○
参考人(
伊久哲夫君) 積水ハウスの
伊久でございます。
本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。
それでは、住宅生産者の立場から少し
意見を述べさせていただきます。資料に沿って進めさせていただきますけれども、内容としましては、まず、私ども住宅メーカーとしての住まいづくりにおける
省エネに向けた取組、これについて少し説明させていただきまして、その後に、それを踏まえて
省エネ政策への
意見を多少述べさせていただきます。
一メーカーとしての取組のお話になりますので、全住宅業界を代表しているわけでもないんですが、私ども
自体が、住宅の供給量であったりとか、あるいはその取組の内容等から、
省エネの分野におきましては先行的かつ積極的な
事業者であろうと、多分そういうふうに自負しておりますので、そのような観点から
参考にしていただければ幸いでございます。
それでは、最近の商品開発の流れに沿って、どんな取組を行ってきたかということをお話しさせていただきます。
二
ページでございます。言うまでもないんですけれども、御覧のように、住宅における
エネルギー消費、これは主に冷暖房それから給湯それから照明・家電、こんなふうにほぼ三等分に近い形になっているんですが、その
省エネ対策といたしましてはそれぞれの図のようなものがあるわけでして、さらに、その左下ですね、創エネ、つまり
エネルギーをつくり出すものとして
太陽光発電あるいは燃料電池等があるわけでございます。
三
ページでございます。私ども従前より住宅の
省エネ化あるいは環境への取組を積極的に推進しておりますけれども、一九九九年制定されました現行といいますか次世代
省エネ基準と言われているものですね、いわゆる十一年
基準でございますけれども、これを常に上回る仕様を二〇〇三年から全ての戸建て住宅に標準採用しております。
エリアによって若干仕様は異なるんですけれども、図にありますのはⅣ地域といういわゆるやや温暖な地域における仕様でございまして、ちなみに一般の新築住宅における十一年
基準というものの適合率というのは現在約五割というふうに伺っております。更に言えば、
ストック全体は五千万戸と言われていますけれども、で見ると、まだまだ五%というオーダーでございますので、断熱化を進める
意味というのはこの辺にあるわけでございます。
四
ページでございます。そうして、私どもは、快適性とか経済性、こういった住む人にとってのメリットというのをまず第一にしまして商品づくりあるいは環境への取組を行ってきたわけなんですけれども、具体的には、前
ページ、三
ページにありましたような
基本的なシェルターとしての断熱仕様、これに加えまして、
太陽光発電あるいは燃料電池といった創エネの部分、こういった設備を搭載することによって生活時のCO2排出量を、これを大幅に削減
モデルと、いわゆる商品です、これをグリーンファーストというブランド化をいたしまして二〇〇九年に発売したということでございます。
ちなみに、二〇一二年度にはこの商品が新築戸建ての八割以上、八三・八%を占めております。それを構成する主要要素であります
太陽光発電、これは一二年度におきましては一万一千九百二十棟、燃料電池におきましては八千九十五棟という実績を現時点で達成しております。
五
ページでございます。こういった私どものいわゆるグリーンファーストという取組は、新築戸建てだけではなくて、既存住宅のリフォームであったりあるいは賃貸住宅、そういった分野にも主に
太陽光発電を設置するということを通じて積極的に展開しております。
六
ページでございます。そうしているときに、三・一一、いわゆる二〇一一年、東
日本大震災が起こりまして、これを機に、いわゆる平常時の節電と同時に何よりも非常時の
エネルギー確保、こういったことが大きな社会テーマになったわけなんですが、こういった
課題に対しまして我々も住宅メーカーとして対応すべく新たな商品の展開をいたしました。
七
ページでございます。それがここに挙げていますグリーンファーストハイブリッドという商品でございます。その内容は、いわゆる
太陽光発電あるいは燃料電池、蓄電池という三電池を連動させるという
モデルでございまして、その特徴はそこに書いてあります三点でございまして、一点目は、非常に大容量の蓄電池を搭載しているものですから、いつも電気がある安心の暮らしを実現するということ、これが一点目でございまして、二点目は、平常時におきましては当然のことながら快適な暮らしをしながら、非常に発電量がありますので、町の
発電所といたしまして、いわゆる創エネ
機器類を使いまして、町の
発電所として日中他のエリアへも電気を供給できるぐらいの容量がありますから、そういったことでいわゆる
ピークカットにも大きな
意味では貢献できるということでございます。三点目は、非常時、停電あるいはガスさえ停止された事態が起こりましても、この三電池が自動的に
電力供給
システムを稼働いたしまして安定した
