○渡辺喜美君 みんなの党代表渡辺喜美であります。(
拍手)
アルジェリアにおける人質事件で
邦人十名のとうとい命が失われたことは、まことに残念であり、心から御冥福をお祈りいたします。御遺族の
皆様には、心からお悔やみを申し上げます。
今回の事件を
検証の上、
国民の
生命、自由、財産を守る
国家本来の業務に欠けるものがあれば、それを正していかなければなりません。
在
アルジェリアの
日本大使館が独自の
情報収集ができていなかったことが明らかになりました。外国
政府の情報にばかり頼るのではなく、
我が国自前のインテリジェンス機能を
強化する必要があると考えますが、
総理のお考えを伺います。
次に、現在の犯罪被害者
支援法では、
邦人が今回のように
海外において
テロ事件等に巻き込まれた場合は、救済の対象となっておりません。同法の適用対象の
拡大等、
邦人保護の枠組みや
テロの犠牲者の救済のための制度の創設も必要であると考えます。
みんなの党は、犯罪被害者
支援法の適用対象の
拡大を中心に法案を準備しております。
総理には、ぜひ御賛同いただきたく存じます。
補正予算案について、みんなの党は、昨年秋口に、十兆円
規模の大型補正の提案を既に行っております。マクロ
経済政策の
規模としては、今回の補正は適正であると考えます。一日も早い実施が望まれます。
問題は中身であります。霞が関に丸投げをし、霞が関が選んだ対象、
分野に
予算をばらまくというこれまでのやり方で、持続可能な
経済成長につながるとお考えでしょうか。
かつて、NTTの株式売却代金を原資とした
産業投資特別会計は、二千八百億円の
出資金の大半が戻ってきておりません。小泉
内閣のとき、
財政投融資は、
投資をとって
財政融資に整理をし、
投資は限定的にいたしました。今回は、まさに、小泉
内閣以前の霞が関を取り戻す中身になっております。
霞が関がお金をばらまくのではなく、民間の底力を引き出し、新
事業の創出やイノベーションにつなげられるような
投資減税や
規制改革、制度
改革をまず考えるべきではないでしょうか。
民間の
投資の
促進に必要なのは、
投資をしやすい
環境の
整備であります。
みんなの党は、租税上の償却期間の設定は企業の自由に任せる自由償却制度を提案しております。その上、大胆な
規制改革を進めれば、民間の余剰資金が動き始めます。
総理の御所見を伺います。
自民党は
選挙で勝った御礼のために公共
事業のばらまきをやるんだと言われないためには、全ての公共
事業プロジェクトで、費用対便益、補修・修繕費の割合を公表すべきであります。できるでしょうか。
補正予算フレームを見ると、既定経費の減額によって財源に充てているように見えます。しかし、この経費減額の大半は、実勢以上に高く設定した金利分であり、まやかしであります。
また、一般会計から国債整理基金特別会計に対する定率繰り入れをやめれば、震災
復興財源は簡単に捻出できます。かねて我々が
指摘してきたところ、頑として認めなかったのに、新年度は定率繰り入れした国債整理基金七兆円を取り崩すという。
安倍
政権がみんなの党の政策をぱくるのは結構です。いっそのこと、定率繰り入れなしの
世界標準を採用されたらいかがでありましょう。
震災
復興特別会計の
補正予算フレームには、歳出の中に、来年度の
復興財源の追加、
復興債の償還が入っております。
復興債の償還などまだずっと先の話なのに、なぜこれが計上されているんでしょうか。
こうした無駄な
予算を積み上げておきながら、一方で増税を強行するというのは、本末転倒ではありませんか。
総理の御所見を伺います。
また、ファンドへの
支援やファンドの
拡充が盛り込まれていますが、いわゆる
官民ファンドは、
投資先の審査の甘さや、
投資のための
投資を行う傾向があるため、資金が毀損する
可能性が極めて高く、政策的
効果はほとんど
期待できないことは、これまでの実例を見れば明らかであります。なぜ、その過ちを繰り返そうとしているのでしょうか。
我が国の
長期デフレの原因は、
財政金融一体政策ができなかったという
国家経営の失敗であります。マクロ
経済政策としてのアベノミクスの
実現のためには、大胆な
金融緩和が不可欠です。
しかし、
政府と日銀が出した共同声明には何の法的根拠もなく、共同声明の内容や二%の物価安定
目標を達成できなかった場合に責任を問う仕組みがありません。やはり、日銀法を改正して、
政府と
日本銀行の協定に法的な根拠を持たせ、
目標を達成できなかった場合に、
日本銀行総裁に責任を問えるようにすべきであります。
総理、将来などと言わずに、今国会で日銀法を改正しようではありませんか。みんなの党は、
雇用の最大化も含めた日銀法改正案を
安倍総理にプレゼントいたします。
また、大胆な
金融政策を実行するためには、
日本銀行の総裁及び副総裁の人事についても、これまでのやり方を大きく転換することが必要であります。
そして、具体的なふさわしい
人材の最低条件は、まず、マクロ
経済学の博士号、PhDを保有していること、英語が堪能であること、そして、
危機管理を含めたマネジメント能力があることであります。
財務次官OBや日銀OBといった役所の人事による天下りでは、大胆な政策への転換は不可能であります。
