラーとか電気器具をもっと効率のいいものに替えたい、替えたい、買い換えたいという人もいるんですよ。その辺をキャッチしないと、私は、企業の設備投資と言っているだけでは実際は迫力不足。実需が付かないのにそういうことをやって大丈夫かよ。こういうことになるということで、再三御提案を申し上げているわけです。  大臣がお戻りになりましたのでお尋ねしたいんですが、私はずっと解説も含めてすごく問題多くやっているので、問いの九番を準備いただきたいと思っているんです。大臣が席を外される前に言っていた流れでございまして、できる限り原発依存度を低減させていくという政府方針と今回の電力システム改革はどのようにリンクするかということで、先ほどのお話をいただきましたが、じゃこの改革を進めていけば原発依存度の低減化を促進するという効果がまあ現れるというのが先ほどの説明だったと思いますので、ここは飛ばしまして、おさらいといたしまして、再稼働エネルギーの量が増大したとします。大臣、再生エネルギーをつくる発電業者が増えてきた、それを配送するところも増えてきた、需要が付いてきたということですよね。そうなったケースになってきたら、先ほど来から再稼働お話がありましたけれども、再稼働しなくてもいい場合が出てくるかもしれません。仮定です。  規制委員会はその原子力発電発電をしてもいいと、再稼働してもいいという、既にそういう委員会のお墨付きが出たと。しかし、再生可能エネルギーがかなり大きく需要を満たすようになってきたと。そのときに、先ほど申しましたけれども、安い、安定というのが、五つのポイントがありましたけど、二つが非常に多いポイントだと思うんですね。そのときに再稼働を、大臣、するべきかどうかとしたら、どういうふうにお考えになりますか。
  160. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず第一ステップとして、日本における再生エネルギー、相当拡大していかないと、荒井先生がおっしゃるような状況というのは進まないんではないかなと。今回の広域系統運用拡大であったりとか、送配電部門中立性の向上によりましてよりスマートなエネルギーマネジメントの取組が進むと。これ、再生可能エネルギーの導入拡大にもつながり、結果としてこれがエネルギー源の多様化が進むことにもなっていくと、このように考えておりますけど、現在一・四%なんですね。水力を除いた場合ですけれど、これをかなりな比率に広げていくと。  恐らく、この固定価格制度も維持をしながらやっていかなきゃなりませんし、さらに、例えば初期投資が掛かってしまう部分について何らかの形で違った方策を取ることによって、家庭であったりとか小規模事業者が初期投資なしでそういった再生可能エネルギーを導入できるような施策も現在検討しております。  そういったことも進めていく中で、本当に需給がきちんと安定できるような状況がいつつくれるかというのが大きな課題だと思っておりまして、一方で、需要の方も減らしていかなきゃならない。これについては、相当今回の電力システム改革で減っていくんではないかな。昨年の実証実験におきましても、ピーク時とオフピークによりまして電力料金変えることによりまして、北九州の例では、ピーク時、電力需要二割落ちておりまして、電力料金は三割落ちると、こういうこともあるわけでありますから、こういった全体の需給の状況、こういったものを見ながら最終的なエネルギーのベストミックスというのは考えていきたいと思っております。
  161. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 私はかなりできると思うんですね。先ほど、蓄エネの部分のところで、蓄電池の部分で一兆円、あと二〇二〇年には二十兆、その五割程度日本なんだと。これもかなり野心的な話だと私は思うんですよ。一方では野心的な数字を自ら出しておきながら、片方では一・何%ですから難しいよというのは、私はちょっと違うんだろうと、こういうふうに思うんですね。  それはひとえに我々の心構えにもかかわっている。それは当然経済というものに反映してきますから、質としての成長と量としての成長を私はもたらすものだというふうに思っていますので、またその辺は後の機会議論をさせていただきたいと思います。  大臣、十番目になりますが、政権として積極的に原発輸出の後押しをしております。この理由はどこにあるんでしょうか。
