○小池百合子君
自由民主党の小池百合子でございます。
私は、
自由民主党を代表して、
政府施政方針演説に関して御
質問をいたします。(
拍手)
安倍内閣が発足し、はや二カ月、いえ、まだ二カ月。安倍内閣は、このわずかの間に、
経済対策を含む
平成二十四年度の大型
補正予算を成立させました。これに連動させる形で、
平成二十五年度予算を間髪を入れることなく
提出。
総
選挙の
関係で例年とは異なる流れとはいえ、過去に例のないスピードで突き進んでおられます。まさに、安倍内閣の、決める政治の本領発揮であります。
外交面におきましても、先月の御訪米で、まず、日米同盟の強固なきずなが確認され、そのことが
世界じゅうへと発信されました。
ホワイトハウスでの
首脳会談では、バイデン副大統領、ケリー国務長官同席のもと、多岐にわたる日米間及び
国際的な懸案事項について語り合われました。首脳同士のケミストリーを確認するとともに、良好な
日米関係を取り戻されたことは、御同慶の至りであります。
単に場なれしておられるだけではなく、この国が今なすべきこと、みずからがなし遂げなければならないことを深く胸に刻まれ、覚悟を持って、それでいて自然体で臨まれた結果ではないかと思います。ジャパン・イズ・バックと同時に、アベ・イズ・バックを印象づけたのではないでしょうか。
各種マスコミの調査でも、内閣発足後も支持率は伸び続けております。多くは七〇%超えであります。まさに、ロケットスタートした安倍内閣の勢いそのものの結果でありましょう。
ちなみに、私は、党の広報担当として、支持率だけでなく、為替・株式市場にも注視をいたしております。まるで
経済金融番組を担当していたころのように、毎日毎時、チェックを欠かしておりません。それは、
我が国が強い
経済を取り戻すことこそが、震災
復興の加速、
雇用の創出、
確保、そして
世界でのプレゼンス
確保につながると確信をしているからであります。
しかし、高い支持率や期待値を反映する市場の動きは、あくまで助走、あるいは序章、プロローグにすぎません。これからが本番であり、
国民が注視をするところであります。
そこで、具体的な政策テーマについて順次お伺いいたします。
間もなく三月十一日を迎えます。あれからもう二年の月日がたつわけであります。
千年に一度と言われる大災害を目の当たりにしながら、当時、私たちは、野党という現実の壁に直面しつつも、
全力を挙げて数々の議員立法を成立させました。どうせなら、当時の
政権が素直に私たちの全ての提言、提案を盛り込んでくれればよかったと、今でも悔やまれるところであります。
あれから二年、
自民党は、再び
国民の負託を受け、
公明党の
皆さんとともに
政権を運営することとなりました。
被災地には、
避難生活を余儀なくされている三十二万人の
方々を初め、今なお、数え切れないほどの人々が震災の爪跡に苦しんでおられます。
私自身、阪神・淡路
大震災の真っただ中で、先が見えないことが最大の不安なんですよとの
被災者の声を、何百、何千回と伺いました。
昨日は、
自民党女性議員が、現場の声を伺うため、
被災地を訪問いたしました。
今、人々の心に寄り添い、その苦しみを我が苦しみとして、ともに
復興への道を歩む、それなくして、我々が
国民の皆様から
政権をお預かりした意味はないとさえ思います。
改めて、震災
復興にかける
総理の御決意と御覚悟をお聞かせいただきたい。
震災からの二年で、道路、港湾といったインフラの復旧はある程度進んだものの、待ち望まれている
生活の再建も産業の再生も、いまだ明確なめどが立っておりません。
何をすべきかという時期は、とうの昔に過ぎ去っております。
避難生活を送っておられる
方々の住まいの再建、暮らしを支えるインフラの整備、医療、介護等のマンパワーの
拡充、
被災地域の生業、産業の再興、さらには、除染、中間貯蔵施設の整備、廃炉といった
東京電力福島第一
原子力発電所事故への対応など、私たちが解決していかなければならない諸
課題は、既に明確であります。
今問われているのは、それをいかに早くなすべきかであります。
現在、
自民党では、真に
効果的な施策に関する提言の策定作業が急ピッチで進められており、近々、官邸に申し入れを行うこととなっております。
震災後三度目の正月は、
被災地の
皆さんに
生活再建の見通しを持って迎えていただきたい、これが、大島理森
復興加速化本部長の口癖であり、
自民党の思いでもあります。
政府におかれましては、今回の
