○丸山穂高君
日本維新の会の丸山穂高です。
維新の会を代表して、ただいま
議題となりました
消費税の円滑かつ適正な
転嫁の
確保のための
消費税の
転嫁を阻害する
行為の
是正等に関する
特別措置法案に関連して質問させていただきます。(
拍手)
日本維新の会は、その公約において、従来より、
消費税の地方税化を主張しております。
この点に関しましては、これまでの本
会議での
総理の所信表明に対する
質疑や予算
委員会などでの
委員会質疑において
議論が進められておりますので、引き続きそこでの
議論を進めていただくといたしまして、本質問では、
消費税増税時の
価格転嫁にまつわる諸問題と、そして、私自身、二十九歳という若い世代の
議員でございますので、
消費税増税に関連した世代間の格差の問題についてお伺いしたいと思います。
さて、本
特別措置法案におきまして、大
企業が優越的な地位を濫用し、中小零細
企業の
価格転嫁を拒むケースも多い現在の民間
取引事情を鑑みますと、
取引の公正を図るとともに、
消費税増税の影響で、
中小企業の収益が予想以上に悪化し、景気を下押しするような事態は避けなければならない、こういった
観点から、本
法案を
提出された大枠の
趣旨については、おおむね理解できるところでございます。
しかしながら、今後の国会審議を進めるに当たり、細部も含めて、幾つか
懸念される点、安倍
内閣の方向性との関係で疑問に感じる点がありますことから、それらに関しまして、安倍
総理及び
担当大臣の見解をお伺いいたします。
まず、いわゆる
消費税還元セールの
禁止についてであります。
本
法案では、
平成二十六年四月に
消費税が八%へと
引き上げられるのに合わせて、
商品の納入業者に値下げを求めさせないために、以前の税率変更時にも実施されなかった、小売
事業者による
消費税に関連するような形での安売り宣伝や広告、いわゆる
消費税還元セールなどを実施することを禁じるとされています。
しかしながら、これに関連して、増税分の
価格転嫁しづらい
中小企業を後押しするだけなら
取引の監視強化で十分ではないか、小売業が自己
負担で値下げする余地もなくなってしまうようなセール広告
禁止は行き過ぎではないかという声も聞かれます。
商
取引において、
立場の弱い
中小企業などの納入業者を守る必要性は理解できる一方で、
企業の自由な
価格決定や販売戦略も尊重しなければなりません。
政府は、今後、
禁止事項を定めた
内閣府令や指針を出す予定とのことでございますけれども、民間の創意工夫を阻害する硬直的な運用を危惧するところです。
納入元の
中小企業へのしわ寄せ防止のために、小売業が自己
負担で値下げする
行為や、
企業努力、
消費者の購買意欲を高めるアイデア自体まで
禁止することは、そもそも、
消費税の円滑かつ適正な
転嫁の
確保という法目的と本
禁止措置との直接の因果関係、目的と手段の関係が明確ではない上に、健全な競争や
企業努力を損なうことになりかねない、行き過ぎた規制ではないでしょうか。
何より、規制
改革を進めるはずの安倍
内閣の方針と真逆の方向性ではありませんか。安倍
総理の見解を伺います。
次に、
消費税増税後の
消費者心理の冷え込みに対する
対策について伺います。
先ほど申し上げたような小売業の自己
負担での還元セールは、
消費税増税前の駆け込み需要の反動で増税後の
消費者の購買意欲が低下する現象を和らげる手段としても、有効と考えられます。
前回、
平成九年の三%から五%への増税時も、景気や
消費者心理への影響が指摘されておりましたが、そもそも、
政府においては、今回の
消費税増税によって、どの程度の消費の冷え込みや景気への影響を予想されているのでしょうか。
政府内において、過去の事例などに基づいた調査や研究を行っておられますでしょうか。もし行っているのであれば、どの程度の規模の影響と試算されているのでしょうか。
消費者心理の冷え込みによって物が売れなければ、
小売業者だけでなく、結局、本
法案で守ろうとしている納入元の
中小企業の経営も危うくすることになりかねません。
消費が冷え込めば何らかの販促を打たないわけにはいかないのが民間
企業であって、このような
企業努力も含めて
政府が
禁止する方針だというのであれば、
政府は、
消費税増税後の
消費者心理の冷え込みへの具体的な
対策、景気
対策については、検討されているのでしょうか、あるいは、今後検討される予定はあるのでしょうか。
経済の再生が安倍政権の政策の一丁目一番地であるとおっしゃっている
総理の見解を伺います。
また、物の
価格は市場で決まるということが原則の市場主義
経済において、そもそも、製品の
価格交渉は、増税と関係なく生じます。仕入れ
価格に増税分が
転嫁されたかどうかの算定は非常に難しいことであるというのが、専門家においても、また現場の声としても、共通して聞かれるところではないでしょうか。
幾ら値引き手法の一部を縛っても、需要が喚起されない限り、
価格の下落圧力が弱まることはありません。
先ほど来の話のように、
小売業者が自己
負担して
価格を維持することまで縛る点を考えると、
消費税の円滑かつ適正な
転嫁を
確保することという本
法案の法目的を超えて、むしろ、国全体での物価上昇を実現したいという思惑が感じられます。
本
法案は、
デフレ対策、物価の下落を防ぐという目的もあるのでしょうか。今国会でも
デフレ脱却への
決意を繰り返し述べられている安倍
総理の見解を伺います。
また、今回の特措
法案では、
内閣官房に
消費税価格転嫁等
対策推進室を設置し、各省庁にも担当の調査官を配置するということですが、違反を監視する
