○重徳和彦君
日本維新の会の重徳和彦です。
日本維新の会を代表して、きょうも元気に、
消費者の
財産的被害の集団的な
回復のための
民事の
裁判手続の
特例に関する
法律案に関連し、
政府のお
考えを伺ってまいります。(
拍手)
近年、
消費者トラブルに係る
法律事務所の広告が目につくようになりました。完済してしまったから、蒸し返したくない。恨まれるんじゃないか。
消費者トラブルに戸惑う個人の立場をしっかり代弁している広告もある一方で、こうしたトラブルに乗じ、困っている人の弱みにつけ込んで、決して社会正義の実現とは言えないビジネスチャンスを見出そうとする勢力もあるという声も、各方面から同僚
議員のもとに届いております。
政治の役割は、社会の各分野、各地域にわたる代表者が、議会の場に集い、それぞれの立場から
考えを述べ合って、成案を得るプロセスだと
考えます。
今回の
法案が、
消費者トラブルに悩む多くの
消費者の方々にとって、本当に朗報となるものなのかどうか、一体どちらを向いた
制度設計になっているのかを検証し、責任ある立法府としての役割を果たしたいという立場から、質問に入らせていただきます。
初めに、この
法案がつくられるに至った経緯について、三点質問させていただきます。
まず、
平成十九年六月に
制度運用の始まった、現行の
消費者団体訴訟制度の不備についてです。
現行
制度においては、これまで、五年間で二十九件が提起され、判決や訴訟上の和解等に至った
事案は二十四件ありますが、差しとめ
請求権の行使にとどまり、
損害賠償請求が認められていませんでした。
従来の
消費者団体訴訟制度における
制度の不備、すなわち、
被害の未然
防止や
拡大防止ができても、既に起きてしまった
被害への
損害賠償請求の仕組みがないことが原因で、これまでにどういった問題がどの程度生じてきたと思われるか、森
消費者担当大臣に
お尋ねをいたします。
次に、
消費生活相談の
内容を少し分析してみます。
PIO—NETによる
平成二十三年度の
消費生活相談によりますと、
相談件数は
全国で八十八万件、うち、取引に関する
相談が七十万件超となっております。また、一件当たり契約・購入金額は百四十五万円で、このうち、支払い済み金額は六十九万円です。
最近では、
高齢者の
相談が増加し、ファンド型投資商品などの出資などの怪しい商品、その二次
被害に関する
相談が目立っているようです。
一方、
消費生活に関する意識調査によりますと、これまでに
被害経験があると回答した人のうち、契約をしてしまい、代金も支払ってしまった人が、五割以上を占めました。そのうち、
被害に当たると思う金額を十万円未満とする人が、四五・六%と、最も多くなっています。
また、
被害経験があると回答した人のうち、実に三六・二%が、その
被害について、誰にも
相談していないと回答されています。その
理由は、半数以上の人が、
相談しても仕方がないという回答です。いわゆる泣き寝入りということでしょう。
いかにも、訴訟や争い事を好まない
日本人的な数字のような感じがいたしますが、国際的に見て、この数字をどう理解すべきか、森
消費者担当大臣に
お尋ねをいたします。
そんな中、
平成二十一年に
成立をいたしました
消費者庁及び
消費者委員会設置法の附則や
附帯決議において、
適格消費者団体による
損害賠償や
団体訴訟制度を含めた幅広い
検討を行うこととされ、これらを受けて、
消費者委員会に設置された集団的
消費者被害救済
制度専門調査会で議論された結果が、今回
法案となりました新たな仕組み、二段階型
訴訟制度です。
議論の過程では、米国のクラスアクションなど、先行事例であります欧米の
団体訴訟制度も参考とされ、
日本における訴訟風土や歴史的経緯に照らし、今回の仕組みに落ちついたことがうかがえますが、今回の
法案の
訴訟制度と、先行事例である米
国等のクラスアクションとの共通点と相違点はどこにあるのか、お
伺いをいたします。
次に、