  162. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 私は、日本エネルギーの先進国だと、このように思っております。  まず、一九七〇年代、我が国は二度のオイルショックを経験をいたしました。そのオイルショックを克服する中で省エネの技術、そして省エネの製品、これは世界一のものをつくりまして、まさにそういった技術であったりとか製品が今世界で使われているわけであります。  現在、日本は新たなエネルギー制約に直面をする中で、一つ原発事故の教訓、そして反省、これを世界と共有することによって、世界の原子力安全の向上であったりとか原子力の平和利用に貢献していくことは我が国の責務であると、そのように考えております。  実際、私も大臣になりまして中東であったりとか中南米を訪問して、現地でエネルギーの担当大臣ともお会いしております。そして、恐らく三十人以上のエネルギー担当大臣とはもう日本でもお会いしているんじゃないかなと思います。原発について懸念のある方いらっしゃるのかなと思いますと、原発については、非常に日本原発の技術、そして単に技術だけではなくて運営能力について高く評価をされている国が大半であると。このように実際に話をさせていただく中で伺いまして、相手国の事情であったりとか意向を踏まえつつ我が国の最高水準の安全性を有する技術を提供していきたいと、こんなふうに考えておりますが。  ただ、原発だけをやるということではなくて、先ほどから申し上げておりますように、石炭火力、これも世界一です、日本は。この石炭火力につきましても、日本の高効率石炭火力をすれば、これがアメリカ、中国、インドでリプレースをされましたら、それだけで年間十五億トンのCO2の削減になる。これは日本全体で一年間に出しているCO2の量でありますから、これぐらいの削減になるということでありまして、原子力に限らず、我が国の持っております高いエネルギー技術をもって、世界市場の開拓とともに世界各国の温暖化対策等々にも貢献をしていきたいと、このように考えております。
  163. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 三十分あると随分こうやってゆっくり話できますが、次の問題にどうしても行きたいので、懸念だけ表明をさせていただきます。  これは環境省にお尋ねします。当然、今度のこのシステム改革はCO2対策にもなるんですが、原発、除染の件です。十七番目、お願いします。  今、除染をしていただいているんですけれども、新聞で問題になったような話が出ておりますが、ちょっと新聞が十分な調査をしなくて言ったかなというようなところもありました。私も、地元の町村、聞きましたらば、方針転換、再除染はしないというようなこと、そういう会議にいた方も、そんな話はなかったなという方もいましたし、少し事実として違うなというような印象をいただきましたが、十七の質問ですね。  国直轄によって除染をしております。その他は市町村がやっていくんですね。国直轄事業による除染作業の日当が高いために、市町村でやる日当が低いんですよ。だから人が集まらない。加えて、先ほど来から、先生方からお話がありましたが、このいわゆる収束、安定、廃炉対策をしていただいている、その働いている方々、つまり東電が行う、あるいは東電が雇う廃炉作業員の日当、この差を見てみて、その差が、国の直轄事業の除染の方が高いために市町村の除染に人が集まらないということと同時に、東電の廃炉の作業員も集まらない、東電から下請に出す場合もありますが、という料金体系といったらいいんでしょうかね、危険手当を含めた、そういうものが原因として出てきているんじゃないかと。それが除染や廃炉を進まなくするんじゃないかということがあるので、お尋ねします。  環境省に、国の直轄事業による除染作業の日当は幾らでしょうか。それから、経済産業省には、東電が行う廃炉作業員の日当は計算上幾らになるんでしょうか。
  164. 小林正明

    政府参考人(小林正明君) 今、除染作業の日当についてお尋ねがございました。確かに共通の仕様書で、特に国が直轄事業として行います場合に、ここは避難指示が出ている地域でございまして、作業員にとって精神的にも身体的にも負担が大きいということで特殊勤務手当を付けているところでございます。  個別に雇主と作業者の間でどういう契約が行われ、幾らになっているかということを把握しているものではございませんが、その水準といたしましては、他の公共事業とともにその水準を毎年調査をいたしまして適正な価格の設定に努めていると、そういう状況でございます。
  165. 中西宏典

    政府参考人中西宏典君) 福島第一原子力発電所廃炉作業にかかわります作業員の職種というのは、極めて多様な仕事をやっております。東京電力自身は、その作業内容に応じまして競争入札を行い、元請企業と契約をしております。そのために、いろんな日当の金額というものにつきましては一様なものではないというふうに伺っております。  また、その概算をやるに当たりましても、東京電力と各請負事業者との契約内容といったことに関係しますので、具体的な他の関係企業との影響というのがありますので、東京電力としてはその日当額についての公表はできないというふうに伺っております。