与党としての提言を踏まえ、迅速かつ適切に対応されますよう、強く求めるものであります。
我が国は災害大国であります。このたびの豪風雪による被害もしかりであります。
被害者となられました
地域の皆様方には、心からお見舞いを申し上げます。そしてまた、迅速な
政府の対応を要請するところでございます。
また、最近でも、栃木を中心にマグニチュード六クラスの震災が起こったばかりであります。災害は忘れたころにやってくるどころか、今なお進行中なのであります。
我が党は、事前防災の
考え方、すなわち、災害が起きてからの
復興事業にかかる経費よりも、事前に補修等を行うことによって、結果として
復興費用を抑制するという
考え方に基づいて、命を守る公共投資を推進することといたしております。
今後数年以内に極めて高い確率で首都直下型や南海トラフの巨大地震が発生すると予想されている今、事前防災の観点から、国土強靱化を積極的に進めるべきでありましょう。
国民の財産と生命を守ることは、国家最大の使命。
総理のリーダーシップを期待いたしております。
日米同盟は、
我が国外交の大きな柱であります。
三年三カ月の
民主党政権は、日米同盟の深化をうたいながら、問題を深刻化させるだけでありました。米国との信頼
関係の揺らぎこそが、東アジア情勢の変化を誘発し、
中国、
韓国、ロシアなど周辺国との
関係、摩擦、あつれきは、戦後最悪の状態となったと言わざるを得ません。
総理、言うまでもなく、
我が国外交の立て直しこそ急務であります。
まず、
TPPについて伺います。
さきの
日米首脳会談の結果は、
TPPに特化する形で、日米
共同声明として発表されました。
聖域なき
関税撤廃が
前提ではないと、文書形式でも確認されたところであります。また、
総理からは、御帰国後、
TPPに参加するか否か、その
判断と時期についてはお任せいただきたいと御
報告を受けております。
TPP参加をめぐっては、さまざまな意見があることは事実であります。
さらに、かつて、SII、いわゆる日米構造
協議が取り沙汰されたときも、
障害、インペディメンツという
言葉が抜けていたり、イニシアチブを
協議と訳したり。古くは、敗戦を終戦、ユナイテッドネーションズ、連合国を国連と訳したように、和訳には国内世論への影響を勘案する傾向がないとは言えません。今回も、環太平洋という和訳が不正確ではないかとの指摘もあります。
総理には、
課題や問題点を率直に、そして正確に
国民にお伝えいただくとともに、国益にかなう最善の道を堂々と歩んでいただきたいと
考えております。
そもそも国益とは何ぞやを含めまして、
政府の方針をお伺いいたします。
そもそも、日米同盟の毀損は、普天間移設問題に関する、国外、最低でも県外
発言から始まりました。沖縄県民の期待をあおるだけあおり、裏切り、この問題を袋小路に追い詰めた原因と言わざるを得ません。
しかし、覆水盆に返らずのことわざどおり、
民主党の愚行を嘆いていても前進はありません。我々は、結果としての普天間の固定化だけは避けなければならない。そのためにも、地元沖縄との対話、信頼
関係の醸成は重要であります。
次に、
中国、
韓国、ロシア等の
近隣諸国との
関係構築についてお伺いいたします。
尖閣諸島をめぐる問題を初め、日中間には懸案が山積しております。
さきの
施政方針演説で、
総理はサッチャー元首相の
言葉を引き合いに出されました。ちなみに、サッチャー首相を描いた映画では、シンク・イット、沈めなさいと指示するシーンもございました。
総理の
外交の基本である、国益を守る、主張する
外交については予算
委員会の場で議論を深めるとして、日中問題に関して、私は、別の視点からもお伺いしたいと存じます。
PM二・五問題であります。
最近、
中国における微小粒子状物質、PM二・五によります大気汚染が問題となっております。従来の酸性雨や黄砂のみならず、PM二・五が越境して
日本にも到達し、国内の観測値が高いとの報道もあります。
我が国は、高度成
長期の公害問題を克服してきた経験を踏まえ、これまでも
中国とは
環境面でさまざまな
協力を進めてまいりました。
私が
環境大臣在任中にも、日中韓
環境大臣
会議を初め、事あるごとに、
中国のカウンターパートと、大気や水の汚染防止、地球温暖化
対策などについての技術的、
制度的な知見の共有や提供を進めてまいりました。
日本の水俣や四日市の経験を踏まえ、
制度や技術についての解説DVDを