公正取引委員会や官庁の人員には限りがあります。
また、国内の
企業約十六万社に対しての書面調査も行う方針とのことですが、全ての
中小企業を
保護するといっても、日本の
企業数の九九・七%、雇用の七割も占める全国約四百二十万社の
中小企業に目が行き届くのかどうかという点について、まだまだ不安は拭い去れません。
予算や人員のさらなる
確保を含めた一層の
対策が必要かと思われますが、安倍
総理の見解をお伺いします。
次に、
平成元年の
消費税導入時及び
平成九年の
消費税増税時における
対策からの反省点や、そこからの、今回の
法案に反映された改善点についてお伺いします。
平成元年の
消費税導入の際にも、
政府は、
価格転嫁を円滑に進めるために複数の
企業が互いに申し合わせて増税分を一斉に
価格に上乗せするいわゆる
転嫁カルテルを、
独占禁止法で
禁止されているカルテルの例外として認めましたが、前回の
平成九年の増税時には、
消費税は定着したとの判断から、
転嫁カルテルを認めませんでした。一方で、今回また、この
転嫁カルテルを例外として認めるとのことですが、この二度の方針転換は、いかなる理由によるものでしょうか。
さらには、
平成九年の増税時のときにも、
消費税率の
引き上げに向けての便乗値上げや
価格カルテルへの注意喚起のため、
公正取引委員会による監視強化やガイドラインの作成を行っておりますが、前回の
対策において効果のあった点、問題があった点を踏まえた上での改善を、今回の監視強化にどのように反映されているのでしょうか。
前回の反省点及び今回の
法案や付随する政策の改善点について、先ほどの
転嫁カルテルの例外化の件も含めて、
担当大臣の見解をお伺いします。
さらに、前回
消費税増税時は、例えばタクシーなどでは、
消費税が免税であった年間売上高三千万円以下の
事業者の値上げを認めなかったために、初乗り運賃に
事業者間で差が出るなど、同業者でも異なる状況が見られました。
また、今回は、
平成二十六年四月と
平成二十七年十月の二
段階での増税となり、
企業ごとや増税時期で対応が異なれば、
消費者が困惑することも十分に考えられます。
本
法案では、小売
段階での
総額表示の
特例措置も認めるとのことですが、これも、
企業や時期によって対応が違えば、
消費者の混乱のもととなりかねません。こうした混乱が生じないための
措置や周知策についてどうされるおつもりか、
担当大臣の見解をお伺いします。
最後に、
消費税増税下における若者に対する支援策について伺います。
政府が出した
経済財政白書によれば、六十代以上は、生涯で約四千九百万円もの税や年金における受益超過でございますが、我々二十代は約一千七百万円もの
負担超過となっています。そして、さらに、その白書によると、将来世代は約四千六百万円もの
負担超過になるとのこと。
安倍
総理は、赤ちゃんが生まれながらにして四千六百万円もの借金を背負うこの国の現状をいかにお考えでしょうか。
このように大きな世代間格差が発生する国は、世界でも類を見ないのではないでしょうか。これは、
自民党、
民主党ともに、これまでの歴代政権が、支持基盤である高齢者の既得権を過度に過度に尊重してきた結果ではないでしょうか。
もちろん、今の日本があるのは年配の
方々のおかげであることを忘れてはならないし、高齢者層への受益が高いことが一概に全て悪いとは思いませんが、将来のことを見据えると、教育にしても子育てにしても、もっと若い世代にも目を向けて投資していくべきではないでしょうか。
所得税を払うことがない年金生活者の方が激増する高齢化
社会では、幅広い層に
負担を求める
消費税が、世代間の不公平
是正のために重要であり、年金の
財源に充当して年金財政を安定させるためにも必要と考えます。そして、さらに、若者の
負担を
軽減することは、日本
経済が活力を取り戻すためにも不可欠です。
安倍
総理にお伺いします。
消費税増税による税収は、年金、医療、介護、少子化
対策の
社会保障四経費に充てられるとのことですが、これらにおける世代間格差の
是正や若い世代、将来世代への支援に充てられると考える額、割合は、いかほどになる予定でしょうか。中でも、少子化
対策の金額はどの程度になり、この
財源を使ってどのような具体策をとられるお考えですか。重ねて、世代間格差の
是正や若い世代、将来世代への支援に対する安倍
総理の
決意をお願いいたします。
さて、これまでさまざまな
意見や質問を述べさせていただきましたが、我々
日本維新の会の国会対応の方針、
法案への賛否は、是々非々でございます。国にとって必要な政策を進める
内容の
法案であれば、
政府に対し協力は惜しみませんが、一方で、問題点が多ければ、
修正を求めたり、反対の姿勢を示すこともあります。
まずは、
国民の代表として、国会の場で
国民にわかりやすい審議に努め、必要な
改革については、スピード感を持って政治の決断を進めることが何より重要だと考えています。
税の
決定とその配分は政治そのものであり、よりよい国会審議、
国民にわかりやすい国会運営のためにも、先ほど来申し上げた疑問点について、御答弁者の
方々には、役所が作成した紋切り型の答弁ではない、政治家としての明確な御答弁をお願いするとともに、日本の活力を取り戻すためにも、先ほど申し上げたような、より一層の、若い世代、そしてこれから生まれ行く次世代のための支援政策や少子化政策、さらには、民間
企業の創意工夫を阻害しない施策の実行を心よりお願いいたしまして、私、丸山穂高の質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