  166. 増子輝彦

    委員長増子輝彦君) 荒井広幸君、残り一分ですので、よろしくお願いします。
  167. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 それでは一分の間なので、大臣にお願いだけしておきます。  今のような問題意識から見ますと、確かに国の除染しているところはみんな線量が高いですから、そういう意味においては、環境省それから経済産業省からも既に資料をいただいているんですが、特殊勤務手当などが出ます。それから、東電の中でのその場所場所でも全く、線量等や危険が伴う、違いますから、そこも違うということですが、先ほどのように公にできないということなんですね。  ですから、そこも含めまして、大臣、一度検討していただかないと、その日当によっての差によって人が集まらない集まるというのが出てきていると。あるいはそれによって廃炉が遅れるとか除染が遅れる懸念も私感じるものですから、一度勉強していただきたいと思います。
  168. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 勉強させていただきたいと思います。  その一方で、先ほどからの御意見いただきますと、例えば最も危険な地域は東電の職員の方が自ら出ていく、こういったことも行っていると。それぞれの状況も考えながら適切な方法を考えてみたいと思います。
  169. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 終わります。
  170. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 茂木大臣、まずは基本的な今回の電気事業法の一部改正、三段階、これを踏まえて二〇二〇年までにはシステム改革を完了するという計画だと理解しています。第一段階が広域運営機関の設置、第二段階が小売全面自由化、第三段階が送配電部門の中立化。その一方で、国の大方針としての国家的なエネルギー政策の在り方については十年の時間を掛けてこれからじっくりと、原発の在り方を含めて、再生可能エネルギーのベストミックスを含めて検討するということも方針として打ち出されています。  この二つの間の整合性というのか、これをどういう形で組み合わせようとされているのか、基本的なお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。
  171. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 電力システム改革、それから同時に、三・一一を踏まえ新しいエネルギー制約の下でのベストミックスの在り方、両方とも難しい課題であります。そして、責任を持って決めていくためには相当な時間が掛かってしまう。  電力システム改革につきましては、三段階におきましてやっていく。最終的には二〇一八年から二〇二〇年、これで、料金完全自由化、同時に法的分離によります発送電の分離を行っていくということで考えておりまして、もっと早くできないのか、前倒しできないのかと、こういう御意見もいただいておりますけど、なかなか、例えば普通の企業が会社を子会社化すると、こういうのとは違った側面がありまして、例えば緊急時等々の状況も考えながら、発電部門とそれから送配電部門の様々なルールの整備をしなきゃならない、恐らくこれだけでも一年掛かると。システムの設計にまた一年掛かる、システムの開発に三年掛かるということになりますと、幾ら急いでも五年ぐらいは掛かるんではないかな、こういう想定の下で、改革は大胆に、スケジュールは現実的に、こういったことで進めております。  一方、エネルギーのベストミックス、これも幾つかの今後の状況を見ていかないとなかなか見通せない部分があるんではないかなと思っております。仮置きで数字だけ置けと言えば置けますけれど、その数字が、じゃ妥当性を持つかといいますと、今後の状況によってかなり変わってくるんではないかなと、こんなふうに思っておりまして、例えば再生可能エネルギー、昨年の七月に固定価格買取り制度が導入されて以来、昨年度末までで設備容量およそ一割程度伸びてきておりますけれど、これがどこまで伸びていくか見通すのには、ある程度やっぱり私は時間が掛かると思っております。  それから、石炭火力の更なる高効率化。これは例えば次世代、次々世代とあるわけですけれど、これがそれぞれあと五年から十年、十五年から二十年、こういうタームになってくるわけであります。  そういったことを考えると、ベストミックス、さらには調達先の多角化はどこまでできるか。シェールガスは恐らく二〇一七年に入ってくる、こういう状況にもなると思います。また違った国の多角化も進めていくと。