中国語版にするなど、
協力も重ねてまいりました。
中国側は、かねてより、後発優位とうたい、先進国が犯した間違いを参考に、同じ過ちを繰り返しませんよと胸を張って言っていたことを思い出します。
こうしたこれまでの
協力にもかかわらず、そして、もはや
世界の舞台では先進国として振る舞いつつ、今般のPM二・五によります大気汚染のような問題が発生したことは、まことに遺憾であります。たとえ
制度を整えても、守らなければ意味はないのであります。
中国の大気汚染は、
我が国だけではなく、他の周辺アジア諸国にも影響を及ぼしております。
日本は、アジアの
環境政策のリーダーとして、
中国に対し、積極的に
環境面での対話を進めるとともに、周辺諸国とも
協力して対応していく必要があります。
中国では、知日派の外相も誕生すると伝えられております。
政府のお
考えをお聞かせいただきたい。
総理に伺います。
次に、
日韓関係であります。
二月二十五日、麻生副
総理が特使として
韓国を訪問され、朴大統領と、
日韓関係や北東アジア情勢について意見交換をされました。日韓両国は重要な隣国同士であり、両国が緊密に
協力することは、両国
関係のみならず、北朝鮮問題など北東アジアの平和のためにも重要であること、今後、日韓の新
政権同士、
未来志向で緊密な
協力を行っていくことで一致したと伺っております。
総理は、今後の
日韓関係をどのように高めようとされるのか、そのお
考えを伺います。
日ロ
関係です。
北方領土問題、エネルギー開発、北極海航路等、
課題は横たわっております。
先月二十一日、森元
総理が、事実上の
総理特使としてロシアを訪問されました。高齢化が進む元島民の皆様のお気持ちを
考えると、少しでも前進させたい、また、戦略的に進めようとの思いは理解できますが、引き分けとする理由はあるのでしょうか。他の領土をめぐる動きへ与える影響をどう分析されるのでしょうか。そして、今後、どのようにロシアと向き合っていかれるのでしょうか。
総理の方針、お
考えを伺います。
我が国と、
中国、
韓国、ロシアの
近隣諸国の共通の悩み、それは北朝鮮問題であります。
ミサイル発射や
核実験の実施など、北朝鮮の数々の
行動は断固として許されません。北朝鮮の暴挙を
国際社会に訴え、米国を初め、
中国、
韓国、ロシアとの連携強化が不可欠であります。
これまでも、
我が国は、人、物、金の独自制裁を実施してまいりました。
私は、
国会の場で初めて朝銀問題にメスを入れ、アメリカ
政府によるバンコ・デルタ・アジアへの制裁とあわせ、金の分野の制裁強化に努めてまいりました。
北朝鮮への制裁を有効なものとするためには、実際の金や物の運び屋と言われております地方幹部の再入国制限も含めるべきではないでしょうか。
独自制裁措置の強化について、
政府の方針をお伺いいたします。
北朝鮮には、これからも、核への野望を抱き、拉致を含め人権を無視して
国際世界から孤立の道を続ける平壌スタイルのままでいくのか、それとも、民主化を決意し、
世界へ門戸を開いたミャンマー・スタイルへと大転換するのか、後者の道を選ぶよう、
中国を含め、
世界が歩調を合わせて進めるべきでありましょう。
尖閣諸島は、言うまでもなく、
我が国が実効支配をしている固有の領土であり、尖閣諸島の実効支配を
確保し続けることは極めて重要なことであります。
一方で、
中国国内の情勢を
考えましても、
中国を過度に刺激することは不毛な結果をもたらすものであり、冷静な対応も求められております。
尖閣諸島の実効支配強化を含めた今後の方針についてお伺いをいたします。
我が国の主権と領土、領海を断固として守るため、
自民党では、国境を形成する離島を守り振興させる法律や、領海警備を強化する法律案を提案いたしましたが、さきの
解散・総
選挙で廃案となっております。
これらの法律については、本来、
政府として
提出すべきものと
考えますが、
総理のお
考えを伺います。
第一次安倍内閣におきまして、私は、
総理の命を受け、
日本版NSC設立に向けた各種の準備を担当させていただきました。法案
提出までこぎつけたものの、残念ながら、
審議未了で廃案となっております。
自民党は、さきの総
選挙の
政権公約におきまして、国家の情報収集・分析能力の強化及び情報保全に関する法整備によります
体制の強化を図り、的確な情報を活用して
国民の安全を守ること、すなわち、国家
安全保障会議の
設置を明記いたしております。
NSCは
