○伊東信久君 三
党合意の三党には含まれていない
日本維新の会の伊東信久です。
日本維新の会を代表して、ただいま
議題となりました
厚生年金保険法等改正案に関して
質問をさせていただきます。(
拍手)
日本維新の会の
社会保障制度改革に対する理念として、真の弱者を徹底的に支援することが第一義で、そのためには、自立する個人をふやし、そのことによって支える側をふやすということが、
社会保障制度改革を実現させるための大きな
枠組みとなっています。
ここで大事なことは、第一に、
社会保障制度を持続可能な
制度とし、第二に、世代間の不公平を解消させることです。
しかしながら、現実は、
平成二十五年度一般会計予算において、
社会保障給付に一般財源が二十三兆円以上も投入されております。このうち、
年金には十兆六千億円が予算として組み込まれておりますが、この大半を働き盛り世代と若者世代に
負担させているのです。
いたずらに世代間の対立をあおっても、この問題の
解決にはなりません。しかしながら、世代間格差をこのまま放置すれば、働き盛り世代は労働意欲をなくし、若者世代は
高齢者世代への実質の所得移転にきゅうきゅうとし、将来世代は自分の将来に対し絶望してしまう結果となってしまうのです。
そして、さらに今度は、年月の経過とともにこの
関係が移行し、今の若者世代と将来世代が、現代の
高齢者世代と若者世代と同じような
関係に陥ってしまうおそれもあり、まさに、逃れることのできない負のスパイラルです。
今こそ、受益と
負担を明確化させた積立方式による
公的年金制度への移行など、抜本的な
社会保障制度改革が必要だと
考えます。
昨年の六月の三
党合意に基づき、
社会保障と税の
一体改革関連
法案が
可決、
成立いたしましたが、
社会保障制度の抜本
改革は、全て
社会保障制度改革国民会議に先送りされた感が否めません。例えて言うなら、病気の患者を治療せずに様子だけ見て悪化させ、手術が必要な患者にその場しのぎの対処療法をしている医療のようなものです。
厚生年金保険法等の
改正案の各
法案の
内容を
質問するに先立って、
社会保障制度改革国民会議の結論に先送りするのではなく、
社会保障制度を持続可能な安定的なものにする政策が必要だと
考えますが、
安倍総理の見解をお
伺いいたします。
次に、一昨日の新聞報道で、
日本年金機構が、性同一性障害で性別を変更した人を判別するために、昨年十月から、
基礎年金番号十桁のうち前半四桁の共通する固定番号の割り当てを始めていたことがわかりました。また、この四桁の番号は、一時インターネットで確認できる状態でもありました。このことは、勤務先などに性別変更を知られるおそれがあり、プライバシーの侵害に当たるという指摘もあります。
日本年金機構は、昨年十月以降、性別を変更した人に新番号を割り当て、もとの
基礎年金番号とあわせて
二つの番号を持つ
制度へと変更いたしました。変更前は、性別変更しても、それ以前と同じ番号を利用できました。性別を変更した人が持つ
二つの
年金記録を誤って一本化しないため、共通番号を割り振ったと
日本年金機構は
説明しています。
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する
法律は、
平成十五年に発令され、最終改正は
平成二十三年ですが、この認定には、二人以上の医師の診断が必要とされています。
その診断項目の中に、生殖腺がないこと、または生殖腺の機能を永続的に欠く状態であること、加えて、その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていることが必要とされています。
すなわち、今回の問題は、法に基づき手続した患者の病名に起因する医療情報が漏えいしたこととなります。マイナンバー
法案への医療保険の導入に向けて、このことは非常なるディスアドバンテージになりますが、
政府の見解をお
伺いいたします。
さて、
厚生年金基金制度は、今から四十七年前に、
前提として、
経済界の要望を踏まえ、創設された
制度であります。しかしながら、そもそも
厚生年金基金は、その
制度自体、十分に
国民の
理解を得ているとは言いがたいと思われます。
なぜならば、
厚生年金基金制度は、公的な
厚生年金と私的
企業年金を合体した
制度で、極めて
日本独特の、希有の
制度であります。例えて言うなら、上半身は人間で体は馬であるケンタウルスのような
制度であります。ケンタウルスはギリシャ神話でありますが、遺伝子レベルでは、これはキメラといい、奇妙なものの代名詞となっております。
この
制度の将来的な破綻は数年来学者からも指摘され、二〇一二年の
AIJ事件でさまざまな問題が発覚いたしましたが、この事件後も、
厚生年金と
厚生年金基金の違いを完全に
理解している
国民は決して多くはありません。例えば、
代行割れの用語など、わかりにくさが不透明さを物語っています。
しかも、
厚生年金基金には、厚生労働省、
社会保険庁、都道府県の
社会保険担当部局の職員の天下り先という指摘がありました。
今回の厚生
年金制度の
見直しに関する
法案で、新たなる
厚生年金基金の新設を認めないことや、特例
解散制度や他の
企業年金への積立
年金移行など、
厚生年金基金の問題はその
解散に向け
改善傾向にありますが、遅過ぎた感は否めません。
そもそも、
代行制度に関し、
制度創設から約半世紀が経過したわけで、
代行制度を取り巻く環境も大きな
変化が生じております。
バブルの崩壊後、利差益が利差損に転じ、
代行メリットが失われていきました。バブル崩壊後の失われた二十年において、
厚生年金基金の
廃止に関する議論をするタイミングはあったはずです。国の政策として、天下りが絡むと