いろんなことをやっていくとなると、本当にこれが日本のベストミックスとしていいんだというのを決めるのには、早ければ早い方がいいんですけれど、十年以内という形になってまいります。  この電力システム改革とベストミックス、完全に別のものではありません。しかし、完全に一緒のものでもありません。例えば電力システム改革によって需要そのものが落ちれば、ベストミックスの在り方、これも変わってくる。電力システム改革によって再生可能エネルギーの導入が増えればベストミックスも変わってくる、そういった形でリンクをする部分がありますけれど、同時並行で走るものではありません。ただ、タイムスパン的に言いますと、片や十年以内、そして片や今後五年から七年、そんなに時間軸的に大きなそごがあるものではないと、こんなふうに考えております。
  172. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 今おっしゃったように、大体十年弱のタイムスケジュールの中で大きな方針を決め、そして具体的なシステムをそれに付随する形で、お互いに相乗効果が発揮できるような、そういう方策を目指す。これはなかなか、どっちを先に固めるのかによっても大きく違いが出てくると思うんですよね。  ですから、是非、これはまあ電気事業者の声もあるでしょうし、あるいは需要者、企業や家庭のそういう希望というのか、現状もあるでしょうから、その辺りうまく両方のバランスを取っていただく、そういう発想が欠かせないと思うんですよね。  その大きな流れの中で、今回の広域機関、これを設立させるに当たっては、既存電力関係の機関がいろいろとありますよね。今日も議論になったESCJ、電力系統利用協議会、これも中立的な機関としてこれまで様々、ルール作りですとか監視、紛争処理の役割を一定程度果たしてきていますよね。そことは違う形で、今回、より大きな枠組みをつくれることを考えているわけですけれども、じゃ、そのESCJを今後どうするのか。その辺りはどういう考えで、広域機関とこのESCJとの関係、これはどういうようなことになるんでしょうか。
  173. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 細かいことはこの後、事務方から説明をさせていただきたいと思うんですけれども基本的に、既存機関であるものでそのまま使えるものがあったら使っていった方がいい、スピードが速ければ速い方がいいと、こんなふうに思っていまして、これはベストミックスを決める上でも、資源調達先の多角化、先日、私もシェールガス、相当アメリカでやってきました。それで、輸出許可、ついに下りる形になったんですけど、一つ一つ進めていかなくちゃならないんです。一日遅れることが、日本エネルギー政策にとって一日遅れていく。これは電力システム改革も一緒なんです。この国会で通るか通らないかによって電力システム改革が半年、一年、下手すると数年遅れてしまう、こういう危機感を持ちながら我々この問題に取り組んでいるところでありまして、そういった意味も含めて、使えるものは使いますけれども、ただ性格が違うものをそのまま使おうと思ってもうまくいきませんので、その点は事務方の方から説明をさせていただきます。
  174. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) まず、今回の法律案におきましては、現行法のESCJに関する規定、これを削除いたしまして、新たに広域的運営推進機関を設けるということでお願いをしております。  今ありますESCJでありますが、これは、送電線の公平な利用に係るルールを決めております。このルールを決めるという機能は、今度は新たにできます広域的運営推進機関、ここでルールを決める機能は引き継がれるわけでございます。今までのESCJが行ってきたそのルールの中で、そのまま使うことが妥当なものというのもあるでしょうし、また物によっては見直しをしなきゃいけないものもあるかもしれません。先ほど大臣から御答弁ありましたように、使えるものは使いつつ、より今の状況に合わせて見直すべきものを見直しながら、新しい広域的運営推進機関として、単にルールの作成にとどまらず、区域を越えた電力の融通でありますとか、それから需給の逼迫したときにおける発電所のたき増しの指示、広域融通の指示、こういうことをより積極的に行うという、そういう機関として立ち上げることによって、より電力の低廉かつ安定的な供給に万全を期していきたいと、そういうことでございます。
