○桜内文城君
日本維新の会の桜内文城です。
所得税法等の一部を
改正する
法律案の
趣旨説明に関し、
日本維新の会が提唱する、
日本を強く賢くする
税制とは何かという
観点から、以下、
質問いたします。(
拍手)
まず、
安倍総理に
お尋ねします。
昨年、解散・総選挙の実施時期も絡んで大騒ぎになった
社会保障と税の
一体改革とは、一体何だったのか。
昨年六月の自民、公明、民主の三
党合意に基づき、八月には、
消費税増
税法案を含む
社会保障と税の
一体改革関連八
法案が可決、成立いたしました。今、改めてこれらの
法律を見ると、
消費税の増税以外、
社会保障と税の
一体改革とは名ばかりで、
社会保障関係費の圧縮や、そのための年金、
医療、介護保険制度の
抜本改革は、全て
社会保障制度
改革国民会議に
先送りされたことが一目瞭然です。
特に、
社会保障制度改革推進法二条三号において、「年金、
医療及び介護においては、社会保険制度を基本とし、国及び
地方公共団体の
負担は、社会保険料に係る
国民の
負担の適正化に充てることを基本とすること」とされたにもかかわらず、現実は真逆で、
平成二十五年度一般会計
予算においても、年金十兆六千億円、
医療十兆六千億円、介護二兆五千億円、これら三分野合計で二十三兆円を超える一般
財源が、
社会保障給付の補填のために投入されています。
そもそも、年間六十兆円を超える社会保険料の大半を、働き盛り世代、そして若者世代が
負担し、それがそのまま高齢者世代に
所得移転されているだけでなく、一般
財源としても、二十三兆円という、国税収入の半分を超える金額がそのまま高齢者世代に
所得移転されているのです。
このように、硬直化し、一部の階層の既得権益と化した
社会保障制度そのものを抜本的に見直さない限り、世代間格差の是正も、
財政の健全化も、絵に描いた餅に終わることでしょう。
我々
日本維新の会は、世代間格差を是正するため、即時に積立方式に移行する新たな公的年金制度とともに、世代別勘定を設置した新たな公的
医療保険制度の
法案を準備しています。
一般会計から移転される
社会保障関係費を最小限度に抑制する安定的な
社会保障制度を一日も早く確立すべきだと考えますが、
安倍総理の御
見解を
お尋ねいたします。
世代間格差の是正のためには、高齢者世代に偏在する個人金融
資産を、働き盛り世代、そして若者世代に移転することも重要と考えます。
日本銀行の資金循環統計によれば、昨年九月末の個人金融
資産残高は一千五百十兆円、そのうち約一千兆円を保有するのが六十歳以上の世代です。
先ほども
指摘したとおり、高齢者世代の保有する個人金融
資産の少なからぬ
部分が、働き盛り世代、そして若者世代からの
所得移転によって形成されたと考えられることから、公的年金制度を維持するための
財源として、年金目的の特別
相続税を
創設すべきではないでしょうか。
本
税制改正法案においても、
相続税の課税ベースの
拡大が盛り込まれています。
基礎控除を、現行の五千万円プラス一千万円掛ける法定
相続人数というものから、三千万円プラス六百万円掛ける法定
相続人数に引き下げるとの
内容です。
新たに
創設する年金目的の特別
相続税としては、例えば、
相続対象の金融
資産全額を広く課税ベースとする一方、一律一〇%の
税率とすることを想定しています。
現在、年間に発生する
相続額約五十兆円のうち、金融
資産がほぼ半分ですので、年金目的の特別
相続税の税収は約二・五兆円と試算されます。この金額は、年金の国庫
負担二分の一を維持するために必要な金額とほぼ見合っており、年金
財政の改善に大いに寄与するものと考えられます。
このような世代間格差の是正を目的とする
資産課税の強化について、
安倍総理の
見解を
お尋ねします。
次に、我々
日本維新の会の党是ともいうべき道州制の
導入のためにも必要不可欠な、
地方への税源移譲について
お尋ねします。
我々
日本維新の会は、小さな
政府、それでいて強く賢い中央
政府をつくり上げるために、民間にできることは民間に、
地方にできることは
地方に任せるべきだと考えています。
大阪都構想を初めとする都市再生、そしてその最終形としての道州制に移行するという統治機構の大
改革を実現するためにも、
消費税を全額
地方税化するとともに、
地方交付税にかわる新たな
財政調整制度として、
地方共有税を
創設すべきだと考えます。
地域間に偏在が少なく、景気動向に税収が左右されない安定的な
消費税を
地方税化することにより、自治体に独自の
財源を与えて
地方の自立や工夫を促し、国に頼らない独自の自治体経営を可能にします。
一方、
消費税を
地方税化する場合、
消費税収の多い自治体と少ない自治体との間で生ずる税収格差を是正するため、
一定のルールのもと、自治体同士で税収をやりとりする
地方共有税を
創設するのです。
消費税の全額
地方税化というと、ただでさえ苦しい国の
財政がもたないという反論が霞が関から飛んできますが、実は、彼らの敵は本能寺にあります。
消費税の全額
地方税化と必ずセットになる
地方交付
税制度の廃止を何としても食いとめたいがゆえに、旧自治官僚が
消費税の全額
地方税化に反対しているにすぎません。
地方交付
税制度は、旧自治官僚が
財政面で自治体を
思いどおりにコントロールするための権力の源泉です。
平成二十五年度
地方財政計画において計上されている
地方交付税十七兆一千億円と臨時
財政対策債六兆二千億円、合計二十三兆三千億円を全国一千七百四十二団体に対し裁量的に配分する権限を死守したいのでしょう。