法案の中身について、八点質問をさせていただきます。
初めに、この
手続を進める主体、いわゆる
手続追行主体についてです。
手続追行主体は、
適格消費者団体のうち、
内閣総理大臣が
認定した
特定適格消費者団体が、
被害消費者にかわり、訴訟
手続を追行することとなっておりますが、現時点では、
適格消費者団体そのものが、
全国に十一
団体しかございません。
特定適格消費者団体と
認定されるためには、現行の
適格消費者団体の
要件に加えて、差しとめ
請求関係業務を相当期間にわたり適正に行っていること、
被害回復関係業務を適正に遂行できる体制が
整備されていること、執行
決定機関として理事会が設置されていること、理事のうち一人以上は弁護士とすることなど、かなり厳しい
要件が求められております。
ここで、森
大臣にお
伺いいたします。
消費者の
信頼できる、しっかりした確かな
制度を目指すならば、こうした厳格な
要件は十分理解できる一方で、この
制度を大いに利用したいという立場からは、
全国的な
被害回復の機会を広げるため、必ずしも
法律上の
適格消費者団体でなくとも、同等に適切な訴訟追行が期待できることが担保されていれば、
手続追行主体は
適格消費者団体以外の者にも
拡大すべきではないか、そういう別々の、両側の声があります。
政府の方向性はどちらなのでしょうか。お
伺いをいたします。
二点目は、訴訟
要件です。
この
法案に基づく
訴えは、
消費者契約に関して相当多数の
消費者に生じた
財産的被害を
対象としております。
消費者庁からは、この相当多数の具体的人数について、数十人程度との
説明がなされていますが、これも、多いのか、少ないのか、よくわかりません。
消費者の
信頼できる、しっかりした確かな
制度を目指すならば、相当多数を、確実なものを多くとる必要があります。逆に、訴訟を起こす段階で、既に数十人の
被害を把握してからとなると、実際には、把握できていない
被害がかなり
拡大してしまっている
可能性があって不都合だという声もあり、この相当多数の
要件を、もっと厳格にとるべきか、あるいは緩やかにとるべきなのか、これも両案あると思うんですが、この点、どのようにお
考えでしょうか。森
大臣にお
伺いをいたします。
三点目は、
対象外となる
損害についてでございます。
この
法案の第三条では、
対象となる
請求権は、
事業者が
被害者に対して負うべき
金銭債務で、かつ
消費者契約法に関するものなど、一定の制約をかけております。
逆に、同条第二項において、次の
損害については
対象外とされています。
一つ目は、いわゆる
拡大損害。すなわち、
消費者契約の
目的となるもの以外の
財産が滅失、損傷したことによる
損害です。二つ目は、
逸失利益。すなわち、
消費者契約の
目的物の提供があれば得るはずだった
利益を喪失したことによる
損害。三つ目は、
人身損害。そして四つ目は、
慰謝料です。
これらについては、なぜ
法案では
対象外とされているのか。これは、
損害を限定するという意図なのか、それとも、今後、順次
拡大していくおつもりなのか、お
伺いをいたします。
四点目は、特別法上の
損害賠償請求権についてであります。
第三条一項五号では、
訴えを起こすことができる不法行為に基づく
損害賠償請求は、
消費者契約関係にあるもので、かつ、民法の
規定によるものに限るとされています。
そのため、特別法である
金融商品取引法上の有価証券
報告書等の虚偽記載等の
事案や、製造物責任法、いわゆるPL法上の製品の安全性を欠く
事案などは、
損害賠償請求は、この
法案に基づいてはできないとされております。
この点は、濫訴を防ぎ、
事業者の
負担を一定程度にとどめることによって、
消費者にとって
実効性の高い
制度を目指そうという立場ともとれます。
一方で、これらの
事案は、多数の
消費者が定型的に
被害を受ける
可能性が高く、泣き寝入りしている人も少なくない
事案ですから、本来、本
制度によって