  175. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 是非、既存の組織や人材、ネットワークということも最大限生かしながら、新しい広域機関の一体化を目指していただきたいと思います。  新しい広域機関は、電気事業者ですとか新電力、あるいはその元売、小売、これからたくさんの新規参入者が想定されますよね。そうしますと、恐らく百社を超える会員がこの広域機関の会員になると。そうなった場合、一応二年間を想定してこの広域機関稼働させるということですけれども、各会員の間の調整というんでしょうか、役割分担ですよね、こういうことが新しいルール作りですとかシステム開発を含めて二年間で十分な対応ができるものかどうか。これまでの議論の中でも、人材あるいは経費といった面では、会員制で、その会費で賄うんだということでしたけれども、一体このシステム開発にどれくらいのコストが掛かるのか。過去の例で見ても、金融機関が統廃合するときも、システム障害等が頻繁に起こって大変経済活動に影響が及んでいるという例もありますよね。  ましてや電力となると、この波及効果、影響はもっと大きいものがあると思うんですけれども、このシステム開発に十分な人材が投入できるのか、またコストをどれくらい掛けて二年間で達成する見通しがあるのかどうか、その辺りについて、今の検討状況、実際どれくらいの予算が必要なのか、考えをお聞かせください。
  176. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) 広域的運営推進機関でございますけれども、この二年後の立ち上げに向けまして、詳細な設計を電力関係の事業者と早急に詰めていかなければいけないというふうに考えております。  それで、広域的な運営のための情報システムの投資がまず最初に必要になるわけでありまして、これについては更に精査が必要でありますが、一つの試算としては、電力システム改革専門委員会の場で電力の代表から示された試算で百六十億円というのがございます。このぐらいの相場観というのが今の電力会社の見積りでありまして、そういったお金を、費用を掛けながら広域的運営がしっかりと行えるようなインフラを整備をしてまいるということでございます。  この費用については、会費に関する事項というのを定款に定めまして、この認可法人、会員制でございますので、その運営費それから初期の費用も含めまして会費として賄うと。その会費については、例えば送配電ネットワークの運営コストの一部として取り扱うというようなことを想定しておるわけでございます。  それから、御質問のありました広域的運営推進機関の人材の確保でございますけれども、この機関においては、電力需給状況を日常的に監視をいたしまして、需給の逼迫したときには個別の発電所にたき増しを指示する又は供給区域を越えた広域的な電力融通を指示するといった電力供給の実務そのものを行う機関でありますので、その人材については、高度な専門的、技術的知見を持ち実務に精通をした人材を確保することが非常に大事だというふうに考えております。  こういう機関を支える専門的中立性を備えた人材の採用や選任、これをどうすれば一番いい人材が集められるのかということも含めて、この二年間、長いようでありますけれども、もうあっという間にたつということを思っておりますので、速やかに詳細な検討を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  177. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 今、改革専門委員会でのシステム開発に関する経費の見積りで百六十億円程度という話が出ましたけれども、私どもが理解している金額は、この百六十億円ってあくまで人件費にかかわる経費であって、実際のシステム開発に掛かる費用というのはかなりもっと上乗せされるんではないかという、そういうことも聞いているんですけれども、この百六十億円、本当に全体のシステム開発に必要な金額なのか、あるいはもう少し違った数字が独り歩きしているようですけれども、その辺りの実態はどうですか。
  178. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) 広域的運営推進機関の設立に際して必要となる初期費用でございますけれども、これは、情報処理システムの構築費用、それから施設設備等の費用としまして全体で約百六十億円程度という数字が過去に示されたというものがあるということでございます。もちろん、このシステムの仕様等の議論次第で額の増減はあり得るわけでありまして、今後詳細を詰めていかなければいけないということでございます。  これを送配電網の利用料金ということで回収をする場合、例えば五年間に分けて回収をした場合に、キロワットアワー当たりその費用は一銭未満の額であるということも申し添えさせていただきます。  それから、年間の運営費につきましては、例えば今のESCJの運営費が大体六億、七億ぐらいでございます。これは人件費を含む額でありまして、これが年間掛かる費用でありまして、これの何倍かということでありますが、この辺りも今後詳細設計の中で明らかにしてまいりたいということでございます。
