○末松信介君
局長のおっしゃることは分かるんです。しかし、立証事由も当然、
子供を連れてきた母が自分でこれ立証しなきゃいかぬわけですよね、こういうことがあったと。場合によっては、
外国において
日本のそういった大使館なりにも一応こういうことがありますということを伝達していくということで、極めて難しい作業をやっぱり求められているということは確かだと思うんです。
それと、このハーグ子
奪取条約が成立したときには、
DVというのは余り想定されていなかったはずなんですよ。と同時に、
子供を連れ去るのは父親であって、母親が連れ去るケースというのは余り想定されていなかったということはいろんな文献から明らかになっているわけなんで、そういう点も、私は、少しこの
ハーグ条約ということについては引き続きしっかり注視をしていくと、この
条約加盟しましても、そのことを強く求めておきたいと思うんです。
与えられた時間が大変短いので次に進みますけれども、この子の連れ去り問題にはいろんなケースがございます。これは調査室にいただいた資料、加地君が作ってくれた資料も見たら大変詳しく出ておるわけなんですけれども、私は、代表的な話を言いましたら、一昨年の原発事故を理由に、
日本人と結婚した
外国人が
子供を連れて母国に帰るケースが出始めておるということなんです。
日本は
子供を連れ戻すのに有効な
ハーグ条約に加盟していないため、
子供を奪われて途方に暮れている親がおられます。
アメリカ人と結婚したある
日本人の
女性の話なんです。
一昨年の三月に、夫が
子供を連れて一か月の予定で
アメリカへ里帰りしたと。その間に福島の原発の事故が起きてしまったと。それで、夫は原発事故の影響を恐れて、いまだ
アメリカを離れようとしていないんです。
女性は
帰国を促すと、
子供を放射能の危険にさらすのかと拒んだそうなんです。
アメリカでは、震災後、津波や放射能のことが連日報道され続けました。夫は当初、原発の事故が安定したら戻ると約束していたんですけれども、その約束が守られることなく、昨年の十一月に一方的に
アメリカで離婚を求める訴訟を起こされてしまったそうです。あの東
日本大震災がなければ、今ごろは家族そろって幸せに暮らしていることだと思うんです。
それで、
女性は
アメリカで安定した職を見付けられる保証はなくて、この状態で離婚となれば親権が認められる可能性も低いということを考えておられます。
アメリカ政府の
子供連れ去り窓口に相談しましても、
日本は
ハーグ条約に加盟していません、
子供を元の居住地に戻す義務はない、
子供は保護の対象になりませんと。それと、
アメリカで訴訟した場合、これもう何百万円という訴訟費用が掛かるということが一般的に言われております。それと同時に、
ハーグ条約に加盟しましても、過去の事例には遡及されないということが明記されていますよね、
条文にも書いているということなんですよ。
それで、この
女性は泣き寝入りをしたままなんですけれども、こういう連れ去り問題に対処できないのかどうかと。これはやはり、こういった問題をどう
解決していくかということを、
政府はすき間の問題をきちっとどう対処するかということを考えておかなければ、私は、
ハーグ条約に加盟した加盟したということで手放しで喜べないと思うんですよ。
ですから、この場合、二国間協定を結ぶとか、あるいは欧州評議会でも、こうした評議会をつくって話合いのできる場なんかを設けているはずなんですよ。多少私もこの
関係する本を読みましたけど、そういうことを
日本政府は考えていないのかどうか。このケースを想定して、この問題を
解決するために
日本政府は何ができるかということを
お答えいただきたいと思うんです。担当の
局長で結構です。