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小野栄重君 本日は、
福島班の公聴会の
開催をこの
いわきの地で行っていただいたということに、私は非常に意味があるなというふうに思っています。これは、これから続ける
説明で御理解いただけるかと思います。
とにかく、
政権交代後、私は、アベノミクスの三本の矢、これに関しては、感銘を受け、高く評価しております。しかし、もう一本の矢が必要でありました。それは
福島の
復興戦略であります。
いかに
日本経済が上向きに転じようと、有史始まって以来の
原発事故による環境汚染を含む複合災害に見舞われたこの
福島県は、私は、被災三県という同じグループとして捉えるべきじゃない、全く別物であるというふうに感じております。それをまずわかっていただきたいと思います。したがって、
福島県を国策として救えないのであれば、もう
日本の再生などあり得ないというようなつもりで、私は、きょうは、
いわきの
現状も含めて強く訴えたいというふうに思っています。
いまだ
福島県内で十六万人の県民が、
県内外に避難している。私は、この
状況は国として異常であるというふうに感じております。まず初めに、この
福島の
復興に、
原発事故早期
収束、安心、安全対策に、国策として命がけで乗り出してほしい。私は、このための
予算なら、幾らつけても
国民は納得してくれるというふうに確信しておる一人でございます。
さて次に、
いわきの
現状でございます。
先ほど市長からるる
説明がありましたとおり、
いわき市は仙台に次ぐ最悪の被災
状況であるということは、意外と知られていないんです。四百四十一名の方が貴重な命を奪われました。建物被害も、九万棟、被害を受けました。さらに、
原発事故による不安から、今現在、約八千名の
方々が、主に小さいお子様を連れて、家族の離散も覚悟しながら県外に避難している、そういう
状況が今の
現状であります。
いわきはもともと、
皆さん何回かおいでになっているかもしれませんけれども、
日本のハワイと言われるほど、めったに雪の降らない、気候温暖、風光明媚な、海の幸、山の幸に本当に恵まれた、年間の観光客が、驚くなかれ一千三百万人ですよ、この
方々が
いわきに来ていたんですね。また、産業界の裾野も広いんです、
いわきは。今こうして立ち直りつつあるのもこの産業界の裾野の広さのおかげなんですが、工業出荷額は二兆円を超えます。これは東北で断トツ。こういうものも、実は、この信用も財産も一瞬で吹っ飛んだわけですよ。ですから、まずこのことを、
いわきの
現状を述べるに当たって知っていただきたい。
しかし、神様は、皮肉といえば皮肉なんですね、この
いわきの地に、試練とともに信じられないくらいの役割を与えたんです。それは、原発立地地域の浜通り地方の一角を占める、仙台に次ぐ地方の大都市のこの
いわき市に、
福島県の中で会津、もしくは東京と変わらないくらいの低い放射線汚染で今現在に至っているんですね。一体これは何を意味するのかということを、ぜひきょう先生方にお考えいただきたいと思います。
今や、
原発事故を克服すべき最前線基地の役割と
責任、そして安心、安全の構築に先頭に立って
福島県の
復興を牽引する、その使命を
いわき市が預かっているわけなんですね。これはもう本当に、客観的に言ってもそうなんですよ。それで、三千人とも言われる
原発事故収束作業員の
方々は、この
いわきから毎日毎日通っているんですよ、命がけで。その
方々も私は大事にしてあげたいというふうに思っております。
今後、仮の町、コミュニティー構想、きょう町長もいらっしゃっていますけれども、そういうものができれば、今現在二万四千人ふえているわけなので、さらに数万人、五万人以上ふえ、いずれはもとの人口三十六万人は軽く突破するんじゃないか、こういう人口増加にある
いわき、皮肉にもその
いわきという
現状を私はまず知っていただきたいと思います。
ここであえて言わせていただきますけれども、この
いわきの地に、国策として、あらゆる
日本の英知それから世界の英知を結集すべきときが今来たんですね、国は。そして、四十年後の
事故処理では長過ぎるんです。今や火星に行く時代です。私の世代で何とかこの
原発事故の廃炉を終了させて、そして私の子供、それから孫の時代には、安心なふるさとを、安全宣言をして再生させたいんですよ。それには、今、この
いわきがポイントなんです。
そして、ついでに申し上げますけれども、
いわき商工
会議所としては、四本の矢で今懸命に、命がけで当たっております。国策としてお願いしたいことばかりです。
一つは、
復興の前提となる安心、安全対策の構築であります。
これは経済界といえども避けて通れません。もちろん、市は、
除染、モニタリングは必死でやっています。でも、もうそういうレベルではないんですね。ですから、ここに最も権威のある放射線研究機関をぜひ誘致してほしい。
具体的な言葉を挙げれば、千葉県に放射線医学総合研究所があります。このために彼らは働いてきたんですよ、平時のときに。ですから、有事のときに、その支部をここに持ってきて、国が働くという姿を全世界に発信することが私は非常に大切であり、それが心の支えにもなると思っています。それにこだわるわけではないんですけれども、放射線のそういう専門の、客観的に科学的な分析ができる関連機関をこの