  179. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 もしそうだとすると、電気料金の上乗せという形には、今回のシステム開発費用というのは恐らくほとんど影響がないという理解でいいですね。消費者にとって、今回のシステム開発することによって電気料金への上乗せという形で跳ね返ってくるということは、一銭未満ということは、ほとんど新しいコストは発生しないという理解でよろしいですね。
  180. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) いずれにしても、最近のシステム改革、かなり発注の方法も変えていかなくちゃいけないと思うんですね。  大きなシステムを一発で、何というか、発注するのか、ある程度分散というか分けて発注するのかによって値段も変わってくる部分というのもあると思います。発注する側も相当賢くないといけないんじゃないかなと思っておりまして、その費用についてはできるだけ最小化をしていきたい。これまでの電力会社のように、何しろ掛かったコストは全て電気料金に反映すればいいんだと、こういう発想とは違った、きちんとコストベネフィットを考えたやり方をやっていきたいと思っております。
  181. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 ありがとうございます。  それと、次の課題として、やっぱり電力安定供給というものは国民生活にとってもう欠かせない最低の条件だと思っています。そういう意味で、新規参入の会社がこれから増えるということが当然想定されるわけで、そうしますと、従来の電力会社に課せられていた電力安定供給の義務ですよね、その辺りがかなり緩やかになってくる可能性があると思うんですね。  ですから、その場合、新規参入業者がやはり利益追求ということにどうしても走るとなると、言ってみれば安全性が多少ないがしろにされるようなことも場合によっては考えられると思うんですけれども、そういった観点で、新規参入企業に対する安定供給という意味での責任をどう担保するのか、そういう点については今回のシステム改革の中でどういう歯止めが掛けられているのか、その点について質問します。
  182. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) 安定供給確保、これはもう万全の対策を取ることが必要だと考えております。  今回の改革プログラムでは、安定供給義務を送配電事業者、これは地域独占の送配電事業者に課した上で、送配電事業者が日々の電力供給状況を監視をいたしまして、そして需給の調整を行うなど、高品質の電気の安定的な供給に責任を果たすという考え方基本といたしております。  その上で、御指摘新規参入者でございますけれども、まず新規参入者を含む小売業者につきましては、空売り規制、すなわち供給力の確保義務を課すということで小売事業者の要請に応じて発電所が建設される仕組みとなりますし、そういう新規の小売業者の方々にはそういう義務が掛かるということでございます。また、仮に小売業者への規制だけでは将来的に発電所が不足すると考えられる場合も考えられる、そういう場合には広域的運営推進機関発電所の建設者を募集すると、そういった仕組みを設けることによりまして最終的には必ず発電所が建設される仕組みといたそうと考えております。  さらに、発電事業者でございますけれども新規参入者を含む発電事業者につきましても、安定供給確保することについて一定の役割を担うことが求められるため、その定義でございますとか要件につきまして、今後、第二段階の法改正でしっかりとした手当てを検討していきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  183. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 今の説明ですと、必ず新規参入者の場合にも発電所は必ず自前のものを確保すると、こういう理解でよろしいですね。
  184. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) もちろん大規模な小売業者で自前の発電所を確保する場合もあると思いますが、契約によって電力確保される、発電所を自分では所有しないけれども必ず契約によってしっかりとこの供給されるべき電力、売るべき電力確保するという形も予想されるところであります。  以上でございます。
