○今井雅人君 私は、
日本維新の会を代表して、ただいま
議題となりました
株式会社海外需要開拓支援機構法案、通称クール・ジャパン推進機構
法案について
質問いたします。(
拍手)
先月、ユネスコの諮問機関であるICOMOSは、富士山を世界文化遺産に登録するように勧告したことを発表しました。鎌倉が登録しないように勧告されたことは大変残念ではありますが、
日本の象徴とも言える富士山が世界遺産に登録されるということは、
日本人として大変誇りに感じるところです。
また、二〇〇七年に初めて東京のレストランガイドを発行したミシュランは、本家のパリよりも多くの星を東京に付与するほど、
日本の食に対する世界での評価は高まっております。和のおもてなしの心は、
日本を訪れる人々の心を魅了してやみません。
そのほかにも、
日本は、世界に誇れる文化を数え切れないほど持っていることは、衆目の一致するところであります。
こうした文化を
商品やサービスとして産業化し、旺盛な需要が期待される新興国などの世界
市場を獲得するための
海外展開や観光等の
促進によって国際
競争力の向上や
雇用の創出を狙う
政府の戦略は、大きな方向性としては間違っていないと思います。
しかし、
成長戦略の王道は、税制面の支援や貿易の自由化、
規制緩和によって
企業の活力を引き出すことであり、国が産業育成を主導するのは限定的にすべきというのが、我が党の基本的な姿勢であります。
そこで、クール・ジャパンへの国の関与の
あり方を初め、本機構、さらにはいわゆる官民ファンドについて、順次
質問いたします。
まず、その表題についてです。
政府は、
日本文化を世界に展開するこの戦略をクール・ジャパン戦略と命名しています。
我々の文化は、言語とともに育まれてきたことは言うまでもありません。
日本の文化を世界に広げる戦略であるとするならば、なぜ、わざわざ片仮名語を使用する必要があるのでしょうか。世界には、すき焼き、すしなど、
日本文化と言語が一体となって普及しております。その戦略
自体を
日本語で命名せず、片仮名語を使っているのは、保守を自負する
安倍政権らしくないと思いますが、
政府の御
見解をお聞かせください。
次に、クール・ジャパンの定義についてお伺いします。
クール・ジャパンに
関連する産業分野は、明確には定義づけされておりません。定義を明確にしないことで異業種間の連携を
促進しやすいという
意見もあるとは思いますが、何も定義されていなければ、過去の年金福祉施設やグリーンピア事業の例のように、拡大解釈によって、何でも投資対象となってしまいます。
リスクマネーを具体的な定義もないままに供給することは、単なる無駄の温床を再現することになりかねないと考えますが、
政府の
見解を伺います。
次に、本
法案によって設置される、いわゆる官民ファンドに関してお伺いいたします。
我々
日本維新の会は、国の関与を少なくした小さな
政府を目指しており、それは、民間の力や
市場経済社会を信頼して、
競争や
成長のための環境づくりに徹するというものであります。
クールジャパン推進
会議のポップカルチャー分科会が取りまとめた提言においても、
政府主導ではなくてみんなで参加となっており、これらは一般的な見方ではないでしょうか。
国は、税制や
規制緩和、為替相場など、マクロ経済の環境を整えることで民間の
経済活動を支えるべきであり、必要以上のことをやり過ぎるべきではないと考えますが、なぜ国が官民ファンドをつくる必要があるのか、
政府の
見解を伺います。
一方で、
海外での
ビジネス展開において、国がやるべきことは確かにあります。それは、官民ファンドをつくってリスクマネーを供給することではなく、現地の情報やノウハウの集積、
政府間交渉等による相手国の
規制や著作権保護、すなわち、カントリーリスクへの
対応であります。
そして、
海外で戦える
人材を育てる、あるいは、今現在頑張っている民間の活動を阻害しないということが、一番の振興策であります。
既に
海外展開を推進している
企業や、サポートしているファンドなどを、
規模の大小や形態で区別することなく支援する方がより
効果的と考えますが、
政府の
見解を伺います。
確かに、コンテンツ制作や地域産品などにかかわる
企業の多くは、
中小企業、
小規模事業者であり、
海外展開に際し、マンパワーや資金面で十分な備えができていないところがあることは事実です。
しかし、既に
中小企業等の
海外展開に関しては、
中小企業基盤
整備機構や
日本貿易振興機構が、国内外の見本市の開催や出展の支援、
海外の
市場動向等の情報提供を、また金融面では、
日本政策金融公庫が、
海外展開に必要な資金の融資等を行っております。
このように、既存の機関だけで支援が一通りそろっている
状況において、新たな機構を設立する
政策的な必要があるのか、
政府の
見解を伺います。
産業
競争力
会議において、民間金融機関出身の民間
議員が、クール・ジャパンの将来性を評価し、官民ファンドを設立することを提言しています。しかし、もし民間金融機関が将来性を感じる分野であれば、なぜ、官に頼らず、みずからリスクマネーを提供しないのでしょうか。
金融機関の大きな役割の
一つは、資金提供により
企業を支援し、経済を活性化させることにあります。そうした役割を持つ金融機関が将来性を評価しているのであれば、本来の金融機関の役割を果たすのが、あるべき姿です。それを官に任せるということは、この分野の将来性に疑問を持っているととられても仕方ありません。