日本にとって必要でありますが、リーダーによっては無用の長物になるおそれもあり、真に有効な機関とする必要があります。現在の
政府の取り組みについて伺います。
情報保全に関連し、サイバー攻撃への対処は極めて重要であります。この
国会も標的となりました。
現在、内閣官房情報セキュリティセンターを中心に取り組みが進んでいると聞いておりますが、法的な整理とともに、人材の
確保も重要な
課題であります。
武力攻撃事態など、法的位置づけの
判断基準を含め、取り組み
状況について
総理に、そして、人材
確保について、アキバ事情にお詳しい財務大臣にもお
考えをお聞かせいただきたいと存じます。
情報管理という観点から、日銀総裁人事について一言
政府に申し上げたい。
今回の総裁人事は、事前報道どおりの陣容となっております。
国会で事前報道ルールが改められたとはいえ、このように情報が安易に漏れるようでは、NSCどころではありません。
総理の問題意識を伺います。
憲
法改正であります。
憲法の
改正は、
国会にのみ認められた権限であります。その
責任は、
国会の構成員である国
会議員が負うことになります。国権の最高機関である
国会が、最高法規である憲法を議論することは当然であり、憲法調査会の議論を早急に再開すべきであると
考えます。
憲法八十三条に財政の健全性
確保条項を加えるところから着手すればいいといった
考え方もありますが、憲
法改正条項である九十六条について
国会の意思を明確にすることは重要であります。
ここにおられる皆様方には、ぜひ、ぜひ、御賛同をお願い申し上げます。
さて、今回の予算で特筆すべきは、
生活保護の見直しであります。
民主党政権の三年間で
生活保護費が急増いたしております。景気後退による対象者の増加もありますが、
民主党政権による安易な対応が大きな原因と言わざるを得ません。
不正受給への厳格な対処は言うまでもなく、
生活保護水準や医療扶助の適正化、自立、就労の促進などの施策を通じて、総額の抑制に努めるべきであります。真に必要な人に
生活保護が行き渡るようにし、納税者の理解が得られるような公正な
制度にすべきでありましょう。
総理のお
考えを伺います。
社会保障費は、今後、ふえる一方であります。
生活保護費の適正化だけでなく、
社会保障全体の
改革は不可欠であります。
国民の皆様にも厳しい現状と将来の見通しを伝え、御理解をいただくことも、政治家の使命であると
考えます。
消費税について、
民主党が政治の
責任を痛感され、消費税引き上げ法案の成立へと努力をされました。法律では、引き上げの時期が二〇一四年四月とされておりますが、景気の
状況を勘案するとの文言も盛り込まれております。
本年十月ごろには
政府が
判断をする必要があるわけでございますが、景気、
経済の見通しについて、甘利
経済財政担当大臣に伺います。
消費税引き上げに際しては、
生活弱者への配慮が必要であります。家庭を守る主婦の
方々も、いわゆる複数税率、軽減税率について高い関心を寄せておられます。税率のあり方について伺います。
また、中小零細企業にとって、消費税を転嫁できるのかどうかが大きな問題となっております。我が党としても転嫁をしやすくするための法整備を
検討いたしておりますが、
政府の取り組みについて伺います。
教育です。
日本の将来を担う
子供たちは、国の一番の宝であります。だからこそ、
教育再生が急がれる。
第一次安倍内閣では、六十年ぶりに
教育基本法を
改正いたしました。しかし、その後の
政権交代によって、
改正教育基本法の精神にのっとった
教育改革は一向に進んでおりません。日教組の
支援を受けている
民主党に、日教組のドンを党幹部に仰ぐ
民主党に期待することが、そもそもの誤りであります。
自民党が
与党となった今、実現すべきこと、それは
教育の再生であります。
六・三・三・四制を見直す
平成の学制大
改革、
教育委員会制度の抜本的な見直し、教科書検定基準の
改善、力ある教師を養成するための教師インターンシップの導入など、
総理は、今回の
演説でも触れておられます。
教育改革に対する
政府の取り組みについて、また、大きな
社会問題でありますいじめ
対策について、まとめて伺います。
ちなみに、
自民党では、
いじめ防止対策基本法案の議員
提出を目指しております。これについても
総理の御感想を伺います。
加えて、幼児
教育の無償化は、我が党の
政権公約に明記され、
公明党との連立合意にも盛り込まれております。