国民が二の次になる感が否めませんが、
安倍総理の見解をお
伺いいたします。
また、
年金制度が
国民に
理解されにくい原因に、その
制度の複雑さがあります。
厚生年金基金は三階建ての三階の部分であり、一階である
国民年金、二階である
厚生年金や共済
年金など、極めて複雑な
制度であるのが
公的年金制度の体系であると言えましょう。長期的な移行が必要ですが、
公的年金の一元化という、より
国民に
理解しやすい
制度を考慮するのは今のこのタイミングがベストであると
考えますが、
政府の見解を求めます。
さて、
代行割れ基金の
解散に当たって、
施行日から五年間の
時限措置として、特例
解散制度を
見直し、
分割納付における
事業所間の
連帯債務を外すなど、
基金の
解散時に国に
納付する最低
責任準備金の
納付期限、
納付方法の特例を設ける
措置に関して、十年の
分割納付期限から十五年、三十年と、今回の
法案で
納付期限を延長する
措置も、対処療法的な政策の結果でありましょう。天下りではない、
年金清算事業団方式による過去の債務整理を委託する案はいかがでしょうか。
いずれにしても、この
法案による
措置は、
厚生年金本体から見れば、改正することにより、
現行制度以上に
財政のリスクを高めることにつながる可能性がありますけれども、この点に関して、
政府の見解を求めます。
厚生年金基金から
確定給付企業年金や
確定拠出年金への移行は
理解できますが、一部の健全なる
運用や
経営をしている
厚生年金基金を残す
措置には疑問が生じます。
なぜならば、第一に、さきに指摘したように、
基金そのものに天下りの温床が残存してしまうからです。悪性腫瘍の細胞も、完全に取り切らなければ、再発となり、転移し、悪化の経過をたどります。そして第二に、現在健全なる
運用をしていても今後の経済に過度の期待を持たないことが、過去の教訓ではないでしょうか。
この
質問は、政策により経済成長を促し、かつ景気の回復を期待することとは矛盾いたしておりませんが、
政府の見解を求めます。
次に、第三号被
保険者の
記録不
整合問題への
対応について
お尋ねいたします。
その中に、不
整合期間を空
期間扱いとし、無
年金となることを防止し、過去十年間の不
整合期間の特例返納を可能とし、
年金額を回復する機会を提供するという
改正案が出されておりますが、そもそも、
平成二十一年に実施された旧保険庁職員に対するアンケート結果において、不
整合な
記録は多数存在していることが判明いたしました。今回の
法案も、これらのいわゆる
運用三号問題に対する救済策でありますが、きちんと種別変更をして
保険料を納めてきた人たちなどと比べて、救済策に不
公平性を指摘する
意見もあります。また、マイナンバー
法案によりこういった問題は
解決されるわけではありますが、そもそもの
政府のずさんな体制及びこういった不公平さに対する指摘に関して、
政府の見解を
お尋ねいたします。
また、第三号被
保険者の
記録不
整合問題に対する議論では、当然のごとく、
制度自体の
見直しを求めることが出てきておりますが、この
制度の
見直しには、1、二号が納めた
保険料の半分は三号が
負担したものとして
年金を分割する、2、三号に別途の
保険料負担を求める、3、二号に別途の
保険料負担を求める、4、三号の
基礎年金を減額するというのが、
平成二十三年度の九月、第三回
社会保障審議会年金部会で出た案ですが、いずれにしても、共働き世帯から見た不公平感だけでなく、女性就労に対する
影響も指摘しなければなりません。
少子高齢化が進行し、労働人口が減少していく中で、今後さらに女性の就労が必要となっていく一方、少子化に対する子育てという
観点から、第三号被
保険者制度を考慮しなければなりません。いずれにしても、可能な限り男性と同等の就労機会を実現することが肝要と
考えますが、
政府の見解を
お尋ねいたします。
日本維新の会の
国会対応の
方針は、もちろん是々非々であります。
厚生年金保険法等改正案に関する今回の
質問も、是になる部分は大いに賛成いたし、
政府に対する協力は惜しみません。しかしながら、非の部分に関しては、
修正を求めたり、反対の姿勢を示すこともあります。
確かに、お金というものは、再生医療で使われるiPS細胞を初めとする幹細胞のように、自己で分裂してふえてはいきません。しかしながら、
厚生年金基金の
資産活用という、ややもすれば安定性を欠く方法に問題があったということを、この際に指摘しておきます。
また、
年金制度のわかりにくさ、不透明さを
解決する方向に政策のベクトルを向けなければ、
社会保障制度の
改善はあり得ないと
考えますし、
国民の
理解を得ることは不可能です。
人間は、未知なるものに恐怖を感じます。幼いころ暗闇を怖がるのは、そこが見えないからです。人間が死を恐れるのは、その後の世界がわからないからです。
国民が、より安心して暮らし、政治に対して
理解を示し、協力をしてもらえるのは、
国民にわかりやすい
国会運営と、政治家として明快な
答弁と
説明が不可欠であると
考えます。
高齢者世代、若い世代、そして次世代のために、それぞれが自立する個人であることこそが、自立した
地域、自立した国家につながり、ひいては、真の弱者を徹底的に支援することにつながります。このことは、私が二十五年間続けているラグビーの、ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンの精神につながり、ひいては維新の精神であることを結びとして、私、伊東信久の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