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重徳委員 今お聞きになられたとおりでありまして、一都道府県当たり千五百十七だったのが、今、三十七なんですね。三十七といっても、これは平均ですから、北海道は百七十九あるんです。一番少ないところ、富山県では十五しかないということであります。
このように、しかも、各一つずつの市町村の規模が極端に、極端というか、かなり大きくなっているわけですから、そういう大きな立派な市町村となった団体を県が上から管理するというようなことはもはや必要ないのではないかということで、都道府県合併の話が出てきて、合併をしていけば五兆円とも十兆円とも言われる行革効果が出てくるんじゃないか、これが行革という面での道州制だと考えております。
その一方で、統治機構改革としての道州制、すなわち国から道州への大幅な権限移譲というものを伴う道州制、この意味合いがなかなか理解されない、一般国民の皆さん方にぴんとこない部分も多いんですけれども、この点につきましては、今の制度でいうと県と政令市との関係を少し想像すればわかるようなことがあろうかと思います。
例えば、名
古屋市内で愛知県の仕事がどのぐらいあるかというと、極端に言えば、河川管理と警察ぐらいじゃなかろうか。あと、名
古屋高速とか名
古屋港というものも、県と名
古屋市が共同で管理をしたりしておりますので、純粋に県の役割というのは本当に少ないわけでありまして、県から市へと大幅な権限移譲をすれば、県の役割というのはほとんどなくなると言っても過言ではないわけであります。
ですから、同様に、道州制になれば、わかりやすい例を挙げれば、今、都道府県をまたがる一級河川とか国道、こういうものは、簡単に言えば、県を越えるんですから国が管理すべき面があるというふうに考えたときに、では、一級河川、今ちょっと調べてみたんですが、幾つ都道府県を越えるものがあるかといいますと、一級河川は百九あるんですね。これを、これまで地制調で出された道州制のパターンに当てはめますと、道州になっても、その道州域をまたがるものは二十二、およそ五分の一に減ってしまう。
国道に関しても、都道府県をまたがるものは二百七十一、これが道州制になると九十八、いろいろな数え方はあるかもしれませんが、大体三分の一ぐらいに減ってしまうということもございます。
したがって、要は、道州制になれば、そういった国の仕事というのは大幅に減るんだということを申し上げたいと思います。
その意味で、イメージとしての道州制は、その昔、国鉄分割・民営化という言葉がありましたが、霞が関分割、道州制、こういう改革が道州制改革ではなかろうか、私はこのように考えております。
そして、時間があと十分程度ですので、次に地方財政制度について指摘をさせていただきたいと思います。なぜ今抜本的な改革をしなきゃいけないのか、金の面から議論をさせていただきたいと思います。極めて重要なことです。
現行の交付税制度は、私は、三重の意味で破綻をし、問題先送りの状態になっていると考えております。
まず一つ目は、交付税というのは、原則、国税五税の大体三割ぐらいから成り立つ。それが原資であって、それによって賄わなきゃならないのが原則でありますが、二十五年度当初
予算でいいますと、それは十一兆円ほどしかございません。交付税総額は十七兆円計上されているんです。だから、六兆円分は一般会計から補填をしているんですね。
本来であれば、地方交付税法にも書かれているんですが、法定率そのものを、今三割のところを四割、五割と引き上げていって地方交付税総額を確保するべきだというのが本来なんですが、想像がつくとおりで、今そんなことをしたら、国の財政が厳しい、とても余力がないということで、そこは借金まみれの国の一般会計から補填しているわけです。
そういう意味で、これは、第一の先送りだと思います。
それから二つ目は、今、交付税は、今の加算を含めて十七兆円、
予算に計上されているんですが、そのほかに、自治体がみずから発行する臨財債と言われる借金、地方債が六兆円ありまして、これは、地方の自治体の実務においては、実質的には交付税なんだよと言われております。ですから、国の
予算書に盛られている十七兆円の交付税のほかに、地方の六兆円分、合わせて二十三兆円が実質的な交付税だと。
だけれども、その臨財債は、借金なのになぜ交付税かというと、後年度、その償還をするときに交付税を措置するからね、そういう理屈で交付税扱いされているわけでありまして、これも、地方が地方の借金という形で交付税の財源を先食いしているという形になるわけでありまして、これが二つ目の先送り。
そして三つ目は、交付税特会に借入金が今三十三兆円あるんです。これは非常にわかりにくいんです。これが国の借金なのか地方の借金なのか、正直よくわからないんです。
県や市町村の
予算資料を見ますと、累積債務残高何十億円、何百億円という数字がありますが、あれを全部足しても、交付税特会の三十三兆円分は出てこないんですね。つまり、国の特会が借りている借金だということは間違いない。
では、その借金は国が返すのかというと、ちょっと微妙に違うんです。これはなぜかというと、国が交付税原資をもって返すということ。つまり、この交付税特会の借金を返すと、その分、地方交付税の原資が食われるわけですね。
ですから、今年度、二十五年度当初
予算では、一千億円の交付税特会の償還をすることになっています。これが非常に大胆な返済計画になっていまして、来年度からは二千億円、再来年度からは三千億円、毎年一千億円ずつ償還額がふえていって、
平成三十四年度以降は、その後三十年近く、毎年一兆円ずつ返し続けてようやく返せる、これが交付税特会の借入金であります。
一体、国の借金なのか地方の借金なのか、明確ではないものなのですが、いずれにしても、交付税を賄うための借金であるという意味では、こういう借金もある。
ちょっと説明が長くなりましたが、今の国税五税不足、臨時財政対策債、交付税特会借入金、こういった三重の意味で今の交付税制度は破綻をし、問題を先送りしている状態になっていると考えておりますが、一体、この制度は持続可能な制度だとお考えでしょうか、
総務大臣にお伺いします。