○山田宏君
日本維新の会の山田宏です。
私は、
日本維新の会を代表し、今上程されました
平成二十四年度
補正予算案三案に対して、
賛成の
立場から
討論を行います。(
拍手)
今日の
我が国の喫緊の課題は、
経済の
再生です。停滞と衰退を続けてきた
国民生活や企業活動を上昇させ、社会保障だけでなく、防衛や教育を再建し、強く賢い
日本を築くためには、自立、責任、そして切磋琢磨の
日本社会をよみがえらせ、活力ある
日本に変えていくよう、大きく政治のかじを切っていかなければなりません。
そのためには、至るところに巣くう国の規制を打破し、チャンスと希望のあふれる国となり、TPPなど公正なルールに基づく自由貿易圏を拡大して世界の市場を取り込み、他方、小さな賢い
政府を目指して、
財政再建、規制撤廃と
地方分権を推し進めていかなければなりません。
その大改革を進めていくためには、まず、
デフレ脱却のための金融緩和と一定のボリュームの
財政支出によって国内
経済のマクロ環境を改善しておくことが必要であり、
日本維新の会は、その方向性において、現下の
景気情勢に照らし、今般の
補正予算の必要性を大枠では認めるものです。
しかし、その
内容や
財源等について、疑問がないわけではありません。
以下、本
補正予算に
賛成するに当たり、何点か指摘しておきたいと思います。
まず、今般の
補正予算のうち、
政府の
緊急経済対策に関する
財政支出は十兆二千八百十五億円にも達します。仮に本日衆議院を通過しても、参議院での
審議日程を考慮すれば、成立は、早くて二月下旬。したがって、年度末までわずか一カ月余りの時間しか残されていない中、十兆円を超える
財政支出を実際執行することは不可能で、十兆円を超える
予算の大半が来年度に繰り越されることを見越して編成されたということになります。
そもそも、十五カ月
予算と
政府みずから称するならば、本来は、来年度
予算も
補正と同時に国会に
提出し、十五カ月
予算全体としての一体
審査、一体
採決という
審議プロセスとすべきではなかったか。あえて指摘しておきます。
また、
予算の繰り越し問題は、国のレベルにとどまりません。
地方自治体向けの
交付金のうち、主なものだけでも、
地域の
元気臨時交付金一兆三千九百八十億円、
防災・
安全社会資本整備交付金五千四百九十七億円、
農山漁村地域整備交付金千六百五十億円など、いずれも
地方公共団体での
予算の執行まで相当の手続や時間のかかるものばかりで、その上、
地方自治体は年度末の執行ができないので、
地方自治体の事情ではないのにもかかわらず、各
地方自治体がそれぞれの国の出先機関に
事業ごとの詳細な繰り越し手続を進めていかなければならないという、膨大な事務が発生することになります。
これは、おかしいでしょう。
石原、橋下両代表を初め首長経験者が多く所属する
日本維新の会としては、この点を指摘し、安倍総理、
麻生財務大臣から、今回の
補正予算の執行に当たっては、簡易な書類への統一や、
地方自治体に図面等の
提出を求めないことなど、事務手続の簡素化の
趣旨を各省庁に要請する旨、改善の約束をいただきました。
これは、ただでさえ忙しい年度末の全国の自治体にとって朗報であり、無駄な人的、物的、時間的なコストを
削減でき、
地域住民にとってもよかったと、評価したいと思います。
次に、先般概算の閣議決定がなされた来年度
一般会計当初
予算のプライマリーバランス赤字は二十三・二兆円。実は、今年度
一般会計当初
予算のプライマリーバランス赤字は二十二・三兆円で、当初
予算ベースでいえば、約九千億円のプライマリーバランスの悪化と言えます。
とはいえ、
民主党政権下では、
基礎年金国庫負担二分の一に必要な
経費二・六兆円を交付
国債で賄うこととしていたため、その分、表面上のプライマリーバランスが小さく見えたのも事実で、これは一種の数字のごまかしで、その分を加えれば、実質は二十四・九兆円の赤字となります。
一方、財務省は、来年度
一般会計当初
予算フレームに関する資料の中で、今回の
補正予算で交付
国債二・六兆円をつなぎ
国債に変更したことで、今年度
一般会計予算の