いわきにぜひ誘致してほしいというのが私の安心、安全対策の
一つのニーズです。
二つ目は、中小
企業の
復興支援のさらなる強化であります。
具体的には、当然、金融円滑法が切れますので、資金繰りに非常に困る
企業が出てきます。ぜひその対策はお願いしたいと思いますし、
企業立地補助金、おかげさまでたくさんの
方々が今
いわきに投資しようとしております。この立地補助金も大いに役立ちました。この継続、増額をお願いしたいというふうに思っています。
そして、市長を初め、観光特区等を今承諾してもらっていますが、あらゆるさまざまな税制優遇制度の導入をして、特区としてこの
いわきを救っていただきたい、そういうふうに思っております。
三つ目は、
いわきブランドの
復興戦略であります。
特に、信頼が失われた、風評被害に苦しむ水産物、農産物、そういうものを法律で大都市で流通させていただけたらなと。もう全部検査済みですから。ぜひ、その風評被害は払拭するように、何とか大都市で流通させていただけるような手を打っていただきたいというふうに思っております。
そして、四つ目の矢は、我々が掲げている総合エネルギー産業都市プロジェクトであります。
もともと、
いわきは、浜通り地方も含めて、エネルギーの一大供給地だったわけですよね。言葉は悪いですけれども、私たちの犠牲の上に、東京の
方々が、安定した電気をいただいて、安定した繁栄があったわけです。したがって、原子力にかわる高効率の石炭火力発電を含む一大再生可能エネルギーの集積地として、国策として、この
いわきを後押ししてほしいというふうに思っております。
これが将来、莫大な雇用を生むんです。火力発電所が一発できますと、二千名の雇用が生まれるんですよ。双葉からたくさんの
方々がおいでになっています。急に福祉の事業をやれといったって、無理だと思います。やはり、エネルギーで働いた人はエネルギーで働きたいと思っているはずです。そういうものも含めて、将来の雇用対策にもつながりますし、また、今、
企業は
復興需要のちょっとしたバブルがありますけれども、それがはじけた後も、そういう新しい産業が興れば雇用の受け皿になります。二千名、二基できれば四千名。そういうものがこれから、
いわきとしては重大な産業集積になると思っていますので、
いわき市への後押しをお願いしたいと思います。
幸いに、
いわきには小名浜港という重要港湾があり、国際バルク港湾でもあります。ここの小名浜港に重点的に国の投資を集中すべきであるというふうに考えます。大水深岸壁の整備はもちろんですけれども、今つくっている東港の拡張も含めて、石炭を含め、物流機能を強化して、この東北の玄関口の小名浜港を早く復旧させていただきたいというのが、私たち経済界のある意味では
復興のシンボルでもあるなと思います。
最後に、これは私の個人的な夢も含めまして、二つの二十年後の
いわきの夢がございます。
一つは、どっちにしても、多くの避難民を受け入れて、地元の人とうまくやっていかなくちゃならない。そういう立場であるのであれば、未来を先取りしたスマートシティー、多くの被災者と一緒に導入できるような、そういう最先端のモデル都市を国策として
いわきにつくっていっていただきたいな、応援していただきたいなというのが
一つのお願いでございます。それを世界が見ています。
復興のシンボルとして見ていると思います。
二つ目は、人類史上誰も経験したことのないこの複合災害、多くの失われた命を無駄にしない方法は
一つだけあります。それは、それを教訓として生かすことだと思います。さまざまな教訓を私たちは学びました。それを世界と共有することが、世界からさまざまな支援をいただいた恩返しであるというふうに私は思っています。
具体的な事業としては、夢かもしれませんけれども、沖縄でやって以来、五十年以来やっていない海洋博、それをこの
福島の地で行うべきだと思います。一年くらいの長期スパンでいいと思います。そこで、いろいろなパビリオンの中に、津波対策、地震対策、本当に優しい
復興住宅はどういうものなのか、そういうものを全部並べて、世界からお客様を強制的に呼んで、そして
日本の
復興を見てもらいながら、この震災を教訓として残していく、そういう
福島海洋博みたいなものも、国策としてそういうものも導入していく。中途半端な観光戦略は要らないですよ。
その二つの夢を、二十年かかるかもしれませんけれども、
最後に夢を語らせていただいて私の発表は終わります。
下を向いてばかりではいられません。決して、我々は泣き寝入りはするつもりありません。国と一緒に手を組んで、世界に冠たるこの
いわき市から、
福島の
復興、
日本の再生を起動させたい、のろしを上げたいというふうに思っています。
これは私個人の
意見というよりも市民の代弁ですので、どうぞ、きょうはいい
機会でありますので御理解いただいて、それなりの
予算、通常の枠にとらわれない
予算をつけていただければ、それが
日本の再生につながるんだ、その三段論法できょうはお話を締めくくりたいと思います。
どうもありがとうございました。