○中田
委員 秋葉さんも、私は
本当によく知る
関係でございますので、型どおりの答弁は、まあ、それはそれでお認めはしますけれ
ども、だけれ
ども、秋葉さんが市長になったら、何でこんなことまで一々厚労省から指図をされなきゃいかぬのか、
本当に我が国は情けないなと思うと思いますよ。
今私が例示したように、埼玉、東京、大阪の例を出しましたけれ
ども、子供たちの幸せを考えて、いわば広くとれるところはとろうじゃないかと、みずから進んでやっているわけです。だけれ
ども、そうじゃないところについては工夫しようじゃないかというのがさっきの例です。
それ以外にも、例えば仙台市では、遊戯室は国の
基準では任意
設置になっています、だけれ
どもこれは子供たちのことを考えて必置にしよう、こういう
取り組みをやっているところもあります。沐浴室、ゼロ歳児、一歳児が入所する施設に衛生面の配慮からこれも必置にしようというのは、埼玉県あるいは相模原市。こういうことを独自に取り組んでいるところもあります。
すなわち、まず、
本当に皆さんに確認いただきたいのは、現場にいる市長を初めとした市の職員というのは、当然ですけれ
ども、自分のところの市の子供たちをいとおしく思っているわけです。できることは、これはお金がかかりますけれ
ども、工夫の中において、でき得る限り充実した施設や充実した保育にしたいと思っているわけです。
そういう
意味においては、そのことについて厚労省は何も否定はしないだろうけれ
ども、
基準以上をやることはウエルカムなんだと言うに違いないけれ
ども、しかし、厚労省が金は握っているわけですよ、保育について、補助金は。いわば、厚労省の保育の
基準を満たさない限りは保育園は
設置できないわけですよ。そういう中において
地方は仕方なく厚労省の
基準を守っているというのが、待機児童の今の問題のそもそもの原因だということ、すなわち厚労省が問題だということ、ここはちょっとまず
認識をしておいてください。
その上で、横浜市のことをちょっと言います。
先ほどちらっと申し上げたように、横浜市は、厚労省
基準ではない、そうした
取り組みをやってきたからこそ待機児童はゼロになったというふうに言える、こう申し上げました。
これは、
結論を今言いましたけれ
ども、
本当なんですよ。厚労省
基準の保育所だったら、横浜市は今待機児童ゼロになっていませんからね。全く違う人までカウントしているから、ゼロだゼロだと、今もてはやされているわけです。
例えば、私は、この案件については、自分が市長だった時代にも、横浜市にとっては
本当に大きな案件でありました。当時、横浜市は、私が市長になった今から十一年前、
平成十四年の四月一日現在の待機児童数というのは千百四十人いました。この千百四十人というのは、その当時で日本の最大数です。すなわち、ワーストワンの市です。
そして、私が市長選挙に出るときから、この待機児童問題というのは多くの人たちが関心を持っていた、特に子育て世代からたくさんのお声をいただいていましたから、私も何とかしたい、そう思って市長になりましたから、市長着任以来、組織改編にも手をつけて、そして、子育て支援事業
本部という、この問題に集中して取り組む、横浜市の他の局と同等の事業
本部というものをつくって、しかもそれは市長直轄だ、こういう形にして、三年間で集中してゼロにしようと取り組んだんです。
その結果どうなったかといいますと、三年間取り組んで、
平成十八年の待機児童の数は、三百五十三人まで減りました。すなわち、あと一歩というところまで来たということですね。
ところが、失礼ながら、現場を預かってやってきたからこそよく知っているんですが、待機児童が減ればどうなるかというと、そこに引っ越してくる人たちが出てきます。さらには、今までは希望していなかったけれ
ども、預けられるんだったら私も預けて働こうかしらという人たちも出てきます。すなわち、ここから先はイタチごっこが始まります。どこまでお金をかけて待機児童対策をやっていくのか、財政との見合いということについて、現場の市長や職員たちは
本当に頭を痛めるということになります。
私は、横浜市においては、財政再建、このことが何よりも重要なことでした。私が市長になった段階で、六兆二千億円以上の横浜市の債務があった。結果として私は一兆円減らすんですけれ
ども、それはともかくとして、あらゆる施策に関して財政ということを考えながら、それでも今日的に必要な
課題に手をつけていくとなれば、保育園のことはやりたい、やりたいけれ
ども財政的限界があるというジレンマの中で、そこから先は、また少しずつ少しずつふえていったというのが実態です。
ですから、今の林市長が着任をするころには、横浜市はまた改めてワーストワンの市に戻っている、千五百人ほどになっている、こういうぐあいにすら、イタチごっこというのは続いてくるわけですね。
済みません、私、しばらく話しますけれ
ども、私の前の市長の話もしなければなりません。高秀秀信市長、三期十二年お
取り組みいただきました。
高秀市長も、この保育に関しては問題