  185. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 やはり電力を投機の対象とするということのないように、是非、実質的な地域経済にとって必要な発電を自らつくり、それを提供するという仕組みをがっちりと固めていただきたいと思います。  次の質問は、いわゆるこれまで原子力発電投資をしてきた電力会社、そことその新たな新規参入する企業の間の言ってみれば競争条件が公平に担保されるかどうかという問題であります。いわゆるストランデッドコスト、これは、制度が変更されることによって公平な競争が維持できなくなる可能性というものも今話題になっているわけでありまして、この競争条件が著しく悪化した場合と附則の項目で言及がありますけれども、万が一そういう場合が起こったときに、従来の原子力に投資してきた企業と新たに新規参入を図っている企業との間の、政府が行う電力政策の変更によって生じ得る公正な競争がもし阻害された場合、その保障、それをどういう形で是正するのか、その辺りについての政府の考えをお聞かせください。
  186. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) 法案附則の第十一条第五項第七号におきまして、原子力政策を始めとするエネルギー政策の変更その他のエネルギーをめぐる諸情勢の著しい変化に伴って競争条件が著しく悪化した場合において、競争条件を改善するための措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるという規定があるわけでございますが、これにつきましては、例えば過去に行った多額の発電投資が政策の変更により回収不能となり競争条件が著しく悪化をした場合などが想定されるわけでありまして、具体的にどのような場合に競争条件が著しく悪化をしたというふうに判断をするのか、また、必要な政策措置としてどのような措置が具体的に一番いいのかどうか、この辺りは個別の事例に応じて今後判断をしていくということで、現段階においてこういう措置をとるということをあらかじめ決めておるものではございません。
  187. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 それと、附則のところに、送配電等業務を営む者及び電気の卸売業を営む者が相互に連携して電気安定供給確保するために必要な措置を講じるということがありまして、その必要な措置の中に、供給する電気の電圧及び周波数の値を一定の値に維持すること、また小売業、これが電気安定供給確保するために必要な供給能力を確保させるための措置ということで、いろいろと必要な措置ということが盛り込まれているんですけれども、こういった必要な措置を、これからシステム改革の中で具体的にどういう形でどういう手法でもって必要な措置を講じるのか、また、それをどういう形で、違反するような場合あるいはリスクが大きくなった場合それをどうやって実現するのか。その辺りの必要な措置、みんな必要な措置を講じるということなんですけれども、どうやって必要な措置を講じるのか、その方法についてはどういうことを考えておられるのか、お聞かせください。
  188. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) 附則の第十一条第五項に今御質問になった内容等が記述をされておるわけでありますが、その柱書きには、政府は、第一項第一号及び第二号に規定する法律案を国会に提出するに当たっては、次に掲げる措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするということにされておるわけでありまして、第二弾、第三弾の法案提出させていただくときに、その法案の中身として今御指摘のあったような義務付けを盛り込むことを考えております。  具体的には、送配電等業務を営む者について、電気の電圧及び周波数の値を一定の値に維持することということでありますが、これは送配電事業者、これは引き続きシステム改革があった後も地域独占が維持されるわけでありますが、その送配電事業者につきまして、その供給区域において電圧及び周波数の値を一定の値に維持するという義務を掛けると。  これをどういう形で担保するかということは今後具体的に検討するわけでありますが、そういう義務を掛けるということを考えておりますし、また、小売業を営む者に安定供給を維持するために必要な供給能力を確保させるための措置、これは小売事業者、いろんな参入も想定されるわけでありますが、自分が供給しようとするお客さんに供給しようとする額を上回る供給力を必ず、契約若しくは自分で発電所を持つ、いずれかによって確保しておかなければいけない、逆に言えば、空売りをしてはいけない、そんな義務を掛けるということを想定をしておるところでございます。