総理は、アベノミクスを実行できる、天下りではない
人材を登用されると考えてよろしゅうございますね。御
見解を伺います。
自民党は、その
政権公約において、天下りの根絶を掲げておられます。
しかし、自民党への
政権交代が決まった昨年十二月、
日本郵政株式会社の社長に就任した坂篤郎氏は財務省OB。前任の齋藤次郎氏も大蔵省次官OBです。
日本郵政の社長は、財務省からの天下り固定ポストにするおつもりなのでしょうか。
平成二十五年度
予算案における約五兆二千八百億円にも上る公共
事業関係費と
補正予算案の約五兆円を加えれば、公共
事業費は、昨年度当初
予算に比べて約六兆円近くふえています。
景気対策としての公共
事業の
効果は、カンフル剤的なものでしかなく、長続きいたしません。そもそも、その実施に必要な
資材や専門
人材、土地には限度があり、これだけの
規模の
事業を一気に実行することなど極めて困難であります。本当にこの
予算が消化できるのでありましょうか。
農業基盤整備等に六千億円近い金額が計上されています。
農業の体質
強化をするためには、
農地の流動化や
規模拡大を進め、
農業の生産性を高めること、そして、
農地法等の
規制改革が必要であります。
みんなの党は、株式会社の
農地取得を解禁し、
農地のゾーニング規制は、むしろ厳しくすることを提案しております。
農業を
成長分野にしようとするなら、なぜ株式会社の
農地取得を認めないのでしょうか。
尖閣諸島をめぐって日中
関係の緊張が高まる中、
日米同盟を、
経済も含めて多角的に
強化していくことが極めて重要であります。
総理は、
TPPの戦略的位置づけについて、どうお考えでしょうか。
参議院
選挙までに方向性を示すとされておられますが、交渉参加の時期が遅くなればなるほど、国際的なルールづくりに関しては、
我が国が不利な
状況に立たされてしまいます。
総理が来月アメリカに行ってオバマ大統領と会談される際に、
TPP交渉への参加を表明されてはいかがでしょうか。
自民党内の守旧派におもねるのではなく、
TPP交渉参加をきっかけに、政策の大転換のできる
安倍総理のリーダーシップを発揮されて、抵抗をはねのけて
改革を進めていただきたい。
農協
改革も必要です。
もうからない
農家の数が多いほど農協がもうかる仕組みに成り下がっている
現状はおかしい。本業の
経済事業が赤字で、
金融保険
事業の黒字をもって補填する構造は、
農家の犠牲において農協経営が成り立っていることを意味します。持続
可能性はありません。
総理は、農協の三
事業一体
体制を見直すお考えはございませんか。
産業競争力会議の資料には、新ターゲティングポリシーという枠組みが出てまいります。これは、育てるべき
産業分野を
政府が特定する、役人が決めるということであります。
役人による戦略
産業分野の特定は、うまくいったためしがありません。むしろ、なすべきは、民間企業の活動を制約する
障害を取り払い、自由に活動できる幅を広げることです。
規制改革はその鍵です。
電力や
医療等の
規制改革に取り組む
総理の姿勢を伺います。
まず、電力の自由化について。
発送電分離を徹底し、電力小売の新規参入を
促進する
環境を
整備し、これにスマートグリッド等の
技術を組み合わせれば、分散型の電力供給
体制の構築も可能になり、
再生可能エネルギー関連等の新しい
事業の創出につながるとともに、原発ゼロを
実現することが可能になります。
総理の御
見解を求めます。
次に、混合診療の解禁について。
保険診療と保険外診療の併用を可能とすることは、先端
医療分野、
医療機器関連
分野の
成長に資するばかりでなく、混合診療が認められないため治療が困難とされてきた患者に救済の道を開くことにつながります。さらに、医薬品や
医療機器の承認手続の
迅速化が
促進され、
世界最先端の
医療機器や医薬品が速やかに国内で使用できる
体制を整えることができるようになります。
難病と闘ってこられた
安倍総理の率直な
見解をお聞かせください。
第一次
安倍内閣においては、
国家公務員制度
改革は最
重要課題の
一つに掲げられていました。
その後、私が担当した
国家公務員制度
改革基本法では、五年以内に
改革を終了することになっており、その期限がことしの七月に来るのであります。しかし、信じがたいことに、まだ何
一つ改革が進んでいないという
現状です。
野党時代の自民党は、みんなの党と共同で
国家公務員制度
改革関連法案を国会に提出いたしました。
総理、第二次
安倍内閣が公務員制度
改革にかける
決意と、その中身を教えてください。
政府がやらないのであれば、今国会においても、自民党と共同で関連法案を提出し、
成立に向けて御尽力いただけると考えてよろしゅうございますね。
また、道州制は、まず
地域主権
改革を行い、国の出先機関、
地方支分部局を廃止し、その
権限、財源、人間の三ゲンを
地方公共団体に移譲することが必要不可欠であります。それがなければ、官僚主導型の道州制になってしまいます。
総理は、
地方支分部局の廃止についてどうお考えでしょうか。みんなの党は、既に道州
制基本法案を昨年提出いたしました。
地域主権型道州制を
導入する御
決意をお聞かせください。
みんなの党は、税と保険料の
一体改革を訴えております。
まず、歳入庁の
