○玉木
委員 日本がじゃなくて、TPP事務局として、そういうことをもくろむ人
たちがあるのかどうか。
ちょっと時間がなくなるので、もうその
質問をするのはやめたいと
思いますが、なぜ私がこういう
質問をするかというと、TPPも、例えばFTAもEPAも、いろいろなものがあります。例えば、きょうちょっと御
質問しようと思った、日豪EPAについては妥結にということが今言われていますけれども、TPPがあってEPAがあって、何かいろいろなものがあって、その相互の
関係がどうなっているのかというのを
皆さんは御理解されていますか。どちらが優先され、違うことが決まったときにはどちらをとっていくのか、そういうことが極めてわかりにくいと私は思うんですよ。
私の理解が間違っていたら訂正していただきたいんですが、実は、TPPも含めてそうなんですが、ある特定の
地域を限定し、特定の国だけで結んでいく経済連携協定は全部、ガット協定上、二十四条八項において、関税同盟、カスタムユニオンの
一つだと思うんですね、名前はいろいろありますけれども。
もともと、これは歴史の反省というか、ブロック経済が第二次
世界大戦前に生まれて、それぞれ囲い込んでいくということをして、そのことによって
世界経済が縮小したり、いろいろな
政治的な摩擦があることによって、戦後、ガット、WTO体制ということで、ある種スーパーマルチな自由貿易の仕組みをつくろうといってやってきたんです。
我々も、ウルグアイ・ラウンド、これは自民党政権下でしたけれども、相当苦労して、いろいろなことを譲ったり、
政治的な摩擦を経ながら今日まで、ある種、WTOの優等生として
日本はここまで来たと私は思うんです。しかし、WTOが動かなくなっています、ドーハ・ラウンド。特に、アメリカと、新興国の
中国、ブラジル、インド、こういったところとの深刻な対立の中で、もうWTOが動かないから、では、動いているのはTPPだからとか、ほかのEPAだからといって、我々はこういう
議論をしているんです。
でも、先ほど申し上げたように、全てそういうリージョナルな枠組みは、ある種、亜流なんですよ、WTOからいえば。それで、関税協定は、二十四条の八項に、カスタムユニオンというのは例外的に認められるという書き方になっていて、例外的に認めるかわりに、その
関係国の中で、原則、実質上、全ての関税をエリミネート、撤廃するということが書いてあるんです。
だから、TPPがとりわけ取り出されて、原則全ての関税を撤廃するといって大騒ぎをしているんですが、そもそも、WTOのガット協定上の二十四条八項では、そういう
地域的な、特別なカスタムユニオンが認められるときのある種の条件が、事実上全ての関税を撤廃することに一応なっているんです。英語で言うと、サブスタンシャリーオールと書いています。
ただ、サブスタンシャリーオールなので、裏からいえば、全部撤廃しなくてもいいんですよ。ただ、できるだけハイスタンダードにしようということで交渉してきて、TPPもある種その中にあるんですね。だから、例外が認められるといって、鬼の首をとったように言うのも間違っていて、そもそも、ハイスタンダードでコンプリヘンシブだと言っているのも、ある種、原則からいえば
当たり前の
当たり前で、例外が一部認められることも
当たり前なんですよ。
ただ、TPPが問題だなと思うのは、先ほど申し上げたような、入れてもらうために、マルチでいろいろなことを、同じルールの中でやるものにもかかわらず、それぞれの国の事情を聞いて、その国には議会の何か都合があるから事前に譲らないとここの同意は得られない、こっちはまた何か譲歩しないと認めてくれないからといって、何かとても不利な条件で物事を進めなければいけない。とりわけ、後から入ろうとするものにとって極めて不利な枠組みになっていることが、私はTPPの本質的な問題ではないのかなとずっと言ってきたわけなのであります。
ですから、あえて申し上げたいのは、アプリオリに、いや、もうWTOは動きませんから、こっちでとにかく動かしていって、これをアジアのルールにしていかなきゃいけないんですという半分諦めモードでやるんじゃなくて、
日本がWTOの、戦後、引っ張ってきたある種の優等生として、アメリカを動かし、
中国やブラジルやインドも動かして、もう一度、新しい
世界の秩序をWTOを中心につくっていこう、それを
日本がイニシアチブをとってやっていこう、これぐらいの大きな
世界戦略を描いて、
世界の自由貿易の枠組みを
日本からつくっていく、私はそういうことを柱に置きながらTPPとかEPAの話をしていくべきだと思っているんです。
私は、
林大臣は大変尊敬する
大臣で、将来総理
大臣になると思っていますから、そういう、
我が国がこれまで歩んできた歴史とか大きな
世界観の中での自由貿易をどう捉えるのかという観点から、とりわけWTOについての
一つの見識を持った上で、個別の、その中の
一つの手段でしかないTPPを含めた関税同盟のありようについて、カスタムユニオンのありようについては
考えていくようなことをどこかで必ず持っておいていただきたいんです。そうじゃないと、何か、TPPに入れてもらうためにどうするんだ、あれを譲るんだ、これを譲るんだ。でも、今度、日豪の間では、自動車について、オーストラリアが関税を残してもらうために、
日本は小麦については少し譲ってもらったとか、何かこう、
言葉は悪いですけれども、ちまちまちまちましたような細かいそういうものをやっても、やはり大きなグランドデザインを常に持ち続けることが
我が国にとって本当の国益を確保することだというふうに思っているんです。
その
意味で、改めてお
伺いしたいと思うんですが、WTOについて、現状と今後についての
大臣の見通し、見識をお
伺いしたいと
思います。