  189. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 ありがとうございます。  是非その必要な措置をきっちりと講じていただきたいんですけれども、そういう必要な措置を講じるに当たって、これからこの国会で新しい法案をまた審議することになっていますけれども、そのタイムスケジュール、これはやっぱり五年から七年ぐらいを掛けてということだと思うんですけれども、そういう五年から七年ぐらいの間に今指摘されたような必要な措置を講じるための条件整備、これができるのかどうか、その見通しについてお聞かせください。
  190. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) 今回の出させていただいている法律附則にも書いてございます。あるいはまた、それに先立つ四月二日の閣議決定にも書いてございますけれども、そのそれぞれの三段階までのそれぞれの実施時期につきましては、例えば第三段階であれば二〇一八年から二〇二〇年までを目途に実施でございますけれども、それぞれの法律提出時期につきましては、今年この法律を出しておりますけれども、来年そして再来年という形で出させていただくということでございますので、法律提出させていただく時期はもう少し早い、今御指摘をいただいたよりも早い時期に今申し上げたようなスケジュールで出させていただくということでございます。
  191. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 基本的に、このエネルギー政策、やっぱり日本のこれからの発展にとって欠かせないものなので、大臣もおっしゃっていますが、シェールガスの可能性ですとかあるいはメタンハイドレート、そういったものの開発ということをひっくるめた上でできるだけ広範な、先ほど指摘があったエネルギーの自給自足ということも踏まえた上で、最後に大臣から、やっぱりどういう形で日本が世界のエネルギー問題に貢献できる、先ほどの原発の、どうやって克服するか、その経験そのものも国際的な共有財産という受け止め方もできると思うし、大変評価も高いという御指摘ありましたよね。ですから、そういう基本的なことを踏まえた上で、日本のこれからのエネルギーの対外的な戦略、PRの仕方、それについて大臣基本的なお考えをお聞かせいただいて、最後の質問にしたいと思います。
  192. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 私は、エネルギー問題についても日本は必ず今の危機を克服できると。七〇年代、二回のオイルショックを経験しても、様々な民間を始めとする分野の努力によりまして、世界最高の省エネ大国、これをつくり上げたわけであります。  今回も、エネルギー安定供給、そしてコストの低減、こういったものを中心にしながら、エネルギーの調達面から始まり、そして流通、電気でいいますと送配電になります、そして最終的には需要、それぞれの面で必要な改革を進めていきたいと思っております。  そして、そこの中では様々な技術が、システムが培われると。それは日本だけで使うんではなくて、それを海外展開することによって、海外においてもそういった技術の進歩が進み、それが場合によってはCO2の削減であったりとか様々な形で世界にも貢献をしていくものだと、このように考えております。  相当な検討がこれまで進んできました。国会でも御議論をいただきました。まだ詰めなくちゃならない点はあると思っておりますけど、これからは走りながら考える段階だと、今とどまる段階ではないと、こんなふうに思っておりまして、この電力システム改革はどんなことがあってもこの国会で仕上げていただいて、次のステップへのスタートを切りたい、このように考えております。
  193. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 ありがとうございました。以上で終わります。
  194. 増子輝彦

    委員長増子輝彦君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  195. 増子輝彦

    委員長増子輝彦君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  電気事業法の一部を改正する法律案審査のため、来る二十日午前十時に参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 増子輝彦

    委員長増子輝彦君) 異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 増子輝彦

    委員長増子輝彦君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十九分散会