財源問題のクリアが必要でございますが、
政府の取り組みについてお伺いをいたします。
福島の原発
事故によって、
我が国のエネルギー事情は一変をいたしました。原子力発電を推進してきた
自民党にも大きな
責任があることは言うまでもありません。再び
政権を担う今こそ、真の
責任を果たし、エネルギーの安定
確保に努め、
国民生活を守っていく決意であります。
施政方針演説で、
総理は、安全が確認された原発の再稼働を明言されたと思います。再稼働問題と原発ゼロは微妙に異なりますが、前
政権での原発をゼロとする
方向性をお変えになるのか、エネルギーのベストミックスをどのような形で決定していくのか、いつまでに取りまとめるのか、スケジュール感を含めてお伺いをいたします。
今、地球温暖化
対策、そしてベアという
言葉、ベースアップですが、ともに死語と化しつつありますが、地球温暖化
対策も重要であります。エネルギー
安全保障も重要であります。
自民党は、再生可能エネルギーを三年間集中導入することをさきの衆院
選挙で公約をいたしております。
政府として、どのようにこの公約を実現していかれるのでしょうか。
また、再生可能エネルギーの導入を
地域経済の活性化の起爆剤の一つと
考えておりますが、
政府の見解をお伺いいたします。
さらに、いわゆるシェールガス革命は、
世界のパワーバランスを変えるくらいのインパクトがあります。日ロ間の領土
交渉でもこの点を考慮に入れるべきだと
考えますが、
総理のお
考えをあわせてお示しいただきたい。
さて、ちまたでは、アベノミクスという
言葉が躍っております。アベノミクスとは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する
成長戦略の三本の矢を核とした、
安倍総理の
経済政策を指しているところでありますが、この三本の矢について次に伺います。
第一の矢は、大胆な金融政策であります。
政府と
日本銀行が、政策連携を強化し、
デフレ脱却を目指して
一体となって取り組むとの
共同声明が発表されております。そのためにも、黒田新総裁人事を確実に決めねばなりません。
一方、任期途中でアジア開発銀行の総裁を退かれる黒田氏の後任選びも重要であります。引き続き、アジアにおいて
責任あるステークホルダーがADBをリードしなければならないと
考えますが、
総理のお
考えを伺わせていただきます。
それにいたしましても、アベノミクスへの市場の反応は上々であります。さきのG20財務相
会議でも、
国際的にも認知された形となりました。懸念材料は、欧州やアメリカ議会の動きなど、海外に潜んでいるとも言えましょう。
さらに、
円安は、ガソリンなどのエネルギーや小麦など
食料品の輸入価格を引き上げております。アベノミクスの恩恵が感じられるまで、どうしてもタイムラグが生じざるを得ない。報酬の引き上げを企業に要請するなど、
安倍総理は積極的に取り組んでいただいておりますが、ぜひとも、車座ふるさとトークなどを通じて、民のかまどを確認しつつ、政策を遂行していただきたく存じます。
第二の矢です。機動的な財政政策。
これはまさに、
平成二十四年度の大型
補正予算として既に放たれたわけでありますが、緊急
経済対策を実施するため、十兆円を超える史上最大級の
補正予算を編成いたしました。わずか一票差の薄氷を踏む結果ではありましたが、二十六日に成立をいたしました。
我が国経済のためには一日も早い成立が必要でありましたから、参議院の良識に深く感謝を申し上げる次第でございます。
また、先ほど大畠議員は、矢は三本とも放たれていないとおっしゃっておられますが、この二本目の矢については、皆様方の御同意を迅速にしていただくことによって、力強く放たれることでありましょう。よろしくお願いを申し上げます。
いわゆる十五カ月予算でありますが、二十四年度の大型
補正予算と二十五年度予算を合わせて、切れ目のない
経済対策を実行できる予算となっております。
二十五年度予算は、
民主党政権下での三年連続して公債発行額が税収を上回るという異常な予算編成から脱却したものとなっております。税収の見込みが四十三・一兆円、公債金の発行が四十二・九兆円。プライマリーバランスを見ましても、マイナス二十四・九兆円からマイナス二十三・二兆円と
改善をいたしております。
大胆な
補正予算と引き締まった来年度予算で、景気への対応と財政規律のバランスを実現した予算であると
評価をしたいと存じます。