設置による、徴収漏れの防止と収入の増加、
社会保険料支払い額の上限の撤廃及び
社会保険料率の統一によって、給付と負担の適正化を図ることであります。歳入庁を
設置して推定十兆円からの保険料の徴収漏れをなくせば、
消費税の増税の必要はありません。また、七つも八つもある税や保険料の窓口を一本化することができ、
国民の利便性向上や
行政改革につながっていきます。
みんなの党は、歳入庁
設置法案を提出いたします。
総理の御
見解を伺います。
増税を強行すれば、さらなる
デフレの
長期化につながっていきます。
総理、増税の前にやるべきことをもう一度御
検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
我が国は、先進国の中で唯一、
選挙期間中にインターネットを活用することが許されておりません。
今や、インターネットを使って政党や
政治家が情報発信を行うことは当たり前、有権者も
政治に関する多くの情報をインターネットを通じて入手しています。このような実情に鑑みれば、一日も早く
選挙におけるネットの活用を解禁すべきであります。
みんなの党のネット
選挙解禁法案を昨年暮れに提出いたしました。
安倍総理の御
決意を伺います。
さて、国際的な子供の拉致とも言える連れ去りについて定めた条約、いわゆるハーグ条約について、既に八十九カ国が批准をしており、
我が国も批准に向けて準備が進められています。
総理、いつまでに批准なされるのでありましょう。
国際的にそれを認める以上、国内でも同様の規定を
整備すべきであります。その際に、国外と国内を別々の基準、ダブルスタンダードによって運用されることがないようにすべきであります。
例えば、監護者が確定した場合の一方の親との面会交流については、欧米では年間百日程度で運用されていますが、
我が国では、月に一回、施設の中で二時間という運用がなされている
状況です。いかがでしょうか。
原発事故から二年近くが過ぎた今、
政府の務めは、汚染によって自分の家や土地から引き離された無辜の市民に対して、最優先でその資産価値を保障することではありませんか。
みんなの党は、汚染
地域の資産を借り上げ、買い上げて、自然
エネルギーの生産拠点や
除染の実験施設等として活用する法案を国会に提出いたしました。
帰れない
地域の
方々に、
除染を待って帰るか、移転をして新しい
生活を始めるか、選択できる
経済的条件を保障する仕組みを直ちにつくるお考えはおありでしょうか。
みんなの党は、一昨年、子ど
もと妊婦を放射能被害から守る法案を取りまとめ、
各党に呼びかけ、参議院に全会派一致で提出、昨年六月に子ども・
被災者支援法が
成立をいたしました。
同法五条では、
政府は、
被災者生活支援等
施策の推進に関する
基本的な方針を定めなければならないとされています。しかし、六月に施行されたにもかかわらず、いまだに
基本方針が制定されておりません。
福島にとどまっている子供たちは、不安に満ちた
生活を送っています。
被災者の声を反映させた
基本方針を速やかに制定し、必要な
予算を
措置して、早急に
支援を実施すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
除染事業について、
福島県とそれ以外の
都道府県において適用基準が異なり、
福島県と同様に比較的線量の高い
地域であっても、必要な補助金が交付されず、実施ができない
状況にあります。
原発事故は
福島県内で発生しましたが、その
影響は、
福島県内にとどまらず、地理的な
状況や気象条件によって、周辺の都県に膨大に広がってしまいました。
地域の実情を考慮することなく一律の県境基準を当てはめるという官僚主義的なやり方を踏襲するのではなく、より柔軟な運用が可能となるようガイドラインを改めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
指定廃棄物の
最終処分場の建設地の選定に関し、国が突然かつ一方的に栃木県矢板市や茨城県高萩市を候補地として決めたことに、
地域住民から白紙撤回を求める運動が起こっています。
建設候補地の選定手続は特措法に基づいているはずでありますが、実際は、その枠外の
基本方針等で決定をされています。
みんなの党が選定に携わった
職員をヒアリングした結果、判明したのは、水源や地下水脈の調査は全く行っておらず、いかに
工事をやりやすいかという基準で決めたということでありました。
住民の意思を無視した現在の手続では、一向に処分場の
整備が進まないばかりか、指定廃棄物の処理自体が滞ることになりかねません。
前
政権がつくったおかしな
基本方針であれば、
総理、迷うことなく改めればいいではありませんか。白紙撤回をぜひお願いいたします。
みんなの党は、全ての政党と共通の政策を持っている唯一の政党であります。今国会においては、闘う
改革のための法案を次々と提出していく所存であります。
安倍内閣が闘う
改革を進めていくのであれば、みんなの党は真摯に協力をいたします。
一方、
改革マインドを失った
安倍内閣に対しては徹底追及していくことを宣言し、
質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