被害回復を図る必要性も高いのではないかという
考え方もあります。
消費者庁は、特別法上の
損害賠償請求権について、一体、今後どのように取り扱おうとしておられるのか、お
考えをお
伺いします。
五つ目は、被告適格についてです。
本
制度は、
消費者と直接契約を締結した
事業者を被告とすることとしているため、すなわち、製品のふぐあいに関する
消費者トラブルの場合、被告は、小売業者、売り手だということとなるとされています。
これは、小売店と
消費者との契約トラブルが、製造業者にまで過度に波及しないための仕組みともとれます。
一方で、製品のふぐあいの原因等は、明らかに小売店よりも製造業者の方が詳しいんだ、詳しい
情報を持っているんだから、かつ、是正の余地もあるんだから、小売店にとっては、訴訟において、攻撃防御を尽くすことが困難であると予想されるといった
理由から、被告については製造業者も含めるべきとの声もあったのではないかと
考えますが、
消費者庁としては、一体、どちらの立場から、どのようにお
考えでしょうか。お
伺いをいたします。
六点目は、簡易確定
手続、すなわち、この
法案の最大の特徴であります、第二段階の訴訟参加の
手続についてでございます。
対象消費者への通知、公告という
手続がありますが、どれほどの
消費者が参加し、
消費者の権利がどれだけ実現されるかという観点と、それから、
事業者の応訴の
負担の観点からも、大変重要なポイントだと
考えております。
そこで、
申し出期間について、本
法案では一カ月以上と
規定されているようでありますが、これを、長いと見ておられるのか、短いと見ておられるのか、これも
意見が分かれると思うんですが、いかがでしょうか。
さらに、
申し立て団体によるホームページ等を利用した公告についても、ホームページなんかでは、十分なのか、不十分なのか、これも、両方の
意見があるのではないか。不十分との立場からは、
被害者にとっては、
特定適格消費者団体なるものが訴訟を起こしたという
情報は必ずしも認識しないケースもあるんだから、
事業者側から
情報提供及び公告に協力させることが必要だ、こういう声もあると思います。
一体、
消費者庁としては、どのように、どの方向にお
考えなのでしょうか。あわせてお
伺いをいたします。
七点目は、報酬、費用の基準の策定についてでございます。
特定適格消費者団体は、第二段階の
手続を追行することの契約等を行った
対象消費者と、当該
被害回復関係業務を行うことに関し、報酬を受けることができることとされています。
冒頭申し上げましたように、
消費者は、トラブル解決に当たって、多くの不安を抱えています。この報酬、費用の額や算定方法等は、
消費者の
利益の
擁護の見地から不当なものでないこととされていますが、具体的にどのような
内容か、ガイドライン等により一定の基準を定める必要があると
考えますが、現在想定されているその
内容を含め、お
伺いをいたします。
八点目は、濫訴の
可能性についてです。
本
法案では、追行主体を
特定適格消費者団体に限定するなど、濫訴
防止の
措置をとっておられますが、
事業者側からは、濫訴の懸念がいまだ根強く残っています。
被害者救済に当たりましては、
事業者の協力は必要不可欠なものであります。
消費者庁は、
消費者団体等の
関係機関と連携して、
全国の
消費者、
事業者の双方からの
信頼が得られるように、この
制度の
趣旨及び必要性等について積極的な周知広報活動を行うとともに、個別の質問等に対してもわかりやすく対応するなど、森
大臣がいつもおっしゃる、
事業者と
消費者のバランスをしっかりとった
制度の円滑な運用が確保されるための体制
整備を図る必要があるのではないかと
考えますが、
大臣のお
考えをお
伺いいたします。
以上で質問を終わります。簡潔明瞭な御答弁を御期待申し上げます。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣森まさこ君
登壇〕