第三の矢は、民間投資を喚起する
成長戦略であります。
第二の矢、機動的な財政政策は、あくまでも
カンフル剤であって、この第三の矢、
成長戦略こそが最重要であることは言うまでもありません。
総理のおっしゃる、かばんに詰め込むべき魅力ある商品をたくさん生み出さなければなりません。そのためには、
雇用、エネルギー・
環境、健康・医療等の分野における思い切った規制
改革が不可欠であります。
また、
科学技術・イノベーション立国、あるいは
世界最高水準のIT
社会も実現しなければなりません。
さらには、戦略的な
経済連携の推進により海外の成長を積極的に取り込むとともに、仕事と子育ての両立に必要な
環境整備や
支援等により若者や女性の活躍を後押しすることも必要であります。
加えて、農産品の輸出拡大策を強化し、農業競争力強化等の攻めの農業の展開も求められます。
アベノミクスの成功の鍵は、この
成長戦略にこそあります。
さて、今、この本
会議場を見回しましても、女性議員は、まだまだ少数、万年野党であります。
昨年暮れの総
選挙の結果、
自民党の女性議員数は
選挙前の八人から一気に二十三人へと三倍増となりましたが、
衆議院全体では五十二人から三十八人へと激減し、比率におきましても、一〇・六%から七・九%へと急降下いたしております。アラブの春前後のアラブ諸国における女性議員比率が平均一四%台といいますから、
日本女性の春はいまだ遠しの状態であります。
昨年十月の
時点で、IPU
国際比較で
日本は
世界百四十三位でした。さらなる転落は確実であります。
日本が順位をずるずると下げているのではありません。他の国が、何らかの方策を実行し、順位を上げた結果であります。
企業においても、女性管理的職業従事者比率では、フィリピンの五二・七%をトップに、アメリカ四三%、フランス三八・七%であるのに比べ、
日本は一一・九%であります。
欧米では女性取締役を有する企業が五〇%を超えていますが、
日本は六・一%にとどまっております。たった一人という取締役をカウントして、この数字であります。
数より質だと、今も議論百出でありますが、人口の半分が女性であることには変わりません。
今回の総
選挙で我が党が公約に盛り込んだ二〇・三〇、つまり、二〇二〇年までにあらゆる分野で三〇%の女性を登用するという政策は、何も目新しいものではありません。歴代の
政権がこの政策を掲げながらも、遅々として進んでいないだけなのであります。
私は、
日本女性のエネルギーは、そこにあるということがわかっていながら十分に活用されていない地熱や地中熱、そしてメタンハイドレートと同じではないかと再三訴えてまいりました。
男女共同参画の観点というよりは
成長戦略として、意欲ある女性、子供を産み育てながらも働きたい女性、働かなければならない、
日本には山ほどおられるような女性力の活性化こそが
成長戦略の一丁目一番地になると
考えるのでありますが、いかがでしょうか。
女性力の活性化についてのお
考え、また、予算にどのように反映されているのか、お伺いをしたいと思います。
さて、最後に、
東京オリンピックの招致活動もいよいよ佳境に入ってまいりました。
評価委員会も来日中であります。
総理の
東京オリンピック招致への意気込みをこの場で伺いたいと存じます。(
発言する者あり)レスリングもよろしくお願いいたします。
ソチ冬季
オリンピックも来年に迫っております。新種目であります女子ジャンプでは、きのうも見事な優勝を飾った十六歳の高梨沙羅さんの活躍がひときわ目を引きます。身がすくむような急傾斜の坂を
日本女性が恐れることなく挑戦し、踏み切りよく大空へ、
世界へと飛び出す。高梨さんからは、跳ぶのが怖いというよりも、跳ぶことが楽しいといった思いさえ伝わってくるではありませんか。
生まれてこの方、
デフレしか知らない高梨さんのような若い世代が、あすに
希望を抱ける
日本としなければなりません。また、だらだらと右肩下がりを続けた
日本経済、だらだらと物価を下げ続けた
デフレ経済の流れを断ち切るためにも、アベノミクスの果敢な取り組みに力強く踏み切ろうではありませんか。
以上、私たち
自由民主党は、
国民の皆様にお
約束した
政権公約を着実に実行し、
日本を改めて一番の国とするために安倍内閣を
全力で支えていくことをお誓いし、私の
質問とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔内閣
総理大臣安倍晋三君
登壇〕