○西根
委員 受刑者にも、犯罪傾向が進んでいる者、進んでいない者、おとなしい者、粗暴な者といろいろいるわけですけれ
ども、
受刑者の中には出所後にお礼参りに来るような者もいると聞いております。
医師は、
受刑者の疾患を治すために治療しているので、感謝されこそすれ、恨まれることはないようにも思いますが、個々の
受刑者の性格もありますし、また、治療のため、時に厳しい
指導をすれば、それが逆恨みされることもある。身の安全を守るため、
受刑者の前では医師の名前を伏せることになっているそうですが、看護師の立ち話などから医師の名前が漏れてしまうこともあり、過去には、出所後の元
受刑者に家族を殺害された医師もいたそうです。
刑事施設内で働くということは、ある意味、命をかけていると言ってもいいのかもしれません。これは、医師のみならず、刑務官もそうだと思います。
危険手当のようなものがついてもよいくらいの職場環境ですが、給与は、先ほどの話にもありましたように、国家
公務員の給与体系に基づきますので
民間の半分くらいしかないと聞いております。危険な上に給与が低い、半分奉仕のような
仕事です。
先日お
伺いした八王子医療
刑務所の所長さんは医師の方ですが、
お話を伺っていて、大変な環境の中でも使命感を持って取り組まれていることがひしひしと伝わってまいりました。
八王子医療
刑務所は重篤な患者が多いので、
刑務所内で息を引き取るケースもたくさんございます。
平成二十四年では、出所者の二〇%が息を引き取って出たということでございます。死期の近い
受刑者が、
刑務所に来て、初めて人間らしく扱ってもらったということもあるそうです。
前回の
委員会でも述べましたように、
社会的に孤立し、それゆえに犯罪に走ってしまう人が多いという現状を考えるとき、医療
刑務所できちんとした医療を
受刑者に施し、たとえ死ぬ間際であっても、
自分の罪を悔い改めるような環境をつくることは大切なのではないか、このように感じております。
また、今は、死んでしまうという特殊なケースではございましたが、通常の
受刑者は存命のまま出るわけです。そのときに、
社会復帰に大切なことは、健康な体を持って出るということが基本になります。ですから、
刑事施設内できちんと医療を施して健康な体を持って出所してもらうということ、これは
再犯防止の観点からも非常に重要なことです。
このように大切な役割を果たす
刑事施設での医療ですが、
刑事施設で働く医師にとって本当に気の毒だと思うのは、
民間で働く医師よりも危険で給与の低い
仕事についているにもかかわらず、犯罪者を相手にしているというそのことによって、
社会的な評価が極めて低くなっているということでございます。
刑事施設に勤務しているという話をすると、何かミスをしてそんなところへ行っているんじゃないか、こういう目で見られてしまうんだというふうに私は医師から伺っております。奉仕の精神で取り組んでいるのに名誉も汚されてしまう、このような職場に医師が集まらないのは無理もないのではないでしょうか。
刑事施設で働く医師のこのような過酷な職場環境について、どのようにお感じになりますでしょうか。
大臣、
お願いいたします。