補正後のプライマリーバランス赤字は二十四・九兆円と明示した上、これと来年度
一般会計当初
予算の赤字二十三・二兆円と比較すると、来年度は一・七兆円の改善と
説明しています。
しかし、これも、
国民をだます、数字のマジックとしか言いようがありません。
理由は二つあります。
第一に、
自民党政権が、今回の
補正と来年度
予算を合わせて十五カ月
予算と称し、先ほども指摘したように、今回の大
規模補正の大半を来年度に繰り越すことを見込んでいるならば、今
補正予算のプライマリーバランス赤字約五兆円を来年度当初
予算の赤字二十三・二兆円に上乗せすべきであり、その結果、来年度
一般会計の実質的なプライマリーバランス赤字は二十八・二兆円となり、
民主党政権での実質的な赤字二十四・九兆円よりもさらに三・三兆円悪化していると、正直に
国民に開示すべきではありませんか。
第二に、これらのプライマリーバランスに関する数値は、あくまでも
一般会計に限定したものでしかありません。実際には、
東日本大震災復興特別会計で
発行する
復興債も意図的に除外されているだけでなく、来年度
国債整理基金
特別会計で七兆円の積立金を取り崩すことも全くカウントされていません。
現在、
日本維新の会は、他党とも協議し、従来の現金主義、単式簿記による公会計制度を発生主義、複式簿記に改め、バランスシートを初めとする予定財務諸表を作成、開示するという、
予算編成の仕組みそのものを大改革する法案を準備しています。
我が国の危機的な
財政状況を一日も早く正常な姿に戻すためには、国家の資源配分、所得再配分、
景気調整を目的とする
予算編成自体に、発生主義、複式簿記による公会計制度を組み込まなければなりません。
残念ながら、財務省の作成している国の財務書類は、決算ベースのみで、それも、会計年度から一年近く経過して作成、開示されるにとどまっています。このように国の会計が単なる決算の見せ方の工夫にとどまっているのは、財務省が、最大の権力の源泉である
予算編成権を死守するためでしかありません。
イギリスやニュージーランドを初めとする公会計制度改革の先進国では、既に、
予算ベースでの発生主義、複式簿記による財務諸表の作成、開示が実施されています。
デフレからの
脱却、そして
景気回復を目指す
財政政策を実施し、金融政策の
効果を織り込んだマクロ
経済政策を総合的に行っていくためにも、
予算ベース、決算ベースの双方で、
我が国の公会計制度を発生主義、複式簿記に改めるべきです。
さて、今回、七十歳から七十四歳までの高齢者の医療窓口負担における軽減
措置がさらに継続されることになりました。そのための
予算措置として一千八百九十八億円が計上されていますが、これこそ、世代間格差が拡大する中での若者へのさらなる負担の押しつけで、年齢による一種の差別ではありませんか。早期にこの不正常な状況を正すべきです。
また、TPPへの交渉参加は、安倍総理は、我が党を初めとする質問にお答えになられたように、来る日米首脳会談で一定の感触が得られれば、
自民党内の
反対や業界団体の
反対に臆することなく、早期に交渉のテーブルに着くことを総理みずからのトップの
判断で決することこそが国益であり、その上で、
反対論については交渉の中で反映させる
努力をし、また、必要な
対策を考えるべきことを、強く要請いたします。
最後に、今後、
我が国が真の意味で国際
競争力を強化し、付加価値の高い生産の増大を図るためには、これまでの長い、先送り、決められない政治でこびりついた、既得権益の塊である業界団体等の無数のタコつぼ組織をたたき潰して、徹底的な規制緩和と新規参入規制を撤廃していくほか
我が国の進む道はありません。
経済活動の自由と機会の平等を保障し、
成長するアジアを初めとした世界の市場に打って出る
成長戦略を勇気を持って実行することこそ、
我が国にとって喫緊の課題であります。
日本維新の会は、強く賢い
日本を築いていくために、安倍政権のこういった取り組みを十分注視し、今後も、是は是として、否は否として、精緻で建設的な議論を闘わせていくことを改めてお約束し、私の
賛成討論といたします。(
拍手)