電力を継続的に供給すると、それによって日常に近い生活が維持できると、そういった仕組みの住宅でございます。
八
ページでございます。さらに、この度の新たな
省エネ基準、これが二〇二〇年の適合義務化へ向けて取組が行われていますけれども、こういったものに対応すべく更に高い
省エネ性能、これを実現する商品を開発いたしました。
九
ページでございます。それをグリーンファーストゼロと呼んでおります。本年四月、つい最近ですが発売された商品なんですが、これは生活時の
エネルギー収支をゼロにするという、グリーンファーストゼロという商品でございます。具体的には、さらに従来の商品の床、壁、天井の断熱性能を一層高めまして、かつその開口部ですね、ここに一層の高断熱サッシ、アルゴンガス等を注入した複層ガラスなんですが、そういったものを使うことで一層の
省エネを進化させると、に加えて、太陽光、燃料電池、そういうのも合わせることによって
エネルギー収支、これをゼロを実現しております。
十
ページでございます。ここまでがいわゆる今まで実現した商品化の取組でございまして、今後におきましても、十
ページにありますように、
省エネはもちろんなんですけれども、本来、住宅の供給者といたしまして住まいの快適性向上に向けて新たな
技術開発を行っておりますし、これからも行ってまいります。
具体的には、そこに挙げていますようないろんな
技術メニューが挙げられるわけなんですけれども、そのポイントは上の丸
三つですね。
左端、従来グリーンファースト戦略で行ってまいりましたいわゆる
エネルギー技術ですね。これに加えまして、真ん中、自然との接点あるいは親和性といったものを大切にした、いわゆる
日本の住宅の良さ、本来の良さ、そういったことを改めて組み込むようなパッシブ
技術。さらには、ITの更なる活用によるネットワーク
技術ですね。こういったものに注力するところがポイントであろうというふうに考えて、
技術開発を行っております。
もう
最後ですね、十一
ページ。以上のような住宅メーカーといたしましての
省エネ取組を主に
技術とか商品の面からお話しさせていただきましたけれども、これに関連いたしまして、住宅生産者といたしまして、今後といいますか、今進められております
省エネ政策の取組、これに対して
意見を簡単に三点述べさせていただきます。
一点目、建材
トップランナー制度に関してでございますが、断熱性能を高めるための主要な要素であります、いわゆる断熱材であったりとか窓、サッシ、ガラスですね、こういったものを
対象にして建材メーカーがコストダウンを図りつつ
省エネ性能の高い
製品を積極的に導入する、これは非常に大事なことであろうとまずは思います。
ただ、先ほど先生のお話もありましたけれども、建材単体の性能ラベリング、性能付けの話だけではなくて、やはり建物全体の
省エネ性能と連動した形で一般
消費者にも分かりやすい表示方法、ラベリング等、これが大事であろうと思います。
二点目、
電力ピーク対策ですね。私どもの取組の中で若干御紹介いたしましたように、一般
家庭に導入されるいわゆるHEMSであったりとか蓄電池、これは
電力の
ピーク対策に
家庭部門で貢献できる
技術であろうというふうに認識をしております。したがいまして、更なる普及に向けた継続した支援策というのが必要であろうというふうに思います。それから、規格がやっとといいますか統一されましたHEMSですね。これによって制御、今度はコントロールする側ですね、制御する方の制御可能な設備
機器、これの普及というのが大事であろうと。
それから、町としてといいますか、エリア単位での、地域単位での
エネルギーの需給バランスの最適化、いわゆる
スマートグリッドの部分を最適化するための系統
電力との連携の促進、ここも非常に大きなポイントであろうと考えております。
三つ目ですね。
省エネ基準の適合の義務化に関しましては、義務化の水準そのものは、やはり導入をスムーズに行うという観点からも義務化導入時点での
省エネ基準の達成率、これを十分勘案していただきたいなというふうに考えております。
それから二点目ですが、全体の
省エネのボトムアップはもちろんですけれども、もう一方はトップアップ、トップアップとしてのZEH、いわゆるネット・ゼロ・
エネルギー・ハウス、住宅等、非常に高い
省エネ性能を持つ建物の普及の促進、これも非常に大事な施策であろうというふうに考えております。
最後、義務化に向けましては、今のところ大規模建築物から段階的に小規模の方へという、そういう進める
方向性というのは出されておりますけれども、これは非常に適切な進め方だろうと考えておりますが、併せまして、広く中小の工務店であったりとか施主様、その中には非常に
事業採算性を重視してコストに敏感な、いわゆるここに具体例を挙げていますような賃貸の共同住宅オーナー様みたいなものを含めて、そういった方
たちへの啓発や支援、これも非常に大事なことであろうというふうに考えております。
以上、住宅生産者の立場からお話しさせていただきました。
以上でございます。