認識を持っていましたから、どうしたかというと、まず、厚労省の
基準を横浜市はもう無視する、簡単に言えば、無視するということに高秀さんはかじを切りました。
どういうふうにかじを切ったのか。先ほどつらつらと言いましたね。ゼロ歳児、はいはいするまでは一人当たり一・六五平米、そこから先は、一歳児は三・三平米以上、こういうふうに決まっている、これがかねてから、今も同じ厚労省の
基準ですよ。これに対して高秀秀信市長はどうしたかというと、ゼロ歳児から一歳児までは二・四七五平米にしようというふうに横浜独自の
基準をつくったんですね。
あるいは、保育士の配置人数も、厚労省
基準は、園児、ゼロ歳児三人に対して一人の保育士が必要だ、これもさっき言ったところです。それに対して、三歳児未満についてはおおむね四人に一人というふうに緩和をするということなどを始めました。これは大英断だったと思います。
だけれ
ども、おわかりいただけますか。横浜市は、厚労省
基準ではない
基準を独自に、子供たちの安全を考えてつくっているんですよ。そうですね。だけれ
ども、ここには補助金は出ませんね。出ないわけです。
横浜市は、当時、財政力は他の
地域から比べればあったとも言えるかもしれません。だけれ
ども、都市部だから豊かな財源ではありません。でも、自分たちの財源を使って、自分たちで安全
基準をつくって、それで取り組んだ結果が、まず、高秀市長時代の保育の
取り組みです。
その後、私が
平成十四年から市長になりました。ここで私は今度はどうしたかというと、株式会社の保育所運営というものについて、かじを切りました。
それまで横浜市の保育園は、九九%、
社会福祉法人か横浜市立保育園すなわち公立保育園かのどちらかですね。まれに宗教法人というのがあったりするぐらいで、この二つで九九・九%占めるというような状態ですね。それに対して全国の
自治体はみんな尻込みをしていたけれ
ども、日本で初めて株式会社の参入を認めたわけです。
これは、すさまじい反対に遭いましたね。株式会社が保育をやればあたかも子供の危険性が高まる、安全性がないがしろにされるんだ、こういうようなことをさんざん言われました。だけれ
ども、かじを切って、株式会社の参入を認めました。
あわせて、横浜市立保育園の民営化、このことについてもかじを切りました。
それまでは、保育園そのものが足りていないわけですから、公立もふやす、
社会福祉法人もふやす、
基準を満たす、そのことを前提にふやしてきたけれ
ども、しかし、もはや横浜市立保育園は非常に硬直化していた。
なぜかというと、労働組合が強いからです。労働組合が強くて、定員増、このことについても受け入れてくれません。園児をふやすんだったら職員ふやせ、すぐこういう
議論になるわけですね。それから延長保育、このことについても
協力してくれません。きょうび、五時過ぎで会社の仕事が終わって子供を迎えに行ける御父兄なんて、
本当に、
地域の商店街の人が、ちょっと父ちゃん店番やっていてね、子供を迎えに行ってくるからなんてことができる人以外は無理ですよ。だけれ
ども、このことについても労働組合は後ろ向きです。
ですから、順次、民営化という形にかじを切っていく、そういうことをやっていきました。
その結果、現状どうなっているかというと、高秀市長時代にかじを切った横浜型保育、すなわち厚労省
基準ではない保育、これが今横浜市の保育園のおおむね二割ぐらいを占めています。それから、私が今言った株式会社、あるいは最近は有限会社、こういったところが今横浜市の保育を担っているのも、同じく二割ほど占めています。
申し上げたとおり、厚労省
基準を守って、その
基準で補助金をもらって運営しましょうなどということをやっていたら、残念だけれ
ども、横浜市の待機児童は今ゼロになっていません。現状も横浜型保育で二割やっているということは、厚労省
基準ではない保育を受けている子供たちが二割いるということですよ。すなわち、待機児童ゼロと何をもって言っているんですか、厚労省
基準で言うところのゼロなんですか、違うということですよ。
私は、安倍
政権、大いにいろいろなことに取り組んでもらいたいと思っていますから、
地方分権に関しても大いに応援をしていきたい。
本当に、
新藤総務大臣、こういうことは
地方に任せるべき。何で、厚労省が一つ一つ
基準をつくって、それを満たさなきゃ補助金を出さないのか。そんなことを言っているから待機児童は減らないんですね。
きょうは、厚労省を呼んで、僕は、ある
意味では、厚労省の役人を含めて、そして秋葉副
大臣を含めて、私の話を聞いてもらって、持って帰ってもらって、
本当にこういうことを大幅緩和することが大事なことだということをちゃんとわかって帰ってもらいたいと思って、皆さんに来てもらいました。
そして、
地方分権を一括して
推進していく立場の
新藤大臣には、ぜひこうしたことを出していく、それはリーダーシップとして、
内閣の中で。厚労省は、もちろん田村
大臣がやっておられると思うけれ
ども、こういうことは、
新藤大臣、大いにリーダーシップをとってもらいたいと思うんですが、いかがでございますか。