しかし、
地方交付
税制度の廃止を実現すれば、一般会計
予算だけでも
地方交付税分十七兆一千億円の歳出削減ができるわけですから、現行の
消費税のうち、国の取り分、約七・五兆円の税収を仮に
地方税化したとしても、十兆円近いおつりが来ます。
消費税の全額
地方税化で困るのは、
最大の権力の源泉である
地方交付
税制度が廃止される旧自治官僚、そして苦労に苦労を重ねて
消費税増税をかち取った財務官僚だけです。
安倍総理は、我が党の藤井孝男
議員の代表
質問に対し、道州制の
導入は、
地域経済の
活性化や行政の効率化などを目指し、国の
あり方を根底から見直す大きな
改革と評価する旨の答弁をされました。
であるならば、官僚の抵抗を排し、道州制の
導入のための一丁目一番地である
地方への税源移譲、特に、
消費税の
地方税化を進めるのか否か、
安倍総理の
見解を
お尋ねします。
消費税に関連して、麻生
財務大臣に
お尋ねします。
仮に、道州制を実現し、
消費税を道州の独自
財源とする場合、それぞれの道州が自立的な統治と自治体経営を行うため、各道州が独自に
消費税率を設定することから、必然的に
複数税率となります。
また、
消費税増税に関する昨年の自民、公明、民主の三
党合意、そして、今般、
民主党が単独
提出した
法案にもありますが、
消費税の
逆進性対策として、
複数税率の
導入の
検討がうたわれています。
現行
消費税の単一
税率のもとでは、帳簿上の勘定科目ごとに仕入れ税額控除額を仮定計算していますが、
複数税率を
導入する場合、
適用税率と税額を記載したインボイスがなければ、適正な仕入れ税額控除額の計算は著しく困難になります。
他方、
経済産業省が
政府税調に
提出した資料によれば、
日本税理士連合会、
日本商工
会議所、全国中小企業団体中央会等の業界団体は、軒並み、
事務負担の増大を理由にインボイス制度の
導入に反対しており、このままでは、
複数税率の
導入も共倒れになってしまう
状況にあります。
しかし、インボイス方式の
導入が
事務負担の増大を招くというのは、大きな誤解です。
現に、EU諸国では当初からインボイス方式を
導入しており、
日本では無理だという
議論は成り立ちません。また、会計士補の資格を持つ私自身の経験に照らしても、単にインボイスに記載されている仕入れ税額を足し算するだけのインボイス方式よりも、帳簿上の勘定科目ごとに複雑な仮定計算を経て仕入れ税額控除額を算出する現行方式の方が、むしろ
事務負担は大きいと思われます。
地域ごと、または品目ごとに
複数税率を可能とする
観点から、インボイス方式を
導入すべきと考えますが、麻生
財務大臣の
見解を
お尋ねします。
再び
安倍総理に
お尋ねします。
世界じゅうから資本を呼び込み、グローバル競争に打ちかつことのできる強い
経済をつくり上げるため、法人税の実効
税率を大幅に引き下げるべきだと考えます。
特に、
さきに述べた大阪都構想を初めとする都市再生、そしてその最終形として道州制に移行する場合、法人税特区を設置し、その特区の独自性に応じて指定する業種について、法人
税率そのものの引き下げ、または投資税額控除、再投資税額控除、雇用
促進税制等を大幅に深掘りすることによって産業競争力を強化すべきと考えますが、
安倍総理の
見解を
お尋ねします。
法人税に関連して、再び麻生
財務大臣に
お尋ねします。
グローバル化した
経済環境のもと、インターネットを通じた電子商取引や電子書籍、音楽コンテンツのダウンロード販売が爆発的に増加しています。先月二十一日の朝日新聞によれば、インターネット通販世界
最大手アマゾンの二〇一二年の
日本国内での売上高が約七千三百億円だったことが、アメリカの証券取引委員会に
提出した
報告書で明らかになったと報じられています。
しかし、同社は、
日本国内において事業
所得に係る課税の根拠となる恒久的施設を有していないことから、事業
所得に対する課税が全くなされない状態が続いています。
また、
日本国外にあるサーバーからダウンロードする電子書籍や音楽コンテンツの場合、国外取引として、
消費税も課税されません。
したがって、このような会社、外国法人が
日本国内で獲得した利益のほとんどは、国内に残ることなく、全て海外に流出しているのが現状です。
私自身、財務省の主税局国際租税課での勤務経験があり、国際課税における租税競争には大変難しい側面があることも十分に認識しているつもりですが、
日本国内での企業活動によって相当の利益を得ながら事業
所得に係る税を支払っていない外国企業については、例えば取引高税の
創設により、法人税額相当額の外形標準課税を行うべきだと考えますが、麻生
財務大臣の
見解を
お尋ねします。
最後に、個人
所得税について、
安倍総理に
お尋ねします。
我々
日本維新の会は、活力ある
経済社会を取り戻すため、働き盛り世代、そして若者世代が、グローバルな競争環境の中で存分にチャレンジできる土俵を
税制という形でつくります。
個々人のライフサイクルの中で、
所得も
消費もピークを迎える働き盛り世代、子育て世代の
税負担を軽減する必要があると考えます。
そこで、子育て
支援目的の
給付つき税額控除制度の
導入や子供に関する扶養控除の復活を一日も早く実現すべきではないでしょうか。
全ては
日本の未来のため、我々国
会議員が汗を流すべきだと考えます。
日本の未来をつくる
税制という
観点から、
安倍総理の所見をお伺いして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