仮に、民間金融機関に目きき能力がないというのが原因であるとするならば、新しく設立されるこの機構にそれができるのでしょうか。
これらの点についての
政府の
見解を伺います。
次に、本機構、そして官民ファンドの
問題点を申し述べます。
過去の官民ファンドの例を見ると、
制度設計が完全に固まる前に
国会の承認を得る形となっており、最終的な
制度については、
国会の議論に付されないままとなっているケースが多く存在します。
ファンドの詳細を詰めるためにも
国会のコミットが必要という
説明を耳にいたしますが、そうであれば、一旦承認した後、ファンドの最終的な
制度設計を見た段階で、当初の計画から大きく外れていると
国会が判断した場合、予算の支出を留保できるよう
法案に盛り込むことによって、官民ファンドがより成功に近づくものと考えます。
このような提案についての
政府の
見解を伺います。
これまで、民間に出資した場合、投資先の全ての情報を出せないとの
説明がありましたが、投資先の財務諸表等を開示することは、予算を決定した
国会に対する最低限の責務ではないでしょうか。
十五年、二十年たった時点で、事業は赤字続きであり、最終的な
国民負担はこれぐらいになりますというのは、
余りにも無責任であり、原資が公的資金である以上、
国民への
説明責任を果たすべきであり、民間ファンドと同様、投資案件の選定基準などを開示すべきであります。
また、
政策目的と合わない案件への投資といった暴走が起きないようにすることも重要であります。
運用
状況をチェックするためにも、投資先の財務諸表等を定期的に
国会に開示すべきと考えます。投資先が民間
企業であっても、財務諸表等の開示を投資条件としておけば可能であると思いますが、
政府の
見解を伺います。
官民ファンドが効率的に機能するためには、資本主義の補完という役割に徹すること、すなわち、問題
企業の救済や延命が目的の社会
政策ではないということを明確にすること、
市場原理をゆがめるような介入
行為は最小限にすることであり、それができるかどうかは組織のガバナンスにかかっております。
また、官民ファンドをつくることによって、
政策の実行や
税金の使い道についての権限と責任が曖昧になってしまうのではないかとの懸念もあります。
特に、本機構は、アーリーステージから資金を投入するケースが多くなり、結果が出るまでに、十五年、二十年と長期にわたるものと想定されます。その場合、事業がうまくいかなかったときの責任、それだけたてば、官僚も政治家も入れかわっていることでしょうから、その際の責任の所在をどこに求めることになるのでしょうか。
日本社会の抱える本質的な問題、すなわち、権限と責任が曖昧なことによる無責任体質、本ファンドもその典型例になってしまうのではないかと大変危惧しております。
過去の公的資金を投入した投資を振り返れば、基礎的な技術研究への出融資を目的として一九八五年に設立された特別認可法人基盤技術研究
促進センターが、支援した技術の製品化や特許料収入が想定どおりに得られず、二千六百八十四億円の欠損金を出して解散した例もあります。
最長二十年という期間の中で、投資が失敗したときの責任は誰にあるのか、
政府の
見解を伺います。
また、基盤技術研究
促進センターの最後の理事長は、元国土庁の
審議官であったと聞き及んでおります。
本機構には天下りをさせないということでありますが、いずれ、それもなし崩しとなり、運用の責任もうやむやになる、それが過去と同様に繰り返されるのではないかと懸念しておりますが、
政府の
見解を伺います。
また、官民ファンドとなっておりますが、官と民間の出資比率はバランスがとれているのか、甚だ疑問であります。
本機構について、
平成二十五年度予算では五百億円が計上されておりますが、そもそもの概算要求は四百億円であり、査定で百億円増額された
理由について、まず伺います。
また、
政府が五百億の出資を
予定しているのに対して、民間の出資額は幾らと見込んでいるのでしょうか。明確にお答えください。その上で、果たしてそれは妥当な水準なのかについてもお伺いいたします。
同じ官民ファンドである産業革新機構においても、九割以上が国の出資となっており、官民ファンドといいながら、実質的には官主導ファンドとなっております。
今回のファンドも、官民ファンドとして、官民それぞれの出資額の割合は妥当なものなのか、
政府の
見解を伺います。また、
予定どおりに民間出資額を
確保できる見通しがあるかについても、あわせてお答えください。
私の地元岐阜県にも、すばらしい観光資源、食、伝統芸能など、誇るべき
日本文化がたくさんあります。
皆様の御地元も同様だと思います。それぞれが、
日本に対する誇りもお持ちのことだと思います。それを
海外に広く知らしめ、
日本文化を世界に普及させたい気持ちは、私も含め、皆同じであります。
しかし、その一方で、我々は、
国民の大切な
税金をお預かりしている身でもあります。
税金の使い道には責任を持つ責務があります。
国は、これまで、
税金の使途につき、責任感の欠如とも思える判断を繰り返し、その結果、巨額の財政赤字を膨らませてきました。本
法案に限らず、この過去の反省を肝に銘じながら国政を担っていく必要があることを強く主張し、私の代表
質問を終わります。
ありがとうございました。(
拍手)
〔国務大臣茂木敏充君
登壇〕